渡辺淳一 集英社 2007
ベストセラーだと聞き、読んでみることにした。
世の中すべからく鋭いことの方がいいように言われているが、鈍感力がある人の方が実は素晴らしいのだ…というようなコンセプトの下、様々な例が出されてわかりやすく説明されている。
しかし…鈍感力っていいな…と思ったところで、実はこれを身につけるのは不可能なのでは?とも思うところもあり、結局はそうでない自分を変えることは難しいのかな…と。
特に精神的ではなく、肉体的な要素は変えようがないのではないだろうか…。(アレルギーで敏感だったりするのだって、何も好き好んでそうなっているわけではないのだから…)
女性は出血と痛み、寒さに鈍感ならしい。妊娠や出産が例に出されていたが、「男にはそういうのは到底できない」という書き方が、なんだか「そういうことをする女ってちょっと変…」とも読み取れ、あんまりいい気分しなかったりして…。
まあ、この人の書くものはどちらかというと男性寄りなので、女性が読むとちょっと「うん??」と思う部分もあるのかもしれない…。
2007年11月26日(月) |
楽園(上)(下) 宮部みゆき |
宮部みゆき 文藝春秋 2007
STORY: 網川の事件から立ち直りつつあった前畑滋子は、ある日、一人息子を亡くした萩谷敏子から亡き息子・等の謎を解明したいと頼まれる。依頼を受けることにした滋子は等が知っていたと思われる事件を調べ始め…。
感想: 『模倣犯』の続編と言えば続編になるのだろうか。『模倣犯』の事件=網川事件から9年が経ったが、滋子はまだ完全には立ち直っていない。
一時は物書きをやめ、普通に生きるつもりだったが、今では再びライター系の仕事をこなしている。そんな滋子の元に敏子がやって来て物語が動き始める。
網川事件のときもそうだったが、世の中には本当にどうしようもない奴というのがいて、でも、その人物が身内だったらどうするのか?という、身内の苦悩みたいなものが描かれていた。
事件がどちらに展開していくのか、どうしたらこの件の調査が終わるのか…わからないまま読み進めていったが、なるほど〜という展開であった。
ちなみに前作『模倣犯』を読んでいなくても、大丈夫だと思う。
やはり宮部みゆきはこうした現実的な話を書く方が、私には合うかな。
2007年11月25日(日) |
ハチミツとクローバー 全10巻 羽海野チカ |
羽海野チカ 集英社
STORY: 美術大学とその周辺にて繰り広げられる仲良しグループの恋愛模様。
感想: とても切ない漫画…という噂を聞いていたのだが、最初の方はドタバタギャグみたいな感じで、なかなか乗れず…。
シリアスとギャグが半々で、段々シリアスの方が多くなってきて、普通の漫画っぽくなってきたかな?
この美大の仲間たちのノリについていけるかが、最初のポイントとなりそう。
恋愛模様は、とても複雑で、好きな人には別に好きな人がいて、全く相手にしてもらえないとか、友達や仲間から一歩進むことができない…みたいな感じ。
確かに好きで好きでたまらないということもあるんだろうなーと思うけれど、自分を振り向いてくれない人を好きになるのは辛い。
そして、延々とその気持ちを引きずり、相手の気持ちが変わるのを待つずるさみたいなのも自分でわかって…。
でも、そういうことで苦しむのが青春ってことなのかも?
私は結婚してしまって安定した日々を送っているため、こうした恋愛は悲しくて辛いだけで、あまり何も残らないかなーと思うのだった。
誰か別の自分を好きになってくれる人を好きになりなさい!
なんて…思ったりするのだった…。
恋愛に悩む女性にはよいかもしれない。けど、シリアス路線だけを期待していると、私のように最初、引くかも??
