カンラン
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2003年06月25日(水) どろどろ






救いようのないどろり重たいへどろを抱えた沼の水

時折放ついやなにおい

深い深い底の方から

雨が降り続いてもその不透明さはとどまることを知らず

ますます沼底を下げては容積を増すようだ





どうしても覆いきれない心の闇







2003年06月22日(日) 水滴






浴室の壁を伝い落ちる水滴は、

蒸気へと姿を変えた

流れることを許されなかった涙。








2003年06月21日(土) がらすだまかふしあなか






道端に連なるように咲く幾輪もの向日葵を

見過ごすことなんてあるだろうか。




私には、ある。

それが生きているということなのかも知れないが、

思うに余裕に欠ける。

何と小さないのちよ。




健気な美しさや懸命さ-

見る者のこころひとつで

映り方に意味が生まれるものなんだ。








2003年06月20日(金) ふわり






喉元の熱いような痛みが消えた。




やさしさに触れると

もすこし下の辺がじぃんと暖かくなって

口元は自然と笑おうと伸びをする。




意識に左右されない感情の揺れは見過ごしがちだけど

おもむろにふわっとそよぐ風のように気持ちいい。




そんな風に気付かせてくれる存在が、あなたです。








2003年06月18日(水) 夕暮れ橋





お出かけらしいお出かけを随分長い間してなかったように思う。




仕事終わって駅に降り立つと

改札の向こうにまいさんの姿。

髪がうんと伸びたよう。

別に何ヶ月も会ってなかったというわけでもないけどね。

ちょっとばかし照れくさい。




街までの道をゆっくりゆっくり

ふたつの口から飛び出す話をひとつひとつ

広げては畳むようにして歩く。








まいさんが選んだ父の日のプレゼントは

きれいな麦わら帽子だった。








2003年06月17日(火) けむのなか






前々からうすうすひっかかっちゃいたけど、

私はおつむをどこかに置き忘れてきたようだ。

いつかどこかに。





そう。

そんなだから、

考えてるようで考えちゃいない。

聞いてるようで聞いちゃいない。

分かってるようで分かっちゃいない。

見てるようで見ちゃいない。

いろんなものをやり過ごしてる。

すぅーすぅーっと。





でもだからって楽じゃない。

とても低レベルなことだったり、

どうしようもないこと、

くだらないこと、

つまらないこと、

(↑誰と比べて?・・・イッパンってやつか?)

そんなものに埋もれそうになりながら

今日も一日を過ごしてる。





自分がいままで躓きも拾い上げもしなかった物事に

どういう具合かふと心を寄せる瞬間がある。

ごくたまに。





今日は久しぶりの仕事の帰り、

長距離電車に揺られてうつらうつらしていると

膝上のカバンからちらりのぞく

封筒に目が止まった。

あぁ、お香典もらったんだった。

それから眠気がぶわっとかぶさってくるまでのほんの少しの間、

オコウデン

おこうでん

お香典

あぁ、これって

「これでお香でも買いなさい。」っていうお金なのかと

阿呆のように思う。





葬儀会社からもらったお線香は

いかにもお線香な香りで、

お母さんは「いいお線香が欲しい。」って言ってた。





お香典か。

いいお線香か。





いいかおりのするいい言葉。








2003年06月12日(木) 記憶のための記録





おばあちゃんが死んだ。





長年にわたりあれこれ問題の種そのものだった

あのおばあちゃんはもういない。





私たちはまるで騙されたかのように取り残された。

突然。





まるまるころころとしていた体は

他界するほんの少し前にしゅるしゅるとしぼみ、

細ぉく薄っぺらになっていた。





東京から舞い戻ってきた弟のアールは、

「実感がない。」とぼそっとつぶいた。





おばあちゃんが死んだ朝、

私は生理になった。

ずんと重たくなる体を感じながら、

生きているんだなと

病院のトイレでぼけっと思って泣いた。





おばあちゃんがいなくなり、

ほんの少し軽くなってしまった地球の上。








2003年06月10日(火) あ。




ツバメよ

たった今

目があった



あったのは

間違いなく

このわたし





2003年06月08日(日) ポケット




静まりかえった夜の道

ぽうっとともる家の明かりが好き

白々しい蛍光灯じゃなく

寝室のやわらかな明かり

どんな人も一日を終える穏やかなひととき

人間を嫌いにならずにいさせてくれるやさしさを

今日もありがとう







2003年06月05日(木) なつかしかわいい港町




ずっと訪れてみたかった街へ。

・・・とは言うものの、仕事で。

けれどもこれを有効活用しない手はない。



予定より早く終わった集い。

持たされた重たい紙袋を一旦駅のコインロッカーに放り込んで

てくてくてくてく人もまばらな大通りを歩く。

背中に穏やかな海、正面にはそびえ立つ壁のような山。

右を見ても左を見てもどこもとても新鮮な風景。



ふらっと立ち寄ったお店で

貝殻のベルトとアップルシナモンのお香を買った。

自分へのおみやげ。



・・・それにしてもびっくり餅って何だ何だ。







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