冒険記録日誌
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2008年08月24日(日) たけたろうの冒険 ──FF21・迷宮探検競技編 その2──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 その日はそのまま宿舎へ連れて行かれ、5・6人ずつ分けられて牢に入れられました。
 みんな明日の試練が気になるらしくソワソワしています。無理もないです。私も緊張のあまりにお腹の調子が悪いです。しかし海賊船内で酷使された体が要求する眠気には勝てず、いつの間にか眠ってしまいました。

 翌朝になるとパンと熱々のこってりした鶏肉と野菜のスープの朝食が配膳されました。まともな食事は久しぶりなのでガツガツと夢中で食べ、最後に皿にわずかに残ったスープをパンで拭って口に放り込むとお腹がすっかり落ち着きます。
 しばらく美味しかった食事の余韻に浸っていると、衛兵がやってきて牢の扉が開きました。
 「最後の食事はすんだか?死の覚悟ができたらさっさと闘技場に出ろ」
 覚悟なんかできてませんからずっと牢の隅でうずくまっていたのですが、衛兵が乱暴に槍でつっついてきたので仕方なくついて行きます。
 闘技場の広場には運動会で見るような楕円形の白い白線がひいてありました。中央に並んだ私たちにカーナス卿とやらが、見物席から立ち上がって演説してきます。
 「もう聞いているだろうが、わしは迷宮探検競技に最高の戦士を名代として送り込む。おまえたちのうち、今日死ぬ者、明日死ぬ者が続き、最後には一人だけが生き残る。死にゆく者たちへわしのエールを送る」
 カーナス卿は勝手なことを言うと、椅子に座りました。これから死の競技の始まりらしいです。

 私を含めた6人がスタートラインに並ばされ、全員重い石ころを積んだ荷物を背負わされました。そのうえライン上のところどころに、衛兵たちがまだ真っ赤に火の篭っている石炭を撒いています。衛兵が簡潔に説明します。
 「えーまず最初に徒競走をする。合図したら、円周を走ってまわり続けろ。一番先頭の者が一周先行して最後尾の者に追いついた時点で競争は終わりだ。んで、追いつかれた奴は死刑な。では、走れ」
 みんな一斉に走り始めます。おわわっ、かけっこで最下位になったら死刑だなんて冗談じゃないですよ。慌てて私も走りながら、時々まかれている石炭の上をジャンプします。こんなキツイ障害物レースは初めてです。あっという間に順位が後の方になりました。
 後を振り返ると大柄な北方人が先頭になって猛烈な勢いで走ってきます。どうやら一気に追いついてこのレースを終わらせるつもりのようです。ぬ、抜かれてなるものですか!(ここで技術点のロール………失敗)
 無我夢中で走り続けていると、頭がモウロウとしてきました。もう駄目、息が切れて走れないと思いながら石炭の上をジャンプして着地した瞬間、軽く足首を捻ってしまいました。捻挫こそ避けられましたがこんな状況では最悪です。当然、速度はガタ落ち。みるみる背後の北方人が接近してきます。(ここでサイコロを一つふる………6)
 ギャー!もうだめです!観念しかけたとき「それまで!」と衛兵の制止の声が聞こえました。
 前を見るとドワーフが過酷な競争に耐えられなかったのか倒れて死んでます。つまり彼が最下位になったわけです。助かりました〜。
 衛兵たちは私達を牢に戻しました。
 牢の中は昨日と同じメンバーでしたが、ハゲ頭の男が帰ってきませんでした。ぶるる、恐ろしい。こうして少しずつ減っていくのでしょうか…?

 次の日も朝食を食べるとすぐに私たちは闘技場に引き出され、今度は1人ずつ怪物と戦えと命令されます。戦う前に剣と盾か、鉾と投網のどちらかの武器を選べといわれたので、鉾と投網を選びます。
 私の番になって登場してきた怪物は、人型ではありましたが上半身の筋肉が異様に発達した「骨砕き」でした。武器はもっていませんが、馬鹿でかい胸と太い腕をもつ骨砕きにつかまったら簡単に絞め殺されてしまうでしょう。はっきりいって、まともに戦える相手ではありません。鉾と投網を選んで正解でした。なぜなら骨砕きは上半身に比べると下半身がもろいので、網でくるんで地面に倒せばこちらのものだからです。もし剣と盾を選んでいたら、きっと普通の戦闘ルールで戦う羽目になっていたでしょう。そうなれば間違いなく負ける自信があります。負ける自信でみなぎれるくらいです。いや、よかったよかった。
 というわけで、投網を骨砕きに投げると(ここでサイコロを一つふる………3)網はみごとにそいつの体を外れて砂地にパサリと落ちます。(運点1を減らす)えっと…。汗が吹きでます。
 骨砕きがつかみかかってきました。ヒィィィ!(ここで技術点のロール………成功)悲鳴をあげながらなんとか避けると、もう一度網を投げました。(ここでサイコロを一つふる………6)今度こそ網がかかります。骨砕きがもがいてバランスを崩した瞬簡に、思いっきり網を引っ張ると見事にそいつは転んでしまいました。起き上がれないうちに鉾を突き立てて息の根を止めると、私はまた牢の中へ連れ戻されました。

 その日の試練はそれで終わったようで、夜になりました。私のいる牢屋には、もう私と東洋人の男の2人しかいません。それにしても東洋人っていっても、アランシアで東洋地域ってあるのでしょうかね?まさか、遠いクール大陸にある八幡國の出身なのでしょうか?このゲームブックには後半で「東洋の武将」とかいうサムライそのものも登場しますし。
 なんてことを考えていると、衛兵が廊下までやってきて大声で言い出します。
 「これで各牢には2人ずついるわけだ。だが、翌朝を迎えるのは1人で十分だ。ぐっすり眠れよ」
 そういって大笑いしながら戻っていきます。お休みの挨拶にしては変な言葉ですね?一瞬考えこんだものの、意味がすぐにわかりました。同室の東洋人が貸し持っていたヘアピンを武器に襲い掛かってきたのです。

東洋人  技術点10  体力点8

 ぐはっ、強いです!ほとんど選択肢の余地がないまま、こんな戦闘をしないといけないなんて、やっぱりリビングストンのバカァ!
 私は叩きのめされて、ヘヤピンでプスプスつつかれてしまいました。

END


2008年08月23日(土) たけたろうの冒険 ──FF21・迷宮探検競技編 その1──

 この日ポートブラックサンドから小舟で南下していた私とともみは、不幸にも海賊船と遭遇してしまいました。あー、何か前にも似たようなことありました。ねぇ、ともみさん……あれ?
 ちゃっかり者のともみは、とっくに逃げていました。50メートルくらい先で人が入れるくらいの大きな樽がプカプカ浮かんでいます。ともみのアホォ!前に私がやったときはメチャメチャ怒っていたくせにぃ!あんたいつも美味しい役ばっかとって、リビングストン作品は私に挑戦させる気ですかい。
 大きな海賊船は私の乗っている小舟目指して突っ込んできました。衝突の衝撃で鈍い音をたてて、小舟はひとたまりもなく海に浮かぶ木切れと化してしまいます。しかたなく海に飛び込んだものの、何かにしがみつかないと溺れてしまいそうです!
 もがいていると、ロープの感触が手に伝わりました。必至でロープを掴んで這い上がると甲板にたどりつきます。座り込み、咳きこんで海水を吐き出していると20人ばかりの海賊たちがニヤニヤ笑いながら、私を見降ろしていました。
 「昨日鞭で打たれて死んだ奴の補充はこいつでいいな。下につれていって他のネズミどの仲間入りをさせようぜ!俺たちにとっちゃラッキーな日だぜ」
 ああ、私にとっては不幸な日ですよ…。
 
 この呪われた日から2週間の間、私は他の不幸な奴隷仲間と一緒に、蒸し風呂のように暑い船底で鎖をつけられてオール漕ぎをやっていました。汗臭い匂いが充満した空間で、食事もろくろく食べさせてもらえず、手を休めるとすぐに鞭が飛んでくる酷い環境です。ああ、このまま一生を過ごすなんてなったら最低です。
 奴隷の監督役の海賊が笑いながら煙草を噛んでは唾を飛ばしながらなにか言っています。汚いなぁ。
 「もっと強く漕げ、犬ども。今のうちにこの快適な船旅を楽しむんだな。というのはな、目的地についたらお前たちはここに戻れたらなぁと思うようになるんだ」
 ここより悪い状況なんてあるとは思えませんがね…。ミミズ腫れだらけになった背中をさすっていると、また鞭が飛んできました。もう泣きそうです。

 また数日がたって、船はどこかの陸地に着岸しました。私たち奴隷は全員船から連れ出されて久しぶりの新鮮な外の空気を楽しむことができました。ここは小さな島のようで、いかめしい城と古びた闘技場だけが建っています。なにか特殊な目的の島のようですね。海賊どもは何か礼金らしきものを受け取ると、嬉々として船を出港させていなくなってしまいました。
 残った私たちは闘技場の中の広場へと連れてこられます。大勢の衛兵たちが闘技場の周囲を取り囲んでいて、何か不気味です。一体これから何が起こるのでしょうか。
 私たちが整列させられると、黒い鎖帷子を着たゴツイ衛兵が大声を張り上げます。
 「お前たちは今からカーナス卿の奴隷となったのだ。この死の闘技場で卿の楽しみのために死ぬことを名誉だと思え。お前たちの中で生き残るのはたった一人だ。そしてその男もしくは女が、カーナス卿の名代としてファングで行われる“迷宮探検競技”に参加するのだ。サムカビット公は、死の罠の地下迷宮をすっかり改装して、新迷宮を突破するものはもはや誰もいないと豪語している。かりに迷宮を突破できても賞金はカーナス卿が受け取るが、その者は命を助けてもらえる。カーナス卿は弟サムカビット公の鼻を明かしてやろうと躍起になっているからな。さあ、ついてこい」
 ちょ、ちょっと待ってくださいよ。42人いる私たちが互いに殺し合いをするのですか!?どっかの映画じゃあるまいし、そんなメチャクチャな!しかも勝ち残ったらあの死の罠の地下迷宮にまた参加するとか、全然嬉しくないですし!ああ、バカな兄弟喧嘩に他人を巻き込まないでくださいよぉ。

技術点  7
体力点 14
運点   7
持ち物:奴隷なので何もなし


続く


2008年08月22日(金) たけたろうの冒険 ──FF20・サムライの剣編 その10──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 闘技場の光景がチカチカと瞬いたかと思うと除々に消え失せる。気がつくと黒い大理石の柱並ぶ大広間の片隅にいた。なにか陰気な場所だ。広間の奥には大きな玉座があってそこに座っている頭巾をかぶった黒い人影から邪悪な気が漂っていた。言うまでもなくその正体はイキルだろう。
 玉座の前にその場の雰囲気にそぐわない、素晴らしい長太刀が刀掛にかかっていた。これこそ鍔鳴りの太刀では!?近づこうとすると人影が立ち上がった。
 「この鬼軽城に土足で押し入り、闇将軍イキルを怒らせるとはいい度胸だ」
 頭巾の中にはなにも見えず、ただ暗黒が広がっていた。歯の間からシューシューと息が漏れるのが聞こえる。ふん、まるでスターウォーズに登場しそうな敵だわ。あんた、生まれるところ間違ってるのよ。
 「知行合一!」
 私の叫び声は陰鬱な大広間にラッパのように響き渡った。イキルは怖れおののいて身をすくめる。鍔鳴りの太刀が光り輝いて私の手元に飛び込んできた。太刀を手にした途端、力と猛々しい闘争心が身を駆け巡った。(技術点2、体力点4、運点2が原点を超えて増える)
 イキルが影魔人を呼び出して私を襲わせる。(名誉点は5点以上か?YES!)鍔鳴りの太刀を上段から振り切ると影魔人はあっという間にバラバラに分解した。影たちは次々に登場したが、私が太刀を青眼に構えながらイキルに近づくと、どれも恐れをなして後退する。うっかり近づいた影は太刀に触れるや蒸発してしまった。いける!この勝負いけそう!
 イキルが指を刺すと黒い稲妻が飛び出し(名誉点は6点以上か?残念ながらNO!)私の足元に直撃した。(技術点1、体力点4、運点1を失う)私の苦痛の呻きに対してイキルは甲高い叫び声をあげる。よくもやったわね!鍔鳴りの太刀を持って突進した。

イキル  技術点12 体力点12
(特殊ルール)イキルへの攻撃が成功する度に運試しをせよ。凶ならそのまま戦闘を続けるが、吉なら鍔鳴りの太刀の力にイキルは消滅する。一方、イキル側の攻撃が成功したら通常のダメージ以外にもサイコロを2つ振れ。私の体力点以上の目が出たら私の技術点1と運点1を減らす。

 このルールなら、最初の数ラウンドが勝負だわ!
 1ラウンド目は攻撃を受けたが、2ラウンド目は攻撃が成功する。やったぁ!やっぱり今回は信じられないほどサイコロ運がいい。ところが運試しは痛恨の凶!3ラウンド目は攻撃が失敗。4ラウンド目も失敗。5ラウンド目も…。
 ここまでか。ここまで来て負けるなんて!あー、悔しいわ!

