また帰って来たロンドン日記
(めいぐわんしー台湾日記)
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2004年03月23日(火) |
ロンドンで盲腸の手術をする(4) |
(3月28日に記入)
昨日より続く。
レントゲン写真、血液検査の結果と紹介状を携えノーザン線ホームへ。エスカレーターを下るときにもめまいがする。地下鉄の電車に乗り込む。今思えばけっこう意識朦朧としていたような。二つ先のキングス・クロスでピカデリー線に乗り換え。ここからは一本でアールズ・コートにつく。
日系診療所で持たされたレントゲン写真が大きすぎて座っても居心地が悪く落ち着かない。ヒマなので本を読もうとするが、持ってきた本が「『春秋』と『左伝』 戦国の史書が語る史実・正統・国家領域観」しかない。何もないよりはいいのでこの本を読むことにする。うーん。こういう本は調子のいいときに読むものなんだなぁ、、、。
アールズ・コート駅到着。歩いてクロムウェル・ホスピタルへ。この病院は以前に耳が痛くなったときに検査にきたことがあるのと、すぐそばに住んでいたこともあるので、すぐにたどり着くことが出来た。
受付で名前を告げるが、どうも要領が悪い。
俺 「ハキム先生にお会いしたいんですが」 受付「ハッキーム教授は今日お休みです」 俺 「先程、日系の診療所から紹介されてきたのです」
いろいろと埒のあかない話をしていると、隣の席からその件は承知しているとの声が聞こえてきた。
「お呼びしますので、しばらく待合室でお待ちください」
しょうがないので待つことにする。ヒマなので携帯のメッセージを友達に送りまくる。フィンランド人のクラスメートペッテリから電話がかかってくる。
ぺ 「今どこにいるの?」 俺 「病院についたところ。待合室で待ってる」 ぺ 「病院の中で携帯出ていいの?」 俺 「みんなそうしてるからいいみたい。日本じゃだめだけど、、、」 ぺ 「これからどうするの?」 俺 「とにかく診察を受けて、たぶん手術かな」 ぺ 「誰か一緒にいる? それとも一人?」 俺 「一人だよー、、、。」 ぺ 「そっちに行こうか? 今日は予定もないし。」 俺 「まじ?? たのむよー」
ということで、ペッテリが付き添いにきてくれることになった。待合室で待つこと15分。愛想のよい東洋系の若い男が近寄ってきた。
男 「ミスター・クラタ?」 俺 「はい」 男 「こちらへどうぞ」
と、待合室のすぐ横の小さな部屋に案内される。こんなにすぐそばに診察室があったのか。と、思ったら、どうもなにかが違うようだ。まず氏名、住所、電話番号の確認。そして、
男 「病院内で出来ることや規則について一通りかいてありますから 理解したらサインしてください。」 俺 「はぁ」
さーっと目で追ってサインをする。こんな状態でいちいち外国語でこまごまと書かれた文書を理解できるわけがない。
男 「ではですね、まず保証金として2000ポンド(40万円) 払っていただきます。 俺 「はい?」 男 「これからの手術、入院費用のうちですね、 先に2000ポンド払っていただくことになります。 足りない分はあとで追加して払ってください」 俺 「え?」
この人、どうやら支払い担当の人らしい。日系診療所での診察は急性盲腸炎だったが、ここの病院では診察も受けていないのに、もう入院とか手術とか決まっているのか?
俺 「まず、ハッキーム先生に診察してもらうんじゃないんですか?」 男 「あとで診察されますよ。で、どうやって支払いますか?」 俺 「あぁ。クレジットカードで、、、」
そんな大金を支払う準備など出来ていないのでパニクる。クレジットカード2枚で何とか払うことができた。
男 「はい。では準備は出来ましたよ。もう一度待合室でお待ちください。」
待合室の戻ると、もう既に違うひとが俺を迎えにきていた。
違う人 「ミスター・キュレイータ Mr. kurata?」 俺 「はい。クラタです」 違う人 「オーケー。こっちにきてください。」
その人について、病院の中へとはいっていく。エレベーターに乗って上の階に行くらしい。エレベーターが着いて戸が開く。と、顔をベールで完全に隠した中東系の女のひと達が3人現れる。この人達、なぜかエレベーターの中から出ずに、お互い何かを言い合っている。言葉がぜんぜんわからない上に頭から足下まで黒ずくめで覆われているので、こっちからするとかなり異常な行動を取っているように見える。しばらくすると、3人のうちふたりが降りてひとりがエレベーター内に残ることになったらしい。我々もエレベーターに乗り込む。
エレベーターを降りると、ここは病棟の入り口らしい。
違う人 「これが通行証です。これがパスワードね。」 俺 「あ、この3284ってやつですね」 違う人 「そうそう。パスワードは毎日変るからね」
かなりセキュリティーの厳しいところらしい。今渡された通行証を見ると、俺の名前のつづりが微妙に間違っている。なるほど、それで「ミスター・キュレイータ」だったわけだ。ナース・センターのようなところに到着。
違う人 「240号室だから、、、こっちですね」 看護士 「ちがうよ。244号だよ」 違う人 「ごめんなさい。じゃ、反対だ。」
なんともきれいな個室の病室に到着。
あれ??? ちょっと待って!! 診察はしないで即入院なのか?
