冒険記録日誌
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2013年12月31日(火) 銀の塔の巨人族(R・L・スタイン/近代映画社)

 インディジョーンズのゲームブックシリーズ3作目にして最終巻。(最終巻と言っても1〜3巻同時発売だったようですが)やはり分岐小説タイプの作品です。
 今度のストーリーは、インディと親しい教授がチベットの山中で、伝説の巨人族を探索に向かったまま行方不明となり、教授の娘からのSOSにインディが救出に向かうというもの。山中には雪が積もっており、雪山登山のサバイバル気分を味わえます。
 本作もインディと一緒に冒険する少年が主人公という設定は変わらないのですが、今回は教授の娘が案内役として同行している分、少年の出番が食われている気が。主人公の存在感が薄すぎて、選択肢では少年というよりインディを直接動かしている気分にすらなります。

 冒頭では、現地まで飛行機をチャーターしていくか、徒歩で行くかの選択肢があります。常識的に考えれば、飛行機しかありえない気もしますが、ベタな冒険映画なら墜落する展開かもしれないと思うと、悩ましい選択肢です。実際に初プレイでは飛行機を選択したのですが、当然のように墜落しました。(笑)
 今回もいろんな展開が用意されており、巨人族の存在自体が嘘だったというものから、巨人族に出会って歓待されたものの発生した天災で巨人の街が滅んでしまうという切ないものまで、真実もまったく変わっていきます。
 一番映画的な意味で盛り上がりそうな結末は、巨人族代表の大男とインディが銀の塔のてっぺんで決闘をする展開だと思いますが、このルートにたどり着く方法がなかなかわからずかなり苦戦しました。この決闘は意外にも他愛もない方法で決着がついてしまうのですが、インディ流のユーモアが感じられてよかったです。 
  
 不満点は同じパラグラフを延々繰り返す、いわゆる無限ループのゲームオーバーが存在すること。ただ洞窟を歩いているだけで、洞窟から抜け出せない無限ループに入り込んでしまうのです。無限ループそのものは悪いわけじゃありませんが、幻術の力が働いているとか、時間の流れが違うとか、それらしい理由と伏線をつけてほしいもんです。


2013年12月30日(月) シバの女王の秘宝(ローズ・エステス/近代映画社)

 インディジョーンズのゲームブックシリーズ2作目です。
 主人公はインディ・ジョーンズ本人ではなく、彼と一緒に冒険をする少年という設定は変わりませんが、1作目の少年とは別人のようです。考古学者であり科学者でもある父をイタリアのファシスト達に誘拐された少年は、インディの協力を得て、父の救出と父が研究していた古代遺跡の財宝「シバの女王の秘宝」を探し求めるという冒険になっています。
 また、ルール的には前作同様に単純な分岐小説タイプで、いろんな結末が用意されています。ただし、前作のような展開によって財宝の正体が変わることはありません。
 舞台はエチオピアで、序盤から中盤にかけては古代遺跡までたどり着くまでは、砂漠を横断したりとロードムービー的な冒険が続きます。ルートは大きくわけて2つありますがどちらでもクリアは可能です。外れルートを選んでも救済処置が多く、のびのびと選択肢を選ぶことが出来ます。それにバッドエンドとなってもすぐにやり直せるボリュームですし。
 私的にはインディと喧嘩した地元民の男が、どことなくギャグキャラっぽくて好きでした。事件とは全然無関係にもかかわらず、巻き込まれてなし崩し的にインディ達に協力する羽目になったり、自信満々に「俺にいい考えがある」と言い出し、そのとおりにするとバッドエンドとか、憎めないけど役に立たないヘタレ具合がね。
 父の救出のみ成功するなど、ハッピーエンドの中でも、今回もいろんな結末が用意されていますが、シバの女王(女王のミイラ)と対面できる結末は一つだけです。シリーズ中では唯一、ベストエンディングというものがはっきりわかるため、到達したときに一番達成感を感じる作品でした。


2013年12月29日(日) 恐怖島の呪い(R・L・スタイン/近代映画社)

