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| 2007年05月28日(月) ■ |
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| ふたつのお別れ |
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ついさっき きみにさよならしたところ でもお別れをしたわけじゃない また今度会えるわけでも まだ話すことがあるわけでもない お別れをしないやりかたで さよならしてることもあるさ
交差点のまんなかあたり 信号ひとつ変わったところ どちらか立ち止まったわけじゃない また向かい合わせに近づくのでも 別な方向に行ってしまうのでもないよ
まだ出会ってもいなかったのに そうしていっしょにいたのだし
ぼくはほんと悲しそうに話してみる きみはおなじように悲しくなって ほんと可哀想にこたえてくれる 可哀想にこたえてもらえるのは気持ちがいい
ぼくはなにか言うべきことをさがしてる きみは言うべきことなんかもう探しおわっていて なにも言わないべきだとおしえてくれる 言わなくちゃいけなくて言わずにすむのは気持ちがいい
ぼくは外を見ながら歌をおもいだしてる きみはおなじようなおもいだしかたで そんな歌をきいたことがあると言っている ふたりともおなじ歌をうたっているのは気持ちがいい
電車を降りて改札を出たら ふたりとも自動レバーみたいに腕をあげた 腕をあげると自然に微笑むことができる 微笑みあってお別れするのは気持ちがいい
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