○プラシーヴォ○
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2003年03月29日(土) あっけない

明日行ってもいいかな



タモリばりの台詞を言うのは
最近いつも私


ハム男から



会おう


って言われたの
ここ数ヶ月
無いな




だから、
今日も電話をして
明日の約束を取り付けた



「じゃ、明日な」


あっさりと電話を切るハム男


具体的な予定が
何もできてないんスけどね



家に帰ってから
メールをする


『サッカーが終わったら
 帰る途中に私を拾ってください』


ハム男の練習しているサッカー場と
私の働いているところは



←真反対→


それを分かってて
わざとメールを送った



しばらくして
ハム男から電話




「おい!
がちゃ子の仕事21時に終わるんやろ??
オレ、サッカー17時に終わるのに
ついでには迎えに行かれへんわ!!」




「なんとかならへんの?」



「まあ、また電話して」

この電話を終わらせようと
急に〆の言葉を言うハム男



「…どういう意味?」



「オレんちの最寄駅までは
迎えに行ってやるからさ…着いたら電話してよ

これから、仕事場まで迎えに来てって言うの
やめて?ね?
電車でもすぐ、オレの家に来れるだろ?

もう、やめてね?」





ちょっとの間
覚えてない



私、どうやって電話を切ったのでしょうか




ちゃんと
気持ちよく
おやすみを言ったでしょうか?



今、気がつけば

泣きすぎて
しゃくりあげすぎて
吐きそうなんですけど



もう、ハム男さんは
私のために何かするのは
面倒臭いんでしょうかね?



今月、
私が土日の休みが取れなくて
丸一日会える日が無くて


夜だけ会える日も
そんなに無くて



死ぬ程寂しいのに



寂しいのは
私だけ



日曜日丸々休みで
17時までサッカーをしているハム男は
私のために
車を運転するのは
面倒くさいんだってさ



こんなデブで
暗くて
わがままで
自己中な女に

ハム男みたいな人が
恋人でいてくれたのが奇跡だったんだね




オーゲー分かったよ


私がすべきことは


ハム男と別れて

女を磨くこと



さあ、今から
手紙を書こう



これを明日ハム男の家において



荷物を全部引き上げてこよう



もう


決めた


2003年03月26日(水) 小さな恋のメロディーかよ

劇場の入り口で固まった


 開演時間 19:00


 終了時刻 22:15



うそでしょ???



今日、久しぶりに休みを取って
お芝居を見に来た


逆宝塚とでもいうべきか
メンバーが全て男性で構成されている劇団


一度も見たこと無かったんだけど
ためしに電話したらチケットがとれたから…



でも、
いくらなんでも

3時間はちょっと…


ハム男と待ち合わせしている私は
始まってからも上の空だった



お笑い演劇を見慣れている私には
久しぶりの正統派


少し息苦しさを感じながら
男前達に見惚れる



途中、突然客電が点いた


休憩だ


慌てて外へでる


「お出かけですか?
 再入場の札をどうぞ」

と劇場の名前が書いた紙を渡される


そのまま
電波が届くところまでダッシュ




ハム男に電話すると


「お〜、ナイスタイミング
 オレも今仕事終わったよ〜」



いえ、私、終わってまへんねん



キョウハ
オソクナルカラ
アエナイ



って言うつもりだったのに

気がつけば私は
再入場の札を握り締めたまま
電車に飛び乗っていた



駅まで迎えに来てくれたハム男と焼肉を食べ


一ヶ月以上ぶりくらいに
体を重ねた



ハム男のホカホカの体に寄り添いながら
眠る



チケット代2500円を棒にふったけど


とりあえず幸せだ



手を出して


「ホワイトデー」


まだもらっていないお返しを催促すると



「待ってて、すんごく重いもん、あげるからさ」



「かさばるものは嫌やで」


「かさばらへんで」


え?


かさばらなくて


重いもの?


ん?


あ!


ど、




ど、どうしよう




プロポーズをあげるってことだったら
 どぅおーしよう!!





