宿題

目次(最近)目次(一覧)pastnext

2005年11月30日(水) 漫画家に訊く! 〜ぶっちゃけそのへんどうなんスか!/タイム涼介
■漫画家になってこれ得した!これ損した!と感じていることを教えてください

「考えもしないですねー。
これしかないからしかたない! これが私だからしかたない。
あきらめと言う名のこの悟りで、私はいつも無敵になるのです。
好きだからしょーがない。むかついても、めんどくさくっても、
こいつしかいないんだからしょーがない!ってことなんすよ。
満たされた1秒後に必ずやってくるあいつ、
平穏を退屈と錯覚させるあいつ、
そいつの名は、無いものねだり。そんな奴ぶちのめせばーよい」

■子供の頃はどんな子でしたか。
また漫画家にならなかったら何になっていたと思いますか

「かわいくないです。
それは今までの作品、これからの作品から読み取れたらとおもいます。
もういっこのほうは〜
そうさなー漫画家になってなかったらね・・
いまだに漫画家めざしてがんばってんじゃないかね。その価値はあるでしょ漫画家」


★漫画家に訊く! 〜ぶっちゃけそのへんどうなんスか!/タイム涼介★

2005年11月29日(火) 語りつくそう、アール・ブリュットのすべてを!/小出由紀子×ブルノ・デシャルム
B「日本人とフランス人の僕たちがこうして言葉をかわしコミュニケートできるのは、
共通の思考回路を持っているからだよね。
ところが、アール・ブリュットの作家の場合、そうした思考のシステムが
あるときすべて崩れてしまう。
そしてさらに再構築という現象が劇的に起こることで、
ほかの誰とも共有できない、自分だけに通用する言語、価値観、
思考による内部システムを新たに発明する。
彼らの作品とは、その独自のシステムの形象化なんだ」



K「アントナン・アルトーの場合はどう?
シュルレアリストでもあったこの詩人は晩年の9年間を精神病院で過ごし、
たくさんのドローイングを残しています」

B「ちがうね。なぜなら精神の再構築を欠いているから。
彼の絵に示されているのは、崩壊の苦悩そのもの。
アール・ブリュットはむしろ勝ち誇るかのような力強さを孕んでいる。
錯乱した表現ではあっても、それはつまりルネッサンスなんだ。
独自の強固な理論によって支えられた新しいシステムが彼らを真の再生に導くんだよ」

K「よくわかります。たしかにアール・ブリュットの作品には、歓喜が感じられる。
新たな世界の創造主になった喜びとでもいうように」



B「僕が心を打たれるのは、崩壊する世界をなんとか押しとどめ、
均衡を保とうと試みている作品」



B「すごい作品を見せるよ。ショックを受けないといいんだけど。
ほら、ポルノ雑誌にびっしりと書きこみをしてるんだ。
チェコ人で、ズドネック・コセックという男」

「自分が世界の天気をコントロールしていて、自由に雨を降らせたり
嵐を起こしたりできると思いこんでるの。
女性の裸の上に雲を描くとき、地上のどこかで雨が降っている」

K「すべてがお天気絡み…」

「ええ、彼は雲の中で起こる現象と人間の性的衝動は同じだと思ってる。
人体の70パーセントは水であり、死後は蒸発して雲のなかへ。
だから雲は人間の身体と密接につながっているんだという理屈」

B「もっとも、この作品は例外的で、ふだんは地図や五線紙などの上に描いているんだけど」

K「なんだか休みなしにずっと描きつづけてしまう人のようですね」

「1週間でも2週間でも、窓辺で描きつづけるの。
世界の天気をコントロールしている責任上、休むわけにはいかないから。
いよいよ限界となったら自分で病院に行く」


★語りつくそう、アール・ブリュットのすべてを!/小出由紀子×ブルノ・デシャルム★

2005年11月28日(月) お嫁においで/岩谷時子
もしもこの船で
君の幸せ見つけたら
すぐに帰るから
僕のお嫁においで
月も無く寂しい
暗い夜も
僕に歌う 君の微笑み
船が見えたなら
濡れた体で駆けてこい
サンゴでこさえた
赤い指輪あげよう

