白痴日記
白痴



 足の指

夜,大動脈みたいな川に架かった橋を渡りながら
其れは襲ってくる.
恐怖.

私はしっかり立とうとして足の指に力を込める.
不自然に突っ張る指先.少し内側に曲げてみたり.

嗚呼,こんな足の指を私は見たことがある.
それは性交の時のわざとらしい私の指だ.
誤魔化そうとしている私の指だ.

暗闇の中,私は前に進んでいるのか後ろに下がっているのか
判断がつかない.

2003年04月30日(水)



 愛の需要供給ベクトル

ベクトルの大きさや方向は
喩え其れが無駄でも
変えられるものじゃない,私の場合.

変えたら,それは私の死.


2003年04月29日(火)



 

今日出たお薬は
主に「総合失調症」に処方される薬で.

苛々がひどいと訴えて出た薬.

うーん.



2003年04月28日(月)



 卑屈な哀願

もし7日に帰ってきて
私が死んでいたら,あなたはどうする?

どうもしないかな.

私はもうどんな感傷的な事も頼めて
例えば
二人で行った阿蘇の何もない原っぱに行って.
だとか.

少し泣いて,とか.

2003年04月27日(日)



 ストーリー

肩胛骨の辺りから
羽が生えていた.
羽は真っ赤で,濡れて赤い雫が
滴り落ちていた.

手錠をかけてもらったの.
羽は乾き死んだ.

もう肩胛骨に羽はない.
手錠は錆びて,
私はひとりぼっち.



2003年04月26日(土)



 人を殺してもよい気がした

其れは運転中.
今,目の前を行く人々を
アクセルを踏んで,できるだけ多く
殺してしまいたい,と.

否,殺してしまいたいというよりは
殺してもいいかもしれない,ぐらいに.

ハンドルに額をつけて
瞼を閉じて
赤黒い想像を,した.

2003年04月25日(金)



 真似

影響を受ける.

料理できない人間は生きる力が弱い,とかね.
学会は発表しないなら行かない,とかね.

応援している,の言の葉.


2003年04月24日(木)



 栗の花

開花の時期がやってきて
私は外に出る度に噎せてしまう.

この匂いがとても苦手なのだ.
漂白剤より生々しい匂い.生物の匂い.

2003年04月23日(水)



 解き放たれる時などこないのだろう.

欲望と希望と絶望と.


2003年04月22日(火)



 10000

カウンタがことりと10000になったようです.
この大好きな一箇所しかリンクさせてもらっていない頁が.
無駄に生きている象徴のような気もしますが.

カウンタ10000をもらってくださった方,大変有り難うございます.


2003年04月21日(月)



 

幻のような時間を
とぼとぼと一人で振り返りながら歩いている.
戻してくれと何度も願った,気が狂いながら願った空間を
そっと一人で外から見ている.

神様がきいてくれる願いはいつか訪れる死だけだと
理解している.

其れでも今でも願っている.
一人で.

2003年04月20日(日)



 幸せな死

私はとてもとても幸せでした.
此の目は綺麗な色彩で,此の耳はとろけるような音で
唇は甘いシロップで満たされた.

其れだけを思い浮かべて
呼吸を止めましょう.目を閉じましょう.

永遠の嘘をつきましょう.
自分のために,最後に.



2003年04月19日(土)



 

あまりに気怠くぬるい湯につかる.
爪の先まで曲線でできた私の躰.
子を産むように脚を広げてみた,戯れに.

鎖骨の下のまるい乳房は
いつまでこの形でいられる.

骨盤をなぞってみた,指の腹で.

女の躰.欲を持った女の躰.
生臭い.

2003年04月18日(金)



 不在

4/28-5/7不在期間.
私ではなくて.あの人の.

この期間に死んでしまおうかと思っている.

2003年04月17日(木)



 バランス

精神のバランスをとるというのは
私の可能な範囲では
少し頭が悪くなることではないだろうか.

思い詰めて考える.
そうしていてはバランスが崩れてくる.
思い詰めても前向きに考える.
そんな何時も前向きなんて単なる馬鹿だ.

馬鹿になりとうない.バランスなどいらない.

と馬鹿は考える.

2003年04月16日(水)



 蒼の部屋

私の寝室は
蒼い.

あの人の目で撮った蒼い写真.
蒼い抽象画.
モザイクの蒼いランプ.