 END


2008年08月21日(木) たけたろうの冒険 ──FF20・サムライの剣編 その9──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 扉の先は闘技場だった。砂地の上に私は立っていた。周囲の観客席には亡霊がひしめき合って、これから起こる戦いを見つめている。
 前方にはさっきの大鬼がいた。大鬼の傍に巨大なガマガエルとカマキリ、青銅で作られた魔人がいる。自分の背後を振り返ると、仲間となった龍と剣歯虎と麒麟と西洋騎士団が控えている。
 大鬼は巨大ガマガエル、巨大カマキリ、青銅で作られた魔人と次々に手下を送り出したが、いずれも私の仲間たちに倒された。大鬼は卒倒しそうなほど怒りに震え、鋲の打ちこまれた鉄棒を振りまわした。
 「こんどはわしが相手だ。殺してやる」
 麒麟が飛びまわって大鬼の上空を旋回すると、一声吠えた。大鬼が「あいつめ、わしの法力を封じおった」と言いながら苦悶に顔をゆがめる。
 「あとはあなたの腕しだい。幸運を祈る」
 麒麟はそう言い残すと飛び去った。他の仲間たちも、それぞれの戦いを終えてもういない。さすがに最後ばかりは私自身が戦うしかないようね!

大鬼  技術点10 体力点10

 これは強い!勝てるわけないじゃん!
 そう思いながら戦闘を開始すると、なぜか倒せてしまった。大鬼の体が地面に崩れ落ちるとともに闘技場の観客をつとめていた亡霊たちは姿を消した。
 うそっ、か、勝っちゃった。今回の冒険はすごいサイコロ運だわ。あとの敵はイキルだけ!?もしかしてクリア可能!?いやいや、慌てちゃだめ!気を静めるのよ!
 ひとまず、漬物をかじって体力を回復しながら気をおちつける。(2食分減らして体力を全快させる)
 「くそっ、お前の勝ちだ」
 その声を聞いて食べ物を持つ手が止まった。大鬼はまだ生きていたのだ。奴は横たわったまま、荒い息をつきながら喋る。
 「神々の作った戦いの掟は、わしを鋼鉄の鎖のように縛っている。最後にお前の望みを一つかなえてやろう」
 「鍔鳴りの太刀の秘密を教えて」
 「…できすぎの質問だな。畜生め。鍔鳴りの太刀の秘密は“知行合一”だ。この言葉を唱えれば、太刀はお前に飛び込んでくるだろう。ただし、太刀は高貴な魂の持主だけ太刀を使いこなせる。イキル様がせっかく太刀を手に入れながら、使えないのはそこに理由がある」
 最後に大鬼は悪意に満ちた笑い声をあげながら今度こそ息を引き取る。
大鬼が死ぬと同時に死体から亡霊が飛び出してきた。大鬼が修羅と化して復讐に来たのだ!
 「修羅ここにあり。願わくば地蔵尊、現れてわが思いをかなえたまえ!」
 ヒスイのお守りを掲げて、龍の言っていた言葉を復唱する。突如煙があがって僧兵のような男が出現した。男が手に持った杖で修羅を打ちすえると、亡霊は絶叫して消え去る。そして私が礼を言う間もなく男も姿を消してしまった。

 続く


2008年08月20日(水) たけたろうの冒険 ──FF20・サムライの剣編 その8──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 鬼軽城がそびえる山を登り続けると、今度は頭がむずむずして立ち止まった。
 見上げると金銀の鎧を着込んで威風堂々とした大男がいた。顔立ちは整っているが、筋肉が隆々として邪悪な表情を浮かべている。大鬼だ。
 「お前はイキル様のところへ行きたいようだがそれは出来ぬ。戦いの場でわしを打ち負かさぬ限り、近づくこともできないからだ」
 大鬼が甲高い笑い声をあげながら消えると共に、周囲の景色が一変する。気がつくと前後左右上下に星が瞬く広い空間に立っていた。まるで宇宙空間に浮かんでいるような光景にめまいがする。頭をふると周囲に扉がそびえているのが見えた。扉は8つありそれぞれに何かを書かれた張り紙がついていた。大鬼の声が頭の中で轟いた。
 「ここは時空の中心だ。どの扉にも強力な獣が控えている。お前は全力でそれらを仲間にするように努力をしなければならない。準備が整ったら“戦いの場”と書かれた扉を開けるがよい。わしとわしの手下たちが待っている。万が一、わしに勝ったらイキル様に会うことができよう。さあ、扉をえらべ!お前に不幸が訪れんことを」
 大鬼の声は消えた。なんだかまわりくどいルールだわ。これが八幡國風なの?

 とりあえず一番手前にある“究極山の頂”と書かれた扉を開けると、いきなり槍のように鋭い岩山の山頂に立っていた。頭上で大きな太陽が照りつけている。
 空に小さな斑点が浮かんだかと思うと、近づいてくるにつれて大きな龍の姿になった!って、あれ?
 「なんだまたお前か、小娘。」
 東洋の龍が唸った。それはこっちのセリフなんだけどな。
 「まあよい。戦いの場ではお前の手助けをしてやろう。わしもイキルの倒れるところが見たいからな。戦いの場でわしはお前を待っているだろう」
龍が飛び去ると、あとには何にも残らない。扉を戻って時空の中心に戻ると別の扉を開けた。
 今度は大草原が広がっていた。大きな剣歯虎がこちらに突進してきたが、角笛を吹くと急に大人しくなってすり寄ってきた。
 次の部屋には馬の胴に獅子の頭をもって翼を生やした生き物がいた。知恵と法をつかさどるといわれる麒麟だ。麒麟が私を慈しみに満ちた目でじっと見つめる。
 「ふむ。名誉点が5点あるな。お前の心には気高いものがある。大鬼との戦いには協力しよう」
 また次の部屋には西洋風の騎士団がいた。騎士団長らしき人物が「戦いの鉄扇を持っているか?」と問いかけたので、洞窟で拾った鉄扇を渡すと騎士団からどよめきの声が漏れた。
 「おお、持っておったか。我々は本当に長い間これを探していたのです。戦いには我らも協力しましょう」
 こうして多くの仲間を得た私は、最後に“戦いの場”と書かれた扉を開けた。

 続く


2008年08月19日(火) たけたろうの冒険 ──FF20・サムライの剣編 その7──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 曲がりくねった森の小道を抜けて進み続ける。影の森は危険な妖怪がいるという噂があるのだけど、森の中は薄暗いだけで特になにもなかった。少々拍子抜けしてしまう。と思っていたら、広い開墾地へ出たところでいきなりこけた。
 イタタタタッ…。起きあがろうとすると、開墾地へ射しこむ強い太陽の光が飛び込んで目が眩んだ。首をふって目を慣らしていると、急にまた薄暗くなった。
 不審に思って空を見上げると体が硬直してしまう。うへ、どでかい東洋の龍が宙に浮かんでいるじゃないの!いくら今回の冒険が幸運続きでも、技術点7の私が勝てる相手とは思えない。
 「影の森へよく来た、小娘。我は天のおきてにしたがって、この森を守る者。この森を無事抜けたければ、私の出す2つの試練を受けなければならない。失敗すればお前を食う」
 あたり一面に響くような声が聞こえてきた。私が立ち上がると龍はこっちを見た。私もにらみ返す。緊張のあまり汗が滴り落ちる。
 そして龍が重々しく次の言葉を発した。
「なんぞなんぞなーに。乳のようにまっしろな大理石のなか、絹のように柔らかな肌につつまれて、泉のように透きとおったそのなかに、金のリンゴがあったとさ、このお城には扉はない、だけど盗人たちは押し入って金のリンゴをもっていく。これはなーんだ?」
 私はまたこけた。試練ってなぞなぞ遊びなの?
 今度は別の意味の汗を出しながら、「卵」と答えると、龍はびっくりしたようだ。
 「このお利口さん。でも謎はもう一つあるんだよ。答えがわからないと意味があり、答えがわからないと意味がなくなるもの。これはなーんだ?」
 「謎だわ…。東洋の竜の感覚って全然まったく分からないわ」
 龍は「そのとおりだ。答えは謎だ」と悔しそうにうなった。くるかー?攻撃してくるかー?私は刀の柄に手を伸ばしたが、竜は首をうつむかせて語りかけてきた。
 「お前は道を自ら切り開いた。通ってよろしい。褒美に1つ手助けをしてやろう。万一、お前が戦いの場で大鬼と戦うことがあれば“修羅ここにあり。願わくば地蔵尊、現れてわが思いをかなえたまえ”と唱えるのだ」
 龍はフッっと姿を消す。龍のいた後にヒスイのお守りが残っていたのでこれを拾い上げた。(運点を2増やす)助かったけど、今のは一体なんだったのだろう…。

 龍の立ち去った後は何も起こらなかった。影の森を抜けると、平安川にかかっている古びた石橋を渡り始める。橋を渡っていると急に周囲の雰囲気が変わり始めた。まるで異世界に紛れ込んだ感覚だ。空がにわかに曇りはじめ、川面を見ると血の色に染まって所々に人骨が浮いて流れている。
 目の前におぞましい亡霊が浮かび上がる。はるか昔に亡くなった武士の亡霊だ。鎧兜に身をかためた姿で、背中には「悪死」と書かれた旗印を掲げている。なにか日本文化を勘違いしてない?いや、ここは八幡國だからいいのか…。

亡霊武者  技術点9 体力点11

 運試しも一度使ってダメージを増幅しつつ攻撃を続け、亡霊武者の体力点を5まで減らした。すると亡霊武者の影が薄くなって姿が消えた。ちょ、透明化だなんて卑怯よ!こちらの技術点を2点減らして戦闘を続ける。
 技術点で4点差という不利な条件の中、幸運にもまた攻撃が当たった。その一撃で亡霊武者の姿がまた現れる。亡霊が後ろに飛んだ。そして吠えるような一言をあげると、おぞましいことに血の川にいた骸骨たちが負の生命を取り戻して橋を這いあがってきた。
 しかし、亡霊武者との距離が離れたのはチャンスだ。すかさず弓をかまえて、貞信公の城で見つけた“白鷲の羽のついた矢“を射る。矢は狙い通りに当たり、亡霊は恐ろしい叫び声をあげ消滅した。すでに他の骸骨など跡形もない。
 亡霊の消滅と時を同じくして、あたりの様子が元の通りに戻った。亡霊は一つまみの灰と象牙の角笛を残していた。角笛を拾い上げる。
 とりあえずは無事にここまできた。傷を負ったので串団子を食べながら先に進む。(1食分減らして体力を全快する)目的地の鬼軽城はもうすぐだ。

 続く


2008年08月18日(月) たけたろうの冒険 ──FF20・サムライの剣編 その6──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 地下を伸びる抜け道は奥深く進むにつれてジメジメしてきた。暗闇に目が慣れると、理由はわからないがほんの少しは光源があるらしく周囲の様子がわかってきた。
 普段からほとんど使用されていなのだろう。木くずや錆びた鎧や兜の残骸が地面に散らばってゴミ捨て場みたいだ。茂一に聞いてみても、木端サムライだった自分にはこのような抜け道の存在すら知りませんでしたと答えるだけだ。
 それにしても汚い。汚れた着物の切れ端に、人骨に、なにかの道具の欠片に…。
 「ヴぇっ…、人骨?」
 大量の骨が白く輝いて散乱しているのを見て、ゴクリと喉がなった。なんで?ここってただの抜け道じゃないの?
 「ともみ殿。気をつけて!」
 茂一も異様な雰囲気を察して刀を抜く。
 そのとき、前方から巨大なムカデが飛び出してきた。ムカデは蛇みたいに茂一に接近すると、鋭い牙で彼の腕を噛み切った。茂一はうなり声をあげて地面に転がった。怒りと悲しみで胸がいっぱいになる。よくも私の家来を!
 弓を素早くかまえると、一番強力な“威力の矢”を選んで2本の矢を放った。(2度の技術点のロール………2回とも成功!)ムカデの関心が私に移ったのを確認すると、気合いの声を上げながら刀を抜いて突進する。

