2009年05月27日(水) |
余命1ヶ月の花嫁 TBSテレビ報道局編 |
TBSテレビ報道局編 マガジンハウス文庫 2009
なぜか図書館で見かけて手に取った。現在映画化されたりして、人気がありそうなのに置いてあったのでびっくり。(すでに飽きられているのか?)
ニュース番組の途中などで何度も同じのをやっていて、いつも途中から見るんだけれど、いつも悲しい気分になっていたこの企画。
映画化されたり、本が出たり…正直、ちょっと話題になったからといって、ものすごい宣伝だなーというような、印象が強かったのだが…。
確認できたのは、この報道がされたときに、もう長島千恵さんは亡くなっていたということ。生きているときからやっているのかと思っていた…。
それから、乳がんは若い人は進行が早く、手術をしても再発をするとあっという間に亡くなってしまうのだということ…。
千恵さんの場合も、肺に転移が見つかってどんどん病状が悪化。余命一ヶ月と言われてしまう。ただし、本人は自分の状態を見聞きしたくないということで、余命のことは知らなかった。
周りの人は余命があとわずかであることを知って、何か千恵さんが喜ぶことをしたいと考え始める。
千恵さんがウェディングドレスが着たいと言ったことから、友人が苦労してドレスを着て、簡易の式が挙げられる教会を探してきて、急遽結婚式が千恵さんに内緒で企画された。
当日の千恵さんは体調はいまいちながら、式の最中には車いすを降り、酸素ボンベを外し、自ら歩いてとてもきれいで幸せそうだった。
いい友達、恋人に囲まれて幸せだったんだろうな…。でも、残されたお父さんがかわいそう…。
自分も乳がん検診をしたいなーと思うのだが、まだ30代なので、医療費の補助がなく、自治体の検診も40歳以上が対象なのが実情。でも、若い人の方が進行が早いのだし、若い人への助成ももう少し広がるといいな…と思った。
NHKの金曜ドラマ。今シーズン、もうひとつ「コンカツ」ネタを扱った「婚カツ!」っていう月9のドラマがあったのだが、1回目を見て挫折…。
こちらの方も、最初のうちは何となく痛い感じがしてしまって、見続けるのを考えたけれど、数回目から俄然面白くなってきた。
どっちかというと、コンカツよりもリカツの方が面白く…。これはもちろん私が結婚しているからかもしれないんだけど…。
それにしても、最近は何でも「カツ」をつけてしまうのね…。でも、結局は昔で言う「お見合い」が変化したものだったりとかなんじゃないかな…って思ったりもするけど…。
色々な用語を解説してくれたりして、今はそうなんだな…っていうのがわかったけど、こういう活動をして、結婚する人が増えたらいいのかも…。出会いの場所って、社会に出るとなかなかないしね…。昔は世話好きな人がいたから、よかったんだろうけど、今はそういうのも敬遠される時代だろうから…。
ドラマの展開は予想もつかない方向へ…。(ネタばれあり)
七海(桜井幸子)は、コンカツで知り合ったエリート商社マン・斉藤(保阪尚希)からプロポーズされる一方、大学時代の友人・洋介(二階堂智)に突然キスされたことから、気持ちが揺れ動いてしまう。さらに年下の口の悪いアーティスト・省吾(中川晃教)も七海のことが気になる様子…。結構モテモテじゃん…。
しかし、七海がまた、選べない優柔不断なのよね。男の人も草食系で、待ってるばっかりの人が多いらしいけど、結婚が決まらない人って、やっぱり考えすぎたり優柔不断な人が多いのかもしれない…。
そして…七海…最後は一人…砕け散る。ええっ…? まだこの先あと2回くらい話が続いてもよさそうな展開じゃないの??
一方のリカツは、梨香子(清水美沙)が夫・正彦(津田寛治)から突然離婚を告げられ、一人息子の拓(中村柊芽)とともに七海の家に転がりこむところから始まる。
梨香子は案外嫌な性格なんだけど、自分ではそれに気づいていない。ちゃっかりしていて、特に大人受けがいいので、すぐに七海の母・幸子(松坂慶子)とも打ち解ける。
最初は離婚なんてしないと思い、夫の家に通ったりしていたが、カギを変えられ、銀行の口座は残高ゼロになり(兵糧攻めというらしい)、追い詰められていく。
そんなときに、離婚カリスマカウンセラー・金子(ふせえり)と出会い、リカツの賢いやり方を伝授してもらうが…。
実はこの金子のもとには、洋介の愛人(有森成美)も通っているのであった…。愛人は妊娠中…。
こんな男と一緒にいても何にもならないから、とっとと離婚しちゃった方が…と傍から見ていたら思ったのだが…。当人はそううまくは感情が切り替えられないのかも。
そして、この2人にかかわるのが、雑誌の副編集長るり子(国生さゆり)とそこで働く美穂(大桑マイミ)やコンカツ中の様々な男女たち…。
国生さゆりの役がきつくて、最初好きになれなかったけど、少しずつ好感度が上がる…。
でも…なんとなくだけど、七海とるり子は一生コンカツし続けてそうな…。七海は優柔不断すぎだし、るり子は条件が厳しすぎ…。るり子は十分に一人で生きていけそうだけれどね…。七海はちょっと心配になるけど…。
2009年05月22日(金) |
彩乃ちゃんのお告げ 橋本紡 |
橋本紡 講談社 2007
STORY: 教主様と呼ばれる彩乃はまだ小学生。宗派の後継ぎ争いに巻き込まれ、関係のない人に預けられることになるが…。
感想: 小学生の彩乃は不思議な力を受け継いでおり、新興宗教の次期教主となることが決まっている。
そんな彩乃が事情から宗派とは関係のない一般人の元に預けられ、そこで巻き起こる3篇のお話。
