感想メモ

2008年01月30日(水) テラビシアにかける橋 (映画)

 児童文学の名作らしい原作の映画化、泣ける…ということで、見に行ってみた。

 家計が苦しい家に暮らすジェス(ジョシュ・ハッチャーソン)は学校のいじめられっ子。そこに転校生の少女レスリー(アナソフィア・ロブ)がやって来て、2人は仲良くなる。お話を作るのが得意なレスリー、絵を描いたりものを作ったりするのが得意なジェスは、2人で想像の国テラビシアを作り上げる。自分たちの砦を木の上に作って…。

 さて、ここからは見ての感想(ネタばれありなのでまだ見てない方は注意)




 まずこうしたいじめられっ子の話を見るたびに思うのが、アメリカの学校の子供たちってひどいなーということ。いじめ方も暴力や言葉でくるし、食べ物を洋服につけたりとか…。ひどいよなーって思う。特に女子トイレで入るなら1ドルよこせというような8年生…。このあたりはもう…。(日本のいじめも最近はそうなのかな…)

 そして、先生たちもそういう事態をあまり把握しようとしていないというか…。バスの運転手だって、いじめっ子の言い分だけを聞いて、ジェスをバスから降ろしてしまったり…。

 家計が苦しく、子だくさんの中で男の子は自分一人…ということで、家の手伝いをしたりすることを余儀なくされているジェスは、妹と違って父にもかわいがられていなくて…。かわいそうな毎日だなーという感じであった。

 そこにやって来た転校生レスリーと仲良くなり、先生とも打ち解けてきて、次第に笑顔が戻って来るジェス…。

 けれど、ある日、ジェスがレスリーを誘わずに美術館に行った日に、レスリーは増水した川に落ちて死んでしまう。いつもテラビシアに行くときに使っていた川を渡るためのロープが切れてしまったのだ。

 レスリーの葬儀で、レスリーも前の学校で友達が誰一人いなかったことがわかる。同じような境遇どうしの二人だったからこそ、よりわかりあえたのかもしれない…。

 心にぽっかり穴があいたジェス…。そんなときにジェスを助けてくれたのは父(ロバート・パトリック)だった。ああ、お父さん、やっぱりジェスのことが嫌いじゃなかったんだね…。ちょっとほっとしたり…。

 ジェスはもう二度と同じ悲劇を繰り返さないため、川に橋を作る。それがタイトルにもなっているんだね。

 人が死ぬという展開は辛い。ここでは涙が出る。ただ、映画の長さが1時間半ほどと短いのもあるのか、わりにあっさりと映画が終わってしまった。ちょっと物足りないような気もしたけれど、悪い映画ではなかったかな…。



2008年01月29日(火) 君たちに明日はない/垣根 涼介


垣根涼介 新潮社 2005

STORY:
リストラを請け負う会社に勤務する村上。仕事であらゆる職種の人と面接を積み重ねていくが…。

感想:
 面白そうだったので借りてみた。軽いタッチですぐに読める。

 リストラを請け負う会社に勤める村上が、あらゆる職場に出かけ、そこでリストラ候補者と面接をしていく…という話である。村上のプライベートの恋愛もさらっと描かれている。

 恋愛の部分も悪くはないが、やはり様々な職種、異なる状況に置かれた人々が、リストラをされるかもしれないという、ある意味修羅場でどのような対応を取るのか…ということに非常に興味を抱いた。

 希望退職をすぐに受け入れるものだけではなく、あくまでも抵抗するものもいる。いろいろな場面を経験するはずだ。

 村上のアシスタントの若い女性は、派遣社員。彼女は契約を更新することにするのだが、村上にはもっと明るい彼女にふさわしい職場があるのでは?と思われる。彼女の答えは「将来のためにもこういうのを見ておくのはよいことだと思う」という言葉で…。

 そう、確かにこういう運命の分かれ道において、どのように行動するかによって、その人の人間性とかが見えてくるのかもしれない。

 軽いタッチだからあまり重々しい気分にならないが、別の視点から考えれば、すごく重いテーマではある。重くなりすぎず、こういう世界を覗き見たいという人には、とても面白い作品だと思う。



2008年01月23日(水) テルマ&ルイーズ (DVD)


 夫がリドリー・スコット監督に凝っている(?)らしくて、一緒に見ようとせがまれて見ることにした。『テルマ&ルイーズ』は有名でタイトルは知っていたけれど、見たことはなかったのである。

 ストーリーは、夫に虐げられていた妻テルマ(ジーナ・デイビス)が、友人のルイーズ(スーザン・サランドン)と旅行に出かけることにし、その最中にたまたま寄った店でテルマがレイプされそうになり、ルイーズが男(ティモシー・カーハート)を銃殺してしまったところから始まる逃亡劇…なのだが…。

 当時、このように女性が男性を撃ち殺して逃げる、みたいな話はなかったみたいで、女性の解放の象徴だとか、色々と言われたらしい。

 時代が移り変わった今、見てみると、また違った印象があるのだろうか?