お化けムカデ  技術点7 体力点20(矢が命中したので体力点を6引く)

 先ほどの鎧の効果でこちらの技術点は8相当になっているので有利だ。ムカデの黒い複眼に刀を深く押し込むと、ムカデはもがきながら死んだ。
 「茂一さん!」
 大急ぎで駆け寄って、茂一を抱き寄せる。まだ意識はあったが、肩の傷口から大量の血が流れてとても助かりそうもない。茂一の顔面は蒼白で目の焦点は定まっていない。それでも茂一は声を振り絞った。
 「わたしは名誉ある戦いの中で死ぬことができました。そのうえ御主人様の腕の中で死ねるなど…これ以上の喜びがありましょうか」
 茂一が息を引き取ると私は声を絞って泣いた。だけど、私はあくまで自分の使命を遂行しなければならない。

 ガラクタの中から、小判15枚と鉄扇と謎の液体の入った瓶、立派な鉄兜を拾い上げた。
 瓶を開けると嫌な匂いが鼻につく。常識ならこんなものを飲むとバットエンド確定な気もするけど、少し飲むと体力点が3増えた。さらに残りも飲み干して体力点を全快させる。続いて小判15枚と鉄扇を背嚢にしまうと、残った鉄兜をじっと見つめた。…液体が当たりなら、こっちはトラップアイテムっぽい気がするわね。鉄兜を放り投げると再び歩き始める。
 洞窟は上り坂になりはじめ、やがて出口が見え、最後には丘の上に出てきた。位置を確認して街道へ戻り、ほどなく影の森に到着した。

 続く


2008年08月17日(日) たけたろうの冒険 ──FF20・サムライの剣編 その5──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 茂一を仲間に加えて、少し後悔をした。なぜならこの新しい家来は、道中の間ずっと自分のことや家族のことなどを喋り続けていたのだ。
別に寡黙な男が好みとは言わないけれど、あまり話し好きな人間も疲れるわ。
 ところがその茂一が急に黙り込んだ。茂一の視線をたどると、はるか先に要害堅固な城が見える。
 「あれが裏切者、貞信公の城です」
 静かに茂一が言う。
 貞信公といえば先ほど村を襲っていた連中のあるじだ。まあ、茂一もその一味だったけど。私は決然と茂一に振り向いた。
 「将軍の反逆者はほっとけないわ。今から貞信公を討ち取りに行きます」
 (名誉点が1増える)本音では、また寄り道になるなーとは思ったものの、ファイティングファンタジーの世界じゃ、どこで必要な情報やアイテムが手にはいるかわかったものじゃないという打算もしっかり働いていた。
 茂一は少し表情をくもらせた。無理もない、彼にとっては以前の主君を討つということだ。しかし、私の顔を見ると彼もうなずく。
 「わかりました、ご主人様。サムライとしてやらねばならないことと存じます。私なら城の裏口も秘密の合言葉も知っておりますし。私のような身分低いものがご主人様のように高貴な方をお連れすることが許されるならご案内いたします」
 茂一の言葉が新しい主人に対する忠誠心からのものなのか、もしかして皮肉が混じっているかはわかりかねたが、私は信用することにした。彼を連れて城を目指して歩き始める。
 念のため鶏肉を干したものを食べて体力を全快しておく。(1食分減らす)茂一はこんな状況で食事とはなんと肝の座った方だ、とか言いつつ感心している。

 城の小さな裏門の前で茂一が合言葉を言うと、戸口が開いた。茂一から門番は1人しかいないと聞いていたので、素早く中に潜り込むと門番を殴って気絶させた。
 足早に城壁にそって中庭を歩き、粗末な家や馬小屋などの前を通り過ぎていく。侵入が騒ぎになる前に貞信公を討たなくてはならない。
奇怪な像をかかげた天守閣のある建物に近づくと、猿人類のような化け物が2匹、鎧をつけて立っているのを見て息をのむ。鬼女だ。鬼女がいるということは、イキルと貞信公が同盟を組んでいる揺るぎない根拠といえる。
 2本のかぶら矢を放つと(技術点のロール………成功)鬼女は音も立てずに倒れた。私の手際の良さに茂一が口をあんぐりあけて驚く。ふふっ、実は私もこのサイコロ運に驚いているけどね。

 屋敷内に駆け込んだ私と茂一は長い廊下と大きな部屋で構成された迷路のような城内を静かに駆け回った。大半は空っぽの部屋で、たまに使用人たちが驚いて逃げ出していく。
 廊下の角をまがったときに、目的のものに出会った。貞信公が護衛のサムライ2人をつれて歩いていたのだ。貞信公はアゴが弛んで、ぶくぶくと太った大男だ。黄金の葉の模様を散りばめた羽織に、きらびやかな冠をかぶるという、頭の痛くなるほど悪趣味な姿をしている。貞信公が後ろを向いて逃げ出すと同時に、護衛のサムライたちが前に出て一礼すると私と茂一を襲ってきた。それぞれ一対一の勝負だ。

貞信公の近習  技術点9 体力点8

 手強かったが、幸運にも体力点を4失っただけで勝つことができた。
 茂一も傷を負いながらも倒したようだ。刀を抜いたまま、貞信公を追いかけて走りだす。走りながら私は片手で饅頭を食べつつ(1食分減らす)体力を全快しておく。
 茂一は走りながらもポカンとした顔でこちらを見ていたが、睨みつけると彼は目をそらした。

 貞信公は美しく飾られた部屋に飛び込んでいった。私たちが部屋に入ったときには、仕掛け扉を開ける蓋を持ち上げようとしていたが、肥え太った体には蓋が重すぎるのか上手くいっていなかった。近くまで迫ると、彼は恐怖にわななきながら膝まづく。
 「命だけはお助けを。勇敢な剣士様!なにもかもイキルのせいなんです。おかげで私は将軍を裏切ることになってしまった。お許しを。これからは忠実な将軍のしもべとなりますから!」
 見え透いた嘘だわ。相手のあまりの卑屈な態度に嫌悪と軽蔑の表情で答えると、貞信公の目つきがやぶにらみになった。その懐から突然短剣が飛び出し私の太ももに突き刺ささる。(体力点3減らす)
 「くそったれが!」
 そう叫ぶなり、やけになって飛びかかってきた貞信公を茂一が斬った。よろめいた巨体に私が刀を突き刺す。
 「成敗!」
 貞信公の屍がくずれ落ちた。(名誉点1を得る)

 茂一が部屋を物色している間、私は餅をがっついて体力を全快させる。(1食分減らす)茂一は何か言いたそうだったが、睨みつけるとやはり目をそらした。
 収穫は小判100枚もの大金だった。もっともこの旅で金がそんなに必要になるとは思えなかったが。それから仕立ての良い鎧があり、サイズが私に合っていたので着替えてみると、とても使いやすい。(技術点を1増やす)
 それに立派な白鷲の矢が目にとまる。弓術の名人常原がつくった矢で、法力が込められているようだ。1本だけしかないがこれも頂戴しておく。
 部屋の外が騒がしくなってきた。貞信公の家来が駆け付ける前に、さきほどの蓋を開けてみると、真っ暗な横穴に下り階段が続いていて、ここから城の外に抜け出せそうだ。
 茂一と一緒に穴に潜り込むと、蓋をしっかり閉める。こちらから鍵をかけると簡単には向こう側から開けられない仕掛けになっていた。
 ひとまずの安全を確保した私たちは、注意深く階段を降り始めた。

 続く


2008年08月16日(土) たけたろうの冒険 ──FF20・サムライの剣編 その4──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 たけたろう兄貴が浅瀬川へ向かっていた頃、私こと、ともみも影の森へ続く街道を歩いていた。
 すでに将軍との謁見から旅立って2日間が経過している。将軍の直轄領はまだ平和そのものだったが、都から離れるにつれて人はまばらになってくる。
 前方に見える村から黒い煙がいく筋も立ち昇っているのが見える。駆け寄って目をこらすと、村人が逃げ惑っている中を十数人ほどの暴漢たちが家々に火を放ち、好き放題に暴れて略奪をしているようだ。暴漢はなんとサムライだ。
 村人が切り殺される姿がはっきり見え、刀の柄を持つ手が怒りで震えた。寄り道になろうとかまわない。使命を守るのも大事だろうけど、領民の安全を守るのも仕事じゃないの。近づいていくと、馬に乗った一人が私に気がついたようだ。こちらに馬に乗ったまま駆け寄ってくる。鎧を見れば彼が地方大名「貞信公」につかえるサムライの一人だとわかる。
 事情を聞いてみる選択肢もあったけど、サムライの風上にもおけない連中に遠慮はいらないので迷わず弓を構えた。

騎馬武者  技術点8  体力点9

 「ニセ将軍の手先をつとめる腰抜けめ!俺は新将軍貞信公に仕える者じゃ」
 騎馬武者はそう怒鳴りながら槍をかまえて突進してくる。私は弓の弦を続けざまに引き絞って“鎧通しの矢”を2本放つ。(2度の技術点のロール………2回とも成功)貫通力の高い矢は騎馬武者の漆塗りの鎧に深く突き刺さった。しかし、そいつは苦痛に顔を歪めながらも突進を続け(技術点のロール………失敗)、そいつの槍の一撃を肩に受けてしまう。鎧に守られたものの、衝撃を受けて体がはじかれてしまった。(それぞれ騎馬武者の体力点を4、私の体力点を3減らす)
 なおも馬上から槍で突き殺そうとする騎馬武者に対して、すぐに起き上がって戦闘を始め、さらに傷を負いながらも打ち倒した。この時点で残り体力点は3だ。

 他のサムライ達は略奪に夢中で、私のことに気づいていなかった。減った体力を補うべく、急いでおにぎりをパクつきながら考える。(2食分減らして体力点を11まで回復)
 ここでの選択肢は4つ。危険を避けて逃げだすか、このまま斬り込むか、大声で名誉ある果し合いを申し出るか、姿を伏せて弓矢で攻撃するかだ。
 さっきのサムライみたいな相手にまた勝てる自信がないので、結局弓矢をつかうことにした。闇討ちは英雄らしくない行動なので名誉点1が減らされたが、犬死よりなんぼもマシよ。
 家々の壁に張り付いて慎重に接近する。そして老人の死体を漁っているサムライに向かって矢を放つと、(技術点のロール………成功)矢は見事に首に突き刺さってそいつは絶命して倒れる。人目につかないように家から家へと駆け抜けながら、次々と矢を放った。サムライ達は1人また1人と倒れたが(運試し………成功)私の姿を発見できない。ついには生き残った者も目に見えない襲撃者に恐れて逃げ出した。
 ふっふっふっ、私のサイコロ運…じゃなかった、弓の腕もなかなかのものじゃない? (ここで使用した矢の大半を回収するものの、ここまでで鎧通しの矢3本、柳葉の矢2本、かぶら矢1本を失う)
 村人たちは私に感謝をして村の宝だといいながら、伝説のサムライ新免武蔵が使用していたというハチマキを差し出した。受け取って頭に締めてみると気が引き締まる。(名誉点1を増やす)

 そのとき「殺せ!殺しちまえ!仲間の敵だ」と村人たちの怒鳴り声と共に、若くすんなりした体のサムライが縄で縛られて引きずられてきた。さっきの連中の仲間らしい。村人たちは私に、そいつを斬り捨ててくれと頼んでくる。そのサムライを見ると彼は地面に押さえつけられた状態で、顔を背けずに私を見上げる。その表情は死を覚悟したものだった。
 頷いた私が刀を振り下ろすと、サムライを縛っていた縄が切れた。
 「無抵抗の人間を斬ることは出来ないわ」
 私がそう宣言すると村人たちは落胆した声をあげる。サムライは驚いた顔をしながら立ち上がったかと思うと、今度は土下座して私を見つめつつ畏まった。名前は茂市と名乗り、是非ともあなたの家来になりたいと言い出す。
 少し考えたが、この申し出を承諾することにした。仲間がいたほうが少しでも戦闘の助けになるだろう。
 村人達は「サムライはみんな同じ穴のムジナだ」のようなことをぶつぶつ言いつつ解散してしまった。それにはかまわず、まだ土下座している茂市を助け起こすとついてくるように命じる。
 茂一は嬉々として私と一緒に歩き出した。

