予告篇を見て、なんとなく爽快感が得られそうな話なのかな?と思って、見に行ったのだけれど、あまり爽快感のある話ではなく、映画の8割以上が暗い重苦しいムードであった…。
史実をもとに作られているのだし、仕方ないのかとも思うのだが、もう少し明るい描写(=野球シーン)が多いのかと思っていたら、そうでもなく…。
カナダに移民として渡った二世たちの苦しい状況が描かれるこの作品。結局カナダに移住しても、生活は苦しく、不景気と戦争の影が忍び寄る中、日系人への差別はあからさまに行われており、失業を余儀なくされる者も。
親世代は、英語をしゃべったり、カナダ人と交わろうとはしない人々が多い。二世は学校で優秀でも奨学金ももらうことはできず、進学することもかなわず、カナダ人の半分ほどの賃金で労働させられた上に、いらないとなれば即首を切られてしまう。
そんな中、野球チーム「朝日」も非常に弱く、カナダ人相手にかなうわけないと弱腰…。メンバーも失業して職探しに行くため、チームを離脱したりと逆境に置かれている。家族からも野球にうつつを抜かして…と冷たくあしらわれている。
そんな中、新キャプテンとなったレジー(妻夫木聡)は、ふとしたことからバントをし、塁に出られるのではと考え、それを実行に移す。カナダ人は大柄で力は強いが小回りが利かず、このバント作戦は功を奏し、メンバー全員がバント作戦をすることで、初めてカナダ人チームに勝つことができた。
カナダ人チームは審判もフェアではなく、ボールもストライクとなってしまうようなインチキがまかり通る世界。
しかし、朝日が勝ち続けることにより、頭脳野球の面白さに目覚めたカナダ人観客からも「フェアにやれ」という声が上がり…。
とまあ、順風満帆に行くのかと思えば、そうはいかないのが人生というもので、色々と落ち込ませるようなことが次々と起こるわけだけれど、やっとのことで、勝った、これからもう少し事態が好転するかな?と思わせながら、最後には日本が真珠湾を攻撃し、日系人は敵国人として、強制収容所に送られることになる。
朝日のメンバーもちりぢりになってしまい、そこで映画が終わってしまう…。
その後、朝日のメンバーがそろうことは二度となかったらしい。
でもでも、映画なんだし、その後みんながどうなったのか、少し見せてほしかった…。
あまりにも希望のないぶった切りな終わり方で…。
まあ、史実がそうなのだから仕方ないんだとは思う。
でもでも…なんかもう少し違った終わり方とかあったんじゃないかな…とちょっと釈然としないものが残ってしまった…。
2015年01月26日(月) |
居酒屋ぼったくり 秋川滝美 |
秋川滝美 アルファポリス 2014
STORY: 両親を事故で亡くし、両親のやっていた居酒屋「ぼったくり」を受け継いだ美音と馨の姉妹。毎日丁寧に料理をし、接客をしていて、常連とのやり取りも楽しく…。
感想: 安心して気楽に読める小説といった感じ。
そして、出てくる料理やお酒がどれもおいしそうに描かれている。料理をおいしそうに描写するというのは、案外難しいのではないかと思うので、その点でも成功しているのかな。
どうやら続編も出ているよう。
ぼったくりの新しい常連となった要と美音との恋模様(?)とか、続編では何か展開があるのかな〜?
