白痴日記
白痴



 カテゴリ嫌悪

随分と意地悪いことをつらつらと
受話器に言った気がする,

胸が悪くなったから.

自分の存在が抹殺されたことを覚えている
最悪.私が私でなくてもいいのだ.

人間関係なんてふわふわしたもので
人の気持ちなんて変わりやすくて.
だから私は目の前の人を,心に思う人を唯,考える.
無責任だとか社会不適応でも,私は目の前の人が笑っていればいい.
今接している人のことを一番に考えたい.


2004年01月31日(土)



 悔し泣き

常々我が家のような,両親が粉になって働いても,
中流の下の家庭から
大学に行かせてもらっていることは有り難いと兄弟から言われていた.
だから服や家や,食べ物で惨めになる事はなかった.
教育を受けさせてもらっているだけで心苦しかったから.

学部四年のある日のゼミで,担当教官から何気なく
「パソコンを買いなさい.」と言われた.
困惑した.生活費にしている奨学金は余っていないし,
アルバイトをする時間的余裕もなかった.

他の学生は何気ない顔で言った.「買えるでしょ.」

廊下に出て唇を噛みしめていたら泣けてきた.
廊下が揺れた.
親を思った.旅行一つ行けない生活をさせてしまっている自分を殴った.

十回以上のローンで買ったパソコンは今も5年以上私と一緒にいる.

進学する度,周りが金持ちになっていった.
田舎者で貧乏な私には食べたことのない料理を知っている人がいた.
信じられないかもしれないけれど,牛肉を食べたのも可成り大きくなってからだ.
しゃぶしゃぶはまだ食べたことがない,
でも悔し泣きを,貧乏の悔し泣きをしたのは一度きりだ.

そういう事情で泣くことは親に対する侮辱だと思っているから.
私は上目遣いで睨みつけながら生きていく,貧乏を.

そんな私に労働意欲が一欠片もないのは,まあご愛嬌,





2004年01月30日(金)



 弱くなりたい

私は弱くなりたい.
何もかもに弱くなりたい.
そして偏った視点も変なこだわりも捨てて
唯,唯,泣いていたい.

それで生きていけないこと,知っているけれど.

泣かないで生きようとしたら
いつの間にか絶望して泣けなくなった.
自分だけが頼りになった.守るために必死になっている.


2004年01月29日(木)



 殺したい,と

殺したいと悔しがって泣くなんて
無様だわ.
殺して,捌いて,彼の綺麗な鎖骨と歯を
残りは食べて,
一緒になりましょ.

私と一緒になりましょ.
何もかも.
どんな変な味でも一滴も残さない.

ねえ,幸せになりましょ.

2004年01月28日(水)



 壊れる脳味噌と躰

何かを垂れ流しながら歩いている,
眼は何も見ちゃいない.
唯,空を.

噛んだ唇はガサガサで皮がむける.
血の味.

人を殺したいな.
誰でもいいってわけじゃない.
私を裏切った人.
歓迎会や多忙を理由に,人の死亡を天秤にかけた人.
新しく入ってきた女.

嗚呼,殺したい.

空の一点を見つめて意識を集中させていく.

2004年01月27日(火)



 双六

上がりが来ない.
私,待っていたのです.上がりを.
賽子を振りながら.
上がることが出来たなら,屹度仕合わせになるでしょう,と.

上がりが来ない.
賽子もすり減ってしまったの.


2004年01月22日(木)



 真摯

真摯な姿勢を忘れては生きていけない.
私は,少なくとも.
馬鹿と呼ばれてもいい.融通が利かないとか,要領が悪いとか
好き勝手に言えばよい.

私は生きていく.

2004年01月21日(水)



 痕跡

晴れた日曜日,中国(仮名)と歩いたことを思い出す.
缶珈琲ばかり飲んでいた.私はダイエットコーラばかり飲んでいた.
物事をずばずば言うし,ちょっと偏っているし
おじさんぽい所もあったけれど
何だか物凄く優しかった.

だから独りで晴れた日曜日を過ごすのが
寂しくなってしまった.

2004年01月19日(月)



 あなたには無力だった,結局.

行ってらっしゃい.

夕暮れの薄闇の中,私の声は馬鹿みたいに響いて.
ぎょっとして振り向く君の
お坊ちゃんみたいな「散髪に行った.」髪型も
昔風のマフラーの巻き方も
全てが
溢れていく.

穢れを知っているのは一番に私であるはずなのに
嗚呼,この私の目の前に居る人は
何て綺麗で何て愛おしい.

もう一度.泣きそうにながら私は言う.

行ってらっしゃい.

2004年01月18日(日)



 

山が動き出したって.
そうかあ.
噴火口を覗いてみたくなる.
何かが見える気がしてさ,

明日行ってこようかなあ.

2004年01月14日(水)



 終了

終了したい.
本当に.


2004年01月13日(火)



 隣にいること

今,私の隣には誰もいない.
物理的にも心理的にも.
こっちを向いて手を振ってくれる人はいる.

いつの間にか広まった他人との距離.
私が作ってきた狭いお家.
あの人の幻影と幻聴と,何時か触れた躰だけが繰り返される.
狂ったお家.ドアを開けるのはあの人だけに.

出会ってしまった.出会ってしまった.

2004年01月12日(月)



 私は優しくなどない

責任があるなら,どこにも逃げないし
この躰に烙印を押すだろう.

けれど,それ以外はアウトオブガンチュウ.
生きているのに,こっちだって必死なんだ.

半端な公開.後悔.

サヨウナラ.

2004年01月11日(日)



 混沌した足下

足下が動かないのです.
方向がわからないのです.

一歩踏み出せ等と仰有る.

私は混沌としているのです,現在.

2004年01月10日(土)



 消える風景

あちこち歩く.
汽車に乗って辿り着く.
変わってゆく,街を歩く.

消えていった記憶の風景の街.

故郷に行く,気持ちは薄れてゆく.
変わったのを見たくない.
臆病.

2004年01月08日(木)



 節度

節度のあるメールでお年始を言おうと決めて
何度も書き直した.
愛情が混じらないように.

お返事がきた.

あの人らしいメール.でも温かい気がした.

好きで好きで堪らない.

2004年01月05日(月)



 過ぎる日々

時間の感覚を少し失っている私は
カレンダーと時計を確認することが多い.
故意に確認しないこともあるけれど.

目を閉じていると,日々はぐんぐんと進み.

どこか小さな島で,過ごしていたい.
一日過ぎたと思ったら,貝を置く.
時間なんて単位はなくて,星座,太陽の位置や,植生の変化で
過ぎる日々を感じる生活.

贅沢.

2004年01月02日(金)



 雲海

雲海はまるで白いシーツが乱れたように.
青空を見つめていました.
雲の上にはいつも青空があることを,人間世界の,心の世界の,
道標にしようと思っていたこともあった.

でも空は空であり,私には私の道標があるのだろう.

2004年01月01日(木)
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