蒼い空気.
あの人の空気.
私の溜息.

2003年04月15日(火)



 煙草女人

二人で煙草を吸う.もう初夏のような空気の中.

ねえ,取らないでね.私,あの人好きだから.
取らねえーー笑.
相変わらず不毛だけどね.
よく飽きないね.
そうだねえ,飽きないねえ.・・しつこいなあ,私.笑.
一般的にいうとそうよね.

闇に気持ちを混ぜていく.
猫が可愛い声で鳴く.




2003年04月14日(月)



 若い人

年齢を経てわかることなどないと思っていた.
でも最近はそういう類のものが存在していると思っている.

けれど
それを若い人に見せてはいけない.
それは屹度上手く伝わらないし,他人が伝えるものではないから.

ふと言葉に漏れてしまったりしやすいから
気をつけなければと自戒.

2003年04月13日(日)



 A部さん

結局とても優しくて残酷なほどだった.
有り難う.

2003年04月12日(土)



 春の雨

春の雨が降って
様々な色の傘が開いていく.

そのままみんな飛んでしまったらいいのに.

2003年04月11日(金)



 監禁

監禁したい.
自由を奪いたい.

もしくは

死にたい.

嗚呼,何と私の世界の狭いことよ.
選択の幅がない.ない.

2003年04月10日(木)



 やっぱり君の

やっぱり君の家の前で死のう.
できるだけ目の前で死にたかったけれど
死にきれなくて痙攣する姿を見せたかったけれど.

ねえ,どれだけ好きなのかわかっていた?
君に憑いていこう.

趣味の悪い冗談.

2003年04月09日(水)



 血を見たいなら

そんなに皮膚を切り裂きたいなら
と思ったかどうかは
知らないが
不慮の事故でうさぎに肘の裏を抉られてしまった.

あらあら
と思う間に血が出てきて脂肪が見えた.

全く,苦笑.

2003年04月08日(火)



 段階

様々な治療段階を踏んで現在の状態があるわけで.
切るのを我慢できる.自傷行為を我慢できる.

親愛の情を感じている人を落胆させるのは
苦手で.

今切ったら戻ってしまう.医師ががっかりする,
と思うと切ることに「罪悪感」が.
これって策略か,医師の.
はまっているのか.別にいいのだけれど.

不安なんだ,前に進みたくないんだ.
前に進んだって何もない気がするから,苦しみばかりで.

突き詰めると
生きていたくないんだ.

あの人は飴もくれずに生きることを私に.
あの人が希望することを私がしてしまうのを知っているんだ.
ずるいなあ.お互い.

生きていたい.生きていたい.生きていたい.
生きていたいと思うこと.
思え,思え,思え.


2003年04月07日(月)



 

私が死にたいという気持ちに逆らって
生きていること.

2003年04月06日(日)



 骨拾い

病気のわりには,年齢のわりには
たくさん残った白い骨.

一つずつ見つめながら納めていく.
喉仏の尖った骨.
頭蓋骨は手で包み込んで.

言われたとおりに
お水と共に私と一緒にいる.

バイバイ.

2003年04月05日(土)



 26歳男性の未練劇場

あんな女たいしたことないって.
性格も悪かったよ,別れ際,ひどかったじゃない?

そうやって言っても
それだけじゃないんだよ,とか言ってさ.

成る程未練とはこういうものなのね.

私は未練を残せない.というより私はそんなに引きずるなら
這いずってでも影を追うから.
其れが影でも.

でも,本当たいした女じゃなかったよ?

2003年04月04日(金)



 泣く権利

私は泣く権利を放棄した.
何かを得たかった.その代わりに.

けれど私は泣けなくなっただけだった.
薬剤に冒されるだけだった.

得たかったものは,少し先にまだぶらさがっている.

2003年04月03日(木)



 一線

一線.
其れを越えたらどうなるのか.
ヒトトシテ.

大量殺人をしたら一線を越えるのか.
其れは人それぞれ.

自分の一線は何処にあるのか.
見当はついていて.

一線の向こう側にダイブしたら気持ちいいだろうなあ.
最高に.
ヒトトシテやっていけなくても.

今はちょっと.
何時か屹度.


2003年04月02日(水)



 形にならないものを

形にならないものを
私は必死で護っていて.

形にならないものを
血まみれで探している.他人の身体から.



2003年04月01日(火)
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