冒険記録日誌
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2015年02月28日(土) キッドのやらなきゃハドソン!ファミコン冒険ゲームブック

 久しぶりにゲームブック関連のサイトを巡回してみました。
 何年も前からわかっている事でしたが、ネットを始めた2000年頃にあった昔馴染みのゲームブックサイトはどこも閉鎖か休眠状態で少々寂しいですね。
 立ち上げた当時はゲームブックサイトの中で後発だった「ぷりん部屋」がいつの間にか古株になってしまったなぁ。もっとも、冒険記録日誌をたまに更新するのがやっとの状態ですけどね。せめて掲示板くらいは復活させたいねぇ。
 まあ、別に悲観ばかりすることはありません。ネットでゲームブックの話題を見ること自体は、ブログを始めとして今でもそこそこありますからね。
 今回の巡回ではインターネットラジオでゲームブックの話題をしていた回を発見しました。放送は今年の1月18日だからごく最近。「キッドのやらなきゃハドソン!ファミコン冒険ゲームブック」 なるタイトルで、番組紹介文を読むと双葉ゲームブックの「マリオを救え!」と「大魔王ネオクッパの挑戦」(2002年3月14日と5月15日の冒険記録日誌で参照)を紹介しているとの事。これは聞かないわけにはいきません。


ファミコン名人への道(笑)
http://ameblo.jp/famicom-meijin-road/entry-11978660150.html


 実際に放送を聞いてみましたが、ゆるい雰囲気のトーク番組でして、冒頭が「艦これ」の話題で、そこからゲームブックの話題に変わるという、不思議なタイムトラベル感覚を味わえました。DJが実家から持ってきたというこの2冊のゲームブックを前に、実にこまかくゲームブックの内容を解説していましたよ。
 どのくらい細かいかというと、「マリオを救え!」の原作はスーパーマリオブラザーズである説明は当然ですが、同時収録されていたミニゲームブック「ルイージの冒険」がディスクシステムのスーパーマリオブラザーズ2に準じている事まで説明されています。マニアックすぎるだろ。
 「大魔王ネオクッパの挑戦」ではそのぶっとんだ世界観につっこみを入れ、おまけにRPG風になった3作目の「マリオ軍団出撃」の解説まで入れて、ルイージの不遇っぷりをネタにする流れですが、全体に愛が感じられる内容でよかったです。
 さらに過去にはソーサリーやドラゴンファンタジーを話題にしている回もあるようですし、これからそちらも聞いてみたいと思います。
 気になる人は是非聞いてみてもらいたいですが、ネタバレありな内容なので、万々々々が一、双葉のマリオゲームブックシリーズを未読で今後プレイ予定という希少な人がいましたらご注意を。



(追記)
 ソーサリーやドラゴンファンタジーの話題が登場する「キッドのやらなきゃハドソン!ゲームブック大特集」(2014年6月14日) の回を聞きました。
 DJの一人語りの回でして、そのせいなのかリスナーからのおたよりコーナーが充実。この番組って知らなかったけど、ゲームブックファンも結構聞いていたんだな。創元推理文庫の「ドルアーガの塔」「ワルキューレの冒険」や、ラノベ化した「死の罠の地下迷宮」などいろんな話題がチラチラ出ていました。
 ソーサリーは、新旧訳の比較とかいきなりマニアックな説明から始まるのはまだいいとして、ZEDのネタバレをするのはやめてほしかった。「マリオを救え!」と違って現在も販売してるんだからさ。しかも微妙に間違っているがな。


2015年02月26日(木) 魔境遊撃隊─ナイル川の呼び声─(栗本薫原作、永橋隆作/富士見文庫) 

