冒険記録日誌
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2003年02月28日(金) シャーロック・ゲームズの冒険 天狗の石つぶて(奥谷道草/白夜書房)

発売日から2日遅れで本屋に入荷した、クロスワード・ランド4月号を買いました。
以前の日記にも書きましたがこのパズル雑誌には、あのHUGO HALL氏が奥谷道草というペンネームでミニゲームブックを掲載しているのです。
お値段は400円と手ごろですし(3月号の600円は特別価格だったらしい)、クロスワードの部分は奥様が楽しんでくれるので無駄がなく、お得な買い物といえます。いやぁ、毎月末が楽しみだなぁ。

さて肝心かなめ、今回のゲームブックの内容ですが、今月は推理小説仕立てのお話しでした。
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よそ者に冷たい寒村。そしてその村にやってきた実業家が何者かに殺害される。
しかし彼は殺される少し前に、主人公であるあなたに電話をかけていたのだ。
「本物の鈍炭の手がかりをつかんだんだ。ぜひ君に手伝ってもらいたんだ──」
村にやってきて死体を発見した後、あなたの捜査が始まった。
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とこんな始まり方です。
捜査手順は事件現場と村の地図をみて、気になる箇所に対応したパラグラフに移動して調査します。
基本的にはその繰り返しで、状況証拠の確認や村人への聞き込みを積み重ねていくのです。
TVゲームやゲームブックの推理ゲームでは、適当に選択誌を選んでいれば登場人物が勝手に推理して解決するタイプが多いですが、こちらは情報収集のみ。
つまり犯人を捜す為にはあくまで自分自身で推理して頭を捻らねばならないのです。これこそ本物の推理ゲームじゃないでしょうか。

犯人や殺害のトリックがわかったら、エンディングのページに移動して答え合わせをします。事件解決までにかかった実時間で、読者が探偵の素質があるか診断されます。もちろん推理が間違っていたら探偵失格です。
私は1時間半かけたあげく、被害者の言っていた“本物の鈍炭”の真実はわかったのですが、犯人の方は全然検討がつきませんでした。
ギブアップして解答を読みましたが、犯人と決めつけるには、ちょっと物証に乏しい気がしました。
もっとも殺害のトリックには驚きましたね。なるほどー。これはまさに発想をひっくり返すつもりで考えないと解決できない事件です。
確かにちゃんと伏線もあったのに、なんで気がつかなかったのだろ。

まだこの「天狗の石つぶて」に挑戦していない方は羨ましいかぎりです。
あなたには名探偵と認定されるチャンスがまだあるのですから。


2003年02月27日(木) アドベンチャラーズ・イン 1.5

先日、創元推理文庫の「炎の神殿」を読もうとしたら、本にアドベンチャラーズ・インの1.5号が挟まっていました。
昔手放していたから古本屋で買い直して、そのままにしていたから今まで気づかなかったなぁ。
知らない方に説明しますとアドベンチャラーズ・インとは、創元推理文庫のゲームブックに綴じ込みされている一枚紙で、読者からのお便りなどを紹介しているコミュニティスペースなのです。
全部で1号から20号(途中で1.5号と3.5号がある)と冊子になった2冊の特別号があります。今となってはゲームブック本体よりも入手は困難でしょう。
私はすでに全部持っているのですが、こうして見つかるとちょっと嬉しいですね。

この読者のコーナーに私が投稿したことはないのですが、当時は創元のゲームブックばかりやっていましたので(プレイした冊数でいけば双葉の方が多いけど)、久しぶりに読んでみると懐かしい気になります。
まだ1.5号だけあって読者のお便りはわずかしか掲載していませんが、TRPGやモンスターに関するエッセーや、ゲームブックレビューのコーナーがなかなか読ませまる内容です。この号のゲームブックレビューは、「ゼビウス」と「死の罠の地下迷宮」を取り上げていました。最初は他出版社作品の話題もあったのですね。
一番面白かったのは新刊予告。総項目数1000を誇る超大作登場と書かれています。「ネバーランドのリンゴ」のことですが、あのパラグラフの水増しとしか思えない第二部の凶悪な迷宮でも、“巨大な立体迷路まで用意されています”の文句に当時の読者は期待したのだろうなぁ。

それから他の古本にもアドベンチャラーズ・インがあるかなー、と思って調べたら「魔王の地下要塞」からゲームブックブーム当時でも見つからなかった“特別号1”が出てきました。
こんな貴重なものに気が付かなかったなんて、私がいかに購入したまま“ツン読”状態にしているゲームブックが多いかわかりますね。
自称現役ゲームブックファンとしては、恥ずかしいかぎりであります。いやはや・・・・・・。


2003年02月26日(水) 頭山(ショートゲームブック)

1.あなたは桜を見にぶらぶらと、公園にやってきました。
しかし残念ながら桜はとっくの昔に散って、さくらんぼが生えています。
あなたは勢いよく、さくらんぼを種まで飲み込んで食べました。
しかしある日、あなたの頭からなんと桜の木が生えてきたのです。
あなたは桜の木を育てますか(4へ)、除草剤をかけて枯らしますか(7へ)。

2.土をかぶせておくと、ありゃ。また芽が生えてきました(4へ)。

3.木を抜くと、頭に大穴があきました。みんなぶつぶつ言いながら帰っていきます。
あなたは満足して安眠をしました。
しかし一難去ってまた一難。しばらくすると雨が降って大穴に水が溜まり、池が出来てしまったのです。
頭の池には魚が泳ぎ始め、釣り人が竿を持って小船で漕ぎ出すようになりました。針が髪の毛に引っ掛かったり、痛いったらありません。
あなたは我慢しますか(8へ)、逆立ちして水を出しますか(6へ)

4.桜の木はスクスクと育って、春になると桜の花が咲きました。
そのころになるとあなたの頭は、人々に有名になっていました。
近所の人たちが花見にやってきて、あなたの頭の上で宴を始めました。
夜中までお酒を飲んでみんなが騒ぐので、あなたは寝る事もできません。
あなたは、怒って木を引っこ抜きますか(3へ)それとも一緒に騒ぎますか(5へ)。

5.あなたは一緒にみんなと騒いで楽しみました。
その後も水をやったり、肥やしをやったりして育てていました。
そのうち桜は散ってサクランボが生えたので、またあなたは食べてみました。
するとあなたの頭に桜の木が生えてきました(1へ)。

6.あなたが逆立ちをすると水はザバーと流れました。
頭の軽くなったあなたは気分良く背伸びをしました。しかし穴はどうしましょう?
土をかぶせておくなら(2へ)、放置しておくならまた雨が降って水が溜まります(8へ)。

7.除草剤で桜の木はシュンと縮んでしまい、ついでにあなたの髪の毛もパアと散ってしまいました。
あなたはピカピカの頭を撫でながら、少々薬が効き過ぎたなと思いました。終わり。

8.夏になると子供たちもやってきてバシャバシャと泳ぎ始めました。あなたはズブヌレです。
冬になると氷の上でみんなが遊んでいます。何度も尻餅をついて、あなたの頭に響いてきます。
そして春になってまた釣り人がやってくる頃、あなたは耐えられなくなりました。
そして、えぃっ。と、頭の池に身を投げて死んでしまったのです。終わり。





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シュールな落語ネタゲームブックです。これに意味なんか考えているようでは、人生を無駄にします。
元ネタの「頭山」という落語が私は大好きなのですが、しばらく前のニュースでこれをアニメにしたものがヒットしていると聞いて、ゲームブック版も作ってみようと考えました。
あの不条理な世界がうまく再現できていますでしょうか?


2003年02月25日(火) トラブルくらぶ事件ファイル オリーブたちのアブない放課後(沙藤いつき/双葉文庫)

この「オリーブたちのアブない放課後」については、すでに“蒼洋”というHPで麻呂氏が素晴らしいレビューをしておりますので、改めて私が言うことはありません。
こちらのページをご覧ください。

蒼洋
http://www15t.sakura.ne.jp/~mope/index.html
(オリーブたちのアブない放課後の項)
http://www15t.sakura.ne.jp/~mope/gb/011.html

以上。






















と、終わらせるのも手抜きですから、私自身の感想も書きましょうかね。
 私的には、「オリーブたちのアブない放課後」はペパーミントゲームブック最高峰の作品だと思っています。
 もちろん少女小説の雰囲気をベースにしているのですから、この手の雰囲気に耐性が無い方にはつらい内容です。しかしこれは女の子向けゲームブックなのですから、ここは自分が漢なゲームブッカーであることを忘れて、コバルトとかX文庫が大好きな少年少女の気持ちになることです。深呼吸して、覚悟を決めてから読んでみましょう。

