冒険記録日誌
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2004年07月31日(土) ソフトクリームの道(奥谷道草/白夜書房)

 パズル雑誌クロスワードランドの2004年9月号に載っているはみ出しゲームです。
 今月号は、愛しい彼氏(彼女)のためにソフトクリームを買ってくるというもの。
 大きな公園の中をアイスクリーム片手に、彼氏(彼女)の待っているベンチまで目指すわけですが、なぜか大勢の人達でごった返してしるので、必ずしもまっすぐに進めません。かくして迷路のようになった人ごみの中をウロウロすることになるわけです。
 公園にいる人達は誰もがTシャツ姿で、迷路のちょっとした目印になっています。Tシャツの柄は、トラのイラストだったり、矢印のイラストだったり、中世の剣のようなイラストのTシャツだったり、あげくには14という数字のデザインがついたTシャツ(ん?)まであって、なかなか華やかです。

 ちなみにこのゲームは時間制限つきです。11パラグラフを経過する前に、彼氏(彼女)の元に戻らないと、アイスクリームが溶けてしまうのです。一度移動するたびに10歩移動するらしいので、立ち止まらなくても110歩だけ歩くとアイスが溶ける計算ですな。始めから溶けかかっているんじゃないの?とつっこみたくなります。
 とにかくアイスが消えちゃったら、スタート地点のアイスクリーム屋まで戻って、買いなおさなくてはなりません。3回アイスが溶けたらゲームオーバーです。
 パラグラフを消費しなくても人と話している間にも溶けちゃうし、おまけに迷子の子供をつれて歩く羽目になるわと、大変です。

 しかし、一番大変というか問題なのは・・・・・・パラグラフ61。
 ここでいきなり主人公は500歩も歩いてしまうのです。絶対アイスが溶けちゃうじゃないかよ!
 と一瞬だけ思ったのですが、よくみるとなんと、パラグラフ61は先月号のはみ出しゲーム「ダイエット・クラブ」のと同じ文章だったのです。明らかに誤植です。
 おいおいおいおいおいおいおい。選択の移動先が間違っているようなバグなら読者側で捜して訂正することもできるけど、パラグラフが消えていちゃ、ちゃんと遊べないじゃないですか。せっかく面白そうな作品なのに駄目ですよぉ、クロスワードランドの編集部さん。
 まだクリアしていませんので、次号でちゃんと修正情報をのせてくださいね。


2004年07月30日(金) ルパン三世TVスペシャル 盗まれたルパン〜コピーキャットは真夏の蝶〜

 フランス、バスチーユでトラックに積まれたブルボン王朝の財宝が盗まれた。ルパンの仕業に違いないと、意気揚々とトラックを追いかける銭形。が、犯人は見覚えの無い女だった。そこへ真打のルパン登場。トラックごとまんまと財宝を奪い返すが、何者かによって連れ去られてしまう。
 ルパンを連れ去ったのはマルコヴィッチという男。いつの間にか人質に捕った不二子をダシに世界最高の宝石「ブルズ・アイ」を盗んで来いと言う。
 ブルズ・アイを奪うべく、世界一の警備を誇るグラン・バトー博物館に侵入するルパンたち。全てはここから始まった!
 女泥棒ベッキー、悪党マルコヴィッチ、そしてルパン。ブルズ・アイの争奪戦から次第に明らかになるそれぞれの秘密、野望、人間関係。フランスを舞台に繰り広げられるシリーズ最高のスペクタクルロマン!今年もルパンから目が離せない!!(番組宣伝HPの紹介文より)


ルパンらしさ:★★★★★★★★★★

 金曜ロードショーで放映されたルパン三世TVスペシャル。
 次元と五右衛門の見せ場もそれぞれ用意されているし、ストーリーもなかなか面白かったかな。展開がわかりやすすぎて、先が読めてしまう気もしたけど。
 不二子ちゃんは相変わらず裏切ってくれるし、定番といえるシーンも多かったので満足した。
 余談だけど、ストーリー後半でルパンコレクションの話題になったとき、ルパンゲームブックファンは、真っ先に“悪党どもの黙示録”に登場したルパン美術館を連想したはずだ。全国で何人がそんな連想をできたかは不明だけどね。もしかして私一人?


ゲームの完成度:★★★★

 一方向システムで、分岐も能力ポイントもアイテムチェックも一切ないので、さくさく楽しめる。難易度はかなり易しい部類だ。
 ただ自由度はかなり低い。バッドエンドもないのに、エンディングも一つだけなのはゲームとして問題だろう。
 もっともどんな人でも2時間以内にクリアすることが可能で、ゲームブックをまったく知らない人にもオススメできる作品。

(^^;


ヒロインの魅力:★★★★★★★(ベッキー)

 母親を殺した敵に対して復讐を誓う少女。強くて健気で元気だ。
 最近はこういう活発なヒロインが定番なのかな。


お気に入り度:★★★★★★★

 お約束の、不二子ちゃんのベットにパンツ一丁でダイビングするルパンが出ていたね。実はこれ、ゲームブックシリーズには全然なかったシーン。
 タコでジンマシンになるルパンとか、コンニャクが斬れずに苦戦する五右衛門などは、ゲームブックによく登場したのに。
 やっぱり、読者層を考えて出版社が制限したのかな?
 
 普通に楽しめた作品だったけど、難点をあげるとすればアニメーションが綺麗すぎてアクがないというか、そんな感じがするんだよなぁ。最近のアニメって皆そうなんだけどね。


2004年07月29日(木) ルパン三世19 戒厳令のトルネイド(富沢義彦/双葉文庫)

 俺の名は次元大介。ひょんなことからICPOによる、ルパン三世逮捕の全面作戦の情報を耳にした。コードネームは“戒厳令作戦”。世界中に一時的に戒厳令をしき、各国の警察を総動員するという、大がかりなもの らしい。とにかく、相棒のピンチは放っちゃおけねぇ。なんとかこれをルパンに知らせなきゃ。それに、やつと一緒にいれば、スリルが味わえる。 俺の真価はスリルのなかで発揮される。一瞬の判断と、反射神経のゲーム…。久しぶりに、それが始まろうとしていた。(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★★★★★

 本書の主人公は次元。次元が主人公という設定は「謀略の九龍コネクション」でもあったのだけど、どちらかというと軽いノリのあちらと違って、渋い!文章からイラストまでハードボイルトタッチで全部渋くて格好良い。タバコと銃を愛する男の悲哀が全編から伝わってきます。今回は、五右衛門はもとより不二子や銭形までやけにシリアスなのである。
 もっとも相棒役のルパンだけは相変わらずで、とぼけた言動や予測もつかない行動をとってニヤリとさせる。考えて見ると、ルパン本人はゲームブックの主人公に向いてないかも知れないなぁ。あの神出鬼没ぶりは、読者や視聴者の意表をつくところに面白さがあるのに、自分が主人公じゃネタバレしちゃうから。その点、次元はルパンメンバーの中で一番感情移入しやすい気もするな。


ゲームの完成度:★★★★★★★★

 ルールは情報や所持品のメモ書きくらいは必要という程度。物語性重視で、このシリーズでは中途半端な存在になりがちだった能力ポイントを、排除したことは良かったのじゃないだろうか。


ヒロインの魅力:★★★★★(ソーニャ)

 本書の女性キャラでは不二子が一番登場しているのだが、主人公は次元なのでちょっとヒロインとは違う。
 ここは、昔に次元を救って彼に恋心を抱いたというソーニャかな。本編ではすでに亡くなっていて、わずかに回想シーンでしか登場しないのだが、その儚さが次元の世界に相応しい。


お気に入り度:★★★★★★★★★★

 ルパンゲームブックシリーズ最後の一作。
 残念というべきか、はたまた19巻まで続いたのなら満足するべきか、迷うところではある。
 このシリーズ全体の感想として、中盤の作品は中だるみ気味だった気もするからなぁ、とか正直なところでは思ったりもするし。
 その分、最後を締めくくる本書が素晴らしい作品だったのは、嬉しいことではありますね。

追記:2008年07月14日の冒険記録日誌にて、改めてこの作品の紹介を書きました。


2004年07月28日(水) ルパン三世18 失われた絆(竹田明/双葉文庫)

 ロサンゼルスの名家で何不自由なく暮らしていた少女ナンシー。ある日舞い込んだ一通の手紙に導かれ、生まれた時に離ればなれに育てられたという双子の姉妹、キャシーに会うため、N.Y.への旅立ちを決意する。だがそれは、自らの運命を左右する巨大な陰謀のただ中への、危険な旅立ちであった。ここはN.Y.。不二子にノセられて、イヤがる次元と五右衛門を連れてきたルパン。ハーレムに散歩に出かけたルパンは、たまたまそこでキャシーとナンシーが誘拐されようとしている現場に出くわした…。(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★