(つづく)
付録【一口英語レッスン】
・レントゲン X-ray(エックス・レイ)
・エスカレーター escalatorで良いと思っていたら、 イギリスではmoving stairsというらしい。 この前エンジェル駅前のワーナー映画館でエスカレーターを前にしたイギリス人が うれしそうにこう言っているのを聞いた。
北京語では電動扶梯dian4dong4fu2ti1(ディエンドン・フーティー) または自動扶梯zi4dong4fu2ti1(ズードン・フーティー)
・地下鉄 underground(アンダーグラウンド) 口語ではtube(チューブ)もよく使う。 subway(サブウェイ)は米語。 イギリスでsubwayというと「地下道」という意味になる。
フランス語ではmetro(メトホ) 北京語では「地鉄」di4tie3(ディーティエ) 広東語では「地鉄」deih-tit(デイティッ) 台湾の首都台北では地下鉄のことを「捷運」jie2yun4(ジエユン)という。 ・「春秋」 中国の古典。英語では直訳して"Spring and Autumn"
・エレベーター lift(リフト)と言うのがイギリスでは一般的。 アメリカでは日本語同様elevatorというらしい。 車で送ったりするときに I will give you a liftとかも言う。 北京語では「電梯」dian4ti1(ディエンティー)
・中東系 Middle Eastern(ミドル・イースタン) ・イスラム教徒 muslim(ムスリム) ・ベール veil
2004年03月22日(月) |
ロンドンで盲腸の手術をする(3) |
(3月24日(水)に記入)
昨日から続く→
あさ6時をまわって、やっと安眠できるという期待感。しかし今日までに提出しなければならないレポートがあるので、早起きして付属資料を作成して(実際には本の図表をコピーして切り張りしてまとめるだけ)、レポート本文と一緒にクラスの人数分コピーしておかなければならない。授業は午後3時からで、このときにレポートを配り、クラスで軽くプレゼンをすることになっている。とりあえず寝ることにする。
9時半ごろ起床。やはりまだ下腹部に違和感がある。お灸パワーで一時的には奇跡的な回復を見せてはいるものの、盲腸炎の疑いはまだぬぐいきれない。日系の病院に電話して予約をとる。2時20分の予約がとれる。
とりあえず学校に行きコピー。会いそうだなーと思っていたら、案の定、学校の前でクラスメートにすれ違う。
俺 「今日、俺の顔色どう?」 彼女「うーん、あまりよくないね」
病院の予約が2時20分なので、授業には遅れるかもしれないと伝える。なんか身体がだるい。おなかが空いてきたので、学校の売店で、いつもなら絶対に買わない「すしセット」を買う。さけ、さば、えびのにぎり、そして小さなツナの巻きずしが二切れ入って3ポンド50ペンス(700円)。それとイチゴの飲むヨーグルトを買って、大学本館前のベンチで昼食。
今日もけっこう暖かい。そうそうに食べ終わってオールド・ストリートOld Streetにある診療所へ向かう。2時過ぎには到着。すぐに診察を受ける。先生に一通り症状を言う。
先生 「最後に食事をしたのはいつですか?」 俺 「さっき少し食べましたけど」 先生 「あー、そうですか。」 俺 「食べないほうがよかったですかねぇ?」 先生 「いや、もう食べてしまったものはしょうがないからね」 俺 「???」
ベッドの上に横になる。いろんなところを押されたあとまたイスに戻る。
先生 「結論を申し上げる前に、一通り検査をしておきましょう」
血液検査とエコーをやることに。エコーはゼリーが腹部に塗りたくられて変な気分だった。実はこの病院で血液検査を担当しているひととは知りあいなのだが、採血したあとの検査結果をみて駆け寄ってきた。
彼 「ちょっと、だいじょうぶ?」 俺 「俺は大丈夫だけど、炎症出てたの?」 彼 「出てるよ。って言うか、かなり出てる。」 俺 「そうなんだ。それってやばいのかな? やっぱり虫垂炎かな?」 彼 「診断は担当医が下すので、僕はいえないんだけど、ばりばり盲腸っぽいね。」
ここにきて、急性虫垂炎(盲腸炎)である確率が急激に高くなってきた。ちょっとどきどき。でも、なぜか俺はもう腹をくくっている。この事態を楽しもうとさえ思っている。先生に呼ばれ、再度診察室へ。
俺 「どうですか?」 先生「下腹部の痛みには通常2種類あって、ひとつは泌尿器科系、ひとつは腸です。 尿検査の結果、異常が見られないので腸の方の可能性が高いと。 で、可能性としては90パーセント盲腸だと思います」 俺 「そうですか、、、。」 先生「あとの10パーセントは三つの可能性があって、、、」 俺 「最近は手術しなくても抗生物質で治す方法があると聞きましたが、、、」 先生「手術ですね。出来れば今すぐがいいです。 どんなに遅くとも明日の朝までですね。保険はありますか?」
即座に日本の保険会社に電話をさせてもらうが、日本時間は夜中で担当者がいない。親に電話して手術を受ける旨を伝え、自分の持っている保険が盲腸炎をカバーしているかどうか確かめてもらうように言う。紹介状をもらいアールズ・コートEarl's Court駅の近くのクロムウェル・ホスピタルCromwell Hospitalに向かう。オールド・ストリートからはキングス・クロスKing's Crossでピカデリー線に乗り換えれば一本でいける。駅までゆっくりと歩いていく。オールド・ストリート駅に着くと、入り口に若いホームレスが一人座っている。