もしもこの海で
君の幸せ見つけたら
すぐに帰るから
僕のお嫁においで
波も夢を見てる
星の夜は
僕に揺れる 君のささやき
船が見えたなら
濡れた体で駆けてこい
空へ抱き上げて
燃える口づけしよう


★お嫁においで/岩谷時子★

2005年11月27日(日) 野ブタ。をプロデュース/木皿泉
「これ人しか映ってないんだよ、知ってた?
好きなものって、人なんだよ。
おもしろいよね、冷たそうに見えるのに人が好きだなんて。
き、きっと周りの人をものすごく大事にする人なんだね。
その為に嘘ついたり、すごい我慢したりしてるのが、
これ観てるとよくわかる」



父「おし!じゃあこの中で一番ムリなことを言った人が、
このメロンを食べる権利があるということにしよう。ね!」
兄「ムリなこと?」
父「だから、この中で一番すごい駄々をこねた人が勝ちってことよ」
弟「なにそれー」
父「はい、コドモ!ホイ(クッションの方に行けと合図)」
弟「ぃよしっ!えー(クッションに倒れこむ)
なんでわたなべより背が低いんだよ!(バタバタ)」
兄「わたなべって女だろ、なぁ」
父「女?こころざし低いなあ、お前。おし、修二、お前も駄々をこねてみろ」
兄「俺?いいよー俺メロンとかいらないもん」
父「そういやお前、子供の頃から駄々こねたことないよなぁ」
弟「へぇーそうなんだ」
父「なんだかしんないけど、やたら聞き分けがいい子でさぁ。
ん、じゃあ俺やっていい?」
兄「やんの?」
弟「見たい!」
父「んにゃー!だー!にゃろー本当は会社なんか行きたくないんだよー!
うー部長なんか大嫌いだぁーあー!(ドスドス)」



「俺たち本当に付き合ってんの、って聞いたじゃん。
…俺さぁ今まで人を好きになったことがなくて。
俺、マリコのこと好きだって思ったことは、ないんだ。
なんか恋愛みたいに自分をコントロールできなくなるのが苦手っていうか…
そういうのって嫌いで。
だけど周りの奴らには恋人がいるんだっていう風に思われたくて。
それでマリコと一緒にお弁当食べたりしてた」


★野ブタ。をプロデュース/木皿泉★

2005年11月26日(土) Pride/浜崎あゆみ
飽きることになれて加速してしまうその前に


★Pride/浜崎あゆみ★

2005年11月25日(金) 今夜/井上陽水
とにかく今日は朝から強い日ざしで
このまま俺は光になると思った
ひどい夏を忘れに旅に出ようか 今夜

大事な事はなんにもないと決めよう
君とは何か楽しいことを始めよう
ひとつ金を探しに旅に出ようか 今夜

Into the Moon それとも In the night
Among the Stars それとも Every night
それとも このまま?

遠くで誰か泣いてる様な気がする
窓辺の風と同じくらい静かに
君にさわらず どんなKissしようか 今夜

最後になにかステキな事はないかい?
忘れる事が出来ないくらいな事は?
俺が瞳を見せて嘘をつこうか 今夜

Into the Moon それとも In the night
Among the Stars それとも Every night
それとも このまま?

とにかく今日は朝から強い日ざしで
夕暮れからもたくさんセミが鳴いてた
君に何も言わずに町を出ようか 今夜


★今夜/井上陽水★

2005年11月24日(木) Tonight Is The Night/岸田繁
夜のとびら
僕はまだまだ
高いテンション
天気予報は晴れ

洗剤の匂い
出しっ放しブラウス
濃紺の世界
石鹸の匂い

Tonight is the night
独りぼっち 楽しくて
すぐ朝が来る

夢見がちな 終電後の世界
会いにきて
まぶたに天使がいるうちに
Tonight is the night
ここまで来れたら
Tonight is the night
鼻歌も夜のメロディ


★Tonight Is The Night◇くるり/岸田繁★

2005年11月23日(水) 東京国際女子マラソン/高橋尚子
この6月に「チームQ」を結成してから、高橋尚子復活とか、
順位だとか、タイムとかいうよりも、この2年間、皆さんに支えられて、
一度は陸上を辞めようと思った時にも、ほんとに暗闇の中でも、
夢を持つことで、ほんとに一日一日充実した時間を過ごすことができました。