 続く


2008年08月15日(金) たけたろうの冒険 ──FF20・サムライの剣編 その3──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 森の中の野宿にもかかわらず、朝の目覚めは爽やかでした。体力点を3増やすところですが、まだ戦いは一度もしていないので、体力はすでに満タンです。朝食を食べたいところでしたが、食料がもったいないので我慢します。空腹で体力が減るなら、食べますがねぇ…。お腹空きましたけどねぇ…。

 森の中の小道を歩き続け、昼前には浅瀬川に到着しました。川幅は広くて水流は急な大きな川ですが、橋や渡し舟なんて気の効いたものはなく、近くに人家一つ見えません。
 水中に何がいるのか分からないので、泳ぐのはできれば避けたいです。岩などが多くて水深も比較的浅い箇所を探し出すと、膝まで水につかりながら歩いて川を渡り始めました。
 川の半ばまで来たところで、川面からいくつもの人影が浮かび上がってきました。まずいことに河童のようです。頭をハンマーでつぶしたコブリンみたいな姿をしていて、とても河童に見えませんが、八幡國の河童はこんなのみたいです。おまけに邪悪な性格らしく、襲いかかろうとしています。 とにかく逃げようとすると足を滑らせてしまいました。バランスを崩しかけましたが、(足場が悪いのでサイコロの目に1足したうえで運試し………………成功)幸いにもなぜか傍に巨大カタツムリがいたのでその殻を踏みつけて、川の深みへの転落だけはまぬがれます。
 そのまま水しぶきをあげながら浅瀬を走り続け、河童が手を伸ばしてきた瞬間に、猿飛びの術で大跳躍をしてかろうじて対岸の岸へ着地。すぐさま近くの立ち木へ背中を合わせて、襲い来る河童達を迎え撃ちます。河童の体を叩いて、奴らの頭の皿にある水をこぼすように仕向けると、河童たちは嫌がって川へ戻っていきました。ふう、八幡國でも弱点が同じでよかった。
 それでも河童の一匹は川岸から三叉の鉾を投げつけてきますが(運試し………………成功)、鉾の狙いはそれて立ち木に突き刺さります。私がその鉾を抜いて、逆に河童たちを脅してやると、今度は大きなルビーを一粒投げてよこしました。
 「人間よ。これは私達の一番の宝だ。これをやるからもう立ち去ってくれ」
 これは思いがけない収穫です。ホクホクしながら“不死鳥のルビー”を懐に入れて浅瀬川から離れます。

 そのまま道をいくと、荒地に差し掛かりました。突然大きな地震が起こったので、その場に這いつくばってこれを耐えます。しばらくするとまた地震。いや、足元の硬い地面が盛り上がっています。なんと私はいつの間にか巨大なカニみたいな化け物、マーモットの背中に乗っていたのです。急いで猿飛びの術で飛びのいて逃れます。マーモットが追いかけてこようとしたので、慌てて逃げました。冗談じゃありませんよ。こんな大きいのと戦ったら、簡単に死んじゃいますよ!
 峠を越えるとそこは水グモ沼と呼ばれる湿地帯です。いつの間にか雨が降り始め、地面がぬかるんでいます。
 ここでは道が3方向へ分岐して伸びている以外に、他に地図はもっているかと質問がありましたが残念ながらもっていません。適当に最初の選択肢にある道を選んで進みます。
 だんだん雨はひどくなるにつれ、たちまち湿地帯は湖のようになり、水位が上昇していきます。なかば水に追われるように登り道を探して歩き続けているうちに、時々生えている木々の間に巨大なクモの巣がかかっているのが見えました。あ、嫌な予感がします。
 突然、丸い岩戸が弾き飛ばされて、その下から大グモが這い出てきて襲ってきます。おまけに今回は逃げられません!

土グモ  技術点10 体力点14  

 強いです!ここで私はあっさり負けて、クモの餌になってしまいました。

 END


2008年08月14日(木) たけたろうの冒険 ──FF20・サムライの剣編 その2──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 浅瀬川を目指して街道を徒歩でひた進みます。道を通る住民達は、将軍から賜った鎧を着ている私に道をあけて敬意を示してくれます。さすがに城下町周辺はまだ将軍様の威光が届いているようで、しばらくは平和に旅をすることができました。
 それにしても馬くらい都合してもらうようにお願いしておけばよかったですねぇ。さすがに歩き詰めで疲れますよ。

 都を離れて2日ほどすると、だんだん住民達の様子が変わって行きました。私を見ると足早に離れる人、遠くからこちらを見て小声でなにやら噂話しをしているような住民がいて気になってきます。
 山道に差し掛かるとさらに雰囲気は決定的に悪くなりました。
 炭焼き職人達が私を見て、もう権威もない将軍家の犬めとか、将軍が失脚すればお前は浪人だなどと、私をあざ笑います。
 自慢じゃありませんが、たとえ炭焼き職人が相手でも戦えば負ける自信がある私です。本音は無視してさっさと立ち去りたいところでしたけど、そうすれば名誉点が減ってしまいますので、仕方なく彼らに説教することにしました。
 何気ない様子で炭焼き職人達の前を横切ろうとした刹那、得意の猿飛びの術で、空高く跳躍して彼らの背後に着地。脅しの意味で傍の干草の山を刀でなぎ払ってワラを飛び散らせます。
 彼らは腰を抜かすほど驚いて謝ってきました。将軍への忠誠を誓うように言うと彼らはその通りにします。名誉点も1増えて、ちょっと気分がいいですね。
 村長が今夜の宿に村へ案内しようと申し出ましたが、断ってそのまま山道を進みます。

 夕方になり、今夜の野宿の場所を探そうと考えながら歩いていると、山道が少しひらけた広場に繋がりました。見れば隅の方に掘っ立て小屋がひっそりと佇んでいます。
 今夜の宿をお願いしようかと近づこうとすると、戸口が開いてごついサムライが出てきました。彼は私の姿、とくに将軍から賜った鎧を見るなり、刀を抜いたではありませんか。
 「将軍家の剣術指南役がこんな若造とは驚いた!拙者は銀斎と申す者。かつて将軍家に謀反を起こした戸田家でサムライ大将を勤めていた男でござる。戦にやぶれて以来、このように浪人に身をやつしておるが、今でも将軍家は拙者の敵。主君の無念を晴らすために、貴殿に果し合いを申し込む!」
 厄介なことになりました。この銀斎という人はとても強そうです。戦ったら間違いなく死んでしまいます。逃げなくちゃ。
 私はとっさに奴の背後を指差しました。
 「あ、あんな森の中にミノタウロスがいる!」
 「どこでござる!兄上の敵、ミノタウロスはどこじゃー!」
 銀斎が後ろを振り向いて叫んでいる間に、咄嗟に茂みの中に飛び込んで姿を隠しつつ逃げ出します。だまされたことに気づいた銀斎が追いかけてきましたがなんとか振りきれそうです。怒鳴り声が背後から聞こえてきます。
 「おのれ卑怯者。この場は逃げおおせても、恥辱点にまみれいずれはゼウス神の雷に撃たれようぞ!」
 果し合いから逃げたので名誉点が2減りますが、殺されるよかなんぼもマシです!
 こうしてこの場をなんとか切り抜けた私は森の中を歩き続け、乾いた地面を見つけて野宿をすることにしました。

 続く


2008年08月13日(水) たけたろうの冒険 ──FF20・サムライの剣編 その1──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 今日はクール大陸の辺境の地にある八幡國の夏祭りだったので、私ことたけたろうは、腹違いの妹であるともみと一緒に遊びに出かけていました。八幡國に夏祭りがあるかって?ええ、あるんですよ。
 ともみは夏祭りの雰囲気に合わせて、着物を着ていました。長い髪も黒く染めて、すっかり八幡國風の娘の格好をしています。ちょっと目がきつめですが、なかなか似合いますねぇ。ともみが腕を絡めてきたので、純情な私としてはちょっと赤くなっちゃいますよ。妹といっても私とともみは別々なところで育っていましたから、他人みたいなものでしたからねぇ。
 「ねぇ兄貴ぃ、ワタ飴買ってー、リンゴ飴買ってー」
 「いや、さすがにワタ飴やリンゴ飴は八幡國にはないでしょ!」
 ともみがブーブー文句を言いましたが、ないものはないのです。代わりに屋台で棘々獣の肝臓のからし漬けを買ってやりました。これは本来、北アナランドや南カーカバードの名物なのですが、八幡國にもあるみたいです。
 みこしや花火なんかを見物したりなんかして、久しぶりに楽しい夜を過ごしましたよ。

 ドドン!
 次の日、私とともみは、太鼓の音と共に50畳分はあるかという畳の大広間に通されました。
 真正面には将軍様、横にはズラリと何十人もの家臣たちが正座しています。
 「よく八幡國にきてくだすった!どうか!どうか、この八幡國のために“鍔鳴りの太刀”を取り戻してくだされぃ」
 家臣たちが私たちに頭を擦り付けるようにして、お辞儀をしました。“鍔鳴りの太刀”とは聞いたことがあります。たしか代々の将軍家が所有する八幡國の宝刀とも呼ばれるもので、持ち主に絶対的な力を与えるといわれているはずです。
 将軍も重々しい口ぶりで頼まれもしないのに私達に事情を語ってくれます。
 「この国は今、大変な危機に陥っているのだ。何人かの大名がわしのもとを去り、謀反を企てようとしている。盗賊や蛮族どもも横行するようになった。すべては宝刀“鍔鳴りの太刀”が盗まれてしまったからなのだ。盗んだのは誰であろう、あの闇将軍イキルなのじゃ。奴は魑魅魍魎の巣くう鬼軽城に君臨し、今や刀を手にしたイキルの旗のもと、鬼女や悪鬼、修羅どもが続々と集まっておる。この桜の咲き誇る美しい八幡國がイキルに支配されるのは時間の問題だ。鬼軽城へ赴き、イキルを殺し、わしのもとに“鍔鳴りの太刀”を持ち帰ってくれ」
 ちょっと、嫌ですよ。そんな怖い任務。なにかもっともらしい理由を考えてお断りして帰りましょう。
 「承知しました。恐れながら私に会う鎧、それから弓矢さえ賜れば、その任務お引き受けいたします」
 返事を考えていると、ともみが突然かしこまった声を出したので驚いてしまいました。将軍は大喜びで、幸運を司る布袋様の加護を祈るとかなんとか言いながら、ともみの希望した鎧と弓を持ってこさせています。
 「ちょっと、ともみ…ともみさん…。大丈夫なんですか、そんな安請け合いしてイキルを倒せる自信はあるのですか?」
 「残念だけど、成功の可能性は低いわね。ただ、今回の冒険で鬼軽城にいくルートは2つのあるの。そのうち影の森を抜ける道なら比較的危険は少ないはずよ。それに4つの特殊技能のうち“弓術”を選べば、ある程度戦闘をせずに敵を倒せるから技術点の低い私でもまだ望みはあるわ」
 ともみは弓の弦をひっぱって調子を見ながら、こともなげに答えました。 
 そして鎧を着込み、将軍に一礼すると大広間から下座していきます。ともみの去り際に私はもう一つ小声で尋ねました。
 「その成功の可能性ってどのくらいです?」
 「んー、サイコロ運にもよるけど1%くらい?」
 い、いちぱあせんと?
 ショックで一瞬ぼーぜんとしましたが、ともみが立ち去った後、大広間の将軍と家臣の目がじっと残った私に注がれているのにすぐに気づきました。家臣の一人が咳払いをしてから口を開きました。
 「ところでたけたろう殿。貴殿はどうなされるかな?」
 「え?私ですか…。あの、選択の余地はあるのでしょうか…。たとえば依頼を断るとか」
 「ふむ、出来なくはない。しかし、その選択肢は将軍様に恥をかかすこと。名誉点を0点まで減らすに値するな」
 「えと、聞くまでもないかもしれませんが、八幡國で名誉点を0点まで減らすとどうなりませうか?」
 「無論、切腹じゃ。わが将軍様は恥をかかされたからと、すぐに打ち首を命じる方ではござらぬ。サムライとして名誉と誇りある切腹をお許しになるあたり、いかに慈悲深いお方であらせられることか」
 やっぱりー、それって選択の余地ないでしょ!切腹も打ち首も結局は一緒じゃないですかぁ。
 仕方なく泣く泣く私も「お引き受けします」「うむ、殊勝な心がけあっぱれじゃ」と馬鹿馬鹿しい会話をして早々に大広間を下座しました。