俺 「ハロー。」 ホ 「どうもありがとう。」 俺 「これから手術することになってね」 ホ 「そうなんだ。やっぱり目が悪いの?」 俺 「いやいや、盲腸」 ホ 「そうかぁ。すぐそこに目の病院があって、そこの患者が多く通るから目かと思った。 俺も昔盲腸はやったことあるよ。 たいした手術じゃないしよくあることだからきっとうまく行くよ。」 俺 「ありがとう! いい一日を!」 ホ 「うまくいくといいね。どうもありがとう!!」
財布の中の小銭を彼に渡すと地下鉄の駅の方に向かった。ホームレスの彼は大きな声で何回も礼を言って、きっとうまく行くよと親指を突き立てた。(つづく)
付録【一口英語教室】
・盲腸炎(虫垂炎) appendicitis(アペンディサイトス) ・泌尿器科系 urology(ユオロロジー) 蛇足ながら日系診療所の医師が、大腸付近を図解しながら告げた その他3つの可能性とは 1、diverticulitis(憩室炎) 2、lymphadenitis(リンパ節炎) 3、ileocolitis(回結腸炎) だった。
・ホームレス homeless guy ・ハロー hello 言わずと知れた挨拶の言葉だが、カジュアルには 「Hi ya!(ハイヤ)」なども使われる。 ・ありがとう Cheers, mate!(チアーズ、メイ) これまた非常にカジュアルな言い方。mateを「マイ」と発音すると、 ロンドンの下町言葉コックニー・アクセントcockney accentになり地元化が加速される。 ハローと言うときにHello mate!と言ってもいい。mateは友達という意味。 ・いい一日を have a good day ・うまく行くといいね Good luck! ・小銭 change ロンドンのホームレスがよく言う言葉に「Spare change, please」がある。 「余分な小銭があったらください」と言う意味。 ロンドンのホームレスは、昔サンフランシスコに行ったときにからんできた アメリカ人のホームレスに比べおとなしく、礼儀正しい印象がある。
2004年03月21日(日) |
ロンドンで盲腸の手術をする(2) |
(実際は3月24日(水)に記入)
昨日から続く→
とにかく痛くて痛くてどうしようもないので、この怪しいツボの古文書(?)の記載を信じてやってみるしかない。いつの間にか、これにかけてみるしかない、そんな気持ちにすらなっている。 それで、よくお世話になっているサイト「BBH 361穴 経穴図鑑」 http://www.asahi-net.or.jp/~kf6i-ogw/index.html
をおとずれ、この3つのツボ「気海・腎愈・太谿」を探すことに。50音別索引で「きかい」をさがす。気海はへその下から指一本分開けたあたりにあり、押してみると張っていて痛い。まずはそこに日本から持ってきたお灸「カマヤミニ」をすえることに。
まずは一発目。ものすごい激痛。こんなに激痛が走って効かないはずはないと、その近辺に何個もお灸をする。毎回強烈な痛みを感じる。そして、足首の内側、くるぶし上部にある「太谿」に移動。昨晩から左半身がものすごく冷えていることに気がついていたので、身体を暖めることで痛みは和らぐと考える。左足の次は右足に据える。身体がぽかぽかしてくる。最後に腎愈。このツボは背中の腰骨の辺りにあるのだが、押して着るとものすごく効きそうな予感。鏡の前に立ち、お灸をひっつけていざ火をつけようとすると、方向感がつかめずライターで火がつけづらい。親指の先をやけどしてしてしまい、ひとりではやはり背中は無理と断念。気海付近には全部で10個以上、両足首にも合計8個のお灸をした。
不思議なことに痛みはほとんど消えてしまい、身体もぽかぽかになる。急におなかが空いてきてご飯を食べることに。食べ始めるとものすごい食欲。ご飯を食べ終え、時計を見たときにはもう朝の6時を回っていた。(つづく)
付録【一口英単語】
ツボ acupuncture point(アキュパンクチャー・ポイント) お灸 moxibustion(モクシバスチョン) 中国語では「灸jiu3」「灸治jiu3 zhi4」 もぐさ moxa(モクサ)
2004年03月20日(土) |
ロンドンで盲腸の手術をする(1) |
(この記述は3月23日(火)にしています)
春の珍事。火曜日のよる九時ごろ、水曜提出のレポートを仕上げ、遅い夕食をとる。食べ始めると不思議なことにほとんど食欲が無い。下腹部がちょっと痛い。変だなーと思いつつも、食事にラップをして冷蔵庫に入れる。
よる12時過ぎ、またもや腹痛。どうせ「下痢だろう」と高をくくる。深夜3時、あまりの腹痛に飛び起きる。こんなひどい痛みは滅多に感じない。しかも、いつもの下痢の時の痛みとはどこかが違う。下腹部がこれだけしくしくと痛んでいるのに便意が全く無いのはおかしい。誰が言ったわけでは無いが、無意識に盲腸の可能性を疑い出す。あまりの痛みに居ても立ってもいられず、パニクる。しかし、近年救急医療のお粗末さがよく報道されているイギリスで救急車を呼ぶという勇気は当然ない(笑)。仕方がないのでインターネットで情報を得ることに。
「下腹部から右下にかけての痛み」「食欲不振」「悪寒・震え」「なぜか晴れた日に発病しやすい(笑)」などなど。うーん、昨日の春のような陽気といい、クレジットカードが地下鉄の自動販売機に吸い込まれたりと、これはどうも盲腸くさいなぁ(笑)。
しかし、ここは日本ではない。夜中3時、日本では家族に頼んで救急病院にいくだろう。「ゆりかごから墓場まで」という言葉があるが、第二次大戦後世界に誇った社会福祉、日本が模範にさえしたというイギリスの国民健康保険制度(NHS=Natinal Health Services)は近年イギリス本国では見る影も無い。救急で運ばれてきた心臓病の患者が、2日以上放置された末に死に至ったというようなショッキングなニュースは、渡英以来たびたび耳にしている。つまり、
救急車を呼んで、盲腸で死ぬのはいやだ!!
