白痴日記
白痴



 漂流

自分の命に掴まって浮かんで
此処まで漂流してきたけれども
もうそろそろ,それも疲れてきて

一人で生きていくことに何の疑問もない.
だから船もヘリコプターもいらないし,まして手を振って合図をしたりしない.

合図をしていたこともあったけど.
必死で.
両手を離してしまうから,いつも沈みそうになっていた.
海底に近づくと,無理矢理引き上げられた.
でもそれがうれしかった.

遠い.
今は遠い.



2005年05月31日(火)



 

モノクロの翼の入れ墨を背中に入れたい.
肩胛骨から翼が生えてくる夢をよく見る.

飛びたい.

それはとてもリアルな翼で,私の筋肉が動くたびに
飛べるだろう.

両足の甲にも羽根を一本ずつ.

背中から落ちたように.

私は飛べる.

飛んで,落ちていくだろう.

2005年05月30日(月)



 脳貧血

ゆらゆら動く.
地面が動く.

暑い.
お水が飲みたいけど吐く.

紫陽花が枯れている.

2005年05月29日(日)



 パーソナルコンピューター

その人はいないのに,その人の声がスピーカーから聞こえてくる.
私が声を無機質な機械にかけると,会話ができる.
音を辿る.
会話をしている.
そうなのだけれど.

息づかいまで聞こえるのに

湿り気がない.


そう
湿度が,温度がたりない.

電話線は湿らせられるのに.

そんなことを思ったのでした.

2005年05月28日(土)



 ねいる

爪をスクエアにしようと思う.
今はラウンド.
スクエアにして,金色のネイルポリッシュを塗ろう.

自分のために.

2005年05月27日(金)



 

肉が見えて喜ぶ.
ああ,肉だと思う.
赤くて,グロテスク.
このまま,このまま,深く,深く.

でも刃はしなるし,ボロボロになるし
骨はあるし

もうなんだろう.

2005年05月26日(木)



 殺してしまえ

頭を殴って
首を絞めて
心臓を刺して
灯油かけて焼いて

そのあと骨を磨く.
時々舐める.

歯は穴をあけて取っておいた髪の毛を編んだものを通す.

ずっと一緒だね.
君が悪いの.
だって一人にしたのだもの.

2005年05月25日(水)



 飽きる

人に飽きられるというのはしんどい.
けれど,飽きられる時はきっと来る.
努力や,タイミングや,その他色々な事情による
時間差はあるとしても.

飽きても一緒にいることが幸せかどうか
私にはわからない.

でも幸せなのかもしれない.


2005年05月24日(火)



 目とセックス

天井を見上げていた一年半前までの日々.
無理矢理合わせた,四年前.

自分の目と相手の目を重ねる.
それは或る意味,性器の結合よりいやらしい.
そして気持ちがいい.

わかってる.
わかっているの.


2005年05月23日(月)



 行ったことのない駅

行ったことのない駅で
見知らぬ人と少し距離を置いて
見知らぬ街を建物越しに見た.

別段,変わったところもなく
ただ見ていた.

それだけの時間と遊ぶ.

2005年05月22日(日)



 信用している,信頼している

精神病になると
また,誰かと付き合うと

よく言われる言葉.
それを相手に伝える事自体,その逆だということを現している.
脅迫の言葉でこれより怖いもの知らない.

動きを封じる言葉.

悲しい伝言.

2005年05月20日(金)



 hitodenashi

ひとでなしだから優しいのだよ.
ひとでなしだから平和主義なの.
ひとでなしだから非暴力.

そういうレールを引いておかないと
いとも簡単に
それは飛び越えられそうで.

2005年05月19日(木)



 飛び石睡眠

最近の私の睡眠.
2時間眠る.20時間起きてる.
20時間眠る.1時間起きてまた眠る.

感想
眠い.眠いのだけれど眠ることができない.

睡眠導入剤が減ったのです.
で,薬で完全にコントロールされていた睡眠が呆然.

飛び石なので,そのうち落ちます.

2005年05月18日(水)



 細い赤い糸

細い赤い糸が垂れてきた.
さらさらしている.
私はそれが悲しくて愉快でたまらない.
困ったような,嬉しそうな鏡の顔.

もっともっと,と自分が駄々をこねる.
目を閉じると本当に穏やかで
世界に自分一人の気分.

そのまま死にたい.

2005年05月17日(火)



 一大事

これは一大事なことですか?
自分に問う.

人間として生きている限り,そして私がこの感情で生きている限り
避けられないことなのだろう.

また血は流れる.

そんなことで逃げられないのはわかっている.
傷つけた心を戻せないのもわかっている.

だけど.

2005年05月16日(月)



 自殺願望

鬱病の私には常に横に座っているもので.
何かがあると寄りかかり
どんどん引きづり込まれていく.

死ぬしかないように気がしてる.

2005年05月13日(金)



 同居

うさぎがいて,かめがいて,私がいる.
当たり前の空気で,光景.
どれが欠けてもいけない.

奇妙な連帯感.
私が水を飲むと
うさぎ一号が水を飲み
うさぎ二号が水を飲み
かめ一号が暴れる.

この同居が一日でも長く続くことを祈る.

2005年05月11日(水)



 時間

時間って平等じゃないと時々思う.
平均的なだけじゃないかと.

勿論,わかっている.平等に流れている事実は.
でも真実は違うかもしれない.

不眠症の独り言.

2005年05月09日(月)



 仏舎利の志保ちゃん

ふと心の中でこう呼ぶと,彼女のコロコロした笑い声が聞こえてくる.
あの迷走というドライブを覚えているかしら.
笑顔の裏には見せない顔があったこともわかっていた.
時々強くなる視線と,儚げに落ちる視線.

わかったようなこと言わないでちょうだい,とふて腐れる頬にキスを.

私,本当にうれしかったのだから.
抱き合いたいぐらいに.
その決断を.

2005年05月08日(日)



 橋を渡って

橋を渡って,大きな川を越えて
アルバイトへ.

川の風は少し涼しい.
川面に反射する光.

ある時は濁流に
ある時は清流に

自然を観る.

2005年05月07日(土)



 どうして

どうして行ってしまったのだろう.
どうして私は笑って,このドアから見送ったのだろう.
どうして声を聞ける電話をしないのだろう.
どうして血を流すのだろう.

あの時殺してしまえば良かったのに.
殺されてしまえば良かったのに.

最良を選んだようで
最低の気分.

2005年05月06日(金)
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