 さて、そんな視点で読んでみればこの作品は、小説として読んでも良く出来た内容と思います。
 物語の舞台は私立白蘭学園という場所でいわゆる学園物なのですが、生徒達は特待(金持ち)コースと一般(貧民)コースに分けられていて、制服まで違っているというとんでもない学校です。
 この学園で主人公の所属するトラブル解消研究会(略してトラ研)の雰囲気がいい。
 一癖あるイロッポイ美少女、宝塚系のかっこいいお嬢様、ひたすら食べている体育会系で陽気な奴、皮肉屋で正義感のある格好いい少年と部員が曲者揃いです。
 部室にコーヒーカップがないので、部員達はビーカーにコーヒーを入れて休憩しています。他のゲームブックは全体にそっけない文章が多いですから、こういった何気ない描写は楽しいです。
 そして本作の主人公、野原菜摘が恋をする男の子は、学園創始者のひ孫で生徒会長の葵様。彼は成績優秀、何より美形なので学園中の憧れのまと。その権力に奢ることもなく温和で優しい性格と、何から何まで完璧超人なのです。普段から葵様は親衛隊の女の子にガードされていて、主人公はやすやすと近づけません。憧れの葵様と話しする機会を得るたびに、葵様チェックというこれまたこのゲーム独特のポイントをつけていくことになります。
 基本的に、学園内で発生した宝石泥棒事件を中心にストーリーは進みますが、お嬢様達による風紀委員会(兼、葵様親衛隊)百欄ソロリティーズと、トラ研との対立とか面白い展開が次々とやってきて飽きさせません。
 ちなみに葵様とほとんど話さなくてもゲームは進みますが、最後の最後で困る事になります。というのも、葵様チェックというのは、恋愛フラグというより事件の情報をどれだけ葵様に伝え、彼の援護をもらえるかという現実的な意味を含んでいたからです。
 一発逆転の痛快なエンディングを拝みたければ、捜査の合間になんとか葵様と話す機会を作りましょう。

 この作品、ゲームバランスの方も良く出来ているので侮れません。
 ペパーミントゲームブックで唯一続編が作られたのも理解できます。
 「トラブルくらぶ事件ファイル2 放課後のキス泥棒」は是非とも読んでみたいものです。誰か譲ってくれませんかねぇ。


2003年02月24日(月) 死神くんは恋のジャマ(樹かりん/双葉文庫)

16歳の女子高生が主人公のゲームブック。しかも双葉文庫とくれば、もうおわかりですね。
甘酸っぱい少女小説を見事にゲームブックで表現した名シリーズ、ペパーミントゲームブックです。
そして「死神くんは恋のジャマ」は、ペパーミントシリーズの最も本道をついた作品でしょう。
なぜかというと、主人公は好きな男の子を助けるべく、彼を襲う死神と戦うお話しだからなのです。
この“ちょっと気になるアイツ”的な男の子は、どのペパーミントゲームブックにも必ず登場する要素なのですが、どれも冒険の目的は悪霊と戦うとか誘拐犯を探すことであって、彼との恋愛要素は決してメインストーリーではありませんでした。冒険中は一緒に行動しているのですが、主人公の女の子は時々彼を見てちょっとドキドキするのが関の山で、もどかしいったらありません。
しかーーし!今回は違います。
己の命をかけて死神の手から彼を守ろうというのです。
一介の女子高生が危険を省みずこんな冒険をするなんて、まさに愛のなせる技ではないですか。なんと泣ける話しでしょう。
死神君の容姿が、ジャニーズ系の美少年だという設定も、この際許してあげようではありませんか。
(もっともこの死神君もなかなか、いい味を出したキャラクターです)

ゲームシステムの方は簡単で、行動チェックの為にアルファベットを記入する欄と、ハートポイントという数値を管理するだけです。
ハートポイントは恋愛ボルテージ指数とでもいうべきもので、彼に嫌われるとか好感触を得る事で数値が上下します。
この数値が高いと彼からのリアクションが良くなるだけでなく、主人公のとっさの判断力や行動力まで優れてくるので、いろいろと有利です。恋する乙女は強いという事ですね。
反面、一旦ハートポイントが下がると次々に不利な展開が待ち受けて、ますます数値が下がり易くなります。序盤でも油断せずに気をつかいたいところです。
さて、実際のゲーム中では彼はかなり悲惨な役回りとなっています。
道を歩けばトラックに轢かれそうになるわ、野球のボールが飛んでくるわというのは当たり前。学校の教室では蛍光燈が落ち、体育の事業では飛び箱が壊れて怪我をします。お店に入れば熱湯をかけられ、シャンデリアは落ち、遊園地ではジェットコースターが故障、動物園では馬に蹴られて死んでしまうことすらあるのです。
そのたびに彼を突き飛ばしたり、大声をあげたりと主人公は大忙し。
一歩間違うとコントとしか思えない展開なのですが、そこは主人公の一途で真剣な思いによって、そうならないようフォローされています。
ただ、主人公の苦労にもかかわらず、彼は死神なんて信じてくれません。あんまりしつこくすると、彼に嫌われてハートポイントが下がってしまいますので、このあたりの選択肢は悩みどころなのです。
終盤のクライマックスはドラマにありがちな展開と思うのですが、ここは作者の意図どおりに素直に泣いて読みましょう。
ゲームブックに限らず本の面白さは、いかに読者がその世界に浸れるかにかかっていると思いますから。


2003年02月23日(日) ポケットモンスター(沙藤いつき/小学館)

あの記録的人気ゲームとなった「ポケットモンスター」ことポケモンを原作にしたゲームブックです。原作のことは、もはや説明不要ですよね。
もしゲームを知らない人でも、あの国民的人気のネズミとなった“ピカチュウ”は見たことあるのではないでしょうか。
ポケモンブームの頃には、既にゲームブックブームが絶えて久しかったのですが、なぜか1997年末に小学館から「ゼルダの伝説」と「鉄拳3」、そしてこの「ポケットモンスター」の3冊のゲームブックが発売されたのです。
えらいぞ、小学館。もっとも発売当時は私はゼルダしか購入していませんでしたが。

さて、ゲームブックの「ポケットモンスター」は、読んでみると直ぐわかるのですが、元ネタはゲームソフトというよりそのアニメ版のようです。
冒頭にもTVアニメの1話(旅立ち)から14話(対マチス戦)までをストーリーにしたと書かれていて、挿し絵もアニメのカットをそのまま利用しています。
アニメ版と同じく主人公はサトシ君。もちろん冒険の最初からピカチュウと一緒です。
カスミやタケシなどの仲間も登場して一緒に旅をするところも同じ。ストーリーは完全な一本道です。選択肢は度々登場しますが、どちらを選んでもすぐに同じ展開へ戻されます。
道中でゲームオーバーになることはほとんどなく、誰でも最後まで進むことができるでしょう。エンディングも一つです。
こう書くとつまらない印象なのですが、もともとアニメ版のストーリーがよく出来ているうえ、文章力もあるのでよくアニメの雰囲気を伝えています。私はアニメを見ていなかったのですが、その面白さに一気に最後まで読んでしまいました。
また選択肢でストーリーが大きく変わらない代わりに、ゲットできるポケモンの数に影響したり、ポケモントレーナーとしてのレベルが下がることはあります。
この結果は最後にオーキド博士が登場して、プレイヤーの腕をランク付けするときに影響します。もっとも例え最低の評価でもオーキド博士は「しかし、こんな状態でもたどりつくとは、わしゃ、なんだか感激じゃ」とか言ってくれるので、気分が凹むことはありません。ちなみに私は最高から3番目、平均的な評価でした。

ところで本書の作者は“沙藤いつき”となっていますが、やはりペパーミントゲームブック「トラブルくらぶ事件ファイル オリーブたちのアブない放課後」を書かれた方と同一でしょうか。
もしそうなら、ゲームブックブームが去って、5年以上たってからゲームブックを再び執筆していたなんてそれこそ、わしゃなんだか感激じゃよ。


2003年02月22日(土) エイリアン地底魔城(ミント・クルセイダーズ/朝日ソノラマ)

 ふぅ。やっとクリアしたぞ。
 結構苦戦しました、このゲームブック。

 主人公はトレジャー・ハンターをしている高校生です。
 オープニングで、死んだと思われていた伝説のトレジャー・ハンター、ジョン・シルバー・Jr.から、招待状を受け取った主人公は、自家用ジェットでサハラ砂漠のド真中へ出発しています。いったいどんな高校生でしょうか。
 「その気になれば航空会社に圧力をかけて、パイロットとスチュワーデスを都合させることも出来たが、なあに、飛行経験を積むのも悪くない」とか言っています。現実にいたら、きっとむかつくタイプだな。
 またルールの方は、判断力・体力・精神力・器用さの4つの能力値の管理、他は少々のアイテムが存在するだけ。サイコロなどランダム要素もないので、能力値の増減さえ暗記できれば、電車の中でも手軽に楽しめるでしょう。

 ジョン・シルバー・Jr.からの招待とは、彼が用意した宝探しゲームにチャレンジして欲しいというものでした。
 他にも5人のトレジャー・ハンターが主人公と同じく招待されています。
 彼の用意した賞品は、なんと「ノアの箱舟」。そしてその正体は、太古に着陸した未知の宇宙船らしいのです。本当ならその価値は計り知れないでしょう。
 そんなわけで主人公含むトレジャー・ハンター達は迷宮に入っていくのですが、中には食人植物だのビックフットだの怪物がウヨウヨいるうえ、トラップまで仕掛けられていて、社会思想社の「死のワナの地下迷宮」を連想します。
もっとも実際にゲームを進めると展開が運任せで、とても理不尽な感じがしました。
 いや、「死のワナの地下迷宮」でもノーヒントなのに、通路の分岐を間違えると最後の試練が突破できなくなるなど理不尽な点は多いのです。しかし少なくとも、目の前に大穴があるから飛び越すかどうか、など状況証拠を元に各選択肢が用意されています。まったく判断材料のない道の分岐の先で即危険に陥る事はあまりなく、危機になってもどう対処するかまた選択肢があらわれます。
 一方こちらは、例えば十字路で右の道を行くか、左の道を行くか、正面の道を行くかという選択肢があるとします。その一つを選んだ次のパラグラフで、いきなり怪物に襲われたり、他のトレジャー・ハンターに撃たれたり、泉を見つけたので勝手に水を飲んだり(しかもその水は毒だったりする。オイオイ)と、読者の判断や対処のしようがない災難にあうのです。そのときは基本的に選択肢で対処するのではなく、判断力4ポイント以上あるか?などと能力値のチェックを尋ねられます。そしてもし能力が足りないと、大半の場合は即ゲームオーバーなのです。
 これではもう、アミダクジと同じでしょう。このゲームブックに限り、プレイするときは各選択肢の先を覗いてから、進めることをオススメします。それでもなかなかクリアは難しいので遠慮することはありません。

