遠距離M女ですが、何か?
井原りり



 拘束される指

いはらから指輪のサイズを尋ねられたとき、迷うことなく一つ小さいサイズを答えた。


婚約指輪も結婚指輪も、帰宅してからハンドクリームを塗ろうとして、はずしたとき、ころころところがっていったまま、どこかに消えて出てこない。


減量して少し指も細くなり、そのときのサイズの指輪がくるくるまわってしまう。


「今では指輪もまわる」というが「やせてやつれて」は、まだいない。


届いた指輪。


少しきつい気がする。


関節の骨をうまくクリアできるだろうか?


骨はなんとか越えたものの、もう二度とははずれない。


ああ、あたしは棺桶のなかまで、この指輪と一緒なのだ。


焼けて、灰と骨だけになっても、この輪っかは燃え残る。


誰も、その内側の刻印には気づかないだろう。


死ぬまで、あたしのからだに刻み込まれる。


my slave riri





2003年12月30日(火)
初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加