 慌てて鎧を着こむと、ともみの後を追いますが、何とともみはすでに旅立っていました。冒険のことになると、相変わらずそっけのない妹です。これじゃ、ツンデレにすらならないですよ。
 「ともみ殿は我らから刀と矢筒を受け取り、影の森を目指して出立なされました」
 槍を構えた2人の門番たちが玄関口で私にそう教えてくれます。急いでともみを追わなくちゃ!
 「なりませぬ!」
 門番たちが影の森へ行く道に行こうとする私を、槍を構えて押しとどめます。
 「2人が同じ道をたどれば、同じ罠や妖怪に道を断たれる恐れがあるやもしれませぬ」
 「鬼軽城に到達する道は2つ!たけたろう殿は浅瀬川を渡る道を進みなされぃ」
 ま、待ってください。確かともみの話では、影の森を通るほうが楽と言っていたから、つまりその浅瀬川を渡る道とやらの方が危険じゃないですか!?
 しかし、門番は慇懃に槍を構えて、ともみの向かった道を通せんぼします。とほほほほほ…。
 私は観念して旅を始めました。特殊技能は敵から逃げるのに役に立ちそうな“猿飛び”を選択します。


<たけたろう>
 技術点   7
 体力点  14
 運点    7
 名誉点   3
 所持品:刀、鎧、食料10食分
 特技:猿飛びの術


<ともみ>
 技術点   7
 体力点  14
 運点    7
 名誉点   3
 所持品:刀、鎧、弓、矢(柳葉の矢3本、威力の矢3本、鎧通しの矢3本、かぶら矢3本)、食料10食分
 特技:弓術


2008年08月12日(火) たけたろうの冒険 ──FF19・深海の悪魔編 その6──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 泳ぐのに疲れたので海底を歩くことにした。歩きながら食事を1食分食べて体力を回復させる。
 なにやら腰のあたりがもぞもぞしてきたので振り向いて見ると、いつの間にか小さなタコが何匹かまとわりついている。
 「やめなさい!こらっ、あっ、へ、変なところ触るな!」
 タコに怒っても仕方ないのだが、触手がしつこくまとわりついて気持ち悪い。残った食料を1食分投げてみると、何匹かのタコはそちらに移動していった。残ったタコはやさしく手で体から引き離す。
 なんとか自由の身にもどったが、今の騒ぎで所持品が一つ無くなっていた。(紛失品は選べるのでここは“鮫の歯”が無くなったことにした)

 珊瑚礁のかたまりに向かった私は、また巨大な生き物の影に出会った。見上げるとなんと体長10数メートルはあろうかというクラーケンが、私をエサにしようと接近してくるではないか!
 大慌てで岩陰に隠れるが、クラーケンは立ち去るそぶりは見せなかった。
 荷物からノコギリ鮫を取り出し放ってみる。クラーケンは触手を伸ばしたが、ノコギリ鮫は触手をちょんぎってしまった。そのまま壮絶な戦いが始まる。最後にはクラーケンが生き残ったものの、ノコギリ鮫の健闘によりクラーケンはボロボロだ。
 さらにウミツバメの剣を投げつけると、短剣は吸い込まれるようにクラーケンに突き刺さって、クラーケンは苦しそうに身をよじった。
 弱ったクラーケンに止めを刺すべく、私は剣をかまえて泳ぎよる。

クラーケン  技術点10  体力点30

 クラーケンはかなりの強敵だったが、ノコギリ鮫とウミツバメの剣の効果により、技術点8・体力点10まで弱体化していたのでなんとか退治できた。
 クラーケンのいた場所から黒真珠を3粒発見。これで計8粒だ。

 もう海賊船の居場所もわかったし、黒真珠も十分集まった。なにより夕暮れが近づいているので、水中で呼吸できる魔法の効力ももう切れるはずだ。
 私はイルカのキークウィートを呼んでみた。イルカはすぐにやってきて、私を背中に乗せてくれる。
 「魚の形をした大岩のある島を知ってる?その入江が海賊船の隠れ家らしいの」
 「ああ、わかりますよ。そこまで乗せていけばいいですね。お安い御用です」
 イルカは頼もしく答えると、力いっぱい泳ぎ始めた。
 夕日が沈む少し前に、イルカと私は海賊船トロール号の近くまでやってきた。イルカは私の幸運を唱えて泳ぎ去っていく。

 いよいよね。薄暗がりにまぎれて船の甲板までよじ登ると、海賊達が集まっている場所へ踊りこむ。海賊達は私が生きて戻ってきたことに、仰天しているようだ。
 このスキに黒真珠を床に落として、老魔法使いグレイロックに教わった呪文を唱える。8粒の黒真珠はたちまち4体の骸骨の騎士へと姿を変えた。
 海賊達はあまりの恐ろしい光景にすくみあがった。船から飛び降りる者もいたが、大半が跪いて許しをこい始める。ブラッドアックス船長は怒りくるって、こちらに突進しようとしたが、怪物を恐れる手下達に逆に殺されてしまった。
 船は私の支配下になったのだ。海賊の手下は何でも従うので命だけは助けてくれと私に懇願する。私は少し考えてからこう答えた。
 「あいにく私は海賊業なんかに興味はないの。でもポートブラットサンドに向けて船を操ってちょうだい。私の骸骨たちが操船を覚えたら、あなた達には下船してもらうわ。もちろん私は救命ボートをつけるわよ」
 海賊達は寛大な申し出に感謝した。数日後、骸骨たちによって操られたトロール号は、ポートブラッドに入港する。おかげで海賊の財宝で金持ちになったし、何より自分の船が手に入ったのだ。
 こうして私の冒険は大成功に終わった。やったね!






 「お腹すきましたねぇ…。一度も船影も見つからないし、私ってどうなるのでしょう…」
 その頃たけたろうは小さな無人島で、照りつける太陽のもと釣り糸を垂れていた。
 彼が生還できたかどうかは定かではない。


2008年08月11日(月) たけたろうの冒険 ──FF19・深海の悪魔編 その5──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 老人の家を出てしばらく泳ぐと、また小屋が見えた。ただし、今度は普通に海中たたずんでいる古い廃屋だ。屋根も抜け落ちて誰も住んでいる様子はないない。
 窓だったらしき四角い穴から家の中を覗くと、巨大なイソギンチャクが部屋の中央にどっしりと生えていて、そのまわりを色とりどりの熱帯魚が泳ぎまわっている。美しいがこれはこれでシュールな光景だ。家の中に入って、イソギンキャクに近づくと人魚の骨らしき白い欠片が見えた。イソギンチャクのエサは魚だけではないらしい。
 ふと、イソギンチャクの中央に未開封の小さな木箱が転がっているのが見えた。お化けイソギンチャクなんかと戦いたくはないので、剣を伸ばして箱をつつき落とそうとする。(ここで運試しだが幸運の首飾りを使用して自動的成功にする)
 うまく木箱が床に落ちた。木箱をこじあけると空気の泡が吹き出して良い気分になる。(原体力点を1増やし、体力点が全快する)
 空気の抜けたあとの箱の中には一振りの投擲用の短剣が収まっていたので、これを頂くことにした。よく磨きこまれていて綺麗だし、魔法の力も込められているようだ。古代文字でウミツバメの剣と柄に刻まれているのが読める。

 小屋を出た私は、小屋の傍にあった海溝を下っていった。周囲がだんだん暗くなってきたがホタルイカはもういないので、視界は悪くなる一方だ。そのとき、背後で巨大な影が動いたかと思うと、強烈な一撃を脳天にもらって気絶してしまう。
 目をさますと海底の檻の中に閉じ込められていた。檻の外に大きな海オーガが、こちらを覗きこんでいる。そいつは檻のスキマから魚を一匹こちらに投げ込んだ。(食料を1食分得る)
 「エサ食え。太ったら食ってやるからな」
 どうやらこの檻は食料庫らしい。冗談じゃないわ。とはいえ海オーガは強いそうだ。まともに戦いたくはない。
 じっとしていると、海オーガは次の獲物を捕まえに立ち去った。脱出するなら今だ。氷の欠片を取り出して、水の精霊を呼び出した。氷の欠片が消滅するとすぐさま精霊が駆けつけてくる。
 「これは興味深い状況ではないか、友よ」
 水の精霊が檻に閉じ込められた私の窮状を見て感想を述べた。
 「君は閉じ込められた私を助けてくれた。今度は私が君を救出する番だ」
 たちまち檻はコナゴナに吹っ飛び、私は水流に乗って元の海底まで上昇していった。私は精霊に礼を言って別れ探索を続ける。

 海底に沈んだ廃墟の町でもひときわ目を引く大きな建物が大聖堂だ。大半の建物が崩れ落ちている中、ほぼ完全な外観を残している。私はここも調べてみることにした。
 大聖堂には魔法の力が生きているのか、海底の中にあっても荘厳な雰囲気を今なお残しており、ステンドグラスは輝くばかりだ。ただ、スランドグラスの絵は海賊が船を襲っている光景という、教会に似つかわしくないものなのが不思議だ。
 ふと、絵が動いたような気がして目をこすった。いや確かに動いている。それに描かれている船には見覚えがあった。海賊船トロール号と自分の乗ってきたサンセット号だ!ステンドグラスの中で色のついた影絵芝居のように、海賊達が商船を襲うところが再現されていた。しばらく見つめていると、場面が変わってトロール号は大きな魚に飲み込まれていた。いや違う。大きな魚のような大岩の影に、トロール号が停船しているのだ。背景は夜のようだ。これはトロール号の場所を知るヒントになる。
 別のステンドグラスを眺めていると、今度は私自身が巨大なイカに追い回されている姿が映っていた。その隣の絵は細身の剣をもった奇妙な人間が描かれていた。気になったのでその絵に近づくと、なんと絵の中に吸い込まれてしまった!

 絵の中では人型で魚の頭をした奇妙な生き物が、羽飾りの帽子をかぶり、騎士の礼装のような姿をして待っていた。そいつは私を見て敬礼をした。
 「ようこそ。我輩は七つの海でも最高の戦士ですぞ。このシラノに剣の手ほどきを受けに来たのであろう。受講料は黒真珠1粒か金貨2枚じゃぞ」
 またわけのわからない事態になった。とはいえ、シラノと名のる魚人間からは敵意は感じられない。興味がでたので、金貨2枚を渡すと彼は一礼してから細身の剣を抜いてかまえた。

シラノ  技術点11  体力点10

 私が3回傷を負った時点で、シラノは剣を引いた。
 「やはり我輩には勝てなかったな。だが悲観することはないぞ。この手ほどきが勉強になったはずだ」
 戦いには負けたがこの試合により、原技術点と技術点が2増えた。嬉しいけど、こんなに簡単に強くなっていいのだろーか。この冒険をはじめて原技術点9・原体力点15・原運点8までパワーアップしている。
 考えこむ私をよそにシラノが足を踏み鳴らすと、私は元の海底に一人で戻っていた!
 うー…ん。早いところ使命を果たして、陸上で普通の生活に戻りたいわ…。ずっといたら変になりそう。

 続く


2008年08月10日(日) たけたろうの冒険 ──FF19・深海の悪魔編 その4──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 イルカが近づいてくる。
 「こんにちは、お嬢さん」
 驚いたことにイルカが喋った!どうやらイルカの飾りのついた冠に魔力があるらしい。うはっ、かわいい!
 しばらく喋っていると、鮫までやってきた。しかし鮫は、私たちを友達ではなくエサと認めたらしく、襲い掛かってくる。
 「気をつけて!一緒に戦いましょう!」
 イルカの叫びに答えて戦闘態勢に入った。2対1(私とイルカ VS 鮫)の戦いだ。

鮫   技術点8 体力点15
イルカ 技術点10 体力点9

 鮫は私より強かったが、イルカの力もあってなんとか撃退できた。見た目より案外強いのね、イルカ君。記念にと鮫の歯を一本抜いてもらっておく。
 すっかりイルカと仲の良くなった私は自分の使命を打ちあけてみた。するとイルカは自分ことをキークウィートと名のり、海賊船を探す時は協力すると申し出てくれた。再会を誓ってイルカと別れる。
 続いて沈没船を発見したので船内に潜り込んで探索する。沈没船の中は(運試し……成功)特に危険はなかったが、財宝倉の方もからっぽだった。収穫は金貨1枚だけ発見だけで、これ以上の船の探索をあきらめる。

