感想メモ

2004年08月26日(木) 冬のソナタ


 相当流行しているという話を聞いて、NHKの放送を1話から見ていたけれど、この間最終回を迎えた。

 初回のあたりは高校生編ということで、老け顔の学生や昔の日本で見られたような(?)体罰教師などなど・・・あまりにもおかしすぎて吹き出しそうになった。これは確か泣けるという話だったけれど・・・と思ってしまったわけだが・・・。しかし、段々と話が進むにつれ、この時代の回想シーンが流れるとなぜか感動を呼ぶから不思議だ。

 やはり音楽がいいというのはあると思う。主題歌もすごくいいし、その他のメロディも心を打つような感じ。主題歌に関しては芸能人の誰かも聞こえてくると涙がつい出てしまう・・・と話していたけれど、確かにそのとおり。パブロフの犬のように条件反射してしまうのかもしれない。(私はそこまでじゃないけど)

 ストーリー的には「こんなことあるのか?」とか「どうしてこうなるんだ?」という突っ込みどころは満載であるが、次にどうなるのかが見たくてつい見てしまう。昔あった松村雄基だとか伊藤かずえ、堀ちえみとかが出ていたようなちょっとくさいんだけど続きがつい気になってしまうというドラマに通じるものがあると思う。今の日本のドラマはテンポが速いのが多いし、何かについてじっくり描くということがなくなってきているのだろう。というか、多分作り手もそういうのは古いし流行らないと思っていたわけだけど、こうしてこの「冬ソナ」がヒットするということは、日本人もそういうじっくりしていながら、主人公が翻弄されていくちょっと無理があるかもしれないけど、もしかしたら実際にあるかもしれないと思わせるようなドラマを求めているということなのかもしれない。ここで韓国ドラマの真似をして日本がそういうドラマを作るのか、そして、それが当たるのかはよくわからないけど・・・。

 それにしても「ヨン様」などともてはやされて、どんなにかっこいいのか?と思っていたら、にへら〜っとした顔。タラコ唇だし、めがねもへんてこだし・・・悪いけどあんまりかっこいいとは思えなかった。大体役柄からして微笑みの貴公子みたいなことを言われている割に、泣いているか苦悩しているかみたいなシーンばかりだし。どっちかというとサンヒョク役の俳優さんの方がきりっとした顔で男前だと思うのだが・・・。なぜこっちの方がもてはやされないのか私には理解不能。まあ、役柄的にサンヒョクは汚い役のときもあって(普段のサンヒョクは本当に優しいいい奴なんだが、ユジンが絡むと嫉妬心からとんでもないことをしでかす)受けが悪かったのだとは思うけど。

 最後のシーン、いろいろと意見があるようだけど、多分これから二人は幸せになれるのだろうな・・・と思った。まあ、悪くはない終わり方だったのではないだろうか。



2004年08月24日(火) バレエ・カンパニー (ネタバレあり)


 このところバレエ関連の映画が何本かあったけれど、そのうちの1本。チラシがとてもきれいで最もクラシックっぽい感じがして見たいと思ったので見に行ってきた。

 劇場は日比谷で完全入替制。2回目の上映を見てきた。客層が不思議で、おば様やおじ様や年配の方もいれば若い人もいた。中には小学生くらいの少女もいた(多分バレエをやっている子供だろう)。私としてはこういう映画はバレエ関係者くらいしか見に来ないのでは?と思ったのだが、特にバレエに関係のなさそうな人も見られたので、映画マニアというかファンの人も見に来ていたのかなと思った。一応この作品を撮った監督ロバート・アルトマンは『ゴスフォード・パーク』などを撮った監督で、監督自体人気があるらしい。

 結論から言うとあんまり面白くなかった。自分がバレエをやっているから楽しめるかとも思ったけれど、そんなこともなかった。一緒に行った夫はバレエに関してはあまり詳しくないが、一般人の彼の目から見ても面白くなかったらしい。

 こういう作品を群像劇というらしいのだが、まず登場人物が多すぎる。誰が誰だかわからない人が結構いて、ストーリーがさらに頭に入ってこなかった。ストーリーといっても複雑なストーリーや感情の展開があるわけではなく、バレエ団の日常や、ダンサーたちの生活などがただ描かれているだけ。1回だけしか出てこない人物がいたりして余計にわかりにくかった。

 プログラムを買って、解説や採録シナリオを読んでいたら改めてこういうことだったのか・・・と納得することができた。わかりにくかったので映像を見ているだけではよくわからなかったのだ。この採録シナリオを読むと、一応きちんとストーリーはあったのだということがわかった。映画を見ているときは何が何だかわからなかったというのに。買って正解だったのかもしれない。

 この映画で最も笑えたシーンはクリスマスパーティでミスターAや演出家の真似をダンサーたちがする場面。それから踊りで一番よかったのは、ライが嵐の中で踊る踊りとアキレス腱を切ってしまった女性のクラシックな感じの踊り。