 終盤で明らかになる箱舟にまつわる設定は、面白いと思いました。ただこのゲームブックは、菊地秀行氏の作品を元ネタにしているので、オリジナルのアイデアなのかはよくわかりません。
 そういえば他出版社も含めると、菊地秀行原作のゲームブックって数多く出版されているけど、菊池さんはゲームブックに理解がある人だったのでしょうかね。


2003年02月21日(金) 地底のブラックホール(エドワ−ド・パッカ−ド/講談社)

地底のブラックホール。なんだかよくわかりませんが、やはり凄いタイトルと思います。
中身の方は選択肢を選ぶだけの分岐小説タイプのゲームブックで、いわゆる古典SF小説の定番のようなお話です。
主人公はまだ若い科学者。
冒険の前に「地球の内部は大きな空洞である」と主張する、ブルックナー教授の論文が掲載されています。
教授の理論によれば、10億年以上も昔に小さなブラックホールが地球に衝突して中心にとどまり、内部の熱いマグマを吸収したというのです。
だから地球の内部に立てば、黒い太陽をあおぐことになり、高い山に登れば黒い太陽に吸いこまれる危険もあるという、不思議な地底世界が見ることが出来るのだそうです。
そしてグリーンランドで発見された底なしのクレバスこそ、この地底王国へつながる唯一の連絡口。 主人公がそのクレバスの淵に立ったところから物語は始まります。
と、まあ基本的にはそんな設定があるのですが、この作品では分岐するたびに物語がまったく別物の展開に進んでいくので、プレイするたびに新しいストーリーを楽しむことができます。
反面、全体のパラグラフ数がわずか108しかないので、一つ一つの物語は非常に短いです。
1回クリアするのに10分もかからないでしょう。
読み物としての印象は、ひと昔前の小学生向けの学習雑誌に連載していた冒険小説のようなノリ。
総じて、やや低年齢層向けに作られたゲームブックといった感じです。


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うーむ。なんだか三日間続けて同じようなレビューを書いているな。
「ドラキュラ特急」「謎のピラミッドパワー」「地底のブラックホール」の三冊はいずれも、講談社の“アドベンチャーブックス”というシリーズの一冊。どれも話しの設定が違うだけで、ゲーム性や文章表現が全部同じような内容に思えるので、感想を書くとどうにもこうなってしまうのです。
このアドベンチャーブックスシリーズは20巻まで発売されていたようですから、当時はそれなりに人気があったようですね。ゲームブックブーム万歳です。
今になって全巻集めようとしても至難の業でしょうが、「人間爆弾デミトリウス」だの「ジンカ博士の異次元空間」だの、他の作品も非常に面白そうなタイトルをしていて興味をそそります。これらも是非読んでみたいものです。
古本屋で見かけたら、皆様こちらにご一報を願います。


2003年02月20日(木) 謎のピラミッドパワー(リチャ−ド・ブライトフィ−ルド/講談社)

謎のピラミッドパワー。なんだかよくわかりませんが、これも凄そうなタイトルです。
中身の方は選択肢を選ぶだけの分岐小説タイプのゲームブックで、いわゆる疑似科学小説の定番のようなお話です。
主人公はまだ少年。
ピラミッドの新たな秘密を研究しているおじさんから、ピラミッドを調査してみないかと誘われ、ぼくは単身おじさんの元に向っています。
おじさんの研究によると、ピラミッドの上部で集められた精神エネルギーをあびればすべてを見とおし、理解する目が得られ、テレパシーで会話ができるようになるそうです。おじさんとハッサン、ぼくたち3人は、クフ王のピラミッドの真下にある部屋にたどりつくと、不気味な音をたてて床が割れ落ちます。懐中電灯で照らしてみると、なんと床の落ちたところに新しい部屋を発見しました。
と、まあ基本的にはそんな設定があるのですが、この作品では分岐するたびに物語がまったく別物の展開に進んでいくので、プレイするたびに新しいストーリーを楽しむことができます。
おじさんの研究をつけねらう悪い組織と戦ったり、砂漠で遭難して救助を求めるサバイバルになったりと、ピラミッドとは無縁の展開まで多く用意されています。
もっとも、全体のパラグラフ数がわずか116しかないので、一つ一つの物語は非常に短いです。
1回クリアするのに10分もかからないでしょう。
読み物としての印象は、ひと昔前の小学生向けの学習雑誌に連載していた冒険小説のようなノリ。
総じて、やや低年齢層向けに作られたゲームブックといった感じです。


2003年02月19日(水) ドラキュラ特急(トニ−・コルツ/講談社)

ドラキュラ特急。なんだかよくわかりませんが、凄そうなタイトルです。
中身の方は選択肢を選ぶだけの分岐小説タイプのゲームブックで、いわゆるドラキュラ作品の定番のようなお話です。
主人公はまだ少年。
ルーマニアに住むアンドルーおじさんから、一緒に吸血鬼伝説を確かめてみようと誘われ、友だちのニーナ、それにニーナのおばさんのウエスト夫人と3人で、列車に乗ってアンドルーおじさんの元に向っています。
そしてなんと列車の中には吸血鬼の夫婦が潜んでいたのでした。ウエスト夫人の姿が消えてしまうところから、物語は始まります。
主人公達は特別な力を秘めた絵と宝石を所有しています。これらの品々は吸血鬼が欲しがっている一方、彼らを退治する為の重要な道具でもあるのです。そして宝石の方はウエスト夫人が持っていました──。
と、まあ基本的にはそんな設定があるのですが、この作品では分岐するたびに物語がまったく別物の展開に進んでいくので、プレイするたびに新しいストーリーを楽しむことができます。
反面、全体のパラグラフ数がわずか118しかないので、一つ一つの物語は非常に短いです。
1回クリアするのに10分もかからないでしょう。
読み物としての印象は、ひと昔前の小学生向けの学習雑誌に連載していた冒険小説のようなノリ。
総じて、やや低年齢層向けに作られたゲームブックといった感じです。


2003年02月18日(火) 鷹の探索(黒田幸弘/富士見書房) その2

あ〜少々取り乱しましたので、この先はプレイした感想を冷静に話しましょうかね。

一言で言うと、とっても手堅く良く出来たゲームブックです。
全体のストーリーだけでなく、文章にいたるまで真面目に書いている印象があります。
間違っても「クロちゃんのRPG千夜一夜」にあったような、悪ノリしたTRPGプレイヤー達が生み出した数々のバカ話みたいなのを想像してはいけません。
戦闘システムはオリジナルなもので、全体のゲームバランスもよくとれています。
道中で剣士と魔法使いが仲間になりますが(ならない場合もある)、各キャラクターも主人公と同じく能力値を設定する必要があります。特に剣士の方は主人公の町での行動しだいで、ノーマルな奴から老剣士、気さくな傭兵など仲間として出会う相手も様々です。中でも若い女剣士の“エイリン”はオススメ。冒険の舞台が女っけのない荒涼とした世界だから救われます。幡池裕行さんのイラストも可愛かったし。
他にも罠にはまったら一人一人が回避チェックを行うとか、魔物と会話を試みるときは全員が精神力チェックをして一人でも成功すればいいとか、TRPGのパーティプレイの様子を連想させるルールがクロちゃんらしいです。

この作品にあえて難を言えば、ゲームブック全体としては地味な印象で、目新しさに乏しいところでしょうか。
またせっかく神話と伝説から始まる壮大な世界観が最初に説明されていたのに、本編でほとんど使われていない設定もありました。
もしかすると、クロちゃんは同じ世界を舞台にした続編を考えていたのかもしれません。
もし本当にそうなら、かなり面白いシリーズになったと思うのですが、クロちゃん作のゲームブックがこれ一冊しかないというのは本当に残念です。


2003年02月17日(月) 鷹の探索(黒田幸弘/富士見書房) その1

このゲームブック、発売当時はその存在すら私は知りませんでした。
昨年か一昨年頃に古本屋で発掘して、そのまま本棚にしまったまま忘れていたような、印象のない本なのです。
しかしある日、ぼーーっと本棚を眺めていると、「鷹の探索」の作者の名前に目が止まりました。

黒田幸弘

く、くろちゃん?
なんと、私がTRPGの聖典と崇めるあの「クロちゃんのRPG千夜一夜」を執筆した黒田幸弘様ではないですかぁ!
(この本は復刊ドットコムで私がリクエストをしている。よかったら投票してくれ!http://www.fukkan.com/vote.php3?no=7684)
彼がゲームブックを書いていたなんて、知らなかったぞ。なんたる不覚!
おまけにイラストも私の好きな旗池裕行さんとあって、私にとってまさに夢の一冊だったのです。
そんなわけで、軽い歓喜とともにプレイしました。チョコレートナイト以来の興奮です。