 序盤から怪我でリタイヤしてしまう次元に代わり、五右衛門が準主役としてルパンの相棒役をつとめるという珍しい設定。
 それからハーレーダビッドソンで登場する不二子を見ることができるのが、らしくて良い。ゲームの最中にライダー姿の不二子が登場するのは、ゲームブックシリーズではこの作品だけじゃないかな。
 しかし、冒険の主な舞台となる怪しげな研究施設は、遺伝操作で生まれた化け物じみた実験動物や、致命的な防犯用の罠など、怪しげなものがひしめき合っている。気分はもうルパンというより、バイオハザード(byカプコン)だ。
 別に全体の雰囲気は暗くはないのだが、ゴリラの化け物に悲鳴をあげるヒロインの首がねじ切られるバッドエンディングとか、大量の胎児の浮いたプールとか、グロイシーンもいくつかあって、うげっと思った。


ゲームの完成度:★★★★★★★★

 ルパンゲームブックシリーズでは、珍しくサイコロを使用する作品となっていてランダム性がある。
 しかし、この作品のゲーム性が優れているのはそのせいではない。
 物語の途中からルパンと五右衛門は別行動をとるのだが、その間はルパン視点と五右衛門視点のパートを交互にプレイして進行していくのだ。これにより、例えばルパンのパートで警備員の注意をひきつける選択誌を選んだ場合、五右衛門パートで今まで邪魔だった警備員が去ってしまい、五右衛門が通路に侵入できるようになるなどの凝った演出ができている。
 二人用ゲームブック「王子の対決」(2002年10月21日の日記で紹介済)に多少システムが似ているが、あちらよりさらにザッピングシステムを意識した作りとなっている。ザッピングシステムとは、片方のパートの行動がもう片方に影響するという構造のことで、他のゲームブックでは味わえない楽しさがある。


ヒロインの魅力:★★★★★★★(メルダック姉妹)

 ナンシーとキャシーという、幼い頃に生き別れになった双子の姉妹。
 片方はお嬢様として、もう一人はスラム街育ちと、まったく違う環境で生活してきたという設定にもかかわらず、性格はそんなに大差ないようだ。中盤からナンシーはルパンと、キャシーは五右衛門と一緒に行動するようになる。
 2人の間には不完全ながらも、テレパシー能力があるらしい。


お気に入り度:★★★★★★★

 面白い特徴のある作品なのだけど不満点も多い。特にゲーム性重視のためか、強引なストーリー展開とやや説明調な文章が気になる。序盤のみ登場したフィル君は、エンディングで名前がウィルに変わっているし。まあ、これは間違いかな。
 他にもせっかくのザッピングシステムなのにほぼ一本道の展開なので、繰り返しプレイが面白くないのも問題。そのくせゲームバランスは難しい方なので、真面目にやるならやり直しプレイは必至なのだ。
 パート交替のたびに記入するタイムチェックの欄も煩雑なだけで不必要だと思う。そもそもパート交替のタイミングが頻繁過ぎ。わずか数パラグラフ毎に発生するので、落ち着かないことこの上ない。
 と、こんな風にいろいろ言いたい文句もあるわけだけど、何の特徴もないゲームブックよりは、こういった意欲的な作品の方が楽しいので、結構お気に入りです。

 それから作者の後書きによると本当は、黒人が白人を支配をする架空の国を舞台にした作品を書きたかったそう。しかし当時はあの“ちびくろサンボ”を黒人差別と非難する人々が、活発に発言していた時期だったのでボツにしたそうだ。主人公はなんと不二子で考えていたそうで、これはプレイしてみたかったかも。
 作者はその人達にかなり怒っているようでしたので、喧嘩覚悟で書いてみればよかったのに。ちょっと残念。


2004年07月27日(火) ルパン三世17 AF-1奪回指令(南一彦/双葉文庫)

 アジトで「峰不二子攻略ゲーム」の制作に熱中していた俺は、TVを覗いてびっくりしちまった。 「ルパァーン!私に結婚して欲しくなければ、ペンタゴンに行って!」その直後、俺たちは軍用ヘリや軍事衛星に追いまくられ、ペンタゴン=米国国防総省まで連行された。そこで大統領特別補佐官にこう頼まれた。 米空軍の誇る大統領専用機がテロリストに強奪されたから、君たちの腕で奪回してきて欲しい。 こりゃあ、とんでもねーことになったぜ。 (本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★★

 5人のテロリスト達の手に落ちたAF-1(米大統領専用飛行機)を、高度何千メートルの大空の上で取り戻すという米軍特殊部隊のような真似をするストーリー。幸い大統領は搭乗していないそうですが、AF-1には核兵器発射装置が発射できるコンピュータが搭載してあるという、大統領が偉いのかAF-1が偉いのかわからない設定となっています。
 それにしても不二子の手引きとはいえ、いつのまにか世界を救う英雄に仕立て上げられてルパンもいい迷惑です。しかも報酬の一千万ドルの小切手も不二子が受け取っているし。
 それはそれとして、飛行中のAF-1に潜入するという出だしは、導入部としては素晴らしいです。ステルス機にのってAF-1に接近しつつ、五右衛門の斬鉄剣で入り口を斬り開いて潜入する展開といい、最初の選択肢からハリウッド映画のようで、期待させてくれます。そのあとはいろんな意味でB級映画っぽくなるけど、面白いのでまあいいや。


ゲームの完成度:★★★★★

 ゲームの大半がテロリスト達との戦闘シーン。テロリストメンバーが近づいたり戦闘が続いたりすると、「次は誰が対処する?」と、そのたびにルパン、次元、五右衛門の3人の中から選択するのが戦闘の基本。もっとも大半は誰を選んでも結果が大差ないので、ここは趣味で選んでいいみたいです。逆に部屋の移動など、戦闘以外の選択肢の方が重要で、片方はバットエンドが確定する厳しい二択が多いです。
 3人はそれぞれに体力ポイントが設定されているのですが、ほとんど体力を回復する機会がなく、ポイントが低いと苦戦して、ますます体力が減るという悪循環方式です。難しそうですが、はっきりいって最初の選択肢で体力を消耗さえしなければ、そのまま最後まで戦闘は楽勝です。ゲームバランスの計算を間違っているんじゃないの?と思うほどに。
 ほかにAF-1の機体にもダメージポイントがカウントされていて、戦闘などで無計画に重火器を使いすぎると墜落してしまうというルールは面白いかも。
 

ヒロインの魅力:★★★★★(峰不二子)

 ネタバレになるので書けないけど、最終的に世界を救った功績者は彼女のようなので。(汗)


お気に入り度:★★★★★★★

 映画っぽいのは好みなのだけど、星7つは我ながら甘いかな。
 せっかくAF-1を舞台にするのに大統領が登場しないのは物足りない。単純に大統領を救いだすストーリーにした方がよかった気もする。もっともそれじゃあ、目立ちすぎて裏家業には戻れなくなるかもしれないけど。
 ゲーム性とかをもうちょっといじれば、もっと良い作品になった気がするのに残念。


2004年07月26日(月) ルパン三世16 暁の第三帝国(添田寛明・竹田明/双葉文庫)

 フランスの片田舎の隠れ家での〜んびり休暇を楽しんでいた俺たちの元に、1通の手紙が届いた。 ルパン2世・つまり俺の親父と組んで仕事をしていた贋作師デンホルムが差出人だ。何者かに命を狙われているから俺に助けて欲しいという内容だが…、まあ、親父の友人を見捨てるわけにゃあいかねえよな。デンホルムじいさんを訪ねてベニスに到着した俺たちを持っていたのは、じいさんの命を盾にした脅迫電話だった。じいさんをダシにしてまで俺にさせたい仕事とは…? (本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★

 次元と五右衛門が、常時ルパンと一緒に行動している割には、あまり存在感がない気がするな。重要人物のはずの贋作師のデンホルム爺さんも存在感がない。
 それから今回の獲物はヒトラーの魂が乗り移っているというオカルトな王冠。もっともルパンにとっては関心もないのに陰謀のコマとして巻き込まれた挙句、命まで狙われてひたすら災難な事件だったみたいだ。


ゲームの完成度:★★★★★★

 ゲームとしては普通。あえていえば重要人物の“少佐”とのつき合い方がクリアの鍵かも。
 彼と対等な立場で交渉できないと、後はどう選択しようがバットエンド確定の袋小路に迷い込む。

 
ヒロインの魅力:(該当者なし)

 不二子ちゃんもほんのチョイ役だし、他の登場人物も爺さんや特殊部隊のおっさんばかりで寂しいかぎり。
 とにかく女性キャラが不毛の巻で、ルパンが口説いていた酒場の娘くらいしか思い出せない。


お気に入り度:★★★★★

 この巻のカバーイラストは、暗闇の中でルパンがタバコに火をつける絵で格好良いのだが、本文イラストの方が荒い白黒の線画で、見た目にしょぼい気がする。特にエンディングで描かれていた、ヒトラーの王冠のイラストはいただけない。文中では「王冠といっても、キックボクサーが頭につけるようなシンプルな銅の輪」と表現しているのに、イラストではタイムボカンのどくろべえみたいな髑髏が王冠の飾りについていて脱力した。
 肝心な本文の方も登場人物の描写が淡白なので、魅力が薄く感じてしまう。


2004年07月25日(日) ルパン三世15 戦慄のサブウェイ(草野直樹/双葉文庫)

