冒険記録日誌
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2009年11月26日(木) 力道山のアメリカ遠征(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店)

 スーパー頭脳集団アイデアファクトリー第6弾のゲームブックで、テーマはプロレス!珍しい題材ですね。
 私はプロレスは詳しくはないですけど、タイトルに出ている力道山くらいは知っています。世代が違うので、あくまで知っているだけですけど。
 でも、このゲームブックが出版された時は、力道山はすでに故人じゃないでしょうか。ゲームブックファンの年齢層から考えると、ここであえて力道山という狙いがマニアックすぎてわからないなぁ。それとも、発売当時はプロレス人気が今より高かったし、ゲームブックも人気の絶頂期でしたから、あの頃なら需要があったのでしょうか。
 さてはて、この作品は売れたのか?気になります。

 内容を紹介します。主人公は力道山ではなく、彼に憧れてプロレス界に入門した新人レスラー。そんな彼がプロレスの本場アメリカに、武者修行のため遠征にいくという設定です。
 一応、プロレスを知らない人のために、当時のメジャーな世界的プロレスラーの人物紹介や、基本的なプロレス技を解説しています。プロレスの知識のない私は、ここは素直にフムフムと読むくらいにします。

 ゲームはいきなり試合開始のゴングが鳴った瞬間から始まっていました。
 そこからは懐にとびこむか、相手をロープにふるか、ラフファイトの挑発にのるか、ドロップキックを狙うか、4つ手に組んだ状態からアーム・ホイップにいくか、などなど試合での動きにかかわる選択肢のみがずっと続きます。試合の勝敗が決まると次の試合かトレーニングシーンに続き、最終戦で力道山とタッグを組み、その試合に勝利すればクリアというシンプルさ。コミカルな描写なんかも一切なく、非常にストイックな作りです。
 要するにこの作品は、リングの外の人間模様などのサイドストーリーは一切排除しており、純粋にプロレスの試合のみをシュミレートしているのですね。
 対戦相手はいずれも冒頭の蘊蓄で紹介されていた有名プロレスラーですが、相手レスラーが何か喋るわけでもなく、紹介時の描写以外はどの試合相手も単に名前が違うだけの存在になってる気もします。もしかすると試合運びは、モデルになった実在プロレスラーの行動パターンをシュミレートした展開になっていて、わかる人にはわかるような緻密な作り込みになっているかもしれませんが。ここは、スーパー頭脳集団アイデアファクトリーの見識の高さを信じて、そうゆうことにしておきましょう。

 ゲーム性ですが、主人公には5つの能力(スタミナ・スピート・テクニック・根性・ラフファイト)が設定されており、それぞれサイコロを振って決定します。能力は行動の成否に影響しますが、そんなに判定するシーンは多くないので、クリアするまで一度も使用しない能力があった、なんてことはざらにありました。
 ちなみにサイコロを使用する箇所は、全編を通しても最初に能力を決定するここしかなく、ゲーム中にはランダム要素がないのがなんとも中途半端。それなら能力の決定も100ポイントを自分の好きに割り振るとかにして、サイコロ不要で統一してくれた方が楽で良かったような気がするし、逆にどうせサイコロを使うなら、試合中にもサイコロを使うようにして、ランダム性を出してくれた方がゲーム性が向上して良かった気もします。

 一言で感想を言ってしまうと食い足りない感じ。内容が試合のシュミレーションのみに絞っている点は、これはこれでありじゃないかなと思いますが、それなら繰り返し遊ぶことができるゲーム性という前提で作った方が面白くなったんじゃないかな。
 サイコロと能力値をもっと使用して、自分がどのタイプのレスラーかを自覚して戦法が変えなければならないとか、今回はハイリスクハイリターンな戦法に賭けてみるべきか判断をせまられるとか、トレーニングで能力強化した結果が次の試合でもっと実感できるようにするとか。T&Tソロシナリオの「カザンの闘技場」(戦闘のみで構成された剣闘士シュミレーションゲームブックみたいな内容です)のようなイメージで。
 いろいろ不満点を書きましたが、フォローしておくとトンデモ系な作品ではないので普通に遊べますよ。逆にトンデモな内容を期待していた人には別の意味で残念かも。まー、力道山云々という設定自体がトンデモともいえなくもないのかな。


2009年11月25日(水) 伊賀忍法 必殺!(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店) その3

(ネタバレ注意!重大なネタバレは避けましたが、プレイ予定の方は判断のうえお読みください)

 鷲の足に捕まった私と炎の2人は、夜空に舞い上がって城に接近していく(ここでサイコロを振って分岐)が、今夜は月夜。雲一つさえぎるものがない月の光が、仇となって番兵に発見されてしまったようです。
 物見櫓から銃声が轟いてきました。
 まずいな、と考えた瞬間には鉛玉が鷲に命中して、地面に落下してしまいます。
 幸いにも軽傷ですんだものの、こうなると仕方がない。炎にうなずくと奴は嬉々として火薬玉を掴み、遠投のかまえをとります。ここから門まではゆうに100メートルの距離がありますが、強肩の炎にはまったく問題がないのです。
 数条の赤い糸が闇に弧を描いたかと思うと、門が落雷でもあったかのような大音響とともに爆発しました。壁は崩れ落ち、あたりは火の海。無傷だった番兵たちも、爆風に地面なぎ倒され呻いています。
「おいおい、炎。忍びの人間にしてはやりすぎじゃね?」
「どのみち見つかる前提ならば、思いきり派手にやった方が効果的というもの。奴らが混乱している間に走りぬけましょう」
 私たちは一気に駆け出します。騒ぎを聞きつけた侍たちがこちらの方に向かってきました。
「あっちにもいるぞー!」
 突然の別方向からの大声に侍たちがそちらに振り向く。そのスキに2人とも大きく跳躍して塀を飛び越して潜入に成功しました。大声はもちろん、私の遠話の術の仕業です。

 庭を走り抜ける私は罠に足をとられて、木の枝に逆さずりになってしまう。仕掛けられた何本もの矢が飛んだきたが、身をよじって大半は避け、最後の一本は相棒が刀で矢をはじき飛ばし、ことなきをえました。
 屋内に入いると正綱の城は、城というよりは忍者屋敷のように道は入り組んでいます。天井裏を通る方法もあったが、あんなに派手にやったあとは素早く行動した方がいいだろうと判断して、廊下をつききっていく。隠形の術を使えば、壁抜けをしてショートカットもできるという選択肢は、仲間の分も合わせて術を1度に2回分消耗するらしいのであきらめました。
 落とし穴にかかるわ、敵の忍者に目つぶしをくらうはと、大変な目にあいながらも、なんとか奥に進んでいくと、正綱の寝所に到着します。
 以外に早い到着だったな、しかし無防備すぎないか?と訝しみないがらも、ふすまを開けようとして飛びきます。指先に悪寒が走り、体の動きがうまくとれません。ふすまにしびれ薬が塗ってあったに違いないです。
「その程度の罠にひっかる未熟な腕で忍び込むとはのう」
 敵の忍者が3人、天井から音もなく周囲に降り立った。そのうちの一人は歌舞伎役者の女形かと見間違えるかのような眉目秀麗な優男風の姿でした。
「丈太郎どの。ここは拙者一人で十分でござる」
「いやいや丈太郎どの。それがしに花をもたせてくだされ」
 しびれ薬に割れそうな頭をかかえて転がりながらも、残りの2人が優男にそう問いかけるのを聞いて緊張します。風魔丈太郎といえば、風魔一族の若頭です。
 しかし、なさけないことに自分はなにもできません。丈太郎は部下に始末を任せることに決めたようで、2人の敵忍者と相棒の炎との戦闘になりました。
 炎は戦闘力の高さを存分に発揮して、雑魚忍者どもを打倒しました。そのあいだにしびれもとれた私も加勢して、残った丈太郎に立ち向かおうとします。
 手裏剣を投げるとそれは丈太郎の体にあっさりと突き刺さって、大量の血しぶきが飛び散ります。その返り血が自分の体にかかると、生き物のように血が這いまわり、鋼の綱のように締め付けてくるではないですか。あまりの激痛に意識がとおくなります。