 この夏に国会図書館に行った時に、インディ・ジョーンズ・シリーズのゲームブックを借りて遊んだのですが、本書はその1巻です。
 近代映画社のゲームブックは翻訳ものばかりでして、他にも騎士と魔法使いシリーズと007のシリーズもありますが、どれもパラグラフ番号が100ちょいで本が薄っぺらい感じです。
 そのくせ、販売価格はパラグラフ400前後のものと同じですから、コストパフォーマンスが良いとはお世辞にも思えません。このインディ・ジョーンズ・シリーズにせよ、原作ゲームブックは17巻まであるようですが、翻訳は3巻で打ち切られていますから、当時はさほど売れなかったのではないでしょうか?
 しかし、近代映画社のゲームブックは、今となってはコレクター向けには人気があるようで、amazonでも高額で扱われています。10年くらい前のヤフオク相場は1500円〜2500円あたりだったはずですが、この年末にヤフオクに何冊か出品された時は、平均1冊1万円を軽く超える価格で落札されていました。
 騎士と魔法使いシリーズで私が唯一持っていない「サラリンダ姫を救い出せ」なんて18,000円越えでしたからね。欲しかったのですが、さすがに手が届きませんでした。まさかこんなに高騰するとはパオト神だってビックリでしょう。

 さて、本書の感想ですが、世界観についてはインディ・ジョーンズという有名な映画を原作にしてるので説明は不要でしょう。どの巻もゲームブックオリジナルのストーリーで、主人公はインディ・ジョーンズ本人ではなく、彼と一緒に冒険をする少年という設定です。
 ゲームバランス的には、遊ぶ前は作者が騎士と魔法使いシリーズと同じことから、あれと同じように、理不尽な即死バットエンドの選択肢が続くものかと思っていましたが、意外にもいろんな幅広い展開が用意されていて何度も楽しめる内容でした。基本的に単純な分岐小説といっていいですが、騎士と魔法使いシリーズで採用されていた、読者が今何曜日に読んでいるか?等で分岐する判定もまれにあります。
 始めは薄っぺらいゆえ国会図書館では、クリアするだけならすぐに読み終わると思っていたのですが、一度クリアしても再プレイで全ての展開を体験したくなり、結局読み終わるのに1冊あたり45分くらいかかりました。
 「恐怖島の呪い」では、インディと少年の2人が「黒檀の鳩」という財宝を求めて南海の孤島に向かうのですが、ゲーム冒頭の港のシーンからいきなり銃撃されてアクションシーンです。終盤までこの敵との追いかけっこは続きますが、なんで襲われているのか最後まで遊んでもよくわからなかったなぁ。同じ財宝を巡るライバルの盗掘者というところだろうか。
 冒険自体は船で島に渡って、原住民と交渉をし、ジャングルや洞窟を探索するという、映画でもおなじみの展開が続きます。
 いろんな展開が用意されていますが、展開次第で最終目的である「黒檀の鳩」の価値も変化しており、評判通りの財宝から、金銭的にはガラクタ同然なものなどバラバラです。原住民が島のいたるところに「黒檀の鳩」の複製品を無数に飾り付けていて、本物がわからなくなっている結末が私は好きでしたね。「どれが本物か一つ一つ探してみるか?俺はごめんだ」と、インディが肩をすくめたりして。皮肉っぽいオチはいかにもインディ・ジョーンズです。
 さすがに、本書を高額で入手する必要はコレクター目的以外ではないと思いますが、作品自体は面白いです。“アドベンチャーゲームブック”という言葉がまさにぴったりくるゲームブックと思います。


2013年12月22日(日) ループ・ゴールドバーグ・マシンである人間の魂(ケヴィン・ブロックマイヤー/ランダムハウスジャパン)

 「ゲームブックにはまだまだ可能性がありそうですし」と山本弘さんがブログで仰っていましたが、具体的にはどんな新しい可能性があるのでしょうか。
 ゲームブックの新境地と言えば「送り雛は瑠璃色の」をあげる方は多いでしょうし、私的にはドラゴンファンタジー(現グレイルクエスト)シリーズはゲームブックであるからこそできるユーモアを開拓したと思っています。
 しかし、今後はあるでしょうか?理想はいっても実際のところは、出尽くしているのではないか?
 そんな考えになった方に可能性の一例として、今回紹介する作品はいかがでしょうか。