仕方がないので、朝になるまでこの強烈な痛みを少しでも和らげよう。ときどき激痛に耐える強烈な叫び声を発しつつも、インターネットで腹痛、盲腸炎に有効な「ツボ」を探すことに。
あった、あった。だけど、なんか強烈。
盲腸に有効なツボ 「気海・腎兪・太谿」《沢田流聞書鍼灸眞髄》 「猛烈なる痛みを頓挫せしむるには気海1穴に30壮〜50壮すえる。 それで痛みが即座に止む。」
うーんかなり怪しい。30壮というのは、たぶん針を刺すことをいっているのだろう。いかに怪しかろうとも、困ったときはやはり東洋医学に頼るのがいちばん。ハリは出来ないが、日本から「せんねん灸」と「カマヤミニ」を持ってきているのでこのツボにお灸をすることに。(つづく)
2004年03月17日(水) |
クレジットカードが吸い込まれた!? |
今日はものすごく暖かく小春日和。みんな外に出てつかのまの太陽を楽しんでいる。人々の顔にも笑顔があふれ、この天気が出来るだけ長く続いたらいいなぁと思う。
さて、こんな天気のいい日にはちょっと変ったことが起きる? プールでひと泳ぎして、学校の前で友達と歓談したあと、家に帰って明日提出期限のリポートを仕上げるためラッセル・スクエアRussel Squareの駅にむかう。いつも通りに新型の自動販売機で切符を買おうとクレジットカードを入れると、おかしなことにカードが戻ってこない。
「あなたのカードからお金は引き落とされません」
といったきり機械はうんともすんとも言わない。困って係員を呼ぶボタンcall for assistanceを押す。そのままお待ちくださいwait by machineの表示。待つこと五分、機械の後ろで何やらがちゃがちゃ音がして急に販売機が「復旧」。復旧してもカードは戻ってこない。しょうがないのでもう一度係員呼び出しのボタンを押す。
困るのは係員がだれも出てこないことと、もしかしてクレジットカードがいきなり販売機から出てくるかもしれないこと。ラッセル・スクエアは大英博物館が近く、ホテルもたくさんある。下手にこの場所から動いてはいけない。待つこと10分。何も変った様子はなく、この販売機で切符を買おうとする人たちに「ちょっと問題があって、、、something wrong with this machine」とか「今、これ止まってますit is not working now」とか説明することになる。幸い駅が混んでなかったので、いちばん近くの出札口に走り状況を説明する。
5分後、この駅員が窓口の中から手を振る。行ってみるとぶっきらぼうに身分証明を要求。
"ID please"
学生証を見せると、駅員は内部処理の書類を記入し、すぐにカードが返ってきた。
むかしなら「ソーリーsorryの一言もない」と憤慨していたところ(笑)だが、ここはロンドン、カードが返ってきたことを喜ぶべきであって、いらいらしても一文の得にもならない。
It is very London すごくロンドンっぽい
もともと支払うはずだった2ポンド(約400円)がクレジットカード明細書に書かれている確率は経験上すごく高いが、もしそうでも、この2ポンドを取りかえそうとすると何十倍もの労力を消費することになるのでやらない。
そういえば、むかしフランスに留学しているとき、同じ学校の日本人の友達がカード関係のトラブルに巻き込まれたことを思い出した。彼女はお金を引き出そうと銀行のATMにカードを入れたところ、どうしたわけか吸い込まれてしまった。運悪くこれが金曜日の夕方、日本人らしく月曜日を待ってその銀行の窓口に行って事情を話すと
「そんなカードはない」
と門前払い。警察に行ってもまともに取り合ってもらえず、困ってしまった。何日か後に日本の実家に電話をかけると母親が
「あなた、こんな大金、いったい何につかったの?」
という。そして彼女はとんでもないことに巻き込まれたことを知ることになる。カードが吸い込まれたその日、日本円にして50万円以上が約10ヶ所の銀行から現地通貨フランス・フランで引き出されていたのだ。これはどう考えても、吸い込まれたカードに触れることが出来る、銀行内部の誰かの犯行である。非常に分かりやすい形で、フランス人の職務上のモラルの低さが露呈した形になった。
その後彼女は再三この銀行に足を運ぶが、ここの銀行員はまともに対応しない。警察に行ってもまともに対応されない。彼女の対応のまずさを指摘することは出来ても、こういうことが「先進国」(笑)であるフランスで起こりうるということ、銀行や警察が外国人に対してこんなにもひどい対応をすることがあることを、当たり前のこととして予期できなければ、普通パニックに陥る。こんなとき、あなたならどうする??
