サズカリ おとうさんがつける、子供たちの成長記録
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うちのサズカリたち = かい♂13歳(1998/11生) + みー♀11歳(2000/9生) + あー8歳(2003/9生)
−−−−− Episode 1 夕方、母とかい
かいが息を切らせながら帰ってきた。
「お母さん、早く!早く! クギと紙コップ!」 「えっ? 何するの?」 「ケンちゃんちで、桑の実ジュース作るの。ぼくはクギの係で、ショウちゃんが木の係なの。」 「?? ジュースになんでクギ?」 「いいからいいから、早く早く!」
かいはクギと紙コップを受け取って、飛び出していった。
−−−−− Episode 2 夜、父とかい
「お父さん、今日ぼく、ケンちゃんちで、机作ったんだあ」 「机? どうやって?」 「木で。」 「木? 釘打って?」 「そう。ネジくぎで。」 「・・・ネジ釘で作れんの? すごいね。誰か大人がいたの?」 「ううん。いない。」 「怪我とかしなかった?」 「大丈夫だよ。」
−−−−− Episode 3 夕方、母とかい
再び汗だくになったかいが戻ってきた。
「お母さん、ネジくぎじゃだめ、ふつうのクギちょうだい!」 「あんたたち、何してるの?」 「机作るんだよ。」 「机? なんで?」 「ジュース売るんだよ。机の上で。」
−−−−− Episode 4 夜、父とかい
「なんで机作ることになったの?」 「お金もうけたの。お母さんから5円もうけたの。」 「5円ねえ。・・・なに売ったの?」 「教えない。」 「・・・(かいの話は、よくわからん)」
−−−−− Episode 5 夕方、ケンちゃんママと子供たち
「よーし、ジュース絞るぞお!」 「ちょっと、このビニール袋、きれいなの?」 「大丈夫だよ、先生が使ってないのくれたんだから。なー」 「なー」
いきなりビニール袋の上から桑の実をぎゅむぎゅむ絞る子供たち。 絞り終えた赤紫の液体を紙コップに注ぐ。
「ちょっとー、あんたたち手も洗わないでやるの!?」
子供たちは販売企画を練る。 「これ、いくらで売る?」 「100円!」 「100円だな!」
−−−−− Episode 6 夕方、ケンちゃんちの前
近所の小さい子が買いに来る。
「ジュースちょうだい。」 「はい、100円です。」 「ケン、小さい子はお金持ってないんだよ。タダであげなさい。」 「・・・じゃあいいよ、はい。」
ジュースをもらったその子、家に帰って、またやってきた。 手には紙で作った100円玉。
−−−−− Episode 7 夕方、母と子供たち
「かいくんのお母さん、これ買ってよ。」 「えー、いくらなの?」 「100円!」 「100円!」 「えー、ちょっと高いなあ。」 「じゃあ、10円。」
「しょれ、しゅごくしゅっぱいよ。」 そばで見ていたさっきの子が口を出す。
「酸っぱいってよお。5円でいい?」 「うーん、じゃあ5円でいいよ。」 「ありがと。あとで家まで届けてね。」 「うん。」
−−−−−− Episode 8 夜、母とかい
「5円、誰が持ってるの?」 「ケンちゃん。でもひとり占めじゃないよ。ジュース売って たまったら、みんなでお菓子買うんだ。」
−−−−−− Episode 9 夜、ケンちゃんママとケンちゃん
「桑の実ジュースじゃ、売れないんじゃない?」 「じゃあ、グレープフルーツにする。庭に種植えておけば、来年とれるじゃん。」
−−−−−− Episode 10 夕方、うちの玄関
いつの間にか玄関に届けられた紙コップ入り桑の実ジュースが、 いつの間にか倒れていて、うちに来ていたマリちゃんの靴を 赤紫に染めた。
「おとうさんへ。いつもかいしゃで、あそべないけれど、みいちゃんはおとうさんのことわすれてないからね。おとうさんもみいちゃんのことわすれないでね。みいちゃん、きょう、うんていたくさんしてたからまめできて、かわむけたの。いつもはやくかえってくるとみいちゃんうれしいけど、いつもおとうさんのことすきだよ。」
かいがスイミング教室をしている間、待合室であーが「ジュースを飲みたい」と言い出した。
ママが「だめよ」と言ったのに、あーは友達の女の子に「○○ちゃん、ジュースかいにいこう。あーちゃん、ひゃくえんもってるから」と誘った。
3歳のあーが百円持っているはずがないのに・・・と思ってママが見ていると、あーは自販機の前に立ち、ポケットから百円取り出す仕草をして、自販機に入れる仕草をして、ジュース取り出す仕草をして、ごくごくジュースを「飲んだ」。そして友達も同じようにして百円を入れてジュースを「飲んだ」。
あんまり無邪気でかわいいので、スイミングが終わったかいにママがその話をすると、かい、あーをじーっと見て、
「ぼく、今度から百円持ってくる。あーちゃん、かわいそう・・・」
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