 「ループ・ゴールドバーグ・マシンである人間の魂」は、「第七階層からの眺め」というSF短編集に収録されている作品で、ゲームブック仕立てとなっています。
 普通の本の中の一編にゲームブック作品が混ざるというのは、日本ではライトノベルやコミックで、作品の番外編的にゲームブックが収録されることは、まれにありますが、海外作品では珍しいですね。もっとも、あっても単に日本にまで翻訳されてないだけかもしれませんが。

 いずれにせよ、本作品のゲームブックシステムは特にルールのない単純な分岐小説ですが、ゲームブックとしては特殊です。なんといってもゲームとして目指す目的がないのですから。
 物語は現代に住む主人公の平凡な一日を描いているだけです。選択肢の内容は、休日だが外に散歩に出かけるか?家で過ごすか?とか、時間つぶしに本を読むか?メールを打つか?といった他愛のないものばかり。
 1人でとりとめのない考え事をしながら、友人や知り合いに会えば何気ない会話をしながら、ゆるゆると一日が過ぎていきます。
 そして途中で主人公は心臓発作を起こして唐突に死にます。
 バッドエンドかと思ってやり直しても、やはり心臓発作を起こして死にます。
 どんな選択肢を選んでいても心臓発作を起こして死んでしまうのです。
 避けられない運命として人生最後の一日を味わうゲームブックともいえ、ある意味ドラマティックです。しかし、核戦争が起きたとか病気の末期など、あらかじめ人生の最後がわかっているなら、読者もどう最後を迎えるべきかと選択肢に悩むかもしれないのに、この作品では主人公は突然死が襲うとは知らないので本当に淡々と物語が進行します。

 そして主人公が発作を起こすと、全ては同じ最終パラグラフに進んで終わりです。
 結末は不思議な気分にさせてくれる内容ですが、SFのアイデアとしては決して珍しいものではありません。ネタバレを避けているので説明しにくいですが、おそらく普通の小説として主人公の日常生活を描写しただけでは、結末を読んでも平凡な印象しか残らなかったでしょう。
 ゲームブックでは主人公が読者であるので感情移入しやすく、また人生最後の行動を自分で選択してきただけに、この結末には感慨をかきたてられます。これはゲームブックという形式を利用したことで成立する文学作品ですね。
 なおタイトルにある仰々しいループ・ゴールドバーグ・マシンという言葉は作中には登場しませんが、巻末の解説によると、無意味に複雑な仕掛けや装置を指す言葉だそうです。そういえば作中では、何気ない日常行為に対して主人公の心理描写がよく書き込まれていますが、このことを表現しているのでしょうか?
 ゲームブックとしては簡素ですが、考え始めると深くなる作品です。

 


2013年12月20日(金) 今また語ろう、ゲームブック!

 12月14日に東京で行われた「魔界の滅亡」発売記念による創土社のゲームブックファン感謝祭ですが、mixiの方で参加した方が様子を語られています。
 現地で語られていたいろんなトリビア話しやサインの画像なんかもアップされていて、なかなか楽しそうな様子だったので羨ましい。もう今度こんな機会はないのじゃないだろうか?

 そして今度は12月27日に大阪で、山本弘さんと安田均さんによるゲームブックイベントですよ。やはりこちらも自分は参加できないですが。
 山本弘さんのブログによると、こちらは「超時間の闇」発売記念だそうです。ゲームブックについて「まだまだ可能性もありそうですし」と嬉しいこと言ってくれますね。
 個人的には参加して安田均さんへの質問ができるものならば、発売されなかったデュマレスト・ゲームブックの3巻以降はどんな構想をされていたのか聞きたかった。
 他にはネオゲーム文庫などグループSNEで出るゲームブックの今後の予定とかは聞けるかもしれませんね。

