○プラシーヴォ○
目次|←どうして?|それから?→
ハム男のメールを盗み見して以来、 毎日きっちりハム男から電話があるのがすごくおかしい
私にはメールなんてくれないのに スナックの女の子にはメールできるのね
メールより、電話の方がいいやろ? がちゃ子とは、電話で喋ってるやんか…
そうして、 3日に一度くらいだった電話は 毎日になった
エッチも、3回デートして1回すればいい方だったのに 毎回するようになった
わかりやすいなあと 思う
私はやっぱり、 ハム男の裏切りが許せなかった
キャバ嬢だろうが ホステスだろうが
こまめにメールを返信するハム男を 憎いと思った
私がいくらメールをしても ウンともスンとも返信してくれないハム男が せっせとメールをしているのが 悲しかった
日曜の夜泊まって、 今日、ハム男の家にある私の荷物を全部持って帰った
ハム男ごめんね ハム男のメールを見てしまいました
もう私のことは気にしないで
女の子たちとメールしたり遊んだりしてちょうだい
お昼にメールを送って そのまま仕事にいった
清清しいような 不思議な気分
倦怠期の夫婦が離婚したみたいな 自由な気分
私はこれから、 いくらでも恋ができるんだ
そう思うと 笑みが浮かぶ
夜の0時にハム男から電話があった
…何のメールを見たんや?
笑ってる
あれはな、 今年の1月に友達とスナックに行って、そこのホステスさんや
営業メールが来たから 営業メールを返しただけやんか
私は黙る
そして言う
私がいくらメールを打っても 返してくれないくせに…
だってがちゃ子とは毎日電話してるやろ?? …ごめんな、もうしない もうメールしない
俺のメールなんか、いくらでも見ていいんやで 罪悪感を感じることなんかないで
そして、私がハム男の家のゴミ箱に捨てた化粧品一式を
なんで捨てるねん… また並べておくからな
また、私は戻ってしまった
これは正解か?
最近、ハム男がきちんとほぼ毎日 私に電話をかけてくる
三日や四日に一回というときもあったのに
どうしたんだろう
ハム男専用の着信音がなると すごく嬉しい
usjで働いている友達と usjに行った
さすがに友達は手際がよく、 10時頃usjに入って、 一目散にスパイダーマンのアトラクションに 駆け込もうとする私をぐっと押さえ込み、
大体みんな、朝一で並ぶから 朝はすんごい待ち時間が増えるのよ
これが、昼すぎになるとガクッと減るから、 それまで違うの見てようよ
と余裕のリアクションで私を セサミストリートへといざなった
事実、友達が言うとおり、スパイダーマンの待ち時間は 『70分』となっていたが 入ってみると15分くらいで乗れた
乗り物酔いしやすい私なので 後半少し意識が朦朧としたが スパイダーマンで働いている友人が
途中で写真を撮るポイントがあるから メガネをはずすんやで
と教えてくれた
そこは、まさにアトラクションの最中で 写真をとってるなんて全く気づかない瞬間で、 たいていの人が3Dメガネをかけたまま写真を撮られてしまう
案の定、出口のところで確認した写真で メガネをはずしてカメラに向かってピースしているのは 私たちだけだった
久しぶりに
遊んだ!
という感じの日だった
イルハン王子が神戸に来たね〜と ママリンに言ったら
普段、高倉健ばりに喋らないパパリンが
がちゃ子… イルハンは結婚して、子供もいるんだぞ…
ってつぶやきました
ショック!
でも無口なパパリンがイルハン情報を知ってるのが たまらなく可笑しかった
今日は工藤静香のベストをツタヤで借りてきました
うしろ髪ひかれ隊の曲とかも入ってて
懐かスィ〜!
ハム男に言ったら
がちゃ子、もう 今の流行の曲についていけなくなったんだね…
可愛そうに…
って同情された
ジャパハリネットとかも借りたよ??
映画は
『8人の女たち』を借りたよ??
とアピールしたけれど
だめでした
メビウスみたいに〜♪
同僚のルミさんに ハム男のことを話した
私より一つ年上で 新婚3ヶ月目のルミさんは 大笑い
「それは、キャバクラの女の子の 営業用メールじゃないの??
全然大丈夫よ、そのうち、ハム男君も相手にしなくなるわよ」
そうだねえ、 そういわれればそういう気もする
「私のなんてもっと悲惨よ 結婚して、新居に引っ越すときに、 彼の仕事机を整理していたら
『ハナ』っていう女の子の名前の名刺が出てきて 裏には出勤日が書いてあるのよ〜
後、特別会員っていう会員証まで出てきたんだから!!