 気がつくと相棒も私も床に寝ていました。部屋にはもう敵の姿はなく、ただ片隅に丸太が一本転がっておりさっき投げた手裏剣が突き刺さっていました。
 どうやら丈太郎の幻術に惑わされたようです。そのうえ、私たちを放置したままとはコケにされたとしか思えません。一旦引き返す選択肢もありましたが、それではこちらの誇りにかかわります。
 怒りに燃えて、隣の正綱の寝所に飛び込んだ私たちが見たものは、寝ている正綱でした。あの騒ぎのあとでも!?
 寝ていた正綱は跳ね起きて床柱の方へ逃げだそうとしますが、すかさず手裏剣の雨を降らします。正綱は絶命しながらも何やら床柱にあったヒモを引っ張ります。
 すると、轟音とともに天井が下がってきます。周囲も鉄格子が勢いよく下がり、完全に綴じ込まれました。
「愚か者めが。さっかく正綱殿は他におわすことを暗示してやったのに罠にはまるとは」
 あざ笑う丈太郎の声が聞こえてきます。やはり影武者だったようです。
 今は吊天井の罠から脱出しなくては。ここで城の見取図があるかと選択肢がありましたが持ってません!
 他に脱出する唯一の方法は、仲間を見捨てて隠形の術で一人脱出することですが、ここにくるまでの戦闘ですでに使用して残ってないのです。押しつぶされては不死鳥の術で復活もできません。
 残念ながらここで任務失敗です。

END


******


 このまま再プレイした続きも書いていってもいいのですが、似たような展開を繰り返す感じになってしまったので、やめておきます。
 パラグラフ数が325しかないだけあって、それほど長い話しではないのですが、ゲーム性としてはバットエンドに続く同じルートの流れにハマりやすく、クリアするまで結構手こずってしまいました。
 クリアできるかはルートからの抜け道をいかに発見するかにかかっています。クリアしたときは土竜源之助という部下を相棒にしたときでしたが、このときは相棒の特殊能力を使ったので、他の部下が相棒だった場合の正解ルートは未だにわかっていません。
 そのかわりといってはなんですが、能力値は低くてもあまり問題なさそうです。予想通り、瞳幻の術と隠形の術がかなり強力なので、大抵の場面はどちらかの術で対処できます。これから挑戦する人は、消費体力が大きいのをフォローする意味で、体力回復の術も合わせた3つの術を多めに用意しておくといいかもしれません。


2009年11月24日(火) 伊賀忍法 必殺!(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店) その2

 まずサイコロをふって能力値を決定します。能力の決め方は技術(サイコロ1個+6)、体力(サイコロ2個+12)、奸知力(サイコロ1個+6)です。
 運点が奸知力に変わった以外は、FFシリーズの能力とほぼ同じですね。
 奸知力はどんな能力かというと、ずる賢さを表すと書かれていますが、よくわかりません。遊んでいればおいおいわかるでしょう。
 能力が決まりました。

技術点   7
体力点  14
奸知力点 11

 ひどい能力だな。今回はたけたろうが主人公じゃないんだがな……。数値の高い奸知力点は用途がよくわからないし。
 続いて忍術の選択です。10種類の忍術から技術点+3の数だけ、自由に選ぶことができます。一つの術を3つ・4つ選んでもいいし、まんべんなく広く選んでもいい。今回は初回だし、術がちょうど10回しか使えないので全部の術を一回ずつと決めましょう。
 忍術の内容は以下のとおり。

瞳幻の術……………相手に幻覚を見せる術。消費体力5。
隠形の術……………壁や石材に同化して姿を隠す術。消費体力4。
不死鳥の術…………死んでも生き返れるという凄い術。ただし復活したときは、体力と技術は原点の半分になっている。
鷲寄せの術…………鷲を呼び寄せる術。鷲にのって空を飛ぶことも可能。消費体力2。
蛸吸いの術…………壁や天井に吸いつくことのできる術。壁のぼりに便利。消費体力2。
百面相の術…………変身の術。ただしモデルとなった人が死んでいるか意識がないときにしか使えない。消費体力1。
遠話の術……………好きな場所から自分の声を発生させる術。消費体力1。
技術回復の術………技術点を半分の量だけ回復する術。体力は消費しない。
体力回復の術………体力点を半分の量だけ回復する術。
体力分配の術………自分の体力を減らして仲間の体力を回復する術。

 
 回復系の術が原点の半分回復とは、バルサスの要塞の魔法と似ているね。忍術の大半は体力まで消耗するから、体力の回復の術の回数は多い方がいいかも。体力分配の術が使えるかは、仲間の活躍の機会がどの程度用意されているかによると思う。
 瞳幻の術と隠形の術は、同じレーベルのゲームブック「忍法タイムチェイス」に登場する未来の忍者の末裔も使用してた。消費する体力点の量まで一緒。一般的なゲームブックだと幻影魔法はそんなに強力ではないが、「忍法タイムチェイス」ではどちらの術も一撃必殺の奥儀だったので使えると予想できます。
 ところで正綱の城には風魔一族という忍者集団が用心棒として雇われているらしいのですが、「忍法タイムチェイス」にも風魔一族が登場していました。もしかしてあちらはこの作品の続編?あっちの主人公はこっちの主人公の子孫かもしれませんね。
 
 最後に行動を共にする仲間を3人の中から1人選びます。自分の技術点が低いので戦闘力をフォローする意味で、もっとも技術点の高い<炎平九郎>を選択します。こいつは火薬の扱いは一流らしいですが、単細胞なので隠密行動は苦手とのこと。

<炎平九郎>
技術点   9
体力点  12
奸知力点  6

 残りの2人の部下に待機するように命じると、炎と城の西側の庭園に忍び込んだ。
 「やはりこれが一番手っとりばやいと存ずるが」
 炎が懐からいくつも火薬玉を取り出して並べ始めます。炎を仲間にしたときの最初の選択肢は景気よく門番をぶっぱなして潜入するか、鷲寄せの術を使って上空から潜入するかだそうな。
 いくらなんでも最初くらいは気付かれないように穏便に潜入したいです。短く口笛を吹いて、2羽の鷹を呼び寄せます。


続く


2009年11月23日(月) 伊賀忍法 必殺!(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店) その1

 スーパー頭脳集団アイデアファクトリー作品、第7弾のゲームブックは、忍者ものです。
 忍者とはなかなか珍しい題材です。他のゲームブックで忍者が主人公というと「タイガー暗殺拳」と「忍者への道」の2作くらいでしょうか。
 前者はカンフーや超人的忍術を使う忍者という“外人が何か勘違いしてる系忍者”、後者は比較的真面目に歴史資料を参考にしたと思われる“現実路線系忍者”だと作風を表現すると、この作品は“少年漫画系忍者”といえそうです。
 なぜなら、ゲーム中の使用できる10種類の忍術が、催眠にかける「瞳幻の術」、姿を隠す「隠形の術」、鷲にのって空を飛べる「鷲寄せの術」、自分の声の発生地点を変える「遠話の術」など、いかにも白土三平や山田風太郎あたりの漫画に登場しそうな感じなのです。
 ストーリーの方も、主人公は家康に仕える服部半蔵を頭目とする伊賀忍者の一人という設定がそれっぽい。今回の使命を説明すると、大阪夏の陣が終結し天下を盤石なものとした徳川家康に対して、藤岡三郎正綱という越州の武将が家康を暗殺しようと企てていることが発覚。表ざたにせずに決着をつけるため、逆に正綱を暗殺するべく君が選ばれた!というものです。
 能力値や戦闘システムなどのゲームシステムについてはFFシリーズと大体一緒といえばわかりやすいと思います。忍術については、使える回数に制限があって、どの忍術が何回使用できるかを、キャラクター作成時に決定しておけなければなりません。このあたりは「バルサスの要塞」の魔法システムに近いです。(ルールだけでなく、冒険の目的も同じ暗殺であり、敵の居城に潜入するところからゲームが始まるところまで一緒のため、和風バルサスの要塞といっていいかも。ただし妖怪は登場しませんし、正綱は亡き太閤秀吉への忠義のため、大阪の役で卑劣な手段をとった徳川家康に敵対しているという人物なので、勧善懲悪的な悪役ではないです)