 私の見ての感想は(ネタばれあるのでまだ見ていない方は注意)…






 まずレイプされそうになったところで、なぜルイーズが男を銃殺してしまうのかが、最初謎だったのだが、これは、2人が旅を続ける会話の中で、なぜだったのかがわかるようになっている。かつてルイーズはテキサスで男にレイプされ、その際に、それはレイプではなくて女が男を誘ったせいだ、というような感じで、自分が悪いことにされてしまったらしいのだ。

 だから、同じようなことをされて男を銃殺してしまった際に、警察に行こうというテルマを振り切って、2人は車で逃げてしまうのである。

 テルマは高卒後すぐに夫(マイケル・マドセン)と結婚。夫はテルマを妻とも思わず、お手伝いのような扱いで、テルマは旅行に行くなど家を空けることもなかった。今回旅行に行くときも夫に告げることもないまま、メモを残してルイーズと出かけてしまう。(告げたら許してはもらえなかっただろう)

 いわば、半ばやけになっての旅行である。夫はもちろん大激怒。もし帰ったら殺されてしまうかもしれないというような、そんな状態である。

 そこで2人はメキシコへ逃げようとするのだが、そこに現れた謎の学生J.D(ブラッド・ピット)をヒッチハイクしてしまう。ルイーズが彼氏(スティーブン・トボロウスキー)と話し合っている最中に、テルマはJ.Dといい仲に…。この部分、私はなぜレイプされた後だというのに、すぐに男を信じてしまうんだ、この女は??とちょっと思った。

 案の定、J.Dは強盗を繰り返し仮出所していたような奴だから、ルイーズの逃亡資金を持って逃げてしまう。

 いつもは強いルイーズだったが、このときはもうどうしていいかわからず、泣き崩れる。それまではテルマをルイーズが引っ張っていくような関係だったのだが、このときからテルマが強くなり、ルイーズを引っ張っていく。

 J.Dから聞いていた強盗の仕方をもとに、コンビニに強盗に入り逃亡資金を得、警官に捕まりそうになれば、銃を突きつけ、何度か道中で会ったセクハラトラック運転手を誘い出し、謝れと迫り、タンクローリーを爆発させる…。

 やりたい放題やったあと、彼女たちは警察に取り囲まれ…。

 そして、最後に彼女たちが選んだ道は、思いもつかない結末で…。

 車が崖からダイブしたとき、もしかして、何かのアクション映画みたく、別のところに降り立ち、逃亡に成功するのか…とも思ったのだが、そんなはずはなく…。

 2人は笑顔とともに、固い握手を交わして、死へのダイブを…。

 考えてみると、重い結末のはずなのに、2人の表情やそれまでやり尽くしたことのせいなのか、なぜかとてもさわやかで、嫌な気持ちなど起こらないラストなのだった。

 でも、やっぱり死んでしまうというのはどうなのかなとも思わなくもなく、もしここで2人が捕まったらどうなのかを考えてみた。けれど、あの夫の様子では、テルマは殺されてしまうかもしれないし、やはりここはああいう道を取るのが2人にとって自由であるということだったのだろうと思った。

 2人は言い争ったりしながらも、やはり親友だったのだ。やり残すことはなかった、楽しい旅行だったというような2人の表情と、固い握手、そして、旅行前に2人で撮ったポラロイド写真が、なんだか胸に残る、よいラストだったのだと思った。



2008年01月21日(月) 34  青木さやか


青木さやか 光文社 2007

 タレント青木さやかのエッセイ。

 なぜこの本を読もうと思ったのか…それは、青木さやかの結婚について書かれているらしい、ということを聞いたからだった。

 しかし、この本にはあまりそのことに触れられた部分はなかったので、そういう意味では期待外れと言えるだろう。

 青木さやかのファンの人にとっては、面白い部分もあるとは思うが、そうでない場合には、あまり読んでも残るものがないような気も。



2008年01月18日(金) その後のツレがうつになりまして。  細川貂々


細川貂々 幻冬舎 2007

 『ツレがうつになりまして。』のその後を描く。

 ツレさんがよくなってよかった。

 そして、よくなってから思い起こすと…という感じで、うつ病の人にどのように対応するのがよいのかが、わかりやすくコンパクトにまとめられている。

 ものすごくすぐに読めるので、病気で根気がなくなっている人にもわかりやすいのでは?

 うつ病に対する理解を深めるのに前作と合わせてオススメ。



2008年01月17日(木) 2007年映画ランキング

 2007年の映画ランキング…。といっても、相変わらず見ている本数が少ないので、参考になるかどうかは…。

1:ミス・ポター  9月
2:幸せのレシピ  10月
3:ロッキー・ザ・ファイナル  4月
4:世界最速のインディアン  2月
5:ダイ・ハード4.0  7月
6:ホリデイ  4月
7:父親たちの星条旗  1月
8:硫黄島からの手紙  1月
9:ブレードランナー ファイナル・カット  11月
10:それでもボクはやってない  3月

