│←しょなのか。→│
はっきりいって、わからない。
なんでおばあが、しんで、 あたしがいきてるのか。 そんな、みんなからみたらつまらないことのどうどうめぐり。
息をしてなくても、心臓が鼓動を打たなくても あったかかったのに。 寒い部屋で、ドライアイスで冷やすから、冷たくなってしまった。
死体を見て泣くな、とある人が言っていたのが心に刻まれていて もらい泣きも、できなかった。
最期の別れにと、みんな寄ってたかって、目を真っ赤にして泣きながら ありったけのお華たちで、おばあを埋め尽くす。 足元には思い出の品や、好きなもの、日用品を添えて。
二日たっても、やわらかかった、 おばあのほっぺ、骨と皮だけの手。 それが、白いエレベーターから出てきたら、 白い骨になってた。
眼鏡は、レンズが溶けて、黒い縁だけ残されて 添えたリンゴとパイナップルだけは、炭になってた。
おばあは白い壺に入って、そのあとすぐに、 繰り上げ初七日法要も、済んでしまった。
93歳にもなって、あんなに人が参列してくれるとは思ってもいなかったし、 約100人もなんて、想像つかなかった。 初七日の前日も、おばあに会いに来てくれている人が絶えないそうだ。
悲しんでいる暇がないくらい、人の死は忙しいものだ。 おばあと住んでいた頃や、おばあの若いころの話を思い出して、 ひとりで、泣いたり笑ったりしてる。
ああ、時間は待ってくれへんのやなぁ。
ふっ、と 我に返って
また、のっそり動き出す。
§2007年07月23日(月)§ |