感想メモ

2008年03月29日(土) ちりとてちん


 NHKの朝ドラが終わった。

 子供時代の喜代美のエピソードはわりに好きだったものの、高校時代の喜代美のエピソードは非常に暗く、高校卒業後、大阪に出ていく頃の場面では、喜代美のことが嫌いで、苦痛だったのだが、落語と出会ってからはがぜん面白くなって、なかなか面白く最後まで見ることができた。

 喜代美(貫地谷しほり)は後ろ向きな性格で、妄想がすごい。悪いほう、悪いほうへとついつい妄想が広がる…。でも、面白い家族に恵まれ、また大阪に出て来てからも落語と出会い、師匠や兄弟子に恵まれ、一つのことを続けるということで、次第に自信がついてくる。

 一方、喜代美が天敵のように思っていた清海(佐藤めぐみ)。子供時代は挫折知らずで、みんなのアイドル的存在。喜代美は常に清海の影のようになってしまう。そのため、疎ましく思っているものの、なぜか清海は喜代美のことを特別に思っていた。こちらは順風満帆の人生かと思いきや、喜代美がブレイクし出した頃から、挫折を経験し、性格が暗くなってしまう。

 この2人の対比の具合がとてもよく描かれていて、そのつど、考えさせられた。

 喜代美の子供時代からの親友・順子(宮嶋麻衣)は冷静に物事を見つめ、そのつど喜代美のことを叱咤激励していく。こんなよい友達がいたから喜代美は道を踏み外さずに済んだのかも。でも、そんな冷静な順子が突然のできちゃった結婚…。それも双子を産むとは…人生ってわからないな、とか思ったけれど…。

 喜代美の父(松重豊)は若狭塗箸の職人。喜代美の祖父(米倉斉加年)の伝統を途絶えさせてはならないと、修行を続けようと実家に戻ってくるのだが、その後、すぐに祖父が他界。独りで伝統を継いでいくことは難しく、兄弟子だったが、伝統若狭塗箸の未来に疑問を感じ、箸会社を興し独立してしまった清海の父(川平慈英)に塗箸を習う。この2人や喜代美の祖母(江波杏子)との間にも長年の確執があるのである。

 若狭塗箸と落語、似て非なるものという感じだけれど、どちらも伝統というところでは同じ。喜代美の兄弟子で、師匠(渡瀬恒彦)の息子・小草若(茂山宗彦)は偉大な父のもとで悩んでいたが、それは喜代美の父も同様で、偉大な父のもとに生まれるということのプレッシャーを感じさせられた。

 私は落語には全然興味がなかったが、劇中で演じられる落語のコントのような内容などを知って、少し落語のことが学べて面白かった。

 さて、最終的に喜代美は落語家で大成するのかと思われたが、結婚10年後に妊娠し、突然落語をやめ、子育てと夫である草々(青木崇高)の弟子たちのおかみさんとしての生き方を選ぶのであった。

 正直、終わりがあっさりしていて拍子抜け。それまでは感動の嵐が吹き荒れることが多かったのに、最後にあっさりとやめてしまったことがね…。ナレーターの上沼恵美子はこの20年後の喜代美のようだけれど、やっぱりおかみさんだけで終わりになってしまうのか…。

 なんとなくだけれど、子供がある程度育ったらまた落語の道に戻るという選択だってあると思うのだよね。それなのに裏方が一番みたいな展開は…。まあ、喜代美の母(和久井映見)の生き方を否定してきた喜代美が、母の偉大さに気づくという流れはわかるのだけれど、今の時代とちょっと逆行していないのか?

 やっぱりNHKだから、古い考え方を最後に持ってきたほうが受けがいいと思ったのかはわからないけど…。

 なんとなく、喜代美には、子育てもしながら、草々のおかみさんやひぐらし亭のおかみさんとしても活躍し、さらに落語家としても活躍してほしかったな。どれも中途半端に…ということかもしれないけれど、そうやって毎日を忙しくしている喜代美が見たかった気がする…。