「夜散歩」は彼氏との関係が深まらないまま生活を送る女性の話。彩乃と段々距離が縮まるのがなんとなく楽しい。
「石階段」は高校3年生の男の子が主人公。ボランティアで石の階段の再生をする彼は、人生に迷い、恋愛に憧れている。彩乃との出会いで少し変わっていく。
「夏花火」は東京から田舎に転校してきた彩乃と同級生の女の子が主人公。彩乃とはなかなか仲良くなれないが、彩乃のおかげでクラスのみんなと仲良くなれるように…。
どの話もほのぼのとした雰囲気で、人生にちょっぴり迷うお年頃の人たちが、彩乃のおかげで道を見つけていく…という感じで、後味も良い感じだった。
2009年05月18日(月) |
猫を抱いて象と泳ぐ 小川洋子 |
小川洋子 2009 文藝春秋
STORY: 生まれつき唇が閉じていたリトル・アリョーヒン。彼は内向的に育つが、マスターにチェスを教えてもらった日からチェスの虜となって…。
感想: 不思議な話だった。舞台は日本なのだと思うが、読んでいると、どこか外国の出来事のような錯覚を覚えることがあった。
チェスについてはルールもよくわからないが、読んでいると素晴らしいゲームのような気がしてくるから不思議だ。小川洋子はこうした描写が本当にうまいなと思う。
リトル・アリョーヒンと呼ばれた少年の名前は最後までわからない。最後まで日の目を見ることがなかった彼の生涯は、傍目には不幸なのかもしれないが、きっと本人は幸せだったのかもしれないとも思う。
けれど、彼の淡い恋が実らなかったことなどがちょっと残念でならなかった。
クリント・イーストウッド監督・主演ということで、見に行ってみる。夫は大絶賛で2回目の鑑賞。
妻を亡くし、一人暮らしとなった老人ウォルト(クリント・イーストウッド)は、古きアメリカ人の典型で、今時の若者たちや周りに移民が増えていることなど、何もかもが気に食わない。妻に頼まれた牧師がわざわざ訪ねて来てくれてもつれなく接する。息子たちや孫たちともうまくいっていない。
そんなある日、隣家のモン族の少年タオ(ビー・バン)が、ウォルトの愛車グラン・トリノを盗もうとする。タオは悪いいとこの不良グループに目をつけられており、盗みを命じられたのだった。
隣家とはソリが合わないと思っていたウォルトだったが、娘のスー(アーニー・ハー)が黒人の不良に絡まれているところを助けたことから、交流が始まる。タオも車を盗んだお詫びにと無理やりウォルトの手伝いをすることになり…。
ウォルトは、老人とはいえ、かつては戦争で人を殺したこともあり、自分の身は自分で守るのが当然と考える。戦後はフォードの自動車工場で車を作ったというプライドがあり、日本車をセールスする息子を苦々しく思う。唯一の喜びは素晴らしい妻と一緒になれたこと。しかし、息子や孫たちとはうまくいかない…。高級老人ホームに住まわせようとする息子に反発するが、健康の不安がわかると、息子につい電話をしてしまったりする…。けれど、一人で何でもできるから老人扱いされるのは面白くない。
こんな老人が、タオ一家とかかわったことから、人生の転機を迎えるのだが…。
この映画は、人種や民族といったものは何かというのを考えさせられる。同じ民族内でもいがみ合いがあったり。
それから、暴力というものの本質についても考えさせられる。暴力は一時は相手を黙らせる効果があるかもしれないが、その後、さらなる暴力を生む。その暴力に対抗するには、ではどうしたらいいのか?
以下ネタばれあり…。
自分が犯した過ちのため、タオ一家に危機が迫った。自分を責めるウォルト。復讐に燃えるタオ。しかし、タオはまだ若く、チンピラどものために自分の未来を台無しにすることはない。考えに考えた末にウォルトが出した結論とは…。
この結末に他に選択肢はなかったのか?とつい思ってしまった。こうするしかなかったということなのかもしれないけれど、死んでほしくなかった。自分の死を覚悟して、死の準備をし、犬を預け、身辺の整理をし、最後の戦いに挑んだウォルト。
でも、自分がタオの立場ならこの行動はどうなのかと思った。自分のために死を持って犠牲になった相手。一生負い目に思わないだろうか…。
自己犠牲で相手を助けるって実は難しいのではないだろうか。
もしかしたらこういうのは男の美学なのかもしれない。女性である私には「素晴らしい!」と手放しで喜ぶことができない。
2つの映画のテーマが違うので一概に比べることはできないが、やはり『チェンジリング』の方が、女性向けなのか感銘を受けたような気がする。
2009年05月05日(火) |
奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 石川拓治 |
石川拓治著 NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班監修 幻冬舎 2008
以前、NHKのドキュメンタリー「プロフェッショナル仕事の流儀」で紹介された、無農薬でリンゴを育てている農家・木村さんのことをTVよりさらに掘り下げて取材したことをまとめた本。
このTV番組は私も見ていて、とても感動した覚えがあり、話題の本になっているようだったので手にしてみた。
木村さんもすごいと思うが、支えてくれた家族がすごいなと思った。特に奥さんがすごいなと思った。
何か一つのことを諦めずに続けて成功をおさめた人の話を読むのは励まされる。
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