読み始めると、いきなり冒険の舞台について長い背景説明がはじまります。世界の創造など神話時代から始まる物語で、とにかくゲームブックとしてはスケールがでかい。さすがゲームデザイナーの作品と感嘆させられます。
そしてゲームが始まり主人公の立場が、明らかになってきます。
アルビオン王国の辺境を守るグレイリン軍団。そのグレイリンの血を引く者は、いまや主人公ただひとり。
武勇を誇るその軍団のシンボルである「鷹の像」が、北方からの侵略者によって奪い去られてしまった。騎士としての名誉にかけ、主人公は鷹の像を奪い返す長い旅に出かける─。
硬派なストーリーで燃えてきます!もう最高です!クロちゃん万歳!
(注:信者には何を言っても無駄と思って下さい)

続く


2003年02月16日(日) バック・トゥ・ザ・フューチャー(安田均・TTG/創元推理文庫)

タイトルを見てわかるように、スピルバーグの映画をゲームブック化した作品。
原作については大半の人が知っているでしょうが、一応ストーリーを説明します。
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マッドサイエンティストっぽい科学者ドクの作ったタイム・マシーンで30年前に戻ってしまった主人公マーティ。
彼はよりにもよって、高校時代の父と母の出会いを邪魔してしまい、母親から好意をよせられるはめになってしまったのです。
マーティはなんとか父と母を結びつけ、自分が元の時代へ帰る方法を探し出すことができるでしょうか。
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このゲームブック版では、読者がマーティになって話しを進めるわけですが、この作品は私がゲームブックを知らない人に必ず最初にお勧めする一冊です。
それは原作映画を見たことある人なら、スムーズに物語に入り込めるうえに、ルールも運点の管理とサイコロ一個を振るだけ。誰でも抵抗なく、楽しむことができるからです。
読んだ人の中には「映画と同じように進めたらクリアできたから簡単すぎる」という感想を言う人もいましたが、そうしたら「ちっちっ、違うのだな。映画にない行動がいろいろできるのが面白いのよ」と言ってあげます。
この作品は本当に脇道がよく作られているのです。
両親に自分の正体を明かす選択肢があるのはもちろんの事、警察にタイム・マシーンを没収されて取り戻すオリジナルエピソードや、マーティがビフを殴り倒して、ビフが転校してしまうという原作とまったく違う展開まで用意されているのです。
笑えるのは、お母さんの誘惑に負けて一緒に一晩すごすと、現代に戻ったときにお兄さんが一人増えていたというエンディング。ブラックなオチが効いていてステキです。
そして簡単ながらルールにある運点の存在が、普通の分岐小説とこの作品の明確な違いを出しています。
マーティの行動の成否判定には、サイコロを使うのですが運点を消費すれば運命を好転させることができます。またもし致命的な選択ミスを侵しても、運点が残っていれば途中からやり直すチャンスがあるのです。運点はその使いどころを考えることでゲーム性を作り出しているのです。

もう一つ、素晴らしいと思うのは、これがゲームブックでしかできないゲームであること。
コンピュータゲームでは、このテンポよいストーリーは再現できませんし(ただしサウンドノベルなら可能性はあるが)、TRPGでこの作品を再現しようとしても、プレイヤーの行動を一部強制しないかぎり物語が成立しません。父と母の運命的出会いを邪魔するシーンなど、ゲームブックならその箇所に選択肢を作らず、小説のように進行させるだけでよいのです。
本書はゲームブックを文化として定着させる一つの可能性を見出していたと私は思っています。
こんなわけで私のお気に入りの作品なのですが、安田均が自ら後書きでこれは実験作品と書いているように、このタイプのゲームブックは意外と少ないです。
私が思い出すのは二見書房の「グーニーズ」くらいかな。なんだか残念な気がします。


2003年02月15日(土) 開運!七福神めぐり(奥谷道草/白夜書房)

インターネットでゲームブック情報を収集している人には、今更な話しですが、あのドラゴンファンタジーシリーズの挿し絵を書き、「グーニーズ」や「魔城の迷宮」などの執筆者でもあるHUGO HALL氏が、奥谷道草と言う名前で白夜書房の「クロスワード・ランド」というパズル雑誌に、ページ欄外の余白を使ったミニゲームブックを毎号掲載しております。
そんなわけで私も今月の「クロスワード・ランド 3月号」を購入しました。今でもゲームブック作家として現役とは、驚くばかりですねぇ。

今回掲載されていた「開運!七福神めぐり」は、七福神にお参りするというわかりやすいお話し。神社の中にある、七福神のいる部屋をすべて通り抜けねばなりません。舞台は一見双方向システムの迷路ですが、同じ部屋を2度も通っては駄目という、パズルっぽい内容になっています。
単なる迷路ではなく、頭を捻らせる謎かけも出てきますし、お賽銭に使った金額であなたの吉凶が決まると言うオチが、HUGO HALLらしさを残していますね。ミニゲームブックといえども、あなどれません。
(ただ20ページの「戸口を北へ進む──27ページへ」はバグじゃないかな?)
クロスワードはあんまりやらないのですが、毎月これだけの為に雑誌を買っちゃいそう。毎月600円の出費は痛いけど、嬉しい悲鳴と考えなきゃな。
それから過去の作品については、セプタングエースさんの“マーリンの呼び声”で展示されていくそうなので楽しみ楽しみ。


2003年02月14日(金) 新春!八幡国スペシャル その9

(助ける──小判200枚までの金額を要求)
大黒屋から望んだだけの金を受け取ると、君は引き上げた。
「いいか。あの家族に妙なマネをしたら、二晩と生きてはいられないぞ」
大黒屋は目を丸くしたまま、頭を何度も振ってうなずいた。

君は娘の家に帰りつくと、短く事情を話して金を手渡した。(全て自分の金だと思う人は渡さなくても良い。以下は読まないように)
「私たちの為にそんな危険なことを・・・。ありがとうございます。異国の方にも本物の侍はいるのですね」
本物の侍。八幡国では最高の誉め言葉に違いあるまい。そう言われて君は妙に照れくさい気になった。
娘はこの金を吉善屋に渡して、復興資金にしてもらいたいと言う。
兄がいれば彼もこの意見に賛同する。


(助ける──小判200枚を越える金額を要求)
大黒屋は這いつくばって、恐れ入った様子のまま答えた。
「異国の方。そんな大金はすぐには用意できません。明日私の御屋敷に来ていただければなんとかいたします。どうか命ばかりはお助けを」
君は悩んだ。彼は信用出来るだろうか?
今見逃したら明日には金惜しさに、知らぬふりをされてしまうのが相場だろう。
それなら今から一緒に彼の屋敷に金を取りに行った方が得策だ。
君の提案に大黒屋は渋っていたが、最後には承知した。彼の手を縛り上げると屋敷を出る。
そして道に埋め尽くされた衛兵を見て君は愕然とした。
当然だ。あれだけの大立ち回りをした現場に長々と居座って、誰も気づかないはずがない。
大黒屋がかすかに笑った。彼は単に時間稼ぎをしたかったのだ。
君も欲の為に馬鹿な真似をしたものだ。


(助けない)
君は大黒屋にトドメを刺した。
「その金は三途の川の渡し賃にとっておくんだな!」
捨てぜりふを残すと、君は代官屋敷を出た。
ここで兄がいれば彼は、君を追いかけながら尋ねてくる。
「なあ、やけに八幡国の言葉に詳しいじゃねえか。お前さんの国でも三途の川ってあるのかい?おいってば・・・」

君は娘の家に帰りつくと、短く事情を話した。
「まあ、私たち家族の為にそこまで親切にしていただいて。なぜなの?」
「困った人を助ける。これは私の国では騎士道と呼ぶのですよ」
「騎士道。素晴らしい言葉ね。異国のお侍様、あなたのことは一生忘れませんわ」
娘はかすかに頬を赤く染めながらそう言った。



(シーン9)
翌朝、君は八幡国を出る街道の入り口に立った。
見送りに娘、そして杖をついた老人も見送りにきてくれた。
「武者修行の旅は辛く、剣の道は深い。また来ることがあれば、今度は我らを頼るがよい。その時こそ剣術を指南してしんぜようぞ」
兄が死んでいれば、娘は寂しそうに話す。
「この後から兄を弔うことにします。兄の残してくれたお金のお陰で、父の足も治療できそうですし、兄の分までしっかり生きていきますわ」
もし兄が生きてれば、彼は駆け足で君の元へやってくる。
「世話になったな。八幡国名物の米を練って作った食い物を今買ってきたぞ。持っていけよ」

君は愛すべきこの家族達に手を振ると八幡国を後に再び旅立った。
君の旅はまだまだ続くが、それはまたの講釈に。



2003年02月13日(木) 新春!八幡国スペシャル その8

(代官屋敷へ正面から殴りこみに行く)
町に戻ると、君は傷の手当てをした。体力点を6点回復する。
そして八幡国の流儀にならって、神社で必勝を祈願する。運点を3点回復する。
夜になると君は代官屋敷の正面にせまった。
「何者だ!そして何の用だ」
門番達が君を誰何する。
「しれたこと。悪党を退治しにいくのよ」

門番 / 技術点8 / 体力点5
門番 / 技術点8 / 体力点6

彼らは同時に攻撃してくる。
兄が一緒なら彼がニ人目の相手をしてくれるので、一人目とだけ戦闘をすればよい。
倒したら庭に入りこむ。
庭には小さな池があり、まわりに白い小石を突き詰めた地面が広がっていた。
建物の方をみると庭に剥き出しの木製の廊下が周囲を囲っており、その内側には八幡国独特の紙でできた扉(?)が何枚も見える。そこから中の灯りが漏れ、何人かが酒を飲んでいるような影絵が写って見えた。
君は剣を握り締め、中の声を聞こうと耳を澄ます。