私と同棲しだした一年前には そんなのどこにもなかったのに…
ということは、私と同棲しだしてから そういう女の子に接待される場所に行ったってことよね〜」
ふふ、と笑いながらルミさんは話す
男ってね〜と
二人でため息をつく
私以外の女に興味を持った時点で 殴り殺してやりたい気持ちになるけれど
今回だけは 見逃してあげようか
1年ほど前、 ハム男の携帯メールをこっそり覗いてしまい 後悔したことがある
『おすすめのビデオあったら教えてくださ〜い』
『風邪ひいちゃいました、ハム男さんは大丈夫ですか??』
と、見知らぬ女性からの メールを発見してしまったのだ
しばらく盗み見しつづけたのだが その女性からのメールは一切こなくなり (ハム男が返事を返していないようだ)
私はそれから ハム男の携帯を盗み見することはなくなった
のに
今日
何故か ハム男の携帯を見たくてたまらなくなった
ハム男がお風呂に入っている間 メールを盗み見る
そして
見てしまった
『今日はバレンタインデーだね〜 あ、お店に来る?? 今日はドレス着てるよ〜 もし来れるんだったら、また連絡ちょうだいね〜』
『本当は助けに来て欲しいんだけど… 風邪ひいてるんじゃしょうがないね!
今日から、違うお店に行きます!』
『いつもメールくれてありがとうな 俺、アケミに貢献できてへんのに…
今、お風呂あがりやねん!』
『アケミ、おやすみ〜』
は?
ハム男は、九州男児で
愛してるだの 恋してるだの恥ずかしがって言わないし、
メールも苦手だといって 私にはほとんど送ってくれないのに…
アケミって誰だよ!
おやすみってなんだよ!
明日、ハム男は少しだけ仕事にいかなくちゃならないらしい その間に 私はハム男の家にある私の荷物をまとめて 出て行くつもりだった
でも 少し考えて
この女共から ハム男と取り返してやろうかと思った
頭がパニックになる
初めて嫉妬した
最近、パッと思考が切り替わることが多い
ハム男と別れようと 手紙まで書いてぎりぎりに追い詰められてたくせに 次の日になったら
ああ、やっぱりハム男が好きだと
しみじみ思ったり
仕事を明日にでも辞めようと 煮詰まっていたくせに
ここでとりあえず一位になってやるか
と
やる気がでたり
急に視野が広がるというか
一段上がるような感覚
日々前傾姿勢で
なにかに向かって
倒れても回りに迷惑をかけないように
いきていきたい
槇村さとるさんと キムミョンガンさんの対談を読みたくて
『婦人公論』
を購入した
私は、ずっと悩んでいた
ハム男に9月ごろ別れを切り出したとき
「正直俺は、がちゃ子に強い性欲を感じない 興奮、しないんだ」
と言われたことが 気になっていた
自分から切り出したくせに 傷つけられた
でも、婦人公論を読んで それは当然のことなんだと理解した
性欲が無くなることが、ということではなくて
付き合う年数に応じて セックスの形も変わって当然だと思う
セックスレスだと 死ぬほど悩んでいたけれど
今思えば ハム男は、
数少ないセックスの際に
私がイク(ことはほとんどない。いつもフリをしている) まで一生懸命自分が射精するのを我慢しているし
私がイッた(フリ)と知ると、 子供のように嬉しそうな顔をする
一応、私のことを気にかけてくれているのだから 望みはある
挿入して射精することが セックスじゃない
キスして 抱き合って
幸せ〜!!!
と叫べれば そればセックスなのだ
もちろん、挿入してくれれば言うことないけれど
まずお互い愛すこと
それからセックスの理解が始まる
ハム男となんばパークスというショッピングセンターにいった
12時前に着き、 とりあえずいろんな麺類を食べられるフロアに 乗り込んだ
ハム男は、そこはラーメンがいっぱいあるところだと思っていたらしくって
「あれ?ラーメン無いやん ここで食べなくてもいいんちゃうん
ソバとか焼きそばなんてここじゃなくてもいいやろ」
あせってよく見ると 2件、ラーメン屋さんがあった
土日なら2時間待ちは当たり前らしいが さすがに昼前とあって 15分待ちで入れるらしい
ハム男は並んで食べるのがダイキライなので
ハム男、どうする? 入っていい?
と聞くと
いいよ
と返事をしたので 急いで列に並んだ
しかし、待っている間
ハム男は仏頂面で 私の話にも返事は上の空だった
疲れてるの? 並ぶの嫌なの?
聞くたびに
ううとか ああとか
生返事していたけれど
…もう、聞くなよ
と苦笑しながら言った
どういう意味?
しんどいに決まってるやろ 何度も聞くなって
カチンときた
食べ終わって、 外に出てから 私はハム男につめよった
並ぶのが嫌なら最初っから入らなかったら よかったでしょ?
嫌でも入ると決めたなら ニコニコしなさいよ
楽しいフリをしろっていうのかよ
そうよ 嫌なくせに並んどいて、不機嫌な顔をするなんて 子供のすることやで
最低や!
お前がしんどいか?って何度も聞くから 答えただけやろ
不機嫌な顔なんてしてへんわ!!
付き合って4年
お前呼ばわりされたのが初めてで これはかなりダメージを受けた
不機嫌な顔してたからこそ しんどいのか?って聞いたんやろ?
さらに文句を言おうとする私をハム男がさえぎった
ああ…うるさい
がちゃ子、怒らないで
俺、怒られるの苦手やねん
最後は、笑みすら浮かべてハム男が言った
怒られるのが苦手って そんなん人類皆そうに決まってるやんけ
怒らず怒られず
映画とか楽しい話ばっかりして 人生過ごすの?
あんたはレベルアップできないよ?
このボケ男!
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