なので陸上と関係なく、今暗闇にいる人や、悩んでいる人、
ほんとに一日だけの目標でも、3年後の目標でも、なんでも目標を持つことで、
すごく一歩一歩、一日が充実すると思います。
どうか、夢を持って一日を過ごして欲しいと思います。
   
そして小学校中学校の子も、30代そして中高年の皆さん方も、
24時間という時間は皆さんほんとに、平等に与えられたチャンスの時間です。
もう二度と来ないこの一日の時間を精一杯、そして充実した楽しい日にして下さい。


★東京国際女子マラソン/高橋尚子★

2005年11月22日(火) 野ブタ。をプロデュース/木皿泉
(のび太が落ち込んだ時のような恰好で)俺余裕ない。
つーかいつもの俺じゃねーよ、マジかっこ悪すぎ。
一生懸命やんなきゃよかったよ。
(ため息)マジほどほどにしときゃよかった、
そしたら失敗しても笑えたのに。
(ため息)マリコにもあんな姿見せずにすんだのに。


★野ブタ。をプロデュース/木皿泉★

2005年11月21日(月) うさぎ!/小沢健二
こむぎ粉をこねたり、それを焼いて具をくるんで食べたり


★うさぎ!/小沢健二★

2005年11月20日(日) うさぎ!/小沢健二
灰色のつくりだす世界では、いつも、最初にすてきなイメージの品物が見せられて、
気がつくと、巨大な製麺機が暴走して、うどんが部屋じゅうをうめつくすように、
同じような品物が、町じゅうにあふれかえるのでした。


★うさぎ!/小沢健二★

2005年11月19日(土) うさぎ!/小沢健二
同じ品物があふれかえってしまった後、
それでもお金の塊を大きくするために、灰色が最初にしたことは、
品物は変えずに、品物がつくられる仕組みを変えることでした。

灰色は、品物がつくられる仕組みを変えて、
工場を「豊かな」国々から「貧しい」国々へうつしました。
そのために、「豊かな」国々の若者たちのための、
きちんとした働き先は、すっかりなくなってしまいました。

そうやって灰色の計画のために、「豊かな」国々から働き先がなくなったのに、
灰色は、話をさかさまにして、「若者たちがなまけている」といって、
責任を若者たちになすりつけることにしました。

夕方のニュースから、「なまけている若者」というイメージが、
たっぷり流されはじめました。
憶えやすい流行語がつくり出されて、人びとはどんどん、
本当に若者たちがなまけているような気になっていきました。


★うさぎ!/小沢健二★

2005年11月18日(金) うさぎ!/小沢健二
まるで、ヘロイン中毒者が欲しがるヘロインの量が、
毎週増えていくようでした。


★うさぎ!/小沢健二★

2005年11月17日(木) うさぎ!/小沢健二
そういう、あそこに犯罪者がいる、
ここにテロリストがいる、あそこに変態がいる、
というニュースは、夕方のテレビからいつも流れていました。


★うさぎ!/小沢健二★

2005年11月16日(水) うさぎ!/小沢健二
家に帰って、ふと、自分は専門家に、
「錠剤を出してもらっている」のではなくて、
「錠剤を売ってもらっている」のだと気がついて、
次の相談のときにそれをいうと、専門家は、すこし考えて、
「あなたは錠剤に、なにか子どものころの悪い思い出があるのではないでしょうか」
と聞くのでした。


★うさぎ!/小沢健二★

2005年11月15日(火) ビサイドキーリカ/中川翔子
ようやく前髪のびてきたから精神が安定してきた。


★ビサイドキーリカ/中川翔子★

2005年11月14日(月) 秋刀魚の味/小津安二郎
「小っちぇんだ 太ってんだ かわいんだ」



「いやァ(歌う)守るも攻むるもくろがねの か…」
「オイもういい加減に寝ろよ」
「ウーン…」
「(歌う)浮かべる城のたのみなる…か…」
「何云ってンだイ ほんとにもう寝ろよ 俺もう寝ちゃうぞ
風邪ひいたってしらねェから…俺もう寝ちゃったぞ」
「ウン」
「あしたまた早ェんだぞ…俺がメシ炊いてやるから」
「ウーン…」