(代官と大黒屋を暗殺する)
君は深夜に代官屋敷へそっと忍び込んで、悪代官を成敗しようと考えた。

ただし兄が生きていれば、彼はこの計画に強く反対する。
寝込みを襲うとは侍にあるまじき行為だと言うのだ。
君はうんざりしながら、
・代官屋敷へ正面から殴りこみに行く。
・やはり自分には関係ないと思い直し、八幡国をでる。
のどちらかに選択し直すことにした。

いなければ君は計画を実行に移し、かなり夜がふけてから代官屋敷へ忍び込む。
ところが庭に入ったところで、建物の明かりがいっせいに点いた。
待ち構えていた衛兵達が、不意をつかれた君に襲い掛かる。
押さえつけられた君の目の前に、さっきの用心棒があらわれた。
「たわけ。貴様ごときの考えなど読めぬとおもうたか。代官様、こいつをいかがなさいますか」
代官と呼ばれた男は、ニヤリと笑った。
「心配するな。ちゃんと良い考えを用意しておる。今晩は閉じ込めておけ」
こちらにとっては、ろくな考えでもないだろう。
君は暗暗たる思いで、連行されていった。


(やはり自分には関係ないと思い直し、八幡国をでる)
君は八幡国を出る街道に戻るとそのまま歩き続けた。もう戻るつもりはなかった。
卑怯?。しかし君は侍ではないのだ。なにも恥じることはない。
そう思いながらも、君の気持ちは晴れなかった。


(シーン8)
部屋の中では代官と大黒屋が話しているらしかった。
「チンピラを使って吉善屋に放火させるとは。大黒屋。お主も悪よのぉ」
「いえいえ、それもお代官様の温情あってこそ実行出来た事。ささっお受け取り下され」
「おおっ、黄金色に輝くモナカじゃ。礼を言うぞ」
「いえいえ、今後ともよろしゅうに」
「クククククククッ」
やはりこいつらが、犯人だったのだ。もはや一片の遠慮もいらない。
「武士道の風上にもおけぬ振る舞い。捨て置けん」
大黒屋「なに奴っ」
君は物陰からゆっくりと庭の中央へ登場した。
「おまえ達の名誉点はもはや0。潔く腹を斬れ」
君の言葉に悪代官は真っ赤になって怒った。
「なにを小癪な。皆の者、狼藉者がここにおる。であぇ、であぇ」
たちまち屋敷のどこからか、侍たちがやってきて刀を抜いた。

斬られ役 / 技術点6 / 体力点2
斬られ役 / 技術点5 / 体力点3
斬られ役 / 技術点5 / 体力点4
斬られ役 / 技術点6 / 体力点3
斬られ役 / 技術点5 / 体力点3
斬られ役 / 技術点5 / 体力点4
斬られ役 / 技術点5 / 体力点2
斬られ役 / 技術点6 / 体力点3

彼らはいっせいに襲ってくるが、連携攻撃がうまくないので、一人ずつを相手にするルールで戦ってよい。
兄がいたら彼も戦闘に加わるので、最初の4人を倒すだけでよい。
全て倒したら、部屋の中に踏み入る。
大黒屋は腰を抜かしているようだ。悪代官は君を視線で殺そうとするかのように睨みつけた。
「異国人がなかなかやるな。だが刀の達人には勝てるかな」
その声に答えるように、君の前にあの用心棒があらわれた。奇妙にも彼は、まだ刀を鞘から抜いていない。

用心棒 / 技術点11 / 体力点16

用心棒は最初のラウンドは居合斬りで攻撃してくる。
このラウンドに限り、用心棒の攻撃が成功したら君は深手を負ってしまう。
技術点を2点、体力点を4点減らしてから戦闘を続ける事。
(運試しで被害の軽減を試みても良い。成功すれば被害は半分にできる。失敗ならさらに体力点を2点引け)
もし君が居合斬りを知っていたら、彼の太刀筋を君は見切っている。紙一重で奴の刀をかわすと、カウンターで剣を振り下した。
用心棒の技術点を2点、体力点を4点減らすこと。深手を負った彼は歯軋りしながら、刀を振り回す。
これは一対一の戦いなので、兄がいても彼は加勢しない。

勝ったら代官が相手だ。彼は信じられないと言った顔で、刀を構えている。

悪代官 / 技術点6 / 体力点6

勝ったら、最後に残った大黒屋を君は睨みつける。
「か、金はいくらでもやる。見逃してくれ」
大黒屋の震える手から、何枚もの小判がこぼれ落ちる。
君は彼を、
・助けるか(小判を何枚要求するか決めること)
・助けないか

続く


2003年02月12日(水) 新春!八幡国スペシャル その7

(とにかく兄を探す)
君は娘と手分けして探し回った。娘は町の中を、君は町をでる街道筋をだ。
やがて君は街道の外れから、かすかな物音が聞こえてくるのに気づいた。


(真の放火魔を探し出す)
君は以前二人の侍をつけて代官屋敷に行った事があるか?
そうでなければ通行手形を持っているか?あれば老人が代官屋敷で使用する通行手形だと教えてくれる。

どちらにも該当しない場合は、君はあても無く街中をうろつくだけだ。
そのうち兄が捕まったとの知らせが町を駆け巡った。それも無残な死体の姿で。
捕まえるときに抵抗したからと言うが嘘だろう。
とにかく君にできることはもうない。

該当する場合、君は代官屋敷へ忍び込む。
屋根裏をはって歩いていると、途中で下からぼそぼそ話し声が聞こえた。
「さすがお代官様。迅速な対応で。してあの若造はどうなったので」
「うむ。きっと身の危険を感じて町を出ただろうが、追っ手をつけてある。念のためだからな。死人にくちなしだ」
大変だ。急いで兄を捜さなくては!
ここでサイコロを2個振って技術点と比べること。同じかそれ以下の数なら問題ない。
技術点を上回ったときは、身を動かそうとしたとき、ミシリと天井の板が鳴らしてしまい、代官に気づかれる。
「何奴!」
代官は槍を手にすると、天井を数回突き刺した。
サイコロを振って偶数の目がでたら君は串刺しにされて冒険は終わる。
奇数なら辛くも逃げられる。さあ、兄を見つけなくては!


(ここが潮時と判断して八幡国を出国する)
そもそも事件自体が、君には直接の関係がないことなのだ。
そう思って君は八幡国をでる街道に向って歩いていった。
君の冒険はここで終わる。
ただし、まだ冒険を続ける意思があるなら運試しをせよ。
成功すれば君は街道の外れから、かすかな物音が聞こえてくるのに気づいた。


(シーン7)
君が街道の外れを走っていくと、5人もの侍が兄を取り囲んでいるのが見えた。
そのとき君の目の前で、一人の侍が兄に刀を振り下ろした・・・。
小さな鉄の円盤を持っているか?持っていればとっさにそれを投げつける。
ここでサイコロを2個振って技術点と比べること。同じかそれ以下の数なら円盤は見事にその侍の手に当たって、彼は刀を落としてしまう。
技術点を上回ったとき、もしくは小さな鉄の円盤を持っていない場合は、兄はそのまま斬られてしまう。
どちらにせよ、君は雄たけびをあげると剣を抜いて侍たちに襲い掛かる。

斬られ役 / 技術点6 / 体力点2
斬られ役 / 技術点5 / 体力点3
斬られ役 / 技術点5 / 体力点4
斬られ役 / 技術点6 / 体力点3

全て倒したら、さっき兄に斬りつけた侍が相手をする。他の侍より手強そうだ。

用心棒 / 技術点11 / 体力点16

3ラウンド戦ったら、物音を聞きつけて街道の方から何人かの人がやってくる。
それを見た彼は走り去っていく。
君は剣をしまうと兄に駆け寄った。
兄が斬られていれば、彼は息も絶え絶えに、事件の真相を君に伝えてくれる。
「放火事件は黒幕は代官様さ・・・。きっと大黒屋と手を組んだに違いない・・・。親父にはすまなかったと伝えてくれ・・」
これだけ言うと、兄は事切れる。正義感の強い君は怒りに燃え、代官への復讐に燃える。

斬られていなければ、兄はやはり事件の真相を話してくれる。
彼は地面に伏して泣きながら言った。
「俺が間違っていた。逃げても侍の名誉は守れない。おれはこれから代官屋敷に勝負をつけにいく」
その言葉に君も頷いた。

さあこれからどうする。
・代官屋敷へ正面から殴りこみに行く。
・代官と大黒屋を暗殺する。
・やはり自分には関係ないと思い直し、八幡国をでる。

続く


2003年02月11日(火) 新春!八幡国スペシャル その6

(娘について行く)
「悪いが帰ってくれ」
「なぜです!私で出来ることでしたらお手伝いしたいのですが」
吉善屋の人々は娘に冷たかった。娘は驚いたように叫びかえしていた。
「本当に知らないんだねぇ。代官屋敷の前に行ってごらん。私たちがお前に会いたくない理由がわかるよ」
君と娘は代官屋敷の前に走った。そこには立て札が立っていた。
─────────────────────────────────────
右、似顔絵の者は先日「吉善屋」火災の放火犯である。
捕らえたものは金30両をとらせる。生死は問わず。
─────────────────────────────────────
似顔絵の顔は、兄の顔だった。


