○プラシーヴォ○
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電話口でハム男が
「風邪をひいたみたいだ」
コフコフ、と咳をしていた
風邪、と聞くとイソジンを思い浮かべる
2年前、まだ手も繋いでいなかったころ あまりにも私の仕事が多忙で 逢えない日々が続いていた
ハム男が 職場の近くで食事をしよう、と わざわざ来てくれた
撮影に備えて小道具をチェックする手をとめて ハム男のもとへ行った
寒い風の中で ハム男が手をふっている
居酒屋に入り、おしぼりで手を拭いていると
ドン!
目の前に超巨大なイソジンうがい薬が現れた
パチンコの景品かなんか? と笑う私に ハム男が驚いた顔で言い返した
「さっき電話で 風邪っぽいって言ってたから… 俺、風邪っていうと イソジンしか思い浮かばなくて…」
例えば職場で
カゼヒキマシタ
と言うとする
オー、ダイジョウブカ?
と、皆とりあえず言ってくれる
でも
倒れるなよ 倒れたら俺が代わりに撮影にいかなきゃならない そんなの無理だ
風邪うつすなよ スケジュールつまってて 休めないんだから
咳するなよ 音声さんに迷惑だからな
と、いう無言の声が ビッシビシ聞こえてくる
しょうがないけど しょうがないことだけど
だから、こんなにアッサリと心配してくれることが 嬉しかった
普通のことだろうけど 嬉しかった
私は、なんて普通じゃない世界で 働いているんだろう
この人は、なんて普通なんだろう
普通って、なんて気持ちいいことなんだろう
私は、まだ暖かいおしぼりで ノーメイクの顔をぐいぐいと拭いた
「…オッサンみたいやな」
とハム男が笑う
えへへ、と笑いながら なかなかおしぼりが顔から離せない
だって、 涙がとまらない
高校生くらいまでは 特におかしいとは思ってなかった
でも、最近気づいた
うちの近所のカラオケボックスは 絶対おかしい
どこが? かというと
各部屋に、廊下に面して 畳半分くらいの大きさの でっかい窓がついているのだ
しかもスケスケ スモークやらなんやら、 目隠しになるものナッシング
即ち 中の人丸見え
それだけならいいんだけど (イヤだけどさ) アホの男共がその窓から品定めをして 無理矢理部屋に入ってくるのよ
都会とは言い難いサビレタ土地で しかも こんなヘンピなカラオケ屋で唄ってる 若い(?)女性は珍しいらしく 売れっ子の風俗嬢の部屋ばりに 入れ替わり立ち替わりオッサンやニーチャンが入ってくる
落ち着いて歌えやしねえ!!!
『明日、朝イチバンで合唱コンクールがあるんで 練習しなきゃいけないんです』
とか
『今日、友人が死んだ日なんで 私達だけで彼女のために歌ってあげたいんです』 (なんで、山本リンダ歌ってんねん)
とか
訳のわかんない言い逃れをするものの ちょっとやそっとじゃ 男共は出ていってくれない
女3人集まってはいるものの 心優しくて上っ面のいい私達
なかなか決め手になる文句が言えない
私はフト昨晩見た映画を思い出した
そして
バン!
とドアを開けて、そのドアを背で押さえ、
『お引き取り下さいな』
と外を手で指した
いや〜んカッチョイー
こうなると、出ていかざるを得ない男共 すごすごと出ていった
今度行く時は加湿器かなんかを持って 窓をモワモワに曇らせたいと思います
よけい美人に見えるかしらん ウッフン
嬉しい時 悲しい時 おいしい時 悔しい時 痛い時 暑い時 寒い時
ことあるごとに 人はいろんな所から いろんな液体を出す
しかも、 男だけが出せる液体と 女だけが出せる液体を混ぜ合わせると
なんと、
命が出来る
仲直りも出来る
1人で出す液体は ただ悲しい
はやく すくって欲しい
両手で 受け止めて欲しい
テレビで松尾貴史さんが言っていた
男性の性欲のピークは20歳前半で 女性は30歳ころだって
だから、同年代の人と付き合っていると 性欲のギャップがどうしても出てくるって
ホント その通りだと 昨日、ハム男の横で思った
土、日と一緒にいるのに ちっとも私に触れてくれないハム男
どこにピンクスイッチがあるの?
