感想メモ

2006年09月27日(水) うつうつひでお日記  吾妻ひでお

 
吾妻ひでお 角川書店 2006

 『失踪日記』でブレイクした作者だが、それを描いている間は鬱っぽい気分に襲われて薬を飲んだり、大変だったようだ。

 『失踪日記』の続編が読みたいのだが、どうもこれを描くのにも10年ほどかかったらしく、いつになるのかちょっとわからないような気もした。

 日常の様子を日記として描いたものなので、特にすごい面白いわけではないが、絵も交えながら描いてあるのでついつい読んでしまう。

 一番すごいと思ったのは、作者の読書量の多さ。自分が読んだことのある作品はほとんどなかったが、あるとついつい読んでしまうので、読書好きな人は結構面白いかもしれない。



2006年09月26日(火) 押入れのちよ  荻原浩


荻原浩 2006 新潮社

 荻原浩の短編集。表題作のほか、8篇。

お母さまのロシアのスープ:
 片田舎にひっそりと暮らしている母と姉妹の3人。姉妹には恐るべき秘密が・・・。

コール:
 大学時代の親友が死んだ。もし死後も意識があったらサインを送ると言い残して・・・。

押入れのちよ:
 安さにつられて引っ越したおんぼろアパートの部屋には、押入れの中に住むちよという名の幽霊がいて・・・。

老猫:
 偏屈なおじの死後、おじの残した家に引っ越してきた一家。そこには一匹の老猫がいて・・・。

殺意のレシピ:
 お互いに相手を憎み合っている夫婦が、お互いをわからないように殺そうと企て・・・。

介護の鬼:
 舅の介護をしつつ虐待を加えていた嫁。舅の何かを目覚めさせてしまい・・・。

予期せぬ訪問者:
 誤って殺人を犯した男が、死体を隠そうとしているところに訪問販売の人が来て・・・。

木下闇:
 子供の頃、神隠しにあった妹の名残を求めて、田舎にやって来た姉が知った真実とは・・・。

しんちゃんの自転車:
 死んでしまったはずのしんちゃんが一夜限りの訪問をして・・・。

感想:
 ちょっとホラーな作品がほとんど。幽霊の話とか、人間の狂気を扱ったものなど。好き嫌いはわかれるところかも。

 一番面白かったのは、やはり表題作の『押入れのちよ』。これは続編も作れそうな作品で、もし出るなら読んでみたい。

 一番受け付けなかったのは、『介護の鬼』。ちょっとこの嫁のやっていることが信じられない感じ。

 あと『老猫』も個人的にあまり好きでない作品だった。



2006年09月20日(水) 結婚できない男

『結婚できない男』
 今季のドラマの視聴率では『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』に劣っていたが、私の中では『結婚できない男』の方が面白かった。というか、面白いの性質が違うので決められないといえば決められないのだが・・・。

 偏屈な建築家桑野信介(阿部寛)は結婚できないのではなく、「しない」のだと言い張る独身男性。一人が全然寂しくない性質で、自分の部屋には誰も入れない主義。

 そんな彼の部屋はマニアックな趣味でいっぱい。クラシック音楽を大音量で流し、指揮者気取りになったり、模型を作ったり・・・。また自炊もするし、きれい好きなので掃除も完璧である。

 そんな彼がある日、腹痛で病院に運ばれて、同じく独身女医の早坂夏美(夏川結衣)と知り合ったり、隣に住むみちる(国仲涼子)と知り合うようになって、生活が次第に次第に変わっていく・・・というお話である。

 俗に言う「お一人様」の生活が描かれている。一人鳩バス、一人焼肉、一人ビアガーデン・・・などなど、普通は一人ではしないだろうことを平然と一人で楽しんでしまうライフスタイルは、ちょっとうらやましいような気も。

 夏美との激しい口撃バトルは、毎回毎回エスカレート。二人の仲は発展しそうで全く発展しない・・・。

 犬のケンちゃんと仲良くなっていく様子や、ライバル建築家金田(高知東生)が毎回違う女の子を連れている様子、行きつけのコンビニやレンタルショップの店員さんとのやり取りなどなど、小ねたも満載で面白かった。



2006年09月19日(火) セカンドVirgin  岡崎京子

『セカンドVirgin』 
岡崎京子 双葉社 (1986)

 1986年の作品だからか、とても懐かしい味がした。確かにあの頃、自分が読んでいた漫画はこんな感じの制服を着ている少女たちがいっぱいいたような・・・。

 話もほのぼのとして、短い話の連なりで面白いのだが、絵が似ていたりするので、時々誰が誰だかわからないところが・・・。(読解力なさすぎかも・・・)

 終わり方がちょっと残念な感じ。続編でもありそうな感じだった。



2006年09月17日(日) 太陽

 ロシア人のアレクサンドル・ソクーロフ監督による映画『太陽』を見た。終戦頃の昭和天皇の日常を描いたこの作品は、フィクションとはいえ、何だか当時の様子がわかるようで、興味深いものがあった。

 演じているのは、ほとんどが日本人。監督やスタッフなどはロシア人が多いみたいだけれど、何だか不思議な感じだ。

 全編静かな空気が流れているのと、台詞があまりなかったりするので、途中でちょっと眠くなってきた。

 でも、とても面白く、あとからじわじわと面白さが感じられるような作品であった。

 プログラムを買ったのだが、その中のスクリプトを読み返すと、余計にこの映画の奥深さみたいなものが感じられてきて、買ってよかったかな・・・と思った。田原総一郎の解説がとてもよかった。

