感想メモ

2009年07月29日(水) 平成大家族  中島京子


中島京子 集英社 2008

STORY:
歯科医を引退した父と祖母の介護をする母。引きこもりの長男は悩みの種だが、2人の娘を嫁に出し、落ち着いた毎日を送っていた。しかし、長女の夫が失業し、長女一家が出戻ってくる。その上、次女が離婚し出戻り。しかもお腹には別の男の子供が…。

感想:
 「平成大家族」というだけあり、確かに一家に4世代が一気に集まってくる。祖母、両親、娘2人と息子、そして、娘たちの子供まで…。それぞれの世代がそれぞれの時代を生きてきて、考え方も生き方も違う…。

 平成という時代を映し出しているような気がして、かなり面白かった。

 時事的な問題などもちょっとちりばめられており、この時代だからこその作品なのかな?と思った。

 出てくる登場人物は世代が違うけれど、うんうん頷けるような感じ…。

 それにしてもこの家は、女性が強い。男性の影が薄い…。特にお父さんは一家の大黒柱で主のはずが…知らないところでいろいろなことが行われており、何となくしか家のことがわかっていない。

 最後の文士になろうとするところで、自分が何もわかっていない猫以下だということに気づいたようなくだりはついつい笑ってしまった。



2009年07月28日(火) 私が結婚できるとは  細川貂々


細川貂々 幻冬舎 2009

 ツレうつシリーズの細川貂々が、ツレさんと結婚するまでと、結婚してからの生活について描いたコミックエッセイ。

 結構面白かったけれど、これで、貂々さんの大体の経歴は漫画にしてしまったような…。

 この先はお子様ネタになるのかな。そっちも読むつもりだけど…。

 今後の作品がどうなっていくかが気になる。



2009年07月23日(木) ゴールデンスランバー  伊坂幸太郎


伊坂幸太郎 新潮社 2007

STORY:
仙台で起こった首相暗殺事件。その犯人に仕立て上げられた青柳雅春は、警察から逃げまくるが…。

感想:
 首相の暗殺事件が起こり、なぜか自分が犯人に仕立て上げられる。身に覚えがないのに突然警察組織から追い回される主人公・青柳。

 数ヶ月以上前から、この事件の犯人にさせるために仕組まれていた巧妙な罠。

 こんな風に陥れられたら、誰もが抵抗できないかも…。

 冤罪事件が最近もあったばかり。今、刑務所に入っている人の中にもそういう人はいるのだろう…。

 この場合は、刑務所に入れられるのではなく、その場で殺して口封じをしようという目的であるから、余計に恐ろしい。

 伊坂幸太郎は、読売新聞の夕刊で『SOSの猿』というのを連載していて、途中まで読んでいたのだが、あまりにも面白くなくてやめてしまった。

 もしかしてこの人の作品とは合わないのかな…とちょっと思っていたが、この作品はまあまあだった。



2009年07月12日(日) ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
 去年は初日に見に行けたけれど、今年はなかなか忙しくやっと見に行くことができた。

 「序」はあまり変化がなかったけれど、今回は最初から展開が違って、前作とはかなり違う話になってきている。

 前作の終わり方に満足できていなかった私は、今回の方がいい感じに話が進みそうな気がして、非常にこの先が楽しみでしょうがない。

 違う展開になっているので、最初から最後まで一瞬たりとも目を離せない。きっとコアなファンの人は、1回見ただけでは飽き足らず、何度も見に行ってしまうことだろう。私ももしかしたらあと数回くらい劇場に行ってしまうかも…。

 個人的にミサトファンなので、ミサトがシンジやアスカに投げかける言葉にウルウル来た。

 今回はもしかして、主要人物の死はないのではないかな…というような気がしている。前回はほぼ全員死亡だったのがいやだったので、その方が私にはいいんだけど。

 新キャラクターのマリについては、まだ謎が多く、どういう経歴なのかが全然わからなかった。この先、どういう風にかかわってくるのか…。

 この先、どうなるのか…早く見たいけれど、あとどのくらいかかるのかな…。2年じゃ無理なのかな…。早く作ってほしい…。



2009年07月09日(木) 告白  湊かなえ


湊かなえ 双葉社 2008

STORY:
事故死と処理された愛娘の死。しかし、実際は2人の生徒に殺されていたということを知った女教師は、教員生活最後の日にクラス全員に事実を告げる。そのことと女教師が行ったある復讐が思わぬ悲劇を生み出して…。

感想:
 なんだかよくわからない話だったような気もする。5人の人物が告白する(もしくは日記や手記)という形式で書かれた、ある1人の人物の視点から物事が進んでいくからか…。

 感想はネタばれをしないと書けないので、以下ネタばれあり。







 私が腑に落ちない点は、先生の復讐方法…。そんなこと、可能なのかな?というのと、もし実際に自分がそういうことをされたと仮定した場合に、生徒の反応がこんな風になるのかな?ということだ。

 天才生徒の方は、自分で検査機関に血液検査を依頼するなど、まだわかる態度を取っているが、問題はもう一人…。引きこもってしまって、おかしな行動を取るようになる。

 でも…引きこもりつつ、インターネット使ったりしてるみたいで…。

 もし自分がこういうことをされたら、まずはネットでも何でもエイズのことを調べまくるんじゃないかな? 感染の可能性とか、対処法とかあらゆることを…。そういうこともしないし、血液検査をして、自分が陽性なのかどうかを調べずに、勝手にエイズに感染したと思っているところがね…。

 これは、クラスの生徒も同じだけど…。(今時の中学生ってそんなにバカ?)