 廃墟の都市の探索をさらに続けると、海草の揺らぐ海底庭園の先でまた不思議なものを発見する。
 ここにきて今までも散々奇妙なものを見てきたがこれは極め付けだ。なんと陸上にあるようなごく普通の小屋が、巨大な空気の泡につつまれて海底に立っている!
 見たところ家は手入れをされており、ベランダにはありふれた陸上の植え込みまであり、泡の外から窓を覗くと、猫が一匹に老人が安楽椅子にかけてくつろいでいるのが見えた。
 「なんなの、ここは?」
 思わずつぶやくと老人が私に気がついて手招きした。逃げだす選択肢もあったが、好奇心の方が強かった私は空気の泡の中に踏み込んだ。
 とたんに乾いた地面の上で、ビショビショの服から大量の海水を垂らしながら立ちすくんでいる状態になった。
 「植え込みには海水をかけないでくれよ。植物が塩分で枯れてしまうからな」
 老人が戸口からそんな私を見てまじめ腐った顔で言った。
 老人はグレイロックという強力な力をもった魔法使いだった。思い出して、グレイロックと書かれた封筒の入っているガラス瓶を渡してみると、彼は瓶から封筒を取り出し中身の手紙を読み始めた。読み終わると、私に向かってパチンと指を鳴らす。
 とたんに私の体力点と運点が全快した。濡れぼそり海賊や怪物らに破られてボロボロだった服も、着心地よく乾いた別の服に新調されている。
 老人の勧めにしたがって、小屋の中に入ってくつろぐ。
 「これは大事な手紙を持ってきてくれたお主に対するサービスだよ。ところで魔方陣の魔力に守られているようだが、このような辺鄙なところで何をなさっている?」
 むしろ私がこの老魔法使いに聞きたい質問だったが、先に自分の使命を打ち明けてみた。
 「なるほどな…。ならば黒真珠はもっておるか?」
 5粒の黒真珠を見せると、老人は満足そうに頷いた。
 「そうか。もう少し数は欲しいところだが、ひとまず海賊に一泡吹かせてやれるかもしれん。なぜならこの黒真珠を使って、骸骨の戦士を召還することができるのだよ。今からその呪文を教えてあげよう」
 老人は呪文を教えてくれた。私は礼を言って、この不思議な家をお暇して海中に戻る。せっかく乾いていた服がまた濡れるのが嫌だったけど、10秒もしないうちにまた気にならなくなった。

 続く


2008年08月09日(土) たけたろうの冒険 ──FF19・深海の悪魔編 その3──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 闘技場を出て広い砂地の上を泳いでいると、船乗りの幽霊が出現して呼び止められた。成仏できるように海底に散らばった自分の遺骨を集めて欲しいという。
 幽霊の頼みを聞いてやると(遺骨集めで体力点を半分に減らす、途中で金貨1枚拾う)青いガラスの小瓶をもらった。瓶の中にはグレイロックと名前の書かれた封筒が入っている。何かの役に立つかわからないがもっていこう。
 幽霊と分かれて食事を1食分とり、探索を再開するとお化けカサゴが襲ってきたが、さっき拾った銛を投げつけると、銛を突き刺したまま大慌てで去っていった。

 続いて大きな石作りの建物を探索する。中に入ってみるとここは霊廟に使われていたことがわかる。
 霊廟の中はあちこち崩れかけた石像が無数並んでいたが、一番奥にまだ無傷の人間の上半身を刻んだ石像を発見して泳ぎを止める。頭にはイルカの飾りが刻まれた緑のヒスイ製のかわいい冠を被っていた。なんとなく気に入ったので、ひょいとその冠を取り上げてみると石像が襲い掛かってくる。うーん、予想通りな展開だわ。

動く石像  技術点6 体力点16

 石像が破壊されるとイルカの冠を自分の頭にかぶせる。鏡がないのが残念だけど、我ながら似合っているんじゃない?
 霊廟の奥には石像の他に大きな蓋のようなものがあったので、苦労して蓋を開けてみると(体力点1減らす)蓋の下から暗い穴が出現した。強力な海流によって私はその穴に吸い込まれてしまう。

 穴に吸い込まれた私は急いで手を岩に引っ掛けて体を固定させる。中は真っ暗で、強い海流が流れている以外にここがどうなっているのかさっぱり分からない。
 人魚のお爺さんから買ったホタルイカを放すと、ホタルイカは私の周りを泳ぎながら周囲を照らしてくれた。ここは狭い洞窟の途中になっているようだ。海流の流れに逆らって進む道を選択する。
 洞窟内に生える珊瑚にぶつかっては擦り傷だらけになりながら(体力点2減らす)、洞窟を進むと四角い部屋にたどり着いた。
 ここで渦潮が人間をとったような不思議な存在に出会う。彼は自分のことを水の精霊と名のり、最初私を警戒するそぶりを見せたが、話しかけると友好的に応じてくれた。彼は骨の悪霊の力でここに封じ込まれたんだと言い、大声で嘆く。
 「ああ、黒い真珠が一粒あればこの呪縛を解くことができ、あの悪霊に思い知らせてやれるのに!」
 黒真珠ね…。まあ、いいか。黒真珠を一粒差し出すと、彼は大喜びで受け取った。(原運点と運点を1増やす)
 「感謝する!この氷の欠片を受け取りたまえ。海の中で君が私の力を必要としたとき、いつでも駆けつけよう」
 水の精霊は氷の欠片を私に手渡すと、天上に穴を開けて姿を消していった。とたんにその先から、大きな争いの音が聞こえる。骨の悪霊とやらと戦っているのだろうか?
 頭上が静かになってから私は天上の穴を登ってみると、そこは別の部屋になっていた。もはや悪霊も水の精霊の姿も見えない。
 ただそこに転がる頭蓋骨から2粒の黒真珠を発見したのでありがたくいただく。部屋から縦穴が延びていたので登っていくと、もとの海底に出られたのでほっとする。
 明るい空間に出たので、役割の終えたホタルイカはどこかへ泳ぎ去ってしまった。周囲と見廻し、先程いた霊廟とそんなに距離が離れていないことを確認する。

 ここで少し休憩。食事を2食分とりながら今の荷物を整理した。
 所持品:剣、黒真珠5粒、金貨1枚、幸運の首飾り、道具魚(ノコギリ鮫)、封筒の入ったガラス瓶、イルカの飾りがついた冠、食料2食分
 
続く


2008年08月08日(金) たけたろうの冒険 ──FF19・深海の悪魔編 その2──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 しばらく魔方陣の周囲を泳いで海中を動く感覚になれると、廃墟の様子を調べてみる。
 すると昔は大聖堂だったと思われる大きな建物の中で、若い女の人魚に出会った。害意を感じなかったので、剣を下げると彼女は嬉しそうに笑った。
 「ありがとう。でも、ここは危険な生物も多く住んでいるから、あなたの用心は正しいわ。私はあなたがここに到着していたときから、ずっと見ていたの。あの魔方陣の効力は海上まで上がるか日が沈むと同時に消えるわ。だから日没までは海面に上がらずにここを探索して、船なしでも故郷に帰る良い手段がないか探すべきね」
 助言に礼を言ったものの、私の中では先ほどの海賊達に復讐をしたいと気持ちが強かった。でも、技術点7の私一人に何ができるだろう?人魚にそのことを相談すると、彼女は少し考えてから言った。
 「それなら黒真珠を集めなさい。黒真珠は強力な魔法の力が秘められているのです。沢山集めれば、海賊達に仕返しする力になるかもしれません。それに幸運のお守りを差し上げましょう」
 彼女は首飾りを私の首にかけてくれた。これは運試しを一度だけ自動的に成功する効力がある。
 「大丈夫。この冒険はあなたみたいな方を基準にゲームバランスが作られているの。リビングストン作品とは違うから。じゃあがんばってね」
 人魚はウィンクすると、大聖堂から泳ぎ去っていった。最後の言葉はとても心強いわ!

 大聖堂の捜索を続け、階段だったところを泳いで登っていき、最上階の部屋に入ったが部屋の中は海草だらけだった。しかし、ここはバタクーダの巣のようだ。人間くらいの大きさのある4匹の魚が襲い掛かってきたので、剣をかまえて一匹ずつ戦う。

バタクーダ  技術点6 体力点4
バタクーダ  技術点6 体力点6
バタクーダ  技術点5 体力点6

 倒すと3食分の食事をして体力を全快させる。発見した金貨4枚をポケットに入れて、今度は最下層目指して階段を下ってみる。
 すると、2体の骸骨がぼんやり立っているのに遭遇した。骸骨の目には人魚の話していた黒真珠が埋め込まれている。これは倒して手に入れなくては。今回も一体ずつ戦う。

骸骨  技術点8 体力点5
骸骨  技術点7 体力点6

 これも退治すると、骸骨の目から計4粒の黒真珠を抜き取った。思ったより簡単に手に入ったが、海賊に復讐するためにこれを後いくつ集めればいいのだろう?
 怪我を負ったので、また食事を2食分とって体力を全快する。
 どうでもいいけど、水中で食事って妙な気分ね。食べ過ぎ?うるさいわね、食べないと傷が治らないのよ!
 大聖堂を出て、今度は闘技場跡らしき建物に進入。スタジアムの砂面に銛が落ちていたので、予備の武器になるかもと思って拾い上げた。
 そのまま、闘技場内に広がる廊下を探索してみると、また人魚に出会う。人魚といっても今度は老人の男の人魚だ。彼は道具魚というものを売って生計を立てているらしい。近くに人魚の町でもあるのかしら?
 交渉してみると、道具魚は一匹につき金貨2枚と交換してくれるとのこと。手持ちの金貨は4枚。考えて、ノコギリ鮫とホタルイカの2匹を購入した。必要なときに道具魚を放すと、自動ノコギリやランプのような役割を果たしてくれるそうだ。きっと何かの役にたつだろう。
 お爺さん人魚に礼をいって、闘技場を後にする。

 続く


2008年08月07日(木) たけたろうの冒険 ──FF19・深海の悪魔編 その1──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 今日は厄日だ。
 何もなければ楽して当座の生活費が稼げると、私とたけたろう兄貴の2人が護衛として雇われ、商船サンセット号に乗り込んでポートブラッドサンドを出港したのが五日前。
 だけど運悪く私達の乗ったサンセット号は、トロール号という海賊船に襲われてしまったのだ。
 いくら戦っても多勢に無勢。海賊達はサンセット号の乗員を次々に切り殺していく。もはや任務ではなく生き残るため必死に私は応戦を続ける。しばらく前から兄貴の姿が見えないのが気にかかる。ひょっとして、すでに切り殺されたのだろうか?
 手前の海賊を切り捨てると、一時的に周辺の海賊がいなくなった。この間に兄貴の姿を探そうとすると、小さく兄貴の声が聞こえた。
 「ともみぃ…。こっちですよ…」
 「兄貴!生きてたんだね、よかった!でもどこにいるの?」
 「こっちこっちぃ…」
 耳を澄ますとすぐ横に並んだ大きな樽の一つから、かすかな声が聞こえてくる。たけたろう兄貴だ。思わず眉毛がピクピクと怒りに震える。
 「あ、兄貴ってばさぁ…。私が必死に海賊と戦っていた傍で、ずっと樽の中に隠れていたわけ?」
 「え!?だって、海賊って怖いですもの…」
 「アホかぁああああ!死にさらせ!」
 私が樽を蹴り上げると、「ギャン!」と悲鳴があがったあと、樽はコロコロと転がってボチャンと海に落ちた。船べりまで走ると、樽の蓋は閉まっていて、プカプカ浮いて海流に漂流しはじめているのが見えた。カメみたいな奴だ。
 「くっ、トドメを刺し損ねた!」
 「ドドメを刺されるのはお前だよ。無駄な抵抗は止めてもらおうか」
 気がつくと船べりの両端はすでに海賊に囲まれていた。他のサンセット号の船員は全滅したらしい。私は剣を落として両手を差し上げた。
 
