感想メモ

2005年10月29日(土) エンジェル  石田衣良


石田衣良 集英社文庫 (1999)2002

STORY:
気づくと誰かに殺されて自分が埋められているところだった。過去をフラッシュバックし、現在までたどり着いたと思ったが、2年分の記憶を失っていた純一は、なぜ殺されたのかを突き止めようと調査を開始するが・・・。

感想:
 石田衣良はよく名前を聞くけれど、1冊も読んだことがなかったので、読んでみることにした。感想は・・・う〜ん、面白くもないなあという感じ。

 一番気になったのは文体。「別な」「嘘な」みたいな使い方が多用されていて、確かに口語ではそのような使い方もすると思うのだが、文章でこういう書き表され方をすると、正しいのだろうか?とちょっと違和感が・・・。

 内容的にもどこかで聞いたり見たりしたことのあるような幽霊の特性をあわせただけというか、オリジナリティがあんまり感じられないような気がした。

 ということで、大して面白くもなく、普通の仕上がりな感じ。とりあえず最後まで読むのにすごい苦痛を感じるということはないけれど、読み終わっても面白かったなーというような感慨はない感じ。



2005年10月20日(木) 幸福な食卓  瀬尾まいこ


瀬尾まいこ 講談社 2004

STORY:
父の自殺未遂以来、母は別居、兄と父の3人で暮らす佐和子。突然父が「父をやめる」と言い出し、仕事も辞めてしまって・・・。

感想:
 『優しい音楽』がよかったので、同じく瀬尾まいこの本を読んでみた。この話も作風が何となく感じがいい。

 傷ついた家族が一生懸命生きている感じが何となくよい。こんな家族が本当にいるのか?という気もするが、いる気にさせられる。漫画でこの世界を描いたら線が細い感じがする。

 しかし、最後が・・・。かなり泣けるんだけれど、この展開は・・・とちょっと思う。こんな風にしなくてもいいんじゃないかと・・・。人生の残酷さを描きたかったのかもしれないけれど、ちょっと悲しい・・・。

『優しい音楽』の感想ページ



2005年10月14日(金) 日本のシンドラー杉原千畝物語 六千人の命のビザ

 反町隆史が好きなのと、こうした戦争時代の話は好きなので見ることに。ちょっと最初の方や途中で適当に流してしまったところもあったが、そのうちに夢中になってしまった。最後は感動。

 途中から帰ってきた夫も一緒に見ていたが、二人で泣いていた。でも、外国人の人の声がすべて日本語の吹き替えになっていて、その辺に違和感が・・・。確かに多くの外国人が出てくるわけだし、これを全部字幕でやっていたら、本当に集中して見なくてはならず、そういうのを避けたのかもしれないけれど。

 日本に帰ってきてから、外務省からも解雇されてしまい、ちょっと不遇の人生だったのかとも思ったけれど、最後にイスラエルのシャロン首相(?)かと思われる人と再会。自分は幸せだったと答えるシーンは感動。

 よいことをしても、なかなか認められないことはよくある。でも、認められなくても、その好意を受けた人からずっと感謝され続けた杉原千畝さんはやっぱりすごかったのではと思った。

 リトアニアでロケをしたということで、当時の西欧の家具とか家の感じなんかも見られて、そういうのを見るのも楽しい。DVDの発売も決まったらしい。



2005年10月12日(水) シン・シティ

シン・シティ
 劇場鑑賞券をたまたまただでもらったので、よくわからなかったが見に行くことに。

 R-15で、暴力シーンがあるとは思って見に行ったが、本当に最初から最後まで暴力シーンのオンパレード! あまりのすごさに見終わったあと、体が硬直していた。途中でもうダメかもとも思った。でも、ストーリーは面白いのでどうなるかは気になり、結局最後まで見た。(ちなみに誰も途中で出て行く人はいなかった・・・)

 人物関係が複雑なところもあるけれど、それが面白いのかも。結局この映画の中では巨悪の根源の大ボスはまだのさばっているので、完結はしていない。どうやらあと2作続編ができるらしいので、続きはそちら・・・ということだろう。

 有名な俳優がたくさん出ているのにびっくりする。超豪華キャストというのも売りの一つなんだろう。でも、暴力が嫌いな人には全くオススメできない。私も続きは気になるものの、見に行くのはためらうかも。