 その選択は不自然ではないものの、同じ女としては一抹のがっかり感が残ったかな。

 でも、よく練られた脚本で、本当に毎回楽しく見られたので、その意味ではとても満足できた作品だった。

 兄弟子4人組、師匠、喜代美の家族、奈津子(原沙知絵)、「寝床」の常連さんたち、順子の父母、みんなみんな個性的で、ピッタリな配役だった。



2008年03月25日(火) 佐々木夫妻の仁義なき戦い

佐々木夫妻の仁義なき戦い
 このドラマ、一番どうでもいいかな…と思いつつ、見ていたら、だんだん面白くなっていった。

 弁護士夫婦の佐々木法倫(稲垣吾郎)と律子(小雪)は、性格の不一致で暮らしがぎくしゃくしていた。法倫は几帳面できれい好き。料理や掃除、洗濯も律子のためにこなす。律子はずぼらで片付けられない、酒乱で暴力癖もあるがおおらかな性格…。こんな二人が生活するので、うまくいくはずがなかった。

 ということで、二人は周囲を巻き込んで、離婚すると言いつつ、毎回なんだかほのぼのと仲直りして終わるので、このまま終わるのかと思っていたら、最後には法倫が浮気をしたと主張する律子と対立し、親権や弁護士事務所を含む財産までをも争う離婚裁判に…。

 ま、終わりは…結局丸く収まるわけなんだけど、なんてお金と時間のかかる夫婦喧嘩だこと…といった感じだろうか。

 最初は法倫のほうがかわいそうだったが、子供を産ませて、産んだら親権ごと律子から奪い返そうとしている場面では、正直引いた…。どっちにも感情移入できず、桜庭が両方の証言を断ったのがよくわかるなーという心境…。

 でも、このドラマで小雪のイメージが悪くなったかも…。なんだか悪い女に見えてきて…。

 久しぶりに桜井幸子(法倫の浮気相手)を見た。いい味を出していた。



2008年03月21日(金) あしたの、喜多善男


 『鹿男あをによし』と同じく、毎週楽しみだったドラマ。謎が謎を呼び、誰が味方で誰が敵なのかがわからず、また癖のある人たちがたくさん出ていて、マニアックな作り。でも、『鹿男〜』と同様、好みが分かれそうな作品ではあるかも。

 11日後、親友・三波(今井雅之)の命日に自らの命を絶とうと決意した喜多善男(小日向文世)は、最後の10日間を自分のやり残したことをやるために過ごすことに決めた。そんなときに平太(松田龍平)と出会い、平太によって会いたかったアイドルの宵町しのぶ(吉高由里子)や元妻のみずほ(小西真奈美)と会うなど、濃い10日間を過ごすのだった。

 平太の恋人リカ(栗山千明)は、どうしても2000万円が必要で、善男に保険に入ってもらったり、善男の母をだまして、保険金詐欺をしようと試みていた。保険金を得るために殺し屋に頼んだりと、自殺する前に善男を殺害しようと試みる。

 一方、保険調査員の杉本(生瀬勝久)はみずほの夫の事故死は保険金詐欺の疑いが濃厚だとして、みずほの身辺を探り始めていた。みずほは夫の会社の社長に就任し、社員の森脇(要潤)とともに会社の建て直しに奔走していた。

 善男には2つの人格があり、気が弱く善良な善男の前に突然ネガティブで攻撃的な善男が現れ、善良な善男をののしるが…。

 とまあ、複雑な話で、どうなるのかと思いつつ最後まで見た。

 最後、善男の2つの人格が一つになり、平太が善男の自殺を止める場面は、かなり感動した。

 どの人も演技がうまかったが、平太役の松田龍平がよかったかな。もちろん主役の小日向文世はひとりでネガティブを演じたり、2役くらい演じていてすごかったけど…。みずほ役の小西真奈美のいつもと違う張りつめた演技もよかったし。

 それと、途中で少しだけ出演した、殺し屋の温水洋一や三波の元恋人役の室井滋など、脇役の人たちもよい感じで面白かった。



2008年03月20日(木) 鹿男あをによし (ドラマ)

鹿男あをによし
 今季、たくさんのドラマを見てきた中で、1,2を争う面白さだった。見てよかった。そして、原作も読みたくなった。

 物語は荒唐無稽だけれど、あり得なさそうな話ではないところがよかった。小川(玉木宏)は東京の大学の研究室から失意の中、奈良の女子高に代理教員として赴くことになる。ところが、突然、鹿に話しかけられ、「目」と呼ばれるものを鹿に持ってこないと日本は滅亡すると言われる。最初は信じられなかった小川だが、それが真実であることに気づき、同僚の藤原先生(綾瀬はるか)や生徒の堀田(多部未華子)とともに日本の滅亡を食い止める努力をするが…。

 何より、奈良の風景がよかった。藤原がものすごいおしゃべりだけれど、歴史に詳しくて、奈良の有名な場所に行き、歴史の講釈をする場面が何度も出てきたけれど、なんだか奈良に行きたくなった。