 「あのルパン三世に隠し子!?」ぬわにいっ!!いつ俺が子供なんか作ったんだよう。こんなデタラメな記事を載せやがって…。不二子は怒るし、次元と五右衛門まで白い目で見やがる。こうなったら、俺の子と名乗り出た娘に会って真相を…。―ところがだ。やっと見つけたその娘“美幸”は俺の目の前で何者かにさらわれちまった。どうやら、否応なしに、とんでもない陰謀に巻き込まれちまったようだぜ。 それもこの東京の地下に眠る何者かがからんでるらしいのだが…。(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★

 実在する東京の地下鉄網が主な冒険の舞台となっている作品で、世界中を股にかけるルパン三世にしては妙に庶民的な感覚がする。
 他にルパンが靖国神社に立ち寄るシーンで、戦争を仕掛けた人間達を祭っていてあまり好きではないと言うコメントがあったが、ルパンのセリフとしてはどうだろう?それが正しいかどうかは別として話題が世界観にそぐわない気が。


ゲームの完成度:★★★★★

 ゲームのメインと思われる、地下鉄を舞台にしたフォックスハンティングゲーム(地下鉄の路線図と仲間からの情報を参考に、移動中の犯人を追い詰めていく推理ゲーム)では、ついズルをしてしまった。というのも、まともに挑戦しなくても、「今が何時〜何時の間なら・・・○○へ」という選択肢などを見ていると、いつ犯人がこの駅を通過するのか、答えが簡単にわかってしまうという致命的な欠点があるからだ。
 しかしそんなことがあっても、本作品はクリアするまでに苦戦した。
 その理由は、最後の最後でクリアするのに必要な条件やアイテムが次々と出てくるから。序盤に選択ミスをするとそのあと順調に進めていても、実はバッドエンド確定済ということが案外と多くて嫌になる。特に達也という少年が仲間にならないと後で困るのだが、どうすれば仲間に出来るかわからなくて、かなり苦労した。


ヒロインの魅力:★★★★★(美幸)

 なにやら複雑な事情のある家庭で育ったらしい娘。物語の最重要人物には間違いないが、その割に登場回数が少ないので、どんな娘なのか最後までよくわからなかった気もする。


お気に入り度:★★★★★

 良くも悪くもこの作品の一番の売りは、ゲーム中盤で始まるフォックスハンティングゲームだろう。だけど、ストーリー的には無理矢理このゲームをつけ加えたような印象がするのは難点だと思う。もっと盛り上げる展開の工夫が欲しかったな。


2004年07月24日(土) ルパン三世14 悪党どもの黙示録(滝沢一穂/双葉文庫)

 ビィーン!警報ベルが鳴った。誰かが忍び込みやがった!―ここは『ルパン美術館』、ルパン家三代にわたるコレクションがぎっしり詰まっている場所だ。地下にあるこいつは、あまりの馬鹿デカさに迷路みたいになっていて、俺も全部は分らねェぐらいだ。館内へ降りた俺が見つけたのはスゴイ美女の死体と十字架一つ。しかも、まだ館内に潜んでるヤローはいつも俺の先回りしてやがる!ルパンVSバブーン、ルパン家の秘宝を巡る世紀の対決。(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★★

 ストーリー的に、大きく二部構成に分かれている作品だが、前半は双方向システムで作られた、広い自分の宝物庫内を探索しながら泥棒を探し出す内容になっている。
 しかし宝物庫内は、ルパン本人やその先祖様が泥棒よけに仕掛けた罠で盛りだくさんで、油断すると自分まで引っかかってしまう。こんな理由でゲームオーバーというのは、ルパンとしてはあまりにも情けないぞ。
 そして後半からは一方向システムになり、お宝を持って野外に逃げ出した怪盗バブーンを追って、海へ、街へとひたすら追いかけることになる。
 前半パートとは対照的に、飛行機にのって追いかけたかと思うと、船に飛び乗ったり、警察に捕まったり、修道院まで拉致されたり、ロッククライミングをしたり、屋敷に突入したり、怪しい儀式に参加したり・・・・・・と、目まぐるしい展開に頭がクラクラしてくる。まるで一昔前(発売当時)のジェットコースタードラマみたいだ。


ゲームの完成度:★★★★★★

 後半パートは標準的なルパンゲームブックとそんなに大差ないが、前半パートは、タイムポイントが加算されていく(一定ポイントを超えるとクリア不可能になる)システムなので、何度かゲームオーバーを経験しながら予めチェックポイントを把握しておかないと、クリアするのは難しいと思う。


ヒロインの魅力:★★★★(ヨアンナ)

 キリスト教を邪教と呼ぶ教団と対立しているデュ・リス騎士団の長で、後半パートから登場する。
 かなり美人なシスターだが、彼女達の宗派にしてもオカルトじみているので、あまりお付き合いしたくないタイプかも。信仰って怖い。


お気に入り度:★★★★★★

 宝物庫内は今までのテレビシリーズや他のルパンゲームブックで盗んだ宝物達が展示されているので思わずニヤリ。時間制限の関係でおちおち見物する暇はないのだが、最初はゲームオーバーを覚悟で、ゆっくり見て回るのもいいかな。


2004年07月23日(金) ルパン三世13 黒い薔薇のノスフェラトゥ(樋口明雄/双葉文庫)

 俺たちの前に現われたのは、謎の美少女ミシェルに、同じ敵を追っているらしい ARMSの連中。手がかりの黒い薔薇の意味するものはなにか?そして、鍵を握る吸血鬼伝説の謎 とは…。(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★★★

 今回の敵は不死の吸血鬼という噂のグランローゼン伯爵。こいつには銃弾も効かないし、十字架やニンニクもさほど有効ではないらしい。
 奴が本物の化け物なのか、それとも単なる伯爵のトリックかを考えることが、読者にとっての面白さかも。
 他にはスピードが遅くなると爆発するという、どこかの映画みたいな設定の列車のシーンが好き。爆弾処理の作業だけでなく、グランローゼン伯爵の部下の襲撃やARMSの連中が絡み合って、物語中盤を盛り上げる。逃げおくれて慌てふためく銭形警部がいきなり登場して、締めくくってくれるオチもナイスだ。


ゲームの完成度:★★★★★★★

 ルールは、行動ポイントという数値とアイテムの管理のみだったので、メモをとらずに遊ぶことができた。
 基本的になるべく行動ポイントを減らさずに、いくつかの選択肢さえ間違わなければクリアできると思う。ゲームバランスは悪くない。
 もっとも最初はどの選択誌を選んでも、惨殺されるバッドエンドばかりで挫折していたのだが、時間をおいて再プレイしてみると今度はするするとクリアできた。どうやら序盤で、あとはどう選んでも袋小路の展開になる選択肢を選んでいたらしい。


ヒロインの魅力:★★★★★★(ミシェル)

 どうやらグランローゼン伯爵の娘らしいが、黒い服の似合う謎の美少女。
 イラストも可愛くてどことなく儚い雰囲気が良いのだが、出番が少なく最後まで彼女とゆっくり会話をする機会がなかったのは残念。
 エンディングでの彼女の扱いが、どちらかというと悲劇的でモヤモヤが残った。


お気に入り度:★★★★★★

 しかし、そもそもなんでグランローゼン伯爵はルパンに喧嘩を売ってきたのか。ミシェルの為とはいえ、動機付けが弱い気がするなぁ。不二子の影響も大きかったのかしらん。
 それからアイテムは、最初にリストの中から10個を選択するようになっているが、“ワルサーP38”は必ず選んでおきたい。選ばなくてもクリア不能ではないと思うが、使用頻度が多いし何よりルパンらしさがアップするのでお勧め。
 他にリストにある“西村知美のブロマイド”や“サンスターのスパイ手帳”は、趣味で選んでもいいけど趣味のまま出番なく終わる謎のアイテムで樋口明雄らしいギャグだ。


2004年07月22日(木) ルパン三世12 九龍クライシス(塩田信之/双葉文庫)

 2年前、ルパン一家を振り回したリズが日本にやってきた。だが、もちまえの好奇心が災いし、またまた迷子に。そんな彼女につかまってしまったのは、コンピュータ・マニアの少年タカシ。リズの前でハッキングの実演をする彼のコンピュータ画面に突然映し出された謎の人物は、『私、マック。助けて欲しい』と告げると、画面から消えた。2人は何とか助け出そうと行動を開始する。一方、リズを捜す次元と五右衛門は彼女の足取りを追う。そして謀略の影が浮かび上がり、舞台は再びリトルアイランドに…。(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★

 “謀略の九龍コネクション”から2年後のお話しで、今回は五右衛門のみが主人公。(序盤だけリズの友達のタカシ君の視点になる)
 “謀略の九龍コネクション”でも違和感を感じていたが、文章が子供向けすぎる気が。特に「おしりペンペーン!」と叫ぶ五右衛門や、子供の名前を“君”づけで呼ぶ次元を見ていると、こんなのルパンじゃねぇ!と言いたくなる。


ゲームの完成度:★★★★★★

 能力値の設定はなく、フラグのチェック欄に指示どおりに記入するのみなので遊びやすい。
 しかし、チェック欄が90箇所近くもあるのでちゃんとメモをとらないと遊ぶのは無理。本当にそんなにものチェックが必要だったのか疑問。