 栗本薫さんの小説「魔境遊撃隊」を原作としたゲームブックですが、ストーリー的には原作の続編となっている作品です。(以下ここでは原作の小説版のことを前作と書きます。)
 私は残念ながら前作の方を読んだことはありません。ゲームブック版には序盤で前作の冒険について必要最低限の情報が説明されているので、知らなくても楽しめましたが、もちろん読んでいた方がより楽しめると思います。
 主人公は栗本薫という名前ですが、原作者本人ではなく同名の男性小説家だそうです。紛らわしいですね。
 冒険には仲間が同行しますが、メンバーを軽く紹介すると、チームの知恵袋である雷電博士(前作で博士は死亡しているが、実は双子の弟がいたとの設定!ドドーン!!)、日本刀を使う武道家でありニヒルで頼れる男の秋月(ルパンの五右衛門と違って女にも強い)、悪党だがなんだかんだと主人公に協力する羽目になる鮫島兄弟(怪力のデカブツと器用で悪知恵の働くチビというベタコンビ)と、見事に男臭い一行です。一応、時々一行の前に現れる謎の美女とかもいますがどうでもいい。そもそもストーリーが、前作でも中心人物だった印南薫という美少年から「囚われの身だから助けてほしい」と手紙を受け取ったので、仲間を集めてアフリカへ旅立つという内容です。助ける対象が、美少女ではなく美少年です。(大事なことなので2度言いました。)やはり主人公は、原作者、栗本薫の趣味と欲望を投影したキャラなのでしょうか。さすが、やおいや腐女子の元祖とか言われていた人だけはあります。

 ゲームのルールは、戦力点と生命点と情報点の3つの数値を管理するようになっており、ファティングファンタジーシリーズみたいな戦闘ルールもありますが、所持品管理はほとんど必要なくて遊びやすい方だと思います。
 戦力点と生命点は主人公個人のものでなく、チーム総合の戦闘力としての扱いで、新しく仲間が合流すれば戦力がUPし、一時的にせよ誰かがチームから離脱すれば下がります。仲間が合流する頼もしさや失う痛みを、ゲーム的にも表現しようという演出だと思いますが、戦闘システムと物語がイマイチ融合していない気がしました。というのも「生命点が少ないから、ここは危険な外出はせずに休憩して回復させよう」とか「今は戦力があるから逃げずに攻撃した方がいいだろう」というような、同じパラグラフでもその時のプレイ状況で判断が変わるような選択肢があまりないのです。セスナ機との戦闘と救出場面くらいかな。まずい選択肢を選んだ時のペナルティ(誰かが怪我して戦力が落ちるなど)の意味ぐらいはあるものの、これなら単純な分岐小説にした方が良かったのではと思いますね。戦闘に負けてもゲームオーバーではなく、負けた展開に分岐するとかだったら、また違ったかもしれないですが。
 私は一応ルール通りに遊びましたが作業感を感じたので、戦闘は全て勝ったことにして遊んだ方がいいかもしれません。それなら情報点を管理するだけですむのでメモなしで手軽に遊べて一石二鳥ですし。 

 小説面が強いゲームブックなので、1パラグラフあたりの文章量が長く、地の文章もしっかりしています。アフリカの秘境探検だけでなく、仲間集めに立ち寄った香港でのハードボイルドな展開などもあり、冒険小説としての読みごたえはありました。終盤はニャルラトホテプとか、這いうねる奴らが登場していてビックリ。前作読んでないから知らなかったけど、実はクトゥルフゲームブックだったのか。
 おおまかには一本道ストーリーですが、道中の細かな展開は割と枝分かれするので、ちゃんと選択肢を選ぶ楽しみもあります。クライマックスは選択肢がほとんどなくなり、普通の小説みたいな感じになっていましたがね。
 全体として意外と楽しめたので前作の小説版の方も読んでみようかと考えています。前作のファンには、その後日談を知ることができるという意味でもオススメできる作品です。



2015年02月25日(水) 烈拳カンフー大冒険(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店) その6

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないでください)

 3度目のプレイ。
 最初の木人との戦いは9勝9敗で、やっぱり辛くも試練突破の結果だった。
 町では太極拳の子どもと酔拳の爺さんに合う順番が逆になったくらいで、1回目と大体似たような展開で進む。[太極拳と酔拳の技を入手]ちなみに今回の展開だと爺さんは死ななかった。よかったよかった。