 人気のアメリカのコミックを映像化したということで、モノトーンの映像の中に時々血などが赤や白、黄色などで入る。だから、気持ち悪い映像がダメな私でも、見ていることができた。これが本当にカラーだったら、ちょっと正視できないかも。白黒というのは、コミックという二次元を表現するための試みだったみたいだけれど、そのせいで映像がとってもスタイリッシュな感じ。恐ろしさも倍増しているけれど、気持ち悪さは減っている。ということで、よいやり方だったと言えるように思った。

 一番うけたキャラクターはミホ。日系人の人が演じているが、この間見た「積み木くずし」の安達祐実の不良時代のアイメイクを思い出した。日本刀や手裏剣というような古風な武器を使って相手を倒す。アメリカ人のセンスなのかなー。忍者とか好きそうだからしょうがないかもしれないけど、いまどきの日本でこんなことをできる人はいないのに。この人の殺し方だけは結構笑えたかも・・・。



2005年10月09日(日) 3分でわかる運のちから  あおぞらきりん


あおぞらきりん 大和書房 2005

 メールマガジンで運がよくなる秘訣について研究しているものを本にまとめたもの。

 運がよいと思われる大物の人々が実際に実践していることなどが書かれていて、かなりためになる。

 やっぱり部屋を片付けるのって大事なのかな。私はどうも物を捨てられない傾向にあるので、物をすぐに捨てる傾向にある夫とは合わないのであるが、やっぱり夫の考え方の方が正しいのかな・・・。すぐにもったいないと思って、使わないものも取っておきたがる性格は変えた方がいいのかも・・・。

 他にも簡単に実践できそうなことなどもある。他の運に関する本と共通のことも多いので、やはり運がよくなる真理ってあるのかなと思う。たとえば「脱いだ靴はそろえるなどの細かいことを毎回やる」「親孝行をする」「感謝する」「笑う」などなど・・・。



2005年10月06日(木) ダイヤモンドの恋

 NHKの夜ドラ。

 久しぶりの浅野温子のドラマ。そして、久しぶりに吉田栄作を見た! なんか吉田栄作がすごくかっこよくなっていたような・・・。

 内容は更年期障害になってしまった宝石デザイナー麗子が、会社を辞めざるを得なくなり、田舎の奈良に帰るというもの。麗子はバツイチでかなり大きい一人娘がいる。はじめは自分が更年期だということを受け入れられない麗子だったが、次第に自分を見つめなおす。そして、考古学者の量平との恋が・・・。

 前半はすごく面白かったのだが、後半ちょっと失速か。でも、小ねたが結構面白くて、笑えるところがあったかな。量平と麗子の恋愛がいまいちうまく描かれていなかったような。量平が優柔不断だからなのかもしれないけれど。ちょっと展開が急だったような気もして。

 奈良の自然とお寺がいいなーと思った。一度行ってみたい。それと古墳の発掘をどうやって行うのかとか、なかなか面白かった。

 更年期障害って40代くらいからもうなってしまうのね・・・。自分に残されている時間ってあとわずかしかないんだ・・・。人それぞれ症状が違うようだけれど。発掘現場のおば様方は、ほとんどの人が経験済みのようで、麗子に同情的になっていた。最近は若年性というのもあるみたいだし、30過ぎたら若いから大丈夫とか言っていられないのかな・・・。



2005年10月05日(水) 失踪日記  吾妻ひでお


吾妻ひでお イースト・プレス 2005

 吾妻ひでおが失踪したときのことやアルコール依存症で入院したときの話を綴った漫画。

 失踪してどうやって食料を調達するかとか、なかなか面白いというか、壮絶な感じだった。これでも面白おかしく、本当に悲惨な部分は描いていないらしい。

 2回目の失踪でガス屋さんになった話はなかなか面白かった。色々な人がいるものだなーと思う。

 一番面白かったのはアルコール依存症で入院した話か。幻覚がどのように見えるかとかがよくわかった。途中で終わってしまい、続きはまた今度・・・なのだそうだが、続きも読みたい。

 最後の対談で、奥さんのことが書いてあったけれど、失踪された奥さんの方が本当に大変だったろうなーと思う。離婚とか考えなかったのだろうか? 今も奥さんがアシスタントを務めているらしい・・・。なんて偉いんだ!と感動する。



