感想メモ

2014年03月29日(土) ごちそうさん


 NHKの朝ドラ「ごちそうさん」。前作「あまちゃん」の出来がよかったため、視聴率がどうなるかと危ぶまれていたけれど、何のことはない「あまちゃん」よりも高い視聴率を稼ぎ出した。

 その要因は…、多分だけど、やっぱりより幅広い年齢層に受け入れられる時代背景にあるのではないかと思う。

 若者も楽しめたし、「あまちゃん」ではついていけなかった高年齢層にも受けがよかったのではないだろうか。

 め以子(杏)は幼い頃から洋食屋の娘として育ち、毎日おいしいものを食べ、おいしいものには目がなかった。だが、自分からは料理をしようとしたことはなく、女学校になんとなく通う日々。

 そんな時、帝大の下宿人の西門悠太郎(東出昌大)と知り合い、「魅力がない」と言われる。そこからめ以子は悠太郎においしいと思わせたいと料理を作るように。

 そして、紆余曲折あって、二人は無事に一緒になることになり、大阪の悠太郎の実家へ帰ることになるが、この実家は複雑な家庭の事情があった。

 悠太郎の父・正蔵(近藤正臣)は先妻を亡くし、後妻の静(宮崎美子)と一緒になるが、そこへ出戻りの和枝(キムラ緑子)が戻ってきて、二人は喧嘩ばかり。正蔵は家族を置いてどこかへ消えてしまっていた。妹の希子(高畑充希)はそんな二人の中で萎縮して成長。

 西門家は和枝が牛耳っていたが、和枝は悠太郎が勝手に嫁となる女を連れてきたことが気に食わず、いけずの日々。どうやらそれは、かつて自分が義理の家でされていたことらしいのだが、め以子はそれをことごとくクリアしていくので、面白くない。

 希子もそんな義姉の姿を見て、どんどん変化していく。そして、最後には職業婦人としてラジオ局で働くまでに。

 め以子に子供が生まれたことから、和枝は田舎の農家へ後妻に入ることになり、西門家から出ていく。

 子育てをしながらも、料理に手を抜かないめ以子は、他の子供たちにもおやつをふるまったりして、次第に「ごちそうさん」というあだ名がつく。

 しかし、太平洋戦争の暗い時代へと次第に移り変わり、食卓事情もどんどん変わってくる。

 自分の年頃の子供たちもまた、軍隊に入ることになるし、悠太郎も満洲へ…。

 戦争で自分の息子を一人亡くすめ以子。悠太郎も満洲から帰って来ず、アメリカ人に対して憎しみを抱きつつ、毎日何とか生活をしていくめ以子。

 め以子の心の中には、かつて女学校で教えてくれた先生の言葉が宿っていたのかなと思う。「うれしいときも悲しいときも誰でもお腹がすく。たとえわかりあえない相手であろうと、その事実だけは一緒です」というような言葉。この先生は関東大震災のときに亡くなられてしまったのだけれど、め以子の一生を決めた先生だったのかと思う。

 そして、最後には息子を殺した相手であるアメリカ人にも料理をふるまい、たとえ人種が違ってもおいしいときの顔はみんな一緒だということを悟るめ以子。

 め以子はおいしいものを作り、おいしいものを食べさせて、人が満足する顔を見たくて、毎日奮闘する人生だったし、これからもそうなのだろう。

 また、め以子に意地悪ばかりしていた和枝であるが、一人息子を亡くし、義実家を追い出されたという経歴の持ち主で、め以子も子供を亡くしたので、その気持ちがわかるようにそういう設定にしたのかもと思った。

 それと同様に静も正蔵の帰りを待ちわび続けて何年も過ごしたという経歴の持ち主で、これは満洲からなかなか帰って来ない悠太郎を待つめ以子と同じ気持ちになるための前振りだったのかなと。

 脇役の方たちも個性的な方がそろっていてとてもよかった。

 源太(和田正人)が一番かわいそうなのかなー。源太がめ以子に最終話で言ったことって、きっと冗談じゃなく本音だったんだと思うけれど、そして、それまで独り身を貫いてきているんだけど、め以子と悠太郎の絆の前にはあっけなく打ち砕かれちゃってて…。かわいそうだなー。

 ま、何はともあれ、食べ物って大事。何かを作っておいしくて、そして幸せになって笑顔になれる。それって本当に素晴らしいことだ。

 自分もがんばって家族のために料理しますか…。

 一つ気になったのは、め以子が「料理ノート」みたいなのをつけているのだけれど、横書きで左から右に書いていたのね。この時代って看板とかは右から左に書いてあるんだけれど、ノートとかは左から右だったの? それ、すごくいつも疑問に思っていた。時代考証とかの人がついてるんだし、そんなものだったのかな?