 く〜。イベントがもう一年早ければなぁ。自分もあかさんがいなければ東京だって大阪だって参加したかもしれないのに。
 悔しいので、イベントに参加する旅費よりはマシと思って、ゲームブックのプレミア古本をつい何冊か買っちゃいました。頭を冷やすために、来年は新刊以外のゲームブックの購入は控えます。


2013年12月19日(木) 最近遊んだゲームブック

 新刊の作品や最近の冒険記録日誌に紹介したものを除き、最近遊んだゲームブックプレイ記録は、次のとおり。

「ファラオの呪い」(創元推理文庫)
 ゴールデン・ドラゴンファンタジーの一作で、このシリーズは古き良き西洋ファンタジーな世界観が素敵なうえ、サイコロを使った戦闘がある割にルールが簡潔なので、どの作品も数年おきに遊んでいます。
 この作品は、シリーズ6作品の中でも2番目くらいに簡単と思っているのですが、最近のプレイでは終盤の悪魔との戦闘で運悪くピンゾロを振ってしまい即死攻撃を受けてEND。

「オホーツクに消ゆ/北海道連鎖殺人」 (双葉文庫)
 ファミコン原作の刑事ものアドベンチャー。前にプレイしたのに、細かいストーリーや犯人を忘れてしまったので、新鮮に遊べました。自分の記憶力のなさに万歳。
 プロローグを読み返すと主人公のくたびれた中年刑事が、今の自分より年下だったのを知り、ちょっぴりせつない。

「パールハーバー大空海戦」(新星出版社)
 戦争シュミレーションゲーム。知り合いの軍事おたくに貸しっぱなしになっていたのですが、数年ぶりにそれが返ってきたので再プレイ。この作品はまだこの日記で紹介してなかったのでいずれ改めて感想を書くかも。
 この作品を遊び直して、少しだけこの手のゲームブック熱が再燃したので、同社の「ノルマンディー上陸作戦」の方も最近入手しました。

「ムー帝国の興亡 ムガーラ・クリスタルの謎」(学習研究社)
 再プレイじゃなく、某人気ブログに以前、とんでもゲームブックとして紹介されていた作品で、その方はこの作品をロクに読んでない様子だったので、汚名をすすぐべく購入したもの。
 序盤は遊んだのですが、字も小さくびっしりで、深層心理の解説とかもあって、いろいろな理由で読む気がしなくて今のところ挫折……。万が一クリアしたら私もネタとして紹介します(笑)

 他にも007のゲームブックとか数作あるのですが、拾い読みだったり、印象が薄かったり、まだこの日記で話題にしてないので、もっとやり込んでからちゃんと紹介したかったりです。
 一度この日記で紹介したようなゲームブックなんかでも、お気に入りのものは時々繰り返して遊んでいます。アメリカのスティーブジャクソンの作品のようなクリアできるルートが多いものや、ダービースタリオンのゲームブックのように、ゲーム性があるのに手軽に遊ぶことができる作品が多いですね。
 来年こそは積読状態になっている超大作やがっつり腰を据えて遊ぶタイプのゲームブックにも挑戦したいところ。


2013年12月14日(土) ついに電子書籍デビュー?

 今まで電子書籍というものに距離を置いていた私でしたが、職場の忘年会のくじで大当たりが出てKindle端末が当たってしまった。
 うん、素直に嬉しいぞ!嬉しいのだが、「状況が許してくれるなら携帯電話だって持ちたくない」と普段から言ってるような私が、もっと言うと未だにゲームブックを現役で遊んでいるような私が使いこなせるだろうか?(困惑)
 でも、軽いビブロフィリアである私であっても、別に紙の本と電子書籍が共存したっていいわけです。いい機会だし、ヒャッホーと喜びながら受け取った手前もあるので、頑張って使ってみます。

 とりあえずは、長編SFのデュマレスト・サーガ、その中でも日本では出版されなかった幻の32巻「The Return」と最終巻である33巻「Child of Earth」を、端末の翻訳機能に期待して購入するつもり。
 実は両方とも原書の実物は持っているのですが、「The Return」の方はとても入手が困難で苦労しました。こんなレアな本がKindle版なら日本のアマゾンであっさり買えるようになるとはいい時代になったものです。電子書籍万歳というべきかな。

