The color of empty sky
DiaryINDEX|past|will
いつもお盆に梅酒を漬ける。 もいで食べられるぐらいに熟した梅で漬ける梅酒は、まったりと甘く長期熟成向きなのだが、先日実家に帰ったら去年のものがもう全部母に飲まれてしまっていた。 この頃は年だから、夕方に少し梅酒かワインを飲まないと食欲も出なくてご飯も作れなくてねという。
私が憎んでいた「親」だとか「家」というものは多分、姉と一緒にどこかに消えてしまったのかもしれない。 残っているのは、親の葬式を出すまではどうにか生き続けよう、という弟との約束だけ。
生き続けるのにきっと理由はいらなくて、生きているという一瞬を程々の感覚で続けて積み重ねてゆくだけなんだろう。
ぱたりと音を立てて冬が終わったみたいだ。 途端に積もっていた雪が溶けてゆき、湿った土が顔を出しにょきにょきと水仙の芽が並んで生え出している。 会社に行く途中、ふと道の脇に目をやると福寿草が咲いていた。 ひとつ見つけて歩き、違う庭でまた見つけ足を止めるの繰り返し。 春はなんだか楽しい。
先輩がB市に出張に行くという。 遠いなぁ行きたくねぇなぁと言いつつも、行ったことがないというから少しは楽しみでもあるらしい。 B市には姉が赴任していた時に何度か行った。何もない海と丘の果ての街。 いいなぁ、お土産はまんじゅうでいいですよ、とお願いしたら先輩は分かったよと笑っていた。
命日なのでお団子を買って実家に帰った。 私はもうあなたよりも年を取っているのに遺影に向かい合うとやっぱり子供に戻った気分になってしまう。 生まれ変わったらまたあなたの妹になります。でも今度はわがままばっかり言って甘えないであなたがあなたらしく生きられるように支えたい。だから今生はしばし別れて修行しますね。
|