酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2007年09月07日(金) |
『妖花一夜契』 森真沙子 |
「あやしばな ひとよのちぎり」・・・タイトルから想像がつくように妖しいエロティックな一夜の出来事が語られている。森真沙子さんの描く物語は小粒ながら質の良いものが多い。特に妖しいエロスは女性ならではの感性で共感しつつ読めてなかなかなものだったv 不思議な妖しい何かとエロスってのは相性がいいんだよねぇ。「竜胆杯を傾けて」は妖しく美しい女性が想像力をかきたてられてかなりオススメv
「ふふふ、嬉しいわ、一緒に地獄に落ちて下さるなんて」
『妖花一夜契』 2007.7.31. 森真沙子 徳間書店
2007年09月06日(木) |
『いっぺんさん』 朱川湊人 |
朱川湊人さんの本領発揮! ノスタルジック・ホラー短編集にございまーすv 朱川さんの持ち味は昔懐かしい想いを掘り起こす郷愁ホラー。そして短編。この良さは失わないでいただきたいなと一ファンは思うのでございます。昭和の香りがするって不思議感覚。都市伝説で聞いたことのあるような題材を元にした、本当にありそうなお話がずらずら。中でも「逆井水」は人間の根源的な欲望をネタにしているので妙に理解できてしまう。落ちはもっと残虐でもよいのだケレドモ。晩夏に上質な日本的なホラーはいかが。オススメです。
これを天国と言わず、何て言う? この村は、まさしくこの世の楽園だ。
『いっぺんさん』 2007.8.25. 朱川湊人 実業之日本社
2007年09月05日(水) |
『青年のための読書クラブ』 桜庭一樹 |
修道女マリアナによって設立された聖マリアナ学園。清楚な乙女達の女の園に風変わりなクラブがあった。哲学者たり、理学者たり、詩人、剣客、音楽家たる「読書クラブ」・・・。清楚な乙女達の枠からはみだしてしまった少女たちが集う異形の部屋。
こんな↑あらすじじゃワカラナイよなぁ(笑)。あらすじなんて書いたところで実際に最初から最後まで物語を読まなきゃワカラナイもんだしー。←無責任 まぁ、要するにはみだしっこ達の集まりである読書クラブが関わった時代時代の事件の真相を記者記す・・・みたいな隠れた真相暴露ものとでも言っておこうか。いつの時代にもその場に馴染めない人間はいるものだなぁ。若さゆえ愚かな勘違いをして暴走する魂・・・ナンテ痛いイタイ。自分の痛い部分に思い当たる物語があるのじゃないかしらん。私が一番気に入った話は「一番星」かな。なんて言うか魂の暴走と落ち着き先がワカルわかると思えてしまって。映像化もしやすい。これは物語全編を通して感じたことだケレドモ。映像化すると面白いんじゃないのかなー。ただ好き嫌いは分かれそうな物語。桜庭さんてそんな作家さんだよね。
一人の生徒の内面で暴れだし、学園を席捲した、つまりは個性というものの暴力性に恐れをなしたのだろう。しかしいつの時代も、どこの土地でも、子羊の群れには常に一匹の狼が潜んでいるものではあるが。
『青年のための読書クラブ』 2007.6.30. 桜庭一樹 新潮社
2007年09月04日(火) |
『球形の季節』 恩田陸 |
新しい本を読むにはパワー不足。そんな時にはいつだって身体と心に馴染んでいる本を読む。だいたい陸ちゃんになるんだよなぁ。無人島に何か一冊・・・なんて話題によくなるケレドモ、私は陸ちゃんの本を選ぶ気がする。 そんな訳で久しぶりに『球形の季節』を読んだ。これも何度読んだことやら。陸ちゃん御得意の不思議な土地モノ。これが小夜子に続く2冊目だってんだからヤッパリその才たるやスゴイ。ラストの落ちの「えっ、だからどうなるの!?」感がたまらないんだよね。綺麗に落ちをつけるでなく、物語は終らないって気を持たせるところがいいんだよねぇ。 土地が持つ不思議ってのは人間の根源的な感覚なのではなかろうか。近づいてはいけない場所とか、なにか起こる場所とか、聖なる場所とか・・・人知を超えた存在だものなぁ。人間以前からそこにあるのだもの。 あ、本の内容に触れてないや。ま、いっか(笑)。オススメv
しかし、明け方というのはまた別の不安がある。何かいけないものを見ているような罪悪感が、息をひそめてじっとしていなくてはならないような緊張感が、ああまた一日が始まってしまったという不思議な後悔がある。
『球形の季節』 恩田陸 新潮文庫
2007年09月03日(月) |
DVD『ライアー・ガール』主演:小池栄子 |
「やっと結婚してもらえた」なんて可愛らしい言葉で結婚報告をした小池栄子の初舞台&初主演『ライアー・ガール』!なのだケレドモ、実は森山未來クン目当てで購入していたのであった。物語は若返りの薬を飲んだオヤジがナイスバディなギャルに若返っちゃうというコメディ。素晴らしい肉体を持つ小池栄子が、あの見事なカラダでオヤジっぷりを演じてみせるギャップが面白かったv 小池栄子がグラビアでぶいぶい言わせていた頃をあまり知らない。私が彼女を知ったのは芸能人社交ダンス部。ぶよぶよしていた豊満な身体がどんどん引き締まって本当に美しくなっていく過程を尊敬とともに見ていたの。あの根性と会話の回転の良さを見るにつけファンになっていた。 だから今回の好きで好きでたまらない人との結婚を「おめでとう」と思ったの。良かったね〜。昨日のメントレGでは思わず泣いてしまったよ。しかし・・・サトエリがかわいそうだった・・・。幸あれ。
2007年09月02日(日) |
DVD『スクールデイズ schooldaze』主演:森山未來 |
相沢晴生は、0歳で芸能界デビューをし、天才子役として一世風靡してしまった。しかし、自分の人気ゆえに両親の間に溝が入り、普通の生活をしたいと願い、8歳で芸能界を引退。普通の子供に戻って生活していた晴生は高校生になりイジメに遭っていた。普通の生活でいいことなんて無いと痛感した晴生は芸能界復活を目指すのだが・・・!?
