白痴日記
白痴



 ノスタルジック

大きすぎる腕時計の皮が
手首を守っている.

約束を守ること.
これまでした多くの約束を
何処まで覚えている?
幾つ覚えている?

忘れることは罪ではないのだわ.

2006年08月29日(火)



 全てが淡くなる

全てが淡くなっていく気がして
恐怖に身を竦めている.

原色の世界であったはず.
鮮やかで残酷な.

怖いの・・
そのような弱音,君は受け入れてくれるだろうか.
とても怖いの,集団が,社会が,自分の足を一歩進めることが.
決断をした後で,このようなことを考えるなど笑止.
君に触れることができたら
君の声を聞くことができたら

愛している.

2006年08月28日(月)



 自分の意志以外で

自分の意志以外で生きてきたことは
幸福にも一度もない.
それはとても幸福なことだ.

全て自分で決めて
失敗したり
血だらけになったりする.

決断しなくてもよい幸福を
私は知らないだけかもしれない.

2006年08月27日(日)



 薄目を開けて思う.

自分を自分で適当に評価すること.
適切に,適当に.
それが可能なら,世の中は少し変わって見えるだろう.

自分の世界は常に変わり続けるもの.
その中で可能になるなら
私は生きていける.

2006年08月26日(土)



 

悲鳴はあげないと聞こえない.
聞いてもらえない.
心の中で叫んでも,誰にも聞こえない.

そういうことを思った夜中.
嗚咽する電話機の向こうにいる彼女.

彼女の悲鳴を私が聞いた.

私は心の中さえ沈黙する.

2006年08月25日(金)



 シュレッダー

僕も君もシュレッダーにかけられてしまおう.
そうしたらバラバラになって自由になることができるし
混ざって,ゴミの中で一緒にいられる.

2006年08月24日(木)



 あなたとわたし

いつか二人の時間があった.
風は気持ちよかった.
少し曲がる口元を真似していたら,すっかり癖になった.

全ての形が愛おしい.


2006年08月22日(火)



 親切な人

私はかねがね親切にしている.
けれどそれと人が良いかどうかは別だと思っている.


2006年08月11日(金)



 憂鬱な午後10時

助けて
と叫んでも
結局は助けてもらえない事を
知ったのはいつだったろう.



2006年08月10日(木)



 モドルリレキショ

戻ってきた履歴書の自分の写真に
唾を吐きかけたくなる.
何してるの?其処で.馬鹿じゃないの?

私,只,普通になろうとしているだけよ.
社会を理解しようとしているだけよ.



2006年08月05日(土)



 簡単な生活

朝起きて,目玉焼きを作って
トースターからパンが顔を出して.
ハーブティーを飲み干して.

天気を見ながら服を選んで
外に出て,勤め場所へ向かう.

時々嫌なことがあり
でも同僚と笑ったりもして

帰りにスーパーで買い物をして
「ただいま」
と動物に挨拶して.

ダイレクトメールや請求書を見ながら
濡れた髪を乾かして

眠る.
夢も見ないで眠る.

2006年08月04日(金)



 志保ちゃん,おめでとう

志保の誕生日.
小さな背中.力の入った背筋.
そっと肩を撫でたくなるような.

なぜ人の笑顔は悲しいのだろう.
美しいのと同時に.
悲しい笑顔以外は信じられない.

いつか彼女が幸せに泣くところを見たい.
それまで私が生きていたら.

彼女はいつも頑張っている.

2006年08月03日(木)



 私は何も変わっていない.

私は何も変わってなどいない.
理性が働いているだけよ.
病気の全ての知識を頭にインプットして
コントロールしているだけよ.

私の心は何も変わっていない.

建前は嫌い.

相手に対する嘘は嫌い.


2006年08月02日(水)



 ディスカバリー

嫌いだとかそういう事じゃない.
未だ付き合っていることは,とりあえず恋人として
付き合っていることは
私の怠慢を突きつけられているようで.

2006年08月01日(火)
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