今日は、カードが返ってきてつくづくよかったと思ったのだった。
2004年03月16日(火) |
【映画】HERO 英雄 |
【All Cinema Onlineより】
HERO 英雄
上映時間 99 分 製作国 香港/中国 公開情報 ワーナー 初公開年月 2003/08/16 ジャンル アクション/歴史劇/ミステリー 《公開時コピー》 この国はまだ、本当の英雄<ヒーロー>を知らない
監督: チャン・イーモウ Zhang Yimou アクション監督: チン・シウトン Ching Siutung 製作: ビル・コン Bill Kong 脚本: リー・フェン Li Feng チャン・イーモウ Zhang Yimou 撮影: クリストファー・ドイル Christopher Doyle 衣装デザイン: ワダエミ Wada Emi 音楽: タン・ドゥン Tan Dun 出演: ジェット・リー Jet Li 無名(ウーミン) トニー・レオン Tony Leung 残剣(ツァンジェン) マギー・チャン Maggie Cheung 飛雪(フェイシエ) チャン・ツィイー Zhang Ziyi 如月(ルーユエ) ドニー・イェン Donnie Yen 長空(チャンコン) チェン・ダオミン Chen Dao-Ming 秦王(チンワン)
「紅いコーリャン」「初恋のきた道」のチャン・イーモウ監督がアジアを代表するスタッフ・キャストを集め、壮大なスケールで描く一大歴史スペクタクル巨編。秦の始皇帝を狙う当代きっての3人の刺客をすべて討ち取ったという一人の男の語る驚愕の物語が華麗な歴史絵巻の中に展開する。 紀元前200年、戦乱の世の中国。ある日、のちに始皇帝と呼ばれることになる秦王のもとに、無名と名乗る一人の男が拝謁する。男は、最強と恐れられた趙国3人の刺客をすべて殺したという。その証拠にそれぞれの名が刻まれた一本の槍と二本の剣を携えていた。無名は、十歩の距離まで近づけば如何なる相手も一撃で仕留める剣術“十歩必殺”を極め、3人の刺客を討ち倒したという。暗殺者たちから身を守るため百歩以内に誰も近づけようとしない秦王だったが、無名の功績を認め特別に十歩の距離まで近づくことを許し、早速3人の刺客たちを討ち取った経緯を語るよう促すのだった…。
【感想】
台湾に留学中に話題だった映画。どうも日本での上映がどうだったのか、台湾であれだけ盛り上がっていたのに、日本でこの話をすると知っている人はほとんどおらず妙な気分だった。イギリスではというとこの映画よりもアン・リーの「グリーン・デスティニー」(臥虎藏龍 CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON)の方が話題性が高いような気がする。ま、これあくまでも自分の周りのはなし。
HEROは台湾では友達達の評判を聞いてもどうしても映画館に行く気になれず、そうこうしているうちに上映が終わってしまった。香港のネットショップでVCDを購入。送料無料キャンペーン中だったので「ウォーターボーズ」の中国語字幕版と一緒に購入。ちょうど一年前台湾で見たのだが、今日レポートをやるのに気が向かずもう一度見てしまった。
この映画嫌いじゃない。とくに感動するというわけでもなく、どこがすばらしいというのでもない。特にコメントはないのだが、「あそこのお好み焼きやうまいよねー」という感じで、よく来るお店という感じ。気分転換になる。チャン・イーモウ(張藝謀)のかかわっている映画は好きで、ゴン・リーが田舎の奥さん役を演じ、村長に股間を蹴られてけがをした旦那に代わって裁判所に訴え、最終的には中央政府にまで行ってしまう「秋菊(しゅうぎく)の物語(秋菊打官司 THE STORY OF QIU JU)」や国共内戦から共産党政権下を生き抜く「活きる(活著)LIFETIMES LIVING TO LIVE)」など、微妙な感覚、そして躍動感あふれる描写に惹きつけられる。
監督ではないが張藝謀が撮影を担当したチェン・カイコー(陳凱歌)の「大閲兵」が個人的には大好き。これ紹介したほとんどの人に「つまらない」と言い放たれ、いまだにこの映画が好きな人に会ったことがない。陳凱歌監督の映画だと「始皇帝暗殺」もよかった。
2004年03月15日(月) |
【ほん】養老孟司「バカの壁」 |
【紀伊国屋BOOK WEBより】
「バカの壁」 ・養老 孟司【著】 新潮新書 204p 18cm 新潮社 (2003-04-10出版) [新書 判] NDC分類:914.6 販売価:\680(税別) ISBN:4106100037
イタズラ小僧と父親、イスラム原理主義者と米国、若者と老人は、なぜ互いに話が通じないのか。そこに「バカの壁」が立ちはだかっているからである。いつの間にか私たちは様々な「壁」に囲まれている。それを知ることで気が楽になる。世界の見方が分かってくる。人生でぶつかる諸問題について、「共同体」「無意識」「身体」「個性」「脳」など、多様な角度から考えるためのヒントを提示する。
第1章 「バカの壁」とは何か 第2章 脳の中の係数 第3章 「個性を伸ばせ」という欺瞞 第4章 万物流転、情報不変 第5章 無意識・身体・共同体 第6章 バカの脳 第7章 教育の怪しさ 第8章 一元論を超えて
【この本をお薦めします!〜紀伊國屋書店京橋店・総務担当】 タイトルのわりに内容が固くて読みにくそう?「バカの壁」をつくらず是非読んでみて下さい。自分がいかに知ってるつもりで生きてきたかわかります。
【感想】
うーん、養老さんの問題意識みたいなものが、自分のそれとかぶさるようなかぶさらないような、、、、微妙な感じ。前の日記にもちょっと書いたがこの本の中の「個性」に関する記述はいい刺激を受けた。まぁ、養老さんのはなし口というのは、「古武術の発見」での甲野善紀さんとの話を見ても、かみ合っているようないないような感じなので、あまり深く考えないことにしよう。
ただ、気になるのは、この本がなんと形容していいのかわからないが「インテリ諸君」(?)に大人気ということなのだろうか。この本の帯には大きく「朝日、毎日、読売各紙で大絶賛」と書かれている。誰がどういう理由でこの本を絶賛しているのかよくわからないが、どうも本屋でこの本を手に取ったときからこの帯が気になっていた。すると、びっくりしたことに紀伊国屋書店のBOOK WEBで検索したときに、上記のような異例の「京橋店・総務担当の推薦文」がくっついていた。どうも一つの「傾向」が浮かび上がってくるように思える。
皆さん、そんなに
「世の中のことをわかったつもりで生きてきた」のですか?