★秋刀魚の味/小津安二郎★

2005年11月13日(日) 天の川/真島昌利
信じているのは カレーライス
そら もう 気分しだい 笑っちゃう
走りたいよ ゲロはくまで 
ああ それで 天の川に飛び込める


★天の川/真島昌利★

2005年11月12日(土) トリッパー/奥田民生
もうあちこちだめんなった さびかけのボディーだ
だけどそのエンジンは まわりつづけていた
今日も明日もこれに乗って ノリノリで走るんだ
かれこれ長い間 あきもせず走るんだ
まっさおな 空はまだ まっさおではない
あれが見たい あれを見たい きっとすごい あれを見たい

もう荷物はカラになった すてたりあげたりだ
身も心も軽くなって スピードを上げるんだ
まっ白な 雲なんか まっ白じゃない
あれはどこだ あれを見たい もっとすごい あれを見たい
一本の光 まっすぐで 泣きそうになっている

まっさおな空はただ まっ白な雲はただ
それだけではないだぶんない
愛のうたが 胸にグサリ きっと光 先の光
あれが見たい あれを見たい きっとすごい あれを見たい
一本の光 まっすぐで 一本の光 まっすぐで
一本の光…


★トリッパー/奥田民生★

2005年11月11日(金) 文人相軽ンズ/武田泰淳
そしておもしろいことには、坊ちゃん、圭さん、道也先生は
(あるいは大学生三四郎、一郎の弟の二郎のような仲介人、観察者、
ほどの良さをくずさない傍役は半分ぐらい)、
いずれも神経衰弱を無視できたと同じ程度に、女性をも無視することができている。
これらのアンチ神経衰弱派は、なるほどお婆さんでも女中さんでも、他人の奥さんでも、
感じのいい女を感じがいいと感じる点では、正常な感覚をもってはいるけれども、
神経衰弱的なするどさ、執念深さ、不可解なほどの底ぶかさで女性にかかずらおうとしない。

漱石の女性たちがいきいきと輝き、人間の多様性を画面いっぱいにくりひろげるのは、
実に、神経衰弱派がムニャムニャとつぶやきはじめ、内省的な男どもの暗さが、
行動グループの明るさを、雲か霧かでつつみかくし、おしのけはじめてからである。

アンチ衰弱派の男たちにとって、神経過敏派が、わかりにくい困った存在であるのと、
全く同じ程度に、ふつうの女性、家庭をつくり家庭を守る女たちにとっても、
わけのわからぬ不安な生物であるにちがいない。
彼女たちは、神経過敏な男たち(多くはまぎれもない知識人)をおびやかしたり、
困らせたり、不意打ちをくらわせたり、ひきよせたり突きはなしたりすることによって、
彼女たちの女らしさをあざやかに示してくれる。
行動派や無神経派だけが男性だったなら、彼女たちはとてもあれだけの魅力を
発揮できなかったにちがいない。


★文人相軽ンズ/武田泰淳★

2005年11月10日(木) 歓びの種/YUKI
逆さまに見てた 冷たい空
泣いて赤くなる 街を見下ろした
風に流されて 体ゆだね 笑いとばす 
意外にタフ 旅は続くんだ
青い首飾りを ほら あげるよ
毒入りのりんごを食べてしまえば 
ステージの上から落ちちゃうわ

結びなおしてね
見逃してしまう 歓びの種を
暖かい大地で 育てましょう

流されてしまう 力尽きてしまう
大きな何かに 動かされている
憧れの夢を 魔法の歌を 私は いつでも観ていられるから
あの人を誘って どこへ行こう
未来を射す 明日へ渡す 手紙をかくよ

間違いだらけと判っていても 2人は進んでいく
つまりそれは 恐れずに 幸せになる 切符を手にしている
陽だまりのにおい 雨上がりの空
与えられたのなら 受けとめよう
しかられてみよう 愛されてみよう
心の底から 信じてみよう
少し照れて 笑う君が 見えるよ

陽は昇り 沈む 燃えて 茜色
命の音色に 耳を澄まして
実らせてみよう この歓びの種を
愛という 水を 注ぎましょう
陽だまりのにおい 雨上がりの空
与えられたのなら 受けとめよう
見逃してしまう 歓びの種を
暖かい大地で 育てましょう


