2013年08月26日(月) |
父からの手紙 小杉健治 |
小杉健治 2006 光文社文庫
STORY: 姿を消した父から毎年のように手紙が届く麻美子と伸吾の姉弟。麻美子は父の親友の会社のために打算で結婚を決めており、弟は反対。婚約者が殺害されたことから弟は殺人の容疑をかけられ逮捕されてしまい…。一方刑事を殺して刑期を終えた圭一は、自分がなぜ刑事を殺したのか真相をつかむべく、義姉の行方を追う…。
感想: 麻美子の話と圭一の話が交互に繰り返されながら真相に迫っていくミステリー。
話がどういう方向に転ぶのかわからないまま読み進めていくと、驚きの真相が!!
なかなか面白い作品であった。
2013年08月20日(火) |
激流 〜私を憶えていますか?〜 |
20年前の京都への修学旅行で行方不明になった冬葉(刈谷友衣子)。すっかりその存在を忘れていた同じ班にいた6人の男女。そのうちの数人に向けて、冬葉から「私を憶えていますか?」というメールが届く。
6人はそれぞれの生活を送っていたが、様々な人生の岐路を迎えていた。
文芸編集者として働く三隅圭子・通称サンクマ(田中麗奈)は夫の不倫により離婚調停中。仕事面でも大作家を怒らせ、健康雑誌の編集部に左遷。
銀行員として前途洋々のはずだったが、女性問題で左遷された鯖島豊(山本耕史)。
娘を名門女子小学校に入れた貴子(国仲涼子)は、夫が失業中のため、売春をしている。
刑事として働く東荻耕司・通称ハギコー(桐谷健太)は、ある事件を追いかけるうちに同級生の秋芳美弥(ともさかりえ)に行き当たる。彼女は歌手や作家として才能を開花させていたが、薬でつかまり刑務所に入ったことがある前科者である。やっと新しい仕事が入り出したところ。
5人は冬葉のことで再び集まり、かかわっていくことになるが…。
展開が読めず毎回楽しみに見てしまった。
どの人も演技がうまくて、特に音楽教師の賀来千賀子や冬葉の母・田中美佐子の演技がすごかった。変わり身がすごい…。
大人のドラマとして、すごくよかった。
宮崎駿最新作、初の実在の人物がモデルの映画を見てきた。
素晴らしかった。
二郎が恋に落ちる菜穂子とのエピソードは泣けるものが多かった。
物語は実在の人物・堀越二郎と堀辰夫を足して二で割ったみたいな主人公の半生を描く。フィクションであるけれど、限りなくノンフィクションに近い。
関東大震災や大不況、そして戦争へと突入していく何かと物々しい雰囲気が漂う時代。
だから、描写も今までのファンタジーのようなさわやかなシーンはあまりない。
ただ、二郎の夢に現れるカプローニとのシーンだけが、今までの宮崎駿のファンタジーの世界がここに生かされていると思った。
二郎はただただ美しい飛行機が作りたかった。そのためにカプローニに言われたとおり、飛行機の設計に明け暮れる。
しかし、時代は戦争の兵器としての飛行機を求めていたから、どうしてもそうしたものを作らざるを得なかった…。
彼は精一杯やったのだと思う。自分のできる限りのことをして、ゼロ戦を作り上げた。
カプローニに対し、ゼロ戦作りに邁進したものの、それは散々な結果をもたらしたと告白する二郎。それでも、彼はその時代の中で自分の夢を求め、それを達成しようとがんばったのかな…と思った。
ところで、この映画は喫煙シーンが多く、禁煙学会から槍玉にあがっているらしい。
当時は男は煙草を吸う人が多かったし、それが普通だった。煙草が体に悪いという認識もなかったのでは?
時代背景を考えずに、喫煙を助長するなどというのはちょっといかがなものか?
二郎は設計の仕事をしていた。昔からクリエイティブな仕事をする人には煙草を吸う人が多かったように思うのだが…。(ちなみに私は煙草は好きではないし、自分のパートナーにも禁煙をしてもらったくらいの煙草嫌いである…)
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