俺にはその方がよほどびっくりで、新しい発見です。
しかし、言われてみれば、なるほどそうなのかもしれないなという記憶に多く思い当たる。日本に帰ってから将来のことを考えても、「世の中のことをわかったような気がしている人たちが多くいる」という視点を持っておくことは、役に立つことかなと思う。遠い世界のことではなく、日本にいても目の前に広がるだろう異世界。そこにこそ「バカの壁」が立ちはだかることを実感するのだろう。それこそがこの本から学びえたことだったような気がする。
こうやって今日もバカの壁を再構築していく。「バカの壁が悪い」のではない、バカの壁はどうしてもできるのだから頻繁に作り替えればいいのではないか。実は俺、最後までこの人が言う「バカの壁」という言葉にどうしても慣れなかった(笑)。
いきなりだけど、俺、基本的に後悔のない人生を送っている。改めてこういうふうにいうとなんか変な感じだけど、基本的にはそうだ。こう言いきれる。ただ一つ昨日、急に後悔する出来事を思い出した。正確にいうと「思い出した」のではなく、「後悔するようになった」というほうが正しい。
というのは、当時はそうすることがいちばんいいと思っていたし、昨日考えが変るまでも、やはりそうすることがいちばんよかったと思っていたからだ。が、しかし、昨日急に考えが変った。また一段と現実的に、プラグマティックになりつつある気がする。こういう自分の変化に一抹の不安がないわけではないが、基本的には自分にとって必要な変化だとおもっている。
敢えていえば、この変化が、今後日本で暮らしていくに際してどういうふうに影響していくかだろう。今、イギリスで暮らすこと、もっといえば海外で暮らすことに対しての順応は十分できた。さぁ、日本に帰ったらどうなるだろう? もっともっと柔軟に接しなければいけなくなるだろう。基本的には、いま俺がロンドンで人々に対しとっているのと同じ「異文化対応」=「ニュートラル対応」を維持したうえで、相手から受けるであろう「同一文化対応」=「あんた同じでしょ?」対応に、ロンドンより柔軟に対応しなくてはいけなくなるはずだ。有り体にいえば、話しているないようがすべてわかってしまうため、もっともっといらいらする(笑)はず。より相手を判断しないことが求められる。
いま、後悔というのは思っていたより悪いものではないなと思っている。それは考え方がはっきりと改まることによって生み出されるものであり、同時にはっきりとした目的を内包するものだからである。ということで、ここぞとばかりこの週末はしっかり後悔して、この新しい感覚を楽しむことにした。
気がつけば三月も半ばになっている。1月から3月をどう過ごすかというのは俺にとっては結構大切な問題だったりする。そしてその後は軽い変化が訪れる。
ときどき自分の変化に疲れて、昔の気分に浸ろうとすることがある。昔の気分というのは必ずしも「いい気分」とは言い難いのだが、まぁ、これは言うなれば斉藤学氏のいうように「アディクション=嗜癖」の一種であると考えれば納得がいく。言い換えれば、これはたばこや、酒、もしくはドラッグのたぐいのようなものである。必ずしも気持ち良いものではないが、気がつくとなぜかそういうことを繰り返しているというもの。こういうものをやめようとするときに、一気にやめようとしてもなかなかやめられないという話はよく聞く。
一気に完全に変えてしまおうやり方では、たぶんうまく行かないということがわかっているので、ときどき昔の気分に浸ろうとするのだろう。ただ、この昔の気分から「脱することができない」となれば、また別の問題が生じてくる。元の木阿弥になってしまう。だから「変りたい」という気持ちと「急激に変りたくない」という気持ちを両方尊重して、この気分を「楽しむ」ことにした。そうすればより自由にこの状態と、変りつつある自分の今の状態とを相互にスイッチすることができる。
こういうときは、理屈っぽい左脳よりも、気ままでペシミスティックな右脳の方が優位であるらしい。ので、論理的な本よりも小説やまんがなんかのほうがいいのだが、どうも適当な本がない。机の上にあるのは「水滸伝の世界」「新・戦争学」「合気道の科学」などで、どうもいまいちリラックス度が低い。さすがにこういうときは、やっぱり日本に帰って、少しRPGゲームをしたり、漫画を読みふけったりしたいと思う。
2004年03月12日(金) |
【ほん】北海道田舎移住日記 |
【紀伊国屋BOOK WEBより】
「北海道田舎移住日記」 ・はた 万次郎【著】 集英社文庫 [文庫 判] NDC分類:914.6 販売価:\571(税別) 集英社 (1998-07-25出版) 291p 15cm(A6) ISBN:4087488136
東京を引き払い、北海道・下川町に家を借りた。崩壊寸前だが一軒家、しかも家賃は東京の青空駐車場よりも、いやひと月のタバコ代よりも安い! 愛犬ウッシーとともに、水道もウンコも凍る零下二十度をしのぎ、ヒグマを警戒しつつ裏庭で山菜を採る。『ウッシーとの日々』で人気の漫画家「はた万」こと、はた万次郎が綴る自由で不便で爽快な田舎暮らし日記。
ウッシーとの日々―春・夏・秋・冬 さよなら東京 ロシアン・ルーレット・トイレ 家賃が突然半額に! 一の橋小学校児童諸君と大交流 水道を凍らせてしまいました 謎の移住者ぞくぞく発見 身も心も町も硬直化!! はじめましてとサヨウナラ 冬のような春〔ほか〕
【感想】
このほん、非常に不思議なほんだった。この人は漫画家らしいのだが、この人のかく文章は特別面白いとは言えず、特別波乱万丈のことが起こるわけでもない。でも読み始めるとなぜか止まらなくなる。ということで、特別「面白い」本ではないのだが、すごくいいほんだった。(笑 そういう意味で、この作者、はた万次郎さんのもつ不思議な世界にしらずしらずに引き込まれてしまう。
北海道上川管内下川町というところは、行った人の話によると、どうも変っているらしい。観光地が「ミニ万里の長城」とか聞いただけでは「?」と思ってしまう。しかしこの万里の長城のいわれを調べてみると、なかなか面白い。もっこを担いでみんなでつくったらしい。一つ一つの石に名前を刻むということにして、体験型観光で1万人以上が訪れ、地域の活性化に役立ったという。
http://www.town.shimokawa.hokkaido.jp/cgi-bin/odb-get.exe?WIT_template=AC02000&Cc=7D245F816B6&DM=&Tp=&IM=
人口4300人。下川町のトップページはここ。
http://www.town.shimokawa.hokkaido.jp/Cgi-bin/odb-get.exe?WIT_template=AM04000
今年の夏は下川に行こう!!