森山未來クンは全く好みではないのに気になる俳優さん。独特の存在感があって妙に惹きつけられている。このスクールデイズ(英語表記はda‘z’e)の主人公は若くして人生に途方にくれている少年。理不尽なイジメに遭う時の表情がすごくうまい。未來クンの魅力は泥臭い役を演じ切れるところにあるのかもしれない。 物語は、元天才子役だった晴生の現実と、人気テレビ「はみだし!スクール☆デイズ」とが微妙にクロスし、リンクし、入り乱れてしまう・・・という非常にシュールな展開となっている。よくこんな難しい内容を学園モノとして銘打ったものだなぁと感心してしまう。シニカルな目線で撮影されているので、オススメするにはかなり微妙。観ていて心に痛いから。優れた作品ではあるのだケレドモ。
2007年09月01日(土) |
『収穫祭』 西澤保彦 |
西澤保彦と言う作家さんの暗黒面が如実に表現された久々の一冊。暗黒三部作が四部作になったわー。私は西澤先生のこういう暗黒のドロドロの救いようのない物語がことのほか好きなのでございます。ウフ。でも惹句にあるように『依存』を越えたとは思えなかった。『収獲祭』は『収獲祭』の良さ(悪さ?)があり、魔女みたいな女が登場するケレドモ・・・タックのかぁちゃん(by恩田陸)とタカチを越える魔女っていないんだよなぁ。そっか、陸ちゃんにもよく魔女が登場するんだった。だから陸ちゃんの作品も好きなんだな、私。暗黒の世界へようこそ。西澤保彦の貌の一面がここに凝縮しておりますわよん。驚愕の真実と最後の落ちに素直に騙されていただきたいものであります。
自分が蒔いた種が芽吹き、そして育ってゆく実感にひたりながら。着実に収穫のときが迫ってきている、その悦楽にうち震えながら。
『収穫祭』 西澤保彦 2007.7.10. 幻冬舎
2007年06月20日(水) |
『シー・ラブズ・ユー』 小路幸也 |
下町の一角にある古びた古本屋《東京バンドワゴン》。昔懐かしいホームドラマのような大家族の心温まる人情物語の続編です。小路さんはいいわー。安心して物語に身をゆだねることができるもの。これもまた何度も何度も読み返しちゃうんだろうなぁ。ほくほく。
2007年06月16日(土) |
グイン・サーガ113『もうひとつの王国』 栗本薫 |
キタキタキタキターっ!!! うーん、栗本親分はこうでなくっちゃ!って路線が久々に登場であります。妙な一座の興行話には飽き飽きしていたので、妖しい登場人物にウキウキわくわくなのでありました。出来ればしばらくこのおどろおどろしい世界観で行っていただきたいものだ。あと早くリンダを出してくれー。
2007年06月11日(月) |
『毒草師』 高田崇史 |
本家QEDシリーズに登場して以来、話題騒然な毒草師・御名形史紋(みなかたしもん)が主役を張りましたっ!!! 本家のタタルくんと言い、スピンオフな史紋さんと言い、癖がある妙な男。正統派じゃない男が主役っていいもんですねぇ。うふふ。私としては史紋さんの方が好みかもしれないなぁ・・・。そしてまたこの物語でも高田崇史さんの隠された日本の歴史への厳しい視線が素晴らしい。さすがだなぁ。今まで考えもしなかった隠された日本の悲しい歴史に思いを馳せるようになりました。これが高田作品の持つ醍醐味です。超オススメv
「何か勘違いされているようですが、恐ろしいのは毒草ではなくて人間です」
『毒草師』 2007.4.25. 高田崇史 幻冬舎
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