ふんはふんは(鼻息)



いや…そんなこたないな



「ルミナリエって入場料いくら?」


って聞くぐらいすっとこどっこいなハム男が


そんなロマンチカな台詞を言うわけがねえ

そのばしのぎの冗談だべな


ふんむ


2003年03月25日(火) シンキン

悩むことは無意味なこと

悩むことは同じところをグルグル回るだけのこと

必要なのは、考えるということ

自分を突き放して

クールにクールに状況を判断すること

すべきことを絞りこむこと

どうすれば今の状況を打破できるかを
客観的に分析すること




って
美輪観音菩薩が言っている


だから私は考えた



今の職場で腹が立つのは
オーナーの独断による
勝手な残業


もちろん
理屈攻めでいけば
私が勝つんだろうけど


きっと口論した時点で
私はクビになる


人間関係が
比較的障害がないこの職場で

できれば長く勤めたいから


少し考える



ハム男と一緒に住めば

帰宅時間が遅くなっても
幸せでいられるだろうか



ハム男と一緒に住めば

土日の休みが無くても


少し落ち着くだろうか




明日、
ハム男に提案してみようか


2003年03月23日(日) 笑い事

「今から行っていい?」


仕事が終わって
ハム男に電話



「いいけれど
 オレもう、酒飲んじゃったから
 車で迎えにいけないよ」


ハム男がちっとも迎えに来てくれないとすると
職場から
2時間弱かかる


やめよう



日曜日くらい
職場まで迎えに来てあげようとか
そういう思いはないのかな



もう2週間近く会えてないのに
ハム男は平気なのかな


私ばっかり好きなんだな


私の存在は
どれだけ軽いのかな



最近
ハム男のことで
泣いてばっかりだな



家に帰ってから電話した



「3連休楽しかった?」


「楽しいわけないだろ、金ないから
 どこにもいけてないよ」



「ハム男、私のこと覚えてた?」



「は?がちゃ子のことってこと?
 覚えてるよ?
 
 どうしたの
 忘れてると思ったの?」



「そうだよ
 あれ、私、ハム男と別れたのかなって
 勘違いしたよ

 そうだそうだ、ハム男の家から
 荷物片付けなきゃって思ったよ」


言ってやった
言ってやった




「少し電話しなかっただけで?
 はははははは

 バカだな

 そんなわけないやろ」


異常に大笑いするハム男



ちっともおかしくないんだけど


ハム男には笑い事なのね


2003年03月22日(土) オレ天使




と思った時にはもう

涙が出てた



電車を降りて
歩いているときに


それは突然



またこの瞬間だ




『もう限界』



頭がこの単語で一杯になる



もうだめ
本当にダメ



 ハム男が4日も連絡してこないのも



 店がいやでいやで…

 でもそれは私の社会適応能力の無さ故だということが
 分かったことも


 こんなモヤモヤを愚痴れる友達もいないことも


 甘えれば抱きしめてくれる元彼が
 もう遠くに行ってしまってることも


 
何もかもが
私をグーでぼこぼこと殴る

辛い
辛い



一瞬でいいから

誰か頭をくしゃくしゃに撫でて

私の足が浮くくらい
抱っこして


ちょっとでいいから
一杯息を吐かせて



夜道を泣きながら走る



階段を駆け上がって
団地の廊下を歩いていると

前から男の子が歩いてきた


20歳前半くらいの
ポルノグラフィティのボーカルさんみたいな
シュッとした男の子


慌てて頬の涙をぬぐって
足早にすれ違おうとすると



(* ^-^)ノ こんばんは〜



\(^^@) あ、こんばんは!








誰?



『相手を傷つけない相槌選手権 関西地区第2位』


としての条件反射で
つい当たり前のように返事をしちゃったけど…



弟の友達か?



分からん…



でもなんにせよ

涙がひっこんだ



笑ってしまった



彼は
天使だ


2003年03月21日(金) アイラブボックス

ラーメンズの片桐仁さんが好きだ


いや、去年から好きだったんだけど
今、
ちょとおかしいくらい好きだ



胸キュンである


寝る前
仕事に行く前

ビデオを繰り返し見て
涙する



私は昔から自分のことで手一杯で
ブラウン管の向こうの人たちに
投資することはほとんどなかった

好きになるのも
自分の半径100メートル以内の人じゃないと
実感が沸かなかった



そんな私が
人生の中で、唯一我を忘れて想ったのは
最近エアロスミスとジョイントした
二人組のアーティスト


この人たちに会うために
映像制作会社に就職したくらいだ
(会えなかったけど、もちろん)



それに匹敵するくらい

片桐さんが好きだ



恋だ



紙粘土で等身大の人形を作って
結婚式をあげたいくらいだ



どうして?
どうしたんだ急に?






