夢中夜
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***この間は夢***ほかは現実です、たぶん。


2004年09月18日(土) 心の計算

あとどれくらいで
ちゃんと立ち直れるはずとか
あとどれくらいで
スッキリ終われるはずだとか
そういう心の計算がいまだにできない


2004年09月17日(金) 夜になっても遊び続けろ

今日遣り残したことがあって
明日はもうないと感じたとき

切々と迫ってくるフレーズがある
昔 研究室で見た本の題

『夜になっても遊び続けろ』


2004年09月16日(木) 犠牲

自分を貫くと
弱い者が犠牲になる

したいことするのが
エゴになる


2004年09月15日(水) 活字

空気のような活字
呼吸するように読む

いつでも読めるように
図書館の予約カードをストックしてある
酸素ボンベの本


2004年09月13日(月) 自転車

たぶんいまも埼玉にある私の自転車
たぶんいまも板橋にある私の自転車

走り去った思い出
忘れ去った思い出
置き去った思い出


2004年09月11日(土) 窓のおくのとおい景色

電車は秋を運んでいた。

半分だけ開いている窓の隙間から
いつもの習慣で外を眺めた。
青い芝生が古い映画みたいに灰色がかっていた。
色褪せて遠い景色。


ホームの上をたくさんの人が歩いているのが見えた。
隣の電車の窓側には、私と同じように誰かが座っていて
向こうのホームを歩いている人を見ている。
その奥にはまた電車があって、ホームが見える。
合わせ鏡のように縦にも横にも空間がつながっている。
果てしなくうつろな景色。


車体が虫の音みたいにキリキリと音を立てている。
マンションの明かりが均等に並ぶ。
ひとつひとつの灯りの下に誰かの生活がある。
その距離は遠く離れているような気がした。
黒い海のなかの漁船みたいに点々として。

多摩川を越えた。


2004年09月10日(金) 彫刻

彫刻が並んでいる
どれもこれもグロテスクな像をして
じぶんを主張している


2004年09月09日(木) 研ぐ儀礼

ある日

ずっしり重たい小包が届く
A本家原産のお米

研ぐたびにA本さんを思い出す
一日一度の儀礼


2004年09月03日(金) 青い春を描く人

青空が美しくて
空気がおいしくて
右手が寂しくて

そんな感覚を味わっている君の
のろけ話が永く続くことを祈る


2004年09月01日(水) 電車

***
池袋で待ち合わせをしていた。
友達は来なかった。長らく会っていない人だった。

ひとりで17分発の電車に乗った。
ギコギコと電車は動きだして、高崎へ向かった。

窓の外を見ると台風になぎ倒された町が見えた。
いつの間にか、電車は地上から70メートルぐらいの高架上を走っている。

風にあおられて、車体がぐらぐらしているような気がした。
竦みそうになりながら、携帯のカメラで眺めを撮った。

友達から電話があって、池袋に着いたというけど、
引き返す方法が分からなかったので、そのまま乗っていた。

電車は、急勾配を鈍いスピードで昇ってゆく。
***


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きみの星はやみの夜に輝いている
(Carl Hilty)
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