○プラシーヴォ○
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三宮の東遊園地近くに出来た
『tooth tooth』
の新しいレストランに行った
新しいお店だからかもしれないけど
店員さんが無愛想な人ばかりだった (私たちが入ったのは11時30分ころで 大して混雑もしていなかったのに)
私たち3人ともランチを頼んで、ランチにはパンが付いていた
1人に4つほどパンをくれたのはいいのだけれど バターが1センチ四方で暑さ3ミリほどの ものが2枚のみっていうのは 少なすぎるんじゃ… (1人に2枚、ではなく、3人の真ん中に バターの入れ物一つをポン、と置かれた)
食後のアイスティーも 水かと思うほど薄いし、 (値段の割りに、コースターもついてないし)
友達のホットコーヒーは コーヒーがこぼれるほど乱雑に置かれてたし
いくら御飯が美味しくても これじゃあなあと
がっかりした
所用で、しとしと雨の降る中 京都の太秦へ出かけた
いまどきのワンマン1車両電車で揺られて…
用事が終わり、駅に戻るとき、駅のすぐ横に 広隆寺があることに気がついた
そして、広隆寺の門の横に、な、なんと
にわか仏像ファンの私のあこがれ 弥勒菩薩のポスター(?)が 神々しく張ってあった
思わず広い境内をそろりそろりと 散策し、700円払って弥勒菩薩様のもとへ歩み寄った
平日だし、雨だしということで 恐ろしく拝観者が少ない
2人の女の子が弥勒菩薩様の前で正座をして (畳がしいてあって、お参りできるようなっている) 熱心に手を合わせている
メガネをかけた20代後半くらいの男性は 荷物を無造作にそばのベンチに放り出して 十二神将をひとつひとつ丁寧に眺めている
背筋をしゃんと伸ばした白髪の老婦が 双眼鏡で弥勒菩薩様を見ている (コンサートみたい… 私にも貸してくれ〜!!!)
私の背丈の3倍ほどもある千手観音様が 私たちを救うためのありとあらゆる道具を一つ一つ手にもって 静かに笑ってる
いくら少ないとはいえ 何人かは人間がいるのに
時折、耳がキーンとするほどの静かさが襲ってくる
誰も話さず 誰も動かず
ただ静かに仏様を見て 仏様と話をしてる
この集中力
とても心地がいい
大事に思うものの前では 人間はとても礼儀正しい
だから、 学級崩壊は 生徒が先生を尊敬してなくて 学校を大事に思っていないということそのものなんだろう
くしゃみさえためらうほど静かな空間をつくることができるのに なぜそれを自分の学習の場で出来ないのか
私は無神論者だった
霊や、未確認物体の存在は信じるけれど 神の存在は信じていなかった
でも、それは確かにいるのだと思った
私たちを救うという名目ではなく、
ただ、存在するんだろうと 今思った
神社やお寺に流れる独特の静かで 清い空気
これはきっと 神様の存在
神様にすがったりはしないけど
存在を否定はしないようにと 今日なぜだか
思った
ハム男がベッドの上に寝転んでいて 私はその下に座ってテレビを見ていたとき
不意に私の手を握ってきた
俺とがちゃ子、もう4年になるんやなあ
そうだよ
すごいね
私の最高記録は八ヶ月だから かなりの記録更新
何度も別れたけど
今こうして一緒にいるのは 一緒にいる意味があるからかなあ
金曜日の話し合いを前に ハム男が電話で言った
がちゃ子、一緒にいよう 一緒にいれるように、どうしたらいいか話をしよう
と、 復縁宣言をした
いざ、金曜日にハム男の家の近くの居酒屋で待ち合わせ
普通の話をして トコトコ歩いてハム男の家に戻る
あ、ハム男知ってた? あそこのカドのところ、解体されてるんだよ
ハム男の家のそばに、 小京都ばりに風情のある土壁の塀があったのだけれど そこが解体され、何個か一戸建てが立てられていた
なんで、そんなの知ってるの? ああ、俺の家に荷物をとりに来た時に見たんか
無駄なことしたな
結局、戻ってきたのに
…ハム男の家から荷物を引き上げたときは 本気で別れるつもりだったんだよ!!!
声を荒げると、 ハム男がキスをした
手もつないでくれないハム男が 道のど真ん中で私にキスをした
死ぬほど驚いた
酔っていたこともあるのだろうけど
腰が抜けそうだった
そして、手をつないで帰った
私の大好きな漫画で
『ダーリンは外国人』
というのがあってそこに書いてあったのだけれど
“結婚をする前にいろんな種類の喧嘩と仲直りをして 分かり合えた方がいい”
金曜日に会って 深刻な話をするのかと思いきや、 昨日からハム男が普通に電話をかけてくるようになった
これは、もう ヨリが戻ったということなのだろうか
今日の朝、ベランダの外の空を何気なく見ながら お昼ごはんをムグムグ食べていたら
ブワーーーーーーー
と
桜の花びらがベランダの枠の中いっぱいに舞い上がってきた
私の団地のそばに ものすごく大きな桜の木が2本並んでいて 毎年それは、本当にたっぷりと花を咲かせる
ちょうど、私の家の真下に桜が生えているので 風が吹いて舞い上がったのだ
青い空にピンクの小さな花びらが 無数に下から風にあおられる様は 映画みたいな、絵みたいな、信じられない光景だった
ボサボサ頭のまま パジャマのまま
ベランダに駆け寄ると
私の頭に、顔に、肩に 舞い上がった花びらが落ちてきた
なにかのご褒美なのかな
泣きたいくらい 綺麗な光景だった
いつまでたっても連絡をよこさないハム男
いったいいま、何を考えているのかと 思い切って電話をしてみた
今回は、もう本当に駄目なんやなって あきらめてた
今まで何度も別れ話を突きつけて ハム男の家の荷物をまとめて出て行った私
そのたびに 慌てて私を連れ戻したハム男
これから付き合っていく上で 何度もこういうことがあって、やっていけるのかなって 不安になったんや
そりゃそうだ
私が男の立場でも イライラするもん
本当にごめんね じゃあ、もうすっきり離れようね
受話器の向こうが静かになった
少し、時間をちょうだい
今度の金曜日に会って話をすることにした
続けるべきか 別れるべきか
悩んでいる2人が会って いったいどうなるのかな
先週の土曜日にハム男に別れを告げて 丸一週間たった
ハム男からの連絡は一切ない
ああ本当に私たちは別れたんだ
4年間もつきあったのに
私のひとつのメールで こんなにもあっさりと
流れにまかそう
今、この世界のどこかで生きている、 いつか私を好きになって 私も好きになる
そんな男性と会うために
楽しく 楽しく 生きていくぜ!
私は私を私の力で幸せにする
余った力で 周りの人を幸せにしよう
それがいいそれがいい
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