 最初、話を読み始めたときに、この女教師がかわいそうな気がした。子供を殺されたということに対して、本当にかわいそうだと思ったけど、復讐のあらゆる方法を見ていたら、全くそういう気持ちも吹き飛んでしまった。

 もし、自分が同じ立場に立ったなら、生徒が殺したとわかった時点で、たとえ少年法で少年たちが裁かれないとしても、警察に事実を告げたと思うし、生徒のことを思うならそうするのが一番よかったのではないだろうか?

 結局、この教師がしたことの余波から、死ななくてもいい2人が死んでしまったわけだし…。

 教師の倫理感から敢えて告げなかったみたいなことを言っているけれど、もし本当にそう思うなら、復讐をしようと思ったり、クラス全員にそのことを告げず、胸の中にしまっておくべきで、最初から、この2人を困らせようというつもりだったのだから、まるで自分を聖職者であるみたいな表現を使うのはどうなのかなーと思ってしまった。

 まあ、いろいろな意味で問題作なのだとは思うけれど、私はこの小説は読まなくてもよかったかなーと…なんとなくあとから思ってしまった…。



2009年07月07日(火) ターミネーター4



 6年ぶりくらいのシリーズ最新作を見に行った。

感想は…怖いっ、怖すぎるっ!!ということだったりして…。

 もともとこのシリーズ、息をつく間もないアクションの連続なのだけれど、今回も同じくほとんどゆっくり落ち着いて見る時間がない…。

 爆破のシーンが多すぎて、なんだか今までのターミネーターシリーズよりも、戦争映画っぽい感じが強い。

 それは、舞台が未来だから仕方ないのかもしれないが…。

 時は2018年。スカイネットの機械軍に地球は支配され、生き残った人間たちは抵抗軍を組織している。

 抵抗軍の部隊を率いるジョン・コナー(クリスチャン・ベイル)は、自分の父親となるはずの少年カイル・リース(アントン・イェルチン)を探していた。

 カイルはスター(ジェイダグレイス・ベリー)という子供と一緒に行動していたが、マーカス・ライト(サム・ワーシントン)という謎の男と出会う。彼らは北を目指すが、その最中に立ち寄った集落でスカイネットのロボットに拉致されてしまう。

 マーカスだけは命からがら逃げ出し、スカイネットと闘って墜落しそうになった機体から脱出した女パイロット・ブレア(ムーン・ブラッドグッド)とともに抵抗軍の部隊に向かう。

 そこで、ジョンと出会ったマーカスだったが、マーカスの重大な秘密が明らかになって…。

 怖すぎる映画ではあるが、最後のシーンでは、ホロリとしてしまった。

 ロボットと人間の違いとは何か? 人間には心がある。人間は心があるからロボットと同じにはなれないし、そのことを忘れてはならないのかなーと思った。

 まだまだ続編ができそうな予感。ジョンの妻・ケイト(ブライス・ダラス・ハワード)のお腹にはジョンの子が…。この子がこれからの抵抗軍の希望の光となるらしい…。




2009年07月05日(日) わが家の母はビョーキです  中村ユキ


中村ユキ サンマーク出版 2008

 統合失調症を患う母と暮らしている筆者の経験を描いたコミックエッセイ。

 統合失調症(トーシツ)はかつて「精神分裂病」という名前で恐れられていた。100人に1人の割合でかかり、脳の機能障害による病気。

 実はこの病気には『ビューティフル・マインド』を見たときから、すごく興味があって、今回、この本を読んでみようと思ったのだ。

 母がトーシツを患ったのは、筆者が4歳の頃…。しかし、当時からの間違った対処法のせいで、母のトーシツは悪化の一途…。筆者の人生は母に振り回されることの連続だった。

 ハッキリ言うと…漫画でなければ、これを読むのは相当辛い。漫画だから、まだ救われている気がする。

 筆者の夫となる人物がまたすごい人だな…と思う。もしかして、精神的な病気には、こうしたあまり気にしないのほほーーんとしたタイプの人がそばにいることが重要なのか?

 トーシツにかかったときの行政の援助や、最新の治療など、トーシツについて非常にわかりやすく描かれている。

 絵がもう少しかわいいと、もう少し読もうという人が増えるような気がした。



2009年07月03日(金) 神去なあなあ日常  三浦しをん


三浦しをん 徳間書店 2009

STORY:
高校卒業後、フリーターをしようと思っていた勇気は、両親と先生に無理やり神去(かむさり)村に預けられる。そこで林業の見習いとして働くことになった勇気は…。

感想:
 最近、農業や漁業、林業などに少しずつスポットが当たっているような気がする。けれど、農業や漁業に比べると、林業という世界は一般人にとってはなじみが薄い気がする。

 高校卒業後、突然神去(かむさり)村に連れ去られる勇気。携帯の電池パックを捨てられてしまい、最初は逃げ出したい気分でいっぱいだったが、段々村の生活に溶け込んで、林業が好きになっていく。

 村の人は閉鎖的でありながら、のんびりした気質で、勇気を次第に受け入れていく。

 過疎が進む村には、様々な風習があり、そんなことも勇気を変えていく。また、ちょっとした色恋沙汰も…。

 林業について知りたい人には、なかなか面白い入門書となるかもしれない。田舎暮らしがどういうものかについても、少しはわかるかも。


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