 以下はバレエ的な観点から見たこの映画の感想。

 まず踊りとしては私は現代的なバレエがあまり好きではないので、ジョフリー・バレエの演目自体があまり好きではなかった。チラシにクラシックっぽい写真が載っていたからもっと期待していたのに、内容はやはり現代的でほとんどクラシックがなかったと思う。でも、ダンサーの体はすごくきれいで、特にロープにつかまり、回転しながら踊っていた女性の踊りなどは、究極の肉体美を追及しているような気がした。(でも、とても目が回るらしく酔い止めを服用しているらしいのが笑えたというか、気の毒に感じた・・・)

 そのほかになるほどと思ったのは、必ず代役ができる人と一緒にレッスンをしていること。本役の後ろで必ず代役ダンサーが一緒に動きを確認している。それからミスターAの台詞「アレグロダンサーが無敵だ」ということ。私はアレグロが全然できないけれど、確かにどんなアレグロでもこなすような身のこなしの軽いダンサーならどこでも通用するだろうと思った。それから代わりはいっぱいいるということ。たとえダンサーがアキレス腱を切っても、周りのダンサーから同情するような視線は感じられても、その後も淡々とリハーサルが続いていく。やっぱり怪我をしたり脱落したりしたら、それだけでおしまいなのだと思った。結局自分の体は自分で整えないと役を人に与えてしまったりするし、もしそのダンサーが復帰できなくても誰も何も言わないだろうと思った。また公演の1週間前でもできない踊り手は交替させられる。それはプロだからこそだろうと思った。

 バレエ的な点ではなるほどと思ったりする場面などもあったのだが、ストーリーや映像があまり面白くなくて退屈で、途中でもう見なくてもいいなーとまで思ってしまったので、やはりあまり面白い映画ではなかったのではと思う。これがバレエをやらない人の視点だとどういう風に映るのかはわからない。ただ少なくともおすぎだかピーコだかが絶賛していたほどすごい映画だとは思わないのではないかと私は感じた。



2004年08月18日(水) ANOTHER MONSTER  ヴェルナー・ヴェーバー/浦沢直樹 共著


[もうひとつのMONSTER] ヴェルナー・ヴェーバー/浦沢直樹 共著
長崎尚志訳 小学館 2002

 『MONSTER』全巻の副読本にしてアナザー・ストーリー。ネタバレあり。

 『MONSTER』全巻を読んで、その後、その謎にもう少し迫りたいと思って思わず買ってしまった。漫画だと思っていたらそうではなくて、れっきとした本であった。ヨハン事件のあとまた新たな類似事件が起こったことから、ヨハン事件が何だったのかを改めて探る記者が事件をまとめているというルポ形式でつづられている。

 『MONSTER』の一番最後のシーンは、昏睡状態にあるはずのヨハンがどうやら病院を抜け出したのでは?と思わせる終わり方であった。そしてこのアナザー・ストーリーを読むと・・・どうやらそのような気がしてくる。この辺は読み方がいろいろとあるのだろうが、私としてはそういう解釈をした。結局ヨハンはまた同じようなことを繰り返すのかもしれない。しかし、なぜそのようなことをしなくてはならないのか? 結局その謎が完全に解けたわけではない。

 『MONSTER』は確かによく作られた漫画だったが、前半の方がどちらかというと『逃亡者』のようなノリもあって面白かった。後半になると複雑になりすぎてきたこと、新たな登場人物が多くなりすぎたこと、登場人物が死にすぎることが続き、テンポが落ちてしまったように思う。ヨハンは図書館で絵本を見つけて倒れるが、そこから流れがおかしくなったという。この作品もそのあたりからちょっと方向が見えなくなったような気がする。

 結局最終話まで持っていたわけだが、多くの人が死に、その人たちがなぜ死ななくてはならないのかも説明不足の部分もあった。このアナザー・ストーリーにその謎が解かれているかというと、そうとも言えないような気がする。

 結局ドイツとチェコを取り巻く当時の状況や歴史がわかっていないと、この作品を読み解くのは難しい。一言で言ってしまえば、洗脳し殺人兵器を作るというような誤った思想に取り付かれた実験の犠牲となったのがニナとヨハンの双子の兄弟であり、ニナはそれを克服していくのだが、ヨハンは克服できないでいるということだ。純粋な子供は大人よりも洗脳をしやすい。そして、そのような実験をし続けていくことは危険であるという警告を発しているのかもしれない。

 前半のなぜテンマとニナがヨハンを追いかけるのかというのは説得力があったが、後半、ヨハンがどうしてそういう行動をしているかという説明は弱く、適当に秘密を重ねていって大げさにしているだけという風にもとれないこともない。つまり、読み進むにつれ謎は深まるが、意味を成さなくなっていくような作品であったように思う。もちろんつまらない作品ではないのであるが・・・。

 このアナザー・ストーリーがどういう作られ方をしたのかがよくわからなかった。共著ということだが、誰がどういう部分を書いたのか、どこからどこまでが虚構なのかがわかりにくい。訳者というのはどういうことなのか? そして、私にはやっぱり絵本の解読ができない。なんとなく意味はわかるような気もするのだが・・・。



