2003年08月29日(金) |
三島由紀夫『不道徳教育講座』その2 |
せっかくだから、三島由紀夫の面目躍如という表現を2、3引用しましょう。
どれも、短いけれど、ずばっと核心をつく言葉です。
「私は、若い人から、彼らの最大の敵と見なされているところの、「貧乏」と「暇」の二つを完全に奪ってしまったらどうなるか、という意地のワルイことも考えます。」
くすくす。 そうそう。若いってことは貧乏で暇だよね。 今だって、そうお金をもっているわけではないけれど、でも、今、ふりかえって見ると、あの頃のつつましさや、せせこまさがかわいらしく、なつかしいです。 そして、もてあますほどに時間があったよなあ。
「どうでもいいことは流行に従うべきで流行とは、「どうでもいいものだ」ともいえましょう。(中略)似合っても似合わなくても、流行には従うべきなのであります。それはあなたの最上の隠れ蓑であって、思想をよく隠すのは流行の衣装だけだといってもよろしい。もし君が共産党の細胞の一員で、世間にそれを隠す必要があったら、よろしくマンボ・ズボンを穿いて、ロカビリーをききに行くべきだ。」
「私は大体約束を守るタチですが、それをあんまり自慢できることとも思っていません。約束にキチンキチンとしばられるなどということは、人物の器量の小さい証拠で、社会の一歯車にすぎない証拠ともいえます。」
私もそうだよ。 小心だから約束をまもっちゃうのさ。
「しかし若い人の間では、かなり、恋人の交換が自由に行われているらしい。不良仲間で女をマワスのは昔からだが、マワされている女のほうも案外精神薄弱児的なのが多くて、自分はどうしてこんなに次々と男にモテルのだろうと、ほとほと感心したりしている。そうなれば、天下泰平というものです。 本当の恋愛は、ギリギリの自我の戦いで・・・」
「自惚れ屋、何でもかんでも自分がもっていると信じているんだから、陽性です。 仕様のない自惚れというものはどこか痛快で、憎めません。彼はウソツキではないのです。これに反して、謙遜な人というのはたいていウソつきです。」
2003年08月27日(水) |
三島由紀夫『不道徳教育講座』 |
三島由紀夫というと、どうも、奇抜なパフォーマンスや、センセーショナルな告白から、不道徳で不良というイメージが先行しているみたいなんですけど、三島由紀夫ほど体の芯に道徳観をしっかり持っている作家を私は知りませんぜ。
そうですねえ、例えば、遠藤周作は、生粋のキリスト者で、キリストについての研究も玄人はだしで、キリスト教を取り扱った作品も多く残しているけれど、正面からのキリスト教賛美というのにはお目にかかっていません。 (うろおぼえなので具体的に作品名をあげられなくってすいません) むしろ、信者でありながら、「なぜ?」という疑問を作品を通してしてずっと投げかけ続けていました。
それは、おそらく信仰があついがゆえに、その信仰が遠藤周作にとって核となるものであるがために、正面から賛美することがためらわれたのではないかと思います。
卑近な私のあまのじゃく感覚からも、うなずけるんですが、とってもとっても尊敬するひと、とても大好きな作品は、あまりにも大切であるために軽々しく人に話せなかったりします。 かならず同意してくれる、という確信がもてるまで胸のうちに隠したりします。 そういうのって、ありますよね。
ちょっと、話がずれてしまった。
何が言いたかったのかというと、三島由紀夫は、すごく道徳的な人であったと。 でも、まじめで、善良で、というのは、スマートさにかけるから、なるべく隠しておきたい一面であった。 だから、わざと不良っぽくふるまったり、人から白眼視されるようなことをしたりした。
この『不道徳教育講座』には、そういう心情がよく表れています。 「大いにうそをつくべし」 「人に迷惑をかけて死ぬべし」 なんて、タイトルをつけておきながら、逆説的に最終的には、道徳を説いているんですもの。
(余談) この本を職員室の机の上においておいたら 「きよこ先生、三島由紀夫読むんですかあ」 なんて話になって、 「これどうぞ」 って、本をプレゼントされた。 『文人悪食』 これについては、また今度。
お盆過ぎあたりに、日本中でブラスターというコンピューターウイルスがはやったんですって。 私はニュースも見てなかったので、気付かなかったんですけど、学校で知りました。
そのブラスターというウイルスは、感染してしまうと、勝手にシャットダウンしてしまううえ、そのパソコンでネットワークに接続すると、どんどんほかのパソコンにも侵食していってしまうもののようです。
学校は市のネットワークなので、ウイルスに感染したりしたら、大変、ということで、ちょっとした大騒ぎでした。
感染したパソコンは、ウィンドウズのアップデートをして、ウィルス対策を万全にするまでは学校のパソコンにつながないようにというお達しがありました。
対岸の火事ではないけれど、私にとって、コンピュータウイルスとか、ハッキングとかって、縁のないものだと思っていたけれど、やっぱり、ちゃんとしておかなければならないんだなあ。