 それから、音楽がよくて、特にラストにかかる音楽は、次週が楽しみな気分にさせてくれた。

 綾瀬はるかは、「ホタルノヒカリ」でも思ったけれど、初期の頃の純情イメージよりも、こうしたちょっと癖のある役のほうが個人的には合っているんじゃないかなーと思う。ホタルの役もよかったけれど、藤原の役もすごくはまっていた。

 また玉木宏も「のだめカンタービレ」のきりっとした演技もよかったけれど、こうしたちょっと抜けた哀れな感じの漂うダメ男っぽい感じの役もいいなぁと思った。

 そのほか、堀田役の多部未華子もリチャード役の児玉清もよかった。他にも脇を固めていた曲者っぽい人たち(特に佐々木蔵之介)もみんな面白くてはまっていて、こういうドラマの世界が好きな人にははまって面白かったんじゃないかな…。

↓原作本



2008年03月19日(水) 斉藤さん

斉藤さん
 面白そうと期待して見始め、最初は結構よかったけれど、どうも最後のほうはイマイチだったかな…。

 子供が暴れん坊なため、居づらくなって引っ越してきた真野(ミムラ)は、今度こそうまくやろうと気合いが入りまくり。手作りクッキーを各家庭に配ったり、幼稚園ママたちに媚を売ろうと必死。斉藤さん(観月ありさ)という問題ママがいると聞いてびびりまくるが、斉藤さんの曲がらない正義の塊みたいな人柄に、段々惹かれていき、親友となっていくのであった…というようなストーリーである。

 自分は子供はいないが、友達の中には幼稚園ママもおり、いろいろと聞いてはいるけれど、いまどきの幼稚園ってこうなのかなぁ…とか思うと、疲れそう。

 ママ同士が集まって毎日のように(?)お茶をしまくるとかも、はい?? 皆さん、暇ですね…って感じだし…。なんかもっとさらっとお付き合いできないのかなぁ…と思ってしまう。

 それに、何か問題が起こったときには、今度は私たちは斉藤組に入るの…とか言いまくる、ママどもの変わりっぷりには、はいっ??っと…。どうして群れなくちゃならないの? いつから組ができたの? 斉藤さんじゃないけど、そう聞きたくなるよ…。

 斉藤さんの性格とかはわりに好きだったけれど、起こる出来事がリアリティがないというか…。もちろんドラマだから、そんなにリアリティなくてもいいんだけど、高校生が幼稚園生に本気になるかなぁ…とか、その他もろもろ…。

 そして、最終回の展開も気に入らなかった。斉藤さんがどうして真野に対してひどいことを言ったのかの理由がいまいちよくわからなかった。真野のことを思ってとか言っていたけれど…。

 さらに真野の性格がすごいダメ…。最初は共感できるかなと思ったけれど、段々いやになってきてしまった。まずクッキーを作ったりして媚を売るところからして好きじゃない…。何でそこまで気を使ってみんなと仲良くしなくちゃんらないのか? その上、機嫌の波が激しい。機嫌がいいときは自分のテーマソングとか歌ったりしている。でも、少しでも拒絶されると、突然の態度豹変…。子供じゃないんだからもう少し大人の付き合い方があるのでは?

 斉藤さんにひどいことを言われたからといって、急に斉藤さんを避け出すけれど、避けるにしてももう少し大人な対応があるだろう…。あれだけ仲が良かったのになぁ…と思ってしまった。

 斉藤さんも斉藤さんで、引っ越すことをどうして普通に伝えられないのか疑問。一番親しい友達なら、さびしくても最初に伝えるのが普通じゃないかな。少なくとも自分はそうだから、なんか最後の展開がどうもしっくりこなかった。

 視聴率は高かったみたいだし、反響も多かったらしいけど、やはり漫画が原作だし、あまりリアリティもないし、まあこんなものでしょ…くらいの軽い気持ちで見るのが正解だったのかも…。

