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■ 悔し泣き
常々我が家のような,両親が粉になって働いても, 中流の下の家庭から 大学に行かせてもらっていることは有り難いと兄弟から言われていた. だから服や家や,食べ物で惨めになる事はなかった. 教育を受けさせてもらっているだけで心苦しかったから.
学部四年のある日のゼミで,担当教官から何気なく 「パソコンを買いなさい.」と言われた. 困惑した.生活費にしている奨学金は余っていないし, アルバイトをする時間的余裕もなかった.
他の学生は何気ない顔で言った.「買えるでしょ.」
廊下に出て唇を噛みしめていたら泣けてきた. 廊下が揺れた. 親を思った.旅行一つ行けない生活をさせてしまっている自分を殴った.
十回以上のローンで買ったパソコンは今も5年以上私と一緒にいる.
進学する度,周りが金持ちになっていった. 田舎者で貧乏な私には食べたことのない料理を知っている人がいた. 信じられないかもしれないけれど,牛肉を食べたのも可成り大きくなってからだ. しゃぶしゃぶはまだ食べたことがない, でも悔し泣きを,貧乏の悔し泣きをしたのは一度きりだ.
そういう事情で泣くことは親に対する侮辱だと思っているから. 私は上目遣いで睨みつけながら生きていく,貧乏を.
そんな私に労働意欲が一欠片もないのは,まあご愛嬌,
2004年01月30日(金)
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