2004年08月13日(金) 火消し屋小町


 NHKの夜ドラ。

 結婚後、初の夜ドラで、夫とともに見た。といっても、彼は連続ドラマというものをほとんど見たことがなく、また15分という短い展開に戸惑っていた様子。というのも、本当に続きが気になるよいところでまた明日・・・となってしまうから。続きが気になる展開でいきなりブツっと切られるのが不満なご様子だった。彼は仕事などの関係で数回見逃したりしていたけれど、私がストーリーを話して、何とか最後まで二人で見ることができた。

 久しぶりの夜ドラはやっぱり面白かった。テンポがとにかくいいし、音楽もマッチしていた。池脇千鶴の夏子は、最初はあまりにもがさつな役で無理があるような気がしていたのだが、最後には自然な夏子ができあがっていたと思う。恋人役の鳥羽潤も父親役の大杉漣もよい味を出していた。特に大杉漣は父の屈折した愛というのをよく出せていたと思う。この人はどういう役をやってもその役にはまるなーと思う。ほかにベッキーもいい味出していた。

 ただ火事があまりにも多すぎることに違和感はあった。まあ、火事が出なければ話が成り立たないのだろうけれど。そんなにしょっちゅう火災って起こっているのだろうか? こういう番組を見ると消防士の人はすごいなと思うし、待っている家族の不安というのもよくわかるような気がした。

 終わってしまってちょっと残念。また続編やらないかなー。毎日15分がすごく楽しみな作品だった。



2004年08月11日(水) MONSTER 全18巻  浦沢直樹


浦沢直樹 小学館 1995〜2002

STORY:
ドイツ・デュセルドルフ、アイスラー病院に勤める天才脳外科医テンマは、ある日頭を撃たれて瀕死の少年ヨハンを救うが、その少年は恐るべき能力を持っていた。成長したヨハンは何人もの人を殺害し、その罪を着せられたテンマは、殺人犯として追われながらヨハンを追いかける。一方ヨハンの双子の兄弟ニナ(アンナ)もまたヨハンを追いかけるが・・・。

感想:
 現在アニメ化されて深夜に放送しているらしい。元々浦沢直樹の漫画は好きで大体のものを読んでいたのだが、この作品も途中まで読んで続きが気になっていた。ただし、複雑なので全部終わってから読もうと思って、そのままになっていた。図書館でも大人気の漫画で、なかなか借りることができなかったが、ようやく読むことができた。

 終わりまで読み、何と言っていいのやらわからない気持ちになった。結局何だったのかの謎も解けていないというか、漫画を読んだだけではわかりにくい感じがしてしまった。そして、最後に載っていた「MONSTER」の謎を解く本というのを思わず買いに走ってしまった。ということで、今、その本を読んでいるわけなのだが・・・。こちらの感想についてはまた後日書こうと思う。

 ドイツが舞台ではあるが、チェコの話も出てくるし、西ドイツ、東ドイツ、旧ソ連などの歴史がわからないとこの話を読んでもスムーズに頭に入ってこないかもしれない。なかなかに複雑で難しい話なのであるが、だからこそはまる人も多いのかもしれない。

 個人的に殺される人が多すぎるのが気になったが、テンマの優しさが伝わるようなエピソードなどはかなり好きだった。愛すべきキャラクターが何人も死んでしまうのがかわいそうでならないのだが。



2004年08月02日(月) シェエラザード〜海底に眠る永遠の愛


 NHKのスペシャルドラマ。浅田次郎の原作ということもあって見ることにした。

 かなりの感動作を期待していたのだが、泣けるシーンはそんなになかった。日本の「タイタニック」みたいな宣伝の仕方だったが、結局船が沈没するシーンはほとんどなく、あっけない感じで、そういう意味でかなり違うような気がする。

 現代と戦中とが交錯する作りになっており、それなりに感動できるのではあるが、多分原作をはしょりすぎているのでは?と思われる部分もあった。また船や戦闘機などのCGがものすごくちゃちで本当に絵が動いているなーという感じがしてしまい、そこで乗れない感じがあった。それから画面が異常に明るい感じで、どうも戦中のイメージがしなかった。現代のものを使い、ただ衣装だけを変えているだけなのかなというか、なんとなくそういう戦中っぽい感じが感じられなかったのが残念だった。(お金をかけられなかったのだろうか?)

 この中で目立っていたのはやっぱり軍人役の反町隆史。以前の織田信長の役でも思ったけれど、怒鳴り声がかっこいい! それに比べると小沢征悦はなんとなく暑苦しい感じがしてしまう。髪型が暑苦しいのか? それにしても戦中にこんなふさふさ頭でよかったのだろうか? 時代考証とかももちろん行っているのだろうけれど・・・。それを言ったら長谷川京子のくりくりの頭も戦中によかったのか?と思ったのだが、これは外国にいるからいいんじゃない?と彼があっさりと言ったのでそうなのかと思った・・・。

 ドラマではやはり描ききれなかったのか、それとも原作も同じような感じだったのか? それを確かめるためにも原作の方を読んでみたいと思った作品だった。また実際にあった事件をモチーフにしているとのことで、私はそちらの事件の真相も少し気になっている。前日にNHKでドキュメンタリーがあったらしいのだが、気づかずに終わってしまった。再放送、あるのだろうか?


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