 最初のプレイでは無視した鎖鎌使いからの果し合いにも、今回は応じてあっけなく勝利する。すると鎖鎌使いは拳王の敵らしく、君に拳王の根城周辺の地図を渡してくれた。根城は西は草原、東は谷、南は沼地、北は山岳に囲まれているらしい。西と東は過去に挑戦済み。南は正面の門に続いているので目立つだろう。残るは北で、北には門はなく、ただ天然の山岳地帯という要塞に守られているだけだ。山登りは危険だが、その分、油断されて北の警備は手薄かもしれない。
 よし、北からの潜入をこころみることにしよう。

 山岳では、墨絵の世界のような濃淡と霧がかった空気が漂っていた。墨絵の世界というと、これまた定番、狼より恐ろしい人食い虎の群れが襲ってくる。
 もちろんこれも難なく退治完了。
 山を一度上り詰めてから、拳王の根城への長い階段を下り始める。根城の後宮を階段の途中で見かけたので、ちょっと寄り道する。武器や財宝でも入っているかと思ったが、思ったより質素で興味を引いたのは陰陽の竜の置物だけだった。[陰陽の竜を入手]
 根城にたどり着くと、そこは最初のプレイで死亡した鏡の迷宮だった。
 初回のプレイと同じく、鏡に紛れて攻撃してくる男に何度かダメージを受けたが、今回は体力を温存できているので、男を引きずり出し、サイコロを使った戦闘に持ち込むことに成功。こうなったらもう楽勝で、余裕で勝利。

 その先をずんずん進むと奥の部屋には、琵琶を優雅につま弾く青年がいた。女性のように繊細な顔つきをしている。君が入ってきてもチラリと目を向けたあとは、琵琶の演奏に戻ってしまった。なんとなくじゃまをしずらい雰囲気だったが、拳王はどこにいる?と問いかけると、青年は落ち着いた声で返答した。
「世間では、私のことをそう呼ぶものもあるらしい」
 こいつが拳王!?証拠はあるのかと思わず問いかけると、「信じる信じないは、あなたの自由にすればいいことです」とあっさり返された。
 この後、何を言っても青年はまともに君を相手にしようとしない。
 こうなったらと強引に連続攻撃を仕掛けると、妙な靄につつまれた気がした。いつの間にか師匠の元で厳しい修行をしていた頃に戻っているではないか。
「あと千回繰り返すのじゃ、休んではならぬ」
 師匠の言葉にうなずくと、無心に拳をつきだし、ノルマを達成すると床にへたり込む。気が付くと、拳王の部屋の中で座り込んでいる自分がいた。目の前の壁が無残に打ち砕かれている。
「すごいのぉ、まともに食らったら私でもたまらぬ」
 青年が背後で感心したように言うのが聞こえ、慌てて振り返り対峙した。おのれ、バカにしやがって。
 
 ここで今まで入手した武器を選べる選択肢があったので、陰陽の竜を取り出す。すると竜の掴んでいる珠に、座禅を組み瞑想にふける拳王の姿が見えた。
 目の前に立っている拳王もまた幻だったのだ。
 君は部屋の隅にいる拳王に飛び蹴りを食らわせる。瞑想状態からすぐに脱却できない拳王は今度こそ見事に吹っ飛んだ。
 まだまだ、立ち直れない拳王の襟を掴むと胸元が大きく開き、胸のふくらみが見えた。
 なんと拳王は女だったのだ!
 一瞬、力が抜けたが、拳王への貢物に苦しむ人々を思えば、心を鬼にするしかない。背負い投げの要領で投げ飛ばすと、拳王は首を折って壁にもたれかかるように倒れたのだった。
 やったぞ!ふたたび、町や村に平和が戻るのだ。