自分でも怖い


2003年03月19日(水) 支え

電話をしてて
ハム男が珍しく
私に質問をしてきた



「今の職場のお給料はどうなの
 前のところよりいいの?

 がちゃ子、技術があるんだったら
 もっと自分の理想どおりの店には
 いけないの?」



お給料は
わずかだけど
前の店よりはいい


けれど、
到底一人暮らしでちゃんと生きてはいけないくらいの
微々たる収入


技術、って言ったって
これまた胸をはれるしろものじゃない


今の店で
私より
何百倍も経験があって
すばらしく技術がある人に会ってしまってから
私は謙虚になった



この人たちから
技術を全部盗むまでは
この店を離れられない


私の理想どおりの店なんて
無い


私が造るしか
ない


今の店は
オーナーの理想だから
しょうがない




今日は
ハム男と付き合いだしてから
一番長く電話をしたんじゃないかな?


最近少し
元気がない私を
心配してくれてるのかな




ありがとう


2003年03月16日(日) 堕胎

今日、父と母が
弟の彼女の家に挨拶に行った


彼女のお父さんはまるでヤクザで(鳶職らしい)
お母さんはまるでホステスで(店を経営してるらしい)
彼女の弟はチンピラで


彼女の弟は
私の弟ムク太に向かって


「なんちゅうことしてくれてん
 お前、手と足切り落としたろか」


などと
ヤクザ映画でも今日び聞かないような
脅しを延々怒鳴りつづけたらしい



彼女のお父さんも
静かにうなずいて


「新聞ざたにはなってないけど
 消したり、半殺しにした人間も何人かいるからね」


と言ったとか
(こいつら、まともとは思えない)



そして、とどめはムク太のことを


「こんな犬畜生の子供を産むなんて許せない」


といい、

彼女のお母さんも


「とにかく堕ろしなさい」


の一点ばり


私の父と母は
とにかく頭を下げ続けたそうだ


母が、泣きながら
私にそう言った


いつも寡黙で
にこにこしている父が

ポツリと


「なんで
 こんな歳になってまで
 頭を下げなあかんねやろ」


と言ったという



弟と彼女は、
あまりにも恐ろしい話し合いの場から
走って逃げたという
(もういい歳なんだから
 子供みたいなことしないでほしい)



その彼女が戻ってくるまで
父と母は一旦彼女の家を出て
車で待ち続けた


8時間後、彼女が戻ってきたので
父と母はとっつかまえて
車の中で話しをした



母は


「あなたとムク太の子供を見たいと思うけど
 私は、あくまでもムク太の母親で
 どうしても、あなたの家族の中に
 ムク太を入れられないのよ

 ムク太を動物呼ばわりするような
 ムク太を殺したいくらい憎んでいるような

 そんな一家の中に
 ムク太を手放しで入れられないのよ

 だから、
 堕ろしてくれる?」


と彼女に言ったという


そして、
母が衝撃の事実を言った


母も

私を産む前に
堕胎をしていたと



経済的理由で


堕胎をしていたのだと


だから、
堕胎の辛さは
死ぬほど分かっていると…


親子そろって
なにやってんだ??


もうその時点で
私も母も
しゃくりあげながら会話をしていた



母が、ムク太を想う気持ちはよく分かる


けど



『堕ろす堕ろさないは
 ムク太と彼女にしか決定できないことだよ

 ママとかいろんな人を恨まなくていいように

 堕ろしてほしいなら
 ムク太の口から言わせなきゃだめ

 彼女が、ムク太だけを恨めるように

 ムク太はいったい何やってんの?