 もう一つ、特筆すべきゲームシステム的な特徴は、主人公に3人の部下がいることです。主人公は3人の中から1人を相棒として選んで、常にペアで行動しなければなりません。
 相棒は主人公と同じく技術点がや体力点が設定されていて、戦闘にも加わります。戦闘力は高いが喧嘩っ早くて隠密行動が苦手な奴とか、水中での戦いが得意な奴とか、部下には個性があってなかなか選びがいがあります。
 この相棒の存在と予め使える忍術を決めておくルールのため、どんなキャラクターメイクをして、プレイを開始すればいいのかを考えるのがなかなか楽しく、ゲームを開始する前から期待させられました。
 さっそく、ゲームを始めてみましょう。


2009年11月22日(日) ゾーヤブレイク3 ゾーヤの記憶(テイチクレコード)

(ゾーヤブレイクシリーズの物語の基本背景)
 1920年の出来事です。ボールマン博士という人物が、テレポートの実験を試み、失敗しました。その日以来、実験台になった4歳になる孫娘のゾーヤの姿を見たものはいません。ゾーヤは、潜在意識のみの存在となって、いくつもの時空に飛び散ってしまったのです。

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 ゾーヤブレイクシリーズ第三弾であり完結編。
 この「ゾーヤの記憶」は、前2作とはストーリー性もゲーム性も大きく変わっています。トラック数(ゲームブックならパラグラフ数)は、前2作と比べると3分の1程度しかなく、ゲームブックの構造としても極めてシンプルです。
 それから今作では「イグモ」という重大な新設定が登場します。あんまりよく理解できなかったのですが、イグモとは5000年前から存在した潜在意識のネットワークシステムです。ほとんどの人間はその存在すら知らないものの、例えば睡眠時にみる夢はイグモの影響なのだそうです。ボールマン博士はこのイグモの存在を早くから理解していた数少ない一人で、彼のテレポート理論もここから始まっています。
 主人公はこのイグモの世界を冒険するわけですが、潜在意識の世界が舞台だけあって、切れ切れの夢の中をめぐるような内容になっています。
 学校の廊下で友達と立ち話しをしていたかと思えば、「イグモシステムが接続しました」というナレーションと共に、「何色の扉を開けますか?」などの抽象的な選択肢を聞かれ、気がつけば海岸に佇んでいるという不条理っぷり。つまり各トラック(パラグラフ)が全てバラバラのシーンになっていて、連続したストーリーになっていないので、ゲームブック形式であることに無意味さすら感じてしまい、途中からサーチボタンも押さずに普通に流して聞くことにしました。
 終盤ではついにゾーヤと対面することができたのものの、セリフがないせいか感慨は薄かったかな。悲運の少女ゾーヤの秘密がついに明らかに!……なったような、余計に謎が残ったような結末。このシリーズの存在自体がレアすぎて、今さらこのCDを聞く人がいるのかは疑問ですけど、一応ネタバレになるので書きません。
 CDの解説書にはエッシャーの絵のようなヘムルート式建築物など、ゾーヤブレイクの世界の用語解説が少しばかりと、物語中で聞き手が連想したイメージを基にした心理テストの診断結果が載っています。この3作目にはちょっと不満が残りましたが、思えばこのシリーズは、ゲームブックと心理テストとリラクゼーションCDがミックスされるという不思議な企画でした。ゲームブック以上にマイナーな存在(あの膨大な情報量を誇る“ゲームブック倉庫番”にも昔は載っていなかったので、当時の管理人にお願いしてこのシリーズを入れてもらったくらい)ですが、聞いた人はかなり印象に残ったようで、mixiにも少人数のコミュニティが成立していました。極少数にしか理解されないような内容と思いますが、このシリーズを聞いてよかったと思っています。


2009年11月21日(土) ゾーヤブレイク2 夢を見る石(テイチクレコード)

(ゾーヤブレイクシリーズの物語の基本背景)
 1920年の出来事です。ボールマン博士という人物が、テレポートの実験を試み、失敗しました。その日以来、実験台になった4歳になる孫娘のゾーヤの姿を見たものはいません。ゾーヤは、潜在意識のみの存在となって、いくつもの時空に飛び散ってしまったのです。

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 「夢を見る石」とはゾーヤブレイクシリーズ第二弾の作品です。一作目の「マンフレットの館」の感想は2002年06月17日の冒険記録日誌に書いています。
 ゾーヤブレイクシリーズは、普通の音楽CDの形態で発売された、ゲームブックになっているドラマCDです。物語が分岐点になると、サーチ機能の早送りで指示されたパラグラフに移動する仕組み。この手の作品は双葉社のテレホンアドベンチャーなど、他にもないわけでもありませんが、それでも珍しいです。

 一作目は、そのテレポート実験が行われたボールマン博士の住処、マンフレットの館でゾーヤを探すというものでした。ここで出会えたのはゾーヤの記憶の断片でしかなく、物語はこの「夢を見る石」に続くわけです。
 「夢を見る石」では日本にあるどこかの町を舞台にゾーヤの意識を探すことになります。そこはゾーヤのテレポート実験の転送先として予定されていた場所だからです。
 厳密にはゾーヤ自身の捜索というより、ゾーヤの意識がこめられている5つの「夢を見る石」を探すことが今回の目的です。CDの解説書には、大正時代のある女学生が書き残した日記という体裁で、事件にまつわる背景設定を間接的に説明しています。

 ゾーヤを捜索するといっても、ゲーム中の行動は並木道を散歩したりバスに乗ったりレストランに入ったりと単なる町の散策みたいな感じ。町の森林公園がアマゾンの奥地みたいだったとか、シュールな展開もよくありますが、不条理さは前作ほどではないかな。
 前作とのゲーム的な違いはゲームオーバーが廃止されていること。どのルートを辿っても最後はエンディングに到着します。ただし多くの石を発見するルートを辿らないと、真のエンディングには到着しないようになっています。
 ノーマルエンドの場合、終盤が軽い心理テストのようなものになっていましたが、当時はゲームブックだけでなく、心理テストも流行っていましたよね。まさに廃れたジャンル同士の夢の共演!と書くとなんか嫌ですね。
 いずれにしても、神秘的な曲と女性の穏やかな声のナレーションが全編を通して流れており、それを聞いているだけで癒されてくるのは今作も一緒です。ゲームブックCDというより、リラクゼーション系のCDといった方がいいかもしれません。


2009年11月20日(金) たけたろうの冒険番外編 ──天界の迷宮編 その5──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないでください)

 見知らぬナシクさんの助言にしたがって、分岐は左を優先して通路をどんどん進んでいきます。
 時間ポイントはその間も経過して、55まで消費してしまいました。60になったらゲームオ−バーですよ。今回の冒険はもう絶望的なのでしょうか?
 不安のあまりキョロキョロしているうちに、豪華な内装を施された部屋に到着しました。そこにいた人影に思わず目をこすります。そこには、ともみ(シータ)とムスカがいるじゃないですか!2人は私にも気付かず激しい言い争いをしているようです。