 3回目のプレイルートは戦闘の少ないベストルートだったようですが、他のルートでもクリアは可能です。陰陽の竜の置物がない場合は、拳王と真っ向勝負となり、サイコロの戦闘で勝利する必要がありますが、主人公が強すぎてやっぱり楽勝な感じ。
 とにかくサイコロを使った戦闘では主人公はまず負けません。本来のルール通りに遊んでも同じだったでしょう。
 例え最初の能力が低くても、戦闘に勝つたびにスピードとパワーが2・3点ずつ上昇するので、中盤以降はやはり楽勝です。サイコロが最低のゾロ目でも勝ててしまうようになっていたので、サイコロを振る必要がなく、戦闘は全て勝ったことにして遊んでいるのと大差ないプレイになってしまいました。
 ここまで主人公が無敵なゲームブックは、他には林友彦のネバーランドシリーズ(ゲーム序盤は弱いが、成長すると後半は無敵)か、「1999年のドラキュラ伯爵」(2009年10月09日の冒険記録日誌で紹介)くらいじゃないかと思います。まあ、ドラキュラの方は同じスーパー頭脳集団アイデアファクトリー作品ですけど。
 世界観はスーパー頭脳集団アイデアファクトリー作品の中では比較的まともな方です。これでゲームバランスが良ければ、自由度の高い普通に遊べる作品になっていたとは思うのですが。あと、拳王の正体についてはもっと掘り下げて欲しかった。「女だったのか→首をコキッ」じゃ後味が悪いだけじゃないか。
 ただ、リプレイでは遭遇しませんでしたが、女剣士を相手に奇をてらった攻撃と称して下半身丸出しで戦うとか、ところどころ妙なシーンがあるのは、さすがは平凡な作品など作らないスーパー頭脳集団アイデアファクトリーというところです。
 それにしても、このシリーズの他の未読作品も見たいと思う私は、この謎の製作集団の魅力に中毒してきたのかもしれません。認めたくはないけどな。



2015年02月24日(火) 烈拳カンフー大冒険(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店) その5

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないでください)

 2度目のプレイ。
 最初の木人との戦いは8勝10敗で、前回と同じ辛くも試練突破の結果だった。
 今回は情報収集より、すみやかに敵陣に乗り込むこと優先にしよう。
 最初の町では外をぶらつくことなく宿でぐっすり眠り、目が覚めると一目散に拳王の根城に向かう。
 今回は東側から乗り込もうとすると、深い谷に道が途切れて、吊り橋が伸びている。吊り橋を渡りきったところが東の門らしい。
 吊り橋を警戒して、谷を降りていく選択肢を選ぶ。途中まで降りると、崖の反対側(根城のある側)に出っ張った岩が見えてきた。この岩にならギリギリ飛び乗れそうだが、そのまま谷底まで降りるか?岩に飛び移るか?
 岩に飛び移ると、なんと岩はハリボテだったらしく。君は崖下に真っ逆さま。幸いなんとか助かったようで、大けがによる能力ダウンはあったものの、一日の休息だけで復帰できた。それにしてもギャグみたいな罠だな。

 老夫婦の営業している茶屋にたどり着いたので、旅の用事を聞いてくる彼らに今度は拳王を倒しに行くと正直に宣言した。
 するとお婆さんが愛想よく、団子でも食べてゆっくりしていきなさいと、団子ののった盆を君に差し出してくる。

 これは……毒だろうな。

 警戒して、団子を食べずにお土産に持って帰るという選択肢を選んだが、なんとお茶の方にも毒があったらしく、結局、老夫婦によって毒殺されてしまった。
 ちくしょう。最初のプレイなら毒消しを入手していたのになぁ。


 再々挑戦で続く

 


2015年02月23日(月) 烈拳カンフー大冒険(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店) その4

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないでください)