(町の噂話を調査する)
町は噂話でもちきりだ。しかし異国人の君はみんなに警戒され、なかなか話しの輪に入ることができない。
八幡国はその閉鎖的な国民性でも有名なのだ。
「放火魔は貴様だろォ!」
誰かが君に向かって叫ぶ。それを聞いた酔っ払いが君に襲い掛かってきた。

酔っ払い / 技術点5 / 体力点4

始末したら騒ぎが大きくならないうちに家に帰ること。
“老人と話してみる”へ進む。


(老人と話してみる)
昨夜は、兄に会っただろうか。
会っていないなら、老人は君が話し掛けても答えない。目をつぶって座り込んだまま、身動きもしない。
もしかすると、これが噂に聞く“瞑想”と言うものなのかもしれない。
君も真似をして試してみるのは自由だ。その場合、サイコロを一つ振ること。
1が出たら異教徒の君には効果はない。運点を1点へらす。
2が出たら君は布袋様の声を聞いた。運点を4点増やす。
3が出たら君は気功法を体得した。体力点を原点に戻せ。
4が出たら君は心眼を会得する。原技術点及び技術点を1点増やす。
5が出たら君は高度な精神世界へと旅立ってしまう。冒険を終了せよ。
6が出たら君の足はしびれた。体力点を1点へらす。

兄に会ったのであれば、そのことを老人に話すと、老人はある品物を君に見せてくれる。
それば何枚かの小判と短い手紙だった。今朝庭に投げ込まれていたと言う。
─────────────────────────────────────
面倒に巻き込まれました。私は侍の恥になることをしましたが、罪状は練れ衣です。
しかしもう八方塞がり。私は旅立ちます。最後に今まで貯めた金を置いていきます。
これで足の治療をなさって下さい。いつまでもお健やかに。
お父さんを敬愛する息子より
─────────────────────────────────────

後ろで泣き声がした。振り向くと娘が帰っていた。
「代官屋敷のまえに放火魔の人相書きが・・・それが兄さんの顔なの・・・」
そういうと娘は床に突っ伏して鳴咽しはじめた。


(シーン6)
君はこれからどうしたらいい?
・とにかく兄を探す。
・真の放火魔を探し出す。
・ここが潮時と判断して八幡国を出国する。


続く


2003年02月10日(月) 新春!八幡国スペシャル その5

(火事現場に向って走る)
逃げ惑う町人達の流れに逆らって君は走りつづける。娘も後を走ってついてきた。
やがて火元の家に近づく。それは大きな一本の火柱のように見えた。
何人もの人々が大声を水をかけたり、これ以上火が広がらないように周辺の家を壊す作業をしている。
目の前の一人が地面に落ちた、「材木屋問屋 吉善屋」の焦げた看板を踏みつけて走り過ぎた。なんとも痛々しい光景だ。
気が付くと地面医に茫然と座り込む人達を、娘が肩を掴んでゆさぶっている。おそらく吉善屋の家族達だろう。
そこに恰幅のよい町人が話し掛けてきた。
「これは吉善屋さん。今回はご不幸でしたな。あなたとは長年のライバルでしたが、こうなったからには私もできる限りの援助をしますぞ。しばらくこれで生活ができるでしょう」
そう言って、魂が抜けたような家族の前へポンと財布を投げ出した。それを見た娘が食って掛かる。
「大黒屋さん!そんな心の傷をえぐるような無礼な態度はないでしょう!」
「なにを小生意気な娘が。私は職を失ったお前の親父と違って、侍ではないのだから仕方ないだろう」
大黒屋はそう言って高笑いしながら帰って行った。

(この家に残る)
娘は吉善屋が気になって仕方がないようだ。
「私、様子をみてきますわ」
そう言って、外に飛び出て行く。君は慌てて呼び止めようと外に出た。
そのとき走り去っていく娘の反対側にいる人影に気づいた。兄だ。
君と目が合うと、慌てて逃げようとする兄を、君は走って捕まえた。
「あの火事は俺のせいじゃない!俺じゃないんだ!」
君が問い詰めると、兄は動揺していたらしく泣きながら叫んだ。
「確かにぼや騒ぎをおこして、吉善屋に嫌がらせをしたいとは持ち掛けられたんだ。俺は金に目が眩んで引き受けちまった。それで今夜、俺が吉善屋の塀にちょっとばかし焦げ目を作っていたら、後ろから殴られて気が付いたら藪の中で、そしたらこの騒ぎで・・・あああああ!」
そこまで言うと、兄は君の腕を振り切って夜道に姿を消してしまった。


(シーン5)
また次の日も朝はきた。体力点を2点回復できる。
町は落ち着きを取り戻したが、火元になった吉善屋周辺は無残な焼け跡を残したままだった。
娘は朝から吉善屋の家族の見舞いに行った。父親である老人は奥の部屋で考えこんでいる様子だ。
君は、
・娘について行くか。
・町の噂話を調査するか。
・老人と話してみるか。

続く


2003年02月09日(日) 新春!八幡国スペシャル その4

(娘の兄に何を話していたか聞いてみる)
兄は君の問いかけに一切応じすに、酒場を飛び出した。
君は慌てて、後を追いかける。傍をついて歩きながら、いろいろ話し掛けるが「うるさい」と言うのみだった。
娘の家に厄介になっていることも話すと、兄は驚いたようにこちらを振り返る。
そのとき、前方から人影が現れてこちらに向き合った。
「やはり、その妙な侍(君のことだ)は始末しておいた方が良さそうだな」
先程の二人の侍だ。どうやら待ち伏せしていたらしい。

謎の侍 / 技術点7 / 体力点8

侍の礼儀にのっとり襲ってくるのは、一人だけだ。
一人を倒すと、もう1人の侍は逃げ出す。
また戦いが終わったときには、兄の姿はすでに消えている。
残された一人目の侍の体を改めると、何かの通行手形が見つかった。これは取っておくことにする。

(すぐに二人の侍の後をつける)
店をでると、先の路地で意外にもニ人の侍達は立ち止まっていた。
危険を察知した君は、酔ったふりをしながら、反対方向の道へ歩き去ってみせる。
1分くらい時間をおいた君は道を戻ってみると侍は消えていた。
君はなんとか探し出そうとする。
運試しをせよ。
幸運なら君は道の先を歩く、二人の侍達を見つけ出す。
二人は検問所の前を通り過ぎると、代官屋敷の中へと入っていった。このことは覚えておくこと。
不運なら君は何も見つけることができない。君はそのまま娘の家へ帰る。

(自分には関係ないと思い、そのまま飲みつづける)
酒と共に出された食事はうまく、堪能できた。体力点を2点回復せよ。
さっきの席を見ると、兄はしばらく身動きせずに黙っていたが、やがて立ち去った。


(シーン4)
次の日も朝はきた。体力点を2点回復できる。
君は考えごとをしながら、町中を歩いて過ごした。
3日目ともなると、君には町の細かな様子までがわかってくる。
この町で大きい店は材木問屋で、“吉善屋”と“大黒屋”の2軒がもっとも勢力が大きいらしい。八幡国の家はすべて木で出来ているから、これは当然かもしれない。
もし昨日の「放火」の言葉が空耳でなかったら、この町ではとんでもない大惨事となるだろう。そう思いながら君は町を見渡した。

そして夜。
「火事だぁーーーー!」
叫び声と家の外から聞こえる大騒動に君は飛び起きた。
恐れていたことが起こったのだ。
娘と父親もすでに起きており不安そうな顔つきをしていた。とくに娘の顔は真っ青だ。
「火事の方角は、私の奉公している吉善屋があります。まさか・・・」
君は、
・火事現場に向って走るか。
・この家に残るか。

続く


2003年02月08日(土) 新春!八幡国スペシャル その3

(しばらく娘と一緒に歩きながら話しをする)
「今はあんな態度の兄ですが」
君と歩きながら娘はしきりに兄の話しをもちだした。
「きっと本音は父と仲直りしたいのです。根は優しい人ですから。もし、父の足が癒されれば、そしてその治療費があれば、昔のように家族仲良く暮らせると思うのですが」
やがて娘が働いている吉善屋という材木問屋に到着した。
娘が店の者に君を紹介すると、みんな群がってきて異国の話しをせがんだ。
おかげで、この無邪気で気の良い人達を相手に、君はたっぷり半日は喋りつづけるはめになった。
解放される間際、店の者が礼にと“印篭”を君にくれた。旅人が携帯する薬入れだそうだ。
中の薬は戦闘中を除きいつでも体力を4点回復できる。2回分入っている。

(再び八幡国の町を散策する)
君はあたりを見回しながら大通りを歩きつづける。
髪を棒のように束ねて頭の真ん中におく奇妙な髪型の人々、紙製の窓をつけた家、露天に並ぶ米を丸めた携帯食料などなど、町には興味深いものが溢れかえっていた。
立ち並ぶ店の中を物色したあげく、君は次のものに興味を示した。
・小さな鉄の円盤(飛び道具。戦闘前にサイコロ2つ振って、技術点以下なら相手に2点の傷を負わせることができる)
・布袋様のお守り袋(運試しで不運となっても、一度だけ幸運に変えることができる)
・印篭(携帯用の薬箱。戦闘中を除きいつでも体力を4点回復できる。2回分)
財布の中身と相談した結果、この中から一つだけ購入することができる。