「鬼ごっこは終わりだ!終点が玉座の間とは、上出来じゃないか」
「これが玉座の間ですって!ここはお墓よ、私とあなたの。あなたには石は渡さない!」

 えーと。何か主人公を無視して勝手にクライマックスになってますねぇ。
 なんとなく居心地が悪い思いをしながら見ていると、ともみが飛行石のペンダントを振り上げました。まさか!
「ともみ!待って」
 私の制止も気付かずともみは滅びの呪文を唱えました。
「バルス!」
 あたりは光に包まれ、大崩壊が始まります。私は悲鳴をあげながら、無我夢中で飛び交う瓦礫から逃げ回ります。
 崩れた石壁に体に叩きつけられた衝撃に意識が遠くなってきました……。


 気がついたときは一人でした。気を失う前になんとか建物部分よりは安全な、木の根の中に飛びこめたようで、おかげで命だけは助かったようです。運よく無傷で残っていた凧を発見すると、上昇を続けるラピュタを脱出し空に飛び出します。
 助かりましたけど、気分はどん底でした。ともみを見殺しにしてしまうとは何とも後味の悪い終わり方です。
「兄貴!」
 空耳?いや、違います。声の先には、ドーラおばさんたち空中海賊のフラップターが、浮いていました。そこに仲間たちと一緒に、ともみがこちらに向かって手を振っているのが見えるじゃないですか。思わず涙が出そうになるのを堪えて手を振り返します。
 これでハッピーエンド。よかった、よかった。
 ただね。今回の冒険で、私って何も役に立っていなかったような気がします……。

END


2009年11月19日(木) たけたろうの冒険番外編 ──天界の迷宮編 その4──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないでください)

 ともみもドーラおばさんたちと一緒に捕まってしまい、私一人になってしまいました。
 困りました。救出は一旦保留にして探索をしましょう。いえいえ、怖くなったからじゃないですよ。下に降りる道がよくわからないですし、一人で無謀な特攻をするより、ラピュタ内を捜索して役に立つ武器やアイテムを手に入れた方が建設的じゃないですか。本当ですってば。
 マッピングをしていないので適当に道を歩いていくと、時間ポイントが容赦なく加算されていきました。まずいですね。このままじゃ、ウロウロしているだけでゲームオーバーになりそうです。

 そのとき、少し遠くから人の話し声が聞こえました。そっと近付くと国防軍の兵士が2人がこちらに向かって歩きながら会話をしているところでした。近づいてくるにつれ会話の内容まで聞こえてきます。
「へへ、ここは宝の山だぜ」
「ドーラが狙うのも無理ないな」
 ここでの選択肢は4つ。「戦う」「逃げる」「隠れる」、それから「ナシクという人物に聞き覚えがあるなら」と聞かれますが、残念ながら会ったことがありません。
 というわけで、慌てて近くの巨樹の根に体を伏せて息をひそめます。
 お願いです。お喋りに夢中になっているうちに、ここを通り過ぎてください!
 そのとき、手で押さえていた木の枝が、小さな音をたてて折れてしまいました。あぁ!なんてお約束な展開!
 見つかってしまった私は飛び起きると、今度は「逃げる」を選択します。右に逃げるか、左に逃げるかの2択。右を選ぶと兵士に追いつかれてしまいました。もう戦うしかありません!

兵士1  機知ポイント:2  根性ポイント:3  体力ポイント:10
兵士2  機知ポイント:3  根性ポイント:2  体力ポイント:9

 この戦闘は一人ずつを相手にするそうです。機知ポイントはFFシリーズの戦闘でいう技術点みたいな扱いで、対する私(パズー)は初期装備のナイフ一本しか持っていないので機知ポイントは1点のままです。わかっていましたけど不利な戦いですね。
 ちなみにダメージを受けたキャラクターは、サイコロを振り根性ポイントを使って成否をチェックします。私が根性チェックに失敗した場合は受けるダメージが2倍になります。敵が根性チェックに失敗した場合は……。
「うぎゃぁあ!お助け〜」
「お母あちゃん〜」
 2人とも一撃を与えただけで、根性チェックに失敗して逃亡してしまいました。(ルールでは敵は根性チェックに失敗すると逃げ出すそうで、戦闘は勝利扱いになります。ただし一部の強敵は、根性ポイントの設定がなく逃亡しません)
 予想外のあっけなさに呆然とする私。この戦いで体力が2点減ってしまいましたが、この程度ですんで御の字です。
 戦闘を終えると私の脳裏にナシクの言葉が蘇ります。

―――いいか、坊主、しばらく進めば、大きなホールにでる。そこから先は、とにかく左に進むんだ……。

 って、私はナシクって人を知らないのですけど?バグなのかなんなのか謎の回想シーンでしたが、見知らぬ人のこの貴重な情報はありがたく戴くことにしましょう。


続く


2009年11月18日(水) たけたろうの冒険番外編 ──天界の迷宮編 その3──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないでください)

 巨樹に近づくと、またロボットの姿が見えます。その足元には石版が立っているのに気がつきました。
 「お墓のようね。字が読めるといいんだけど。あ、お花が供えてある」
 きっとロボットがしたのだろうと傍のロボットを見上げると、様子が違うようです。
 「兄貴。これさっきのロボットじゃないわ」
 ずいぶん昔に壊れたロボットです。体が草木に覆われ、足元も草原に縫い付けられています。
 ふと気配を感じて振り返ると、最初に会ったロボットがこちらに向かってかがみ込んでいるではないですか。そして私たちに花を差し出していました。
 「お墓にそなえる花を摘んできてくれたの?ありがとう」
 ロボットの肩にはリスのような小さな生き物が乗ってじゃれあっています。うららかな日差しに平和な光景。
 気分がなごみますねぇ。アニメの名シーンを体験できたせいか、なんだか元気が出てきましたよ。(体力値を初期値に戻す。時間チェックを1つ追加)

 いつまでもこの庭園で過ごしたい気分でしたが、そんなわけにもいきません。冒険を再開した私たちはすぐにまた爆発音を耳にします。
 庭園の縁まで走って下を覗き込むと、飛行戦艦ゴリアテがラピュタに横づけして停泊しているのが見えました。爆発で開けた壁面の穴に2本のタラップがかかって、次々に兵士がラピュタ内に下船していきます。モウロ将軍とムスカの率いる国防軍が到着したのです。
 「ともみ、あそこ!」
 「みんな捕まってるわ」
 空中海賊のタイガーモス号のまわりには兵士がぐるりと取り囲み、縛られたドーラたちが一列に座らされています。
 「助けなきゃ」
 ともみが下に向かおうと駆け出します。ここでは木の根を伝って下っていくか、通路の階段を降りていくかの2択。
 「待って、ともみ!木の根を下るのは危険ですよ。階段を使いましょう」
 木の根を使うよりはましですが、階段は城壁の外側に設置されているので、足を滑らせると遥か下界に真っ逆さまに落ちてしまいます。慎重に下っていくと、その階段も崩壊に巻き込まれて途中で崩落している箇所で足が止まります。これ以上進めません。(時間チェックを5つ追加)
 気が進みませんが、やはり木の根を伝って下っていくしかないのですかねぇ。
 悩みましたが周囲を見渡して、ジャンプすればギリギリ手が届きそうな場所に窓があるのを発見しました。
 気合いを入れて窓枠に飛び移ってよじ登り、窓の中に入ると、ともみにこっちに来るように合図します。ともみもジャンプして―――落ちました!
 「ともみぃ!」
 慌てて下に目を向けると、幸運にもともみは下で不時着していたタイガーモス号のやわらかい気嚢の上に落ちたようです。べちょん!とでも擬音をつけたくなる格好で落下したともみに怪我はないようでした。しかしこれで、ともみも国防軍に捕まってしまったようです。(時間チェックを1つ追加)

 まいりましたねぇ。しかし、ここで焦ってもしかたありません。
 1人になったのは痛いし寂しいですが、ドーラたちと一緒にともみも助ければいいだけです。先に進みましょう。


続く
 


2009年11月17日(火) たけたろうの冒険番外編 ──天界の迷宮編 その2──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないでください)