2004年03月08日(月) |
【ほん】「中村天風が惚れた 心を最強にする道 」・「古武術の発見」 |
最近本ばかり読んでいる。どうもそれが自分にとって必要なことのようなのでしょうがない。そういえば、台湾にいるときもこの時期は本を読みふけっていた。
【紀伊国屋Book Webより】
「中村天風が惚れた 心を最強にする道―その十秒間に奇蹟を見た!」
・石井 健次【著】 青春出版社 プレイブックス (1996-09-20出版) [新書 判] NDC分類:789.2 販売価:\810(税別) ISBN:4413016734 221p 18cm ここ一番で「力」が出せる!合気道十段・藤平光一の「気の武道」の知恵。 上がらない、ものおじしない、自分を最強にする方法。
1章 天風、衝撃!「危機」への対話―心を平らにする心得 2章 強い精神力を持ちたければ“力を抜け”―気の武道の核心「臍下一点」の意味するもの 3章 ここ一番に力を出せる技―強者七人を十秒で圧倒する弱者の極意 4章 そして心を最強にする道―“実感”した瞬間、あなたは変わる!
「古武術の発見―日本人にとって『身体』とは何か」
・養老 孟司・甲野 善紀【著】 光文社 知恵の森文庫 (2003-02-15出版) [文庫 判] NDC分類:789 販売価:\571(税別) ISBN:4334782035 273p 15cm(A6)
やっぱり、事実は小説より面白い!宮本武蔵、千葉周作、真里谷円四郎、植芝盛平…伝説の超人・天才たちの身体感覚が手に取るようにわかる。桑田真澄投手が実践して奇蹟の復活を遂げた「古武術」の秘密とは。現代人が失ってしまった「身体」を復活させるヒントを満載。メスと刀が「身心」の本質へと肉迫する。
プロローグ 古伝の“神技”を再現する 1章 無身―「剣は体も有用なり」 2章 道―刀という物差し 3章 和魂―見せない脳の中身 4章 術―身体感覚を組み直す 5章 修行―オートとマニュアル エピローグ 身体という「自然」
【感想】
普通の日本人は昔、江戸時代には走れなかったという。武士は右腕と右足を同時に出しながら歩いていたという。我々が文明開化後、そして特に敗戦後に失っていった一つの記憶の破片。我々はこんなことさえも知らない。
この二冊の本は、どちらも「技」と「心」を扱った内容である。「古武術の発見」では、日本人が「心」を重視するあまりに起きてしまった弊害について、「身体」を決して軽視してはいけないという視点でとらえ直そうというようなスタンスを感じる。「生きるか死ぬか」をかけていた武道と勝ち負けに終始するスポーツとどうちがうのか、観念論・精神論と技術論の関係、座禅の持つ弊害にも軽く触れたり、かなり幅広く対談している。おそらく、武道・武術関係の知識をある程度持っている人がこれを読むともっとわかることがあるのかもしれないと思った。面白かったのは「兵法家伝書」の中で、心の置き方について「どこにも置いてはいけない」と書いてあるというところ。
一方で「心を最強にする道」は、もっぱら藤平光一の伝記という感じで、合気道の「力を抜く」「氣を出す」などの技を実践する藤平とその弟子の話という感じ。なんとも気分爽快なお話で、昔の少年たちはこういうノリでわくわくしながら剣豪小説を読んで育つのかな、、などと思ったりした。どうも武術系統の本は面白く当分いろんな本を読むことになりそうな気がする。
気がつくと水曜日の夕方。久しぶりに病気な感じ。気管支炎っぽい。よく考えたら毎年この時期、一回はこういう状態になる。特に咳はないが、なんか胸のあたりが気持ち悪い。こうならないためにもこの時期、水泳は続けていたいところだけど、なかなか。継続は力なりというけど、ほんとそういう気がする。やっぱり月曜日の授業数7時間に振り回されっぱなしの半年で、気がつけばもう大学の授業も残りわずか、結局この授業数に自分なりのペースでなれることなく、月曜日ちゃんとでるか、火曜、水曜日休むかというような不健康なサイクルになってしまった。俺にとっては、やはり強引な時間割だったといわざるを得ない。
来年の授業選択をまじめに考えている。今年のような選択にするといいことはない。うちのコースは合計で4ユニットの授業数を取らなくてはいけないのだが、中国語の授業はなぜか全部半ユニット(0.5ユニット)。4ユニットにするためには8科目登録しなくてはいけない。これが今年の授業時間17時間という悲劇を招いた。はっきり言って受験予備校並みのハードさでとてもやっていけるものではない。
うちの中国語学部では来年度からカリキュラムが変わる。今のような無理で効率の悪い授業編成を改めるのだそうだ。しかし、うちらにとっては無縁。4年次に「映画」のコースをとれるようになる以外は昔のカリキュラムで継続するという。
一週間2時間で1ユニットとれる「近代中国歴史」と、この「映画」コース(一週間4時間のうち2時間の映画鑑賞と2時間の分析討論で1ユニット)をとれば、あとは4科目中国語関係をとればいい。
