冒険記録日誌
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2005年06月30日(木) ながされて藍蘭島 パーフェクトガイドブック

 「ながされて藍蘭島」という漫画の、ファングッズ的な本を買いました。
 この漫画って、私は全然読んだことがないのですが、この本の説明によると、主人公の家出少年が海で遭難して、女しか住んでいない“藍蘭島”という不思議な島に流れ着くという、なんだかなーな設定のお話しとなっているようです。
 登場する女の子が、ヒロインタイプ、巫女、妹タイプ、男勝り、メガネっ娘などというあたり、いかにもな内容なので“萌え”が好きな人向けの内容みたいですね。正直、私にはキツイ作品です。(^^;

 ところで、どうしてそんな作品のガイドブックを買ったかというと、この本の目玉としてゲームブック作品が収録されているからですね。あ、いっておきますが私はゲームブックコレクターじゃないですよ。普通ならこの手の本は買わないのですが、このゲームブック部分の著者が健部伸明さんなのでつい手を出してしまっただけです。
 知らない人に説明すると健部伸明さんは、過去にも良質なゲームブックを書いている人なんです。例をあげると未来神話ジャーヴァス(双葉社)、ドラゴンクエストII(エニックス文庫)、カイの冒険(創元推理文庫)など。元ゲームブック作家で、21世紀になって新作を書いた人は、奥谷道草さんだけではなかったようです。

 で、遊んでみましたので以下は簡単な解説&感想を書きます。
 まず目的は島のヌシと恐れられる化け猫をやっつけること。と、いっても相手は猫の着ぐるみみたいな姿なので緊張感はまるでありません。
 最初に藍蘭島のマップを見て、マップのところどころに配置されてある番号に対応したパラグラフ番号へ進むのを繰り返すのがゲームの基本で、能力値は戦闘力と鼻血ポイントの2種類です。各パラグラフには必ず3択の選択肢があり、この結果いかんで能力値が増減したり、アイテムが入手できたりします。 
 このシステムのおかげで、ゲーム開始早々にいきなり化け猫と対決することも可能ですが、さすがに戦闘力が足りずに負けてしまいました。そんなわけで、戦闘力アップを目指して、藍蘭島のあちらこちらをさまようわけですが、女の子に抱きつかれて鼻血ポイントがアップしたり、牛にケチョンケチョンにされたり、主人公的には真面目なのですが、傍から見ると遊んでいるのだかわからない展開ばかりです。繰り返しやっていると戦闘力を増やしたり、アイテムを効果的に使う為の順番がわかってくるので、クリアが見えてきます。このへんのコツコツ感はコンピューターRPGの感覚に少し近いかな。
 ゲームバランスなど苦心して作られたような印象がする作品ですが、独特すぎる世界観は、原作をよく理解していないと意味がわからないかも。
 当たり前といえば当たり前ですが、やっぱり原作ファン限定で遊べる作品という感じでした。


2005年06月29日(水) ゲームブックの思い出 (ホームページ編)

 しばらくサイロスさんのとこの掲示板に書き込んだり、ゲームブックのメルマガ「ゲーマニ」へ投稿したりして過ごす日々が続いた。
 ブーム当時でも少なかったゲームブックの同志との会話で、ゲームブック熱がさらに再燃、未読のゲームブック例えば「深海の悪魔」などをちょびちょび遊ぶようになっていた。
 復刊ドットコムなんてものにリクエストしたり投票したりしているうちに、はじめて認識したのが、二見のドラゴンファンタジーシリーズ。復刊ドットコムのゲームブックカテゴリの中でダントツの1位だから、嫌でも目立つ。
 なんだ、私の知らないゲームブックだな?
 ヤフオクで検索してみたところ、胡散臭い表紙イラストのゲームブックがヒットした。うー、なんてB級くさいんだと思いつつ、ついで買いで「ドラゴンの洞窟」を300円で落札して入手した。
 読んで見ると・・・・・・面白い。しかも今まで遊んでいたゲームブックとは、まったく違うタイプのゲームブックだし。これはちょっと目から鱗だった。
 これがきっかけで、食わず嫌いで私は他にも楽しめるゲームブックを見逃していたのではないかなと、はじめて考えるようになったのだ。

 このころはあれほど夢中になっていたTVゲームへの興味が急速になくなった時期でもあった。はっきりした理由はわからないが、ゲームブックへの関心が薄れていたあの頃に感覚が近い。そのためにゲームブックの衰退と、現在のTVゲームの停滞ムードは通じる原因があるのではないかと考えている。

 一方でHPの開設の方だが、HPの作り方を理解するのにかなりてこずっていた。今だったならブログなんて便利なものがあるので、それで満足していたかもしれない。
 ゲームブックをテーマにしたHPにすることは決めたが、最初から充実したコンテンツを作れる自信はなかった。ゲームブックリスト、Webゲームブック、作品レビュー、ファイティングファンタジーシリーズの解析、メルマガ、交換掲示板・・・・・・大概のコンテンツはすでに他のゲームブックサイトが実現させていた。でも、作るからには多くの人が閲覧するHPを作りたい。
 一度は、ソーサリーの全魔法選択シーンで、全ての魔法が使えるようになる追加パラグラフを作ろうかと作業を開始したが、最初の山賊相手の魔法シーンを作る段階で挫折した。(当たり前だ)
 双葉ゲームブックを主なテーマにするHPというのも、他にやっている人がいないので有りだったが、当初の私はそこまで双葉に興味がない。
 考えた末に、決めたアイデアはゲームブックを読んだ感想やプレイ状況などを日記に書いていくことだった。今でこそ、いろんなゲームブック関連のブログで似たようなものがあるが、当時は日記という形でやっている人はいなかった。日記ならそれほど凝った内容でなくてもいいし、毎日更新というのを売りにすればいけると思った。それに更新を積み重ねれば、自然にHPの情報量も増えていく。この算段はまあまあ、うまくいったのじゃないかなと思っている。
 それにしてもこの間に創土社からゲームブックが復活したのは、驚きだった。ゲームブック界が低空飛行ながら息を吹き返したのはバンザイである。サイロスさんのところで「チョコレートナイト」発売の情報を知ったときは、すぐに本屋に走り、店員さんに創土社に電話して確認してもらった。きっと同様の問い合せがあったのばかりなのだろう。創土社さんは問合せに打てば響くようにすぐに答えてくれたそうだ。
 21世紀になって鈴木直人の新作が読めるとはね。ところで鈴木直人さんの次回新作はどうなったのだろう?確か2004年には原稿ができるとかできないとか、言っていたような・・・。

 視野の狭かった私のゲームブックへの趣向が一気に広がったのは、冒険記録日誌を始めたおかげだった。
 双葉ゲームブック特集をする為に双葉ゲームブックを求めて、古本屋を回っていた時、今まで存在すら知らなかったような出版社から発売されていたゲームブックの数々をこのとき購入したのだ。(2002年05月09日の冒険記録日誌を参照のこと)
 これらのゲームブックも案外楽しめることを初めて理解した。二見や富士見のゲームブックも実際に遊んでみると、非常に良く出来ていたことがわかった。もちろん中には好みでない作品もあったが、創元推理文庫や社会思想社の作品にだってそれはある。これで今までの苦手意識は、実際には単なる食わず嫌いであったことが判明したのだ。
 またゲームブックの感想をWeb日記に書くことは、ゲームブックを遊ぶ動機付けになる。ゲームブックはやるのが面倒くさいが、やり始めると面白い。
 この相乗効果で私は多くのゲームブックを遊ぶことになった。多く遊ぶと、今度は今まで見向きもしなかったゲームブックにも興味が出てくるものである。
 これをマニア化とでも好きに呼ぶがいい。今ではハーレクインゲームブックまで、楽しめるようになってしまったのだ。(笑)
 
 そんなわけで、私とゲームブックとの思い出は今にいたる。毎日更新は現世の事情でやめてしまったし、何度も更新が長期に渡って途絶えたが、私がゲームブックへの関心を持ちつづける限り、HPの更新が完全停止→閉鎖となることはないだろう。


おしまい


2005年06月28日(火) ゲームブックの思い出 (復帰編)

 私がゲームブックへの関心を取り戻したのは、社会人になって数年たってから。きっかけはインターネットだった。
 まだパソコンなぞ持っていなかったが、知り合いがHPを作っていると聞き、いつか私も自分のHPが欲しいとぼんやりと考えていた。でも、作るなら何のテーマにしようかな。TVゲームには詳しいが、たぶんもっと詳しい人がいくらでもその手のHPを作っているだろう。
 ネットカフェとやらに入って始めてインターネットに挑戦してみたとき、地元の名前をいれて検索したり、知り合いの作ったHPを眺めると、もうすることがなくなった。なにか他に検索する単語はないだろうか、と考える。
 思いついて“ゲームブック”と検索してみた。
 このころはまだゲームブックサイトは発見できなかった。わずかに数パラグラフで構成された童話風Webゲームブックを、発見しただけだ。
 このとき私はゲームブックをテーマにしたサイトを作ることを考えた。かつてゲームブックというジャンルが流行っていた事を、みんなに知ってもらうような記念碑みたいなHPを作ろうと。*1

 それから古本屋に行く機会があれば、かつて手放したゲームブック達を再び買い戻しはじめた。
 しばらくして、知り合いに品揃えの充実した古本屋を紹介してもらう。薄暗い店内に200冊以上のゲームブックが置いてあって狂喜乱舞。シーラカンスの群れのようだと、その場で50冊くらいを購入する。ここで創元推理文庫と社会思想社のゲームブックの大半は買い戻すのに成功したのであった。*2
 そこには双葉文庫のゲームブックも大量に置いてあったが買わなかった。その時の私にとっては、双葉はやはり子供向けであって関心がなかったのだ。ペパーミントゲームブックの存在をここで初めて知って「こんなの読む人がいたの?」と思った記憶がある。(笑)
 後日には別の古本屋で「ギャランスハート」を発見して狂喜乱舞。ええっ、俺の知らない創元推理文庫のゲームブックがまだあったの!?って感じ。
 しかし、あいかわらずパソコンはもっていない。ネットカフェも地元にはなかったので、自由にインターネットができるのはそれからさらに数年後くらい後になってしまうのだった。
 やっとパソコンを購入し、インターネットの環境が整って、久しぶりに見たネットはすでに「さいろす民芸資料館」という老舗のサイトがあり、ゲームブック復刊同盟を中心に沢山のゲームブックサイトが存在している状態だった。
 嬉しい反面、「う、浦島太郎・・・」とうめいたのはここだけの話だ。


続く


*1 このころの構想は、ゲームブックの解説とコラムを数点書いて、創元推理文庫と社会思想社のゲームブックを中心に発売年表を作ることを考えていただけ。まさかこうゆうHPになるとはまったく想像できなかったな。

*2 余談だがこの古本屋はもう店頭販売はしておらずネット専門となっている。
 参考:ふるほん文庫屋さんhttp://www.bunkoyasan.jp/


2005年06月27日(月) ゲームブックの思い出 (低迷期編)

 ゲームブックが発売されなくなって、私はTVゲームの方へ熱中しはじめた。
 アーケードゲームの「ファイナルファイト」、ゲームボーイの「ウィザードリィ外伝1」あたりは相当はまっていたのだが、その話しを始めるとキリがないので割愛。
 さて、そのころゲームブックは100冊くらい持っていた。中にはまだクリアできていない作品もあったが、もうゲームブックには関心がなくなっていた。
 本棚にきちきちに納まっているのを見て少し整理しようと考え、お気に入り以外は古本屋に売ることにした。
 そのときの残したのは、鈴木直人作品などを始めとする創元推理文庫作品を十数冊、「ロボットコマンドウ」や「モンスターの逆襲」など社会思想社作品を6・7冊、双葉の「ミシシッピー殺人事件」の1冊のみ。他は全て合わせて、古本屋で5千円ちょっとくらいで買い取られたと思う。
 お気に入りのゲームブックも、本棚の取り出しにくい影にひっそりと置かれるだけであった。
 ちなみに古本屋に売ったゲームブックは翌日から店頭に並んでいたが、2週間後に再び見に行ったときは「王子の対決」以外は全てなくなっていた。その見事な売れっぷりに「魔城の迷宮」は手放すのじゃなかったかな、とかちょっと後悔。