↓原作の漫画



2008年03月16日(日) 独りでできるもん  森下えみこ


森下えみこ メディアファクトリー 2006

 30代独身一人暮らしの著者の日常を綴るコミックエッセイ。

 現在30代独身の人も、30代で独身を過ごしたことのある人も、ああ、そうそうそう〜!と思わず共感してしまう日常が描かれている。

 久しぶりに面白かった。

 30代独身じゃない人も、読んでみるとその気持ちがわかるかも。



2008年03月14日(金) エジソンの母


 今季のドラマでは一番面白そうかな〜なんて思って見始めたけれど、そうでもなかったかな…。

 ストーリーは好奇心旺盛だけれど、突拍子もないことをしでかしてしまう問題児・賢人(清水優哉)が文部小学校に転校してくるところから始まる。担任の鮎川先生(伊東美咲)は婚約者の美浦(谷原章介)に突然婚約破棄をされた上に、賢人が転校してきたことで、学級崩壊になってしまったり、保護者からのクレームが続々と届いたりと大変な目に…。賢人の母(坂井真紀)は離婚して東京の実家に身をよせ、子供を育てるために仕事に大忙し。それでも、賢人の好奇心が旺盛なところを伸ばそうと努力している。そんな姿を見た鮎川先生は、教育とは何かということに真摯に向き合うようになっていく…。

 で…このドラマ、問題発言と思われるような言葉が結構飛び交うことがあって、ちょっと「うん???」と思うところとかもあったし、今の学校と保護者の関係とかについても結構考えさせられたり…と、悪いドラマではなかったのだが、でも、ものすごくよかったというわけでもなかった。

 最初に鮎川先生と対立する学年主任の加賀見先生(松下由樹)が賢人に向かって「あたたの脳は腐っている」みたいなことを言ったときはちょっとびっくりだったし…。

 でも、実は加賀見先生には、天才と呼ばれ、宇宙の形を知りたいということで、寝食を忘れ研究に没頭する奇人の夫(大杉漣)がいるのである。だから、天才とバカは紙一重とかいうけれど、加賀見は天才という言葉に懐疑的なのかも…というのがあとから描かれていく。

 「天才」の定義を賢人のような変わった子に置くのはちょっと危険な気も。この中に出てくる天才は加賀見の夫に限らず、大学教授の美浦など、ちょっと常識的に?と思うような人ばかり。「天才」でも「秀才」でもいいけれど、もっと常識を持った人だっているんじゃないのか?と私は思ってしまったのだった…。

 保護者の一人、青柳(杉田かおる)にもいきすぎでは?と思うところも…。自分の子供が気に食わない子と仲良くするのが面白くないのかもしれないけれど…。

 でもまあ、一番すごかったのは、やっぱりこんな困り者を暖かい目で見守り続ける賢人のお母さんかなぁ。自分の子供がこんなだったら、自分ならどうするだろう?とついつい考えてしまう。

 離婚して仕事でいっぱいいっぱいのときに、子供がこんなに問題なことをやらかしまくっていたら、私なら切れて、子供を怒りまくってしまうかも…。子供の良いところなんて見えなくなってしまうかも。

 やっぱりこのお母さんはすごい!って思う。実際のエジソンの母もこんなだったんだろうか…。

 最終回の展開は、賢人がかわいそうでちょっと泣けてきた。でも、その後の鮎川先生のハッスルぶりはちょっと違和感があったりして…。

 人は誰しも間違いを犯すもの、大目に見てあげることも必要…でも、取り返しのつかない間違いもある。そんな間違いを犯してしまい、後悔する賢人の気持ちがね・・・。

 でも、最後に小学1年生とは思えない素晴らしい発明をしていて…。やっぱり天才なのか? 

 その他色々な人々の行く末についても気になったけれど、ここで終わりにするのがいいのかも…ね。



2008年03月10日(月) おひとりさまの老後  上野千鶴子


上野千鶴子 法研 2007

 一人で死ぬなんて言うと、「孤独死」とか「さみしい」という言葉が思い浮かぶけれど、結婚しても独身で過ごしても、女性の方が平均寿命は長いわけで、大体の人が最後はシングルになって、一人で死ぬ。一人で最後を迎えるための心構えとかやっておきたいことなんかを綴った本である。

 実は本屋で立ち読みをして、こんな面白そうな本があるんだーと思って、読むことにしたのだけれど、その後、なぜかこの本が巷で流行っているみたいなことを知り、ちょっとびっくり。

 私はまだ30代なので、ちょっとピンとこない部分もあるが…きっともっと上の世代の人に好まれているのではないだろうか。

 今は結婚せずに一生独身を通す人も多くなってきているが、どうしても世間の目は一人ではさびしいのではないかとか偏見に満ちているし、本人も病気になったり介護を受けなくなったりしたときにはどうするのかという一抹の不安を抱えながら生きていると思うのだ。