 あとは仕事に役立ちそうな本と、退屈しのぎにちょうど良い感じの小説を数冊というところ。
 それにゲームブックも1つ2つくらいは挑戦したいとも思うけど、パッと検索しても意外と対応するゲームブックがない。
 そういえば電子書籍でゲームブックを遊びたいならiOS端末一択、と書いてあるのをどこかで見た気もします。でも、持っているのはKindle端末だからそれをいってもしょうがないか。
 私としては電子書籍版でゲームブックを遊ぶなら、過去の名作より新作の方がいいですね。その方が妙な先入観をもたずに遊べそうです。


2013年12月07日(土) もう12月

 そろそろ新年に向けて準備をしなくちゃいけない時期になりました。今年は家の方でいろいろあって特に前半は大変だったけど、やっと落ち着きました。
 
 趣味関係での年末の準備はやはり本の整理。いろいろ本を買ったりしているうちに、本棚の前面にも本が平積みになったりと、またぐちゃぐちゃになってしまいましたから。
 あふれる本は売るなり捨てるなり処分を考えなくてはいけない。つらい作業です。
 さりとてブラッドソード5巻でダウンロードしたデータがあるのにわざわざプレミア価格で実物の本を買ったくらい、本そのものを愛好する私としては、本を裁断して自炊などは絶対ありえない選択肢です。※
 それに、限られたスペースにお気に入りを厳選して詰め込んでいくのは、パズル感覚で結構好きだったりします。そうやって自分の趣味がギュッと凝縮された本棚を眺めるのもね。

 今年は21世紀になって初めてじゃないか?というほど多くの新作ゲームブックを買うことができて大満足な年でした。
 一方でブーム当時の古本のゲームブックは価格が高騰しているようで、ものによってはヤフオクで10年前なら2・3千円の相場で買えたゲームブックが、今は軽く1万円を超える異常事態。まったくと言っていいほど競り合いに勝てません。今週のヤフオクなんか、100パラグラフ程度のゲームブック1冊に恐ろしいことに4万円前後の値がついた落札が2点ありましたよ。そのうちの一冊は、昔私も持っていた本ですが、肝心のゲーム内容がいまいちだったので、ゲームブックの交換の時に相手の方におまけで差し上げたんですよ。勿体なかったかな?(笑)
 これだけ値が上がるのはゲームブックブームから30年はたって、現在は古本屋などの発掘が困難だからでしょうか。昨年の春ごろ、神戸に用事があったついでに半日かけて、10数件の古本屋を探索したのに1冊のゲームブックも発見できなかった経験もあります。

 新しく積読のゲームブックが増えたり、眠っていたゲームブックを遊んだりもありましたが、今年の購入したゲームブックの数と、今年実際に遊んだゲームブックの数は大体同じです。
 創土社のゲームブックは「魔界の滅亡」で一段落したのか、今後の近刊予定で個人的に楽しみにしてる作品は特にないです。高額プレミアゲームブックの購入も財政的に避けたいのと、収納スペースの節約も兼ねて、来年は入荷はお休みして、積読状態のゲームブックをメインに消費していきたいところ。

 よし決めた!

 
 来年の目標はゲームブックを買わないことだ!







 …なるべくね。どうしても欲しいもの以外はね。










※ めんどくさい自炊作業をしても、きっと読まないだろうという理由もあります。DVDを買っても元が取れるまで見ないだろう的な意味で。
 それに自分の場合は、今まで電子媒体で移植されたゲームブックを遊んでも、別物という感覚がありました。
 でも、一回読んだら十分な本や、勉強用や実用書、(タブレットが翻訳の手助けになる)洋書には便利かもと考えているから、ダウンロード販売の電子書籍は今後利用する可能性はあるかな。


2013年12月03日(火) 魔界の滅亡入手しました。ついでにゲームブックについて考えてみました。

 「魔界の滅亡」を入手しました。
 鈴木直人さんの現在の後書きは、たぶん購入したほとんどの方が真っ先に読んだであろう箇所でしょうね。
 読むとゲームブックという存在について、いろいろ感慨深いものが湧いてきました。