2005年10月04日(火) ファイト

 NHKの朝ドラ、「ファイト」が終わった。毎日かなり楽しみに見ていた。ここ最近の作品の中では一番脚本もしっかりしていて、ストーリーにも無理がなかったように思う。何といっても主人公の元仮屋ユイカがさわやかで、いまどきにないような真面目な高校生をやっていて好感度大だった。

 最初は幸せだった家族が、父親の仕事へのプライドから一転不幸のどん底へと落ちていく。工場は閉鎖状態になり、家族はバラバラに暮らすことに。優は大好きだったソフトボールをけがで断念。友達ともうまくいかなくなり、不登校。父は深夜のアルバイト。東京で働くことを決意するが、会社が倒産。ぬいぐるみに入るアルバイトなどをせざるを得なくなる。酒に溺れ自殺も考える日々。妻はそんな夫を許せないところもあり、不倫の気配が・・・。

 とまあ、激しく不幸になっていくわけだけれど、どんどん悪くなっていっても、前向きに進んでいく優と家族たち。いつか幸せが来るだろうと思って、見続けると、8月の終わりくらいだったか・・・ようやく幸せの兆しが見え始める。そこからは優の恋愛の話だとか、馬の仕事の話だとかに内容がシフトしていく。

 周りの人々についても、ドラマがあって、特に駒乃館の人々はよく描かれていた。一番は母・亜沙子の親友・琴子。川原亜矢子って本当にきれい。琴子は酒井法子(これまた若くてかわいい)扮する亜沙子とは対照的な存在。亜沙子は若くして家庭に入るが、琴子はその間もキャリアを積み重ね、30代後半になるが恋愛の気配なし。周りからは見合いを勧められている。亜沙子はお気楽に琴子の仕事のすごさをほめ、自分の子育て中心だった生き方に少しむなしさを感じたりもしている。琴子は逆に亜沙子の生き方をうらやましいと思う部分もある。結局琴子もそこまでに登りつめるには色々あったということがわかるわけだが・・・。

 琴子と太郎との恋愛は30代後半女性の心情がよく表れていたように思う。ここで結婚しなければ一生結婚しないかもしれない、それならうまくいかず離婚になったとしても、一度結婚をしておいても損はないのではないか? 結局、太郎との間に溝を感じ、最後には自分から婚約を解消する。その後、フランス人の建築家と出会い、結婚を決意。やはり同じ仕事上の夢を追いかけられるような人物と結婚する方がよいだろう。愛情だけではなく、一緒に暮らしていけるか、生活パターンがどうか、そして、人生の夢や目標が同じかどうかが、結婚ということを決める重要な要素となるのだろう。その意味でも、琴子は安易に太郎と結婚しなくてよかったのだ。この辺の微妙な女心がよく描けていた。やはり誰とでもいいからとりあえず結婚してみよう・・・というのは、あまりよくないのかも。

 児玉清扮する駒乃館の主人もいい味を出していた。由紀さおり扮する妻とおしどり夫婦。しかし、妻が突然音大に行きたいと言い出すから、さあ大変。結局は妻に4年間大学で学ばせることを決意。男って老後に趣味もないとこういう風になってしまうのかも・・・と思ったりして。また琴子の結婚では、連れてくる相手を気に入らず、素直に受け入れることができない。心の中では30代後半だし、どんな相手でも受け入れなければ次はないかも・・・と思っているはずなのに。父親ってこんなもの? 最後には妻と二人、幸せな老後を送ろうということになる。この人のいいところは、優の父・啓太(緒方直人)がぼろぼろになっているときにさりげなく助けたりとか、優の太郎への気持ちを知って、そっとしておくとか、そういうところにも溢れていたと思う。また由紀さおりは歌がうまい。音大に入れるかはともかくとして、(まあ、池田理代子さんは音大に入ったからありえないことではないだろう)何度も出てくる歌のシーンで、はぁ、うまいなぁ・・・と思ってしまったことが何度もあった。

 弟夫婦(おかやまはじめ&三原じゅん子)も時々出てきてはほのぼのとしたムードを出していた。この脇役感はなかなかよかったと思う。

 優のおばあちゃん(三林京子)と村上さん(田村高廣)の恋愛。これはこれで高齢になったらありなのかもしれないと思った。西郷さん(藤村俊二)は4度目(確か)の結婚で若い奥さんに借金をされた挙句、サイゴウジョンコを手放すことになるが、最後に5度目の結婚で奥さんとなった人のおかげで借金を返済。なんかすごい人だったな・・・。