ちなみに、私は学校で使っているノートパソコンはウィンドウズ95だから、影響なかったんだけど、家で使っているパソコンはXPで、感染しちゃいました。 ずっと気付かずにつかっていました。 「なんか、最近調子悪いな・・・」ぐらいで。
それにしても、思うのは、コンピューターウイルスってやつの恐ろしさです。 まるで、本当に重大な病気を運んでくるウイルスのように、パソコンからパソコンへ、驚くべき繁殖力を見せます。 また、私は、インターネットの世界って、全体像が見えないから、ある意味ですごく不気味だなあ。と思います。(もちろん、便利この上ないし、魅力的であることは言うまでもないけれど)
それまでのメディアには、かならずその情報の「はて」というか、限界がありました。
例えば、百科事典はいくら大著であっても、かならず終わりがありました。 書架に並べれば、情報量を目で見ることができました。 例えば、テレビ放送は、電波という目に見えないもので、不特定多数のテレビに向かって送られますが、特定の発信者(放送局)が作り出す番組は、有限で、新聞のテレビ欄に示されるとおりです。
インターネットは、誰でも情報の需要者であり、発信者にもなれます。 そして、その全体像は常に流動し続け、俯瞰して把握することはできません。
個人個人はただ、大海原を漂うように、情報から情報へとサーフィンするだけで、海のすべてを知ることはできないのです。
ウィルスがいつ、どこで発せられるかもしれない。 それを完全に防ぐことは不可能である。 インターネットという、現代の情報社会を象徴する媒体は、はからずも、便利で豊かな反面、脆弱さを併せ持つ今日の社会そのものの特質を映し出しているような感じがします。
「はせきょんってかわいいよなー」
「まじで? あんなにわがままで、ゆるされちゃうの?」 「あれがいいんだよー。 たまんないよな」 「『天体観測』のはせきょんとぜんぜん別人じゃん。 私は『天体観測』のほうが好きだけどなあ」 「あれはどうでもよかった。 するみさいこー。」
給食を食べているときに、男子とこんな話になったわけです。 ドラマ『僕たちのマドンナ』 タッキーふんする大学生の男の子の部屋に勝手に入り浸るようになったはせきょん。 自由奔放で超かわいいはせきょんに、タッキーは振り回されながらもなぜかはまっていくわけです。
タッキーめあてに初回はみたものの、はせきょんのわがままっぷりに私はがまんがならなかったので、みるのをやめたのですが、男の側からすると、あれはありなのか!?
おとこごころってわかんないもんだ。
村上春樹ファンの人でも、これを知っている人はあんまりいないんじゃないかなあ。
ほんの32ページほどの短編です。 お値段184円にひかれて買ってしまった。
でも、めっけもんでした。 中学生でも読める村上春樹って感じ。 中高生をテーマにした村上春樹ってとってもめずらしい。 シンプルで、だれにとっても親近感を持って考えられる題材の物語です。
「僕は大沢さんに向かって、これまでに喧嘩をして誰かを殴ったことはありますか、と訊ねてみた」
という冒頭です。 大沢さんはボクシングをしているから、もちろん、人を殴ったことはたくさんあるが、感情にかられて人を殴ったことは「基本的には一度も」ない。 だが一度だけ、ボクシングを習う前にどうしてもこらえきれずに人を殴ったことがある。 それは・・・
短いし、読み聞かせをして、そのあと、道徳の授業で扱えそうだなあ。なんて考えながら読みました。
2003年08月15日(金) |
『ハリーポッター 炎のゴブレット』〜日本語ブラボ〜 |
やっと読了です『ハリーポッター 炎のゴブレット』 足掛け一年以上かかってしまったよ。 まったくもう。
途中でいやになってしまって、放り出していました。
それで、夏休みを前に、苦肉の策で日本語版を生徒に借してもらっての読了です。
いやー、やっぱり、母語は偉大だね。
読んでいて、どこ読んでいたかわからなくなる、なんてことがないのがいい。 ジョークが理解できるのがいい。 登場人物の性格が伝わってくるのがいい。 ハグリットや、ボーバトン校の人々のなまりに煩わされなくっていい。
なんといっても、速く読めるのがいいねえ。
と、いうわけで、やっと読み終わったわけですが、『炎のゴブレット』はいい意味で、これまでのシリーズのパターンをたくさん覆してくれたのが、すごくよかったです。
1冊でホグワーツの一年間、っていう点では同じだけれど、 寮対抗戦がないということ、 クィディッチワールドカップがあったり、ホグワーツ以外の魔法学校が登場してきたり、イギリス以外に世界が広がること、 仲良し三人組みの関係に変化が起こること、 そして、ラストの、あの人の復活と、それに対抗する魔法使いの中での分裂。