(世話になっている礼に、家の掃除でもしておく)
君は閑散とした家に残って、濡れた布で床を磨いた。それが終わると庭に出て薪を割り、汗を流した。
「すまんのう。バカなせがれに迷惑したうえに、薪割りまでしてもらって」
突然の声に振り替えると、娘の父親が縁側にちょこんと座っていた。まだ老人と言ってもまだ若若しい印象で、八幡国の人に特有の漆黒の髪を無造作に束ねている。
いつのまにか彼は細長い薪を一本引き抜いており、それを両手でもてあそんでいた。
「おぬしは異国の侍だそうだな。礼に少しばかり八幡国の剣術を教えてあげよう。ちょっと、刀を抜いてみてもらえんか」
老人はまるでやんちゃ坊主のような目をしている。だが足が悪いため、腰は縁側におろしたままだ。
君は肩をすくめると、老人の前に立って剣を構えてみせた。
すると次の瞬間。老人のもつ薪が襲い掛かり、裂ぱくの気合と共に君の剣は背後に弾き飛ばされていた。君は目を丸くして、飛ばされた地面に落ちた剣と老人を交互に見る。
老人は薪を持ったまま、君の真似をして肩をすくめてみせて言った。
「今のは居合い術というものだ。おぬしの国では知らんが、ここでは例え刀を抜いていない者が相手でも戦いで油断すると死んでしまうぞ」
君は“居合い術”を教わったのだ。このことは覚えておくこと。


(シーン3)
夜になって君は酒場に行ってみた。もっとも早く町の様子がわかる方法だろうと楽しみにしていたのだが、客達はそれぞれ板に隔てられた席に案内され適当に声をかけられる雰囲気ではなかった。
少々あてがはずれたものの、気をとりなおして一人で席に座り込むと酒を注文した。
八幡国のエールは米から作ったもので、君には初めての味わいだった。苦いというより辛い。
君の傍を湯気のたつ酒瓶を持った店員がとおり過ぎる。驚いたことに酒を暖めて飲む習慣もあるらしい。
店員を視線で追っていると、君の目がある人物の前で止まった。
昨日の若侍、つまり娘の兄だ。
他に二人の侍と酒を飲みながら話し込んでいる。
興味にかられた君が、そっと身を近づけると、かすかに「放火・・・」と聞こえた気がした。
そのとき二人の侍がこちらを見た。君に気づいたらしい。
二人は席を立つと若侍に二言三言声をかけてから店を出て行ってしまう。
君は、
・娘の兄に何を話していたか聞いてみるか。
・すぐに二人の侍の後をつけるか。
・自分には関係ないと思い、そのまま飲みつづけるか。


2003年02月07日(金) 新春!八幡国スペシャル その2

(お辞儀して早々に立ち去る)
君は八幡国の流儀に合わせ、曖昧な笑顔を浮かべながらその場を立ち去ろうとした。
「こらっ、待たんか!」
侍は背後から君の肩を強く掴んで、地面に引き倒した。
そのとき町娘が駆け寄り、君を守るように立ちはだかった。
その様子を見て、侍は舌打ちして立ち去っていく。

(八幡国に来たばかりなので、宿を教えて欲しいと頼む)
君の話しを聞くと、侍はついてこいと言って前を歩き始める。
しかし、侍と一緒に辿り着いた先は検問所だった。
大勢の侍に取り押さえられる目の前で、さっきの侍が礼金を受け取っていた。
君は異国からきた密偵との嫌疑で拘束されてしまったのだ。
運試しをせよ。
失敗すれば君の言い分は聞きいれられす、鞭で打たれてしまう。
体力点を3点減らす。成功するまでこの運試しを繰り返せ。
成功すれば君は釈放される。
すっかり消耗して、道端で行き倒れ寸前の状態の君を救ったのは一人の町娘だった。

(お前には関係ないと突っぱねる)
君の返事に侍は激昂した。
「無礼者。侍を愚弄するとどうなるか思い知らせてやる!」
刀を抜く侍に対して、君もやむなく剣を抜いた。

若い侍 / 技術点8 / 体力点10

2ラウンド戦ったら、一人の町娘が戦闘を止めにはいり、侍は逃げ出してしまう。


(シーン2)
「すいません。さっきの侍は勘当された私の兄なんです」
その町娘は申し訳なさそうに言うと、君を家まで案内して傷の手当てをした。
傷ついていたら体力点を2点回復する。
落ち着いた君は、家の中を見回す。なかなか立派な作りだったが、手入れが行き届いていないようで、あちこち壊れている窓や家具が痛々しい。
さらに奥の部屋には誰か寝ているようだ。
君の視線に気が付いた娘は弱々しく笑った。
「奥で寝ているのは父上です。以前は名の知れた侍でしたが、足を怪我されて寝たきりになってからは、このような生活なのです。兄は貧乏暮らしが嫌で、家を出て先程のようなことばかりしているのです」
娘のススメもあり、君は何日かこの家にやっかいになることに決まった。
翌朝。
「異国の方。昨日のことは忘れて、今日は八幡国の町をゆっくり回って下さいまし」
娘はそう言って、どこかへ働きに出た。
君は、
・しばらく娘と一緒に歩きながら話しをするか。
・再び八幡国の町を散策するか。
・世話になっている礼に、家の掃除でもしておくか。

続く


2003年02月06日(木) 新春!八幡国スペシャル その1

(はじめに)
これは「火吹山の魔法使い」や「ソーサリー」のルールを知っている人へ向けた実験ゲームブックです。
読み始める前に、以下の説明に目をとおして下さい。

1.サイコロ2つと紙とエンピツを用意して下さい。

2.主人公の能力値を以下の方法で決めておいて下さい。
技術点 (6+サイコロ1個)
体力点 (12+サイコロ2個)
運点 (6+サイコロ1個)

3.戦闘ルールや運試しなどの方法は、ファイティングファンタジーシリーズのルールに準じます。体力点が0になったらゲームオーバーです。
所持品の管理などは覚え書き程度で結構です。
またこの物語の舞台は八幡国ですが、幸いにして(?)主人公は“侍”ではなく“戦士”なので名誉が損なわれても切腹する必要はありません。

4.<ゲームの流れ>
毎日1シーンずつ物語は進行し、最後には必ず選択肢があります。
そのたびに読者は一つ選んでおいて下さい。
翌日にそれぞれの選択肢の結果が、書いてありますので指示どおりに処理して、再びその日の選択肢を選びます。

では、“新春!八幡国スペシャル ”いよいよスタートです。


(シーン1)
君は旅の剣士だ。タクの港で海賊船にのせてもらった君は八幡国までやってきた。
タイタンの世界でも、もっとも風変わりな文明国とされるこの国をこの目で見てみたかったからだ。
船からおりた君は海賊達に別れを告げ、さっそく町中へ入って散策してみる。
木で作られた家々が立ち並んだ町並みに、物売りたちの声が景気よく響く。大通りは人々で混雑していた。
将軍(この国の支配者は、王ではなく将軍と呼ぶそうだ)の厳しくも秩序ある統治のもと、八幡国はそれなりの平和を享受しているようだ。
中には剣を携え、角張ったデザインの立派な服に身を包んだ人間も見かける。彼らが噂に聞いた侍らしい。侍は特権階級に属しており、無礼な態度をとった者を、その場で斬り捨てても良いという恐ろしい権利まであると聞く。
反面、彼らは名誉や忠義を重んじ、それに背いた侍は切腹をして果てるという。それは君には理解できない考えなのだが、三方を険しい山々に囲まれた八幡国はその閉鎖的な環境で独自の精神文化を開花させていたのだ。
「なんだ貴様は。妙な服を着ているな」
はっと気が付くと、君は一人の侍に睨まれていた。
目の前の輩はまだ若いようだが、衣服がだらしなく汚れ、あまり良い印象がしない。侍にもいろいろいるようだ。
さて君は、
・お辞儀して早々に立ち去るか。
・八幡国に来たばかりなので、宿を教えて欲しいと頼むか。
・お前には関係ないと突っぱねるか。

続く


2003年02月05日(水) セイキュウの冒険

 「セイキュウの冒険」とは一応ゲームブックなのだが、はっきり言って書き物と呼ぶのも恥ずかしい最低レベルの作品である。と言うのも当たり前で、私が小学校のときに初めて書いた自作ゲームブックなのだ。
 みなさんは小学校の頃、週に一時間ばかり“クラブ活動”という授業がなかっただろうか。その授業時間だけはクラス単位ではなく、サッカー部とかイラスト部とか自分達が選んでいた活動部に参加するのである。
 私は文芸クラブなるものに一学年の間参加しており、その時にこの作品を書いていた。