ヒロインの魅力:★★★★★★★(リズ)

 十二歳になった彼女。前作に比べるとやや大人しくなっているが、得意の“お願い攻撃”で何人もの男が悲惨な目にあうのは相変わらず。この調子で育つと恐ろしい女になりそうだ。


お気に入り度:★★★★

 うーん。重要人物の“マック”の存在にも無理があるし、なにか納得できない出来だぞ。
 ネタバレになるが敵の陰謀の正体は、先進国で処理に困った核廃棄物を、リトルアイランドを隠れ蓑にして、南アフリカに無断投棄してしまうというものなのだが、「これでアパルトヘイトの問題も解決させようと彼らは考えている」とはどうなのよ。放射能汚染で南アフリカの住民が死滅するからということ?そんな乱暴な計画がありえるのか?などと、つっこみたくなる箇所が無数にあるのだけど。

 もっともルパンゲームブックでは唯一の続編物なので、当時はそれなりに人気があったのかもしれないな。
 作者の塩田さんも、ファンレターが沢山届いたとか、ウォーロックの人気ゲームブック作家ランキング11位に入ったとか、あとがきに喜んで書いているし。余りパラグラフも使って、塩田さん唯一のオリジナルゲームブック「週末の惑星」をやたらPRしているし、なにか作者のハイテンションが伝わってくる感じです。
 確かに「週末の惑星」は、私も双葉で一、ニを争う名作だと思っていますし、塩田さんは好きなゲームブック作家の一人なのですが・・・・・・塩田さんの書くルパン作品は・・・・・・私のもつルパンのイメージとかなり違うみたいです。


2004年07月21日(水) ルパン三世11 華麗なる挑戦(前田達彦・渡部功一/双葉文庫)

 美しき水の都マンチス。だが観光気分で来たわけじゃない。阻う獲物は俺の爺っちゃま、ルパン一世の恋の形見、ヴィーナス像だ。しかし、この彫刻、ただのお宝じゃあなかった。突然現われた小生意気な若僧に俺の計画はみーんな見抜かれていやがった。「ホームズ家の名誉にかけて、ヴィーナス像は渡さない!」なんと、そいつはかの名探偵、ホームズの孫だったんだ!畜生、作戦の立て直しだ。次元や五右衛門も探さなきゃなんねェ。さあ、名探偵対大泥棒の大勝負が始まるぜ!(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★★★★

 ビック・パイソンと呼ばれる輸送車から、ヴィーナス像を盗み出すのが今回の目的。それを阻止するのはあのシャーロックホームズの孫、ホームズ三世!
(って、シャーロックホームズは生涯独身じゃなかったっけ。まあ、細かい事は言いっこなしか)
 ヴィーナス像にまつわる逸話や、登場人物達もいい雰囲気でかなりお気に入り。イラストといい、文章といい、宮崎アニメ版ルパンのような雰囲気なので、殺伐とした殺害シーンもなし。こうゆうのもいいなぁ。
 

ゲームの完成度:★★★★★★★★

 ビック・パイソンを襲う計画は何種類もあるので、どうしたら成功するか情報とにらめっこしながら、ちょっとした推理も必要。ゲームとしても十分に楽しめる出来栄えで自由度は高い。ただし、エンディングまでいく条件は結構シビアだったりする。


ヒロインの魅力:★★★★★★★★★(シャーリー)

 小説家希望の17歳。素直な性格とイラストのせいか、「カリオストロの城」に登場するクラリス嬢を思い出すような少女。・・・・・・だと思ったら、これがなかなかの食わせ者。
 ルパンゲームブックシリーズ中では、一、ニを争うヒロインだと思う。


お気に入り度:★★★★★★★★

 ゲームを始めて見ると、前半は街を散策しながら、情報を集め、強奪計画を立て、船やレンタカーやら必要な道具を揃え、資金が不足したら銀行に忍び込んで、などと入念な準備行動が中心となっています。
 なんというか、いつもルパンが大胆かつ華麗にやってのける盗みも実は面倒な下準備をしていたんだなぁ、と仕事の舞台裏を見せられた気分になるかも。
 そのぶん後半の実行パートで計画どおりにことが運ぶと、とても嬉しくなる。計画どおりいかずにENDになって、イライラすることの方が多いけど。


2004年07月20日(火) ルパン三世10 密林の追撃(上原尚子/双葉文庫)

 ジャングルのど真ン中で目覚めた俺は一切の記憶を失っていた。―たったひとつ、『ルパン三世』という名をのぞいては…。革命後の混乱が続く東南アジアの小国で、生命を賭けた俺の逃避行が始まった。俺を追う革命政府軍の圧倒的な物量に比べ、俺の持っているのは旧式な米軍のアリスパック一式のみだ。追われる理由も、自分自身がこの国に潜入した目的もわからず俺は逃げ続ける。生き延びることはできるのか?記憶を取り戻す方法は?俺は本当に『ルパン三世』なのだろうか!(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★

 兵士の姿をした記憶喪失の男が主人公ということで、他のルパンシリーズとは異質な感じがする。序盤から正体のわからない敵兵に追われるサバイバルゲームは、泥臭い感じでルパンの世界らしくない。まるでベトナム戦争の傭兵を題材にしたゲームブックみたいだ。
 ただしストーリーや文章表現そのものは、謎と緊迫感があってよく出来ている。


ゲームの完成度:★★★★★★★

 ルールは体力と知力ポイントのチェック。そしてサバイバルグッズの装備状況の確認くらいで簡単。ストーリーとゲーム性がうまく馴染んでいて、ゲームバランスはそんなに悪くない。


ヒロインの魅力:★★★★★★★(モイ)

 反革命ゲリラの一員として、不遇の人生を送る少女。
 最後に戦場で生きる決意をルパンに告げるシーンには胸をうたれる。


お気に入り度:★★★★★★

 ワイヤーソー・マシェント・ウォータータブレット・マグネシウムファイアスターターなど、一般的なゲームブックには見られない専門的なサバイバルグッズが登場するけど、あとがきを読む限りではこれは作者の趣味らしい。(そういえば同じ作者の書いた“Pファイルを奪え”でも、ビルに潜入するのにサバイバルグッズを持参していたな)
 一方、記憶喪失という設定は編集者の趣味らしくて、お互いの希望をあわせて今回の作品が出来上がったようだけどね。
 ルパン三世って、本当にどんな設定にでも対応できる便利な原作だよね。


2004年07月19日(月) ルパン三世9 灼熱の監獄島(大出光貴/双葉文庫)

 今回の獲物は、〈夜の翼〉と呼ばれる古代の財宝だ。その隠し場所は、南洋に浮かんだ孤島だという。こりゃ、リゾートも楽しめるぜ、と俺は軽〜い気持ちで仕事に臨んだ。だが、そううまく話は進まない。〈夜の翼〉があるはずの所には要塞のような刑務所が建てられ、島には恐るべき敵が待ち構えていたのだ!そいつの名は、レジオン。「ルパン3世も仲間がいなければ、タダの腰抜けか」なんて抜かしやがった。もう絶対に許せねえ!あいつを出し抜いて、必ず財宝を頂くからな! (本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★★★

 ルパンは開始早々にわざと捕まって、終わりまでずっと刑務所の中が冒険の舞台となっている。仲間も終盤まではあまり登場しない。
 しかし刑務所の中とはいえ、なぜか明るい雰囲気なんだよな。ルパンも夜中になるとすき放題に刑務所の中を歩き回っているしさ。


ゲームの完成度:★★★★★★★

 ルールとしては、体力ポイントと判断力ポイント、それにアイテムの管理だけでこれも簡単。
 適当に選択誌を選んでいても中盤までは簡単に話しが進むが、必ず手詰まりになるので情報収集を怠らないような行動を選ぶ必要があり。
 取り敢えず、同じく刑務所に潜入している次元と連絡をとることが出来るかが最初の関門かな。


ヒロインの魅力:★★★★★★★★(ローラ・クラウザー)

 舞台となるホムンクルス刑務所の所長。学者肌で囚人には冷徹な性格だが、外見はセクシーな金髪美女なのである。
 彼女になら鞭で打たれたいと願う囚人や看守は多数いるらしい(←これは嘘)。
 はっきりいって彼女は、メインストーリーとは無関係な脇役キャラなのだが、パンツを盗んだり、夜中に寝室に忍び込んだりと、彼女のおかげで楽しい刑務所暮らしになったので、高得点をつけちゃうよ。


お気に入り度:★★★★★★★

 今回の獲物“夜の翼”は、珍しく財宝らしい財宝だったのに、(ネタバレ自主規制)…とはルパンも気前がいいよ。
 それにしてもなかなか姿を見せないライバルのレジオンより、女所長の方が目立っていたなぁ。


2004年07月18日(日) ルパン三世8 復讐のチャイナタウン(竹田明/双葉文庫)

 サンフランシスコ、チャイナタウン。エキゾチックな阜力あふれるこの街に建造された巨大モニュメント“ザ・タワー・オブ・ドラゴン”。そのオープニング・セレモニーに招かれたルパンは、突如暗殺者として追われるハメに。女ボスの3人の娘をはじめ、タウン全体に命を狙われる中、ルパンは反撃を開始した!事件を陰で操る黒幕は誰だ!?ルパンは汚名を晴らすことができるのか?(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★★