 こうしてゲームブックと縁のない生活が数年続いた。
 ただ一度だけ、なんの気まぐれか「ティーンズパンタクル」を引っ張り出して遊んだことがある。
 面白かった。やっぱりゲームブックはよかったなぁとか思いながら本棚に戻す。
 ゲームブックへの気持ちを完全に切れないようにつなぎとめたという点で「ティーンズパンタクル」には感謝しなくてはいけないかもしれない。

 もっともまだ本屋から完全にゲームブックが消えたわけではない。
 ファイティングファンタジーシリーズはまだ絶版ではなかったようで、東京の大型書店で全巻そろっているのを見かけたことがある。(あのとき27巻〜33巻を買えばよかったと数年後に何度後悔したことか。そのときになぜか代わりに購入した洋書の「サムライの剣」は、今でも我が家に置いてある)創元推理文庫もソーサリーは在庫がまだあったようだ。
 地元の書店にも「送り雛は瑠璃色の」を一度見かけたが、表紙イラストが怖くて購入を見送り。あれが創土社版のイラストなら買っていたかもしれないなぁ。
 他にはエニックス文庫のドラゴンクエストや、トルネコの冒険などを原作としたゲームブックなら常時発売してあった。しかし、中身をパラパラと見ても買う気にはならなかった。簡単すぎてゲームブックというより、単なるファングッズという印象。これなら本物のゲームソフトを買った方が良い。昔と違ってバイトをしていた私は、それくらいのお金はあった。
 1997年末に小学館から唐突に「ポケモン」「鉄拳3」「ゼルダの伝説」がゲームブック化されて発売されていたことがある。こちらにはゲームブックらしさを感じることができた。懐かしさのあまり「ゼルダの伝説」を購入したのだが、あまり売れなかったのだろう。結局このシリーズはまもなく本屋から消えた。


続く


2005年06月26日(日) ゲームブックの思い出 (ブーム衰退期編)

 ゲームブックブームも終盤に差し掛かる頃、私はファイティングファンタジーはますます難しくなってついて行けなくなったし、双葉文庫は子供向けだから卒業したという気分になっていた。
 残ったのは創元推理文庫のみ。「惑星不時着」「ワルキューレの冒険1」「パンタクル」「ウルフヘッドの誕生」「紅蓮の騎士」「ベルセブルの竜」などを夢中で遊んでいた。私は完全に創元推理文庫限定のゲームブックファンとなっていた。
 遅ればせながら「ソーサリー」はこのころに遊んでいた。1〜3巻までは戦士と魔法使いの両方で4・5回はクリアした。そのくせ「王たちの冠」は2つ目のスローベンドアがどうしても突破できずにクリアできなかった。なんでそんなに詰まっていたのか今では謎だ。(苦笑)
 ところで創元推理文庫のシリーズはどれも長編大作ばかり。
 いったんゲームを始めると時間がかかるため、ちょっと食傷気味になることもあった。気分転換にためには他の出版社のゲームブックも遊ぼうかと本屋で立ち読みして見るのだが、購入する気分までにはいたらず。
 ちなみにこのとき立ち読みした中で購入しようか迷ったゲームブックは「ナイトメアキャッスル」「ブラッドソードシリーズ」「超時空パイレーツ」などなど。今思えば素直に買えばよかったと思う作品ばかりである。購入したのは「ダーティペア」と「魔城の迷宮」くらいか。
 この頃、まだ本屋には沢山のゲームブックが平積みしてあったものの、私の周囲ではゲームブックを遊ぶ人はほとんど皆無になっていた。1人だけエニックス文庫の「ドラゴンクエスト3」を熱烈に遊んでいる奴がいたことが記憶にあるくらいだ。

 やがて私はゲームブックを遊ぶ意欲が少し減少してきていた。特に創元推理文庫の作品が悪くなったというわけではない。理由はわからない。
 当時新刊だった「ネバーランドのカボチャ男」を半ば義務のような気持ちで購入していた自分がいた。(もっともカボチャ男が期待していたネバーランド3でなく、番外編的な存在だったせいもあるかも)
 それから一年が経過する間に、ふと気が付くと、本当にふと気が付くと本屋からはゲームブックのコーナーがなくなっていた。
 新刊の「パンタクル2」の赤い背表紙だけが一冊ポツンと見える本屋の書棚を見たときに初めて、ああ、ゲームブックは消えようとしているんだなという認識と一抹の寂しさを感じた。
 その「パンタクル2」も買ったものの、しばらくは読まずに放置してあった。面白いのはわかっている。でもマッピングをするのが面倒くさい、サイコロを振るのが面倒くさい、と感じてしまったのだ。もっともいざ遊び始めて見ると、そこは鈴木直人作品。オモシロけりゃいーやんけ主義にたがわず面白い。ギャグも冴えまくっているし、魔法システムも凝っているし、迷宮も工夫がこらされていてマッピングも本当に楽しく一気にクリアしてしまった。続編を強く窺わせるエンディングに、せめて「パンタクル3」だけは出て欲しいなと願ったものだ。なぜそう思ったかというと、少し前に第一巻が発売された「眠れる竜ラヴァンスシリーズ」は第二巻の製作情報が入らず、きっと完結しないだろうと薄々気が付いていたから。
 そのうち、本屋から完全にゲームブックが消えた。
 創元推理文庫の最新作「第七の魔法使い」は、本屋に置いてある新刊情報の紙をチェックして本屋に注文して取り寄せた。その本の後書きに編集部からの、ゲームブックブームの衰退を改めて窺わせる文章と、細々とでも創元推理文庫はゲームブックの出版を続けますという宣言文のようなことが書いてあった。
 しかし、そのあとも本屋に置いてある新刊情報の紙を入念にチェックしていたにもかかわらず、ゲームブックが出版されることはなかった。*


続く


* 本当はその2ヶ月後に「ギャランズハート」が発売されていたがなぜか気が付かなかった。思うに新刊情報の紙から「第七の魔法使い」まではあった「ゲームブック」というジャンル表記が消えてしまっていたのではないかと推測している。本屋に入荷しているならともかく、タイトルだけではそれがゲームブックかどうか判別できないからだ。


2005年06月25日(土) ゲームブックの思い出 (ブーム最盛期編)

 ゲームブックブーム最盛期の頃、私は「ネバーランドのリンゴ」から当時最新刊だった「スーパーブラックオニキス」まで、すっかり創元推理文庫のシリーズにはまってしまっていた。どの作品も物語の雰囲気がいいし、なによりゲーム性が素晴らしい。
 そのころ創元推理文庫作品にはさまっていた小冊子「アドベンチャラーズイン」は、他の熱心なゲームブックファンの存在を感じ取れる貴重な情報源だった。この冊子の全バックナンバーが欲しくて、買いもしないゲームブックからまだ持っていない「アドベンチャラーズイン」を何枚も抜きだして、一冊のゲームブックの中に無理矢理全部挟んでからドキドキしながらレジに向かった想い出がある。(笑)

 当時の私が求めていた作品は、理不尽なゲームオーバーの少ない双方向システムのもの、買い物ができる要素があれば尚良しというものだった。
 今から思えば私は、やはりTVゲームのRPG的な楽しさをゲームブックに求めていたのだろう。それに当時は機能の限られたファミコンのゲームより、ゲームブックの方が表現力において豊かだったと思う。値段は安いし、TVを占領して親にうるさく言われる心配がないのも大きなポイントだった。
 双葉文庫のゲームブックもTVゲームの代用品として遊んでいたように思う。「ドラゴンクエスト」や「ポートピア連続殺人事件」なんかはまさにそのつもりで購入した記憶がある。
 もっとも「ゼルダの伝説」や「未来神話ジャーヴァス 」、「ミシシッピー殺人事件」あたりは原作を知らずとも購入して楽しく遊んでいた。原作の周辺グッズにすぎないというほど、双葉のゲームブックが貧弱なものとは思っていない。つまらない作品はなかった。というより、貴重なお小遣いを無駄にする気はなかったので、本屋で慎重に吟味してそうゆう感じの作品は避けたのだ。

 逆に買うたびにガッカリさせられたのはファイティングファンタジーシリーズだった。
 ほとんどの作品は何度か挑戦をして死んで覚えることを前提とするゲーム性になっていてそれが嫌になってくるのだ。おまけに正解ルート以外はクリア不可能な展開も気に入らなかった。ゲームブックは読者が主人公ではなかったのか、これでは作者が考えているルートを捜す作業ではないかと。
 それでも表紙カバーといい、魅力的なモンスターといい、雰囲気を出している文章といい、冒険をしている感は、ファイティングファンタジーシリーズが一番だった。いつもワクワクしながら購入しては落胆の繰り返し。これでもう少し簡単にクリアできたら最高なんだけどなぁと何度思ったことか。
 それでも「海賊船バンジー号」「フリーウェイの戦士」「ロボットコマンドゥ」など苦労の末にクリアできた作品に対しては特に愛着を深く感じていた。

 これだけゲームブックを好きになると今度はゲームブックを自作してみたいと思うのは自然な話しで、この頃は今から思えば実にしょうもないゲームブックを自作していた。(2003年02月05日の冒険記録日誌を参照のこと)
「アドベンチャラーズイン」で告知していた第二回ゲームブックコンテストに私も応募したかったが、ゲームブックの作り方がわからなくて困っていた。パラグラフ番号をどうやって乱数にするか疑問だったのだ。
 ウォーロックという雑誌の13号にゲームブックの作り方について特集記事があるというので、現金書留の使い方を親に聞きながら、初めて通信販売で取り寄せた覚えがある。残念ながらウォーロック13号は、ゲームブックを作る心構えのようなものしか書いていなかったが、鈴木直人の特別コラムが掲載してあったり、オリジナルゲームブックが掲載してあったり、非常にお徳感を感じた。
 もっともお金がなかったので、ウォーロックは結局それきり買わなかったのだが。


続く


2005年06月24日(金) ゲームブックの思い出 (いろんな出版社編)

 ゲームブックを知ってから一年くらいの間は、まだまだゲームブックの好みが固まっておらず、このころは私はいろんなゲームブックを遊んでいた。
 金がないのでそうそう買えないのだが、覚えているのは勁文社の「コミック版スーパーマリオブラザーズ外伝シリーズ」。最初に決定するバトルポイント表の数値でクリア出来るかもう決まってるじゃん、と子供心に思ったものだ。(苦笑)
 二見書房のゲームブックは、デパートの本屋で両親に何か一冊本を買ってくれるといわれたときに「グーニーズ」を買った。映画やファミコンゲームで当時はちょっとした流行だったからだ。このゲームブックは、主人公達が死亡することがなく、枝道も多く、どのルートも主人公達が面白可笑しく冒険を繰り広げてくれるので、何度も繰り返してもなかなか飽きなかった。後でTVで見ることができた映画より、断然面白かった。それなのに私が他の二見書房のゲームブックに関心がなかったのは、大半の作品のカバーイラストがひたすら胡散臭く思えたからだ。いや、あれはきついよ。おかげで私はグレイルクエストシリーズなどはまったく知らないまま、ゲームブックブームを過ごすことになる。
 富士見書房は、D&Dだかなんだか知らないが面倒くさそう、という理由で買わなかった。今思えば全然ルールは複雑じゃないのだが、ゲーム性よりストーリー重視のD&Dゲームブックシリーズは、もし遊んでいたとしても当時は気にいらなかったのじゃないかな。