 特に「ある意味、“ゲームの隙間の時代”に少し流行したゲームブック」という文中の言葉は確かに理解できるのですよね。ゲームブックブーム当時の私や私のまわりにとって、ゲームブックはファミコンの代用品という存在でしたから。
 最近の私は、ゲームブックをゲーム機のハードの一種と見立てて考えることが多いのですが、例えばゲームブックブーム初期時点での携帯ゲーム機は、ゲームウォッチでした。私も「マンホール」や「タートルブリッジ」あたりは遊んでいましたが、さすがにゲームウォッチならスペック的にも勝てそうです。
 ブーム最盛期に重なる頃の、初期のファミコンやパソコンソフトでは、まだまだバックアップはパスワードでしたし、パソコンは読み込みが遅かった。アドベンチャーやRPGといった、表現力などゲームブックが得意とする内容でなら負けない勝負ができていたと思います。値段だって一冊とゲームソフト一本では、当時は圧倒的にゲームブックが安かった。
 そしてスーパーファミコンやゲームボーイが出たあたりから、ゲームブックの人気が徐々に衰えたのも、ゲームブックが古いハードになってしまったということではないかな。

 他に後書きにあった中で「すでに読んだことがある人しか手にとらないだろうという確信がある」のくだりは、そのとおりとは思うけど、まったく本屋でみかけないなら「みんな知らないから知っている人しか買えない」とも言えると思うぞ。
 もしも「都会のトム&ソーヤ ゲーム・ブック 修学旅行においで」とか「バニラのお菓子配達便!」みたいに店頭で普通に並べられるなら、ドルアーガの塔という有名な原作ものでもあるわけで、人気とまではいかなくても新規の方の興味を引くことも多少は期待できそうです。昔のように「遊ぶものが手元になかった時代」ではないので、みんながが手に取ることはないでしょうが、趣味趣向が広がっている現代だからこそ、ゲームブックそのものを気に入る人が中にはいてもおかしくはないでしょう。鈴木直人作品なら質は問題なし。ある意味、アナログソロゲーム究極の作品ですよ。
 ただ、最終巻まで出していただけただけでも感謝すべきというか、田舎の本屋では創土社さんの本を注文することすら苦労する経験をしたばかりなので、仕方ないかもしれません。
 都市部の本屋なら、平積みなんてしてくれる店もあるのだろうか?
 もっとも、新規に読む方向けのメッセージも鈴木直人さんは書かれています。やっとシリーズが揃ったことですし、新規の方も手に取られるといいですね。

 さてさて、後書きの次に大半の人が確認したのは、創元推理文庫版に比べ「魔界の滅亡」がパラグラフ数が大増量されていることで、どこがどう変わっているのかのチェックと、虎井安夫さんの新規イラストがあるのかでしょう。
 私は旧版を未プレイですし、私が書かなくても、そういった比較はどこかのサイトさんが取り上げるだろうと思うので、予定通り正月休みにゆっくり遊ぶことにします。
 ただ、「魔界の滅亡」発売に備えて、数年前の入院中に創土社版の1・2巻をクリアしていたのに、そのときのアドベンチャーシートを紛失してしまいました。また1階からしっかりサイコロを振って遊ぼうかな。私は鈴木直人さんの言う3パターンに当てはまらない、稀有な現役ゲームブックプレイヤーですからね。(笑)

 最後に一つ。今年はファミコン誕生30周年だそうですが、来年は日本発売のゲームブック30周年です。※1
 そして現在でもゲームブックの新作や復刊が出ていることは、さっきのゲーム機に見立てる話しならば、ある意味ファミコンより凄いハードですよ。※2
 確かにゲームの隙間に生まれたけど、ひょろひょろ結構しぶとく生きてるじゃないですか。このままベテランハードとして、堂々と長生きして欲しいものです。




※1 朝日ソノラマの「出発!スターへの道」が、日本初のゲームブック単行本と見立てての話しです。

※2 そうなると現在、携帯アプリや電子書籍にゲームブック作品が移植されるのは、最新のゲーム機で昔のゲームソフトが遊べる3DSのバーチャルコンソールみたいな感覚でしょうか。


