2007年4月25日(水) タイで散々な目に遭ってきました・第三夜。
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警官に賄賂を渡した日の夜のこと。 サイアムあたりまでメシを食いに行こうとBTS(電車)に乗ったんだけど、 乗り過ごしちゃって、まったく知らない駅で下車したのな。 で、ホームから駅前を見下ろすと、何軒か店が見えて。 よし、まったく予備知識のない駅だけど、 今日はあえてここでメシにすっか、と冒険してみることにしたわけよ。 駅を降りた目の前に二階建てのちょっと洒落たタイ料理屋があって、 見上げると二階に一席だけテラス席が見えたのね。 そこに陣取って、一階のオープン席を見下ろしながら乾杯。 ちゃんとメニューに英語が併記されてるし、味もなかなか美味い。 雰囲気もいいし、クーラーがないことが逆に趣があるとすら感じられる。 ・・・いや、そんなことよりも、一階のウェイトレスのかわいさったらなんだ? オレが「タイの田中律子」と名付けたその子は快活な美人で、何より仕草がたまらない。 客と談笑したり、鼻歌を歌いながら料理を運んだり、軽く踊りながら机を拭いたり、 その楽しみながら仕事をしてる様子がたまらなくかわいいのな。 こんなこと、日本でやったら店長から怒られること必至だけど、ここはタイ。 むしろこの店はこの看板娘のおかげで成り立っているようでもあって。 そんな「みんなを楽しい気分にさせるオーラ」が体からあふれ出てるわけよ。 そうなるとオレら、もう延々とこの子を二階からストーキングですよ(笑)。 「かわいいなあ」「ああ、本当にかわいいなあ」「あの仕草がヤバいよなあ」 「二階にも来ねぇかなあ」「あの客、あの子とよく話しててムカつくなあ」 そんな生産性のないダラけた会話だけで二時間超! 男って本当にバカ! 男ばかりの花のない五日間を経て超A級の美人を見つけたもんだから、 テンションが上がってビールも進む進む。いったい何本空けたことだろうか。
で、最寄り前まで戻って、コンビニでも寄ってから帰るかという話になったとき。 一人(以下、Aと称)が「トイレに行きたいので、僕だけ先にホテルに帰っときますわ」と。 そのとき、オレはこいつが酒癖が悪いことをすっかり忘れてたし、 普通に喋ってたから、まさかそんなに酔ってるとは思わなかったのな。 コンビニに寄ってホテルに帰り、ドアをノックをするとAの応答がない。ん? ちなみにオレら、ツインの部屋を二部屋取ってたんだけど、 Aともうひとりの友達(以下、Bと称)が相部屋だったのね。 一日いろいろと歩き疲れてさ、Bもとっとと風呂入って寝たいじゃん。 だから何度も強くノックするんだけど、相変わらずAからの応答はなく、 隣りの部屋の外人が、自分の部屋がノックされたものと間違ってドアを開けたりもして。 時間も遅いしさ、周りに迷惑をかけるわけにもいかないっしょ。 ノックをあきらめてオレの部屋に移り、部屋に電話をすることに。 この電話、結構デカい音で鳴るんだけども、それでも一向に電話に出ない。 同時に携帯にも電話するものの、こちらも何十回コールしてもなしのつぶて。 ここらでようやく、Aの酒癖の悪さを思い出したオレらは考えたね。 オレらがコンビニに行って帰ってくるまで、せいぜい10分程度。 このたった10分の間に、あいつに何があったんだ?と。 とりあえず考えたのは、別れた後にやっぱりコンビニに行きたくなって、 どこかで入れ違いになっちゃったんじゃねぇかと。 そこでフロントまで降りていくも、鍵はAさんに渡しましたとのこと。 となると、Aは一度部屋に帰ってる。それからどうした? 次に考えたのは、鍵を開けるのを忘れて風呂に入ってんじゃないかと。 しかし、30分以上経っても電話に出る気配もない。風呂だと長すぎる。 だとしたら他にどんな可能性がある? これだけ電話をしてるのに出ないのはなぜだ? そこで発想を飛躍させて出てきたわずかな可能性は、買春でもしてんじゃねぇかと。 オレらの泊まってたホテルの周辺、というかバンコクの都市部では、 そこらへんに売春婦が立ってて、夜道を歩いてると声をかけてくるわけよ。 もちろん病気も怖いし、そんな誘いには乗らないようにしてるんだけど、 いったん部屋に戻って、やっぱりコンビニに行きたくなって鍵を持ったまま外出したAは、 売春婦に声をかけられ、ヒョコヒョコと着いていっちゃったんじゃなかろうか。 可能性としてはかぎりなく低いものの、酔ったあいつは何をしでかすかわからんぞと。 そんなことを言って笑ってる最中、ドキッとした。 ・・・いや、そんなことよりも、もっと可能性が高くて起こりうることがあった。 あいつ、酔って風呂に入って・・・・・溺れてるんじゃねぇか !? その考えが頭によぎった途端、急に心臓がバクバクし始め、 まさかなあ、とは思いつつも、Bと二人であわててフロントへ。 「友達の返事がないんです! 鍵を開けてください!」 係の人とともにドアの前まで行くも、やはりそう簡単には鍵を開けられないようで、 まずはノックを試み、次に電話をするも、相変わらず応答はない。 オレらとしては一刻も早くドアを開けないと手遅れになってしまうことも考えられ、気が焦る。 何かあったときのためか、ホテルの人をもう一人呼び、ついにドアの鍵を開ける。 部屋に駆け込んだオレらが見たのは・・・・・スヤスヤと眠りこけるA。 「・・・おい! おまえ、何やってんだよ!」 怒声に飛び起きたAは見知らぬタイ人スタッフ二人を目の当たりにして、 驚きと恐怖、脅え、寝ぼけが入り混じった見たこともない形相に。 「おまえ、明日から絶対禁酒な!」 こうして五日目の夜は更けていったのでした・・・。
次の朝に話を聞くと相当酔っていたようで、 ベッドに腰掛けた瞬間から記憶が飛んだとのこと。 そして、このレベルまで酔ってしまうと、何があっても起きなくなるらしい。 それにしても、あの電話のベル(40分ほど鳴らし続け)でも起きないとは・・・。 大地震が起きて真っ先に死ぬのはこいつでしょうな、きっと。 酒は飲んでも飲まれるな。けだし名言。
もう一回つづく。
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