 私の小学校では、ゲームブックはそれほど流行っていなかった。あくまでも男子の話題はTVゲーム中心である。
 ゲームブックをしている者もいたが、遊んでいるのは創元推理文庫のゼビウスだったり、双葉文庫のドラゴンクエストだったり、とにかくTVゲーム系だった。
 私の当時の印象ではゲームブックは、TVゲームの代用品として引っ張られているジャンルだな、というものだった。
 そのうちに、私は出版社ごとにゲームブックの路線が違うことをようやく理解してきた。作者のことはそれほど気にならなかったが、出版社の違いは意識して購入するようになってきた。
 ゲーム性もさることながら、装丁の良さなども私にとっては重要だった。西東社やボビージャパンなどのゲームブックはまったく印象がないので、たぶん見向きもしなかったのだろう。双葉とコンセプトの近い、勁文社のゲームブックをあまり遊ばなかったのも、表紙カバーが大きな理由だ。逆にそういう意味で最も気に入っていたのはファイティングファンタジーシリーズだった。
 そのうち私は、創元推理文庫、社会思想社、双葉文庫以外のゲームブックにまともな作品はない!という一種の偏見を持つことになったのだ。*


続く


* もちろん私の好みとしてそう思っていたにすぎない。それ以外の出版社のゲームブックも結構売れていたことは知っていた。粗製濫造説の理屈で言うと、私にとっては上記の3社以外から出たゲームブックは全て滅亡につながった張本人になってしまう。中には本当につまらない作品しか出さない出版社もあったろうが、きっと自然淘汰されただろう。読者的には、そんな作品は本屋で立ち読み確認して買わなければいい話しだから。


2005年06月23日(木) ゲームブックの思い出 (はじめて編)

 私がゲームブックの存在を知ったのは、小学生の頃に通っていたソロバン塾でのことだ。他の生徒の1人がゲームブックを持ってきていた。
 双葉文庫の「スーパーマリオブラザーズ マリオを救え!」だった。
 その場で借りて少しだけその本を読んでみた。手元にメモ用紙がないので、今は遊べないかなと思ったが、この本には本編とは別に、パラグラフ40の「ルイージの大冒険」と言うミニゲームブックが巻末についていたのでこちらを遊んでみた。つまり私が最初に遊んだゲームブックは正確にはこの「ルイージの大冒険」ということになる。
 面白かった。当時はファミコンが欲しくても買ってもらえなかった少年だった私にとって、とても衝撃的な出会いだった。本でもゲームができるとは!ってね。
 さっそくそのソロバン塾の帰りにゲームブックを買いに本屋に行ってみると、小さな本屋にもかかわらず、ゲームブックは専用コーナーが設置され、沢山の本が置かれていた。
 今まで全然気がつかなかったなぁ。と思いつつ、その場で購入したのは社会思想社の「地獄の館」であった。恐ろしげなイラストと嵐の夜に謎めいた屋敷に入るというプロローグが気にいったのだ。
 それからしばらく「地獄の館」にはまっていた。選択肢のたびにドキドキしたし、ブランディや武器を入手すると大喜びしたし、戦闘シーンなんかは大興奮。ゾンビとの戦闘でサイコロを振って一ラウンド勝つたびに、思わずパチパチと1人で拍手をしていた記憶がある。(笑)
 怖い。面白い。でも黒ミサのシーンで生贄の少女を助けられないことが、当時はすごく不満だった。ここで主人公は格好良く救ってこそ、ヒーローじゃないかと。それ以前に主人公が生き残れない。何十回とやったのだが、クリアできなかった。
 結局この本は実は未だにクリアできていないまま、今にいたる。それでも「地獄の館」は十分に楽しめた作品だった。死んでも死んでも何度も挑戦意欲をかきたてさせる演出の勝利だろう。

 すっかりゲームブックに満足した私が続いて購入した作品は、また路線の違う双葉文庫の「謎の村雨城 不思議時代の旅」だった。
 これファミコンのディスクシステムだった原作のゲームソフトが、欲しくて欲しくてたまらなかった為である。(ゼルダの伝説に興味がなかったあたり、当時からB級趣味だったんだなー)
 いわばファミコンの代用品として購入したのだが、原作と違って主人公が現代に生きる普通の少年という設定にびっくりした。難易度は「地獄の館」より遥かに易しく、はじめて私がクリアしたゲームブックである。エンディングが爽やかで読後感が良かったのが印象に残っている。当時は他に何冊もゲームブックを買う財力もなかったので、この作品ばかり飽きもせずに何度も挑戦して何度もクリアした。
 今から見れば難の多いところも目について、今、創土社から復刊しているゲームブック作品に比べれば、決して名作といえる出来ではない。それどころか、よくいわれるブームにのって登場した粗製濫造作品の1つだろう。
 しかし、当時は夢中で遊んでいた。満足していた。ゲームブックがますます好きになった。
 面白くないと思う作品は誰でも大なり小なりあるだろう、それがつまらないと発言するのも自由だと思う。だが、粗製濫造がゲームブックの滅亡をまねいたという説だけは、この頃の経験から断固として否定することにしている。


続く


2005年06月22日(水) こんなパチをやってみたい(妄想ネタ)

CRスティーブ・ジャクソンのソーサリー
確率 1/383.0 (1/38.3)
確変割合 2/3(66.7%)
平均継続回数 3.90回
時短機能 全大当り終了後 100回転
賞玉数 3&5&10&15
出玉 2025 TY 約1800
ラウンド・カウント 15ラウンド・9カウント


奇才スティーブ・ジャクソンが描く剣と魔法の世界が帰ってきた!
伝説のゲームブックがついにパチンコ界へ殴りこみだ。

*数字とキャラ*

1 フランカー
2 サイトマスター
3 主人公(戦士)
4 スライムイーター
5 正義の女神リーブラ
6 レッドアイ
7 主人公(魔法使い)
8 マカリテック
9 大魔法使い(塔の上の男バージョン)



*リーチ予告*


ステップアップ予告(5段階に変化。最終段階に近づくほど信頼度は上昇だ)

 発展順:アリアンナ→ガザムーン→ディンタインタ(シャム)→フェネストラ→ジャビニー
 ソーサリーの旅を彩る悩ましげな姿をした魔女達がカットインで登場するぞ。ジョン・ブランシェの書き下ろしイラストを堪能しろ!

通常予告(背景に登場したら期待しよう)

ミニマイトのジャン  出現率がもっとも高いがガゼばかり。基本的に奴立たず。
エルヴィン      リーチ発展率は期待薄だが、ジャンよりは期待できる。
クーガの像      十字を切るようにキスをすればスーパーリーチ確定だ。
スラン神に仕える神父 単体では弱い。複合予告に期待しよう。
蛇使いのマナタ    七匹の大蛇リーチに発展すれば、月の蛇の登場で信頼度が大幅上昇。
シャドラック     リーチ発展率は高いぞ。複合すれば信頼度急上昇だ。
バードマン      スーパーリーチ確定だ。期待せよ。
正義の女神リーブラ  大当たり確定のプレミア演出だ!



*リーチアクション*

ノーマルリーチ   信頼度☆☆☆☆☆
 まず当たらない。スーパーリーチへの発展に期待しよう。

願いの井戸リーチ  信頼度★☆☆☆☆
 願いの井戸に言われるがまま、数字を投げ込んでいく。
 一応スーパーリーチだが願いがかなう事は滅多になく、がっかりするアクションだ。

マンティコアリーチ  信頼度★★☆☆☆
 マンティコアとの死闘を再現しているリーチ。
 マンティコアの毒針が次々に数字を破壊していくのを魔法で食い止めろ。FOF→HOT→WALの三段階に発展する。最後のWALでマンティコアを押し切れば大当たりだ。

死霊リーチ  信頼度★★☆☆☆
 銀の矢が命中すれば大当たり。
 はずしても光輝く女神リーブラが登場すれば、復活大当たり確定なのであきらめるな。

七匹の大蛇リーチ  信頼度★★☆☆☆〜★★★★☆
 大蛇が数字を次々に攻撃して破壊する。当たり目を守りきれば大当たりだ。
 登場するヘビの種類によって信頼度が違うぞ。
 通常は火の蛇だが、月の蛇が登場すると期待度が激アツに。

神の頭をもつヒドラリーチ  信頼度★★★☆☆
 出現率すること自体が珍しい分、信頼度が高いリーチ。
 水の神ハイダナ、太陽の神グランタン、風の神パンガラの首をはねたら大当たりだ。戦士の称号にかけて戦え!

大魔王リーチ  信頼度★★★★☆
 ついに大魔王が正体をあらわす名シーンを完全再現したファン感涙のリーチ。
 ZAPの呪文が大魔王に命中すれば大当たり。信頼度75%の激熱演出だ。
 これをはずしたら泣いてもいい!

ZEDリーチ(全回転)  信頼度★★★★★
 究極の魔法ZEDの秘密が今、明らかに!?
 背景が冒険中の名場面に次々と切り替わり、数字が全回転を始める鉄板リーチだ! 確変を祈れ。


2005年06月21日(火) ニフルハイムのユリ(林友彦/創元推理文庫)

 ネバーランドのリンゴの続編。ニフルハイム地方に温暖な気候をもたらしていた魔法のユリが盗まれてしまい、それをティルトが取り戻すという冒険です。
 ネバーランドと同じく、住民はブーカやトロールなどの妖精族ばかりです。
 ユリのなくなったニフルハイムは、寒風吹きむさぶ豪雪地帯と化していて、そのうえ温暖なときには活動できなかったグールがあたりをさまよっています。
 このグールはなかなかやっかいで、戦って傷を負うと、聖水で止血しないかぎり出血が止まりません。傷がもとで死亡した妖精は、グールとなって復活するあたり吸血鬼のような存在だと思っていいでしょう。

 このように冒険をする舞台こそネバーランドとは違いますが、世界観と絵本のように素敵な雰囲気は同じです。
 1000というパラグラフ数、ティルトの復活が認められている点、第一部のアドベンチャー部分と、第二部の単調な迷路、魔法システム、ティルトが強くなりすぎて後半で崩れる戦闘バランスなど良くも悪くも前作通りです。裏技的なルートはさすがにやめたようですけど。
 個人的には第一部のアドベンチャー部分が、シナリオと謎解きが前作以上に強化されてこちらの作品の方が面白く感じますね。TVゲームなら中ボスにあたる花の城の城主との戦いは盛り上がるし、ヤガー婆さんなどの登場人物がこれまた雰囲気を出しています。特に宿に泊まればベットが空を飛んで宿を飛び出すという奇想天外な仕掛けなんか好きです。こんな展開がギャグ以外に許されるのはこのシリーズだけでしょう。

 魔法のことについても書きましょう。前作を遊んでいた場合でも、所持品や能力値は新たなものでスタートしなくてはいけないのですが、前作で覚えた魔法だけは本シナリオでも使用できるようになっています。ニフルハイムでは覚えることの出来ない魔法も多いので、シリーズで遊んだ人だけの特典なのです。
 ただ、これが戦闘以外にはたいして役にたたないのがもったいないところです。特に相手にキスをしてかけられた呪いを解く魔法なんて、まったく使いどころがありませんでした。呪われてトロールの姿にされた領主が登場するのに、なんで使えないのだ。
 それからニフルハイムで新たに取得する魔法は、牙に向かって呪文を唱えるとその生き物を召還できる魔法と巨大な灰色狼に変身する魔法が印象的です。灰色狼に変身する呪文は、その後に林友彦さんが執筆した「ウルフヘッドシリーズ」の原型になったとも思えて興味深いところですね。

 無事に魔法のユリをとりかえすと、ニフルハイムはみるみる温暖な気候を取り戻して住民は歓声をあげます。ただ、ベットで安らぐティルトにネバーランドで地震の被害があったと少し気になる情報が入るところで本書の物語は終わりになっています。次回作の伏線と思われ私は続編を非常に楽しみにしていたのですが、その後「ネバーランドのカボチャ男」という番外編のような作品が発表されただけで、残念ながらこのシリーズが真の意味で完結することはありませんでした。


2005年06月20日(月) ネバーランドのリンゴ(林友彦/創元推理文庫)