★歓びの種/YUKI★

2005年11月09日(水) 中学生日記(QQB)解説/水道橋博士
俺の中学生時代──。
岡山大学教育学部付属中学。
詰襟のホックを外しているだけで不良と思われているような、
県下有数の進学校だった。
しかし、言い換えれば、わずか、10代そこそこで、
人生の進路を学歴社会に見出してしまうような、いけすかない連中の通う学校でもある。
もちろん、俺は、すっかり、落ちこぼれた。
長い通勤時間は、教科書より、マンガや、文庫本に熱中する
サブカル好き少年になってしまった。

しかし、俺の学年は、奇跡的に、俺だけじゃなかった。
後に、ロックバンド、ブルーハーツから、ハイロウズのボーカルへと
日本のロック界に巨大な足跡を残す、甲本ヒロト。
そして、もう一人。
後に、元オウム真理教幹部、尊師の主治医として、日本犯罪史上に悪名を残す、
中川智正。
この二人も中学の同級生だった。
甲本ヒロトは、中学時代、ラジオから流れてきた、ビートルズを聞いて、
ロッカーになる確信を持ったと言う。
そして、俺は、中学時代、ラジオから流れてきた、ビートたけしを聞いて、
漫才師になろうと思った。
何度も書いている話だが、それは、まさに、未来への啓示だった。
そして、あの頃、中川は、何を聞いていたのだろう?
しかし、あの中学時代、後の、芸人、ロッカー、カルト宗教人は、
未来の己の姿を知る由もなく、そこではみんなただの14歳であった。
このマンガで描かれる、自分たちで組み立てた常識やルールを守り、
笑いやばかばかしさを共有するその世界は、子供の頃、よく作った「基地」
のような空間である。
今、大人になって、基地から外れてそれを俯瞰してみると、
それは単なる「基地ガイ」の世界なのかも。
ただ、俺を含めて、ここに挙げた同級生3人は、未だに「基地の国」の
住人であり続けているのかもしれない。

甲本ヒロトは、名曲「十四才」という、歌の中で歌っている。

『あの日僕のレコードプレーヤーは
少しだけいばって こう言ったんだ
いつでもどんな時でも スイッチを入れろよ
そん時は必ずおまえ 十四才にしてやるぜ』

『中学生日記』は、14歳への再生ボタンである。


★中学生日記(QQB)解説/水道橋博士★

2005年11月08日(火) 搾取から解脱まで/真魚八重子
勿論、これらの再上映は、旧作を忘却から救い、シネフィル的作品が
難解さによって敬遠されること無く若者に観られたという啓蒙も果たしていた。
しかし、(私はもと映画館関係者なんだけれども)そういったセンスがいいとか
知的で洒落ているという、それまで若いサブカル女子の背伸びを促してきた宣伝も、
二〇〇〇年前後より効力を失い始め、集客が落ちてきた。
それは女子たちが「期待と違う」というパターンを読んだこともあるだろう。
またその頃より、ネット上では内側からの冷笑のように、
「コジャレ」という言葉がきどってスカしたものの蔑称として徐々に定着し、
隙の無いアート性やかわいらしさなどの、振幅を孕まない一義的なものは
無配慮に支持されることが憚られる暗黙のニュアンスが生じた。
そのためか、九〇年代半ばまでゴダールは勿論、アントニオーニや
ジョセフ・ロージーの『唇からナイフ』のリバイバルなどは、
オシャレ広告戦略の陰に品の良いシネフィル的アート指向を感じるものだったが、
九〇年代後半より女子向けサブカルは徐々に主流を失い、
極端なバランスを保つように、裾野を広げてエロスや俗っぽさ、
悪趣味との緊密さを急速に帯びてくる。



いまや流行は、いかにグッドセンスの裏をかくかなのだ。
けれど本質的に、その移行にある意味も、映画を観ることが自らの信奉する価値や
スタイルの表明であることには、ゴダールの特集に通った九〇年代の文化系女子と
あまり変化はないだろう。