私のスイッチはオンになったままで 自分じゃ消せない
誰か、ヨソの人に消してもらっていいの?
ハム男、 私じゃあもう ハム男のスイッチは入れられないの?
「いや〜、今日はもう満員ですねん すんませんなあ」
たいして申し訳なさそうなおじさんの声
いえいえ、と丁寧に返事をして 携帯を切る
「やっぱり満員だって、イチゴ狩り 天気いいし、それに、もう13時だし…」
運転席のハム男も 予想はしていたのか、落胆した様子は無い
急遽、デート地を神戸へ
「洋食が食べたい」 と、店を知りもしないくせに リクエストだけはわがままなハム男を連れて 三宮の地下を徘徊する
結局、ラーメン屋に入る (空腹すぎて動けなくなった)
セットを頼んで、冷たいラーメンが出てきたハム男
私の熱い坦々麺をうらやましそうに見る 私だって冷たい麺はヤダよ
でも腸が弱いハム男 その冷たい麺で下痢になって デート中トイレを探されたんじゃ たまらない
渋々とりかえてあげる
お礼も言わずに嬉しそうに食す 私の仏頂面をおかしそうに眺めてる
腹が立つ テンション下がる
「ハム男、最近私に対して お礼を言わなくなったよね?」
そーおー? わからへーん
と、アホ丸出しの返事が返ってくる
ぷりぷりしたままハム男の家に帰る 少しは悪いと思ったのか 豚肉のショウガ焼きを造ってくれた おいしかった
でも腹が立っていたので
ロクデナシとか 役立たずとか
会話の端々に汚い言葉を織り交ぜていたら 普段怒らないハム男くんも 心なしか不機嫌モード
そして性交も無しで 眠りにつく
もう、ハム男と一緒にいる意味が分からない 一緒にいない方が 精神衛生上いいのかしらとも 思う
「浮気してもいいかなあ?」
電話の声を半ば上の空で聞いていた私は そこでハタと青竹を踏んでいた足を止めた
「どしたの急に」
「だって、もう私達7年も付き合ってるんだよ なんか、彼氏には何も感じないっていうか… エッチも下手くそだし、早いし… とにかく不満なんだよーーー!」
比較的うまくいっていると思っていた友人からの 衝撃の浮気宣言
彼氏に
「実は、ここ1年ほど お前にあまり性欲を感じない」
といった意のことを言われたらしい
その瞬間 心の温度がギュッと冷えたのが分かったそうだ
「一秒単位で離れてってる気がするよ 彼氏から、私の気持ちが」
まあまあ、ドウドウ、と 落ち着かせようとするが 彼女の怒りは収まらない
「がちゃ子んとこはいいよね! うまくいってそうで!」
そうでもないよ… エッチだって手抜きだし… パターンも決まってきたし… インターネットで日記を書いている 女の子達が羨ましいよ すごく彼氏に感じさせてもらってるみたいだもん
「…そっか、がちゃ子も 淋しそうだねえ」
とりあえず飲もうぜ!