 ゲームブックファンにはもはや説明不要、鈴木直人作品に並ぶ和製ゲームブックの代表的作品の1つだと思います。
 妖精の住む国、ネバーランドを舞台に猫妖精のティルトが活躍する冒険談なのですが、私は店頭で髪を梳くエルフ(エスメレー)の表紙イラストが載った本書を見てすぐに本書を手にとって買った記憶があります。
 まだ私が「地獄の館」と「謎の村雨城」の2,3冊くらいしかゲームブックを持っていない頃でしたから、本書の分厚さと1000というパラグラフ数には圧倒させられました。
 主人公が成長をする要素があったり、2度の復活が認められているあたりなど、TVゲームを意識されたといわれる作品ですが、おそらくそれだけでは人気はでなかったでしょう。私のように、絵本のような言い回しの文章や、独特の世界観に魅了された方も多いと思います。
 蚊饅頭や土竜、ごったがえすキャメット城。悪賢い魔女に、性格の悪いノーム、カワウソの船頭、呪われた城など面白い登場人物やエピソードがふんだんに盛り込まれ、それらの地域を何度も自由に行き来できることが、どっぷりとその世界に浸れる要素として感じられたのです。急いで先に進む必要がないのも双方向システムならではの魅力ですね。

 本書の冒険は2部構成です。第一部はさらわれたエスメレーを救出して、バンパーの城へもぐりこむまでのアドベンチャー。先程も書いたとおりの内容で、もちろん危険もいっぱいですが、歩いているだけでも楽しいネバーランドを探索しつつ、必要なアイテムや情報を収集していきます。
 金貨を入手する機会が少ないのが残念。金貨がなくてクリア不能になるわけではないのですが、買い物は慎重にしないと後で後悔すること請け合いですね。 
 戦闘バランスは序盤こそは厳しいですが、レベルアップをしたり、仲間を得たり、強力な武具を入手しているうちに、ほぼ無敵になっていきます。いくつもの魔法を習得していくのもまた楽しいです。
 第ニ部はバンパーの本拠地である蜃気楼城をさ迷う内容です。蜃気楼城はひたすらシンプルな迷路が延々と続く、悪夢のような構造なので、残念ながらこちらはただひたすらに疲れます。一応、第一部で迷わずに目的地へたどり着く為のヒントを知ることができるのですが、うっかり本を落としたり、パラグラフ番号を失念すると、泣きをみること間違いナシです。このころになるとティルトも強くなっていて、戦闘も楽勝だし緊張感が続きません。パラグラフ数にこだわらなくてもいいから、普通のアドベンチャーにしてほしかったのが不満といえば不満です。

 ちなみに私の初クリアは、まだゲーム序盤の状態から意外な展開でいきなり蜃気楼城に侵入してしまい、迷路を延々とさまよった末に、バンパーをあっさり倒してしまいました。まだエスメレーを救出すらしていなかったのに。
 こうゆう隠しルートもTVゲームっぽいのですが、そんな秘密が偶然に簡単に発見できてしまうのは難点ですね。真っ当にクリアしたあとのお楽しみくらいにして欲しかった。私が本当の意味でクリアしたのは、第二作目の「ニフルハイムのユリ」をクリアしたあとでした。
 とはいえ、この作品が創土社さんあたりで復刊してほしい随一の作品なのには変わりありません。私の中では小説界のエンデの「果てしない物語」に通じるくらいに、この世界に惹き込まれるものを感じるのでした。


2005年06月19日(日) 盗賊都市(イアン・リビングストン/社会思想社)

 典型的なFFシリーズの作品ともいえるゲームブック。たけたろう君がいつもヒドイ目にあっているリビングストン作品の代表作です。
 もっとも町中がでの冒険が中心という点ではこれもFFシリーズでは珍しいかも。ポートブラックサンドという港町が舞台なのですが、これ以降のFFシリーズではこの世界の代表的都市として度々名前が登場したり、この町に主人公が訪れるなど、FFシリーズの世界を広げる重要な作品ともいえます。
 雑多な町並みには物乞いや追いはぎがウヨウヨしています。すごく危険で汚らしい町なのですが、人々には活気があってそんな町をさまようだけで楽しいのですよね。おかげでボスキャラのザンバー・ボーンがFFシリーズ一影の薄いキャラになってしまったのは、ゲームブックファンの中では有名な話しです。(笑)
 たけたろうでもそこそこ冒険が進められたので、リビングストン作品の中では珍しく戦闘バランスが易しめだと思って確認してみたところ、悪玉のザンバー・ボーンの塔へ向かう途中で、奴の配下の2頭のムーンドックと避けられない戦闘があるのに気が付きました。

ムーンドック  技術点9  体力点10
ムーンドック  技術点11 体力点9

 たけたろうでなくても、低い技術点で終盤まで頑張った読者を打ちのめすような強敵です。ネタバレ防止のために書きませんが、ニコデマスの物忘れのおかげで最後は運任せな選択肢を選ばないといけないし、リビングストン作品のゲームバランスの破綻は、このころからすでに始まっていたようですね。(苦笑)
 まあ、この作品はその欠点を補ってあまりあるほど、ポートブラックサンドの描写が素晴らしいので人気があるのだろうと思います。
 個々のゲームブックの完成度はジャクソン作品の方が上だと思うのですけど、FFシリーズの中心となるのは、やはりリビングストン作品の方なのでしょう。


2005年06月18日(土) バルサスの要塞(スティーブ・ジャクソン/社会思想社)

 この冒険記録日誌でも、ゲームブック魔法使いコンテストや、たけたろうの冒険で何度も話題にしているゲームブックです。
 ストーリーこそ、悪の領主を退治しにいくというオーソドックスなものですが、主人公が魔法使いという特徴が、他のFFシリーズとはまた別の魅力を感じさせます。意外にFFシリーズって魔法使いを主人公にした作品がないのですよね。
 主人公の魔法システムはD&Dタイプというか、冒険前に使用する魔法の種類とストックの数を決めておくシステムです。ソーサリーやパンタクルなど魔法使いを主人公にしたゲームブックに多い、体力点や魔力点を消耗して呪文を唱えるシステムとはタイプがガラリと違います。
 個人的にはキャラの作成時に、魔法を選択する作業が非常に楽しくて一番好きな魔法システムです。他の能力値や予測によって、読者の数だけ個性的な魔法使いが生まれるわけですからね。
 ソーサリーの魔法使いの方は苦手な暗記をしないといけないし、ヘタすれば「こんな魔法は存在しない。体力を5減らせ」とか言われてストレスがたまりました。(苦笑)

 さて、火吹山の魔法使いと比べると、魔法の使用シーンにパラグラフ数を割いているので、結構冒険そのものは短めです。どのルートを通っても、ゲームオーバーにならない限り、すぐに目的地近くまで到着してしまいます。ガンジーやヒドラなどの終盤の強敵には悩まされるでしょうが、どちらの場面も対処できるアイテムが複数用意されていて、このころのFFシリーズは、まだ比較的自由度が高かったなと感じられます。
 極端な例でいえば、バルサスの私室になる鍵の番号を知らなかった場合、浮遊の術で脱出して「運命の森」のようにもう一度最初から繰り返すことだって出来るようになっているし。
 また真の道をたどれば最小限の能力値でもクリア可能なところも嬉しいところですね。本当はどのFFシリーズもそうするべきだったと思うのですが。
 さっき名前の出たガンジーもそうですが、円盤人やミクなど本書にしか登場しない種族も多いのですが、登場する敵は印象的な奴らばかりです。特に悪の親玉のバルサスは格好良い。ボスキャラとしてはFFシリーズ中、一番迫力があるのではないでしょうか。最終戦闘には結構なパラグラフ数が使われていて魔法合戦も楽しめますし、必要な魔法を用意していない場合でも剣で勝つ可能性を残しているのもいい感じです。ゲームブックのラスボス戦としては、ピカ一の出来ですね。
 小説や漫画でもそうですが、悪玉に力と魅力があれば、そのぶん冒険が燃え上がるというものです。ラストの爽快感もひとしおです。
 ところでスティーブ・ジャクソンさん。ソーサリーの大魔王の方は、もうちょっとなんとかならなかったものでしょうか。


2005年06月17日(金) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その14

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。今度こそ、これで最後だ。
 すぐに巣から抜け出して棍棒を手に入れ、原住民らしい男達にトーテムはサメと答え、勝負を申し入れてきた1人を打ち負かすと、勇者の剣を手に入れた。魔女ランダのところで勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜け、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこみ、行商の太ったおばさんを無視してどんどん進み、仙人ところでご機嫌をとって浮遊の術を教えてもらい、別れて山を下って、草原地帯で羊飼いの少年に媚薬を渡し、毛皮の服を手に入れ、氷の海をわたって、海の女神にゴールドサーモンをもらう。そして違うルートを通って最初の陸上に戻り、神殿で謎の呪文らしきものをを覚え、アラブ風の町で毛皮を売って、羊を買い、狼地帯を抜けて、ディッグ博士にヒントをもらったあと、ドラゴンに出会ってゴールドサーモンと金貨11枚を交換。
 続いてスフィンクスの謎解きを解いて助言をしてもらう。砂漠の行商人から、金貨10枚で潜水服を購入すると、浜辺の手荷物預り所で勇者の剣を預けて、海にダイビング。小さな小島でレオタードを取ると、カヌーに乗って脱出。勇者の剣を回収すると、灼熱地獄へ進み、亡者どもを退けていよいよ2つの扉の前に立った。

 獣の顔ような紋章がついた扉を開けると、鏡の部屋だった。出口はない。気が付くと入ってきた扉も消えていた。
 鏡にあのお馴染みのゴリラの姿が見える。他にオオカミも。トラも。チェンソー男も。
 ありとあらゆる光景がめまぐるしく鏡にうつっては、徐々に存在感を増してくるではないか。よくわからないが危険な状況には間違いない!
 スフィンクスの助言にしたがって、必死で神殿の呪文を唱える。

「ゴデワレニデワレゴデワレニデワレ!」

 鏡は粉々に砕け散り、あたりは静寂と漆黒の闇に包まれる。
 またしても阿弥陀様のところへ戻ったのかと、心配しはじめたころ、遥か上の方で光が差し込んだ。見上げると上空に光輝く赤ん坊が浮いていた。
 赤ん坊は見る見る成長し、私の姿になっていく。

───あれが生まれ変わった私だというのか。ではここにいる私は、なんだというのだ。
───それにどうやってあそこへ行けばいいのだろう。

 ふと気が付いて苦笑いをした。今度こそ浮遊の術を使えばいいじゃないか。
 冒険の終了を確信して術を唱えると、体は重力に逆らって上昇しはじめる。
 そして眩い光に溶け込んだところで私は意識を失った・・・。


 電柱の傍のゴミ捨て場の傍で、ぼんやりと立っている自分に気が付いた。
 なにがあったのか。
 なんにもあるわけがない。たぶん、ちょっとしためまいだろう。仏壇から転がり落ちた阿弥陀像を拾おうとしただけじゃないか。軽く頭を振ると、転がっていた阿弥陀様の像を仏壇の中に入れ直す。
 なぜだかわからないが、生まれ変わったかのように気分がいい。きっとこれからいいことが起こるだろう。どういうわけかそんな予感がする。
 私は鼻歌を歌いながら仏壇の前を通り過ぎ、我が家に帰るために足取りも軽く歩き始めた。



2005年06月16日(木) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その13

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 灼熱地獄はそのまま地獄の穴に通じていた。穴の底にたどりつくと、熱さに苦しむ亡者たちが無数に浮遊して、それぞれに苦しそうな表情を浮かべている。
 こちらの涼しそうなレオタード姿を見て、亡者達が群がってきたが、勇者の剣を振るい上げると、亡者達はどよめき恐れおののいて道を開けた。
 道の先には扉が2つある。鬼のような顔の紋章がついた扉と、獣の顔ような紋章がついた扉。
 どっちが進むべき扉なのだろう。迷ったあげく鬼のような顔の紋章がついた扉を開ける。
 すると目を覆うばかりに眩い黄金の通路が開けたではないか。
 通路には心地よい音楽が流れ、通路の両側には豪華なチャイナ服(行商のおばさんが売っていた服に似ている)を来た無数の人々が、拍手をしながら私を出迎えてくれた。
 ついに脱出したらしい。感動を胸に拍手に手を上げてこたえながら、通路の奥へと進む。

