8/10(木) 嫌われるオレ・その2。
初対面の長い一日が終わって精神的に疲労困憊のオレ。
それでもポジティブなオレはそこに一筋の希望を見いだすわけよ。
もしかすると今日一日はお母さんなりのテストだったんじゃなかろうかと。
あそこでキレずに笑顔を絶やさず堪え忍んでたオレを見て、
「なかなか骨太な男じゃないの」と高評価、みたいな。
が、結果はやっぱり予想通り。
次の日、彼女にオレのことをボロクソに言ってたようで(笑)。
「お母さんはあの人のこと生理的に受け付けない」だの、
「あんな大人がいるなんて信じられない」だの言いたい放題。
行きたくもなかった教会にまでついて行ってこの言われよう。トホホ。
とにかくオレが今までに味わったことのない壮絶な嫌われぶりなわけよ。

そもそもさ、彼女が母ちゃんに彼氏が出来たと告げたとき、
11歳も年上で、しかも在宅で自営業ごっこのようなことをやってると知り、
それって母ちゃんにしては信じられないことであってさ、
もうこの時点で嫌悪感や猜疑心でオレのイメージは固まってたと思うのね。
要は会うまでもなく、そのときにオレへの評価は決まってたわけでさ。
ま、そこでイメージを抱いちゃうのは誰だってしょうがないと思うのよ。
でも普通の人だとさ、直接会って話をして、その抱いてたイメージと違った場合、
自分の中でその人の評価やイメージを修正するでしょ、当然のことながら。
でもこの母ちゃんはそれが出来ない人なんですな、きっと。
悪い意味で自分を信じきっちゃってるかわいそうな人だから、
その自分なりの前評価や固定観念を意地でも曲げたくないわけよ。
頑固と言えばまだ聞こえがいいけど、単に意固地っつーかね。
キリストが神だと信じるように、悪魔が悪だと信じるように、
オレを最低の男だと信じたいんだろうね(笑)、おそらくは。

いや、そんな母ちゃんの分析をしてる場合じゃないわけで、
やっぱ彼女とは将来のことも考えてちゃんと付き合っていきたいからさ、
このまま母ちゃんに嫌われ続けるのもいかがなもんかって話でしょ。
だからその後、オレは少しでも良く思われようと小さな努力を重ねたのな。
といってもそれから数週間、オレとその母ちゃんが会うことはなかったから、
彼女にオレのことをよく言わせたってだけなんだけどさ(笑)。

で、ある日の夜、そのイメージ向上作戦の結果が出ることとなる。
彼女んちってのはマンションを二部屋持っててさ。
父ちゃんの死後、保険金で近くにもう一部屋マンションを買ったんで、
新しい部屋には母ちゃんが、以前の部屋には彼女姉妹が住んでんの。
だから彼女んちへは気軽に遊びに行けるんだけど、
その日、いつものようにおじゃましてると、母ちゃんから電話があったのな。
プリンターを使わせてほしいから今からそっちに行くって内容で。
紹介されるまでは、母ちゃんが部屋に来るっていうと、
母ちゃんの性格上、そこで揉めるのは明らかだから、
オレが間男よろしくあわてて逃げ出すこともあったんだけど(笑)、
もう紹介は済んでるわけだから、堂々とその場に居座ったのよ。
母ちゃんが部屋に入ってくるなり、直立不動で丁寧に挨拶するオレ。
「どうもご無沙汰してます。おじゃましてます」
「・・・・・」
わー、無言でUターンして部屋を出てった〜〜〜!!
完全無視ですよ! こんなことされたことある !?
彼女姉妹も唖然よ、そりゃ。だって人としてやっちゃいけないことでしょ、無視って!

今までの分は水に流してもいいけどさ、さすがに今回はオレもキレたね。
こりゃちょっとおかしいとかそういう類じゃなくて、もはやキチガイの域でしょ。
何がそこまでオレを憎ませてんだかわからないけど、
だからってちゃんと挨拶してる相手に向かって無視って常人じゃ出来んわな。
マナーもデリカシーも常識もない、オレのもっとも忌み嫌う人種だなと判断して、
もうこれからは「好かれよう」と思うことを止めようと。頑張るだけ無駄だなと。
かといって喧嘩するつもりはないけど、へりくだる必要もないかと。
男友達んちに遊びに行ってお母さんがお茶を持ってきてくれたとき、ぐらいの感覚で、
「あ、ども、おじゃましてますー」程度でいいだろうと思ったわけ。
むしろ、母ちゃんはオレの堅苦しい態度に辟易してて、
逆に楽に振る舞った方が好印象だったりして、なんて勝手な希望的観測も含めて。
ま、この母ちゃんにかぎって、んなことはないだろうけど(笑)。

しつこくつづく。


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written by オレ 

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