 「戦う」「逃げる」「様子を見る」の3択なので、ここは様子を見ることにします。
 せまってくるロボットは途中で向きを変えて、私たちの乗ってきた凧に向かって手を伸ばしました。まずいです。凧を壊されると、ここから帰ることができなくなりますよ!
 傍でともみも瞳を潤ませて必死に叫んでいます。
 「お願い、それを壊さないで。それがないと帰れなくなるの」
 うーむ。やっぱり、ともみにシータ役は似合わないなぁ。と思っていたら思いっきり足を踏まれました。
 「こんな非常事態に余計なこと考えてるんじゃないの!」
 こんなやり取りをしている間に、ロボットは持ち上げた凧をそっと脇におろします。凧のあった場所には鳥の巣があったのを見て、ロボットが凧を壊すつもりがなかったことを知りました。
 このロボットには危険な意図はなにも持っていないようです。もしかすると、長い間この場所で園丁として働いているのかもしれません。
 ロボットが歩き出し、特にあてもない私たちは、草木で密林のようになった道の中、ロボットの後をついていくことにしますが、ロボットの足は速く、すぐに姿を見失ってしまいます。
 「同じような道が3つに分かれているよ。右か左か、真ん中か。どうする兄貴?」
 ともみが首をかしげながら、私に尋ねてきます。戻るという選択肢も含むと4つの分岐です。試しに真ん中の道を歩いてみると、すぐに行き止まりになって単に時間が1つ経過しただけでした。

 それならばと、右に進むと密林が途切れて石造りの通路に道が変化してきました。金のリレーフが施された扉を途中で発見。
 「鍵がかかっているわね…。兄貴、体当たりしてみてよ」
 「えー、それならともみも一緒にしましょう。2人でやった方が壊せる可能性が高いですよ」
 「それでもいいけど、なぜかここの選択肢はパズーだけが体当たりするようになっているから。よ・ろ・し・く!」
 そんなわけで、しぶしぶ体当たりをすると扉は軋んだものの、開きません。(パズーの体力を1点減らす。時間チェックを1つ追加)
 ともみが嬉しそうに扉の蝶番を指差します。外れかけてます。もう一回やれという意味ですか…。
 さらにもう一度体当たりする(パズーの体力を1点減らす)と、蝶番の一つが飛びました。3度目の体当たりで扉は吹き飛びます。
 さっそく中を捜索してみると、小さな箱を発見。ともみが箱の文字を読み上げます。
 「眠りの箱と書いているわ。でも鍵がかかってる。どこかで鍵を見つけなきゃ使えないね」
 その時、外から爆発音が聞こえてきました。私は慌てて箱を小脇に抱えると(眠りの箱入手)ともみの手をとって、通路に飛び出します。そのまま巨樹のある方角に向かって走っていくと……スタート地点に戻ってしまいました。ありゃりゃ。(時間チェックを1つ追加)


続く




 


2009年11月16日(月) たけたろうの冒険番外編 ──天界の迷宮編 その1──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないでください)

注)このゲームブック「天界の迷宮」は、アニメ映画「天空の城ラピュタ」の中盤から冒険が始まります。もちろん主人公はパズーとシータですが、このリプレイ報告ではこの日記でお馴染みのたけたろう兄妹に差し替えて実況いたします。


 「ぎゃあああ。落ちるっ、落ちるってば!兄貴しっかりして!」
 「そんなこと言っても!こっちも一生懸命なんですよ!」
 ともみ(シータ役)が、私ことたけたろう(パズー役)の首を絞めてきます。そんなことしても、苦しいだけですから!
 私たち2人の乗った凧は、ゴリアテの強烈な砲撃を受けて、空中海賊のドーラおばさんの船(タイガーモス)から離れていたのです。私たちはそのまま荒れ狂う大気の中にもまれ続けました。
 もう駄目かと、気を失いかけた状態がどのくらい続いたでしょうか。気がつくと、ともみが私の頬を叩いています。顔をあげると、ともみは喜びに満ちた顔で前方を指差していました。その先には、探し求めていた天空の城が見えてきたのです。
 ラピュタの一番上層に降り立った私たちは周囲を見渡します。巨樹が生え、草花が咲き、小鳥が舞っている夢のような空間でした。
 とりあえず、今のうちに装備と能力値を確認します。私たち兄妹ですから、やっぱり最低能力値です。

たけたろう(パズー役)
機知ポイント:1
根性ポイント:2
体力ポイント:8

ともみ(シータ役)
機知ポイント:1
体力ポイント:4

タイムチェック:0(ゲーム中に加算して、60を超えたらゲームオーバー)
所持品:ナイフ、肩掛けカバン

 そのとき、ともみが声にならない声をあげました。大きなロボットがこちらに向かって歩いてくるのです。うわっ、ティディスで見たロボット兵と同じ姿じゃないですか。
 どうしましょう…。

続く


2009年11月15日(日) 天界の迷宮(佐藤大輔/アニメージュ文庫)

 「天界の迷宮」というゲームブックを知らなくても、原作を知っている人は多いかと思います。有名も超有名なジブリアニメ「天空の城ラピュタ」ですから。
 今の時代からすれば珍品もいいところでしょうが、ゲームブックブーム当時は、映画や小説や漫画やアニメやゲーム、要するに人気の作品ならなんでもゲームブック化していましたから、こんな企画も成立したのでしょう。ゲームブックブーム万歳です。
 などと書いていたら、最近でも「名探偵コナン」と「ハヤテのごとく!」のゲームブックが出ていたことを思い出しました。現代も捨てたものじゃないです。その調子で「涼宮ハルヒの憂鬱」のゲームブックとかでたらいいのにな。

 話しがそれましたので本題に戻しましょう。
 この作品の主人公は予想がつくとは思いますが、原作と同じく少年パズーです。
 ジブリアニメ原作ということで割と単純なゲームブックを予想していたのですが、実際にやってみると能力値の管理が必要なうえ、戦闘システムもあり、サイコロを使うのに他のゲームブックのようにサイコロの目を印字しているわけでもない。というわけで電車で読むとかいった、手軽な遊び方は無理でした。
 ルールの解説をしますと、主人公パズーには機知ポイントと根性ポイントと体力ポイントの3つが与えられており、初期値はサイコロで決定します。
 さらに最初からパズーと同行してるシータにも「機知ポイント」と「体力ポイント」がありサイコロで設定します。シータは戦闘には参加しませんが、罠を回避するときにはパズーとは別に機知ポイントを使って回避行動の成否を判定しますし、2人で扉に体当たりすればシータも体力を失い、体力が0になったらゲームオーバーです。要するにパズーとシータ、2人分のキャラクターを管理するつもりで遊ばなければなりません。
 あと時間経過の概念があって、寄り道をしすぎたり、休憩(任意で時間を経過させる代わりに体力が回復させることができる)をやりすぎて、時間がたちすぎるとゲームオーバーです。

 ゲームを始めてみますと、ラピュタに不時着したパズーとシータのところへ、庭園を管理するロボットがやってきてパズーたちの乗ってきた凧を退けようとする原作の名シーンからスタートしていました。
 そのイベントが終わってからは、本書のタイトル通り迷宮のようなラピュタの内部をひたすらさ迷う展開になります。ほとんどこの迷宮シーンがゲームの中心。たまに国防軍の兵士との戦闘や、武器などのアイテムが入手できる部屋や、仲間の空中海賊と合流するイベントなどが発生し、宿敵ムスカのいる場所へ到着すればゴールという感じです。
 中にはただの行き止まりで時間だけ消耗する道や、扉を開けた先が崩れ落ちていて空中ダイブする羽目になってゲームオーバー、というひどい仕掛けもあって意地悪です。
 ただ、基本的に一方向に話しが展開するので、同じ所を延々と迷い続ける展開は少ないのが救い。マッピングしなくても私はクリアできました。とはいえ双方向的な箇所もあるので、マッピングすればもっと楽にクリアできるかもしれません。
 難点をあげると、原作アニメを見ていない人には意味がわからないことが多いかも。ゲームスタート時点までのストーリーがごく簡単にしか説明されていないのもありますし、ゲーム中はずっとパズーの一人視点なので、シータがさらわれてムスカとやりとりしているシーンなどがカットされているので、ゲームブック版だけでは物語の全体像はつかめないと思います。クライマックスでも滅びの呪文が何の伏線もなく唐突に登場するように見えてしまいますし。なによりムスカの名セリフ「人がゴミのようだ」が見られないのが残念でした。
 良いところとしては、クリアのために必須の入手アイテムが存在しないので、クリアへ至る展開の幅は広く、自由な冒険が楽しめるのは結構いいです。先ほどのシータとムスカのやりとりにしても、ゲーム中にミスをしなければシータが最後までムスカに捕まらない展開もありえます。ムスカが生き残る形でのハッピーエンドまで用意されているので、原作ファンは一見の価値があると思いますよ。