「はっはっはっ。ついにやってきたか」
 通路の突き当りには、髭モジャの大男が玉座にすわっていた。
「わしは地獄の主。エンマ大王じゃ。おまえの罪状はエンマ帳にちゃんと書いてある。羊飼いの少年から毛皮の服を盗んだ罪をわしが知らないとでも思ったのか」
 あれは媚薬と交換したようなもので・・・と私が異議を申し立てても、エンマは聞く耳をもたなかった。いるんだよな。言いたいことだけ言って、人の話しを聞かない奴って。
 さっき拍手をしてくれた人たちが、汚れた服を次々に私に投げつけた。エンマが嬉しそうに宣言する。
「皆も小間使いが到着して歓迎しておる。まずは掃除と洗濯。それが終わったら小鬼の子守りもしてもらおう。おっとわしのパンツは特別に大きくて汚いから、念入りに洗っておけよ。ガッハッハッ」
 なんてことだ。ゴールまであと少しみたいなのに。
 死んだわけでもないので、阿弥陀様も地獄までは手出しができないようだ。
 本来はここでゲームオーバーなのだが、悪あがきに仙人から教えてもらった浮遊の術をつかってみようと試みる。

 すると体が宙に浮き上がり、みるみるうちに火炎地獄から脱出に成功した。
 すごい!やったぞ!だがどうやって術を解除するのだろう。
 そして体はそのまま陸上へあがり、空にあがり、やがてお空のお星様になった。

 ・・・・・・。

 あきらめてゴリラの巣に帰ろう・・・。


続く


2005年06月15日(水) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その12

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 アラブ風の町で毛皮を売って、羊を買い、狼地帯を抜けて、ディッグ博士にヒントをもらったあと、ドラゴンに出会ってゴールドサーモンと金貨11枚を交換。
 続いてスフィンクスの謎解きに挑戦して3問とも正解する。
 神殿で呪文を聞いていると言うと、スフィンクスは前と違う助言をしてくれた。
「神殿の呪文は強固な鏡を破壊するメッセージをもっている。必要になったらそれを二度繰り替えすのだ。以上」
 つまりそれらしい場面になったら、5で割って2で割ってを2度繰り返すわけだな。OK。クリアがだんだん見えてきた気がするぞ。
 続いて砂漠の行商人から、金貨10枚で潜水服を購入すると、浜辺の手荷物預り所で勇者の剣を預けて、海にダイビングをした。
 またサメたちがやってきたが、こちらの推測どおり、今度は襲ってこない。それどころか親しげに話し掛けてきた。サメがどうやって話すのかなんて、もう野暮なことは言うまい。ここはマンダラ郷なのだから。
「ヨウコソ。サメノトーテムノキョウダイ。コジマニハブルーノタイネツフクガアル。モッテイクトイイ」
 サメ達の助言を心に止めて、小島にたどり着いた。椰子の実一本しかない小さな小島だが、誰の物かわからないカヌーがあった。ちょっと拝借すれば帰り道は不恰好な潜水服を使わなくてよさそうだ。
 サメ達の言っていた青色の耐熱服を捜すと、あん?ウェットスーツ、ウィンドブレーカー、レオタード、セーターと4着も椰子の木の回りに散乱してあるではないか。どの服も濃淡の違いはあれ、青色だ。
 どれが耐熱服なのか迷っていると小島が急激に揺れ始めた。島が沈もうとしている。急いでどれかを選ばなければ。
 どれだろう。セーターやウェットスーツは逆に熱そうな気がするのでパス。残るはウィンドブレーカーとレオタードのどちらかだが、マンダラ郷のノリとしては、なんとなく相応しい(笑)レオタードを持ってカヌーで沈みゆく小島を脱出した。
 
 浜辺に帰ると、あの預かり所の人間は姿を消していた。ちょっと心配になったが、東屋にはちゃんと勇者の剣が残されていたので、ほっとする。
 東屋からは銅像だかなんだかを引きずった跡が、砂浜に残っていた。ふーむ。顔が見えなかったが、預かり所の人間はもしかして阿弥陀様だったんじゃないだろうか。今となっては確認はできないが。
 しばらく歩くと北(灼熱地獄行き)と南(さっきの砂浜)のどちらかに行くか、選択肢がでた。
 ためしに南に戻ってみると、潜水前と同じパラグラフの砂浜についた。東屋には預かり所の人もいたが「正体をあばく」という選択肢がない。謎は残るがしかたがないので、レオタードを着て灼熱地獄の待つ北へ進もう。
 レオタードは正解だったらしい。あちらこちらに炎が見える灼熱地獄でも、まったく熱くないのだ。きっと科学を超えたスーパーウェアなのだろう。

 それにしても男のレオタード姿とは絵にならんなぁ。とか考えていて、ふと気がついた。本書の作者は女性なので、主人公が女性視点で書かれている可能性もあるなと。
 いや、別に主人公が男性でもいいのだが、主人公が女性だとするとチャイナ服やレオタード姿がさまになるし、なにより真っ裸で物語がスタートするあたりが、なんともいい感じになるではないか。
 ・・・・・・つまらん妄想はここまでにして、次に行こ、次。


続く


2005年06月14日(火) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その11

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 すぐに巣から抜け出して棍棒を手に入れ、原住民らしい男達にトーテムはサメと答えることにした。というのも、前回の海中のサメ達に出会うシーンで、サメのトーテムの者だけはパラグラフの分岐先が違っていたのだ。
 勝負を申し入れてきた1人を打ち負かすと、勇者の剣を手に入れた。魔女ランダのところで勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜け、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこみ、行商の太ったおばさんを無視してどんどん進み、仙人ところでご機嫌をとって浮遊の術を教えてもらい、別れて山を下って、草原地帯で羊飼いの少年に媚薬を渡し、毛皮の服を手に入れ、氷の海をわたって、海の女神にゴールドサーモンをもらう。
 氷の割れる危険を冒しながら違うルートを通って凍った海を渡ったが、また氷が割れてしまった。
 くそう、脳内マッピングでは正解ルートを発見するのに問題があるのだろうか。
 とりあえず、235へ。

 以降は繰り返しなので、かいつまんで経過報告。

 阿弥陀様のところへ戻って、ゴリラの巣からまた海の女神の場所までたどり着いたが、氷に頭をぶつけて235へ。

 阿弥陀様のところへ戻って、ゴリラの巣からまた海の女神の場所までたどり着いたが、また元の陸上にもどってしまい、再び氷の海に入りなおすも氷が割れて235へ。

 阿弥陀様のところへ戻って、ゴリラの巣からまた海の女神の場所までたどり着いたが、アラザシがやってきてあろうことかゴールドサーモンを食べてしまう。また海の女神のところへ戻ろうとしたところに氷が割れて235へ。

 阿弥陀様のところへ戻って、ゴリラの巣からまた海の女神の場所までたどり着いたが、またまた氷が割れて235へ。

 阿弥陀様のところへ戻って、ゴリラの巣からまた海の女神の場所までたどり着いたが、またまたまた氷が割れて235へ。

 阿弥陀様のところへ戻って・・・

 なんど繰り返したことだろう。十何回目かそこらで、やっと違うパラグラフから陸上に戻ることができた。ふうっ、やれやれ。
 南へ歩くと、捜し求めていた神殿にたどり着いた。それはイスラム風のモスクのような建物で、コーランの合唱のような声が中からかすかに聞こえてくる。
 ターバンを巻いた住民達が次々に建物の中に入っていくので、ついていくと入り口で警備員に呼び止められた。
「おい、ここを通って検査を受けてから中に入るんだ」
 警備員が言っているのは、空港にある金属探知機のような金属の枠だ。勇者の剣を持っていることを申告すると、警備員はめんどくさそうに言った。
「金属は関係ない。さっさと潜るんだ」
 よくわからないまま潜り抜けたが、特に反応はなかった。選択肢で「今までに酒や豚を食べたか」と質問があったので、たぶんその探知機だと思う。ヘビのトーテムを選んでご馳走を食べた時なら、きっと反応していたことだろう。
 神殿では住民達がなにか呪文のようなものを大合唱していた。
「ゴデワレニデワレゴデワレニデワレゴデワレニデワレ・・・・・・・・」
 もしかすると、5で割れ2で割れ、なのかな。
 とにかく重要なヒントなのだろうから、覚えておくことにしよう。


続く


2005年06月13日(月) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その10

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナをムシャムシャと食べてから巣から抜け出し、原住民らしい男達にトーテムはヘビと答えて、男達に酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われ、勇者の剣とついでに腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜け、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこみ、行商の太ったおばさんを無視してどんどん進み、仙人ところでご機嫌をとって浮遊の術を教えてもらい、別れて山を下って、草原地帯で羊飼いの少年に媚薬を渡し、毛皮の服を手に入れ、氷の海をわたって、海の女神にゴールドサーモンをもらう。
 ここまでは前回と同じでいいだろうが。
 氷の割れる危険を冒しながら違うルートを通って凍った海を渡ったが、同じパラグラフの陸上に帰ってきてしまった。いったいどうやったら神殿とやらにたどりつくのだろうか。
 歩いていくといつものアラブ風の町にたどり着いた。毛皮を金貨2枚で売って、羊を金貨1枚で購入して、草原地帯を抜けだした。
 古代遺跡の発掘現場のような場所でディッグ博士にヒントをもらったあと、ドラゴンに出会う。ゴールドサーモンを欲しがるので、素直にあげて金貨11枚をもらう。
 スフィンクスの所までもどったが、今回も無視をして先に進む。砂漠の行商人も金貨が足りないので無視して進もうとすると。
「待ってくれ、お客さん。金貨10枚にまけておくから、商品くらい見てよ」
 こうして私は金貨10枚で、潜水服を手に入れることができた。最新鋭の潜水服といっていたくせに、潜水服はドラム缶のような形をしていた。
 さらに進むと珊瑚礁の美しい南の海へ出た。白い砂浜にやさしく波が打ち寄せている。海の向こうに椰子の実がぽつんと一本立っている小島が見える。
 潜水服を着て、海に入ることにする。潜水服を着て見ると、気味が悪いほど私の体にぴったりらしく、金貨1枚の所持品も入れるスペースがないらしい。ドラム缶型の潜水服のくせに。(汗)
 砂浜を見渡すと、「手荷物預り所、品物1つにつき金貨1枚」と看板の入った東屋があった。顔にベールをつけた無口な男が店番をしていたので、金貨を払って、勇者の剣を預けておく。これで準備完了。
 海に飛び込むと、青い珊瑚礁が視界に広がって、美しい光景が広がった。重い潜水服なので泳ぐと言うより、海中散歩といった感じだ。
 海には沢山のサメがゆったりと気持ちよさそうに泳いでいる。って、サメかい。
 時々、サメが鼻先でこちらをつつくが、ドラム缶型潜水服だけあって、そう簡単には壊れない。なるべく急ごうと足を速めたところへ、サメがタックルをかまして私は見事に海底に転んで起き上がれなくなった。
 ジタバタしている私にサメ達が群がり、呼吸用ホースを噛み切り、潜水服をちぎって、私をムシャムシャバクバクゴックンと食べてしまう。235へ進む。


235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


続く


2005年06月12日(日) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その9

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナをムシャムシャと食べてから巣から抜け出し、原住民らしい男達にトーテムはヘビと答えて、男達に酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われ、勇者の剣とついでに腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜け、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこみ、行商の太ったおばさんを無視してどんどん進み、仙人ところでご機嫌をとって浮遊の術を教えてもらい、別れて山を下って、草原地帯で羊飼いの少年に媚薬を渡し、毛皮の服を手に入れ、氷の海をわたって、海の女神にゴールドサーモンをもらう。
 ここまでは前回と同じでいいだろうが。問題はここからだ。
 氷の割れる危険を冒しながら違うルートを通ると、また氷が割れて・・・。235へ進む。