 財宝と私はトロール号に移され、サンセット号は火をつけられて燃えていた。
 私は手首を縛られた状態で、十数人の海賊達に取り囲まれていた。 
 「手こずらせてくれたな。お前のせいでかなり手間取ったぞ」
 「でもラッキーだぜ。女だぞ!」
 「へへへっ、こりゃ楽しめそうだな」
 私は必死にこの場から逃げる方法を考えていた。頭のハゲあがった大男が、ピタリと私の前に立つ。まわりの海賊どもが静かになったところを見るとこいつが船長らしい。
 「おまえら、下品な物言いは止めやがれ!なんて野蛮なんだ!恥を知れ!このレディはな、一人で奮戦し、多くの手下を切り倒した勇敢なお方だぞ。もっと丁重に扱え」
 部下の不満げなつぶやき声を無視して、船長はわざとらしく片膝をついて畏まった。
 「部下の無作法をお許しください、レディ。私はトロール号の船長ブラッドアックスと申します。お望みのことがあれば、何なりとお申し付けください」
 「そう、ありがと。じゃあ、お言葉に甘えて救命ボートと食料をいただけるかしら」
 「聞いたか皆!当座の食料を用意して差し上げろ!このレディを無傷で船から出してあげるのだ」
 嫌味まじりの軽口のつもりだったが、意外にもそれは本当に用意された。黒パンと塩漬け肉の食料が積み込まれた重そうな袋が、私の腰のベルトに結びつけられる。もっとも手首は縛られたままだが。
 「申し訳ありませんが、縄を解くのはご勘弁を。あなたは危険な方ですから!」
 船長は私を救命ボートのある船尾へと導いた。手下どもはニヤニヤ笑いながら、あとをついてくる。
 船尾の手すりがない箇所、私があと一歩で海に転落するというところまで来たとき、船長は足を止めて下品に笑った。ヘタな芝居よりこっちの方がましだ。
 「残念ですが、救命ボートは予備がありません。泳いでお帰りください」
 「それじゃあ、溺れてしまうわ。なんとかしてよ」
 「おい、聞いたか、皆。こちらのレディは、俺達になんでもしてくれと申し出たぞ!」
 「なんとかしてって言ったのよ!」
 私の怒鳴り声も手下どもの口笛やはやし声にかき消される。船長が床に落としていた私の剣を拾い上げ、私の服を切り裂こうとする。剣をかわそうとしたが、重い食料が腰についている状態では逃げ切れるものではない。たちまち上着は裂け、胸があらわになった。
 「ヒュー!いい体してるぜ、お嬢ちゃん!」
 船長が感嘆の声をあげたときに、一瞬スキができた。私が思いっきり体当たりをすると、船長は剣を落としてひっくり返った。落ちた剣は海に蹴り落としてやる。
 怒りに顔が赤黒く染まった船長が飛び掛ってくるのを避けようとしたが、間に合わない!私は勢いあまった船長の体に突き飛ばされ、海に落ちてしまった。

 海中で、必死に浮かび上がろうとしたが、腰の食料が重くて体は沈みこむ一方だ。下をみると、海底に都市の残骸が見えた。
 ほどなく海底の底に体がつくと、なんと自分の体が光り輝いたではないか。驚きのあまり、必死に息を止めていた貴重な空気を吐き出してしまう。
 だが、なんともない。海中でも呼吸ができる!
 あたりを見回すと、ここは都市の中庭のような空間になっていて、巨大な魔方陣が描かれていた。どうやらこの未知の魔力のおかげで、海中でも呼吸ができるようになったらしい。
 そばのサンゴの角で手首の縄を切ると、先ほど船から蹴落とした剣が海底に落ちているのを発見して拾い上げる。腰の食料を確認すると、これも魔力のためか水につかっても駄目になっていなかった。
 私はこの状況に笑顔になった。武器と食料、なにより海中の自由。どうやら、不思議な冒険が始まりそうな予感ね。

(ともみ)
技術点   7
体力点  14
運点    7
持ち物:剣、食料10食分


続く


2008年08月06日(水) たけたろうの冒険 ──FF18・電脳破壊作戦編 その6──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 大学の中を捜索していた私は、女学生から老ザカリアス教授を紹介してもらう。教授の部屋に行くと、彼はちょうど講義に出かけるところだった。私の任務を告げると彼は考え込んだ。
 「話しはわかったが、今は時間がない。講義が終わったらまたきてくれないか?1時間後だ」
 仕方ないので、教授の講義に参加しながら時間を潰すことにした。講堂は聴講生でギッシリで、ザカリアス教授は人気者らしかった。ザカリアス教授は、アルカディア人と人類の間における歴史を講義していたのだが、私はすぐに退屈してしまった。もともと勉強が好きなタイプじゃないのよね…。

 気がつくと講堂を掃除にきた職員が私の肩を揺すっていた。
 「お嬢さん、お嬢さん!目を覚ましなさい。とっくに講義は終わってるよ」
 ハッ、と私はよだれを拭った。しまった!いつの間にか机に突っ伏して寝ていたらしい。思わず私は職員の胸ぐらを掴みかえす。
 「なんで起こしてくれなかったのよ!このバカタレッ!」
 「知るかー!!!あわわわっ、こっ、校内暴力はんたーい!」
 職員は万歳の格好をして逃げ出した。もう約束の時間をずいぶん過ぎている。急いでザカリアス教授の部屋に走ったがドアには鍵がかかっており、そこにメッセージが貼り付けてあった。「急用にて早退。明日は午前11時に出勤」
 もはや明日出直すしかない。がっかりして、ホテルに向かう。(寝ていたので体力点2増やし、運点1減らす)

 しかし、やっかいごとはこれで終わらなかった。帰りのモノレールに乗ったときから、なにかに後をつけられているような気がするのだ。博物館の件か、ザカリアス教授に接触したためかはわからないが、用心にこしたことはない。
 私は途中の駅に下車して、エスカレーターに飛び込む。必死に走っていると、後ろからアルカディオン人が2人追いかけているのが見えた。アルカディオン人達から死角になった瞬間に横道に飛び込む(運試し−−−−−成功!)と、奴らは気づかずに走っていった。なんとか振り放すことができたようだ。
 用心して目立たない小道を選びながら、徒歩でホテルに向かう。
 しかし、ホテルまであと一歩のところで、前方から巨大なハンマーの頭のようなノッペリした金属製の円柱が出現した。とにかく一軒家くらいに馬鹿でかい。
 な、なーに!?この漫画みたいな敵は!
 そいつは、飛び跳ねるようにこちらに接近してくる。ジャンプしては地面に着地するたびに、周囲の建物が振動で破壊されるほど大きい!
 どうやら、アルカディオンの殺人ロボットらしい。バリオン手榴弾を投げつけてみる(運試し−−−−−失敗!)が、爆弾は無害に地面に転がった。不発だ。あんなに苦労して手に入れたのに役立たず!
 あわてて逃げ出すが、ロボットは周囲の建物を次々と壊しながら私を追ってくる。あーもう!こんな化け物と戦うしかないわけ!?

ストリート・ファイター 技術点9 体力点16
(特別戦闘ルール:ストリート・ファイターの攻撃が成功する度に、一回に受けるダメージが2点3点4点…と加算されていく。一方、ストリート・ファイターの弱点はアンテナなので、こちらの攻撃が成功する度に通常通りに体力点を減らすかわりにアンテナを傷つけて技術点を1減らすかを選択することができる)

 キィー!こんなのに勝てるわけないでしょー!!!!
 私は一撃も与えられないまま、踏み潰されてしまった。

END


2008年08月05日(火) たけたろうの冒険 ──FF18・電脳破壊作戦編 その5──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 惑星ラディクスに到着して税関手続きをすませた私は、一人乗りモノレールで都心部へと向かった。航海中に体力点は全快しているので体調はとてもいい。
 モノレールから降りた私は人間の宿泊が許されているホテルを調べ、一泊375クレジットもかかる豪華ホテルにチェックイン。専用のサウナを使って体をさっぱりさせたあと、ホテル内にある高級レストランに入り40クレジットする料理のフルコースを楽しんだ。所持金なんて気にしなーい。どうせ使命を達成したあとに経費でおちるから、お金使えるときは楽しまなきゃね。それにしてもさすが娯楽惑星ラディクス。この料理の味のすばらしいこと!
 楽しく食事をぱくつきながら、レストランの中を見回す。ウェイターはみな人間だったが、給仕長だけはアルカディオン人でそいつは鋭い目を光らせていた。トポロスに比較すればマシとはいえ、この星にも人間に完全な自由はないようだ。と、ウェイターの一人が近づいてきて他にご注文はありませんかと聞いてきた。
 「当ホテル自慢の特別料理、公園入り口の出会いなどいかがでしょう」
 「いえ、もう十分。とても美味しかったわ」
 私は席を立ってホテルから出て、再びモノレールに乗った。公園に到着するとさっきのウェイターが待っていた。彼はニッコリと微笑む。
 「待っていたよ。地球からもう一人商人がやってきて、君がくることを教えてくれたんだ。君の任務の詳細は知らないが、我々の指導者に会いたがっているとは聞いている。君はこれから大学に行ってみるといいよ」
 リーダーの名前はなんというのか尋ねたが、そこまでは知らないという。彼の説明によると機密保持のため、レジスタンスメンバーは直属の上司としか会えない仕組みになっているらしい。礼を言ってまたモノレールに乗り込む。

 調べるとラディクスで人間が通うことを許された大学は一つしかないことがすぐにわかった。目指す大学前でモノレールを下車したが、大学の近くに考古学博物館があることを知り、気まぐれからそちらに寄ってみる。
 博物館は南アルカディン人が一人、武器をもって警備していたが、彼はアルカディン人にしては愛想は良かった。彼の案内してやろうという申し出をやんわり断って、人類がラディクス星に移住する前に住んでいたというラディクス人の歴史展示コーナーを見物する。考えてみれば、かつて前ラディクス人を駆逐した人類が今はアルカディオン人らに支配されている現状は、運命の皮肉と言えなくもない。
 大体の展示を見終わった後に私は締め切られた扉を見つける。気になったのでさっきのアルカディン人の警備員に尋ねると、まだ未整理の品物を保管している場所だと答えてくれ、親切に扉を開けて中を見せてくれる。
 中はほこりっぽかったが、用途不明と書かれた籠の中を見て思わず興奮した叫び声を出してしまった。未使用のバリオン手榴弾だ!小型で高性能の威力を発揮する爆弾で、私の任務のために是非とも欲しい武器だ。
 私の様子にアルカディオン人は不審の表情を浮かべた。親切にされた手前、躊躇う相手ではあったけど仕方がない。レーザー剣を抜いて襲い掛かる。

警備員  技術点7 体力点8

 残り体力6点で勝利。アルカディオン人が装備していた通信機から、どうした、異常はないか?と尋ねる声がする。このまま外にでたらまずい。
 バリオン手榴弾を大切に服の中にしまいこむと、警備員の服から鍵束を取り出し、地下道を走り回って(体力点−1)博物館の裏口から脱出、そのまま大学校内に潜り込む。

 続く


2008年08月04日(月) たけたろうの冒険 ──FF18・電脳破壊作戦編 その4──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 私はゆっくりと意識を取り戻した。
 ここはどこだろう?薄目をあけると、薄暗いところで、自分が椅子に座らされていることはわかった。
 それにしても後頭部ですごい頭痛がする。シュートを滑りおちた先で頭をぶつけたらしい。(体力点を2減らす)
 はっきり目を開けて椅子から立ち上がろうとすると、強烈なライトが私の目を突き刺す。手をかざしてライトの方を見ると、3人の人影が見えた。
 「あなた。私たちのビジネスについて知っているようね。可能性は2つ。アルカディオン人のスパイか、地球から来た私たちの仲間だわ」
 女の声が聞こえる。喋ったのは真ん中の人影のようだ。少しずつ目が慣れると、その女がクラブの隅のソファにいた人間だとわかった。どうやら私は疑われているらしい。
 「いきなり酷い扱いするじゃない。おかげで頭をぶつけちゃったわよ。私はただここのボスのベラトリックスと話しをしに来ただけなのにさ!」
 「乱暴な扱いをしたことは謝るわ。でもこうするしかない事情もわかってちょうだい。それにしても、あなたは私の名前を知っているわけね。でもそれはあなたがスパイじゃない証拠にはならないわ」
 「ハッ、よく言うわ!じゃあ逆に聞くけど、あなた達がSAROSのメンバーだという証拠はあるの?私の使命は重大なんだから、アルカディオン人の手先かもしれない人達と軽々しく話せないわ」
 私はむかっ腹がして、毒毒しく言い返してみた。言いながらふと、たけたろう兄貴ならこの場面はどうしていただろうとも考える。きっとさぞかし大慌てだろうな。
 傍にいた二人の男は、心外だといわんばかりの顔をしたが、ベラトリックスは頷いた。
 「私にいえるのはこれだけ。私達は例えアルカディオン人でも、証拠なくしては有罪にはしないということ。その厳格な行動原理がなければ、私達もアルカディオン人と同類になってしまうからよ」
 へえ。この女、なかなかしっかりしてるわ。レジスタンスのボスをやっているだけのことはあるわね。
 私はベラトリックスが本物であると信じて、自分の使命を打ち明けてみた。
 3人はなにやら話し合いを始めた。しばらくすると、話しがまとまったらしく、ベラトリックスがこちらに向き直る。
 「いいでしょう!あなたを信じます。あなた達もいいわね」
 「ええ、仮に彼女がスパイだとしても、ここのことは大して知らないし、最悪私達の活動が一時ストップするだけでしょう」
 取り巻きの男どもも頷く。ベラトリックスが私の目の前までせまった。
 「苦労させたわりに僅かしか情報がなくて申し訳ないのだけど、アルカディオン人の中央コンピュータは、電子ロックされた扉に守られているのは知っているわね?それでその解除コードだけど、噂ではアルカディオン人たちがその数字の一部を覚えるために行進曲を作曲したというの。それを歌ってあげるわ」
 ベラトリックスが行進曲を歌うとその中に「101」という数字が隠されているのがすぐにわかった。しかし…。
 「ねぇ、ベラトリックス」
 「なに?」
 「そんな3桁のコードもロクに覚えられないような奴らに、私たち人類は負けたの?しかもそんな重要なコードを行進曲にするとか。アルカディオン人ってアホ?アホなの?私達人類はアホに負けたの?」
 「言わないでっ!私たちも悲しくなるから!」
 ベラトリックスはわっと泣き出した。取り巻きの男たちも、涙を滝のように流している。いやもう、なんだかなぁ…。