2007年11月23日(金) |
ブレードランナー ファイナル・カット |
SF映画の大傑作だという『ブレードランナー』を夫に誘われて見に行く。正直、あまり見たいタイプの映画ではなく、しつこく誘われなければ見に行かなかったことだろう。
この映画は1982年にオリジナル版が公開され、その10年後、『ディレクターズカット/最終版』が出され、そして今回25周年ということで、最新版の『ファイナル・カット』が出されたという経緯があるらしい。
原作はフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』である。これは私が大学生の頃、演劇サークルの人が上演していた覚えがある。タイトルを見ただけで、やっぱりあんまり見たくないな〜と思っていたのであった。
そんなわけで、あまり気乗りがしないまま見に行ったのであるが、案の定、最初のうちは全く乗れず…。
意味があまりにもわからなくて、場内の温かさもあって、すごく眠くなり、何のセリフもないシーンでは、一瞬眠りの世界に入っていた…。
しかし、後半、物語が佳境に入ると、段々意味がわかってきて、最後には何を言いたいのかもちょっとわかって、なるほど〜と思ったのであった。
ただし、途中、残虐シーンあり…なので、何も知らずに見に行かされた私は、うおおっと反応してしまったよ。見たくなかった…。
夫より、色々とファンの間で解釈が分かれているのだという話を聞かされる。その最たるものが、デッカード(ハリソン・フォード)がレプリカントであるかどうか…なのだとか。
聞かされて、私自身は否定的な意見なのだけれど…。
25年前に作られたとは思えない、斬新な未来の映像(舞台は2019年のロサンゼルス)には、今見ても古臭さを全然感じさせないどころか、最近作られたものだと言われても、全く遜色ない。素晴らしい映像。82年当時に作られたなんて本当に思えない!
へんてこな日本の看板やCMみたいなのがあったり、場末の感じ。そして、ちょっとモノクロっぽい感じで、雨が降り続く世界観は、当時終末観が流行っていたからなのかも…とも思う。このあたり、ちょっと『シン・シティ』を彷彿とさせるなーと思ったのだが、夫に「それって雨が降っていて暗いっていうのだけじゃないの?」と言われ…。
うーむ。そうだろうか…。
人間のために作られたアンドロイド(=レプリカント)の悲しみというものを最後に目の当たりにした。そして、もうそのような犠牲者を出さないために、ロイ(ルトガー・ハウアー)はアンドロイドの生みの親タイレル(ジョー・ターケル)に手をかけようとしたのだろう。
最後の意味深なガフ(エドワード・ジェームス・オルモス)のセリフや一角獣の折り紙とともに、このあとのデッカードとレイチェル(ショーン・ヤング)の行方が気になる…。
2007年11月11日(日) |
声をたずねて、君に 沢木耕太郎 |
沢木耕太郎 読売新聞 2007
STORY: ラジオのDJをしていた徹は、ある日突然声が出なくなる。声が出なくなった原因を探るうちに、不思議な女性と出会い…。
感想: 読売新聞の朝刊連載小説。
沢木耕太郎の小説は初めて読んだかも。不思議な話で面白かった。
声をなくした主人公は、その事実を淡々と受け入れるが、声をなくした原因を考える。そのうちにバスで自分にそっくりの男を見た後から声が出なくなったことに気付き、もう一度その男に会えれば問題が解決するのでは?と考える。
そこで同じバスに乗り、同じ日にバスに乗っていたと思われる石井聖子という女性と出会う。彼女は声が出ないはずの徹の言葉をなぜか理解できるのだった。彼女は男を探してくれるというのだが、それきり連絡が途絶え、徹は彼女の行方を捜しつつ、自分の過去を探るために実家に戻ったりもして…。
どこに辿り着くんだろうと思いつつ、最後まで読んだが、結局どこにも辿りつかなかったというか…。でも、そこまですごく面白かったし、それ以降のことは知らなくてもいいのかも…。
さて、次の小説は読み続けられるだろうか?(ちなみに今は夕刊小説は読んでないので、今度の朝刊小説に乗れないと、久々に連載小説を読むことはなくなる)
2007年11月07日(水) |
いつまでもデブと思うなよ 岡田斗司夫 |
岡田斗司夫 新潮社 2007
新潮社の新書で、巷で話題になっていた本なので読んでみた。
著者は117kgから67kgへのダイエットに成功。そのダイエット法はレコーディング・ダイエット。食べたものをすべて記録していくという方法だ。
実はこのレコーディング…私も常々実践してたりする。食べたものとか体重とか色々毎日つけている。でも、私の場合はダイエットをしようとかはなくて、ただ書いているだけ。ただ体重が増えてきたらやっぱり引き締めていこうとか思うし、そういう意味ではダイエットなのかな…。