235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


続く


2005年06月11日(土) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その8

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナをムシャムシャと食べてから巣から抜け出し、原住民らしい男達にトーテムはヘビと答えて、男達に酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われ、勇者の剣とついでに腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜け、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこみ、行商の太ったおばさんを無視してどんどん進み、仙人ところでご機嫌をとって浮遊の術を教えてもらい、別れて山を下って、草原地帯で羊飼いの少年に媚薬を渡し、毛皮の服を手に入れ、氷の海をわたって、海の女神にゴールドサーモンをもらう。
 ここまでは前回と同じでいいだろうが。問題はここからだ。
 氷の割れる危険を冒しながら違うルートを通ると、氷が割れて冷たい海水に溺れてしまう。235へ進む。


235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


続く


2005年06月10日(金) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その7

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナをムシャムシャと食べてから巣から抜け出し、原住民らしい男達にトーテムはヘビと答えて、男達に酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われ、勇者の剣とついでに腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜け、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこみ、行商の太ったおばさんを無視してどんどん進み、仙人ところでご機嫌をとって浮遊の術を教えてもらい、別れて山を下って、草原地帯で羊飼いの少年に媚薬を渡し、毛皮の服を手に入れ、氷の海をわたって、海の女神にゴールドサーモンをもらう。
 ここまでは前回と同じでいいだろうが。問題はここからだ。
 氷の割れる危険を冒しながら違うルートを通ると、滑って氷の塊に頭をぶつけて昇天してしまう。235へ進む。


235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


続く


2005年06月09日(木) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その6

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナをムシャムシャと食べてから巣から抜け出し、原住民らしい男達にトーテムはヘビと答えて、男達に酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われ、勇者の剣とついでに腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜け、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこみ、行商の太ったおばさんを無視してどんどん進み、仙人ところでご機嫌をとって浮遊の術を教えてもらい、別れて山を下って、草原地帯で羊飼いの少年に媚薬を渡し、毛皮の服を手に入れ、氷の海をわたって、海の女神にゴールドサーモンをもらう。

 ここまでは前回と同じでいいだろう。

 氷の割れる危険を冒しながら違うルートを通って凍った海を渡った。
 幸い氷は割れなかったが、またもや同じパラグラフの陸上に帰ってきてしまった。いったいどうやったら神殿とやらにたどりつくのだろうか。
 歩いていくといつものアラブ風の町にたどり着いた。毛皮を金貨2枚で売って、羊(金貨1枚)を購入して、草原地帯を抜けだした。
 古代遺跡の発掘現場のような場所でディッグ博士にヒントをもらったあと、ドラゴンに出会う。ゴールドサーモンを欲しがるので、素直にあげて金貨11枚をもらう。
 スフィンクスの所までもどったが、どうせ神殿の呪文は手に入れていないのだ。今回も無視をしてしまおう。
 とりあえず、道は西、東、南へと伸びている。
 南へ進むとサソリが襲い掛かってきた。幸い刺されることはなかったが、これ以上は南へ行くことはできないようだ。
 さらに進むと珊瑚礁の美しい南の海へ出た。白い砂浜にやさしく波が打ち寄せている。海の向こうに椰子の実がぽつんと一本立っている小島が見える。
 潜水服がないので、引き返して北へ歩き始める。急にあたりが熱くなってきた。駄目もとでそのままへ向かって見るが、やっぱりそこは灼熱地獄だった。235へ進む。


235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


続く


2005年06月08日(水) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その5

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナをムシャムシャと食べてから巣から抜け出し、原住民らしい男達にトーテムはヘビと答えてみる。
 男達に酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われ、勇者の剣とついでに腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜ける。

 道はやがて、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこんできた。裸の身には霧が寒くてこたえる。
 途中で行商の太ったおばさんが道の向こう側からやってきたが、無視してどんどん進む。 
 仙人ところでご機嫌をとって、浮遊の術を教えてもらい、別れて山を下っていく。草原地帯で羊飼いの少年に媚薬を渡し、毛皮の服を手に入れ、氷の海をわたって、海の女神にゴールドサーモンをもらう。
 ここでスフィンクスの言ったとおり、氷の割れる危険を冒しながら違うルートを通って凍った海を渡った。
 幸い氷は割れなかったが、同じパラグラフの陸上に帰ってきてしまった。なにか特殊なルートでもあるのだろうか。
 歩いていくといつものアラブ風の町にたどり着いた。残念ながらスフィンクスの言っていた神殿の呪文はもう手に入らないようだ。
 毛皮を金貨2枚で売って、羊(金貨1枚)を購入する。
 羊は町を出るとジグザグに草原を走り回る。オオカミのいる付近を察知してうまく避けていたのかもしれない。いつの間にか私は草原地帯を抜けだしていた。
 どっしりと座り込んで動かなくなった羊に感謝して、1人で先に進む。

 古代遺跡の発掘現場のような場所でディッグ博士にヒントをもらったあと、ドラゴンに出会う。ゴールドサーモンを欲しがるので、素直にあげて金貨11枚をもらう。
 スフィンクスの所までもどったが、どうせ神殿の呪文は手に入れていないのだ。今回は無視をしてしまおう。
 とりあえず、道は西、東、南へと伸びている。
 東へ進むと、灼熱の砂漠が延々と続いていた。うだるような気持ちで歩いていくと、ラクダに乗った行商隊がやってきて、声をかけてきた。
「いい買い物がある。金貨がたった20枚だ。買わないか」
 金貨20枚か。手持ちの金貨では足りないが、何を売っているかちょっと見てみようかと、立ち止まることにした。
「お客さん。お目が高いよ。最先端ハイテクの粋を集めた潜水服が、たった金貨20枚だ。悪くはない取引だろ」
 うーむ。なぜ砂漠で潜水服を売ってるのだろうか。理解に苦しむ。
 しかし、いつぞや仙人が水中でも平気な服も必要だと言っていたな。
 今回の冒険では無理だが、次回はもっと金貨を手に入れる方法を探さなくてはいけないらしい。
 さらに進むと珊瑚礁の美しい南の海へ出た。白い砂浜にやさしく波が打ち寄せている。
 うーむ。この脈絡のなさは、さすがはマンダラ郷だ。
 海の向こうに椰子の実がぽつんと一本立っている小島が見える。
 海へ入る選択肢があったが、潜水服がないと無理だろうと思う。引き返そうと北へ歩き始めると、急にあたりが熱くなってきた。駄目だ。これは灼熱地獄へいくパターンだ。耐熱服がないかぎり先には進めない。
 しかたなくまた浜辺に戻って、海の中へダイビングを試みる。
 たちまち高層ビルの高さほどの大波が、ザブンと私を飲み込んだ。235へ進む。


235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


続く


2005年06月07日(火) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その4

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナをムシャムシャと食べてから巣から抜け出し、原住民らしい男達にトーテムはヘビと答えてみる。
 男達に酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われ、勇者の剣とついでに腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜ける。

 道はやがて、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこんできた。裸の身には霧が寒くてこたえる。
 途中で行商の太ったおばさんが道の向こう側からやってきたが、無視してどんどん進む。 
 もちろん目指すは仙人の居場所だ。崖っぷちで足を滑らせて、私の意識も深いモヤに包まれる。

 どのくらい気を失っていただろうか。
 私は白いフワフワしたものの上に横たわっている。気絶している間に私はドテラのような着物を着せられていた。
「気がついたようじゃの。わしもどうせ暇じゃから、ゆっくりしていきなさい」
 私に話し掛けてきたのは、杖を握ってローブを着た白髭の老人という、いかにもな姿をした仙人だった。その姿を見て、ここが雲の上にいるのだというのが徐々に理解できてきた。
「どうじゃ、しばらくわしと話しでもせんか。質問があったらなんでも聞いてよいぞ」
 そりゃ、願ってもない。まずは、あの阿弥陀様のことを聞いてみる。
「なんと、おぬしは阿弥陀君に言われてマンダラ郷にきていたのか。阿弥陀君とは懐かしいのう。元気にしておったかな」
 仙人は今度は嬉しそうだ。阿弥陀様への文句を言うと仙人は面白そうに話した。
「くっくっくっ。阿弥陀君もなかなか策士じゃからな。よいか、おぬしはもてなくて悩んでいたのであろう。媚薬など所詮、一時的な効果にすぎん。薬の効果が薄くなれば、結局のところは元通りだ。それより、おぬしが生まれ変わって魅力的な人間になれば、相手がほおっておかん。つまりじゃな。おぬしは今、人格改善の旅をしておるのじゃ」
 今度は、それなら媚薬なんて意味がないじゃないですか。と口を尖がらせて答えておく。
「そんなことはない。このあと媚薬が必要になることがあるはずじゃ。せっかくだからヒントをやるが、マンダラ郷の脱出の為には、一つの品物、一つの呪文、一つの術、一つの服が必要なのだ。それらを手に入れるためには、さらに他の品を使うこともあるぞ」
 媚薬の使い道はあの羊飼いの少年に渡すことだろうが、一つの品物とは勇者の剣だろうか。一つの服とは熱さに強い服か水中でも平気な服のどちらかだろう。一つの呪文と一つの術は今の所ちょっと見当がつかないなぁ。
 悩んでいる私に仙人が「わしの弟子にならんか」と持ちかけてきたので、一応いろんな選択肢を選んでおこうと今回は弟子入りを志願してみた。すると仙人は目を細めて言った。
「そうかそうか、弟子になってくれるか。嬉しいのう。じゃが、残念なことにマンダラ郷には厳しい掟があっての。治外法権になっている一部の場所を除くと、おぬしには永住権はとれないのじゃ。よしよし、代わりにとっておきの術を教えてやろう。浮遊の術じゃ。使いたくなったらいつでも230番へ飛ぶがいい。危険な術じゃから、どうしても必要な時以外は絶対に使うでないぞ。これこれ、のぞき見もいかん。さあ、ではそろそろ行くが良い」
 さっき言っていた、一つの術とはこれのことか。仙人も人が悪いな。弟子入りを志願しなければ黙っていたに違いない。
 仙人と別れて、山を下っていく。草原地帯で羊飼いの少年に媚薬を渡し、毛皮の服を手に入れ、氷の海をわたって、海の女神にゴールドサーモンをもらって引き返す。
 しばらくするとアラブ風の町にたどり着いた。もう使い道のなくなった毛皮を金貨2枚で売って、羊(金貨1枚)を購入する。
 羊は町を出るとジグザグに草原を走り回る。オオカミのいる付近を察知してうまく避けていたのかもしれない。いつの間にか私は草原地帯を抜けだしていた。
 どっしりと座り込んで動かなくなった羊に感謝して、1人で先に進む。

 古代遺跡の発掘現場のような場所でディッグ博士にヒントをもらったあと、ドラゴンに出会う。ゴールドサーモンを欲しがるので、今度は素直にあげることにした。
「ありがとう。これはお礼だよ」
 私が空にほおり投げたゴールドサーモンを、ドラゴンは器用にキャッチすると、バラバラと空から金貨を落としてきた。全部で11枚もある。なるほど、どうやらここはゴールドサーモンをあげた方が正解らしい。
 スフィンクスの所までもどって、3つの謎に挑戦する。三度目の正直だ。
「第三問目。トーテムでマンダラ郷を脱出可能なのは何種類あるのか」」
 ええい、答えは1つだ!
「ファイナルアンサー?」
 ファイナルアンサー!頼む。当たってくれ。
 ディック博士のヒントを合わせると1×4でパラグラフ4へ行けばいいのだな。
 スフィンクスは黙っている。駄目か?失敗したのか?

 ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・・・・・・














「正解」
 おお、よかった。スフィンクスはなおも続ける。
「どのトーテムのことかは、ここではあえて言うまい。ところでお前は神殿の呪文を聞いているか」
 神殿の呪文。そんなものは知らないぞ。
「そう、お前は呪文を知らなかった。となれば、またいずれ阿弥陀様の懐へ戻り、ここへくることになるだろう。そのときの為にヒントを言っておく。羊飼いの少年に出会ったら引き返して北へ行け。海の女神に出会ったら帰り道は別の道を通って南へ行け。以上だ」
 それっきりスフィンクスは押し黙り、あたりに静寂が訪れた。
 なにか、もう今回の脱出は不可能という宣言をうけたような感じだな。(汗)
 とりあえず、道は西、東、南へと伸びている。
 西へ進むと、たちまち砂嵐に巻き込まれてしまった。
 バイオリズム数も悪く、あれよあれよと吹き飛ばされ、気が付くと235にいた。


235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


続く


2005年06月06日(月) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その3

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナをムシャムシャと食べてから巣から抜け出し、巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。
 前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、ちょっと考える。
 スフィンクスの答えは3ではなかったとすると、勇者の剣を手に入れた上に、食事も出来るヘビのトーテムただ1つが正解ではないだろうか。
今度はヘビと答えてみる。
 すると男達は歓迎して村に招いてくれた。酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われる。これらをムシャムシャと食べ、勇者の剣とついでに腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜ける。

 道はやがて、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこんできた。裸の身には霧が寒くてこたえる。
 途中で行商の太ったおばさんが道の向こう側からやってきたが、無視してどんどん進む。 
 すると道幅が徐々に狭くなってきて崖にへばりついているような格好になってきた。もはやロッククライミングだ。引き返す選択肢もあったが、少し意地になって先へ進む。
 ああっ、足が滑ってバランスが崩れて、霧の谷へまっさかさまに落ちていった。
 私の意識も深いモヤに包まれる。

 どのくらい気を失っていただろうか。
 私は白いフワフワしたものの上に横たわっている。気絶している間に私はドテラのような着物を着せられていた。
「気がついたようじゃの。わしもどうせ暇じゃから、ゆっくりしていきなさい」
 私に話し掛けてきたのは、杖を握ってローブを着た白髭の老人という、いかにもな姿をした仙人だった。その姿を見て、ここが雲の上にいるのだというのが徐々に理解できてきた。
「どうじゃ、しばらくわしと話しでもせんか。質問があったらなんでも聞いてよいぞ」
 そりゃ、願ってもない。まずは、あの阿弥陀様のことを聞いてみる。
「なんと、おぬしは阿弥陀君に言われてマンダラ郷にきていたのか。阿弥陀君とは懐かしいのう。元気にしておったかな」
 仙人は今度は嬉しそうだ。阿弥陀様への文句を言うと仙人は面白そうに話した。
「くっくっくっ。阿弥陀君もなかなか策士じゃからな。よいか、おぬしはもてなくて悩んでいたのであろう。媚薬など所詮、一時的な効果にすぎん。薬の効果が薄くなれば、結局のところは元通りだ。それより、おぬしが生まれ変わって魅力的な人間になれば、相手がほおっておかん。つまりじゃな。おぬしは今、人格改善の旅をしておるのじゃ」
 今度は、それなら媚薬なんて意味がないじゃないですか。と口を尖がらせて言ってみた。
「そんなことはない。このあと媚薬が必要になることがあるはずじゃ。せっかくだからヒントをやるが、マンダラ郷の脱出の為には、一つの品物、一つの呪文、一つの術、一つの服が必要なのだ。それらを手に入れるためには、さらに他の品を使うこともあるぞ」
 おお、これは重要なヒントを知ったぞ。まあ、媚薬の使い道はあの羊飼いの少年に渡すことだろうが、一つの品物とは勇者の剣だろうか。一つの服とは熱さに強い服か水中でも平気な服のどちらかだろう。一つの呪文と一つの術は今の所ちょっと見当がつかないなぁ。
 あれこれ悩んでいる私に、仙人が「わしの弟子にならんか」と持ちかけてきたが、ろくな目に会わない気がするので丁重にお断りをする。仙人と別れ、山々をくだって草原地帯へ進んでいった。
 しばらくするとアラブ風の町にたどり着いた。

 あれ、羊飼いの少年はどこにいったんだ。うっかり道を間違っちゃったらしい。(汗)

 なにかもう今回は脱出不可能な気がして意気消沈なのだが、しかたがないので使い道のなくなった媚薬を金貨2枚で売って、羊(金貨1枚)を購入する。
 羊は町を出るとジグザグに草原を走り回る。オオカミのいる付近を察知してうまく避けていたのかもしれない。いつの間にか私は草原地帯を抜けだしていた。
 どっしりと座り込んで動かなくなった羊に感謝して、1人で先に進む。

 目の前にエジプト風の砂漠のような光景が広がっている。スフィンクスがいる付近を無視して進むと、古代遺跡の発掘現場のような場所に行き当たった。
「おおい、そこの君。ここは立入禁止だ。入ってはいかん」
 発掘責任者のディッグ博士が声をかけてくる。スフィンクスの謎かけのヒントをもらうと礼を言ってその場を離れる。
 少し覚悟していたがドラゴンは登場しない。
 ゴールドサーモンはもっていないと、現れないようだ。どうせ、脱出不可能だからと、スフィンクスのところに戻らずに、山岳地帯を目指して進んでみた。
 しばらく歩いているとモヤモヤした影が現れ、ゆっくりと形をもちはじめた。悪魔が私を襲いにきたのだ。
「ようこそ魔の山へ。ここは精霊や阿弥陀様の力も及ばない暗黒の世界だ。今日からはおまえも我々の仲間になるのだ」
 阿弥陀様の力が及ばないでは、復活できないではないか。こんなところで負けるわけにはいかない。勇者の剣を振り上げると、悪魔は身を引いた。
「ちぇ、やっかいなものをもっているな。じゃあ、勝手にするがいい」
 悪魔は退散して、どうやら最悪の事態はまぬがれたようだ。しかしバイオリズム数が悪く、そのあと迷子になって魔の山をさ迷いはじめる。こんなところで死んでは駄目だ。阿弥陀様に復活してもらえないではないか。
 ようやくスフィンクス近くの道端に戻ってきたとき、疲労と安堵のあまり意識が遠のいていった。235へ進む。


235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


続く


2005年06月05日(日) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その2

(これは4月の冒険記録日誌の続きです。ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい。)

 雪で真っ白な大地を踏みしめると、少し先にボロを着た人が座り込んでいるのを発見した。こんなところにも人がいるらしい。
 近づいてみると、相手は顔を上げて私を見つめた。まだ若い女だ。みすぼらしい格好で埃と脂にまみれた顔をしているが、口元の愛らしさといい、憂いを含んだ悲しげな瞳といい、整った顔立ちをしている。
「私のほつれた髪を梳いてください」
 その女はか細い声で私に頼んだ。そばにあったクシで言われるがままに、髪を梳いて、髪を整え、汚れた顔をぬぐってあげると、女は見違えるように綺麗になった。
「私は海の女神、タカナカプサルック。エスキモーたちに獲物を与える神です。人間達の罪を一身に集めて、こんなみすぼらしい姿になってしまいました。あなたの好意によって罪が清められました。ありがとう」
 そういって女はお礼にと、とりたての金色の鮭を私にくれた。持ち運びやすいように荒縄までついていて、お歳暮みたいな感じになっている。
「さあ、これ以上、この最果ての地をさまようのは無用です。お帰りなさい」
 女神の親切に感謝しながら、氷の道を着た時と同じように辿って帰ることにした。ラッコとペンギン達が私に手をふってくれる。

 元の陸地に戻りしばらく歩くとアラブ風の町にたどり着いた。ここでは用のすんだ毛皮の服を金貨2枚で売って羊(金貨1枚)を購入する。
 銃(金貨2枚)を購入してもいいが、たぶんこちらの方が安全にオオカミ地帯を抜けることができるだろう。
 町を出ると羊はジグザグに草原を走り回る。オオカミのいる付近を察知してうまく避けていたのかもしれない。いつの間にか私は草原地帯を抜けだしていた。
 どっしりと座り込んで動かなくなった羊に感謝して、1人で先に進む。

 目の前にエジプト風の砂漠のような光景が広がっている。スフィンクスがいる付近を無視して進むと、古代遺跡の発掘現場のような場所に行き当たった。
「おおい、そこの君。ここは立入禁止だ。入ってはいかん」
 白いサファリルックの格好をして、金髪の口ひげを生やした男だ。彼は自分のことを発掘責任者のディッグ博士と名乗った。
 そういえばディッグ博士って名前はスフィンクスの謎かけにも登場してきたな。ディッグ博士はこちらをじろじろと眺めて言った。
「ははん。君はチャレンジャーか。そうでなければこの著名な私に出会って普通でいられるわけがない。いいことを教えてやろう。スィンクスの3つ目の謎かけは、今までいろんな論文で最大の謎と書かれていた。しかし、私はそれを解明したのだ。4をかけるんだ。いいか。4をかけるんだぞ」
 はぁ、とあいまいな礼を言ってその場を離れる。すると今度はなんとドラゴンがやってきた。
「ゴールドサーモンを持っているのか!たいした珍品じゃねえか。ねえ、君。それを俺にくれよ」
 貴重なアイテムを手放すわけにはいかない。勇者の剣を振り上げると、ドラゴンは身を引いた。
「ちぇ、勇者の剣があるんじゃ、手が出せないや。残念だなぁ。君にだってそうだよ」
 なんだか気になることを言って、ドラゴンはさっていった。

 ディッグ博士のヒントも聞けたので道を戻ってスフィンクスの前に向かう。スフィンクスが口を開いて話し掛けてきた。
「元の世界に戻りたいのであろう。私の出す3つの問いに答えたら、そのための情報を教えてやろう。間違えればお前は死ぬ」
 願ってもないチャンスだ。今度は間違えないぞ。
「よくぞ言った。では、第一問。次の中でマンダラ郷にいない人間はどれか。少年、少女、壮年の男、壮年の女、老人の男、老婆」
 答えは“少女”だ。
「正解。第ニ問。次の中でマンダラ郷にいない生物はどれか。トラ、サソリ、ヘビ、ワシ、オオカミ」
 答えはヘビ!
「正解。第三問目。トーテムでマンダラ郷を脱出可能なのは何種類あるのか」」
 ええい、答えは3つだ!
「ファイナルアンサー?」
 ファイナルアンサー!頼む。当たってくれ。
 ディック博士のヒントを合わせると3×4でパラグラフ12へ行けばいいのだな。
 スフィンクスは黙っている。駄目か?失敗したのか?

 ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・・・・・・














「ざんねん」
 スフィンクスの額から光線が発せられ、一瞬で私は灰になってしまった。235へ進む。


235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


続く


2005年06月04日(土) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その1

(これは4月の冒険記録日誌の続きです。ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい。)

 意識がだんだん戻ってくる。気がつくと、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。ここはどこだ。ああ、4月27日の冒険記録日誌の続きなのか。横をみるとやはりゴリラが幸せそうに寝ているのが見える。
 バナナを食べるのを我慢してさっさと巣から抜け出す。すると手ごろな武器になる棍棒を発見した。
 巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。
 予想どおり、前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、ワシと答えてみる。
「ワシだと。ワシのトーテムとは我らと同じだぞ。怪しい奴め」
 男達の1人が槍をかまえて、私に向かい合った。他の男達はじっと見守っている。
 私は相手の胴を目掛けて棍棒を薙ぎ払った。都合の良い事に棍棒は相手の槍を弾き飛ばしたではないか。ラッキー。
「むぅ、次に挑戦するものはいないか」
 ワシのトーテムを選んだ場合は、2連戦をこなさないといけないらしい。幸いにも次の男も撃退する事ができた。今日のバイオリズムはなかなか調子がいい。2人目の男が地面に転がると、リーダーらしき男が宣言した。
「これ以上は我々の犠牲が増えるだけだな。ここは負けを認めよう。だが、これ以上南に行って我らの村に近づかないでくれ」
 原住民の男達の願いを聞かずにさらに村に進んでみようする。
「ちょっと、待ってくれ」
 男達が嘆願するが、誰も私の決めたことを留めることは出来ない、と言い放ってニヒルに笑ってみせた。男達は私のそんな態度に感銘を受けたようだ。
「君こそ勇者の資格がある。この剣を持っていきなさい」
 そういって差し出されたのは勇者の剣。この選択肢でも勇者の剣が手に入ってしまった。こうなるとスフィンクスの3問目の答えは、サメ、ワシ、ヘビの3つか。
 とにかく剣と腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜ける。

 道はやがて、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこんできた。腰蓑一丁の身には霧が寒くてこたえる。
 途中で行商の太ったおばさんが道の向こう側からやってきた。おばさんは立ち止まって、私をじろじろと眺めて言った。
「まあ、あんたはなんて格好をしているんだね。そんな姿で王様の宮殿に行きでもしたら、すぐ捕まってしまうよ!ちょうど売り物のチャイナ服があるから買わないかい、ちょっとアンタ!アンタってば!」
 無視してとっとと先に進む。チャイナ服を手に入れても役にたちそうもないからだ。
 やがて道が分岐していたので、仙人に会う道を進んでみる。もっと他の質問をしてみたい。
 すると道幅が徐々に狭くなってきて崖にへばりついているような格好になってきた。もはやロッククライミングだ。引き返す選択肢もあったが、少し意地になって先へ進む。
 ああっ、足が滑ってバランスが崩れて、霧の谷へまっさかさまに落ちていった。
 私の意識も深いモヤに包まれる。

 どのくらい気を失っていただろうか。
 気がつくと私は白いフワフワしたものの上に横たわっていた。気絶している間にドテラのような着物を着せられているのに気づく。
「気がついたようじゃの。わしもどうせ暇じゃから、ゆっくりしていきなさい」
 私に話し掛けてきたのは、杖を握ってローブを着た白髭の老人という、いかにもな姿をした仙人だった。その姿を見て、ここが雲の上にいるのだというのが徐々に理解できてきた。
「どうじゃ、しばらくわしと話しでもせんか。質問があったらなんでも聞いてよいぞ」
 今度は行商のおばさんが言っていた王宮の話しを聞いてみた。
「王宮だと。そんなくだらない物は、マンダラ郷には存在せんわい。お前さん、どこか頭でも打ち付けたのだろう。さあ、帰った帰った」
 仙人の機嫌が悪くなって、追い出されてしまった。行商のおばさんの言った事はまったくのデタラメのようだ。
 山々をくだって草原地帯へ進んでいく。
 前回と同じ道を選ぶと、羊飼いらしき少年がしょんぼりと座っているのが見えた。
 何を悩んでいるんだいと聞くと、もうすぐ親の決めた相手と結婚しなければならないのだという。
「相手は美人で気立てもよくて僕のことを慕ってくれる。でも僕は女が嫌いなんだ。あーあ、惚れ薬でもあったら僕が飲んで簡単に解決するのに」
 なんてワガママな、という気持ちを抑えて持っていた惚れ薬を差し出してみる。
 少年は媚薬を受け取ると礼を言ってそそくさと立ち去ろうとする。
 私はそのまま黙って見送り、少年の忘れ物の皮袋を取り上げた。開いてみると中身は毛皮でできた分厚い服や暖かそうな帽子などだ。
 一旦引き返して、徐々に寒くなっていく道を歩いていく。
 当然のように吹雪が襲ってくるが、毛皮の服のおかげで寒くない。やがて道は海につきあたって途切れた。あたり一面が氷に覆われた白い海だ。
 よく見ると、ところどころ氷が割れていて危険そうだが、ここで引き返しては“寒くても平気な服”を手に入れた意味が無い。きっとこの先に何かがあるはずだ。
 正面と左右に海が広がっている。息を飲んで覚悟を決めると、右の方向を選んで歩いてみた。大丈夫のようだ。そしてまた正面に進んで見る。こんな感じで進んでいくと、運良く氷が割れることもなく、最果ての陸地にたどりついた。陸地に沢山すんでいるラッコとペンギンの子ども達が、拍手をして無事にたどり着いた私を祝福してくれた。
 どうでもいいが、南極のペンギンと北氷洋のラッコがなんで仲良く一緒にいるのだろう。いやいや、ここはマンダラ郷なんだ。常識を捨てなくちゃ。


続く


2005年06月03日(金) ゼルダの伝説 蜃気楼城の戦い(樋口明雄/双葉文庫)

 大魔王ガノンを倒したハイラル地方に平和が戻ったのもつかの間。ガノンの弟の魔将軍ガイアが闇の世界からやってきた!という、TVゲーム版ゼルダに対して外伝的な作品です。
 ゲーム性としては同じ双葉ゲームブックで同じ作者の書いたドラゴンクエストやウルティマに近い印象です。本書は、樋口明雄のまだ2作目のゲームブック作品とあって、穴のある戦闘システムや、あまり脈絡のない地形や、ベタベタの樋口ギャグにまだ切れがない点(笑)など、まだまだ欠点は多いのですが、私は当時原作を遊んでいなかったにもかかわらず、夢中で遊んでいました。
 これは設定と演出の勝利といって良い作品なのです。
 どういうことかと言うと、このシリーズのヒロイン、ゼルダ姫とシリーズ主人公のリンクは、ガイアの呪いによって一身同体の存在になってしまった状態から冒険が始まるからです。日のあたる昼の時間はゼルダが、闇に覆われた夜の時間はリンクが水晶球に吸い込まれてしまうという呪い。
 つまり、昼はリンクとして冒険を進め、夜になると水晶球から復活したゼルダ姫に冒険を託す。朝になると逆にゼルダ姫が・・・・・・と、交互にキャラを操作していくわけです。
 夕焼けや朝もやを見え始めると、冒険を引き継ぐパートナーの無事を祈りながら水晶球に吸い込まれていく。蘇えった方もパートナーが吸い込まれた水晶球を悲しそうに拾い上げる。このあたりのシーンがよく書き込まれています。
 一緒にいるのに決して会うことは出来ないという切ない2人の関係が、悲劇的で印象に残るのですね。
 原作ではあまり見ることの少ないゼルダ姫のアクションシーンも見られるし、ゼルダシリーズのファンなら、ゲームブックファンでなくとも是非ともチェックしてもらいたい作品です。


2005年06月02日(木) ランナウェイ・ボーイを捜せ(ヘザー・フィッシャー/サンリオ文庫)

 女性向けのゲームブック。他のサイトで見かけた感想では、ハーレクイン系ゲームブックと評している方もいますが、そんなに恋愛要素はありません。少しはあるけどあくまでも添え物程度。世界文化社の“愛のアドベンチャーゲームブック”シリーズに比べればまだまだ甘いです。(苦笑)

 主人公は探偵事務所に勤める探偵見習いの女性。彼女が初めてまかされた人探しの依頼を達成するのがゲームの目的です。ルールは簡単ですが、星座や生年月日を使ったラッキーナンバーなど、判定につかう材料がいかにも女性読者向けです。
 捜すべき相手は莫大な遺産を相続する権利があるのに、ミージシャンとして海外をライブ演奏にまわっている奔放息子、アラン。指定された期日までに、アランが家に帰らないと、遺産は金にだらしのないと評判の弟、ボビーが相続するのだそうです。読者的には、そんな大事な時期に海外で遊び呆けている兄の方も目くそ鼻くそだと思うのですが、これも仕事の依頼ですから割り切っておきましょう。
 見習いに任せるような仕事なので、探偵といっても関係者に聞き込みをすれば、すぐにアランの居場所はわかります。しかし到着すれば、アランは一足違いで次のライブ開催地に旅立ってしまっていたとか、もどかしい展開が続きます。
 やっとアランを捕まえたら、彼は財産なんていらないなんて抜かしてくれます。しかも性悪女に惚れこんでいる状態なのです。性悪女がアランに家へ帰るように説得してくれるのですが、これはこれで明らかに財産目当てという感じで嫌ですねーーーっ。
 女性探偵としては、感情を挟まずに使命達成を優先するか、アランの目を醒まさせるべきかが悩みどころ。性悪女とアランの結婚式を中断させる主人公のアイデアがあまりに大胆かつあっさりな展開だったので、ちょっと笑ってしまいました。

 それにしてもゲームブックだから最後まで読めるし、そんなに悪い出来でもないけど、もしこれが小説だとすれば淡々と進行しすぎて、ちょっと退屈なストーリーに見えるかも。
 ゲーム性よりストーリー重視のゲームブックにするなら、普通の小説でも通用するくらいにしっかり書かんかい!とも思ってしまいました。


2005年06月01日(水) 青函トンネル大迷宮(雅孝司/祥伝社)

 本書の発売当時ではまだ工事中だった、青森と北海道を結ぶ青函トンネルを舞台にしたゲームブックです。
 発売当時に本屋で本書を見かけて、「青函トンネル大迷宮ぅ?なんだそれ。トンネルって迷宮じゃないやん」と買わなかった記録がありますね。

 当たり前ですが舞台は現実の世界となっています。主人公は雑誌編集部に勤めるしがないバイト青年で、ある日のこと殺人事件を目撃してしまうのです。
 犯人は主人公の気配を感じてすぐに逃げましたが、被害者の男を介抱しようとすると、死に際にあるメモを手渡してこときれるという、まあ物語としてはありがちなスタートです。
 物語の展開としては大きく3部に分かれていて、託されたメモの謎を解く少しミステリーっぽい雰囲気のプロローグ部分。メインの青函トンネルの中を探索する双方向システムの迷路。青函トンネルを脱出してからのスパイ映画のような逃亡劇という感じです。
 青函トンネルの中だけ双方向システムで、そんな複雑ではないのですが、メンテナンス用の別通路や作業員用の枝道などがトンネル内にはあって、本当にちょっとした迷路になっていたのは驚きです。そういえば、実際に開通前のトンネルを見学した人が「迷路みたいでビックリした」とか書いていたのをネットで見たことあるな。大迷宮は流石にいいすぎだと思うけど。
 私の最初のプレイではゲームのメインとなるはずの青函トンネル内で、何のイベントも経験しないうちに、あっさりトンネルを脱出してしまいました。するといきなり警備隊に襲われそうになったところを、謎めいた女に救助されてあれこれ説明され、事情が良く飲みこめないまま終盤の怒涛の展開に進んでしまって、えっ?えっ?と思っている間に準ベストエンディングまで到達してしまいました。
 二度目のプレイでは、じっくり青函トンネル内を探索してみたのですが、CIAやKGBの工作員までトンネル内に潜んで登場してくるし、本当にここは日本の工事現場なのだろうかっていう感じです。トンエル内で出会うと問答無用でいきなり銃を発砲してくる作業員もなんだか怪しいのですが、とにかく作業員につかまるとゲームオーバーです。作者が一度だけ時間を戻してくれる救済処置がありますが、欲を言えば牢を脱出するとか、もっともらしい演出をつけて欲しかったな。
 他にネタバレになるので内容は書きませんが、なんというかストーリーというか設定に無理がありすぎるような。いくら闇の政治力が働いていたとしても、開通前で世間に注目されている青函トンネルであんな秘密を隠蔽できるとは思えないけどなぁ。

 あとこのゲームのルールは所持品の管理くらいで簡単です。作者も後書きで書いているように電車内でも楽しめるでしょう。他に本書の特徴としてサイコロを使わないかわりに、独特の判定方法を採用しています。例えば、

君は男を殴り倒そうとした。成功の確率は5分の2。
──→92へ
──→205へ
──→34へ
──→150へ
──→138へ

という感じで、何も書いていない選択肢でパラグラフが分岐しているのです。この例だと、2つと選択肢の先がすぐに合流して男を殴り倒すのに成功したパラグラフに移動するのです。もちろん残り3つもすぐに合流して、失敗した展開のパラグラフに進みます。
 わかりやすいシステムですが、おかげでパラグラフ数がすんごく水増しされています。本書の総パラグラフ数は297ですが、実質的には200くらいの内容でしょう。
 トンデモ系の設定が気にならなければ、あとはきわめて普通の作品。難易度は低く、割と簡単に読み終わると思います。読んでみるかどうかは、お好みでどうぞ。


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