 「フィジョン・チップス」を出て私はホテルに戻り一泊する。翌朝、宇宙船を出発させた。
 次の惑星はラディクス。情報によるとラディクスは、惑星トポロスよりも温暖で快適な星と聞く。住んでいるアルカディオン人も、主に南アルカディオン人で彼らは北や中央アルカディオン人よりは人間に寛容だ。
 悪い情報もある。まずラディクスのレジスタンス組織の情報がまるでないということ。おそらくラディクス唯一の大都市のどこかにいると思うけど。もう一つは南アルカディオンは比較的温厚とはいえ、詩的な表現で会話するので意思が通じにくく、繊細な性格で怒りやすいのだ。
 私はそんな情報をしばらく反芻していたが、ラディクスに到着するまでこのことは忘れることにした。考えても仕方がないし、出たとこ勝負よね。

 続く


2008年08月03日(日) たけたろうの冒険 ──FF18・電脳破壊作戦編 その3──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 寂れた繁華街を新幹道路にそって歩いていたが、「フィジョン・チップス」がどのあたりにあるのか大まかな位置しか分からなかったので、すっかり迷ってしまった。
 うー、まさか「フィジョン・チップスは左手3ブロック先――氾濫とスパイの温床にようこそ!」なんて看板があるはずもない。だんだんイライラしてきた。おまけにお腹まで減ってきて体力点が2も減ってしまう。
 我慢できずに近くの食料品店に飛び込んで、20クレジット分の食料をむさぼり食う。人間の店主が目を丸くして、ガツガツとパンと肉と果物を噛み千切る私を見ていた。(体力点全快)
 「お嬢ちゃん、見事な食べっぷりだねぇ。新しい地球の流行かなにかかい?」
 「あぐあぐ…まあに?なふかもんふあふの?…うぐまふまふこれうまひ…」
 「いやいや、文句だなんてとんでもない。同じ人間がこれほど気前よく食事をするのを見て気分がいいよ」
 店主は愛想よく笑った。彼に「フィジョン・チップス」の場所を聞こうと考えたが用心して、代わりに店の近くにあるという「アドルフォ・ビデオラマ」への道を尋ねてみた。
 「なんだってそんな古いところへ行きなさる?あそこはもう廃墟だよ。あんなところより、もっといいお楽しみの場所を教えるよ。あんたなら男どもがほっとかないだろうしな」
 「知り合いと待ち合わせ場所にしているのよ。教えてくださる?」
 私が食べかけのリンゴを粉々に握りつぶしながらニッコリと微笑むと、店主はすぐに道順を説明しはじめた。

 店主の教えてくれた場所に行き、そこの地下を探ると「フィジョン・チップス」の入り口の扉があった。ノックすると小さな覗き窓が開いて険しい顔が見えた。
 「ここは会員制のクラブだよ。あんた誰の紹介できた?よそ者か?」
 さてなんと答えようか。SAROS、ベラトリックス(ここのボスの名前)、山口プリン…の名前が一瞬浮かんだが、ただ地球からきたとだけ答える。
 すると、扉が開いて中にとおされた。中は思っていたよりも繁盛した様子の普通のクラブで、人間達のほかにアルカディオン人達も酒を飲んでいた。もっともアルカディオン人の座る席は、本物の木製のテーブルと高級な酒瓶に囲まれた特別席だったけど。人間の席は擦り傷のついたプラスチック製の椅子の並ぶ区画に固まってチビチビと安酒を飲んでいる。
 私はクラブの入会料金として250クレジット払わされ、ドアマンに身体検査を受けさせられる。
 ドアマンの手が隠し持っているレーザー剣の柄に当たった。一瞬、身を硬くしたが、ドアマンはそのまま身体検査を続けている。
 「おもしろい。実におもしろい。地球から来た女が、こんなものを持っているとはね。バーカウンターで3分ほど待ってくれ。それから電話ボックスに行くんだ」
 カウンターでもう10クレジット払ってグラスをもらい、少しずつ中身を飲みながら私はドアマンの行動を目で追った。彼は隅のソファにいる若い女に近づき、小声でなにやら話しかけた。女はチラリと私を見ると、店の奥のほうに消える。
 なにか気に入らないし、女を追う選択肢もあったけど、私は指示通りに電話ボックスの中に入った。さて、どうしよう?たけたろう兄貴のところへ超空間電話でもかけてみるか?
 そのとき、シュッっと小さな音とともにガスが電話ボックス内に噴出した。意識が薄れていく中、しまったと思ったけどどうしょうもない。突然電話ボックスの床がパックリと割れ、私はシュートの中を滑り落ちていった。

 続く


2008年08月02日(土) たけたろうの冒険 ──FF18・電脳破壊作戦編 その2──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 ボスの依頼を受けた私こと、ともみは宇宙港に向かって歩き出した。
 ふと横を見るとたけたろう兄貴が時計を気にしている。妹が決死の冒険に出ようとしているときに、帰りの公共交通機関でも気にしているのかしら。ふと空を見上げると、アルカディオン人の圧政を象徴するかのように天気は暗く、季節外れの雪が降っている。
 「地球で見る雪はこれが最後ね」
 「なにを寂しそうに君はつぶやいてるんです?」
 私の独り言に、たけたろう兄貴がどこかで聞いたようなセリフを返す。
 「なんでもないわ。それより私の無事を祈っててよね」

 地球を宇宙船で飛び立つと、数週間をかけて惑星トポロスに着陸した。
 税関の検査はあっさりと通過できた。剣は特殊加工されているので金属探知機にもかからない。
 このトポロスのレジスタンス組織と接触するのが最初の任務なのだ。
 レジスタンス組織が集う店の名前は「フィジョン・チップス」というらしい。トポロスでの活動は他の惑星に比べれば楽なはずだった。他の惑星はあまりにも遠距離なためと、アルカディン人の厳しい監視の目があるため、なかなかレジスタンス組織の情報が入って来ていない。
 ただ、トポロスには好戦的な北アルカディオン人が多く住んでいるので、技術点7の私では戦闘になると危険だ。なるべく厄介ごとは避ける方向で慎重にいこう…。
 宇宙港を出てタクシーに乗り込む。タクシーは無人の自動運転だったが、堂々と監視カメラが客席に向かって据え付けられていて落ち着かないことこのうえない。さっそく、レジスタンスの本拠地の店へ直行したいところだったが、こんなタクシーで店へ乗り付けた日には、アルカディオン人達に店を怪しんでくれというようなものだろう。そこで人間用に割り当てられたホテルに向かう。

 ホテルの玄関口を抜けると、2人の北アルカディオン人の警備員に、厳しい顔つきでじろりと眺められた。いやな感じ。ホテルの中は薄汚れてヒドイものだった。フロント係は南アルカディオン人で眠りこけている。チェックインは後回しにして宿泊室にいくと、大部屋に1人の男がベットにうずくまって泣いていた。
 うーん、こんな陰気くさいのに話しかけて身の上話しを聞くなんて面倒だわぁ。というか、このホテルって相部屋のうえに男女共同なの?
 私があっさり無視を決め込むことにすると、運点が1減ってしまった。なんでよ!
 このホテルには長くいたくなかったので荷物の整理もそこそこに、すぐにレジスタンスの本拠地を探しに外へ出かけることにした。

 続く


2008年08月01日(金) たけたろうの冒険 ──FF18・電脳破壊作戦編 その1──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 ここは宇宙探索研究局、通称SAROSの本部ビルです。表向きは天文学の研究組織となっていますが、実はアルカディオン人に支配された人類が集うレジスタンス組織という裏の顔があるのです。
 私こと、たけたろうは一呼吸おいて覚悟を決めてから、ボスのいる扉をノックしました。
 「入りたまえ」
 扉を開けると窓からの夕日に照らされた山口プリンさんが、葉巻を燻らせながらクジラのような大きな椅子に腰掛けていました。
 なにか前にも見た光景ですね。たぶん、これが3度目かも…。
 「よくきた、たけたろう君。さっそくだが、君に次の事件について情報が入っている。今度の依頼は大掛かりだぞ。なにしろ全人類の未来がかかっているのだからな!君の任務は我ら人類を奴隷同然に虐げているアルカディオン人どもをぶっつぶすことだ」
 私は耳を疑いました。だって、人類が総力戦で戦って、結局かなわなかったアルカディオン人をたった一人でどう立ち向かえというのでしょうか。
 山口プリンさんが机のスイッチを押すと、部屋の中央の空間が立体映写になって4つの惑星が映し出されました。
 「君は貿易商に扮して商業用宇宙船に乗り込み、この4つの惑星を訪ねることになる。どの惑星もアルカディオン人どもが支配していることには変わりないが、やつらの母星アルカディオンを除く3つの惑星には我らの仲間のレジスタンス軍が潜伏している。君はそれらのリーダー達と接触するのだ。そして彼らが握っているアルカディオン人の中央コンピュータに関する情報を集め、最後にアルカディオン人の母星に赴き中央コンピュータを破壊すればいい」
 「中央コンピュータ?」
 「そうだ。アルカディオン人らは全員、脳にチップを埋め込んでいて中央コンピュータと連携してそれに頼りきっている。早い話しが、中央コンピュータが消滅すれば同時にアルカディオン帝国は崩壊するのだよ」
 私はうろたえました。そんな難しい使命が私に果たせるわけないじゃないですか!
 「し、しかし、ボス。私には無理ですよ。サイラス逮捕の使命時は宇宙船を壊して病原菌を撒いちゃったし、麻薬調査の件も成功しなかったんですよ。もっと他の人を頼ればいいじゃないですか。そんな重大な使命を私に任すほど人類の命は軽いのですか!」
 自分でも少し情けないかなーと思いつつも抗議をしてみると、山口プリンさんの顔がピクッとなりました。よく見ると手がブルブル震えています。あ、まずかったかも。

 ところが山口プリンさんは、いきなり笑い始めたのです。な、なんですか、いきなり!?
 「そうかそうか、おりたいのだな!よくわかった。じゃあ、これからは君のかわりに彼女に行ってもらおう。入りたまえ!」
 山口プリンさんがそう言うと同時に扉が開いて、少しきつい目をした少女が入ってきました。
 げっ、腹違いの妹のともみじゃないですか!
 「兄貴はあいかわらずねぇ。この冒険は私がやるから休んでいていいわよ」
 ともみは私のことをチラリと見ると、ふふんと鼻で笑ってくれます。山口プリンさんは私にもう帰っていいといいました。 
 「ボ、ボス?もしかすると、久しぶりに冒険記録日誌に登場したのに私の出番はこれで終わりですか?」
 「そうだよ。君が断るから代わりに彼女が引き受けるのだよ。希望どおりだろうが」
 「いや、まあそうですが…。このシリーズって私が主役なのでは?それにともみだって、私と同じ能力しかないから、冒険の成功率は一緒なのでは…」
 「甘いわね兄貴!やる気がないなら、私に主役の座を渡して退場するのが筋ってものでしょ!」
 「たけたろう君。まあ、そういうわけだよ。今回の君の使命は、彼女を宇宙港まで送り届けることに変更になった。あとは無期限休暇をあげるから好きにしたまえ」
 「いやああぁああ!!ボスー、私を見捨てないでくださいよぉ!」
 山口プリンさんが手を振ると、急に現れた警備員達が私を部屋から連れ出します。ともみは山口プリンさんに手を振ってから口笛を吹きつつ、引きづられて行く私の後をゆっくりついてきます。
 あ、あう!主役の座が!主役の座が〜!

(ともみ)
 技術点   7
 体力点  14
 運点    7
 持ち物:レーザー剣、反重力パック
 所持金:2000クレジット

 続く


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