何はともあれ、私は普通の体重なので、この方法をやったからといって体重が減るわけもないのだが、著者くらい体重がある場合、記録をつけるだけでも数kgはやせていくらしい。
ただこれだけではなく、このあと著者はカロリーを書き出し、基礎代謝を割り出して、基礎代謝よりも少しだけ多めのカロリーを1日の摂取量に決めて、そのカロリーに合わせる食べ方を工夫していく。
厳密に言えば、カロリーを減らすダイエットということになるか…。
やっているうちに段々と食べ物の好みも変わっていき、空腹や満腹という感覚も戻ってきて、自分をコントロールできるようになるのだそうだ。
私はタイトルからして、もう少し軽いノリの本なのかと思ったのだが、やはりそこは新書。データや表なども使われて、わりに固めで、あまり面白くはないなーと思ったりも…。
さて、ここから先は、私がこの本を読んで一番引っ掛かった部分なので、本を読んだ人のみ読んだ方がいいかも…。
著者は摂取してよいカロリーに収めるために、食べ物を一部だけ食べ、あとは捨てるという方式を推奨している。
たとえば、メガマックを食べたくなったら8つに切り分け、そのうちの1つを食べ、残りを捨てるだとか、ポテトチップスなら5枚を選び出し、残りは水につけて食べられないようにして捨てるだとか…。
そして、こういう食べ方を昔の王侯貴族の食事のように最高に贅沢な生き方だと書いている…。
私はこの部分を読んで、正直この感覚にはついていけないなーと思った。
もちろん私のような普通の体重の人間とものすごく太ってしまった人では、食欲も全然違うのだろうし、食べ物があればどうしても食べてしまう、だからそれなら捨ててしまう…ということなのかもしれないが…。
でも、やはり私には食べ物を捨てるのはもったいないと思う気持ちがぬぐえない。メガマックを捨てるなら、最初から頼むな。捨てるのではなく、誰かにあげるとか別の方法は考えられないのか? ポテトチップなら、きちんと封をして冷蔵庫に入れておけば数日は食べられると思うのだ…。
このダイエットの方式はやっぱり飽食の日本だからできることなのかも…。著者が利用しているのもコンビニとかばかりみたいだし…。金銭的に裕福だから、こういう考え方ができるのかな?とかちょっと思ってしまった。
お金を出しさえすれば、あとは捨てるのも食べるのも一緒。自分の胃袋に入れるなら、捨ててしまえという考え方は、私には賛同しかねる。
やっぱりもったいない…。私なんて、どちらかというと食べられない方なので、残すのにすごく罪悪感あるのになぁ…。(それで無理して食べて、胃腸をやられることが多いのに…)
2007年11月04日(日) |
まんねん貧乏 得能史子 |
得能史子 ポプラ社 2006
一応本の形はしているものの、絵と文字で綴っているので、漫画かも…。
作者の貧乏っぷりが日常のエピソードとともに描かれている。
このゆるさがなんというか面白いのかもしれないが、「だから何?」とか「何が残るの?」と言われると…。
気軽に読める本(漫画)ではあるけれど、どちらかというと暇つぶし系だろうか…。
続編も出ているみたい。
2007年11月03日(土) |
子供なんか大キライ! 全18巻 井上きみどり |
井上きみどり 集英社
漫画家井上きみどりの子育てを描いた漫画。
といっても、普通の子育て漫画と最初はすごく違っている。
タイトルからも想像がつくだろうが、きみどりは子供が大キライ。自分の収入も安定しておらず、夫のひーちゃんは予備校教師。
そんなきみどりは気づいたら妊娠していた。妊娠生活を楽しもうと思っていたのだが、切迫早産のため入院…。産まれてきた子供は自分の子供ながらかわいくなく、ポチという名前をつけてしまう。(本名は別の名前)
とにかく子供が嫌いなので、夫に育児や家事をかなりやってもらっている。子供と一緒だとどうしていいかわからず、子供に対する接し方もちょっとこれは…と思ってしまうようなもの。こんな子育てで大丈夫??と読んでいるこっちは怖いもの見たさで続きを読んでしまった…。
そのうち5歳違いの妹ケロが生まれ、きみどりの子育ても少しは変わっていったのか、とにかく18巻では結構いいお母さんやってるんじゃないかな?と思った。
このまま2人の成長を見られないのはちょっと残念…。最近の子供事情なんかも少しわかって、自分たちの子供のころとはだいぶ違うんだな〜というのもわかった。
変わった子育て漫画が読みたい方、怖いものが見たい方にはオススメな漫画かも…。
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