 舞台がサンフランシスコのチャイナタウンだということを除けば、あとは良くも悪くもオーソドックスにみえる一作。ルパンゲームブックシリーズも成熟してきたということかな。


ゲームの完成度:★★★★★★★

 能力値は体力ポイントのみ。あとはわずかなアイテム管理くらいか。
 ゲーム難易度としては普通で、つまり典型的なルパンシリーズのゲーム性。


ヒロインの魅力:★★★★★★★(ヤン家三姉妹)

 オリヴィア・ダイアナ・アグネスのヤン家三姉妹。色仕掛けからクンフーまであの手この手を使ってルパンを狙うが、根は善良な姉妹だ。


お気に入り度:★★★★★★

 展開によってはクンフーを使って虎と戦うルパンの勇姿が見られるし、インチキ臭いアメリカン忍者部隊も登場するとか、妙な見所はあるのだが、なぜか本書は印象が薄いなぁ。
 ヤン家三姉妹を食い物にしようとする敵どもに、もっとインパクトがあったら良かったのかな。
 敵の悪事を暴くクライマックスシーンは、パーティ会場で行われる。警察に邪魔されないよう、事前にルパンが“Pファイルを奪え”で作った貸しを持ち出して、銭形警部と一時休戦を結ぶ展開は面白かった。
 余談だが、本編とは無関係の余りパラグラフを使って、不二子に振り回されるルパンのミニストーリーが書かれているので、本編クリア後のお楽しみに探して見るのもいいと思う。でもどうせなら30パラグラフ程度の豪華な隠れミニゲームブックにしてほしかったな。


2004年07月17日(土) ルパン三世7 謀略の九龍コネクション(塩田信之/双葉文庫)

 お宝を求め香港へやって来たルパンそして次元。しかし、そんな次元のもとへ旧友エドから電話がはいる。エドの孫娘が誘拐されたというのだ。4年前、次元のことを髭のおじちゃんと呼び慕ってくれた小さな恋人。一方、遅れて到着した五右衛門は、街角で泣きじゃくる女の子を救う。が、その出会いの時から数々の危機が、五右衛門を少女を襲う。一体この少女は何者!?そして襲い来る敵の正体は?香港沖に浮かぶ巨大な遊園都市“リトルアイランド”を舞台に、様々な人間を巻きこみ、今、カーニバルの幕はあがる。(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★

 次元と五右衛門の2人が主人公。一冊の中に次元編と五右衛門編と別々のゲームが収録されていると思えばわかりやすいかも。
 土煙をあげながら、銭形率いる警察の大群と追いかけっこをするルパンと次元が絵的に笑える。五右衛門の方も、小さな女の子に振り回されてオドオドする姿が目立ってとってもほのぼの。
 ルパンールパンールパンールパンー♪ルッルッルッ、ルパン♪ルッルッルッ、ルパン♪と歌いたくなるほど、すごくノリの軽い話しだけど、こういうルパンもありかな。


ゲームの完成度:★★★★★★

 ルパンシリーズ中、この作品が一番簡単にクリアできる。適当に選択肢を選んでいても多分大丈夫と思うほど。
 物語は短く分岐は豊富なタイプのゲームブックで、繰り返し遊べる。同じ出来事を次元編と五右衛門編の別々の視点から眺められる構造もいい。
 

ヒロインの魅力:★★★★★★★★(リズ)

 ワガママで可愛い、十歳の女の子。
 敵もルパン達も彼女に振り回されて、こりゃ間違いなく彼女が主役だ。


お気に入り度:★★★★★★★

 オープニングから“殺戮者”という恐ろしげな人物が登場するにもかかわらず、いまいち目立っていないなぁ。とか、五右衛門があの一発芸“ガチョーン”をするのは渋いイメージが崩れていく。とか、どことなく文章自体がたどたどしいなぁ。とか思ったりもするけど、肩の力を抜いて気楽に読むぶんにはいいかな。


2004年07月16日(金) ルパン三世6 Pファイルを奪え(上原尚子・山口宏/双葉文庫)

「ルパン!盗んで欲しい物がある!!」俺―ルパン三世―に、土下座までしてそう頼んだのは、なんとあの、銭形の父っつあんだった。合衆国国防総省内のタカ派と日本政府の1部とで極秘裏に、莫大な金をつぎ込んで進められていた警官武装化計画―P計画!!俺は計画を阻止しようとする父っつあんと共に、研究開発の行なわれるナガタ・エレクトロニクスに潜入した。だがそこは最新防犯システムを装備した難攻不落の城塞だった。 (本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★

 ルパン&銭形という夢のコンビが実現する巻。(と言いつつも、アニメとかでもこのシュチェーションは時々見かけるなぁ)
 主人公はルパンで、銭型と一緒に最新鋭の警備システムに守られたビルに侵入するところから話しが始まる。警備員に気づかれないように行動するため、ダストシュートの中を通るなど、隠密行動が主体でちょっと地味目。そのうえ警報機に反応して警報が鳴ると即ゲームオーバーというのは、ルパンにしては諦めが早すぎる気がするぞ。
 ビルを脱出してからの後半部分は、一転してカーチェイスなどアクションシーンの連続でテンポが良い。


ゲームの完成度:★★★★★

 ルパンと銭型それぞれに体力ポイントのチェックがあるのだが、ゲーム中に二人が別行動をとることもなかったので、一つにまとめても良かったような気もする。最初にポイントを割り振るときには、バランスよく初期値を設定しないと、まずクリア不可能。
 間違えると即バットエンドという選択肢が多いのに、判断するヒントが少ないのにはイライラ。もっとも、たまに銭形が助言をしてくれるのだが、大抵は反対の行動を選んだ方がうまく行くのでちょっと笑える。これが唯一の攻略法かな?


ヒロインの魅力:(該当者なし)

 女性キャラは、チョイ役で不二子が登場するくらい。全体にルパンと銭形のとっつぁんしか目立っていないからなぁ。


お気に入り度:★★★★★★

 銭形は好きなキャラなので期待していたのだが、ゲーム中は大人しくルパンについて来るだけだった。銭形の見せ場がないわけではないけど、活躍シーンが少なくて寂しい限り。
 そういう不満点さえ気にしなければ、普通に遊べる作品。


2004年07月15日(木) ルパン三世5 暗黒のピラミッド(塩田信之/双葉文庫)

 今回、俺―ルパン三世―は、不二子からの情報で、急遽、中近東に飛ぶことになった。不二子の話によると、パキスタンの遺跡で、すげェ宝物が発見されたっていうじゃないか。それも、なんだか重大な秘密が隠されているらしい。どうやら、俺たち以外にも、このお宝に目をつけている連中がいるようだな…。うさんくさい奴らが、ウロウロしてやがる。はたして、どんな代物なのか、興味はつきないぜ―。(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★
 本書の主人公はいつものようにルパンかと思いきや、オリジナルキャラクターであるパソコン好きの少年ジェイク君。初めはルパンと対立して、知恵比べをするかと思ったが、途中から仲間になって一緒に秘宝を捜すようになります。
 ただ、もともとのルパンの行動パターンが奇想天外とはいえ、あまりにもルパンの理解不能な行動が目立つので不可解な気持ちになるかも。
 ネタバレ防止のために書かないが、特にラストでルパンが無意味なことをして、主人公達がピンチに陥るシーンは唖然とする。


ゲームの完成度:★★★★

 能力ポイントは一切なし。冒険の舞台の大半は、古代遺跡の石造りのダンションで作られた迷路でマッピングは必須かも。
 もっともこの迷路が謎解きなども特に無い、本当にシンプルな迷路である。例えば、

295
またT字路だ。南北に道が伸び、そこから東へもう一本、道がある。
北へ進む……315へ。
東へ進む……320へ。
南へ進む……355へ。

というように、文章表現まですごくシンプル。その迷宮を延々と彷徨うのがゲームの基本なのだが・・・・・・面白くないです。


ヒロインの魅力:★★★★★★(フィリス)

 ジェイク君の友達の少女。頭がよく素直な性格ということで、好感のもてるキャラクター。イラストもなかなか良い。


お気に入り度:★★★★

 まるで、ネバーランドシリーズ(創元推理文庫)の第二部だけを読んでいるような作品。
 悪夢かもしれん。


2004年07月14日(水) ルパン三世4 黄金のデッド・チェイス(樋口明雄/双葉文庫)

 俺の名は、ルパン三世。世界にその名を知られた大泥棒だ。今回、俺はある情報を入手した。それは、陰陽師の末裔・綾辺一族に伝わる秘宝の鏡“青龍鏡”のことだ。それもただの鏡じゃない。なんとこれが、黄金の鏡なんだ! 綾辺邸では、その金の塊をめぐって、警官、公安エージェント、私立探偵、そして銭形までも巻き込んでの争奪戦が展開されようとしている。 さ〜て、この俺サマはどんな役を演じてやろうか…。謎を追い、鏡を追って、新たなゲームの幕明けだ―。(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★