 その人たちに根回しをしておけば心配することはないよ…と気を楽にするようなことを言ってくれるので、そうか、そんなに一人を悲観しなくてもいいんだ…という気持ちになってくるのであった。

 独身女性、40代後半から50代以上の女性が読むと、また違った感想を持ちそう…。私ももっともっと年がいったときに再読したい本かも。でも、そのときには、もっと進んだ別の本を著者が書いてくれていそうな気もする。それにも期待…。



2008年03月08日(土) いつか眠りにつく前に

 夫よりチケットをもらったので見に行って来た。

 ストーリーは、病気で余命いくばくかのアン(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)が薬の影響で朦朧としながら、過去を思い出すというもの。そこにアンの二人の娘たち(ナターシャ・リチャードソン、トニ・コレット)とのやり取りが加わる。

 若き日のアン(クレア・デインズ)は親友のライラ(メイミー・ガマー)の結婚式に参加するために、海辺の別荘地に招待される。ライラの弟バディ(ヒュー・ダンシー)に使用人の息子で医者のハリス(パトリック・ウィルソン)を紹介され、二人は恋に落ちる。しかし、ライラもまたハリスに子供の頃から心を寄せており、彼をあきらめるためにカール(ティモシー・キーファー)と結婚することを選んだのだった。またバディはアンに思いを寄せている。

 こうした複雑な人間関係の中、ライラは無事に結婚式を挙げ、新婚旅行へと旅立つ。悲劇はここから起こった…。

 自分の一生を振り返りながら、最期の日々を過ごすアンのもとへ、かつての親友ライラ(メリル・ストリープ)が40年ぶりに訪ねてくる。病気のことを知り、わざわざ訪ねて来てくれたのだ。二人は短い時間に過去のことを話し、自分たちの生き方のどちらもが正しかったのだと思うのだった。

 最初は過去と現在に行ったり来たりが頻繁で、人のつながりがわかりにくく、混乱したかも。そのうちにわかってくるけれど、いいところで現在に戻ったりするので、ちょっともどかしい感じも…。

 とても静かな映画で、その辺が好き嫌いの別れるところか…。男性よりも女性、それも過去に辛い恋愛経験をしている人が感情移入できるのかも…。

 私のそばで見ていた人は号泣していたらしいが、私は泣けるシーンはなかったかな…。

 最後は、未来への希望があるような感じで、ちょっぴり明るい感じで終わった。

 恋愛、結婚、仕事、夢、子育て…いろいろな狭間で揺れながら、人生を全うするということがどういうことか、考えさせられる映画だった。



2008年03月05日(水) フルスイング

 NHKの連続ドラマ『フルスイング』…ようやく全部見られた。このところ忙しくて、すべてのドラマが1週以上遅れになっている…。

 実在の人物、高畠導宏先生をモデルにしたドラマ。

 30年間続けたプロ野球で教える仕事を解雇された高林先生(高橋克実)は、教員免許を取るために教育実習をし、先生になることを決意。実際に高校で教壇に立ち、1年間指導したのち、すい臓がんに侵されていることを知る。闘病生活をしたものの亡くなり、学校葬が行われたところまでを描いていた。

 毎回1話完結のような形で話が進む。教育実習では、一言も話さなかった生徒の心を開き、教壇に立ってからも、問題のある生徒に誠意で接し、生徒たちの心を開いていく。教育実習から先生の面倒を見ていた古株の天童(里見浩太朗)や同じ3年4組の担任の時任(吹石一恵)、野球部顧問の阿倍(萩原聖人)や英語教師の太田(塚本晋也)などの心をも変えていくのである。

 生徒たちに夢の大切さを説き、荒れがちな生徒にも将来の希望を持たせ…とにかく毎回が感動の連続だった。

 最終回では先生の闘病生活はほとんど描かれなかった。けれど、奥さん(伊藤蘭)や息子さん(川口翔平)の気持ちとかも痛いくらいに伝わったし、学校葬で学校に訪れた2人に対し、先生方が、高林先生のことを語ってくれたシーンは号泣。特に卒業式は…。苦労した生徒たちからの感謝状、うれしかったことだろうなぁ…。

 最後のホームルームでは気力の大切さを説いた高林先生。必ず帰って来ると約束したけれど、その5週間後に亡くなってしまった。最後は立っているのも辛かったのに、気力で笑顔を見せ、生徒たちを送り出すまでがんばったんだなぁ…。

 出演している人、みんな、演技も上手で、見どころのあるドラマだった。

 高畠導宏先生のご冥福をお祈りいたします。

↓原案となった本


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