ということで 近々ウサをはらしに行くことに決定
電話を切った後、 目を閉じてハム男以外の人とのエッチを想像する
周囲の音が聞こえにくくなる
そっと手を移動する
1人で達した後 また周囲の音が鮮明に聞こえてきて 現実に帰ったことが分かる
血液の中を油が流れるように 性欲で支配されていた体中が またクリアーになる
そうすると もうハム男以外の人なんて 面倒くさいし 怖いし 必要に思えなくなる
これの繰り返し
とりあえず、 1人で処理できている 私の欲望
友人のように 1人で抱えきれなくなる日がくるんだろうか
誰かの肌じゃないと 収まらない日が…
付き合いだした当初は、 料理上手の主婦さんが開設してそうな ホームページを徘徊し、 (もちろん仕事中に。ウシシ) レシピをプリントアウトし、 何かとハム男に作ってあげていた
しかし、
『料理を作る技術を あたしのお腹の中に置いてきたんじゃないの?』
とママに言われるほど 料理下手で料理嫌いの私
普通に野菜炒めを作っていたはずが 最終的には、ボンヤリした味の 水気でビショビショな温野菜ができあがった時は 正直二度と包丁を持つまいと誓ったほどだ
だけど、
あまりの仕事の多忙っぷりで すっかり疲労困憊モードのハム男を見ていると 干からびたはずの母性本能に、 つき動かされた
そして再びレシピをにぎって ハム男家へ
切るたびに勢いづいて飛んでいく人参や 皮を一ミリ剥くごとにすべってころがるジャガイモに 悪態をつきながら作業をしていると
テレビを見ていたはずのハム男が 私の背後からギュムっと抱きついてきた
「…子泣きジジイさん、邪魔なんですけど…」
「俺は大丈夫」
いやいや、あたいが大丈夫じゃないんだってばさ
火加減を見たり、 冷蔵庫を開けたりする私から 離れようとしないハム男
二人羽織のように 私の背中に密着したまま一緒に動く
時々、押し殺した笑い声すら聞こえる キショイ
道場六三郎だってこんな状況で ウマイものなんかつくれるはずない
歩きながらツイストっぽい捻りの動きを取り入れてみたが 全く効果無し
はがれない
水でもかけてみようかと 思った瞬間、
「…あのな、嬉しいねん」
子泣きジジイが呟いた
感激しすぎだよ!
私がいかにも普段何もしてあげてないかが バレバレやんか!
感激してる割には あんまり美味しくなさそうに食べてたけど…
そして夜中にこっそりラーメン食べてたけど… (足りなかったのか?)
私がハム男のために 料理をしている姿が嬉しかったんだろうなあ
普段、して欲しいことを口に出さないから 甘えちゃってたなあ
誕生日はいっちょ、ケーキでも焼いてみるかあ
ママのお腹の中から 技術を取り返してこなくっちゃだわ
指の先や、お尻のふくらみの隅々まで イライラの固まりがつまっている気がして 爆発しそうになる
自分でも原因がよく分からない
迎えに来てくれなかった っていう事だけで、 こんなに長い間イライラする事は無かった
電話の向こうでハム男が優しい声を 出せば出すほど 私の声はトーンを下げていく
そしてイライラの吐き出し方がよく分からないせいか、 今日は泣けそうで仕方がない
先週も今週も来週もハム男に逢えないっていうだけで こんなにグラグラしてしまうものなの?
…してしまうものらしいね
お金ならいくらだって払うよ
だからハム男、私に優しくして 今すぐ私を呼びだして 5秒でいいから抱きしめて 好きって言って
「金曜日、会社終わったら俺の家においで」
行けないの スノボで打撲した左足が痛くて 家に帰るだけで精一杯なの
ハム男の家は駅から遠すぎる
けれど
もし、行ったら誉めてくれる?
真っ黒に腫れあがった足を引きずって あなたの家で待っていたら 頭を撫でてくれる?
すごく気がきく、クマオくんと 口ベタで上手に喋れないクマコちゃん
「あの…その…」
と口ごもるクマコちゃんに対して たたみかけるように
「お腹すいたの?寒いの?」
と、クマオくんは思いつく限りの事をしてあげる
だけど、クマコちゃんは浮かない顔 相変わらずモゴモゴと口ごもるばかり
クマオくんは、ついにこう言った
「何をしても喜んでくれないんだね きっと、ボクがいない方が 君は落ち着くんだね 君の望みどおり、ボクはどこかへ行くよ」
立ち去ろうとするクマオくん
違う、違うよ クマコちゃんがモジモジと 追いかける
ついにクマコちゃんが 溢れ出る涙と一緒に、言葉を発した
「ずっと一緒に居て欲しいだけなの」
※※※ ※※※ ※※※
…という内容の絵本を、ハム男にあげたことがあります ハム男の誕生日に
二人の関係がとても曖昧な時期で、 ハム男がとても不安がっているのが 手にとるように分かっていました
俺たちは付き合ってるのか? がちゃ子は俺のことを好きなのか?