「中国語への翻訳」と「会話・リスニング・作文」と「現代中国文読解」を取るとあとは古典から一つ選べばよい。しかし、4年次の古典は魅力に乏しい。「論語」か「散文」もしくは「紅楼夢」。今年文学をとって失敗しているので来年は文学関係はとらないことにする。そうすると、今年孟子をやって、来年さらに論語をやるなんて日本の江戸時代のようなのでやめるとすると、残る可能性は「散文」か。唐代、宋代のものをやるという話だが、何をやるのかよくわからない。
来年は、もう少し自分のペースで勉強できるようなコース選択をしたい。
気がついたら火曜日。月曜日に7時間授業を完璧にこなすと、火曜日は授業に出れない。おかげで目が覚めるとお昼すぎ、朝11時の授業は間に合わない。このクラスの先生は先週出席した学生が二人しかいなかったことに切れまくっていたらしいが、こればっかりは俺たちのせいではなく、ましてやこの先生でもない。スケジュールを組んだものが悪いのだ。
実は一度11時前に目が覚めた。そしてちょっとした「こころの葛藤」(笑。本当はこの先生の授業にでたいのだ。だが今日も起きれず。夕方目が覚めると、最近自分がいったい何をやって過ごしているのか思い出せずに、ゆっくりと頭の中を整理してみることに。
明日は今月末に先生が出張するため、その振り替えで古典の授業が4時間ある。この先生、マイペースに延々話をする人で、いつも2時間授業の間トイレ休憩も取らない。それが明日は4時間。ひえー(笑。そうそう、明日は「日本における孟子」についてのレポートを出さなければいけない。授業は各生徒が違ったレポートを発表して、それを先生がだらだら解説したりして一日が終わってしまいそうだ。
そういえば日本の彼女がかっている砂ネズミが死んだ。実は以前に一緒にイギリスに住んでいるときに買った砂ネズミ4匹のうち、最後に残った一匹で、飛行機に乗って日本へ旅立っていったイギリスネズミであった。この子の名前は「アナ」ちゃん。いつも活発に穴ばかり掘っていたからこの名前が付いた。彼女にとっては家族同然、長く一緒に過ごしてきたので、そういうことを考えて俺も感慨ひとしお。状態がおかしくなってから、ロンドンにもメールで写真や状態が知らされる。電話でも連絡を取りあう。平均年齢が3年ぐらいというところ4年も生き、安らかな寝顔での大往生だった。
2004年03月01日(月) |
中国クラブでカラオケ |
今日は朝4時に目が覚めて予習。夜7時半から中国クラブ(Chinese Society)のカラオケがあるということで期待。授業が終わってひと泳ぎしようとラッセル・スクエアの本部に戻ることにする。コンピューター室でばったり会った日本語をやっているイギリス人、日本人の女の子、そして我がジョニーとともに4名で移動。途中話をしている時に、この日本語科のイギリス人にいきなり胸を叩かれる。こいつ、うちの学校で日本語を勉強しているのだが、いつも礼儀正しいし普通に時々見かけると挨拶したりしていた。今日はなんか冗談を言っているうちに、胸を思いっきり叩かれて、俺の方は予想外に調子が悪くなる。ちゃんと謝ってもこないし、自分の力をコントロールできないやつとは関わらないことにする。こういうことだから何人にかかわらず『見た目が変なやつとは関わらない方がいい』ということになる。じぇんしーだおめい!!(真是倒〔雨+毎〕)。あー、アンラッキー(笑。
さて、7時半からカラオケと言っていたのに、ソーホーについてみると、みんな近くの飲み屋でだらだらしている。行こうかいくまいかという話になっている。普通日本だったら、企画した内容はそのように実行するのが常だが、ここイギリスも、実は台湾人と同じようにだらだらして優柔不断ということが発覚! まぁ、柔軟性があるというのはいいことだし、いつもなら俺も気にしないのだけど、今日に限っては7時半から9時半までカラオケ、そのあと家に帰って寝るように計画していたので、8時半ぐらいになるとさすがに飽きてきて、眠くてふらふらしてきた。
水たばこを吸ったりして、なんだかんだと9時半になってしまう。本来なら家に帰って寝る時間。ここで来ていた人間の半数近くが帰ることになり、残りがカラオケに行くことになる。それからカラオケに行って一時間歌うことに。「えっ? たった一時間???」と思う。一時間歌うために2時間待つのは割に合わない(笑。次回からはカラオケに行くといっていても、本当に行くのかどうか確認してからくることにしよう。一時間たった3ポンド(600円)なのに、時間がないから途中で曲を切ったりして、うーん、やっぱりイギリス人のカラオケ理解と、日本人のそれとは違うのだなぁと思った(笑。
感想としては、イギリスの学生とふれあうのにはいい機会だが、いつもこんな調子ではやはりちょっと振り回されるなと思う。「中国クラブ」といっても、いつもほとんど中国人や華僑などの中国語を母語とする人たちが来ないのはこういうノリだからかもしれないと思った。
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