 さて、次の「花子とアン」はどうなるかな? 私は「赤毛のアン」は好きだし、村岡花子さんの一生に興味があるので、とても楽しみなんだけれど。時代も「ごちそうさん」とほぼ同じぐらいの時代だしね。視聴率はどうなるか気になるところだ。



2014年03月27日(木) 僕のいた時間


 拓人(三浦春馬)は就職活動の真っ最中。苦戦中の中、恵(多部未華子)と知り合い、付き合うように。親友の守(風間俊介)、恵の友人・陽菜(山本美月)とよく集うようになる。

 拓人は家具会社への就職を決め、恵はファミレスでバイトをしながら、就職活動を継続することに。

 そんな中、拓人は左手に違和感を感じ出す。ALSという難病にかかっていたのだ。

 ALSは次第に全身の筋肉が動かなくなって行き、最後には呼吸ができなくなるという難病。そうなると人工呼吸器なしでは生きることができなくなる。人工呼吸器をつけると話すことができなくなる。一度人工呼吸器をつけると外すことができなくなる。

 そのような難病にかかったことが信じられない拓人。

 弟の陸人(野村周平)は父(小市慢太郎)の病院の跡取りとなるべく母(原田美枝子)からの愛を一手に受けていた。医学部に合格した陸人と一緒に住むことになっても拓人は病気のことを言い出せない。

 拓人は父や母から認められたこともなく、なかなか病気のことを打ち明けられないでいる。さらに恋人の恵がケアワーカーとして働くことを決め、このまま付き合っていたら恵を苦しめると、自ら身を引くことにする。

 恵に目をつけていた繁之(斉藤工)は拓人の先輩で、良き相談相手でもあった。繁之が恵と付き合いたいという申し出に拓人は喜んで恵を譲る。繁之はその時に拓人がALSであることを知ってしまうが、恵には隠して付き合うことに。

 拓人は会社の人に病気をカミングアウトし、協力してもらい、仕事を続ける。家族にもカミングアウトし、自分の気持ちを言っていき…。

 というようなあらすじなのであるが、この話、1話目ですごく繊細な若者の心の機微をとらえていて、恋愛ドラマとしても就職活動や仕事に悩む若者のドラマとしてもすでに秀逸だなと思った。

 正直言って、ALSという難病がなくても、このままでいいのではないかと…。

 さらに難病に侵されるとなると、感動しないわけにはいかないような出来になりそう…。

 それぞれの登場人物の演技もうまかったし、気持ちの移り変わりも丁寧に描かれていたし、本当に良い作品だったのだけれど、裏番組が「明日、ママがいない」だったし、視聴率的には奮わず、残念だった。



2014年03月22日(土) 明日、ママがいない

 放送直後から、問題視されて、何だかCMは打ち切りになっちゃうし、抗議は殺到するしで、大変な社会問題にまで発展してしまったこの作品。

 私は子役の子たちが好きだったので見たが、確かに第1話はちょっとなーという描写も多々あった。でも、第2〜3話と見続けると、かなりこのドラマに夢中になってきてしまい、最後までどういう展開になるのか興味があって、見続けてしまった。

 唯一残念だったのは、抗議のせいで内容が変更になったらしい点だ。どこから内容が変更になったのかわからないけれど、私は内容が変更になる前の設定で最後まで見たかったなと思う。

 この作品はあくまでもフィクションであり、実際にこういう施設があるわけではないという前提で撮影されたと思うわけで、目くじらを立てずにドラマはドラマと割り切って見るほうがよいのではないかと個人的に思う。

 だから、本当に内容が変更になったことが残念で仕方ない。

 もしかしたら、最後ももう少し続きがあったんじゃないかと思う。施設長と奥さんの関係とか、もう少し本来は進展があったのではないのだろうか…。

 ああ、もったいない。

 最近はCMでも、商品でも、ドラマでも、視聴者や購入者のちょっとしたクレームで内容を変更したり、取りやめたりしてしまう傾向が強くて、何だかすごくそれってどうなのだろう?と思ってしまう。

 色々な意見があるとは思うけれど、製作者は製作者で自信を持ってそういうのに打ち勝ってほしいと思うのだが…。

 子役の子たちはどの子もとても演技が良かったし、大人の出演者の方々も素晴らしかったと思う。



2014年03月21日(金) 給食のおにいさん  遠藤彩見


遠藤彩見 幻冬舎文庫 2013

STORY:
シェフとして素晴らしい経歴を持つ佐々目。色々あって小学校の給食調理員となることに。

感想:
 小学校の給食現場ってこんな感じなのかな…とわりに面白く読むことができた。

 様々な生徒がいて、特に心に残るのは親のネグレクトにより、給食のみが1日に取れる栄養のすべてだという子供たち。そんな子供たちが給食の残りをもらいに来たり。

 その一方で、給食を食べずに禁止された菓子類をこっそり持ち込み、給食後に食べる子供もいたり…。

 食物アレルギーの生徒がいたり…。

 様々なことと対峙するうちに佐々目の心もどんどん変化していく。

 こだわりを捨てたときに新しい道に進めるのかもなーと思った。



2014年03月09日(日) ファミレス  重松清


重松清 日本経済新聞出版社 2013

STORY:
中学教師の陽平、総菜屋の康文、雑誌編集者の一博の3人は料理でつながった友人同士。陽平は子育てが一段落したものの、妻が離婚届を隠しているのを発見、康文はバツイチで妻の連れ子と暮らし、一博は子供は持たず妻とは別居中。

感想:
 今まで読んだ重松清の話の中で一番面白かったかも。コミカルだったし。

 男たちは置かれた環境も様々なのに、料理を共通項として仲良くしている。

 そこへ転がり込んだのは料理教室の講師をしているエリカ先生親子。娘のひなたは妊娠中だが、シングルマザーとして生きることを選択。ところが、元夫が子供がいると知って復縁を迫っており、逃げているのだという。

 別居中の一博はなんだか押し切られるような形で2人を住まわせるようになり…。

 結局夫婦とは、家族とは、友情とは…というのを問いかけられる感じ。

 中に出てくる料理もおいしそうなものが多くて、料理好きな人はそういう面でも楽しめるかも。


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