どんなに短くとも・・・
pure mind



 新曲


あの頃毎日のように流れていた歌が

ナツメロのようにラジオから流れてくる

何も変わっていないメロディーなのに

どうしてこんなに胸がぎゅうっと痛むのだろう

知らない歌みたいに染み込むのは私が変わったからなの?



2002年09月10日(火)



 きらり


なぜか目覚めた午前3時

東の空にきらめく星座

オリオンあまりに大きくて

一足飛びに

感じた冬



2002年09月09日(月)



 みずたま


乾いたアスファルト

飛び切り大きな水玉

しみこむ間もなく

空から次々落ちてくる

久方の雨は必死の形相だ

2002年09月07日(土)



 殺生な。


いつからか仲間はずれになっていた

「僕のほうが先にここにいたのに」

夜店ですくった金魚が水槽に入れられた

元からの住人だった熱帯魚はすっかり元気をなくし

そしていつも隠れていて知らぬ間に死んでいった

2002年09月06日(金)



 刺繍


何を始めるときでも道具ばかりに凝る悪い癖

素敵な布にカラフルな糸をたくさん買ったのよ

でもよく考えたらね 気の短いあたしに

ちくちく刺繍なんて無理に決まってるの

あなたの心に どんな刺繍が似合うのかもわからない

2002年09月05日(木)



 夕日の向こう


我が物顔で空を舞うコウモリたち

重たい足取りの部活帰りの中学生たち

お稽古事から帰ってくる小学生たち

夕飯の支度が佳境に入っている母親たち

父親の帰宅を待ちきれず夕日は沈む・・






2002年09月03日(火)



 ままごと


「行って来ます」「早く帰ってきてね」

「うん。電話するよ」「夕飯作って待ってるね」

「愛しているよ」「あたしも大好きよ」

「仕事行くの嫌だな」「じゃあお休みする?」

そんなままごとのような生活は、偽物なんだよ

2002年09月02日(月)



 古里


ヒートアイランドに耐えられなくて氷をがりがりかみながら

麦わら帽子に熱い頭を保護してもらって

どこかに出かけてしまいたかった

戻ってくる時間なんて気にせずに行きたかった

ありもしない古里は夏に妄想を駆り立ててしょうがなかった


2002年09月01日(日)



 収集


せっせと集めて歩いています。

あなたの忘れていったものたちを。

それは聞くのも嫌だったわずらわしい言葉だったり。

どうしても好きになれないタバコの吸殻だったり。

もう手に入らないと思うと、みなタカラになる不思議。


2002年08月30日(金)



 盲目


華やかな世界だけが見えるめがねはもういらない

痛いことだけが綴られる新聞も雑誌も見たくはない

でも、選ぶ事なんかできるはずもなくて

目に映る物を見届ける毎日はこれからも続くかと思うと

盲目のような恋をしているだけでも救われると素直になる

2002年08月27日(火)
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