2015年01月23日(金) |
2014年 今年の10冊 |
2014年も読書の時間がなかなか取れず、今までで一番少ない読書数だったと思う。なんと1年で36冊しか読まなかった。ただ漫画を1冊も読まなかったので、その分、数が少なくなってしまっているという側面もある。
子供が幼稚園に入園したものの、本当に時間がない。もともと移動中に本を読むというライフスタイルだったものだから、バスや電車で移動することのない生活だと、本を読む時間を捻出すること自体がものすごい難しい。
この先もこんな状態が続くのかもしれないなぁ…。
あとは、こんな生活だからか、小難しい本を読むのがしんどくて、どうしてもエンターテインメント性の高い本にばかり目が行く。息抜きに読んでいる感じだから、あんまりつまらないと途中でやめちゃうこともあるし…。
ということで、2014年のベスト10に入った本を順不同で。
・円卓 西加奈子 1月 ・銀婚式物語 新井素子 2月 ・ハブテトル ハブテトラン 中島京子 7月 ・本屋さんのダイアナ 柚木麻子 7月 ・代償 伊岡瞬 8月 ・長女たち 篠田節子 8月 ・女系の総督 藤田宜永 11月 ・迷子の王様 垣根涼介 11月 ・舞台 西加奈子 11月 ・だから荒野 桐野夏生 12月
今年も女流作家の作品が多かったなぁ…。
西加奈子が2冊。「円卓」はなんか不思議な面白さ。「舞台」は痛々しいけど、続きが気になるという不思議な作品。「サラバ!」というのが直木賞を取ったみたいなんだけど、上下巻なので、躊躇している。きっと面白いんだろうな…。
新井素子の「銀婚式物語」は「結婚物語」「新婚物語」をかつて読んで面白かったという人には楽しめるんじゃないかな…。
中島京子の「ハブテトル ハブテトラン」、柚木麻子の「本屋さんのダイアナ」は少年少女の成長物語。こういうのは私の好きなジャンルなので、楽しめた。
伊岡瞬の「代償」は怖い作品。人の悪意の怖さったら…。
藤田宜永の「女系の総督」、垣根涼介の「迷子の王様」はコミカル路線。「迷子の王様」は「君たちに明日はない」シリーズの5作目で多分最終巻。
篠田節子の「長女たち」は中編集ながら、どの作品も考えさせられた。特に長女の方ならよりわかるかも。
そして、桐野夏生の「だから荒野」。こちら、NHKでドラマ化されたりもするみたいね…(番宣見た限りでは、原作とは結構話が違うような感じ…)。主婦の方なら楽しめるんじゃないかなーと…。
さて、2015年。もう少したくさん読みたいけれど、やっぱりなかなか難しいかな…。
2015年01月22日(木) |
花子とアン スピンオフ 朝市の嫁さん |
NHK朝ドラ「花子とアン」のスピンオフスペシャルを見た。
主人公は朝市(窪田正孝)と朝市と結婚することになったちづ江(石橋杏奈)の二人。
朝市が花子(吉高由里子)に結婚の報告を兼ねて上京することを知り、朝市を疑うちづ江は内緒で上京する。
そこでたまたま花子の妹・かよ(黒木華)の店に立ち寄り、醍醐(高梨臨)や出版社の面々、宇田川先生(山田真歩)、吉太郎(賀来賢人)などと出会い、やり取りをする。最後は、醍醐とともに実際に花子と英治(鈴木亮平)のもとに出かけ…。
懐かしい面々が登場し、あの朝ドラの場面の裏ではこんなことがあったんだ…とニヤッとしてしまうような展開。脚本もコミカルな感じで、とてもよく描かれていた。
宇田川先生と元夫(武井壮)のやり取りも面白かった。
コミカルと言えば、「ごちそうさん」もコミカルなところがあったな。あれもスピンオフがあったんだっけ…。見られなかったけど…。
そして、今やってる朝ドラ「マッサン」はこの2作に比べると、なんかシリアスな場面が多いのかな、いや、そんなこともないのか?となんか思ってしまった。
同じような時代の話なのに、なんか2作とはすごいイメージ違うような気がするのは、男が主人公の一人だからなのかなぁ…。
2015年01月15日(木) |
豆の上で眠る 湊かなえ |
湊かなえ 新潮社 2014
STORY: 少女時代、姉の万佑子が行方不明になり、数年後に帰って来るという事件が起きた。しかし、妹の結衣子には万佑子が同じ人物とは思えなくて…。
感想: 週刊新潮にて連載されていたこの作品。たまに新潮を買うと、掲載されていて、ストーリーが面白そうだなと思っていた。
ということで、読んでみたわけだが、確かに最初の方は面白いし、ぐいぐい引き込まれるように読んでしまった。
が、最後の落ちというのか、謎の解明部分が唐突で、結構えっ?という感じで、やっぱりなんとなくこの方の作品は合わないのかなーとかも思ってしまった。
湊かなえの作品は「告白」しか読んでいないが、どうにもこの作品が合わず、その後の作品も似たような匂いを感じて、避けていたのだが…。
終わり方もなんか唐突で、もう少し先まで描いてほしかったというね。これじゃ、あんまりだよなーという読後感がちょっと…。
NHKのスペシャルドラマ。
