ネコがいた。 春の朝日を受け、一日の始まりの新鮮な朝日を浴びながら、 朝っぱらから日向ぼっこしていた。
しっぽをパタパタ。 耳をピクピク。 目をしぱしぱさせながら、 時折大きなあくびもしつつ 時折毛づくろいとかいして寝ていた。 茶色の縞のあるネコだった。
朝、会社へはバス1本のぼよっち。 1時間に2〜3本(昼間は1本)くらいしかないバスなので 乗り遅れたら遅刻になっちゃうし、 かといって電車だと遠回りになるので、 定期代が出ないので少しでも節約したいのでバスにしている。
そして。 車窓から見たそのネコが、なんだか羨ましくなった。
朝起きて、バタバタと支度をして、 慌しくニュースを見ながら朝食を食べ、 化け道具で顔をいじくって、 いじくって綺麗に化けた筈なのに 素顔とあまり変わらなくって泣けてきても 時間がくれば会社へ行かねばならない。
「今日ごみの日だから出してって」
とママっちに頼まれて、
「えー? ゴミ捨て場、バス停と逆方向じゃ〜ん」
と言いながら、 サンダルを左右に逆に履こうとも そんなことで死にはしないので 平気でゴミを持ってゴミを出しに行き、 玄関先に置いておいたバッグを持って、左右逆のサンダルを脱ぎ捨て パンプスに履き替え出て行くのである。
バスがいつもよりちょっと早めに来ようもんなら 猛ダッシュで走り、 暖房が効いていて走って来た人間にとっては猛烈に暑い車中で ぜーぜー はーはー 肩で息をしながら仕事に向かう女って 女性として
どうよ?
今、自分の姿を改めて思い出すと、
女を辞めたくなる。
そのネコを見た時、 「いいな〜、ネコって一日ああやって寝ててもいいんだもんなぁ」 とか羨ましく思いつつ、
ノラだと食べて行くのは大変かな・・・とか 人間に追い払われて大変なのかな・・・とか ノラのボスネコに虐められて大変なのかな・・・とか
つらつら考えている内に会社に着いて、 汗を拭いた個所のファンデーが取れちゃってるっぽいので 業務前にトイレに飛び込んで、顔を修正して、 いつもの業務がいつもどおりに始まって行った。
っていうか、トイレはそんな姐さんたち(顔を修正)が
いっぱいいる。(涙)
歯磨きまでしている姐さんもいる。 家を出る時に ”化けてきた筈”の姐さんたち。
女捨てちゃったっぽい姐さんたちが 修正した顔で、やっぱりいつもの通り業務が始まっていた。
ふぅ。
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