 赤ちゃんを産んだら自分が死んでしまうっていう
 お産だってあるのに

 彼女自身は産みたいって言ってるんだから
 周りはもう何もいえないよ

 ムク太がここで責任とらなきゃ
 同じ事を何度でも繰り返すよ』


母は泣きながら私の部屋を出ていった


母が息子を愛するのは分かるけど


母が相手の女性に
堕胎をせまったのは
死ぬほどショックだった


堕胎を自分自身で決めた私でさえ
時々不安定になるのに


周囲のせいで
堕胎せざるをえなくなったとしたら
彼女はいったい
何人の人を恨みながら
この先生きていくんだろう


時間は無いんだ


ハム男の声が聞きたくて電話する

出ない
出ない
出ない



声が聞きたい


かかってきた!!


慌てて電話をとる


「新しく見つけたお風呂屋さん行っちゃった〜
 ちょっと狭かったけど
 なかなかよかったよ〜」


お風呂屋さん大好きハム男のほのぼのした声


私が黙ってても

今日食べた夕食のこととか
ポツポツと
話してくれる


いい加減にネタがなくなったので


「じゃあ、明日も仕事頑張ろうな
 おやすみ」


静かに電話を切った


声が聞けてよかった


2003年03月13日(木) 日々勉強

もう慣れた


というか

自分の気持ちに
慣れた


こんなに不安定で泣けるのは
初めてでは無いから






私は
男性恐怖症だった


今まで、男性と付き合った期間は
最高8ヶ月


キスどまり




初めて体を許したのは

ハム男と出会う少し前の彼氏



愛していたというよりも

そろそろ誰かに
抱いてもらわなくては
体がおかしくなるのでは?

という
安易な不安から


歯をくいしばって
体をゆだねた


気持ちがいいなんて
思ったことなかった



少しでも相手が
性的欲求を見せたら
吐き気がして
顔も見たくなくなった




この人の体が欲しいと思ったのは
手を繋ぎたいと思ったのは
キスをしたいと思ったのは
触りたいと思ったのは


ハム男が初めてで



私にとってのレボリューションで




口ではサバサバとした距離を保ちながらも
私はすっかり
ハム男を自分の一部にしていた



ハム男がいなくなっても
なんとか生きてはいけるんだけれど


想像すると
たまらなく辛い



きっかけは
昨日のドラマだ


せまいせまいシングルベッドに
お互い敬語を使う夫婦が寝ている


奥さんは旦那さんの腕にしがみついて
旦那さんは奥さんの額にキスをする


これは
私だ



私はこんなに美人じゃないし
ハム男もこんなにスッキリしてないけど


私たちはいつもこうやって寝ているから


私が
いつもいつも願っている場面だから



毎日こうであればいいのにと
涙がとまらなかった



今、そばにいないハム男を思って

泣けてしかたなかった


確かに私はハム男にしがみついているけど
ハム男は今でも
こうやってキスをしてくれるだろうか



先週の日曜日
無理やり泊まりにいった時に
ハム男はあっさり
私に背を向けて寝ていた


結局その日

キスすらもしていなくて

私はそうっと
ハム男の肩や背中に
気づかれないようにキスをするばかりだった



波の出るプール


みたいに

規則正しく
目の奥から
涙が
ウエッウエッと
吐き出されたのを
覚えてる



その日から
泣けてしょうがない


電車を待っている時に
運転手さんと
駅に待機している職員さんが
敬礼をして安全確認をしているのを見ても



ハム男の電話の声を聞いても


ボンロボンロ泣いている




顔をみれば
落ち着くだろうかと


『明日休みだから
 遊びに行っていい?』


とメールを送ろうとしたけれど


涙が出きった後に
すごく心が落ち着いて


とりあえず


『明日も笑顔でね
 好きですよ』


自分の気持ちをメールしてみた



一人の男性と3年も付き合ったのは初めてだから
全てがはじめての経験



悩んで
あきらめて
また燃えて



きりがない


2003年03月09日(日) 愛の出所

今日は送別会


私を今でも好きでいてくれている
元々元彼のMくん


もうすぐ
仕事の都合で
東京へ行ってしまう



昼間
お芝居を見た友達も連れて行った


夜、変なことにならないようにとの
けん制もこめて



御飯を食べている間
私の隣に座っているMくんから


私の思い込みかもしれないけれど

やっぱり
私への思いが伝わってきて


それでも
友達たちの目の前で
二人きりで場を離れるわけにもいかなくて



本当に泣きそうだった



Mくんの
理屈っぽいとことか
寛容じゃないとことかが
どうしても許せなくて
(私にそっくりだから
 一緒にいるとすぐに息がつまる)