 本書は二部構成となっていて、前半はダグラス・スタウトという私立探偵を主人公にしたシティアドベンチャー、後半はルパン三世となって迷宮(といっても双方向システムではない)を捜索する内容となっています。 
 主人公の設定や“青龍鏡”の伝承のせいか、少々暗めのトーンでルパンらしさも感じないのだが、ストーリーが悪いというわけではないので悪しからず。
 脇役として一瞬しか登場しないものの、前半の山場を盛り上げてくれる五右衛門が妙に印象的。


ゲームの完成度:★★★★★★★

 体力ポイント・知力ポイントの2種類の能力値。他は装備品リストのチェックくらいでルールはシンプル。凝ったゲーム性ではなくても、前半はストーリー重視、後半は罠をくぐり抜けて迷宮を進むインディジョーンズ感覚で十分に楽しめる。


ヒロインの魅力:★★★★★(綾辺真紀子)

 陰陽師一族の末裔として、なにやら重い宿命を宿している20歳の女性。
 知的美人で性格も良いが、その面影は憂いに満ちている。


お気に入り度:★★★★★★

 ターミネーターのように、銃で撃っても炎で燃やしても、追いかけてくる不死身の殺し屋がいるのだが、前半で盛り上げた割に最後はあっさりを消えてしまって肩透かし。なんで不死身なのかその説明もなかったし、不思議な奴だったな。
 それから今回の獲物である秘宝「青龍鏡」は、世界を滅ぼす力がこめられているという、いささかオカルトじみた宝物。後半で使命に失敗すると「青龍鏡」の力が解放されて世界が滅びてしまうわけだが、その描写が書かれていない。どうやって世界が滅亡してしまうのか知りたかった気もする。


2004年07月13日(火) ルパン三世3 青の女王強奪作戦(JFハイブリッジ・野上礼二/双葉文庫)

 南の島でくつろぐルパン一家。しかし休息も束の間、更なる危機が彼らに迫りつつあった。突如出現した4万トンクラスの大型貨客船。その古びた船体からは想像もつかない驚異的な巡航速度を持ち、ルパンたちの 眼前をよぎる。その船上に不思議な女…。その時彼らの運命は決定された。不二子の残したメッセージ、“青の女王”洋上貨客船。不二子に劣らぬ魅力を持つ謎の女。今、多くの謎を解き明かすべく、ルパンたちの新たな冒険行が始まる。(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★★★★★

 2巻とは対照的に明るく開放的な南の島が舞台で、青の女王と呼ばれる4つのダイヤモンドが今回の獲物。
 五右衛門こそ登場しないが、ルパンと次元のコンビぶりもよく出ているし、終盤で大型船の中を、戦車に乗って壁をぶち抜きながら暴れまわるシーンが、漫画っぽくていい感じです。
 なによりワルター爺さんがサイコー!時代錯誤で頑固で無茶苦茶だけど憎めないという敵だが、ルパン三世の世界なら見かけるよなぁ。こういう奴。


ゲームの完成度:★★★★★★

 能力値は、知力・体力・武力の3種類で、装備リストの管理をするようになっている。ゲームバランスや煩雑さなどは普通かな。
 ついでにいうと、ルパンシリーズのルールは各巻バラバラだが、共通の特徴としてサイコロを使わないことと、ゲーム性よりストーリー志向が強いことがあげられる。
 

ヒロインの魅力:★★★★★★★★★★(峰不二子)

 ゲーム中は、ルパンへの復讐に燃えるクラリッサという謎の美女が目立っているようですけど、最後にヒロインはやっぱり不二子だと痛感。とにかく不二子ファンなら必見の巻。


お気に入り度:★★★★★★★★★

 二重三重に仕掛けられた物語の設定が、読者を楽しませてくれる作品。
 余談だが登場人物の一人であるクラリッサは、第一巻に登場したラインハルトと縁のあるキャラクター。オープニングでは第ニ巻の冒険に少し触れているなど、各巻の作者が違っているにも関わらず設定は繋がっているらしい。
 ルパンゲームブックシリーズは、3巻以降の作品でもこういうのは時々見かけるけど、きっと各作者の遊び心だろうと思うな。


2004年07月12日(月) ルパン三世2 ダークシティの戦い(飯野文彦/双葉文庫)

 銭形が重態?しかも俺の銃弾に倒れ!?新聞を持つ指は怒りに震えた。俺の名をカタる卑劣なニセ者がいる…。 正体を暴くべく、俺達はさっそく行動を開始した。しかし、調べれば調べるほど深まる謎。全ての事実が、この世に俺がもう1人いることを示すのだ。まて…、前にもこんなことがあった。コピー人間を生み出した男、ビッグMの事件だ。そして事態は急展開する。俺の元に俺自身からの挑戦状が舞い込んだのだ。それは俺を、黄泉の国へと誘う、迷宮の罠だった…。(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★★★

 ルパンゲームブックシリーズ唯一、ルパンアニメと関連したストーリー(だと思う)。
 元ネタは小さい時に見たっきりでうろ覚えなんだけど「ルパン対人造人間」で、その後日談になるのだろう。あの暗くて重苦しい雰囲気が同じだ。
 ある意味正しいルパンの世界ではある。


ゲームの完成度:★★★★★★

 能力値は行動力ポイントと攻撃力ポイントの2つ。
 ゲーム難易度としては普通だけど、敵は姿形がそっくりな偽ルパン一家(クローン人間)だけあって、仲間が偽者か本物かなど、選択誌には迷うだろう。


ヒロインの魅力:★★★★(にせ不二子)

 峰不二子のクローン人間。ルパンの身代わりになって銃弾に倒れ息をひきとるが、最後の言葉が胸をうつ。

「私……は、欠陥ク…ローンなの。クローンは…か…感情を持っちゃいけないのよ。私が、本物だっ……たら、私の事……あ……愛して…くれて」

 にせ不二子は確かに欠陥クローンらしい。性格も本物そっくりだったら、こんな可愛いことを言うどころか、ヘタをするとルパンを見殺しにしているところだよ。


お気に入り度:★★★★

 ううっ、クローン人間とはいえ、次元や自分(ルパン)自身なんかと戦いたくないなぁ。勝ったら勝ったで、断末魔の叫びをあげて死ぬ敵の姿に、これまた嫌な気分になる。
 こういう救いようもなく暗い作品って、ちょっと苦手なんだよね。映画でも「ルパン対人造人間」は、小さい頃見ていて怖くなったトラウマがあるし。でも逆に「カリオストロの城」のようなルパン映画を、邪道と考えるファンにはいい作品かも。


2004年07月11日(日) ルパン三世1 さらば愛しきハリウッド(吉岡 平/双葉文庫)

 俺の名はルパン三世。世界をまたにかける国際的大泥棒だ。さて、今回の俺の獲物は、一巻の古〜い映画フィルム。そう五十年も前に撮影されたっていう代物だ。このフィルム、特に有名な監督や俳優がかかわったもんじゃない。価値だけを考えればわざわざ俺が、アメリカくんだりへ足を運ぶほどの値打ちなんかありゃしない。だが俺は、どうしてもこのフィルムが欲しかった。たとえ100カラットのダイヤと交換してもだ。俺と次元は、ハリウッドへ向かった。(本書カバーより)


ルパンらしさ:★★★★★★★★★★

 すでに2002年05月30日付けの日記にこの作品の感想を書いているけど、とにかくルパンではお約束と思われるシュチェーションが満載で、ファンならニヤリとするはず。最初のルパンゲームブックだから、ルパンの雰囲気を出すように意識して作られたのだろうか。


ゲームの完成度:★★★★★★

 体力・武器・情報と管理するポイントが3つあるけど、あんまり必要性を感じなかったな。ルールを省いて、単なる分岐小説のようにしても良かった気もする。


ヒロインの魅力:★★★★★★(峰不二子)

 お約束のようにルパンを裏切ってくれる不二子ちゃん。エンディングでも、したたかぶりを発揮してくれてます。
 不二子監督、ルパン出演の映画「ザ・リベンジ・オブ・ニンジャ」は結局ヒットしたのでしょうかねぇ。


お気に入り度:★★★★★★★

 正直なところ問題のフィルムを盗み出すまでのゲーム中盤は、中だるみ気味に思えた。古フィルムにまつわる逸話など、ドラマっぽさを意識したストーリーそのものは面白いのだけどね。今回の獲物についての情報を、ルパンは知っているのに主人公と一心同体のはずの読者が知らないので、目的意識に欠ける感じが否めない。
 あと展開によっては、次期大統領候補をルパンが暗殺することもあるけど、私怨のために、そんな世界が混乱するような大それたことをしていいのか?せめて敵はマフィアのボスか、大会社の社長くらいの設定にしておけばよかったのに。


2004年07月10日(土) やっぱり双葉ゲームブックが好き

 ファミコン版「少年魔術師インディ」の企画がぽしゃったのは、時代が悪かったと思う。
 もしTVゲーム業界のスーパーファミコンへの移行時期がもっと遅ければ、そしてゲームブックブームがもう少し続いていれば、製品の販売まで実現した可能性はきっと高かった。
 例えそのソフトの出来が悪かったとしても、TRPGと関わりの深いファイティングファンタジーシリーズや、ゲームブックとしての完成度を突き詰めた創元推理文庫とはまた違う路線、TVゲーム業界と共生してゲームブックファンを増やしてきたという、双葉ゲームブックの功績の一つの記念碑になったのに・・・・・・と残念に思っているのである。