 狼に襲われたと精いっぱい情けない声で門を叩くと、突然の夜の闖入者に兵士たちは面白がって中に入れてくれた。
 すると突然、一本の鎌がこちら目がけて飛んでくる。
 すかさず習得した酔拳の動きを使って、腰を抜かしたフリをしながら鎌をかわす。奥からゴロツキ風の男がのっそりと現れて、床にささった鎌を抜く。
「すまん、手がすべった。おい、こいつを休ませてやれ」
 乱暴な奴らだ。兵士たちに案内されたのは物置だった。せんべい布団にくるまって、兵士たちが寝静まるまで寒さに耐えていたが、気配を感じて飛び起きる。さっきまで寝ていたせんべい布団に鎌が突きささった。さっきの男がニヤリと笑っている。
「やはりな。もう田舎芝居は通用せぬぞ」
 ここで戦闘になったが、強そうな前フリの割に相手は弱くてあっさり勝利。その次は身の丈2メートルの大男との戦闘になったが、これも酔拳を使ってあっさり退治。しかし、兵士たちによって囲まれ多勢に無勢で捕まってしまう。
 翌日、兵士たちによって闘技場に引き出されると、主人公と同じ捕まった若い男と戦わされ、次は20匹くらいの狼の群れを放たれたが、これもやっつける。
 戦闘に次ぐ戦闘できりがない。狼の放たれた檻の入り口から地下道に駆け込み、鉄格子をひん曲げて逃亡する。
 どんどん進んでいくと壁が鏡ばりの迷路みたいな場所に迷い込んだ。ここで、どこかから攻撃を受けるが相手の姿がよく捉えられない。相手はボクシングのように構えた痩せ型の男のようだが、無数の鏡像に惑わされてしまう。
 サイコロを使った戦闘なら負ける気はしないが、この戦闘のように一部の戦いはサイコロを使わず、選択肢で進行するのだ。目をつぶって気配をさぐろうとしても駄目。攻撃をうけて体力がガリガリ削られて0になってしまい、負けてゲームオーバー。


 再挑戦で続く


2015年02月22日(日) 烈拳カンフー大冒険(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店) その3

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないでください)

 旅を続け、拳王の根城の近くの小さな町へ到着した。
 ここで一日ゆっくり休養をとるため、木賃宿に泊まって旅装をとく。
 ここで、もう寝るか、町を散策するかの選択肢なので、町をぶらついてみると、ヨボヨボのお爺ちゃんがゴロツキ風の数人の男らに絡まれているところに行き会った。無視するか、助けるか、見ているかという選択肢なので、ここは様子をみるため見物することにした。
 老人は酔っぱらっているようで、のらりくらりとしている。それでいて、殴りかかってきた男たちの拳をかわし、偶然のように伸ばした足は男を転倒させ、酒徳利を抱えた肘はタイミングノ良い肘打ちとなって男に当ててしまう。
「これが酔拳か……」
 君はそうつぶやくと、老人をまねて体をくねらせ始めた。[技の入手欄に“酔拳”と記入]
 そのあと、“老人に教えを乞う”を選ぶことにし、老人と手近な居酒屋で2人で飲み直すことになった。
「おまえはカンフーじゃな」
 老人と杯を重ねていると、老人が出し抜けに君を見据えて言い、カンフーの心構えについて語り始めた。もしかするとカッコいいシーンなのかもしれないが、大阪あたりの安い居酒屋で、隣から絡んでくるおっちゃんみたいなイメージである。
 拳王を退治するならわしの全ての技を伝授してやろうという老人。ところが徳利を盆にのせて近寄ってきた居酒屋の老婆が、隠し持っていたサイで老人の咽喉を切り裂いてしまった。
「拳王様にたてつく輩はこのおばばが始末してくれるわ」
 初戦闘となったが、所詮は年寄なのかあっさり勝ってしまった。[“サイ”を入手。]それにしてもあっさり退場したな、老人。
 再び旅を続ける君に道端で通行料と称して、金を要求してくる小僧がいた。太極拳の使い手らしいが、所詮は小僧。戦闘でこれもあっさり勝利して、飯屋で事情を聞きながら諭してやった。[ここで“太極拳”の技も入手。]
 さっきからえらく簡単に技を習得できるな。主人公は能力コピーの達人なのか?