だけどこの愛は圧倒的で

最近
ハム男から感じられるものじゃなくて


ああ、
これ欲しい、と思って



理屈じゃなくて
心がしんわりして


今日
体をひとつにできればよかったと
心のそこから思った



それは私のエゴだから
その後
Mくんのことを
どうすることもできないから



体が欲しいだけかと問われれば
そうだとしかいえないけれど



体も
心も
離れていくのを感じる


2003年03月08日(土) 共同生活者

「ハム男、今日仕事終わってから
 ハム男の家に行こうかな」


いいよいいよ
おいでおいで



しばらく沈黙



「あの…さ、いつもの駅まで
 迎えに来てくれないかな…」


あ、そっか
分かったよ



問題なく電話を切る


いつもの駅、とは
車で10分ほどの駅


今日はハム男は休みだから
私の職場まで迎えに来てくれても
いいくらいなのに
(これは私の勝手な願い)



私から言わないと
最寄の駅までも
迎えに来てくれないのだ
(この駅に車で来てくれると
 随分早く着く
 ここを通りすぎて
 ハム男の家のそばまで電車で行くと
 余計に時間がかかる)




ハム男の家に着くと
水炊きの用意がしてあった

ホクホクで食べる私たち


私は明日、
お昼からお芝居を見るので
あまり遅くまでおきてられない


2時ころ寝ようとすると

「もう寝るの?」

と言ったきり
ハム男は再び

黙ってテレビを見出した



最近、気にならなかったのにな

私、
たくましくなったと
思ったのにな



やっぱり寂しい


なんとか目をつぶって眠りに着く


午前4時頃
ようやくハム男がベッドに


お酒をしこたま飲んで
しかも明け方だし

私から顔を背けて
普通にハム男は寝息をたてた


暗闇


私、

私のこと見えてる?



私、ここにいるよ


手、繋いでよ


こっち向いてよ



もっと
話をしてよ


私のこと
すき?



私が、
この前セックスに注文をつけたから
腹がたった?


私に触るのが
怖い?


だったら
そんな男は
こっちからお断りだ


2003年03月07日(金) 家族トーク

「ちょっと、
 夕食いらないんならいらないって
 連絡しなさいよ!!」


友達と御飯を食べてるときに
怒り狂ったママの声

ムク太の結婚話で
パニクってるのか
珍しくしょうもないことで怒ってる


でも、腹が立った


「じゃあ、これから毎日いらない」


静かに言って電話を切る

これが昨日のこと

今日、お店で御飯を食べて家に帰ると



「がちゃちゅわ〜ん
 おでんできてるわよ〜」


何事もなかったように
晩御飯が並ぶ食卓


そして
パソコンに向かってパッチコパッチコ打っていると


「がちゃ子…ちょっと…いい?
 話、10分だけ…」


そろっと私の部屋に入ってくるママ


なに?
ムク太が出戻ってくるから
あんたは出てけとか
そういうこと???


…ではなくて


なんというか
とりとめのない話だった


ムク太の彼女の悪口を
パパに言ってたら

パパが静かに

「派手で、わがままそうで
 気い強そうで

 お前そっくりじゃ


って言われたらしい

やっぱり息子は母に似た女性を選ぶのだろうか


あと、ママが何か怒ったら
私がすぐに


もういい



もういらない



放っといて


って一方的に自分を遮断して
しかも長引くって話をしたら


「うん、あいつは俺に似て
 黙って静かに逆ギレするタイプやからな」


パパ…
平均したら一日に3分くらいしか喋ってないのに
私のことがよくわかるのね


ムク太が今、借金を抱えてて
(ちょっとマルチ商法みたいな商売に手を出していた)

