2012年08月24日(金) |
ナミヤ雑貨店の奇蹟 東野圭吾 |
東野圭吾 角川書店 2012
STORY: 強盗を犯した3人はナミヤ雑貨店という古びた家に逃げ込む。そこは時間の流れが普通とは違っており、悩み相談の手紙が届く。彼らはその手紙に返事を書くのだが…。
感想: 初めは子供たちのいたずらめいた悩みに答え、その回答を店先に貼り出していたナミヤ雑貨店の店主。そのうち、深刻な悩みも届くようになり、それに答えるように。その答えは人の心に届くもので、そのうち雑誌に載るまでになる。
そんな過去のことなど知らずにナミヤ雑貨店に逃げ込んだ3人のもとに、過去からの悩み相談の手紙が届く。彼らはその手紙に返事を書くと、それに対して返事が届き…。
悩みに答えるうちに、彼らは人のために考え、真剣に答えを書くようになる。
悩みの相談者たちは、お互いに知らないが、それなりにつながりがあり、読み進めるうちに、そのつながりがわかるようになり、おお〜っと思う。
そして、最後は希望が持てる終わり方で、今後、この3人がどうなったのかは気になるが、きっと悪い方向には進まないだろうなと思わせられる。
とりあえず感動の一冊であることは確か…。
2012年08月17日(金) |
借りぐらしのアリエッティ |
テレビで録画しておいた「借りぐらしのアリエッティ」を見た。
聞いた話だと、ジブリ映画の中でも最も世間の人の評価が低いんだとか…。
でも…実際に見たら、不覚にも結構感動してしまって、あれ〜という感じであった。
小人の家の感じとかすごく美しくって、見入ってしまいそうだったし…。
心臓の手術を控えた少年・翔は自分の命があとわずかだと悲観的になっている。
そんなときに出会った小人のアリエッティ。彼は小人は滅びゆく運命だと言う。アリエッティはそれを否定し、最後まで生き抜くと宣言する。
彼はアリエッティに勇気をもらい、生きる希望が湧く。そして、実際手術が成功して、その後、このときのことを回想するという形で物語が始まる。
ただ、やはり難点はある。小人をそっとしておけばよかったものの、彼の介入によって、小人たちは結局家を追われ、別の場所に移動せざるを得なくなる。(まあ、アリエッティも翔に恋心を覚えてしまい、ついつい翔のところに行ってしまったという非があるが…)
特に彼が人形用の高価なキッチンセットを無理やり小人たちの家に置きに行ったことは、なぜそんなことをする必要があるのか?と思うと同時に、どうして、ここに小人たちの台所があるとわかったのか?という変な疑問につながってしまった。
何はともあれ、たとえ滅びる運命でも、自分たちは最後まで懸命に生きると言うアリエッティの姿はたくましいものがあるなーと思った。その後、どうなったのだろう? 気になる…。
永瀬隼介 幻冬舎 2012
STORY: 特攻隊員として出撃したはずの陣内武一は気づくと平成の社会にいた。そこで知り合ったフリーターの慎太、元新聞記者の綾と行動するうちに、かつて特攻の途中で離脱した仲間の姿を発見し…。
感想: ちょうど終戦の日も近いし…と、特攻隊員が現在にタイムスリップする話が面白そうかもと読んでみることに。
同じく特攻隊ものなら、先日読んだ「永遠の0(ゼロ)」のほうが面白かったかな…。
こちらは、それなりにファンタジーなんだろうけれど、現在に登場する若者たちにあまり共感できず…。
特にフリーターの慎太の思考回路には正直ついていけず、綾もなんだか変な思想にかぶれておかしいし…。
唯一面白かったのは、やはり昔の旧友と武一が再開し、旧友がどういう人生をたどってきたかを知るような場面かなー…。
現在の政治情勢みたいなもの、日本の解説に結構ページを割いているのも、どうも私にはいまいちだったのかな…。(でも、今、日本が置かれている状況がよくわかるのかも…)
最後の格闘っぽいシーンも、ちょっとわかりにくく…。
少し残念ではあったけれど、先が気になって読んだから、それなりには面白かったのかも…。
あべ美佳 NHK出版 2012
STORY: 小学校の教師になるつもりだったゆきは、東日本大震災のあと、米の持つ力に改めて気づき、祖父の田んぼを継ぐことを決意するが…。
感想: 東日本大震災のあとに、お米の偉大さに気付いたゆきが、祖父の田んぼを絶やしてはならないと、地域に根付いた未来のある米作りを目指していく。
日本の米作りの大変さや制度の問題点など、なかなか考えることも多い作品ではあったが、恋愛とか家族の絆みたいなものを描く面では、まあそれなりな感じかなー…。
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