 双葉はゲームブック衰退の原因という説もあるけど、それが正しいのかは不明。私は逆にゲームブックブームの象徴であり一つの立役者でもあると思っているのだが。
 TVゲーム業界と共生という路線は、勁文社などを初めとする他の出版社にもあったとは思うのだが、双葉社の場合は他にも実際に試みが成功したかどうかはともかくとして、少女向けのペパーミントシリーズから、成人向け?のセクシーシリーズまで幅広いジャンルに挑戦してきた。さらには電話を利用したイベント(今ならネットワーク型ゲーム?)やオリジナルゲームブックのCD化の発売などのイベントも打ち出して、新規ユーザーの取り込みに常に積極的だった姿勢はもっと評価されてもいいだろう。

 まあ、そういう私もゲームブックブーム後期は、創元推理文庫のゲームブックシリーズしか読んでいなかったので、あまり大口は叩けないのが本音である。
 そんなわけでお詫びの気持ちも込めて、双葉ゲームブックはなるべく色眼鏡をかけずに良作(意外に多いのだ)は良作として、「駄目だこりゃ」な作品(これも確かに多い…)は心でつっこみを入れながら、アホだけど面白い作品(映画「少林サッカー」みたいな感じ)はゲラゲラ笑いながら読んでいきたいと思っております。

 というわけで、次回からは双葉の多様性の一つである「ルパン三世シリーズ」のゲームブック特集とまいります。


2004年07月09日(金) マイナーな趣味のさらにハジッコ路線

 昨日の日記がもの語るように、私は今お金がない。
 なので、最近そこかしこの関連サイトで話題になっている「d20ファイティングファンタジー」の購入はパスする予定。参考資料として興味がないわけではないけど、もともとTRPGグッズにはあまり食指が動かない方なので、まあいいか。
 もっとも私の場合は同じ参考資料にお金を出すなら、双葉ゲームブック初の逆移植作品になるはずだった、幻のファミコンRPG「少年魔術師インディ」の宣伝パンプの方が欲しいなぁ。(パンフは実在するけど、かなりレア)
 パンフどころか本物が実現なんかしたら、きっと何が何でも欲しくなるだろうな。
 ゲームブックも復活できていないから無理だろうけど、格安パソコンゲームとして、どこかで企画を復活してくれないかな。


2004年07月08日(木) プレミアゲームブック

 ヤフオクで入札していたファイティングファンタジーシリーズの4冊(恐怖の幻影・真夜中の盗賊・悪霊の洞窟・奈落の帝王)が、全部落札できてしまってスッカリ金欠です。私の予想では2・3冊くらいは競り負けると思っていたのですけど。
 割引やら振込手数料やらいろいろ考えて計算すると、えーと、1冊平均が3,400円くらいか。高くつきました。やっぱり、ファイティングファンタジーシリーズは人気ありすぎです。

 ところで、絶版ゲームブックにプレミア価格がついている現状は、どう思います?
 「古本を定価以上の値で取引するなんて」とか、「ゲームブックを転がして儲けようなんて」という声もたまにチラホラ聞くのですが、私は大いに結構だと思っています。見つかるかどうかわからない捜索の手間が省けるというのは、プレミア価格以上の価値がありますから。(古本屋めぐり自体も楽しいものですけどね)
 それに所有しているゲームブックが、ヤフオクなどで高値で出品されていたり、激しく競り合っているのを見ると、「ホッホッホッ、私は持っているよ〜ん」という優越感に浸れますし。(笑)
 プレミアというのはマニア心をくすぐる要素なのは確かです。

 もっとも一時期は、ゲームブック1冊に1万円超の値がついたこともあったことを思えば、2・3年前よりはこのプレミア価格というのは無くなってきたかな、という感じもします。おかげで私にも手の届く価格帯になってきたわけでありがたいことです。
 どうしても欲しいという人には大体行き渡って、相場が落ち着いてきたのでしょうかね。ゲームブック人気が再加熱しないかぎり、今後の相場はもっと安くなっていくのでしょうね。

 それにしても、プレイが楽しみだなぁ。読み終わったら感想を書きますね。


2004年07月07日(水) 時空の支配者に挑戦! 騎士と魔法使い 君はどちらを選ぶか? (リン・ビーチ/近代映画社)

 騎士と魔法使いシリーズ第8巻。今回の敵は時空の支配者ということで、かなり冒険の舞台というか様子が変わっています。時空の支配者の導くまま、いろんな世界をランダムに旅をするという異色のストーリーです。
 その行き先は今までのようなファンタジーの世界だけではなく、恐竜の住む太古の世界から、ロボットが支配する機械の町まで行き先は幅広い。月面着陸をする宇宙飛行士だとか、イナゴみたいな姿をした宇宙人だとか、時空パトロール隊みたいな男まで登場してかなりSF色も強い印象を受けます。
 さらにこの巻のポイントとして、今回は途中からサラリンダ姫も冒険に参加。私は初登場の第3巻を持っていないのでこれが初対面ですが、性格がいかにもお姫さまでかわいいですねぇ。これでイラストがアメコミ風の濃い顔でなかったら、100点満点なのですがねぇ。
 今回はなんとなくシリーズ番外編といった雰囲気でした。
 
 日本語版はこの8巻目で終了。この先も読んでみたいものですが、人気や内容的にも復活の見込みが薄いシリーズなので、去年、無謀とは思いつつ英語版の第17巻を購入してみました。
 薄っぺらな本なのでいくら英語が苦手な私でも、時間さえかければなんとか完読できるかも。もし読み終わったらまた感想を報告します。


2004年07月06日(火) 狼人間を打ち倒せ! 騎士と魔法使い 君はどちらを選ぶか? (R・L・スタイン/近代映画社)

(少しネタバレあり。プレイ予定の人は読まない方がいいかも)

 騎士と魔法使いシリーズ第7巻。今回の使命は国内で徘徊するようになってきた狼男を倒すというものです。
 狼男というのは噛まれるとその人間も狼男になる設定もあるので病気の一種のようですが、今回のことのおこりはヘンリー王の配下の騎士の一人に、謎の精神生命体が憑依したために狼男が誕生したそうです。
 狼男は「ヘンリー王への復讐だ!」と主人公達に叫ぶものの、いったい何の復讐なのかがわからなかったり、魔女の助言で判明する、敵の最終目的地である「神秘の柱」が何なのか説明がなかったりと、クリアしてもなんとなくモヤモヤが残る点がありますね。ゴシックホラーの雰囲気も漂わせている作品なのでわざと謎のままにしたのかもしれませんが。
 
 しかしそれよりも今回の特徴は1〜6巻まで同じ内容だった、騎士の使用する9つの武器と、魔法使いの知っている12種類の呪文が、半分くらい新しいものに入れ替わっていることでしょう。(8巻も本書と同じ)
 特に全巻を通して利用価値の高かった「時よ戻れ!」の魔法が、「時よ進め!」に変わっているのは大きい。新しい魔法は同じ場所のまま数時間後の未来へタイムスリップする効果のようで、「時よ戻れ!」と違って緊急脱出用に使いづらく、使いどころに悩みそう。なにより未来がどうなっているか予測できないので、結果は運任せな魔法ですね。
 騎士の方は戦斧や毒矢といった強力な武器が無くなったものの、代わりに投げても手元に戻ってくる魔法の槍や、宙に浮いて勝手に敵と戦ってくれる便利な魔法の短剣が装備品リストに加わってパワーアップした感じです。
 しかし、魔法の短剣を実際に使ってみると、50%の確立で誤作動を起こして主人公を襲ってくるという、やっかいものでした。やれやれです。
 このシリーズって、本当に運試しが好きみたいです。運の悪い人はいつまでたってもクリアできないので、ルールを守ってゲームをするのはあきらめた方が良いかもしれませんね。


2004年07月05日(月) ハヤブサの騎士の逆襲 騎士と魔法使い 君はどちらを選ぶか? (スコット・シーゲル/近代映画社)

(少しネタバレあり。プレイ予定の人は読まない方がいいかも)


 騎士と魔法使いシリーズ第6巻。まずはプロローグから紹介します。

───ハヤブサの騎士と呼ばれるアシュレー卿が、ヘンリー王に陰謀を企てている咎を受け、国外追放の罪を受けた。しかしアシュレー卿の誠実な人柄を知る君達(騎士と魔法使い)はどうしてもそれが信じられない。そのとき、王様の前でうなだれるアシュレー卿を見て、密かに笑顔を浮かべている人間達がいることに、君達は気がついたのだった。───

