生存報告―目指せたくまし道。 〜こっそりひっそり編〜
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2010年11月01日(月) |
耳かき殺人事件判決ー死刑回避・無期懲役 |
今日の日記は引用が多くて長いよ。初めて書ききれなかった(原稿用紙20枚以内にしてくださいってエラーが出た)
今日判決が出た事件。耳かき店で働いていた21歳の女性と同居の祖母が、耳かき店の客である42歳の被告にメッタ刺しにされ殺害されたというもの。(「」《》等産経新聞イザ!より適宜引用)
基本的には故意に1人でも殺したら死刑、が妥当だと思う。人を殺したら同じ命で償うしかない。殺人を犯したら自分も死刑に処される。もしそういうルールだったら、ああこの人は死刑になっても構わない程の感情に身を任せたんだ、飲酒運転をして結果人の命を奪って自分が死刑になってもいいと考えたんだ、と思える。でもそれがわかってない馬鹿な人間が罪を犯す。
ときどき>>法定ライブを読む。押尾被告や秋葉原無差別殺傷事件。裁判の様子がくわしく文字にされている。江東区マンション隣人殺人は、殺害や死体遺棄の様子が衝撃すぎた。何故隣室で隠せたのか、トイレに流したり鍋で煮たりする精神状態とは。惨い事件で……あの事件は被害者に何の落ち度もなかったと思う。
今回の事件については、2人殺してなんで死刑じゃないの、って最初聞いた時は思った。司法は、日本の司法制度はまだ裁判員に死刑を決めさせるまでには至っていない、もしくは殺人犯のために裁判員という一般人のその後の社会での生きやすさのほうを重視してるのかと。そのバランス?でも、裁判員制度じゃなくても無期懲役って判決だったんじゃないかと思う。
まず、2人の間には接客嬢と特別扱いの客という関係があった。何カ月も店の中で会ううちに、携帯のメアドも教えているし、家の場所がわかる会話もしている。耳かき店で接客をしていた接客嬢の平成20年12月分の報酬は65万4250円。被害者の遺族や友人が言う「何の落ち度もない被害者2人」ってのは詭弁。そんな訳ない。祖母については合っているかもしれないけど、被害者については?「いかがわしくない普通のアルバイトをして、普通の女の子として生活していました」とあるけど、普通のアルバイトだっていう観念が間違っていた。65万4250円。何の資格もない若い子がまともに働いて稼げる金額じゃない。クリスマスにはプレゼント交換をしようと言われ、リクエストされたWii(2万5千円)をあげてカード入れをもらう。バレンタインデーには手作りチョコをもらってホワイトデーにはリクエストでアクセサリーをあげた。毎週金土日一緒にいる……密室ではなくすだれとはいえ2人きりの分キャバ嬢より密接な関係。それをしてきた2人。
年末年始27日〜4日と連続でお店にいったのも、被告「1人暮らしで普段できない掃除など、2、3日は家のことをやろうと。元旦は普段、実家に帰っているので、実家に帰ろうと」言ったら、「『どこの掃除をするの?1日もかからないでしょう?』と。『短くてもいいから、できるだけ来てほしい』と言われました」弁護人「元日も店に行っていますが、これはどうして?」「『私は(お店に)出ているから、12時に開店して(年の)一番最初に来てほしい』と言われました。実家に帰るから無理だ、と言ったが、結局2時間行きました」平成21年3月頃には勤務予定時間が17時までになり「『土日の遅い時間、17時以降は、公には帰っていることにする』と」「そこまでするということは、(その時間に)私が行かない、という選択肢はない。もちろんうれしいことですし、用事があっても、ちゃんと行かなければいけない、いけないというか、責任感のようなものを感じました」
まあ、被告は物事を自分の都合のよいようにとらえる傾向があったというし女性からの証言は得られないからこういう証言は全部事実かどうかわからないんだけど。
世の中に男性がいる限り、接客業は危険だし事務だって社内ストーカーが起こり得る。普通の接客ならまだしも、耳かき店で働いていたっていうと落ち度がないとはいえない。そう考えると、社会悪を排除するという観念からすると、自分の娘がそんなところで働かなければ被害には遭わないから無期懲役で死刑まではと。危ない道を通って交通事故に遭った被害者の落ち度。止めさせてあげられなかった周囲の価値観。
性的なサービスをしないってことだったらしいけど、耳かき店で、女性が膝枕で男性にサービスをしたらもはや風俗業だと思う。男性が男性にじゃ成り立たないサービス。それをしていた被害者の自己責任。そういう孫にした、孫の親を産み育てた祖母の自己責任。そういってるのかと。これが通り魔とか計画的な無差別殺人とか連続幼女強姦だったら「悪質」と言うのかも。
「耳かきは毎回していましたか」「最初の何回か。後は2カ月に1回ほどでした」「いつごろから耳かきをしなくなりましたか」「あまり覚えていない。20年の春ぐらいだと思います」「店にはひざまくらのサービスもありますが、そちらはどうでしたか」「最初の何回かだけ。後はしていません」「なぜしなくなったのですか」「ヘルニアで腰やひざが痛く、本当はひざまくらが辛い、という話を聞いたので。じゃあひざまくらはしなくていい、と私が言いました。それ以来していません」