目が、手が、背中が、 ずっと無言で私にそう言ってました
でも
クマコちゃんばりに口ベタな私
とても、口に出して 好きだの、愛してるだの言えない状況でした (今となっては平気で言えますが)
悩んだあげく、 誕生日プレゼントに、絵本を添えてあげました
「4回くらい読み直して 4回とも泣いた」
という微妙な返事をくれたハム男
それでも、自信が湧いたようで、 ハム男の表情が和らいだのが はっきりと分かりました
現在、
聖ヴァレンタインデーを目前にして 喧嘩中の私達 (正しくは、私1人が怒っている)
今年は戦線離脱しようと思っていたのだけれど
この悶々とした気持ちを 手紙に綴って チョコレートに巻き付けて ハム男の家に置いてこようかな?
絵本に代弁してもらうのではなく、 私の言葉で伝えようかな
口ベタクマコ、 頑張る?
ドアを開けた瞬間、 なんか、違う。
と漠然と思った。
朝9時、こんな時間にママもパパもいないなんて なんだか変。
整理好きのママが、こんなに中途半端に部屋をちらかして いくことだって、滅多にないことだし…
…とりあえず、肩からスノボの荷物を降ろして 洗濯物を出そうとした瞬間、 パパから電話がかかってきた
「おばあちゃんが亡くなった 今から迎えにいくから 喪服を着て待っていなさい」
お葬式をするたびに思う
お経を呼んだり、焼香をしたりする私達を
「もう、私はそんなとこにはいないのよ そんな抜け殻を囲んで 大袈裟なことしないでよ」
と、故人がカラカラと笑って 空から見ているような気がしてしょうがない
私が、今日何時頃スノボから戻って来るか分からなかったので おばあちゃんの襟元に 私の写真をはさんでおいてくれたそうだ
おばあちゃん、それ持っていってね そして、私の子供に見せてね おばあちゃんの曾孫だよ
何もかも終わったのが17時ころ ハム男に電話した
「今から、家に帰るんだけど」 「だから?」
なかなか、自分から言い出せない 上記の会話を5回くらい繰り返した後、 ハム男が根負けして口に出した
「…俺に迎えに来いってこと?」
苦笑まじりの、あきれたような声
「俺、もう買い物して晩御飯つくるとこなんだ」
じゃあいいよ
と言って、返事を待たずに電話を切る
晩御飯や 眠気や サッカーに
私は負けっぱなし
悔しくて
しばらく電話に出てやるもんか!と 思うんだけど
どうせこの怒りは続かないんだろうなあ、とも 思ったりする
そんな自分が嫌になる
怒ってるのに ハム男の声が聞きたくて電話にでるから すごい無愛想な応対をすることになる
もっともっと怒りたい
一週間くらい音信不通になってハム男を心配させたい
ドラえもん、 何か出してよ
いわゆる、吹雪だった テンションやや下がり
「ここらへんで地味に練習しとくから 思う存分滑っておいで」
と、やや逃げ腰の私だったが アッサリと捕らえられ、 ゴンドラで一気に山頂へ
4人でいっせいに滑りだすものの、 実力の差がすぐに現れ あっというまに私は最後尾
しかも、途中ではずれたステップインが 右足だけどうしてもはまらない
山をオッパイに例えるなら まだここは乳首の根本あたり
ここから歩いて降りろと???
