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■ 過去
前のオトコの妻と同じ部屋にいる。
子ども同士がトモダチなので、子ども連れでこの家に遊びに来たのだ。
彼女はバイブルサイズのシステム手帳をぱらぱらとめくっている。
「こっちのサイズは持ってる? リフィルあげようか?」
とあたしが聞くと
「あ、ちょうだい」という明るい答え。
あたしたち、タメ口きくような仲だっけ?
もう夜も更けた。
ところで、やつはいるのかな? と思う。
隣の部屋には、女の子の方のベッドが置いてある。
やつは、そのベッドにトランクスいっちょでうつぶせになり、爆睡していた。
奥さん、あたし、こいつと寝たことあるんです。
急に居間の外がざわざわとしだす。
ここは田舎の古い農家みたいな土間を前にした板の間だ。
何かの会合が深夜に至って終わったようで客がぞろぞろと帰るのだ。
山間部のおまつりみたい。
土間には大鍋に湯がたぎっている。
着物を着た客たちも多く、羽織や被布、道行きなどをみんな着ている。
ああ、これは冬のおまつりだ。
「インドから着たお客さんがね、これでお帰りになるんですよ」
オトコの母親は上品な老婆で、あたしにそう説明してくれる。
やつは相変わらず、パンツいっちょで、寝てる。
2003年03月12日(水)
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