つまり接客嬢にとっては都合のいい客だった。相手するのは面倒だけど、嫌がることはしないでくれる。お金をたくさん落としてくれるし、シフトもたくさん取れる。この人を予約に入れれば、他のいやらしい客と接しなくて済む、っていうのはあった?週末金土日ずっと一緒って。他の客を取るからって断ればよかったと客観的にみたら思うだろう。店だって出入禁止処置とかあるわけだし。女性にとって都合のいい関係を続けてくれるだろうという甘さ、億劫になってきたけど穏便に済ませたいという甘さ、早いうちにはっきり断れなかった弱さ、お金を稼ぎたいという欲望が事件を招いたのかもしれない。21歳の女の子が扱いきれなかった独身男性の感情。痴情のもつれ。
被告「美保さんに『東口店があり、夜もそっちで働きたい。でも行くからにはお客さんがつかないと』と言われました」「そして『(林被告が)来るなら行きたいけど、どうですか』と11月はじめに言われました」《前日の証人尋問で江尻さんの同僚は、「林被告が『自分が深夜の時間帯に全部入るから』と江尻さんに新宿東口店でも働くことを勧めた」と証言していた。明確な食い違いがあるようだ》弁護人「それについてどう答えましたか」被告「断りました」「なぜですか」「夜は寝たかったので」「林さんは朝まで遊んで仕事に行ったことが今までありますか」「20歳前後のときに高校時代の友人と。最近はありません」「20代後半以降は体力的にも無理ですし、友人も結婚していくから…。夜中まで遊ぶ友人もいなくなりました」《弁護人は林被告が深夜・早朝の時間帯に出かけることに消極的だったことを証明したいようだ》「結局、林さんは11月28日に新宿東口店に来店していますが経緯は?」「何回か断ったのですが、美保さんに『どうしても(新宿東口店に)行きたい』と何度も誘われました。私は寝たいし、美保さんも寝る時間がなくなるから『体がもたないよ』と言ったのですが『大丈夫だよ』と言われて…」「『じゃあ試しに一回だけ』と美保さんに言われ、私は『仕事があるから、次の日が休みの金曜か土曜日にしてほしい』と言いました」《林被告は江尻さんにねだられ、しぶしぶ誘いに応じたと主張したいようだ》「11月28日は午後11時から翌日午前5時まで新宿東口店にいましたね。マッサージやおしゃべりをしていたのですか」「違います。前半は起きていましたが、2時ごろ私は眠くなって寝ていました。4時半ごろ美保さんに起こしてもらいました」「次回の来店については私から言ったというより、美保さんの方から『じゃあ次はいついつにしたい』と言ってきました」「林さんは新宿東口店では毎回寝ていたのですか」「ほぼ毎回…」《一貫して美保さんの方から誘ってきたと主張する林被告。首をかしげるようなしぐさをする裁判員もいる》
「どうして家の話が出たんですか」「きっかけは覚えていませんが、私の会社の本社が(東京都港区の)新橋だと答えたときに、美保さんの家も新橋だ、と。帰りの道順も話していました。SL広場側に降りて、ヤマダ電機の脇を通り、日比谷通りを少し行って…と」「それは21年の年明け以降ですか」「もっと早く。(20年)夏か秋ごろです」「どの家なのか、どうして分かりましたか」「家の前で家族全員で映っている写真を、ケータイで見せられたので」「はっきり分かるのですか」「結構はっきり映っていました」「(予約した日に)私が早めに(秋葉原に)到着しているので、『30分早めにどうですか』とメールが来ることはありました。開いていれば、早めに行っていました」
被告側の証言だけど、これが本当なら、むしろ被害者から積極的に安全な客でシフトを埋めてお金を取ろうとしていた印象を受けてしまう。「私は金、土、日のうち1回は頭や肩のマッサージをしてもらっていました。肩こりがひどいので。あと、ハンドマッサージのときにマッサージしないでいいから手を握ってほしいといいました」「美保さんの反応は?」「『いいよ』っていってました」「ずっと握っているのですか」「3分くらいです」《検察側は冒頭陳述で、林被告が江尻さんに手を握ってほしいと要求し、断られても聞き入れなかったことがあったと指摘しており、林被告はこれと食い違う主張を見せた》
これは、被告が彼女の手のぬくもりを感じたかったからだろうと思う。恋愛感情があってもなくても、温かい手というのは人間の感情に影響を与える。手を握るだけで、涙が出ることさえある。自分の病気(膠原病)で恋愛とか結婚とか考えていなかったけど、彼女との時間、彼女との会話、ちょっとだけ許されるぬくもりが被告にとって大事なものとなって、会い続けるうちに責任感と義務感と執着心がごちゃまぜになって、日常化して、それがいきなり絶たれて驚き怒った。そして殺害。そこで殺害になっちゃうところが普通の感覚ではよくわからないんだけど、それだけ被告が被害者にのめり込んだ生活をしていたってことか。