それしかないわね
と自問自答した末、
豪快に滑る人達の合間を縫うように トボトボと歩いて山を降り始めた
途中で友人2人と逢うことができたが なんと1人が私と同じで どうしてもステップインがはまらないらしい
トボトボが2人に増えて トボトボコンビになったところで
まるで、王子様のように 警備のスキーヤーがサラリと私達の前へ回り込んだ
「ほら、はめてあげるから 足、上げて、大丈夫受け止めてあげるから 前に滑っちゃっても大丈夫だよ」
自分のスキー板でガッチリと私のボードを 受け止めて固定し、 バカでかい私のブーツを持ち上げ 悪戦苦闘してくれたスキーヤー
け…結婚してください!
ゲレンデで恋に落ちやすいという説が 今、立証されました! (みんな知ってるってば)
なんとか2人ともボードが足にはまり 生まれたてのキリンのように ヨロヨロと滑り出した
ここのゲレンデはナイター設備が無いらしく 16時を過ぎて一気に周囲が紺色に染まってきた
私達が、最後の最後の客らしい
「乗るかー?」 と、スノーバイクをブルンブルンと ふかす警備の人に追い立てられ
スキーヤーの人に懐中電灯で足下を照らしてもらいながら (ある意味ナイター) そして、通りすがりの人に 後ろから押してもらいながら
ゲレンデのふもとに到着した時は ボードを外す気力も無かった…
1時間ほど前に、とっくに到着していた youちゃんが、文句をたれる
「みんなを待ってたら寒くってさ〜 先に降りてきちゃったの 先に行ったら行ったで誰も降りてこないしさ〜 待ちくたびれたよ〜」
ワシら悪くないっちゅーねん
ホカホカのカフェオレ飲みながら 何が待ちくたびれたやねん
ワシら遭難しかけたっちゅーねん
早い人は遅く滑れるけど 遅い人は早く滑られへんねん
そんなことサルでも分かる話ちゃうんかい
あんたが彼氏ができへんのは そういうとこに原因があるんやおまへんかー?
警備の人に追い立てられて パワーフル全開で滑ってきた あたし達にねぎらいの言葉の一つもないんかい
おー?
と、ちょっぴりガラの悪いもう1人の私が 出てきそうになるのは、 なんとか阻止しましたが
この後、写真を撮る時は さりげなくyouちゃんを切れぎみに 配置した私って悪い人かしら
トモダチ〜 トモダチ〜♪
『逢えない時間が長ければ長い程 逢った時、嬉しさ倍増』の法則
これに乗っ取って、私は今夜から スノーボードに出掛ける
連休3日間の内 2日間、みっちり仕事だというハム男を残して。
2週間くらい逢わずにいると、 ハム男の体に異変が起こり、 彼が普段使わない引き出しがバックリ開く
道を歩きながら こっちを向いて口をタコのように尖らせ
「チュウ」
といって女子高生のようにせがんでみたり
鏡の前で私を抱き寄せて 写真を撮るわけでもなく、ウットリと ただ眺めてみたり
まあ、気色悪い引き出しばっかり開いてるんですけどね
でも、そんなハム男が 可愛くて(色ボケ)
私は毎日、自分で自分に 『オアズケ』をしてる
家で巻き爪をそっと処理してる時も インコに餌をあげてる時も youちゃんとスノボのウェアを選んでる時も イカの形をした甘いおせんべいを食べている時も 会社で肩をポキポキ鳴らしている時も 鼻が痛くなるくらい冬の空気を吸い込んでる時も 大きすぎるホームセンターで迷子になってしまう時も
全部、ハム男と逢いたいのを我慢してる時間
スタートダッシュのポーズで まだかまだかと号砲を待ちわびている時間
「急に俺の家に来て 俺をびっくりさせてよ」
付き合い始めて1週間後に 合い鍵をもらった時、 ハム男が言った台詞
だから時々フライングをする
待ちきれずに 1人で走ってしまう
そうしてまた、 スタートラインに戻り むずむずとするのだ
『毎日逢えるのなら それに越したことはない』の法則
だって、あるんだけどね
日記を書くことで…
日記を書くために 自分の声を自分で聞くことによって
不幸が増殖しているということは 無いですか?
自分で自分の悲しみのコメントに酔って 不幸ぶってはいませんか?
