人生事件  −日々是ストレス:とりとめのない話  【文体が定まっていないのはご愛嬌ということで】

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2020年07月05日(日) エピソードが終わらない

もう、「この度は…」だとか「大変だったね」だとかの声掛けに気持ちに波が起こるほど反応することはなくなった。だから、ひどく動揺するようなことはこの先ないんじゃないかと思っていた。

まさかの不意打ちを食らった。

夫は、私の医療従事者という職業を、嫌っていると思っていた。看護師免許を持っていても、「信用しない」。メンタルで別れた元妻のもとに来ていた、たまたま早退していつもより早く帰った自分をにらみつけた「行政の女性」が保健師だったのではないかと思い当たったのも私の職を知ってからだ。元々、医者嫌いで、強い自然治癒信奉者でもなかったけれど、できる限り医者には行かないという人だった。さすがに歯科と仕事中に眼球に鉄片が刺さっただの腰痛だのでは行っていたけれど、今回亡くなった疾患による体調不良で、原因がわかるまで2回受診先を変え、紹介状をもらい、更に紹介状をもらい、という大変時間とお金と面倒くささがある中、それでも夫は頑張った。付き合い始めて、初めてそんなに医療に真摯に向き合おうという姿勢を見た。それはもう、今までにない異常を感じていたからに他ならない。発見が早かったのかそうでもなかったのかは私にはわからないけれど、結局は一番近い総合病院がこの辺りでは専門で治療に当たっているとのことで、最期までそこでお世話になることができた。

CVポートをつけるにあたり、IVHの管理を私に任せると主治医の前で言ったのも、かなりの衝撃だった。あんなに「自宅での様子を見るに、お前にだけは採血されたくない」と強い否定していたのに、いきなり、それ。「もし感染したら私のせいにされちゃうからいやだ。訪問看護入れようよ」と言ったら、「お前でいい。それはもう、お前のせいじゃないってわかってるから」と。

先日、子どもの紹介状受診で夫の亡くなった総合病院に行った。そこで、お世話になった在宅相談室のSWと偶然出会った。新型コロナの話から、夫の話題に転んだ。

「ほら、治療が治療だったから、感染予防とか症状早期発見が大事な時期があったじゃない? その話をしているとき、『俺の奥さん、プロだから。保健師だからその辺大丈夫ですよ』って言われたんですよね」

それが、病院スタッフからの説明を聞くのが面倒くさくなってぶった切ろうとしての話だったのか、本心だったのかは、もはや本人が不在の今分からない。

半年経ても、エピソードが終わらない。


佐々木奎佐 |手紙はこちら ||日常茶話 2020/3/15




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