そして、いつものことながら、私はまた、泣かされてしまったよ。 ハリーの勇気と友情に。 いつものことながら、見事なまでの謎解きの鮮やかさ。 あの長編の、序盤の些細な出来事が、クライマックスに大きな意味を持っているんですよね。 そして、ようやく明らかになってきた1巻からの秘密もあったり、まったく、すごいです。
早く次が読みたいな。 また、懲りずに英語版買っちゃおうかな・・・。
2003年08月14日(木) |
『アンリミテッド:サガ』 |
どうしようもなく、時間の浪費だと思いながら、たまらなく好きなこと。 テレビゲーム。
休みの日は少なくとも1時間はゲームをしたい。 というのがくだらない私の欲求。
せいぜい、いいところといったら、生徒とゲームの話で盛り上がれることぐらいなのにね。 なんといっても、時間がかかるんですもの。 私が好きなRPGは。
とくに、最近のゲームは強くするにも単純じゃないし、敵は強いし。 まったく。たまらんですよ。 よくできているよなあ。 作る人は偉いなあ。と、感心し、感謝しながらゲームさせてもらっております。
ここのところ私を遊んでくれているのは、スクエアの『アンリミテッド:サガ』 いわゆる「サガシリーズ」の最新作。 サガシリーズの好きなところは、物語の自由度がすごく高いところと、主人公がたくさんいて、何通りものストーリーが楽しめる上に、それぞれのストーリーが途中でクロスしてたりするとことなんだけど、『アンリミテッド:サガ』にも、その特徴は十分継承されておりますよ。
でも、システムが、極限まで複雑。 ここまでするか!?っていう感じ。
結局、付属のぺらりとした説明書だけでは、物語をスタートさせることはできても、戦闘ひとつできないんだよね。
そういう場合、私はネットの攻略サイトにいって、ヒントをのぞいてはやってみるのが常なんだけど、それでも、ぜんぜん飲み込めなくって、攻略本かいました。 辞書みたいな分厚いやつ。 細かい文字でびっちり。
そして、ようやくちょっとずつ、わかってきたんですが 「はじめからこの攻略本つけとかないと、わかんないよ」って感じ。 もう、トータル45時間ぐらいやっているんだけど、それでも、システム全部は理解してないなって思いながらやっているような状態ですよ。
「このゲーム、ほかの人はどんな感じでやっているんだろうなあ」 やっているところをのぞいて見てまわりたい。 小学生とか中学生にこれが理解できるとしたら、本当にすごいよ。 システムもそうなんだけど、物語も複雑だし、使われている言葉や、アイテムや技の名称とか、かなり難しい漢字が使われているんだけどなあ。
ちなみに、私は7人の主人公のうち、まだ一人目をプレイ中で、今日はようやくクリアひとつ前のボスにたどり着きました。
そのボスの子分ボスが10人いて、10連戦で倒したあとセーブも回復もできないままボス戦に突入。 ガスガス連続攻撃されて、ばったばった味方が死んでいって、
もうほんとに、切なくって、いっそリッセットボタン押そうかしら・・・ と思いながらも、それでも、と思って最後の悪あがきで、攻撃したら
ばって敵の姿が消えたんだよ〜!!
勝ったの。私。
一人ガッツポーズ。
「やった〜〜〜〜!!! 私はやったぞ〜〜〜〜〜!!!」
ものすごいうれしかった。(^0^)
映画が大好きでDVDを何百本ももっている知り合いに、
「みたあと、ほんわか幸せな気分になるような、おすすめな映画ありませんか?」って聞いてみた。
「うーん、そうですねえ・・・。 『猟奇的な彼女』がいいかも。」
「あー、それ、面白いって評判ですよねえ。 聞いたことあります。」
「主人公が、きよこさんっぽい」
「ああ。そうそう。猟奇的だしね、って。おいおい」
こんど見てみよっと。
「元気になったよ!」っていう感じが、もりもり実感できる今日この頃の私です。 やっぱ、やんでたんだよなあ。
体の軽いこと。陽気なこと。 これこれ、これぞ、私って感じだよ。
何でこんなに、突然に元気になったのかというと、単純なことです。 規則正しい生活をしたんです。
7月末から、県の初任者の研修が高遠で3泊4日でありました。 研修とはいっても、キャンプをしたり、班で活動したり、のーーーんびりしたものでした。 ご飯は3食バイキング。おいしくっておいしくって、もりもり食べちゃった。 そして、ゆっくり休息。 ひとつひとつの活動の間に、15分ぐらいの休息があって、「しあわせー」 だって、学校にいたら、なんにもしなくていい時間ってぜんぜんないんだもん。 かえって、「なにかしなくていいのかな?こんなに休んでいいのかな?」って
夜も10時就寝。 朝は6時起床。
こんな生活を4日もしていたら、まるまる健康体さ。
そして、今日は、さらに健康増進しようと思って、大学の合宿に参加させてもらって一日卓球してきました。 それはそれは、卓球部員もあまりのきつさに敬遠するという、合宿です。
汗がだくだく滝のように流れます。 絶対明日は筋肉痛だぞ。 でも、一日中卓球をして、まるで、大学時代に戻ったような気分です。 「生きてる」ってカンジ!
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