2015年08月23日(日) |
ウィメンズマラソン 坂井希久子 |
STORY:オリンピックのマラソン選手に選ばれた途端にわかった妊娠。そして、辞退…。産後、再びマラソンに挑戦することにした峰子だが、育児との両立は厳しくて…。
感想: 峰子は人生の絶頂から、妊娠により、奈落の底へと落ちてしまう。
世間からも白い目で見られ、様々な妨害を受けながら、出産。
その間、オリンピックでは後輩の子がメダルを獲り…。
同じ陸上をしていた夫とも意思の疎通がうまくいかず離婚し、実母ともこのごたごたで疎遠になる。
それでも、自分が逃したものをもう一度つかみたくて、峰子は挑戦することにするが、最愛の監督からは見捨てられ、新しいコーチとともに練習を再開することに。
とにかく、峰子の腹黒さがすごいし、ハングリーさがすごい。
正直、あんまり共感できない人物ではあるけれど、子供を疎ましく思ってしまう気持ちとか、そう思いながらも、やっぱりかわいくて仕方がないような気持ちっていうのは、よくわかるような気がした。
最後がぼかされていて、実際どうなったのかがわかりにくかったが、これはやっぱり…ってことよね?
あと、世間の人がここまでするか?っていうぐらいひどいことを峰子にしまくっていて、世間ってそんなにひどいんだろうか?ってちょっとそこだけは引っかかった…。そんなもの?
さだまさしの自伝的ドラマで、バイオリニストを目指し、一人東京に下宿していた高校時代から、バイオリンをあきらめて、作曲やフォーク(?)の道に進むまでの出来事を描いた作品。
昭和の香りがプンプンして、懐かしさがある。(実際のところ、雅志が高校生の頃、自分はまだ生まれていないが)
雅志(菅田将暉)の髪形や服装もすごく昔っぽい。
雅志は多才で、バイオリンだけでなく、ギターに作曲にバンド、落語までをこなす。それでいて、腰が低いので嫌味っぽくなく、憎めない感じ。
いかにも昭和の青春という世界がそこには広がっている。
苦学生でいつもお腹を空かせている雅志は、長崎のちゃんぽんが食べたいといつも思っている。そんな雅志に友人の菊田保夫(泉澤祐希)の両親(米屋)は、落語を一席聞かせてくれたらそれでいいからと、いつも雅志を食べさせてくれる。こんな人情味に溢れる人って、平成にはあまりいないような…。
当時の色々なタイプの人々も描かれている。
大家の息子たちは、親のお金がたくさんあるため、定職に就かず喧嘩ばかりしつつ、のほほんと生きていたり、バイオリンの先生夫婦の離婚騒動の間に挟まれてしまったり、かと思えば、学生運動に参加して、危うく捕まりそうになったり、それを助けてくれた人は、やはりこれまた働かず何もしないことをしている…というわけのわからない暮らしぶりだったり…。
バイトをした土建屋さんでは、正社員にならないかと誘ってくれたと思えば、雅志がやりたいことが見つからないと言えば、他にやりたいことを探しなよと快く雅志を辞めさせてくれたり、質屋にバイオリンを持っていけば、これは流したら困る代物なんでしょ?と言ってくれる店主がいたり、新しいバイト先の主人は賭け事にハマッて借金を背負って逃げていたり…。
雅志はそんな人たちにも持ち前の優しさで接し、決して突き放したりということもしない。
同級生の樫山満(間宮祥太朗)は高校時代は雅志とバンドを組んでいた。その後、古田政美(本郷奏多)とともに音楽の道を志すが、才能のなさを自覚して、音楽の道を行くのをあきらめる。
女優を志すからと言って、高校をやめた岡倉洋子(森川葵)も、やはり才能の壁に挫折し、母の飲み屋を手伝う。
雅志は自分が何をやりたいのか、バイオリンをやめて進む道を模索していたが、周りからの後押しもあって、古田と作詞・作曲を手掛け、その後のさだまさしへとつながる…わけだね。
才能とは何なのか…。考えさせられる。
