箱の日記
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歩道橋
雨の次の晴れた朝 何かの記念に造られた公園に架かる 郊外の歩道橋で やさしい気持ちになる すれ違った夫婦 下を通る国道のなりゆき どれもが誠実にある 太陽がきらめいている こんなふうであったらいい いつも雨上がりの晴れの日であったらいい 子供が蹴飛ばしたサッカーボールが 私の足下へ走ってくる 私は蹴り返す いつかのきみへ ボールは雨上がりにふさわしい駆ける音を残し 弓なりの弧を描いた
瞬間
太陽のギターが鳴り響く午後 キングスネイク川のほとり 釣り上げた黄金の魚は鱗を輝かせ 強く背を反らせた
思わず手放すと ひと跳ねもせず どぼん と 足下に消えた
この土地の空間を満たす粒子たち を通過する 光のすじ 笑いかけたのはジェイ 魚は 喋ったりなんかしないさ
さあ、 あれは 何の曲だったか。 私は渓谷を見上げた あと少しで思い出せそうだ
キミドリ
ギターを置いてきたけど 頭の中で繰り返すから 間違えたりしないし 歌だって歌える 僕はまんなかの席に座って 君のいる場所からはわからないだろうけど、 座席にくくりつけられて 安心しているよ
地球の遠さや 春に咲くキミドリたちの 「うん」 とか 「ねえ」 果てしないのは 腕につけた頑丈な時計のそれじゃなくて 地球とは反対側に向いた えいえんの窓
笑って手を振った君の 細いカラダは サヨウナラ 思い出したよ
始まりの曲 真ん中の それは一人きりの席で 僕はほっとしている
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