2013年12月02日(月) 深海の悪魔(スティーブ・ジャクソン/社会思想社)

 この作品はすでに2002年04月07日の冒険記録日誌で感想を書いているのですが、10年以上も経過すると日記の書き方も変わり、作品に対する新たな感想なども出てくるものです。それでこの作品に対してももう一度書きたいことができたので、再びとりあげたいと思います。

 「深海の悪魔」はファイティングファンタジーの一作品であり、アメリカのスティーブ・ジャクソンの作品です。シリーズお馴染みのタイタンの世界の話しですが、海中が舞台というのが変わっています。
 海賊達によって海につき落とされた主人公が、幸運にも水中で呼吸する魔法を受けることができ、海中世界を探索しながら海賊どもに復讐する方法を探すという内容です。
 この作品はファイティングファンタジー作品の中では珍しく、クリアが簡単すぎるという評価を受けることが多いようです。
 それは海中で沈没船を泳いで探索したり、人魚やイルカたちと交流するとか、ゆったりとした感じを受ける独特の世界観のせいもあるかもしれません。それにクリアには黒真珠を沢山集めるのが必要なのですが、入手する方法はいくつもあり、力押しでシードラゴンなどの強敵を打ち負かしていくだけで割と簡単に入手できるからだと思います。
 海賊達を降伏させるベストエンディング以外にも、複数のベターなエンディングが用意されているので、黒真珠がなくても他の方法でなんとかなる救済処置が多いのも難易度が低いと感じる要因でしょうね。
 ただ簡単なのは事実ですが、もしもこの作品を「簡単すぎてゲームバランスが悪い」と考えている人がいたら「それは間違っている!」と、ここで力説しておきます。
 なぜなら、この作品はファイティングファンタジーのルール説明にある「最小限の能力値でも真の道を通ればクリアができます」を本当に実践している貴重な作品だからです。
 このルール説明は有名にもかかわらず、残念ながらファイティングファンタジーシリーズの多くの作品では守られていないのです。
 比較的このルールを守っているものは米英双方のスティーブ・ジャクソンの作品くらいですが、イギリスのスティーブ・ジャクソンの方は真の道以外のルートはデットエンド確定になる作品も多いのが難点。これはこれで、自由に冒険できるというゲームブック本来の意義や能力値の意味が薄れると思います。
 他の方の後期のファイティングファンタジー作品にいたっては、真の道以外はクリア不能なうえ最低技術点10以上は必要とか、酷い時には、技術点12・体力点24・運点12で遊ぶことを前提に製作していないか?と疑ってしまうくらいの作品がありますからね。

 「深海の悪魔」は技術点7、体力点14、運点7で始めた場合でも、真の道を見つけることができれば、ベストエンディングも達成可能です。
 このルートに発生する戦闘は決して少なくはないものの、比較的弱い敵を相手にするだけですみます。また、パワーまかせのプレイでは平坦に思えたシナリオも、弱いキャラクターで真の道を探していくと、終盤のクラーケン戦がクライマックスとして自然に位置づけられてくるのがわかります。まともにクラーケンと戦えば敗北が決定的でも、道中に戦闘に役立つアイテムやイベントが散りばめられているのを手に入れていくと、最低能力でもクラーケン相手にギリギリ有利に戦えるようになっているのです。
 この作品は最低能力値のキャラクターを基準にゲームバランスを調整していると言ってもいいでしょう。
 ランダムで能力値を設定するゲームブックの場合は、能力が高ければ高いほどクリアができるルートは広がるので攻略に有利、しかし初期値の能力が低くてもクリアは可能という、本作品のようなものが、本来理想とするべきゲームバランスじゃないかと思うのですが、そうなっているのはアメリカのスティーブ・ジャクソン作品以外には、ソーサリー(戦闘以外で対処できる場面が多い)、ティーンズパンタクル(検証したところ、初期値の能力ポイント計が最低値+2以上なら安定してクリア可能)、ブラッドソード(ルール上の能力値は固定ですが、仮に死人が出て戦力ダウンしたパーティーでも真の道ならクリアできる)などがあるものの、残念ながらあまり多くないですね。