 以上。

 今年は何だかんだ言って洋画ばかり見ていたな…。

 主に女性向け恋愛系ほのぼの映画とおやじがんばる系映画がつぼにはまったみたい。

 1位の『ミス・ポター』、2位の『幸せのレシピ』、6位の『ホリデイ』は、女性向け恋愛系映画。まあ、1位の『ミス・ポター』は歴史ものだし、ちょっと毛色は違うけど。

 3位の『ロッキー・ザ・ファイナル』、4位の『世界最速のインディアン』、5位の『ダイ・ハード4.0』は、おやじ(というか、初老??)ががんばる映画で、なんかこれもまたぐっと来るものがあった。

 7,8位の戦争ものはとりあえず見た方がいいかなという感じ。このあと硫黄島関係の本を何冊か読むに至った。

 9位の『ブレード・ランナー』は訳がわからないと思ったが、奥深い世界観が面白く、何度見ても楽しめそう…。

 10位の『それでもボクはやってない』は唯一の邦画。周防監督好きなんだけれど…。この作品はいい映画だと思うけれど、地味目で印象に残りにくいのかも?? 



2008年01月16日(水) ニュートンの予言  中見利男


中見利男 日本文芸社 2007

 あのニュートンが人類の終わりを予言していた!ということで、読んでみた。

 聖書に書いてある内容から、この世の終わりの日を計算し出したというのだ。

 内容は興味深い気がしたのだが、正直、キリスト教の歴史とか、世界史とかによっぽど詳しい人でないと、読みこなすのは難しいのではないだろうか…。

 私は大学入試の時は世界史選択で、宗教関係の事柄も、ああ、用語は確かに昔知っていた…と思ったが、すべて内容を忘れており、もう何が何だか…。

 こう考えると、『ノストラダムスの大予言』を書いていた五嶋勉って、やっぱり文章がうまかったのだろうなぁ。あれはとても読みやすくて、どんどん読めたけれど、この本はそういう類の本ではないし、ちょっと期待外れだったかな…。



2008年01月10日(木) 「気づき」の幸せ  木村藤子


木村藤子 小学館 2007

 青森の霊能者で最近テレビにも出たりしている木村藤子さんの本。

 前半は木村さんがどのようにして霊能者になったか、後半はやって来た相談者のエピソードから「気づき」の大切さを語る。

 すぐに読めてしまうし、わりに面白いけれど、相談者のエピソードはどれもこれも、ええっ??っと思うものばかりだったりして…。

 まず自分が悪くないかを考えること…というのが胸に響いたかな。



2008年01月09日(水) 2007年 本のベスト・テン

 毎年恒例、独断と偏見による2007年 本のベスト・テン。

 2007年の総読書数は214冊。そのうち本は66冊、漫画は148冊だった。月平均読書数は17.8冊。本は5.5冊、まんがは12.3冊。

 今年、こんなに読書数が多くなったのは、漫画をレンタルしたから。毎週約3冊の漫画をレンタルしてきて読むということを続けていた。それも続き物ばかり。しかし、年末、家にたまった漫画を読まずにレンタルしてくるのもどうかと急に思い、レンタルするのをやめた。(また漫画を消化したら再開したい)

 図書館で気になる本を予約して読むという方式を取っているため、こちらも一気にいろんな本がどっと来たりすることがあり、読まなくてはならないものに押しつぶされそうになる1年であった。少しリセットしなくては…と思う最近…。読みたい本はたくさんあるが、読む時間がない…。

 では、2007年のベスト・テンを…。

1:八日目の蝉  角田光代  5月
2:メタボラ  桐野夏生  10月
3:楽園(上)(下)  宮部みゆき  11月
4:玻璃の天  北村薫  5月
5:手紙  東野圭吾  7月
6:無銭優雅  山田詠美  7月
7:風が強く吹いている  三浦しをん  8月
8:間宮兄弟  江國香織  5月
9:てるてる坊主の照子さん(上)(中)(下)  なかにし礼  7月
10:プロヴァンスの贈りもの  ピーター・メイル  9月

 以上。

 やっぱり今年も女流作家の作品が多かった。海外のものも何冊かは読めたのだけれど、どれもこれも上位に食い込めなかった感じ…。

 1位の『八日目の蝉』はガツンとくる1冊。色々と考えさせられる。角田光代の本はよい本が多いけれど、これは読んで損はない感じ。誘拐された子供を連れて逃げる女と女によって運命を翻弄された子供の話。

 2位の『メタボラ』、3位の『楽園』はどちらも遜色ないのだけれど、『メタボラ』の方が重くて印象に残った。どちらも色々な分野について書いているけれど、『メタボラ』の方が、社会性に富んでいたのかもしれない。

 4位の『玻璃の天』はシリーズもの。昭和初期の話が好きな人にお勧め。

 5位の『手紙』は、罪を犯してしまった兄のために人生を狂わせられる主人公を描いた作品。考えさせられる。

 6位の『無銭優雅』は愛っていいなと思える1冊。

 7位の『風が強く吹いている』は箱根駅伝好きな人にお勧め。

 8位の『間宮兄弟』はおたくな感じがいい味出していた。

 9位の『てるてる坊主の照子さん』はNHKの朝ドラを見ていた人にお勧めかな。

 10位の『プロヴァンスの贈りもの』は幸せな気分になれる感じ。

 さて、2008年はどんな本と出会えるかな?


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