女子がネット上でソフト・コアなエロ映画などに言及し始めたのは、
ひそやかな分野への渇望と、悪趣味を面白がるスタイルと、
それをする存在誇示の結果にある。



そうやってオシャレという区分を裏切り続けると同時に現在、
文化系女子は九〇年代に模倣していたような文化系女子のアイドルを手放した。



ちなみに日本映画において、女子たちが最初に区分の裏切りを知ったのは、
特に私の世代で言うと黒沢清監督の存在は大きいと思う。
女性たちが始めて手にとったVシネは『勝手にしやがれ!!』シリーズということは
多かったろうし、シネフィル的映画作家と評される監督の映画を観てみたら、
ピンク→Vシネ→心霊ホラーで、でもどの映画でも独自性を湛えているのは、
カテゴライズの乗り越えとして象徴的だった。
そして女子が一律な価値観に恥や偏狭さを覚え、
常に自分の中に裏切りを抱えるようになる流動期の、
理想的両義性を孕んだイコンこそ哀川翔である。


★搾取から解脱まで/真魚八重子★

2005年11月07日(月) コレラ菌的考察/高田里恵子
『世代』の「文化系男子」たちを特徴づけていたのは、
磯田光一の『世代』評の言葉を借りれば、
「自己を「喜劇的」にみるだけのダンディズム」であった。
旧制高校的「文化系男子」はおんなこどもを排除し軽侮していたと単純に考えてはいけない。
しかし、「自己を「喜劇的」にみるだけのダンディズム」が、自分たちと女たちとを、
あるいは自分たちと「一校オンチ族」
(単細胞的に自分たちのことをエリートやら異端やらと思い込めるような一校生)
とを分けている、という自負があった。
「男子系文化」を無闇にありがたがる「文化系女子」と、
自分自身を実は醒めた眼で見ている「文化系男子」
(尊敬してくれる女がいるのは、もちろん悪くはないが)。



夫を参らせるものとは、夫婦の秘密暴露につきものの若干の猥雑感や、
知的仮面を引きはがされた夫の生活無能力者ぶりと身勝手な幼児性では断じてなく、
(よくある話じゃないか)、にもかかわらず、あるいはだからこそ、「文化系男子」
としての夫への強烈な尊敬と愛情が透けて見えてしまうことである。
とりわけ矢川澄子は夫の「鼻の高い色白の美少年」ぶりと特権的才能への惚れこみを
堂々と披露した。
「でも最後まで[矢川澄子と同じように]冥王さんも柄谷さんに惚れてらしたんじゃない」
という言葉に、矢川澄子は「そのようね」と答えている(『ユリイカ』矢川澄子追悼臨時増刊)。
妻の愛情あふれる買いかぶりが世間に晒されては、例の「ダンディズム」を
互いに承認しあう「男社会」のなかに生きる夫は(詳述できないが、
澁澤も柄谷も自分自身を正当に位置づけできるほどに冷静な眼の持ち主である)、
いくぶん恥ずかしい思いをするのではないだろうか。
柄谷正人は、高橋たか子の小説のなかに「夫婦がお互いにライヴァルたらざるを得ない不幸」
を読みとっており、それはまた柄谷家の「不幸」でもあったのだろうが、
この「ライヴァル」意識もまた、夫への尊敬と買いかぶりから生じている。
冥王まさ子の自伝的小説『天馬空を行く』には、こんな妻の嘆きが記されている。
「誰もがもの書きとしての龍夫の才能を信じている。弓子だってもちろん信じている。
だからといって龍夫が弓子のことを軽視していいことにはならないのだ。」
この言葉は、フェミニスト風に、あるいは善意に解釈してもらえれば別だが、
そうでなければ、他人には、とくに「文化系男子」仲間には滑稽に聞こえてしまうから、
周りのことなぞ気にしないという「龍夫ちゃん」にとっても、やはり辛かろう。


★コレラ菌的考察/高田里恵子★

2005年11月06日(日) 野ブタ。をプロデュース/木皿泉
「なにしてんの」
「おう、なんだおまえか。母さんまた仕事行っちゃってさ」
「…で、父さんはなにしてんの」
「ん、ああ、母さん乗せた飛行機がもうすぐここ通るからさ」
「こんなに会えないでさ。結婚した意味とかあんの」
「バカだな。なかなか会えないから結婚したんじゃないか。
結婚さえしとけば、年に何日かでも会えるだろう」
「マジ?」
「マジマジ、大マジだよ。俺のかっこいいとことか、
情けないとことか、くだらないとことか、
全部知ってくれてる人が、世の中のどこかにいると思うだけで俺はいいの。
それで充分なの」
「ふーん。あ、あれかな」
「あれあれ!のぉーぶーたぁーん!」