旅行雑誌の記者として、スケジュールがいっぱいでないと気が済まないほど働きづめだった立(北村一輝)は、息子(松田知己)と旅行に出かけたときに突然パニック発作を起こし、その日から乗り物に乗れなくなってしまう。
症状は落ち着くどころかエスカレートして、会議室などの狭くて暗いところなどがダメになってしまう。
プライドの高い立は、妻の紗江(原田知世)にも何も告げず、会社に辞表を提出。
紗江は、図書館で働く傍ら、お弁当屋さんのパートもしていたが、夫に内緒でさらに働く時間を増やすことに。
最初は立が家にいることになじめない息子だったが、病気のことを受け入れ、自然に接しようとしてくれる。
立はカウンセラー(野際陽子)のもとに通い始めるが、最初は不信感むき出し…。
でも、徐々に変わっていく立。
結局は息子のおかげで、立は立ち直っていくのだが、夫婦や家族の在り方について考えさせられる内容で、なかなか面白かった。
2015年01月05日(月) |
ママとパパが生きる理由 |
実話をもとにしたドラマ。
30代後半という若さ、子供はまだ小学校と幼稚園に上がる前…そんなときに、柊子(吹石一恵)は自分が乳がんの末期で、もう手術はできないということに気づく。
一方、夫の賢一(青木崇高)も会社の人間ドックで異常が見つかり、再検査を受けると、肺がんがかなり進行していることがわかる。すぐにでも入院して治療を受けなくてはならないが、妻ががんのため、自分もがんだとはなかなか言い出せない…。
これはキツイ状態だなと思う。
自分も小さな子供がいるので、今、自分ががんで、末期で手術もできないとしたら、どういう選択をするだろうと、ちょっとシビアな気持ちになりながら見た。
柊子は結局最後まであきらめず戦うことを選択するわけだが、私ならできるだろうか?
でも、子供を残して、それもまだこんなに幼い…となると、やっぱり何もせずに死ぬのも悪いような気にもなるかもしれない。
本当につらいな…。
結局先に柊子が亡くなり、柊子が亡くなる前に学校に行けなくなっていた娘が、亡くなった後なのに、笑顔ですごく明るく生活しているという描写でドラマが終わるのだが、登校拒否までしていたのに、こう簡単に母の死を受け入れられるのだろうか?と、登校拒否のシーンはなかった方がよかったような気がしてしまった…。
この記事を書くのにネットをちょっと検索していたら、モデルとなった旦那様の方も、ドラマが終了するのを待たずに亡くなったらしい。
お子さん2人、残されてしまったのね…。何か悲しい。
やはり運命には逆らえないのだろうか…。
お二人のご冥福をお祈り申し上げます。そして、お子さんが力強くこれからも生きていかれることをお祈りいたします。
NHKのドラマ。岡田惠和脚本の作品はいいのが多いけれど、これもとてもよかった。
高校時代の親友3人組、薫(石田ゆり子)、友美(永作博美)、春子(佐藤仁美)。
薫はバリバリのキャリアウーマン、友美はエリートの洋介(藤木直人)と結婚し、健人というかわいい息子にも恵まれて幸せな日々を送る専業主婦、春子は夫・光雄(尾美としのり)と子供2人に恵まれる専業主婦として、同窓会で再会する。
その際の会話で、夫と薫が付き合っているのではないかと疑った友美は、二人の関係を確認して愕然とする。
薫を呼び出し、真相を確かめようとするが、二人は階段から転落して、心と体が入れ替わってしまう。
仕方なく、別々の生活を送ることにした二人だが、夫はもちろん二人が入れ替わったことになど気づくはずもなく、薫と信じている友美とは浮気をし、友美と信じている薫とはいい夫を演じる…。
一方の春子も夫の光雄が冬子(谷村美月)と浮気をしており、冬子が静岡から転勤先の東京に出てきて暮らしていることを知る。
さらに友美が乳がんで手術をするが、転移をして余命わずかであることがわかり、3人はいっしょに暮らす選択を…。
話がどう展開していくのか、毎週目が離せない感じで、とっても面白かった。
心と体が入れ替わるなんて、よくあるパターンね…みたく思ったけど、そうではなかったし、高校時代のエピソードなどを交えつつ、どうなっていくのかが目を離せなかった。
お互いに浮気をしている洋介と光雄の会話も面白かったしね。
でも、実際に洋介みたいな男がいたら、嫌だね…。光雄のほうがまだ理解できるかも…。
光雄も結局冬子のもとに行くが、冬子の意外な素顔を知るにつれ、春子の良さを再認識することになるし。
たまたま同じクールで「ママとパパが生きる理由」というドラマを見ていて、どちらも幼い子供を残して死ななくてはならない病にかかるという設定で、自分も子供がまだ小さいため、身につまされてしまい、実際、自分が同じような立場になったらどうするだろうか…とかつい、考えてしまったりもした。
本当によいドラマだったし、終わり方もよかったかな…と思った。
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