 シーンの中で特に印象に残ったのは、昭和天皇の夢。空襲のシーンが幻想的に描かれている。恐怖であり、決して美しくはないはずなのに、この夢はとても美しさを感じさせる。でも、ちょっと『ハウルの動く城』を思い出したかも・・・。



2006年09月16日(土) マイ☆ボス マイ☆ヒーロー

 今季のドラマで最も視聴率が高かったらしい『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』だが、最初から見ていたわけではない。

 たまたま実家に行った際、父が見ていて「くだらないのが面白い」と言っていた。それで、私もボーっと見ていたら、何だか面白くなってきてしまって、そこから毎週見るようになった・・・というわけ。

 そのため、最初の方のあらすじとかエピソードがちょっとわからないのだが、途中から見ても十分すぎるほど面白かった。

 ありえなさ過ぎる設定なのも、あまりの馬鹿っぽさも何もかもおかしかった。

 特に次のボスを決めるためのヤクザの選挙などは、政見放送のようなものがあったり、変にリアルというか、パロディというか、笑える感じであった。

 クラスメイトもヤクザの組の人たちも、弟のミッキー(黄川田将也)も兄貴を慕う弟分(田中聖)も、鉄仮面の先生(香椎由宇)も保健の先生(もたいまさこ)もそれぞれキャラが立っていたような気がする。

 ところで、こんなところに『風のハルカ』に出ていた村川絵梨を発見。最初、気づかなかったけど、途中から気づく。この方、本当は何歳?? ハルカだとOLとかでもっと年上だったんだけど・・・。

 アグネス体操が面白かった。アグネスプリン、食べてみたい。

 これを見ていると、学校っていいなぁ、もう一度行きたいなぁ・・・みたいな気持ちになってくるから不思議だ。

 高校生の頃は楽しかったけれど、そんなことはあまり思わなかった。そのときそのときを過ごすだけだったけれど、そんなのと遠い世界に住んでいる今、これを見ると、その一つ一つの行事とかが、なんか懐かしく、青春の味がするような・・・何となく学校時代をもっと楽しんでおけばよかったかな・・なんて思わされた。

 今、学生の人がこれを見たら、学校はやっぱり面白いとか、勉強しておこうとか、前向きに考えたりするのかな? そういう人もいたとしたら、ドラマとしては大成功のような気がする。



2006年09月11日(月) 誰よりもママを愛す

誰よりもママを愛す
 田村正和、結構好きなので、見ることにする。昔、『パパはニュースキャスター』というのがあって、それがとっても好きだったのだ。

 今回はパパはパパだけれど、専業主夫のパパ。ママ(伊藤蘭)のことが大好きで、弁護士のママに好きな仕事をしてもらうため、会社を辞めて主夫になったという設定である。子供は3人。お兄ちゃん(玉山鉄二)、お姉ちゃん(内田有紀)と年の離れた弟の薫(長島弘宣)。

 どうもこのドラマ、視聴率がイマイチだったようである。でも、それなりに面白かったというか、悪くはなかったと思う。

 ただ、前半から2/3ほどは、ママのよさがあまり出ていなかったような気が。だから、どうして田村正和パパがママのことをこんなに愛しているのか、あんまりよくわからない。昔のエピソードは確かに微笑ましいが、今のママのあり方を見ていると、一体このママのどこがいいの?とついつい思ってしまう。

 薫くんがかわいい。知ちゃんとの恋の行方が気になった。お姉ちゃんの結末はいいとして、お兄ちゃんの結末は、まさか・・・と思ったけれど意外だった。いいのか、これで?? ピンコさん(阿部サダヲ)、山下(劇団ひとり)がとってもいい味出していたかも・・・。隣人の津波さん(小林聡美)もね・・・。

 ママが病気になって、パパが「ママがいないと何にもできないんだよ」とつぶやくシーンでは、思わず目頭が熱く・・・。やっぱり田村正和の演技力のせいかな・・・。

 すごい面白いというわけではないけれど、それなりに面白かったかなという作品だった。



2006年09月03日(日) スーパーマン リターンズ

『スーパーマン リターンズ』
 子供の頃、『スーパーマン』が大好きだった。最初そのリメイクなのかと思っていたら、続編だった。スーパーマンが地球を離れて5年後、また地球に戻ってくるところから話が始まる。

 今回のスーパーマンは苦悩のシーンが多いし、より人間的な描かれ方をしているような気がした。好きな人がどうしているのかを探ろうとする過程でショックを受けるスーパーマン。

 ロイスには子供がいて、結婚はしていないまでも一緒に暮らす子供の父親でもある男性もいる。複雑な思いにかられるのも無理はないけれど、こういうシーンが多いからか、何だか爽快感が薄れ、ちょっと憂鬱モード。

 さらに悪役レックス・ルーサーが再び悪巧みをしていて、スーパーマン絶体絶命・・・。スーパーマン弱すぎ・・・。

 でも、この5年の間に何が・・・ということや、この作品で言いたかったことは十分に伝わってくるし、それなりに面白いが、ものすごい面白いまではいっていないのがちょっと残念だったかな・・・。

 私は前作を見ないで行ってしまったのだけれど、やっぱりちょっと後悔した。絶対前作を復習していった方が楽しめるような気がする。そういう意味でもスーパーマンのコアなファンの方が楽しめる作品に仕上がっていたのかもしれない。

 何となくスーパーマンがすごく若いような気がして、前のスーパーマンの方が「おっさん」だった??と思ったのだが、よく考えてみると、この作品を私が見たのは小学生の頃で、その頃なら20代でも「おっさん」に見えても仕方ないのか。何となくスーパーマンってもっと年だったようなそんな気がしたのに、すごく若返ったイメージがしてしまったのだけれど。自分も年を取ったということか・・・。


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