★野ブタ。をプロデュース/木皿泉★

2005年11月05日(土) オトメロディ/山田ひろし
スキスキスー フワフワフー こんな気持ち メロメロディ
夢だけど 夢じゃない お願いね マイメロディ

オトナじゃない オトメです 恋するのが仕事です
キミの名前つぶやくと ドキドキするの
聞きわけ無い この胸が 歌いだして止まらない
上手じゃなくてごめんなさい だけど聞いて とどけ

マイメロディ(マイメロディ) マイメロディ(マイメロディ)
星空を越えて キミの夢守るリボン
マイメロディ(マイメロディ) ハート見つけたなら
ぐるぐる巻きしちゃうからね WOW WOW WO 覚悟しといて ウソじゃない

オトナじゃない オトメです 泣いたりだってしちゃいます
オンナノコって魔法で作られたの
スキスキスー フワフワフー こんな気持ち メロメロディ

夢だけど夢じゃない お願いね マイメロディ マイメロディ


★オトメロディ/山田ひろし★

2005年11月04日(金) 女の文化ケモノ道/野中モモ×浜名恵美子×平山亜佐子×堀越英美
堀越 女の子は自分のうわごとを書くのは好きだけど
他人のうわごとは聞きたくないんだなって話。

平山 でもつきあうことになって、彼がポエムを書いたらそれはありかもよ。

野中 …つきあったら寝言ばかり言ってるものじゃない?(笑)

堀越 確かに。でも文章で読みたいかなあ。

平山 私は許せるな。いかにもその人らしかったら。

野中 普段すてきな文章を書く人が、私には陳腐なことを言ってくれるの萌え〜とかない?(笑)

堀越 それはいいね。弱みでキュン。

浜名 そこ、ツボだよね。弱い人が好き。

平山 じゃあ、サブカルを貶めてるオタクも好きってことじゃん?

堀越 全然好き(笑)。


★女の文化ケモノ道/野中モモ×浜名恵美子×平山亜佐子×堀越英美★

2005年11月03日(木) 女の文化ケモノ道/野中モモ×浜名恵美子×平山亜佐子×堀越英美
野中 八〇年代のニューアカだとかインテリっぽい男性がモテたというのが
私には実感がない。

堀越 「なんでこんな人が?」っていうのが私の大学ではあった。
「ドゥルーズが…」とかいうとわらわらわらって女の子が寄ってくるみたいな。

平山 召還呪文「ドゥルーズ」(笑)。

野中 そういうのいけすかないなって思うけど、いまにして思うと、
そういう人はそういう人で生きていける世の中のほうがよかったね。


★女の文化ケモノ道/野中モモ×浜名恵美子×平山亜佐子×堀越英美★

2005年11月02日(水) 女の文化ケモノ道/野中モモ×浜名恵美子×平山亜佐子×堀越英美
野中 私は中学生の時に『モーリス』流行って、
それに入れ込んだオタク入ってる女の子たちと『モンティ・パイソン』とか
地味な英国映画の話をしたり。

平山 美しいじゃん。

野中 そう、美しいのよ。

平山 なんか、ハイソな、早熟な。

堀越 当時中学生で『モンティ・パイソン』を見ている人はいないよ(一同頷く)。

野中 私はそういうオタク気味な、やおい好きの友達に
文化的にはいろいろ教えてもらってきたので。
大切なことはみんな『JUNE』読者のクラスメイトに教わった!
デレク・ジャーマンも生きてたしね。そういうのは確実にいまに響いてると思う。
人間関係は続いてないけど…。


★女の文化ケモノ道/野中モモ×浜名恵美子×平山亜佐子×堀越英美★

2005年11月01日(火) 女の文化ケモノ道/野中モモ×浜名恵美子×平山亜佐子×堀越英美
野中 文化にうつつをぬかして生きたいんだけどな。

堀越 私もそうして生きたい。


★女の文化ケモノ道/野中モモ×浜名恵美子×平山亜佐子×堀越英美★

マリ |MAIL






















My追加