そのことでしょっちゅうママと口論してたから

パパが


「もし、ママにいいにくかったら
 俺の携帯に電話してこい」


と、ムク太に言っていた


なんだかんだいって
パパもママも
嬉しいんだろうなと
再確認した今日でした


2003年03月05日(水) コウノトリさん、お願いね

最近、無性に子供が欲しい


結婚自体はまだいいけれど
あの小さくて
くったりしてて
ほにゃほにゃで
うるさくて
ぷにぷにの
小さな生物を
しっかり腕に抱いて育てたい



妊娠もしてないくせに
高野優さんという方の
子育てエッセイを買ってみたり
(この人の本全部大好き
 全部立ち読みだけど…
 初めて勇気をだして買ってみました
 ますます子供熱急上昇)



電車の中で赤ちゃんを見つめては
どっかで売ってないやろかと
ため息をつく日々



そして今日、
またもや残業をいいつけられ
ブチ切れで23時頃家に帰ると
父が丁度食事を終えたところだった



「あ、お父さんお鍋食べ終わった?
 こっち寄せるよ」

父の前から水炊きの鍋をずりずりと引き寄せていると


「…がちゃ子、今日、家にムク太が来てな…
 彼女を紹介してくれたんや」


ムク太は私の4つ違いの弟

現在、借金返済に向けて
神戸の寮付きのパチンコ屋で住み込み働き中



普段、
男は黙ってサッポロビール高倉健ばりに
無口な父が
急に話しを始めたのでびびった



「え?そうなの
 去年の夏に別れたきりだったのに
 また新しいのができたのね」


「…彼女が9月に子供を産むそうや」



うご?


口に入れた春菊が逆流しそうになった


も、もしや私の念が彼女に乗り移った???



「え?え?
 ムク太は本気なの?
 結婚するんだよね???」



「本気でなかったら困る!
 まったく…順序が逆だろって言ってやったんだけど…

 まあ、生まれてくるものはしょうがないから…
 近々彼女の家にも挨拶に行って…
 彼女の両親が
 一刻も早く式をあげて欲しいって言ってるらしいし…」



苛立ったパパの声


3年前、
もしかして私があの時

産むと決意していたら

できちゃったと
パパとママに報告していたら


やっぱりパパは

順序が逆だと
ハム男を叱りつけたのだろうか



「ああ、忙しくなるぞ
 とりあえず、明日朝早いから寝るわな」


急に頬が緩まるパパ

なんだかんだ言って
孫ができるのは
無条件に嬉しいんだろう



寝ながらテレビを見ているママに聞く


「なんで彼女の両親は反対してるの?
 ムク太がアルバイターだから??」


「多分そうだと思うけど…

 でもね、彼女も同じパチンコ屋で働いてるし
 彼女の弟もパチンコ屋で働いてるのよ
 
 職業で差別される筋合いはないわ!」



とにかくママは寂しそう


これから
ムク太の管理とか心配は
全部あの彼女がするのね…

私の出る幕は無いのね…


と遠い目をしていた


そのとき
ハム男から着信


最近3日に1回だった電話のペースだったのに
もうこれで
3日連続で電話だ


どうしたんだろう


電話をとるなり
ムク太の報告をする


そっか、そっか

テンション低めの返事


もしや、
3年前の私の子供のことを思い出して…??



と胸が痛くなった瞬間



「がちゃ子、俺…
 人身事故起こしてしもた…」



てめえのことかよ!



仕事中で

相手はバイクに乗ってる男性で
はねた瞬間
胸の痛みを訴えながら動かなかったので


「肋骨折れた??
 下手すると心臓??」


と失禁寸前のハム男


とりあえず、病院で検査してもらった結果
打撲のみとのこと


昨日、免許更新したばっかなのに


「よかったね、
 相手が死んでなくてよかったね

 これから、しなきゃいけないことと
 払わなきゃいけないものをきちんと払っていかなきゃね

 不幸中の幸いだね」



ハム男の声が少し和らぐ



「…ああ、そうだな
 もう、やってしまったもんはしょうがないよな

 これから、やるべきことをやっていくよ
  
 がちゃ子も、気をつけるんやで」



はあ、
もし自分の彼氏が殺人を犯してしまったら??