2009年11月06日(金) 図書館からの脱出(奥谷道草/白夜書房)

 「図書館からの脱出」は、パズル雑誌クロスワードランド12月号に掲載されているはみだしゲーム(ミニゲームブック)です。何度も繰り返しいっていることですが、今でも新作のゲームブックが雑誌で定期的に連載されているというのは凄いことですね。

 さて、この「図書館からの脱出」の内容は、簡単にいうと何やら不思議な図書館からの脱出ゲームです。
 迷い込んだ舞台となる図書館は、迷路みたいで、人気がなくてどことなく不気味な雰囲気。スポーツ系の本がある部屋は床がトランポリンになってるとかシュールな光景も数多く見られて、気分はもう不気味の国のアリス。
 ゲームブック作品で例えると「ドラゴンの洞窟」のストーンマーテン村をさ迷っているときのような気分がしなくもありません。14に行く心配(デットエンド)はないですけど。はたきがけをしている赤毛の女性なんかは、なんとなく「ドラキュラ城の血闘」に登場するシンデレラ・ロンパーを連想してしまいました。
 各部屋にはテーマ別に本がギッシリつまっているので、遊ぶ時は「童話の部屋」とか「哲学書の部屋」のような部屋ごとのテーマもメモしながらのマッピングがお勧めです。お勧めというより、クリアへの難易度がまったく変わるので必須です。
 ただ、頭を捻るタイプの謎かけはないので、マッピングさえすれば、あまり迷わずにクリアできるともいえます。どこそこで発見したキーアイテムを特定の部屋にもっていけば道が開くといった繰り返しなので、パズルというよりはTVゲームのRPGみたいなゲーム性に近いと思います。

 はみ出しゲームはパズル要素の強い迷路型ゲームブックというのが特徴ですが、今回は謎解きよりはこの不思議世界を味わうことこそが、メインの楽しみ方じゃないかな。
 もうちょっとくらい謎があってもいい気はするけど、のんびりと遊ぶには最適でした。ラストのオチは普通。


2009年11月05日(木) たけたろうの冒険 ──FF22・ロボットコマンドゥ編 その5──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 知識市から産業市を経由して、タロス国の重要な軍事拠点であるガーディアン市に到着します。
 さすがに、この都市の軍事機密は厳重に管理と防衛がされているようです。住民が眠りこんでいても、ガーディアン市のコンピュータと防衛機能は自動で休まず動き、私が市内で自由に動き回ることを許可してくれませんでした。
 でも、それでもかまいません。私がここにきたのは、タロス国で最強とされる最新鋭の戦争用ロボットに乗り越えることでしたから。目的は十分達せられるのです。
 選んだのはキャタピラ戦車の土台に大魔神のような人型の上半身が合体した、ビルのように巨大なロボット。そのコクピットに乗り込んでモニタの画面を見ると思わず感嘆の声が出ました。見下ろした街で人々がちっぽけに見え自分が偉くなった錯覚すら覚えたのです。

戦車ロボット
装甲点:18
速度:低速
戦闘用ボーナス:+2
特殊能力:各戦闘ラウンド毎に1発ずつ使用可能な特殊音波砲を3発内蔵。通常の戦闘結果とは別にロボット相手ならサイコロ1つ分、恐竜相手ならサイコロ2つ分のダメージを負わせることができる。

 これで無敵です。我ながら後で怖気づいたら困るので、気分が高揚している今のうちに占領したカロシアン軍の本拠地が設置されているタロス国の首都まで攻め込むことにします。
 意気揚揚と私はガーディアン市を後にすると、嵐市から宗教市を素通りして首都に向かいます。そのままよそ見をせずに、キャタピラの音も高らかに本陣を据えている野球場へつっこみます。
 カロシアン人からの合言葉の問いかけにも律儀に返事を返して、ごまかせるだけごまかしながら進みましたが、将校クラスの専用区域まで差し掛かると、敵軍もさすがに異常を感じとったようです。
 私のロボットに負けず劣らず巨大なロボットが1体立ちはだかって、静止を呼び掛けてきました。えーい!私もやるときはやるんですよ!ここまで来たらどのみちもう逃げることは不可能です。もうメチャクチャに暴れてやりましょう!

クラッシャー・ロボット 装甲点:14 速度:低速 技術点:8
特殊能力:攻撃に成功するたびに4点のダメージを与えられる。

 2回も敵の攻撃が命中したのは痛かったですが、私はかまわずこいつを粉砕しました。巨大ロボット同士のすさまじい戦闘の影響で、周囲のカロシアン人や敵軍のロボットまで大混乱に陥っています。
 何機もの戦闘機が飛び立ち、頭上から攻撃しようとしてきます。用意していた「妨害フィールド」を作動させるとバランスを崩して、次々とゴミのように落下していきます。緊張を通り越して興奮状態になった私は声を出して笑いながら暴れまわります。今なら「人がゴミのようだ」のセリフを言った人の気分が少し理解できますよ!
 そのとき、地面が振動したかと思うと超ド級クラスの戦車がこちらに向かってきました。正面には据え付けられたバカでかい大砲と、その周囲に無数に生えた小砲がこちらを見据えています。
「タロス人よ!こちらはミノスだ!さあ、わしの怒りを思い知れ!」
 無線機から怒りの声が響いてきます。ミノスとはカロシアン人の首領の名前。ついにボスが登場したのです。

スーパー戦車 装甲点:16 速度:低速 技術点:12
特殊能力:小砲の攻撃により、攻撃に成否に関わらず毎ラウンド1点のダメージを与えられる。

 先ほどのクラッシャー・ロボットとの戦闘で装甲点を8点失っているのでこちらの残り装甲点は10。技術点でも負けているので、長期戦は明らかに不利です。

1ラウンド目
 今まで温存してきた自動追尾式小型ミサイルをぶっぱなし、10点のダメージを与える。戦闘には負けたのでこちらは計3点のダメージ。

2ラウンド目
 特殊音波砲で攻撃。3点のダメージを与える。戦闘にも勝ったのでさらに2点の追加ダメ。こちらは1点のダメージ。

3ラウンド目
 特殊音波砲で攻撃。2点のダメージを与える。戦闘には負けたのでこちらは計3点のダメージ。

 3ラウンド目の攻撃で、スーパー戦車が大音響とともに爆散しました。 
 終わった…。
 雑魚のカロシアン人と戦闘機はパニックを起こして逃げ出していきます。もう安心です。もう何日もすれば仲間のタロス人も自然に目が覚めることでしょう。きっと私はヒーロー扱いされるはずです。いい気分です。こんないい役は久し振りじゃないですか。 
 でも、興奮状態が収まると、今まで溜まっていた疲労が一気に襲ってきました。とりあえず、ともみが呑気に寝ている我が家に帰りましょう。
 今は休憩しても誰も文句を言う人はいないはず。みんなも寝ていますし…なんといっても今日の私は勝者なんですから…。



2009年11月04日(水) たけたろうの冒険 ──FF22・ロボットコマンドゥ編 その4──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 ジャングル市に到着しました。ここで手に入る重要なアイテムは、都市名の由来になった街の傍に茂っている広大なジャングル内にあります。
 さっさと入って必要なものだけとって、さっさと逃げ帰りたいところですが、今乗っているロボット「ワプス戦闘機」は飛行タイプでジャングルの探索には向いていないのです。この優秀なロボットから乗り換えるのはつらいですが、泣く泣くこの街に放置されていた蛇型ロボットに乗り換えます。

サーペント7
装甲点:9
速度:中速(ジャングル内のみ高速)
戦闘用ボーナス:+1
特殊能力:戦闘で16以上の攻撃力を出せば締め付け攻撃ができる。以降のラウンドからは、戦闘結果にかかわらず1点ずつダメージを与えることができる)

 新しいロボットに乗り換え、今度は地上の道を進んでいくと、この街には他の街にはいた、眠りこんだ街の住民達がまったくいないことに気付きました。やーな、予感がします。
 かどを曲がると肉食の恐竜が一匹こちらに向かってきます。やっぱりー!