雅志自身、バイオリンでは他の人の公演を見て、自分には才能はなく、こうはなれないと思い知ったのだから…。
とにかく続きが気になり、最後まで楽しめたドラマだった。
2015年08月16日(日) |
ふたり姉妹 瀧羽麻子 |
瀧羽麻子 祥伝社 2015
STORY: 東京で仕事に明け暮れていた姉の聡美は失意のもと、田舎の実家に戻る。妹の愛美は結婚間近。結婚すると好きにできなくなるからと、東京の聡美の部屋に1ヶ月住まわせてもらうことになるが…。
感想: 姉の聡美は東京でバリバリ働くキャリアウーマン。自分ががんばっている姿を見せるのがイヤなタイプで、思い通りの人生を歩んでいるように周りからは見えていた。
その聡美が仕事上でトラブルに見舞われ、失意のもと、田舎の実家へ。
妹の愛美は地元志向。地元で堅実な相手と婚約中。姉のようにがむしゃらな生き方はしたいとは思わず、姉の友人家族のような、素敵な家庭を作りたいと願っているような存在。
愛美は東京の姉の部屋を無理やり貸してもらうことにするが、部屋を開けたら、姉の恋人がいて…。
うーん…。最初は面白そうな展開かと思ったんだけど…。
姉の聡美にも、妹の愛美にも、あんまり最後のところで感情移入できないと言うか…。
最初は愛美目線で見ていたのだけれど、段々ひねくれだしたところからどうも…。
そして、最後も、恋愛関係については前向きな進展を見せるのかな?って思ったけれど、聡美の仕事に関しては何の発展もなくて、え? これで終わり? みたいな感じになってしまい…。
ちょっと主題が薄れてしまったのかなーというような印象になってしまった。
家族3人で「インサイド・ヘッド」の吹き替え版を見に行った。
ライリーはステキな父母や友達に囲まれて幸せいっぱいの毎日を送っていたが、父の仕事の都合でサンフランシスコに引っ越すことになる。
そのせいで、精神のバランスを崩すライリー。
その時、ライリーの頭の中では、5つの感情「喜び」「悲しみ」「怒り」「ムカムカ」「ビビリ」のうち、「喜び」と「悲しみ」が不慮の事故で司令部から外の世界に飛び出てしまい戻れなくなっていた。
ライリーの頭の中は「怒り」「ムカムカ」「ビビリ」の3人が支配することとなり、ライリーは怒りっぽくなってしまう。
そして、幸せだったライリーが築いてきた性格の島が一つずつ崩壊していき…。
記憶や思い出が丸い玉になって、貯蔵されているという、ちょっと摩訶不思議な世界が自分たちの脳であるという描写は、なかなか面白い世界観で、美しかった。
そして、そうしたものがちょっとした出来事から崩壊していく様は、人間が精神を病んでいくときってこんな風にガラガラ音を立てて崩れていくのかもしれない…って思ってしまった。
もちろん、人間の感情はこの5つだけでは測り知れないものがあると思うけれど、なかなか面白い世界観でよかったかな。
ライリーを救うのは、家族愛。家族で抱き合う場面ではちょっとうるっと…。
最初にドリカムの主題歌があって、そこで色々な家族の写真が登場して…。これだけで、子供がいる人にはちょっとだけうるっとくるんじゃないかな?
小さな頃から一緒に暮らす家族…。いろんな表情や出来事があって、成長していって、もうこんな風に小さなころに戻ることはできない…。
どこの家族にもそういうのがあるってことなんだなーって…。
5歳の息子には意味がわかったのかはちょっとよくわからないけれど、最後までおとなしく見ていたので、それなりに面白かったのかな?
もう少し大きな子の中には号泣している子もいたりして…。
息子はきっと覚えていないんだと思うけど、こうしてたまに息子と映画に行くのも、私たち親にとっては思い出になるし、成長を感じられる瞬間でもあるんだよね…。
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