 この作品の内容を紹介すると総パラグラフは130くらい。
 江戸時代を舞台に石川五右衛門のような大泥棒を主人公とした冒険談となっている。第一部が終わり、第二部の始めのところで執筆が中断している。
 せイキュウは主人公の名前で、本当は漢字で書いていたと思うが原稿を紛失した為に、どんな当て字だったかよく思い出せない。
 ルールはアイテム管理と所持金管理のみ、サイコロも使わなかった記憶がある。
 ゲームの流れは一方向システムで、選択を間違えると即死亡と言うもの。内容はとんでもなく理不尽で今思うとあまりの展開に笑えてくる。
 例えば道中で立ち寄った店屋に“わらじ”と“ぞうり”と“ゲタ”を売っているシーンがある。ここで買い物をして“ぞうり”を履いておかないと、後で 必ずゲームオーバーになるのだ。もちろん事前にヒントなどない。
 なぜゲームオーバーになるかと言うと、しばらくして暗殺者と戦闘になる強制イベントがあるのだが、“わらじ”だと長旅の為に足をすっかり傷めて敵に遅れをとってしまうからなのだ。さらに“ゲタ”に至っては戦闘中になぜか鼻緒が切れてこけてしまい、そのスキに惨殺というオチがついている。
 他にも茶店でソバ大食い大会が開催されていて、見事優勝すると魔法の回復薬がプレゼントされることになっている。
 ここで以前に蛇から奪った謎の消化薬を使うと、ソバではなく体が溶けてしまうというスプラッタな展開もあった。これは落語のネタをそのまま使ったのだろう。
 それでも当時の私は大真面目だったようで、江戸の小説や本を読んで、宿賃や交通費など物価については史実に基づいて作成している。今思うと努力するところが違っていたと気づかされて泣ける苦労である。
 ストーリーは、序盤から金持ちの商家に潜入して1000両箱を盗み出したあとは、何処から沸いたかわからない刺客たちから逃げつづける内容。
 こう書くと普通だが、例え道端でも侍に出会ったら彼らは必ず攻撃してくる。(昔のファミコンソフト、「たけしの挑戦状」で街中の警官が通り過ぎただけで襲ってくるのを想像してもらえれば良い)
 特に“絶対無敵最強ウルトラスーパー侍”というキャラ(本当にこんな名前だった)がきわ目付けで、彼に出会うとどんなアイテムを駆使しても絶対勝てないという存在だった。分岐点で主人公に選んで欲しくない選択肢の先には、大概このキャラに出会うことになっており、ここでゲームオーバーにしたり、アイテムを奪い取ったりしてゲームバランスを取っているつもりだったのだから恐ろしい。

 まあ、このようにとんでもない作品であったのだが、当時は友人達に意外と好評であった。
 特に“絶対無敵最強ウルトラスーパー侍”は人気があった記憶がある。
さらに友人達には「(創元推理文庫の)ゼビウスだと、こんな風に工夫していたぞ」と助言までもらうなど話題のネタになった。現在でも日記のネタになるのだから、案外私はこの作品に感謝しなくてはいけないのかもしれない。


2003年02月04日(火) Mr.アイドルに首ったけ CHIGUHAGU探偵団(樹かりん/双葉文庫) その3

水谷さんに恋人がいるなんてショックだけど、美奈夜さんと捜査協力をすることになりました。
残念ながら捜査自体はふりだしです。その後、新聞にビックリニュースが飛び込んできます。

“水谷さん誘拐の犯人はなんと叔父!水谷さんは辛くも脱出するも再び行方不明に!”

なんでも水谷さんは大会社の御曹司だったそうです。芸能界ではその立場を隠していたものの、父親が病気になり跡継ぎ問題が急浮上。
水谷さんがいなければ、会社は自分のものになると思った叔父が、誘拐事件をおこしたものの失敗。水谷さんはその後、再び何者かにさらわれたという事らしいです。
まったく事件の手がかりが掴めないと言うのに、事件がなにやら複雑になってしまいました。
その後も調査を続けるものの、なんと容子と美奈夜さんまで誘拐されてしまいます。
現場に「これ以上事件に関わるな」と、不気味な脅迫状を残して・・・。


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いいところなのですが、ネタバレになるのでこれ以上のプレイ状況を書くのは、止めておきます。
大体どんな雰囲気の作品かわかってもらえましたか?
それにしてもこの作品、ペーパーミントシリーズでは平均的な作品かな、と思っていたのですが、最後までクリアして軽い衝撃を受けました。それは、

主人公達、いてもいなくても関係ないじゃん!

という事実です。
つまり美香ちゃん達の活躍に関わらず、事件は進行し勝手に解決されるのです。
もちろんエンディングでは、それなりに主人公達が報われる内容なのですが、客観的に見て彼らがこの事件の大筋に関われたとは到底思えません。良くても脇役です。
事実このゲームブックでは、捜査に行き詰まったり、素人探偵をしている事が親や警察にばれるとゲームオーバーになるのですが、それでも水谷さんは無事救助されたと、後で新聞などで知ることになっています。
ゲームブックにおいて、ここまで主人公達の地位の低いシナリオは珍しいです。ある意味、現実的とも言えますが。

他に特出すべき点は“宮沢リエにサインをもらった”とか“Winkみたいな感じ”とか、当時大活躍した芸能人の名前がポンポン出てくるところ。
今読むと当時を懐かしめる箇所ですが、きっと作者の方も10年後に読者がいるとは思わずに書いたのだろうなぁ。


2003年02月03日(月) Mr.アイドルに首ったけ CHIGUHAGU探偵団(樹かりん/双葉文庫) その2

捜査の為に、バー3件をハシゴして(もちろん未成年なのでジュースしか飲んでない)最後に高級フランス料理店で聞き込みをする。
所持金がたちまち減って不安になってきました。
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ここでゲームのルールをちょっと説明。
ルールは2つだけで、アルファベットチェックと所持金チェックと言う。
アルファベットチェックは情報を得たことを記憶する欄の事だが、面白いのは所持金チェックで3人の軍資金の事。
店で飲み物を注文したり、電車やタクシーを利用すると減っていき、お金が払えなくなると捜査は続行不可能。
即ゲームオーバーになるので、余計な行動や出費は禁物と言うわけだ。
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捜査も進んでわかったことと言えば、水谷さんの周囲に謎の美女が出入りしていたという事実。
まずこの女の正体を確かめないといけないという事になりました。
今までの調査では水谷さんがこの女性と一緒にいたとき「ほら、あそこに行こう。いつもの所へ」と言っていたらしい。
“いつものところ”だけじゃ、さっぱり手がかりにならないと思うのですが、さすがに水谷さんの追っかけを長年していた美香ちゃん。今まで週刊誌やらで読んだ情報を元に、3箇所くらいの検討をつけます。
情報源が怪しい気もしますしが、他に選択誌もないので、適当に選んで行って見ました。まあ、聞き込みくらいはできるかもしれないと思いましたが、すると・・・
なんとその謎の美女さんが目の前を歩いているではないですか!(なんて安易な展開なんだ)
慌ててつかまえると、彼女は“佐久間美奈夜”と名乗りました。なんと美奈夜さんは水谷さんの恋人だそうで彼女も水谷さんを捜しているそうです。
恋人発言に美香と容子は大ショック!

続く


2003年02月02日(日) Mr.アイドルに首ったけ CHIGUHAGU探偵団(樹かりん/双葉文庫) その1

今回はもはやこの冒険記録日誌ではおなじみ、少女向けペパーミントゲームブックの一冊を紹介します。
この本の主人公は高校一年生の美香ちゃんと言う子なのですが、悪友の容子とは大の仲良し。
プロローグで新聞で今人気絶頂の若手俳優“水谷雅之”が誘拐されちゃったのを知って二人は大ショック!
警察の力だけじゃ安心できない。私達の力で水谷雅之さんを助け出すわよ!と、同級生で推理マニアの男の子“昂”も加わえて三人で事件捜査に乗り出します。
単なる一ファンがそこまでするか?きっと恐るべき熱狂的なファンだろうとは思うのですが、実は美香ちゃんは密かに昂君が好きと言う、実にペパーミントらしい設定までついていて、水谷さんの身の上を心配しつつも、昂君と一緒に行動できるのを喜んでいます。女の子は気持ちの切り返しがうまいですね。

さて学校も放課後になり3人は水谷さんのマンションに向います。もちろん事件現場なので警察官がいて3人を追い返そうとしてきました。
ひとまず「粘って見る」を選択。すると容子が、
「うちのパパ、警視庁の本部長なんです。それでも、中に入れてもらえません?」
なんて言い出しました。そんなハッタリやばすぎるって!
そう思っていたら、なんとハッタリでなく本当の事だったらしく、無事に入れてもらいました。
でも聞いてないぞ!そんな唐突な設定!
とにかく、クローゼットに落ちていたマッチを発見した3人は、マッチのお店を尋ねることから始めます。
(うーん、ありがちなパターン)

続く


2003年02月01日(土) ムサシの剣(スティーヴ・ペリ−/二見書房)

「恐竜探検」、「海賊の秘宝」と続いたタイムマシン・アドベンチャーシリーズ最後の作品は昔の日本が舞台でした。
外国人作家が書いた日本ものというと、忍者が人間離れした強さだったり、中国文化と一緒になっていたり、全部和室の高層ビルがあったり、武士道に反した人間はすぐ切腹したりとか、妙な世界観を作っている作品を連想しますが、「ムサシの剣」は丁寧に日本の歴史を調べているのでその点はご安心を。
むしろ、日本酒は“米で作ったワイン”などと解説されているところとか、日本の予備知識のない人へ配慮された表現が面白いです。

今回の目的は、あの剣聖“宮本武蔵”の刀を手に入れる事。そのために主人公は350年前の日本を中心に宮本武蔵の生涯を追いかけながら、何度もタイムスリップします。
やはり選択誌を選んで行くだけのルールはシリーズ通して同じで、ゲームオーバーは存在しません。
間違った判断ばかりしていると、グルグル同じ所を読み返すようになるわけです。
ただ前のニ作品のように、いろんな歴史の場面に主人公が顔を覗かせるだけとは違い、主人公はなんとか宮本武蔵に接触して、彼の信頼を勝ち取ろうと悪戦苦闘する一つの物語になっていました。
ここで詳細は述べませんが、エンディングではしんみりとした感動を呼び起こします。
なんと言っても、今年のNHK大河ドラマは「宮本武蔵」。この本が最も面白く読める年ではないでしょうか。
ゲームブック初心者にも読みやすいので、宮本武蔵の生涯を楽しく学ぶ入門書として、普通の人にもお勧めしたい良書です。


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