 次に古びた寺では住職と戦闘してこれも完勝。10歳くらいの少女を救出。[感謝の印に“毒消しの薬”をもらった。]
 その後、武者修行中の鎖鎌使いから果し合いを挑まれたがこれは無視して、山道を選んで拳王の根城を目指す。
 やがて沼のほとりに老夫婦が営んでいる茶屋にさしかかり、休んでいるとおばあさんに旅の目的を尋ねられた。敵か味方かはわからないが、ここは用心して拳王の手下になりにきたと嘘をついて早々に立ち去った。
 拳王の根城はもう目前らしい。
 根城に潜入するには、東西南北の4つの方角のどれかから入ることが出来るようだ。
 とりあえず西の門を目指してみる。潜入しやすい夜を待って行動する方を選んだが、門にたどり着く前に狼の群れが襲ってきた。少々怪我をしたもののサイコロ戦闘なしで楽々蹴散らす。
 門には拳王の配下の兵士どもがいるが、ちょっとした大群だ。警備の手薄な夜ということで、このまま強行突破する選択肢もあるが、ここは狼に襲われたと言って助けを求めるフリをして潜入する作戦に変更する。


続く



2015年02月21日(土) 烈拳カンフー大冒険(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店) その2

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないでください)

 木人の洞窟は薄暗く静かな洞穴で、中はそこそこ広かった。
 目を慣らしながら慎重に進んでいく。足元で音がするので下を見ると、足に鎖が引っ掛かっていた。
 ガチャッ、ガチャッ!
 伸ばされた鎖が複雑にぶつかり合って連鎖する音が反響して洞窟中にこだまする。
 何かの人影が近づいてくる。木人だ。木の丸太の手足でこちらを攻撃してくる。カラクリとは思えない複雑な動きで攻撃してきた。

 ここで木人戦だけの専用ルールの戦闘を開始。
 サイコロを一つ振って、木人が回し蹴りや中断突きなど、どんな技を繰り出すかを判定し、次に自分の為にサイコロを一つ振って、どんな技で応戦したかを判定。それぞれの技を専用の対戦ダイヤグラムで見て、勝敗を決定するという流れだ。
 この対戦は18回繰り返し、その勝利回数で6つの結果に分岐する。


('A`)イキナリメンドクセー


 技の名前がついても駆け引きの要素はないので、ようするに延々をサイコロをするだけだし、6回の対戦で十分ではないだろうか。引き分けは振り直しなので、24回くらいは繰り返さなくてはならない。
 そもそも導入部分だから、普通の戦闘ルールのチュートリアルみたいな戦闘にすればよかったのに。それとも、これくらいの面倒さに耐えられないと、その後は戦えないよと読者に警告を与えているのでしょうか?
 ブツブツ文句を言いながらも戦った結果は、勝ち9回、負け9回という平均的な数字で、試練を辛うじてくぐり抜けたという内容でした。その後の選択肢は正解を選んだようで最後の攻撃も見切って、金剛券の奥義を極めた主人公は、木人の洞窟を出て打倒拳王の旅に旅立つのでした。
 ここでスタート時より見切り力、スピード、パワーが7点増加。体力は5点増加。木人戦との結果が良ければ、さらに5点ずつくらい上乗せできていたようです。スピードとパワーは、ファイティングファンタジーシリーズの戦闘でいう技術点みたいなものなのに、かなり豪快に変動するなぁ。こんなんでゲームバランスの調整ができるのだろうか……。

 
 続く


2015年02月11日(水) 烈拳カンフー大冒険(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店) その1

 烈拳カンフー大冒険は、エキサイティングゲームブックの15作目の作品。このレーベルの紹介は久しぶりだなぁ。オラ、なんだかわくわくしてきたぞ。
 なんといっても、スーパー頭脳集団アイデアファクトリーという謎の集団が生み出した、このゲームブック作品群は、崩壊したゲームブックバランス、ふっとんだ世界観、無駄に複雑なルール、シュールな文章と4拍子そろったうえで個性派揃いなのです。一言でいえばバカゲーで終わるのですが、そのぶっ壊れ具合が並の凡作を超越しているので、一部のゲームブックファンには愛されているという、いわばビデオゲーム界でいうDECOゲーみたいな奴ですな。
 このシリーズを好きと言う人は重度のオタクに進化している証拠(のめり込んだ人が一般人には理解できない作品まで好み始めるのは、サブカルチャーの趣味ではよくある現象)だと、以前から私は睨んでいたので、最近徐々にこのシリーズに惹かれつつある自分に少し憂鬱だったりします。