血の気が引く



私も、自分自身が怖いときがある


電車を待っているときに
当たり前のように割り込みをして
最前列をのっとるおばちゃんを
線路に突き飛ばしてやりたいと思うし


人の都合を考えず
店のことだけを考えて
平気で残業を言いつける社長を
ボコボコに殴ってやりたいと思うし


公共の場でうるさい子供たちを
片っ端からとっつかまえて
窓からほりなげてやりたいと思うし


時々自分自身も
この歩道橋から飛び降りたらどうなるだろうと
思ったりするし



別に、自殺願望じゃなくて
そういう衝動に駆られるというか
変な気持ちになるだけ



人って
なかなか死ななかったり
簡単に死んだりする


死ぬ要素はどこにでも転がってる

それをなんとか避けながら
私たちは生きている



自殺したいと思ってる人は
頑張ったり
避けるのをやめればいい



そうすれば
きっとそのうち不意に死ねるだろうし


死ぬ前に
随分楽な気持ちになって

死ぬ気がなくなるかもしれない



…って、何の話だ?


2003年03月04日(火) 誕生日のオオゴト 後

「もしもしハム男?
私もお風呂屋さん、一緒に行こうかなあ」



何言ってんだよ


ひっそり笑うハム男


「今、ザ・シューズの横にいるの」


ハム男の家のそばの
安売り靴屋

消えてしまったネオンを見上げながら
ハム男に種明かし



しばし沈黙



「はあ?え?
そうなの?…もう、なんだよそれ
とにかく、戻ってこい」




笑ったり怒ったり
パニクるハム男

部屋に入ると
苦笑い


「よっしゃ、行くか!!」


車に乗って
二人共大好きな
大きなお風呂屋に到着


ハム男は、
私があげたジャージを早速着てる


「俺、どうしよう
こんなにジャージが似合っちゃって」


ガラスに映してみたり
鏡に映してみたり

分かりやすく喜んでくれて
私も嬉しい



ビデオを借りて
家に帰る


手をつなぎながら
ビデオを見る


「俺、こんなにジャストフィットするジャージ初めて
がちゃ子すごいね、よく見つけれたね

昨日、ダイヤモンドテラスに行って買い物したときに
3000円のジャージを買おうとしたんやけど
どうしてもデザインが嫌でなあ…

あ〜、買わんでよかった!!」


ハム男にっこり


土曜日、全然電話にでなかったのは
ケースケというハム男の友達と
飲んだくれていたかららしい


一人焼酎一瓶あけて
次の日の
命より大事なサッカーの試合にも二日酔いで行けず
散々だったらしい



バカじゃないの



「30歳の誕生日を
危うく一人で過ごすとこやった…

来てくれてありがとう
がちゃ子」


布団の中でつないでいる手を一旦はずして
ハム男は自分の手が下になるように
手をつなぎなおした


相手の手の重みで手がしびれてしまうから


そんな
さりげない仕草と
普段行ってくれないような言葉に

私はダラダラと涙を流しながら
眠りについた


2003年03月03日(月) 誕生日のオオゴト 前

3月2日


仕事が終わった後
ハム男の家へ向かう電車に飛び乗っていた


仕事中に
制服のままで
スポーツ店をかけずりまわって見つけた
ハム男に似合いそうな
黒くてメッシュがたくさん使われた
涼しそうなジャージ



それを握り締めて



結局、
今日一日ハム男から連絡は無くて
昨日私が送った失礼千万なメールに
怒っているのか
呆れているのか




プレゼントを部屋の中において
そのまま帰ってくるつもりだった


もし、友達と部屋でパーティーしてたら?
外に御飯を食べに行ってたら?
お風呂に入ってたら?
仕事してたら??


ハム男の顔を見たいような
見たくないような




一刻も早く着きたくて
タクシーに乗り継いだ


「ほんとにここでいいの?
 足元気をつけてね
 おやすみなさい」

周りに何もない道路の真ん中で降りる私を
心配そうに見送ってくれた運転手さん



ハム男の家の前に着くと
のぞき穴がオレンジ色に光っていた


台所の電気がついているんだ
中にハム男がいるんだ


開ける?

開けない?


