人はよく若かったときのことをとくに女の人は娘ざかりの美しかったころのことを
何にもましていい時であったように語ります。
けれど私は自分をふりかえってみて娘時代がよかったとはどうしても思えないのです。
なんでも単純に考え、簡単に処理し、人に失礼をしても不和雷同していました。
もちろんいまの私がもうりっぱになってしまったといっているのではありません。
だけどあのころよりはましになっていると思っています。
そのまだましになったというようになるまで、私は二十年以上も地味な苦労をしたのです。
失敗をかさね、冷汗をかいて、少しずつ、少しずつものがわかりかけてきているのです。
なんで昔にもどれましょう。
★大人になること/いわさきちひろ★
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