ノトザウルス 装甲点:7 速度:低速 技術点:9

 倒すことは出来ましたがすぐに用事をすませたほうがいいです。ジャングルにスルスルと蛇型ロボットを侵入させると、目的の場所近くをうろついていた巨大な恐竜を排除にかかります。

アンキロザウルス 装甲点:12 速度:低速 技術点:9
特殊能力:攻撃に成功するたびに尻尾についたコブでロボットを転ばすことができる。転んだ相手は次のラウンドは防御しかできない。

 蛇型ロボットで助かりました。コブが当たっても転ばないので恐竜の特殊能力を無効化できるからです。しかし、なぜかこちらもいいサイコロの目が出なくて特殊能力が発動できません。
 モタモタした戦闘が続いて、いつのまにかキツイ勝負になってきました。コブの衝撃であちこち蛇の関節が痛んで煙をあげています。あうあう。こんなジャングルの真ん中でロボットから脱出しても助かりっこないですから、逃げ道はありません。こんなところで恐竜のエサだなんて冗談じゃないですよ!
 残り装甲点1でなんとか恐竜を撃退しました。スクラップ寸前の機体を引きずって、近くにあった大型ロボット(もちろんパイロットは眠っています)を発見すると、中から「妨害フィールド」という装置を引きずり出して借りることにしました。これは飛行型のロボットや恐竜に対して効果のある兵器なのです。説明書に<不良>と大きく赤い字が書かれているのが気になりますが……たしか効能はあったはずです。

 やることを終えた私はすぐにジャングルを脱出して、知識市に戻ります。
 市内に入るとカロシアン人の巡回ロボットがいきなり接近してきましたよ。うへ、こっちは装甲点1のスクラップなのに。
 相手が何か言う前に、産業市で聞いた敵の合言葉「八八!」を大声で叫ぶと、相手は「七!」と返事をして立ち去ってくれました。
 ふぅううぅううぅ〜〜。座席に背をもたれ緊張のあまり流れた汗をぬぐいとります。やっぱりこんなスパイじみた任務は私には向いていません。じゃあ、何が向いているかというと、まあ、あれですけど。
 しかしなんとか準備は整いました。これであとは強力なロボットを手にれて首都に突っ込むだけです。……なにが悲しくて神風特攻隊をしなければならないんですか。私は生きて帰れるのでしょうか。ううっ。
 ハンカチで涙を拭いてついでに鼻をかみ、このゲームブックの作者はアメリカのスティーブジャクソンだ、リビングストンじゃないから生還の可能性は高いと自分に言い聞かせると、気分が少しだけ落ち着きました。恐竜保護地区から間に合わせのロボットに乗り換えると、知識市からも立ち去ることにします。
 
スーパー・カウボーイ・ロボット
装甲点:14
速度:中速
戦闘用ボーナス:+1
特殊能力:恐竜誘導用の音波発生機で、恐竜相手なら敵の技術点を1減らすことができる。


2009年11月03日(火) たけたろうの冒険 ──FF22・ロボットコマンドゥ編 その3──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 娯楽市からの行先は「産業市」と「ジャングル市」のどちらかです。
 ジャングル市にいくのはまだ早いと判断して、産業市にいったん戻ることにします。
 産業市の燃料精製工場に向かってみると、カロシアン人が操るロボットが警戒していました。うー、怖くありませんよ。逃げてばかりでは使命は達成できませんから。なんとしても、カロシアン人たちが使っている合言葉を知る必要があるのです。このまま近づきましょう。
 ぎゃ!カロシアン人がこちらに気がついたらしく、ロボットがこっちを向きました。あわううううっ、逃げちゃだめです。逃げちゃだめです。
 無線からカロシアン人の呼びかけが聞こえてきました。「八八!」
 やりました。今のは合言葉の片割れの言葉です!あああ、でも返事がわかりません。ここは戦わないと。逃げちゃだめです。逃げちゃだめ。
 カロシアン人が発砲してきました。(装甲点1を減らす)
 ギャー!!でも、こっちは強い戦闘機に乗っているんですから、へ、平気です。戦闘ボーナスと速度の修正を加えれば、今の私の技術点は相当なものですよ!

トライポットロボット 装甲点:7 速度:高速 技術点:7
トライポットロボット 装甲点:7 速度:高速 技術点:10
(注)2体は同時に襲ってくるため1体を倒すまで、もう1体の攻撃はかわすことしかできない。

 逃げましょう!!1体相手ならまだしも、これじゃ死んじゃいます!
 ロボットを反転させて逃げる私に、追いうちの攻撃が命中して(装甲点4減らす)、死ぬかと思いましたが(残り装甲点1だし)超高速の戦闘機だけあってなんとか逃げ切りました。
 お、臆病者じゃありませんよ。これは戦争ですよ!戦争は最後まで生き残った者が勝ちなんですから!絶体絶命で突然ロボットが暴走して強くなったり、収拾がつかなくなったらヒロインが巨大化して全て有耶無耶になるなんてこと、ファイティングファンタジーじゃありえないですから無理はできません!あくまでも慎重にいかないと!はぁはぁ!
 気持ちを落ち着かせると、ロボット修理工場で装甲点を完全に回復させ、次は「知識市」へ移動します。

 知識市では、今回は治療薬を散布する方法を使わないので医科大学は無視。博物館に行くことは少し考えましたが今回は見送って、真っ先に軍事大学に向かいます。
 ここもカロシアン人のロボットが見張っています。ただし、今回は一機のみ。今度こそ、倒しますよ!突進して先制攻撃を加えるとそのまま戦闘にもつれ込みます。

ミュルミドン 装甲点:12 速度:中速 技術点:10

 さっきの先制攻撃でダメージを7点与えられたので、敵の残り装甲点が5の状態から戦闘開始。装甲点を2点失っただけで、なんとか相手をスクラップにできました。
 ロボットから降りて大学内に入り込むと、すぐに外から轟音が聞こえます。窓を覗くとカロシアン人の新手のロボットたちが着陸するところです。
 急がなくちゃ!機密に包まれたタロス国最高の軍事都市「ガーディアン市」の場所についての情報だけを手に入れ、カロシアン人が大学に入るのと入れ違いに裏口から走ってロボットに乗り込み、脱出します。
 なんとかうまくいきましたよ。知識市からは「産業市」「ジャングル市」「嵐市」「宗教市」と進めるんですが……さて、どこにいきましょうか。