生きていくために 悲しいことを心の奥に閉じこめておける 能力があるのに
あえてそれを引っ張りだして しかも、しょっちゅう反芻して わざわざ 泣いて暮らしてやいませんか?
友達と話したり 仕事をしたりしている内は 平気なのに
さあ、文章でも書こうかなと思うと 何度も何度も あの瞬間に戻ってしまいませんか?
自分は癒されてはいけない存在だなんて 思ってませんか?
誰に対して義理だててるんですか?
いったい、残りの人生は どれだけあると思ってるんですか?
もっと周囲を見て 流れにのってみたらどうですか?
いつまで 自分の罪でいっぱいいっぱいの生活を続ける気ですか?
2002年02月06日(水) |
8時ちょうどの・・・ |
最近気づいたのだが
どうやらハム男は
レニー=ゼルヴィガーちゃんのことを 好いているらしい
レンタルビデオ屋さんに行っても 私が新作コーナーで悩みあぐねているのを尻目に
『ベティサイズモア』
とかいう レニーちゃんが出ている一昔前の映画を さっさとゲットしていた
確かに私も好いちょる
レイトショーで
『ブリジットジョーンズの日記』
を見た時、私もハム男も心を奪われてしまったのだ
影響されやすい私
レニーちゃんの笑い顔をなんとなく 真似してみた
眉毛をやや八の字にして 困ったような顔をして笑う
そうしているうちに、 ハム男が私の笑顔を見て呟いた
「あれ? がちゃ子、なんかあの映画に出てる人に似てるなあ」
来た! 来ました!
言って、言って、さあ、遠慮無く言っちゃって!
「その困ったみたいな笑いかた…」
そうそうそうそう! あなたの大好きな…?
「釣バカ日誌の、西田敏…」
…あ、ごめんなさい 今チョット 軽く失神しちゃったみたいでゲスわ エヘヘ
アー、ココハドコ?
有休をとって、復活した あずさ2号で旅にでます そして大物を釣り上げたいと思います
2002年02月03日(日) |
達することのなかった恋人達 |
2/3 達することのない恋人のその後 あ、ダメなのかな…?
と分かった
ハム男が動くたびに ハム男自身が私の中から はずれてしまう
繋がっている部分に手を伸ばして そっと探ってみると
案の定、ハム男自身は くったりと柔らかくなっていた
ごめん…
と言ってハム男は私の上に覆い被さった
こういう時、男の人は辛いんだろうけど
私もかなり辛かった
このポヨポヨのお腹のせいで 気持ちが萎えたのかな?
私の体は気持ちよくなかったのかな?
「上手じゃなくて、ごめんね ハム男を気持ちよくしてあげれなくて ごめんね」
どんどんどんどん落ちていく私の涙を 丁寧に唇で吸いながら
ハム男はニッコリ笑った
がちゃ子は悪くないよ と言って、頭を撫でた
私はそのまま眠りについた
1時間ほどしてふと目を覚ますと ベッドの横に立て膝をした状態で ハム男が私の額に自分の額を押し当てていた
目をつむって、彫像のように動かないハム男
見たことのないハム男
かける言葉が思いつかなくて 私ももう一度目を閉じて ハム男の呼吸を聞く
ハム男は目を閉じたままで 何も言わない
ちゅ、と
おもむろに私の頬にキスをしてきた 珍しい
嬉しくてウヒヒ、と笑うと
ハム男も笑った
すぐに氷のように冷たくなる私の手を ごしごし擦りながら
「幸せだね」
とハム男が言った 本当に満足そうに 胸の奥から暖かい息を吐きながら
どういう経緯からそういう答えになったのか 分からないけど
とりあえず私も幸せだと思ったので
頷いてみた
こんな穏やかな幸せは あと20年後でいいよ
今は苦しいくらいの 熱さがほしい
去年の夏の話だが、
スパ○ールドのプールで一番大きい、 流れるプールにyouちゃんと入った
浮き輪もビーチボールも持ってこなかった私達は つかまる物も無く、 死体のようにプカプカユラユラと流されつづけた
人でごったがえすプールサイドに何気なく目をやると 信じられない光景があった
歳の頃なら50〜60歳ほどのおじいさまが
「…まったく、人が多くて 嫌になっちゃうなあ」
ってな顔して立ってらっしゃったのだ
いや、それだけならいいのだけれども どうみても 腰回りを覆っているものが
手拭い
にしか見えないのだ
もっともっと見たかったのだが いかんせん、流れるプールの水圧に負けて 私は流されてしまった
youちゃんに言うと
「がちゃ子ちゃんにも、見えた? よかった…」
とホッとしている
流れ続けて、再びミステリアスじいちゃんゾーンへと 戻ってきた私達
…やはり手拭いだ! っていうか見えてるよ!いろんなモノが!! 隠しきれてないよ じいちゃん!!