スポーツ店の紙袋
持ち手がぐちょぐちょになるまで握りしめる



そうっとドアノブに袋をひっかけて
足早に立ち去る


脇道に入って


『外を見てみて
 お誕生日おめでとう』


メールを送る


1分

2分

5分経過


ハム男の家は1階で
ドアはもろに道路に面している


盗まれたらどうすんのよ!!



迷った末
電話をかける



「…はい」


恐ろしいほど
低い声

電話したことを少し後悔しつつ
明るく声を出す


「ハム男?メール見た??」


「…見たよ、がちゃ子どこにいるの」


「もう帰りの電車の中」




本当は
50メートル離れたところだよ


「な…なんじゃそりゃ
どういうこと?何してるの?
どうして中に入ってこないの

…何をしてるの」



悲しそうな声
ああよかった
怒ってなかったんだ


「ハム男の友達がいたら
悪いかなあと思って」



「いないよ誰も
…ほんまにもう電車の中?」



「うん」


「そっか…
俺、今からお風呂屋さん行ってくるわ…」



「…うん…」


どんどん沈黙が増えてくる
いつもお互いあっさり電話を切るタイプなのに
言わなくちゃいけないことが
口からなかなか出てこなくて
電話を切りにくくて
困ってしまう


「気をつけて、帰れよ」



電話をやっと切って
2.3歩進んでから



ハム男に電話をかけなおした


2003年03月02日(日) 誤 送信

『聞かれたらすぐ返事するのは
 社会人のマナーやろ

 この ウンコタレ』






これは
ついさっき
ハム男に送ったメールの内容



事の発端は
一昨日、


『日曜日はサッカーの練習あるの?』


とメールを送った私


まてど
暮らせど
返事がこない



昨日の18時頃に
ハム男から着信があって
慌てて折り返しかけても出やしない


22時頃にかけたら
3コールくらいして急に留守電になった




ああん?


吉本新喜劇の辻本さんばりに
あごをしゃくれさせて怒る私



2日の夜、どうしてもハム男の家に行きたかった


どうしても
どうしても


サッカーで帰りが遅くならないのなら
職場から電車で
ハム男の家に行くつもりだった



なのに
ハム男の予定が分からない




メールの打ち方が分からないんだ




と、
ハム男は私のメールに
いつも電話をかけて来て返事をする



でも

私は知っているから


ハム男の携帯に
残っている送信メール


私の知らない人に
メールの返事をびしばしと打っているのを


私は知っているから





2月の後半から
ハム男の仕事が異常に忙しくなった


物理的にさばけないような仕事量で
一日で滋賀と大阪と京都と三重に行ったりする


電話口の声は
日に日に弱弱しくなっていく



忙しいのは分かってる




メールで

『うん』

『いいえ』

だけでも返事が欲しい



メールできるくせに
どうして私にはメールをくれないの



どうしてそんな
小さな嘘をつくの


誰が得をするの




頭の中がグルグル廻って


仕事のストレスも
限界線をポタポタと越えて滴っていて


自分が自分じゃなくて



文頭のようなメールを
送ってしまった



ふと時計を見ると
日付が変わっていた


3月2日になっていた

3月2日になってしまった



そんなメールを送るつもりじゃなかったんだ


ずっとずっと思っていたのは
ずっと前から計画していたのは


本当に
今晩
送りたかったのはね




『お誕生日おめでとう
 30年生きてこられてよかったね

 その内3年を一緒に過ごせたね
 
 嬉しいね
 会いたいね』


2003年03月01日(土) 愛発信器

『東京に転勤することに
 なりました』


元々元彼のMくん


短大で知り合って
私が告白して
お付き合いすることになって…



でも、その頃私が

男性恐怖症で

キスやセックスをする予感を感じたとたん
Mくんを受け付けなくなってしまって


別れた


でもMくんは
こんな私を
ずっとずっと
好きでいてくれて


少し前に
体も重ねてしまった


それに関しては
後悔も
興奮も
していない





ハム男よりも
分かりやすく愛情表現をしてくれるMくん


まるで兄弟のように
親のように

安心できる存在だったのに

遠くに行ってしまう


私を愛してくれる人が
遠くに行ってしまう



少し寂しい


がちゃ子 |偽写bbs

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