 バネ工場の人たちもいい味出していた。全員が一気に帰って来るのはどうなのかとも思ったけれど・・・。

 あと個人的にソフト部の監督、結構好きだった。優の担任の先生も・・・。

 木戸家に戻ると、亜沙子と啓太(緒方直人)の関係。この二人は最初から仲良くしたいのだがかみ合わない感じ。元々家族別々で暮らす必要もなかったはずなのに、家を大事に思っていた亜沙子がひねくれたことから、四万温泉の仲居として働くことを勝手に決めてしまう。もしここでちゃんと話し合っていたら、啓太がここまで悲惨なことにはならなかったのでは?とも思うのだが。亜沙子に不倫の気配があったが、そのときの態度もそうだ。夫婦の間には話し合いが必要・・・と思った。結局は元の鞘に収まるわけだけれど。それにしても、不倫っぽい関係になった川崎先生(山口馬木也)はどうなったのだろう。元々琴子とお見合いをして合わなかったわけだけれど。その後出てこなかったのでどうなったのやらわからなかった。

 優は優でつらい体験を色々する。特に学校のシーンではなんだかすごくリアルな感じを受けた。ソフトボールをするために入った私立の女子校で、けがでソフトボールができなくなってしまったり、親友に裏切られたような気持ちになったり、周りの合わない友達と無理に合わせようとして疲れてしまったり・・・。こういうのって誰にでもあるだろうけれど、感受性が強いと学校に行けなくなったりするのかも。不登校から四万温泉で仲居として働くことになり、馬が好きだという気持ちに気づいて、厩舎でのバイトを始め、最後には馬たちと触れ合って傷ついた人たちの心を癒す仕事を・・・と変わっていく。この辺の流れは自然だったとも言える。さらに太郎との恋愛。琴子との婚約を知り、無理に笑顔を作ったり・・・大変なことだらけだったと思うけれど、よく成長したなーという感じがよく出ていた。やっぱり女の一生を描くよりも、こうした短い期間を描くというのが無理なくてよかったのではと思った。

 檀くん(田中冴樹)はかわいかった。色白で栄養不足か?と思ってしまうところがあったけど・・・。

 太郎さん(瀬川亮)はなかなかいい感じだったと思うけれど、優とのことではなんだか優柔不断だった。もう少しうまくやれなかったのかな・・・と思った。

 その他の脇役では、岡部君(三浦春馬)がかわいそう〜! 優を思い続け、一度は付き合うが、結局あきらめることに。写真の道に進んだのだろうか? 優も岡部君も、爽やかな感じだった。

 最後に里夏(垣内彩未)。この子と仲直りできてよかったな。修復不可能かと思ったけれど、こういうこともあるのね。まあ、ドラマだからかもしれないけれど・・・。実は渡辺徹扮する里夏の父が一番気になった。自殺までして大会社の不正を内部告発したわけだけれど、そのままあの会社にいられたのか? いられたとしても日陰の部署に追いやられるとか。それとも仕事を辞めさせられたりとか?と思っていたのだけれど、あまり描写はなかった。とりあえず里夏は学校を続けていたし、優とも仲直りしたからいいのかもしれないが。この家は母親が全く出てこなかったが、これもちょっと気になった。

 と、こんなに夢中になっていたドラマだというのに、NHKの朝ドラ視聴率ワースト2位なのだそうだ。確かに『天花』は面白くなかった。ワースト1位なのもわかる。けれど、これがワースト2位だなんて。最初の頃、新聞の投書欄でも「内容が暗すぎて朝から気が滅入る」とかいうようなのが寄せられていたみたいだから、それが影響したのか? 確かにリアルだったような気もするけど、だからこそ、最後が生きるような気もするのだが・・・。
 
 このドラマがワースト2位というのは、もしかしたらもうこうした朝ドラの形態が一般視聴者には受けないということでもあるのかもしれない。昔のように誰も彼もが見るというような時代ではないのだろう。半年という長いスパンで、毎朝同じ時間に見続けるというのが時代のニーズに合わないのかな。そんなことも思ってしまった。


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