 今回の特徴は冒険の舞台が、怪しげな洞窟や魔女の住む建物ではなく、宮廷内であるということでしょう。騎士と魔法使いは、アシュレー卿に罪を被せようとする容疑者達を追求して、真の犯人を見つけ出さねばならないのです。
 騎士と魔法使いシリーズ第6巻目にして、初めてヘンリー王の宮廷の人々が登場します。暗黒の騎士サイメリアン、謎めいたレディ・ラドバーン、本心の見えない宮廷の道化師のカントー、と怪しげな奴らばかりです。こいつらの容疑をあばいていくのが今回の冒険の基本手順ですが、宮廷内といえども誰かの呼び出したストーンゴーレムや、強大なクモなどが襲ってきて、危ないことといったらありません。
 せめてサラリンダ姫の入浴シーンが拝める・・・じゃない!お話しできる息抜きシーンがあってもいいものですが、あくまでシリアスな物語でした。
 時々、騎士編と魔法使い編は、最後のボスキャラが違うことがあるのですが、今回の犯人は同一人物でした。ネタバレは書きませんが、事件はアシュレー卿への愛ゆえにおこしたものだとわかり、少しホロリとさせられます。
ただ、この犯人というのが、それまで一度も登場していなかった人物というオチなので、今回のストーリーをミステリーだと思っていると思いっきり肩透かしを食らいます。
 まあ、私はミステリーとは思ってませんでしたが、「実は犯人はこの中にいなくて見ず知らずの通り魔だった」という事件の方が世の中では現実に多そうなので、探偵小説へのアンチテーゼと考えると面白いかもしれません。(←考えすぎ)


2004年07月04日(日) 大鴉の呪いの城 騎士と魔法使い 君はどちらを選ぶか?(リン・ビーチ/近代映画社)

 騎士と魔法使いシリーズ第5巻。シリーズ共通の特徴は、今までこの日記で散々話しているので省略するとして、この巻は堅物の主人公達には珍しく宝探しが目的となっています。
 国を守るための軍事費が不足して、さりとてこれ以上農民の負担を増やすわけにもいかず。そこで王様の命令により、伝説の財宝を目指して邪悪な者どもが巣食う城を目指すことになったというわけなのです。
 お城には魑魅魍魎ばかりとはいえ住民がいるわけですから、やっていることは盗人と変わらない気もします。しかもその理由が軍備を整える資金作りの為ですし。
 と、密かにそう思ったのですが、なに、かまうことはありませんでした。なにせ相手は“邪悪”なのですから。ああ、正義とはなんて素晴らしいのでしょう。なんとなくアメリカンな感じがして万歳です。(←意味不明)
 ともかく気分良く冒険を始め、いつも通りに半ば運任せな選択肢をたどってゲームオーバーを繰り返しながらも冒険は進み、見事に魔法使い編をクリア。王様のもとに魔法の宝物を持ち帰って、めでたしめでたしです。
 続いて騎士編を挑戦。倒れた魔法使いを騎士が庇う“友情”という力の前に敗北する巨人が印象に残ります。いつも騎士編のときは役立たずになる魔法使いも、これに触発されたか、この巻では派手な魔法合戦で悪の女魔法使いを退治してくれる大活躍で応えてくれます。こちらもクリアしてコンプリートです。

 このシリーズは巻が進むにつれて、だんだん世界観がこなれていっている気がします。原書は18巻まで続いたようですが、日本語版は8巻までしか出版されていません。なんだか、もったいない気がする話しです。


2004年07月03日(土) ウルティマ(樋口明雄/双葉文庫)

 主人公は東京で暮らす普通の大学生ですが、「冒険好きの少年、求む。時給600円。残業手当ナシ。勇気と熱意のある者にかぎる」という広告に釣られて、ゲーム製作会社にバイトに行きました。
 すると、中世の騎士の格好に着替えさせられ、巨大な乾燥機みたいな機械に押し込められ・・・・・・気がついたらソーサリアという国の王様の前で、「エクソダス」という悪の化身を退治するよう命じられます。王様の傍には、これから仲間となって冒険を共にする美少女の僧侶、身軽そうな若者の盗賊、年老いた魔法使いの姿がありました。<プロローグより要約>


 いやはや、双葉ゲームブックのスタンダードと申しましょうか。強引なプロローグですね。
 本書は同名ファミコンゲームをゲームブック化した作品ですが、双方向システムで町で買い物と情報収集を行い、あちこちを旅しながら戦闘と探索を繰り返すゲーム性など、同じ双葉ゲームブックで同じ著者の「ドラゴンクエスト」に似た内容となっています。
 私は原作ゲームそのものはよく知らないのですが、RPGの元祖といわれるゲームだけに、やはり原作の方もドラゴンクエストに近い内容でしょう。ゲームブックが似ているのも、当然といえば当然かな。

 自分が遊んだのはもう十数年前ですが、かなり楽しんだ憶えがあります。今思うと、ゲームバランスの方も「ドラゴンクエスト」より改善されていたようだったし。
 所持金が足りないので、わざと道具屋を襲って何度も警備員と戦ったりとか(警備員は普通の魔物より所持金が多かった)、居酒屋にいくとヒットポイントが減るのはなんでだよと思ったりとか、懐かしいなぁ。
 もちろん樋口明雄ゲームブックのベタベタギャクは健在です。
 「あんだってぇ?」と繰り返し「サマンサ婆さんですか」と尋ねると「とんでもない、あたしゃサマンサ婆さんだよ」と答える預言者の老婆とか。「ウルティマというのはお前達か」と言う怪物に「それはゲームの名前だ!」とつっこむ勇者達とか。ノコギリとトンカチと電気ドリルで毒の治療をするお医者様とか。驚かすと「どしぇーーー!」と玉座から跳ね上がって壁をぶち抜いてのぞける王様とか。いやぁ、最高ですね。

 当時の自分はTVゲームの代用品くらいに考えていたと思うのですが、今パラパラと読み返して見ても面白いです。
 ギャグのセンスが合わない人にはお勧めしませんが、中身は手堅く作られていて普通のゲームブックとしても良作の部類だと思います。
 うーん、ちょっと甘すぎるコメントだったかな。なんだか最近の私は、すっかり樋口明雄ファンになってしまったようです。


2004年07月02日(金) 宇宙の暗殺者(A・チャップマン/社会思想社)

 本日紹介するのは、ファイティングファンタジー12巻の「宇宙の暗殺者」です。この作品はまだ未プレイでしたが、SFという世界もたまにはいいもんです。
 内容は、主人公は宇宙の暗殺者として、巨大宇宙船「ヴァンダーベット」に潜入し、悪魔の科学者サイラスを捕らえるというもの。
 従来のファイティングファンタジーのルールに加え、銃と宇宙服を使用した銃撃戦とか、それらしい特殊ルールがいくつか加わっています。敵もミュータントとか、ロボットとかSFならではの敵が登場します。(もう一つ、ゲーム中に市街戦ウォーゲームというマップを使用した独特の戦闘シーンがあったのですが、こちらは適当にパラグラフを選んでいたら勝っちゃったので印象薄し)
 続いてゲーム性としての感想ですが、このゲームではこれがないとクリア不能という必須アイテムが存在しません。役に立つヒントやアイテムが無い場合でも、運や戦闘力次第でなんとか切り抜けられるようになっています。
 逆にいうと、一見無謀だがこの選択誌を選ばないと必須アイテムを入手できないとか、ファイティングファンタジーシリーズにありがちな読者の選択の楽しみを奪うような欠点はありません。おかげでやりごたえがないと思う方もいるかもしれませんが、自分の思うままに選択肢を選ぶことができるタイプのゲームブックは私は大好きです。
 クリアしても違うルートを試そうと、繰り返しプレイすることができると考えれば、コストパフォーマンスは高い作品です。

 しかしですね。プレイしてみるとSFとしての不満点が湧いてきました。この設定にもかかわらず、怪物の跋扈するダンションに分け入って悪い魔法使いを倒すという「火吹山の魔法使い」と中身はあんまり変わってない印象を受けるのです。
 なぜって、巨大宇宙船「ヴァンダーベット」というのは、どうも科学者サイラスの手にも負えない程大きなものらしく、敵の間で情報の通信というものがあまり感じられないのですね。ロボットや警備員と派手に戦うことはあっても、単発のイベントばかりで、それによって敵の援軍が増えるとかはまったくないですから。それじゃ、怪物と戦っているのと同じです。
 主人公も主人公で、タイトルの「暗殺者」という言葉から、敵に気付かれないように隠密行動をとるようなイメージがあったのですが、堂々と正面突破するとは・・・・・・。しかも、敵の本拠地というのに警備兵もまばらだし。
 なんというか、この巨大宇宙船「ヴァンダーベット」が、ゲームの為にとってつけた設定のように見えてしまうのですね。まあそれをいうなら主人公の所属する「暗殺者ギルド」という設定も同じくらい正体不明な組織なんですけど。


2004年07月01日(木) いつも綱渡り生活

 ヤフオクで、後期のファイティングファンタジーシリーズが欲しくて数点ばかり入札してみた。
 うー、落札は4日後か。正直競り合う体力(お金)はないぞ。
 入手したらこの日記でちゃんと読書感想文を書くからね、皆さんお手柔らかにね。
 特に「恐怖の幻影」は読んでみたいのよ。


(追伸)
 調子にのって入札しすぎたので、このまま全部落札できてしまうと、それはそれでお金が足りなくて困ったことになるのに気がつきました。どうしよう。
 やっぱりみんな2・3冊くらいはもっと入札してもいいよ。うん。(って、どっちやねん!と自主つっこみ)


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