○プラシーヴォ○
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仕事中、とある支店の支店長が やってきて、社員さんとしゃべっていた
時給をあげないと、いい人材が入ってこない 社員が欲しいわけじゃないけど アルバイトの人を沢山働かせると違法になるから どうしたもんか、と
『派遣を雇えば?』
と山さんが言うと、
あいつら(派遣社員)、責任感ないやろ!
と支店長が吐きすてるように言った
ぴきん、と固まって パソコンの画面が一瞬見えなくなった
その支店長はとても普段優しい人で 私のことももちろん知っているはずなので どうしてそんな台詞を言うのかと思いきや
作業員というか、事務じゃないハケンさんを 何度か雇って酷い目にあったことがあるらしく そんなことを言ってしまったらしい
でもでもやっぱり ハケンは、ダメですか?と 涙がでそうになる。
支店長が帰ったあとも頭がぼうっとして ひたすら仕事をこなした
いつもなら、山さんや他の社員さんの面白い話に ケタケタと笑って相槌をうつところだけど もうなんだかそんなのもいやで 早く時間が過ぎて 帰りたくて、つらかった
ひたすら資料を作成して キーボードを打って、 画面とにらめっこ
でも、ふと山さんが言った話がすごく面白くて
うふふ、と笑ってしまった
そして、山さんを見ると 山さんはもう、完全に私の方に体を向けていて 私を見ていた
私が少し心がほどけたのを確認して 山さんも笑っていた
ありがとう。
ありがとう、山さん
もう最近は、 ちいちゃんと山さんが仲良くしていても 胸がちくちくする回数も減ってきて
どんどんどんどん 気持ちが平らになって
男性をこんなに穏やかに 想えるのは初めてじゃないだろうか
今まで男の人は好きか嫌いかどっちかだったのに
まるで兄弟のように 親子のように おだやかに 山さんを求める気持ち
きっと前世で なんどもなんども 血縁関係だったに違いないと 私はひっそり思っている
あきらめたとか すねたとか そういうんじゃなくて
好きな気持ちはぐんぐん昇ってゆくけど 異性としてじゃなく
ああ、会えてよかったなって 嬉しく思う
とても気持ちがよくて
こうやって、いろんな種類の愛する人を見つけながら 愛する目的にむかって 愛をもらったりあげたりしながら とことこ生きていきたい
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