 気を取り直して本作の解説をしますと、タイトルでわかるとおりカンフー映画の世界をモチーフにした作品であり、当然ながら物語の舞台は、少し昔の中国の地方みたいな雰囲気です。
 ゲームブックブーム当時はジャッキーチェンの酔拳を始めとするカンフー映画が、まだまだ流行っていましたからね。ゲームブックの題材として、ありそうでなかった作品といえるでしょう。他にカンフーが題材のゲームブックといえば、双葉のファミコンゲームブックに少しありますが子ども向けだし、本格的なのは二見の「タイガー暗殺拳」(2002年7月の冒険記録日誌を参照)くらいでしょうか。いや、あっちの主人公は忍者なんですけどね。一応。
 ストーリーはゲームブックの王道パターンで、周辺の村々からみかじめ料を奪って住民を苦しめる荒くれ集団の本拠地に主人公が単身乗り込み、彼らを束ねている拳王を倒すというもの。
 個人的には復讐劇とか、カンフーの達人の家に住み込んで修行の日々とか、無銭飲食をして店の中で大乱闘騒ぎとか、カンフー映画あるあるをもっと入れてほしかったところですが、酔っ払い爺さんが実は酔拳の達人というベタなキャラは登場しますし、主人公も敵も店の店主もみんな当然のようにカンフー使いという世界観は再現されていてニヤリとします。
 今まで、パラパラとナナメ読みした程度なので、今回はちゃんと遊んでみたいと思います。

 さて、まずは主人公の設定ですが、見切り、パワー、スピード、体力の4つの能力値を決めます。
 戦闘ルールは結構独特です。手順を紹介すると、(1)主人公のパワー+サイコロ2個と敵のパワー+サイコロ2個でパワー比べ。(2)主人公のスピード+サイコロ2個と敵のスピード+サイコロ2個でスピード比べ。(3)パワーとスピードの勝敗を、用意された勝敗表にあてはめ、その結果に従い、敵か主人公の体力を1〜3点減らす。(4)どちらからの体力がなくなるまで1から繰り返し。というもの。
 とにかく1ラウンドにサイコロ2個を4回も振る必要があるのがかなり辛い。パラパラと本書をみた限りは、体力10点程度の敵が10人も並んでいる読者虐めみたいな戦闘シーンもあり、戦闘が終われば主人公とともに読者もヘトヘトになる気持ちを共有できるシステムとなっています。


('A`)メンドクセー


 この煩雑さはどうにかならないものでしょうか。
 いっそ全て戦闘は勝ったことにして遊ぼうか、という誘惑もあったのですが、この作品のゲームバランスがどうなっているかも確認したいところ。
 そこで今回は主人公のパワーとスピードの能力値を7点減らして遊ぶことにしました。
 戦闘では、パワーとスピード比べは主人公の能力+サイコロ2個で敵の数値と比べて処理する(つまり敵の分のサイコロは常に7の目が出ると仮定する)のです。これなら戦闘で振るサイコロの回数は半分ですみます。
 それから見切りの能力は、戦闘中に任意で消耗することで敵にダメージを与えることができます。戦闘以外にも敵の不意打ちをかわせたか等の判定にも影響するので、多用すると後々苦しくなるという、ファイティングファンタジーでいう運点みたいな存在です。
 とりあえず、能力を決定してゲームを始めましょう。

見切り力 12点
スピード 9点(本来は16点)
パワー 4点(本来は11点)
体力 12点
所持品・装備 特になし。

 出立に先立ち、カンフーを学んできた老師に拳王退治の許しを願いでると、老師から秘拳・金剛拳を習得するため、木人の洞窟なるところで試練を受けるよう命じられました。
 おお、このシュチェーションは!
 タイトルは忘れましたが、昔見たカンフー映画でも、この手の試練を受ける展開があった記憶がありますよ。
 映画では通路をふさぐ熱い巨大香炉を火傷覚悟で動かしたり、両側から迫ってくる壁に押しつぶされる前に走り抜けようとしたり、リアルなゲームみたいな感じがしてワクワクして見ていたもんですが、木人の洞窟には何が待ち構えているのでしょうか?


 続く



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