 というわけで、ゲームブックブーム当時に遊んで、この作品に物足りなさを感じた方。試しに技術点7、体力点14、運点7で遊んでみてください。かなり歯ごたえを感じる作品になって新鮮に遊べると思いますよ。もちろんベターエンディング狙いなら、さらにクリア可能なルートは増えます。いろいろ試してみてください。一応正解ルートは、2008年08月の冒険記録日誌に書いてあります。
 面倒なので戦闘は全て勝ったことにしてサイコロを使わないというプレイヤーも実際多いご時世ですが、出来ればこういったパッと見には気づきにくいゲームバランスにも注目してあげてください。各作品の個性が見えてきて面白いですよ。


2013年12月01日(日) ミラクルタイムアドベンチャー3 かぐや姫と宇宙船のなぞ(藤浪智之/ポプラ社)

 今年も早いもので12月になりました。11月は新刊のゲームブック祭りでしたが、まだ「魔界の滅亡」と「都会のトム&ソーヤ ゲームの館からの脱出」は入手していません。
 「都会のトム&ソーヤ」の方は書店に普通に売っていそうなのでいいのですが、「魔界の滅亡」は注文していた本屋に入荷予定日が未定と未だにいわれています。
 問屋にあたるところでも取引がない出版社だから、時間がかかるとかなんとか。最初に確認したときは注文したこと自体を忘れられていて、次に「取引がない出版社だから注文できるのかな」「いやいやこの前も同じ創土社のクトゥルーアンソロジーをここで注文して買いましたよー」なんて会話もして、のどかな田舎の小さな本屋のエピソードでした。
 やはり田舎ではAmazonあたりに注文する方が無難という教訓かもしれませんが、どのみち正月休みにゆっくり遊ぶ予定だったのでのんびり待ちます。


 さて、本日紹介するのはミラクルタイムアドベンチャーシリーズ第3弾「かぐや姫と宇宙船のなぞ」です。
 1・2作目は今年8月の冒険記録日誌でも紹介しましたが、このシリーズは、ひょんなことからタイムパトロール隊にスカウトされた3人組の子供たちが時代を超えた冒険をするという児童書スタイルのゲームブックです。
 今回の舞台はなんと宇宙船(厳密には宇宙ステーション)の中!
 しかも船内は無人でどこの所属なのかもわかりません。
 理由もわからないまま不気味に放置された謎の宇宙船を3人が探索していきます。
 宇宙船の構造は実在する宇宙ステーションに似ており、ゲーム中にはアポロ計画のような宇宙開発の豆知識もチラホラでてきたり、無重力状態の不思議なども書かれていて、お子さんが読めば知的好奇心も刺激されそうですが、史実とフィクションの区別がわかりにくいかも。
 いっそ学習要素のあるゲームブックとして、このシリーズを整備したらよかったのにと思わなくもないです。
 あと無重力状態で主人公がアスミ(仲間の女の子)にぶつかったとき、アスミが顔を赤らめるシーンが気になりました。今まで主人公のユウキは性別不詳(設定していない)と思っていたのですが、男の子なのかな。いや、本当どうでもいいところかもしれないけど。

 宇宙船の内部と外部の2つのマップを見て、各箇所に書かれているパラグラフ番号にジャンプしながら探索していくシステムは他の巻と大体同じです。ただし、2巻では時間経過の概念があったのに対し、今回は船内で見つけた仲間をつれていくと展開が変わるという仕掛けがあります。怪しい場所は文章中にヒントがでるので、ゲーム攻略でそんなに苦労する箇所はなく、難易度的には1巻と2巻の中間くらいかな。
 ゲームの途中から2つのまったく真実の違うストーリーに分岐するのも、1・2巻と同じ。このシリーズのお約束になってきましたね。ただ、今回はなかなか面白い仕掛けでシナリオが分岐していまして、このアイデアは気に入りました。このあたりは、さすがベテランゲームブック作家というところ。
 どちらのルートにしても最後に謎がとけないと、どちらでもない第3の設定が真実となりバッドエンドです。こちらはなかなかやるせない結末ですよ。
 


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