会社を出たら雪がぼうぼうと巻いて降っている。帽子をかぶるのを忘れてきたことを悔やみつつ、マフラーを巻き直して歩き出しす。こんな日は車も人も足元ばかり見てのろのろ押し黙って歩を進めているが、お母さんの後ろをついて歩く着ぶくれた小さい子供たちだけは、なぜかみな笑顔ではしゃいでいた。いつの季節、いつの世も、子供だけは希望を湛えた光のようなものなのだ、と、振り返って眩しく眺める帰り道。