ここは、階段やらエレベーターやらが入り組んでいて どこまでがプールで どこからが温泉なのか、確かに分かりにくい
だけどさ、 誰か声かけてあげてよ!
あれで流れるプールに入ってきたら
おじいちゃんの腰を守っている 頼りない最後の砦が
流されちゃうよ!!!
と心配していると 係員の人がそっと声をかけて おじいちゃんを出口へ誘導していた
なんだか人ごととは思えない ある夏の出来事でございました
youちゃんと温泉に行った
大阪の天王寺にある、ス○ワールド という、温泉とプールとフィットネスが合体した施設だ
アジアゾーンとヨーロッパゾーンという 2タイプの温泉に分かれていて、 毎月、男湯と女湯として交互に変わる
私達が行った時は、女湯はヨーロッパゾーンだった
風呂数が若干多いので、 私達はどちらかというとアジアゾーンが好きなのだが 無理を言っても入らせてもらえないので あきらめる
入った瞬間、トレビの泉をイメージしたという どう見ても噴水そのものの温泉に コントのように 女体がぎっしり収まっていた
2月の末までキャンペーン中で 入浴料が安くなっているからだと思う
笑ってしまうくらい 裸の女体(+お子ちゃま達)が ウロウロしている
新しく、『青の洞窟』という かの有名な観光名所をイメージしたお風呂が出来たということで 行ってみると
それこそドリフのコントの装置のような ハリボテっぽい洞窟の形をしたお風呂があった
3つほどの小さくて青いライトで中を照らしてあるだけで 特にすごい趣向は無い
皆、風呂に入っているのだから顔は赤いはずなのに 青いライトのせいで、 なんとも言えない顔色になっている
気持ち悪い
お風呂と同じ場所に休憩室があって、 そこで皆 裸で寝そべったり 裸でマッサージチェアに座ったりしている
なんとそこには プールサイドにあるような売店があるのだ
制服を着たお姉ちゃんが1人できりもりしていた
そこにすっぽんぽんの私達が並び、 すっぽんぽんでかき氷をもらって食べる
…なんか違う
すごく人が並んでいるところがあったので 行ってみると
『泥エステ』だった
150センチくらいの高さの壺が4つ程並んでいて そこに、深緑色の泥がたっぷり入っている
それを各自ひしゃくですくって、自分の体にかけて 横にあるシャワーで流すのだ
泥と言っても、シャンプーくらいのトロトロ加減で とても気持ちいい
しかし、十数人の人達が泥まみれで並んでいる様は まさに
『世界ウルルン滞○記』
で、雨乞いかなんかの儀式に遭遇してしまった感がある
ここは全体的に、構造がおかしいと思う
泥のあとにシャワーを浴びて、 再びお風呂場へ行こうとする
すると、
洗い場のまっただ中をくぐり抜けるしか 道がないのだ
また泡まみれになってしまう
『世界の大温泉』を唱っているだけに いろんな場所をイメージした オブジェや装置があるのはいいのだが そのせいで お風呂自体が小さいような気がする
そうそう、 ここのプールで衝撃的な出来事があったのだ
それはまた明日…
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