出入禁止になって「被告人は、その理由を訪ねるために店の外で江尻美保さんに声をかけた際にも『もう無理です』と言われて逃げられるなどしたため、『何でだろう』などと思い悩むようになり、同年(21年)6月ころには抑鬱状態に陥っていった」《その後、林被告は美保さんの自宅前で待ち伏せしたり、声をかけたりしたが、美保さんはストーカーと感じ、恐れて逃げ、メールにも応じなかった》「被告人は、もう店に行って江尻美保さんと楽しい時間を過ごすことができないと絶望し、同人が自分を拒絶する理由が分からず、ただ自分を拒絶する同人に対して、殺してやりたいと思うほど怒りや憎しみを感じるようになり、抑鬱状態をさらに悪化させて、同人に対する怒りや憎しみにとらわれていき、ついに本件犯行に及んだ」
私もよく説明せずに逃げることがあるんけど、相手を恐怖と思うと説明云々出来る感情の状態じゃないんだよね。まあ私のは両親が話し合いを避ける傾向があるっていうのがすごく関係してると思うけど。改善しようとはしている……。
裁判官「被告についてまりなさんは困った人と思っていたということですが、何を困っていたのですか」証人「人の話を聞かない。いいことと悪いことを含めて言っても、いいことだけしか頭に残らない、周りの見えない困った感じの人と言っていました」お金でサービスを買ってるのはわかっていたのに、関係が枠を微妙に超えていた?相手が話を聞いてくれたりするのは仕事だからなのに、それ以上の感情を持ってしまう状態。弁護人「美保さんは林さんのことをどういう風に思っていたと思いますか」被告「お店の常連のお客さんという認識だったと思います。ただ、メールアドレスを教えたことや、予約の特別な計らいをしてくれたことなどを考えると、人として信用はしてくれたのかなと…。人間性は信用してくれたのかなと思います」ナノニナゼー。検察官「店内で泣いたことはありますか」「ありません」「1度も?」「はい」「同僚や店長はよく泣いていたと言っていましたよね」「それはオーバーな表現だと思います」「どうオーバーですか」「がっかりした様子を大げさに表現したのではないでしょうか」これも自分を客観視できてないんだろうか。
相手が自分の思い通りにしてくれない→つきまとう→殺しちゃう、っていう思考回路がわからない。どういう心理状態なんだろう?だって今まで通りにしたいと思ってるんでしょ?殺したら会えなくなっちゃうのに何故。人間は怒りがコントロール出来なくなると思わぬ行動に出ちゃうってことなのかな。
代理人「何としてもお聞きしたかったのは、あなたはなぜ美保さんを殺害したのですか」「今はちょっと明確には分かりません」「殺してやりたいほどの怒りは、どこから来たのですか」「それは…。具体的には分かりませんが…。それは、私が身勝手な人間だったのだと思います」「あなたのいう恋愛感情だったかどうかは別として、あなたの思いに美保さんが答えてくれなかったから、殺してやりたいほどの怒りが募ったのではないですか」「分かりません」
私も自分の感情を言葉にあてはめて説明するのがすごく苦手なんだけど、この人も自分の感情を自分で説明できないみたいだ。それをひとつひとつ説明していく裁判や鑑定医はやはり言葉の専門家だなぁと思う。
同じ会社でトラブルもなく20年間まじめに働くということは評価されるらしい。この事件も短い期間のうちに起きたことではなく、平成20年頃からの被害者と加害者の関係あってこそ起きた問題。思い通りにいかないから殺す、って短絡的すぎる幼稚な発想だと思うけど、それまでの経緯をみて説明をつけると、↓のようになるらしい。ていうかこんなにたくさんの人が自分の感情や行動について考えてくれて、刑を決めるためとはいえ有り難いことだと思う。
弁護人「被告は問題なく社会生活をしていたのに、犯行前にはおかしな行動をとっているのに本人はおかしいと思っていない。どういう心理なのか」鑑定医「それは本人の置かれた状況、性格、人格で説明できます。真剣交際したことがないこともあり(←3人と交際経験はあるらしい)、美保さんに、表現には議論があるが、かなりの好感を抱いていたことは間違いないです。長い間、好感のある人と一緒にいられる状況が続き、それが突然破綻した。それがおかしな行動になり、客観視することができなかったのです」「結論として、好意が殺意に変わるのは、どこで変わるのか説明できますか」「精神鑑定ですべて分かるわけではないですが、一般の人も思いますが、こういったことはよくあると思います」←って説明出来てないよね。この鑑定医の説明適当すぎないか。「被告人は4月5日を最後に店に行けなくなって以来、『店に行きたい』とはいっているが、『個人的につき合いたい』とはいっていない。基本的に店の中だけのバーチャルで特別な恋愛感情があったのではないでしょうか」「正直、深く検討していませんが、ずーっと被告が言っていたのは、『店の店員と客という関係は常に意識していた』ということでした」「でも、かなり長時間のめり込んでいたと思いますが」「被告は頭では理解していても、それを超えた感情を持っていたという印象を持ちました」
>>つづき
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