続く


2009年11月02日(月) たけたろうの冒険 ──FF22・ロボットコマンドゥ編 その2──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 ロボットに乗り込むと、まずは「知識市」か「産業市」のどちらを行くかという選択肢になります。「情報を制する者は敵を制す」ともいうし、最初は知識市かなぁとも思えたのですが、産業市には重要なものがあるのでそちらに行きます。
 飛行型ロボットのおかげで道中恐竜に襲われることもなく、産業市へ到着。さっそくロボット実験センターに乗り込んで、2階に上がりヘルメット型のインターフェィス機器を入手します。これをかぶればロボット操縦時の技術点が1増えるという優れもので、技術点7の私には涙ものの装備なのです。
 続いて3階の「兵器開発室」に向かったところ人間サイズの警備ロボットに立ち入りを禁止されます。
 ううっ、戦いたくはないけどここで手に入るアイテムはどうしても欲しいのです。無理矢理通ろうと剣を握り締めます。もし負けそうになったら一度逃げて、どこかで体力を回復してから再挑戦すればいいわけですし。双方向システムのゲームブックならではの戦略というものですよ。

警備ロボット 技術点8 体力点10

 これはやや不利な戦いでしたが、幸運にも一撃を受けただけで倒すことができました。開発室に乗り込むと自動追尾式小型ミサイルを持ち出し、さっそく自分のロボットまで戻ると新兵器を装備します。これは戦闘中に使うと確実に相手に10点ものダメージを与えるという優れものの兵器なのです。
 さらに念のため治療薬を2つ使って体力点を満タンまで回復させます。今回の冒険で使う治療薬は一個の使用につきわずか1点しか体力が回復しないのです。まったくせこい話です。これじゃあ、何回も剣で戦うことになったら死ねること間違いなしじゃないですか。
 こうして私は産業市を離れ、続いて「娯楽市」へ向かいます。

 娯楽市に到着した私はさっそく飛行場へ向かいます。ここには強力なロボットが置いてあるのを知っていたのです。
 タロスでもまだ2・3機しかないとされる、機動性にすぐれた最新型飛行ロボットで、ハチをイメージした流線型のフォルムが美しい「ワプス戦闘機」です。

ワプス戦闘機
装甲点:6
速度:超高速
戦闘用ボーナス:+2
特殊能力:戦闘で敵より4以上高い攻撃力を出せば、次のラウンドの攻撃も自動的に勝つことができる。

 ただし、この戦闘機は操作に慣れる必要があり、2回の戦闘が終了するまで戦闘ボーナスが得られないというペナルティがあります。しかもそれを宣言されるのは町を出た後という罠つきです。
 でも心配ありません。ゲームセンターにいくことにします。ここで「ワプス戦闘機」という大型アーケードゲームを遊ぶと操作練習になるので、ペナルティを回避できるのです。しかも、このゲームの上級コースをクリアすればワプス戦闘機の戦闘用ボーナスは+3にまで向上しますからこれを逃す手はありません。
 それにしても最新の兵器がゲームセンターで体験できるのですから、オープンな国ですねぇ。と思いながら、上級コースを遊んでいたのですが(ここで運試し……失敗)、何度も何度も撃墜されて上級コースをクリアできませんでした。体もふらふら。……どうやら揺れるゲーム機で乗り物酔いしたようです。お、おえぇ!!(体力点1減らす)


続く


2009年11月01日(日) たけたろうの冒険 ──FF22・ロボットコマンドゥ編 その1──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 ここは地球やタイタンとはまったく別の世界にあるタロスという国です。
 凶暴な恐竜たちが我がもの顔に徘徊するこの世界の危険に対して、タロス国民は各種の大型ロボットを道具として操ることで国を開拓してきました。今では荒れた土地のいくつかには大きな町が建設され、恐竜の一部も家畜化されて平和に利用されています。
 またタロス国民はすべからく、移動の手段や野生の恐竜への対処のために、武装された大型ロボットに乗り込むことが多いのでした。それは恐竜だけでなく、隣国すむ恐ろしいカロシアン人に対する軍事的な牽制手段でもあるからなのですね。
 さてこんな世界で、私ことたけたろうは牧場で「カウボーイ」と呼ばれる人型ロボットに乗り込んで、家畜にしている恐竜たちの世話をする仕事をしているのでした。

 その日の朝。私はいつものとおりキッチンで朝食をとっていました。
 そのとき、2階からまだパジャマ姿のままの妹のともみが、ヨタヨタとした足取りで階段を下りてきます。何か様子が変です。
 「ともみ?そんなにふらついてて、まだ寝ぼけているのですか?」
 「眠い!」
 ともみは一言そうつぶやくと私に抱きついて倒れかかります。その勢いに私も押し倒されて椅子からともみごと床に転がり落ちてしまい、気がつくと私の上にともみがのしかかっている格好になっていました。
 え?えっ?ど、どうしたのです。いきなりの展開についていけません。こんなことをしてはまずいですよ。私たち腹違いとはいえ、きょ、兄妹なんですから。ああっ、お願い、息を吹きかけないで。ももも、もしここで「おにいちゃん…大好き…」とか耳元で囁かれたら理性がふきとぶかもしれません。ここで二人が星になったら困ります。ああ、どうしましょう。
 などとしばらく妄想まじりの混乱した頭で悶絶していましたが、ともみが完全に寝ていることに気づきました。は、ははっ…、息を吹きかけられたと思ったら、ただの寝息でしたか。しかし、急にどうしたのでしょう。ゆすっても鼻をつまんでも、いっこうに目を覚ましません。
 ともみに毛布をかけてやってから、椅子に座りなおし、テレビをつけてみると臨時ニュースが中継されていました。アナウンサーも非常に眠そうな顔をしています。
 「カロシアン人の攻撃…みんな眠っています…わたしも限界…」
 そこまで言ってアナウンサーも突っ伏して寝てしまいました。慌てて椅子から飛び上がり、外に出てみると通行人も全員道に転がって眠っています。いきつけの店の店員もそのお客もお隣の家の住民も建物の中でみんな眠っています。どうやら起きているのは私1人だけのようです。
 騒音がしたので上空を見上げると、カロシアン人の使用する型のロボットが、何機も飛行していくのが見えました。
 どうやらカロシアン人による特殊な催眠攻撃によって、タロス国中の国民が寝てしまったみたいです。このままではみんな目が覚めるころには、各主要都市の蹂躙に成功したカロシアン人たちを前に手も足も出なくなってしまうでしょう。しかたがないです。唯一目が覚めているタロス人として、私が1人でカロシアン人どもと戦うしかないみたいです。でも、どうやって?

 不安を感じつつも、家の中から護身用の剣と医療キット5箱を取り出すと、牧場にあるロボット格納庫に向かいます。この世界で最もオーソドックスな人型ロボット「カウボーイ」と、飛行型軽量タイプのトンボ型ロボット「ドラゴンフライ・モデルD」の2機を私は所有しているのです。戦闘はなるべく避けたいので、耐久力に不安があるものの高速移動ができる「ドラゴンフライ・モデルD」に乗り込むことにしました。
 とりあえず、この状況に対処できる方法や情報がないかを求めて、大都市に向かうことを決意します。
 しかしなぜ私に睡眠攻撃が効かなかったのでしょう。こんな大変なことをするくらいなら、私も一緒に眠り込んでいたかったくらいですよ…。
 でも、今回の冒険は楽な方かもですね。山口プリンさん自身も以前「貧弱コマンドゥ」(2002年4月の冒険記録日誌参照のこと)という企画で低能力値クリアをしてますし。同じようにやればいいわけです。

「何甘いことぬかしてるかぁ!かぁ!かぁ!ぁぁ!ぁぁ!…!…」

 はっ、天から響いてくるその声は山口プリンさん!

「同じ展開を繰り返すなぞ、つまらんことはさせぬ。幸いこのゲームは3つの方法でクリアすることができる。お前は必ずわしと違う手段を選ぶのだぁ!だぁ!だぁ!ぁぁ!ぁぁ!…!…」

 鬼!悪魔!自分が一番楽な方法でクリアしているじゃないですか!


技術点  7
体力点 14
運点   7
持ち物:剣、医療キット(5箱)

「ドラゴンフライ・モデルD」
装甲点:5
速度:超高速
戦闘ボーナス:0
特殊能力:非常に操作性がいいので、逃亡できると書いてある場面では必ず逃亡できる。

 続く


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